2017年度第1回定例会 討論

それではただ今議題となっております諸議案のうち、議案第8号の2017年度の一般会計予算に対する反対討論、議案第12号の水道事業会計予算に対する反対討論、及び陳情第11号「平成29年度からの特別徴収税額の決定・変更通知書に受給者の個人番号を記載する件についての陳情」に対する賛成討論を行います。

アベノミクスの破綻と地方財政

まず、一般会計予算についてでありますが、2017年度の座間市一般会計予算の総額は、412億6876万2千円。この予算について市長は提案説明において、次のように述べられております。

「歳入が見込めず非常に厳しい状況であるため、身の丈にあった着実かつ堅実な財政運営が必須である」

これについては、私も同感であります。日銀による国債の大量買い付けやマイナス金利の継続により、日限が供給するマネーの総額は、昨年の6月段階で400兆円を超えております。デフレ時の対応としての金融緩和は、別段驚くに値するものではありませんが、400兆円というマネー供給量は我が国の名目GDPの八割にあたり、二割程度のアメリカやユーロ諸国と比べても群を抜いております。問題は、これだけのまさに「異次元」の金融緩和を行いながら、一向にデフレ状態から脱却できす、大量のマネーの多くが株式市場に投入され、実体経済とはかけ離れた株価の「高値安定」という状況をつくり出され、多くの国民の生活実感からすればアベノミクスの「恩恵」などはどこにもないということであります。

議員の皆さん方も、新年の会合などで多くの市民のみなさんや事業者の方々とお話しする機会がおありだったと思いますが、「景気がよい」「業績がよい」とおっしゃっておられる方は何人いらしゃったでしょうか。アベノミクスは完全に失速した上、その出口を見いだせない状態です。こうしたことが、現下の地方財政、そしてわが市の財政の状況に如実に表れております。

綱渡りの予算編成

こうした経済状況の下、本市の2017年度当初予算の特徴を一言で表すならば、「綱渡りの予算編成」とでも言うべきものでありましょう。市長も提案説明の中でこう述べられております。

平成28年度予算の執行管理を徹底する中で、歳出の抑制を図り、執行残額を的確に把握した上、3月補正に計上し、その中から生み出された財源の一部を財政調整基金へ積み立てることにより、平成29年度当初予算の財源を捻出した」

おっしゃる通りなのですが、これに補足をしますと、正確には「2016年度の一般会計補正予算において、各事業の執行残額6億1565万6千円の一部というよりほほその大半と、さらに急遽、公共用地取得基金を廃止し、本来なら公共用地の取得のために積み立てておいた約1億1000万円余りの基金残高を一般財源として繰入れ、財源調整し、その結果5億2600万円余を財政調整基金に繰り入れ、基金残高を一旦は約9億9000万円ほどにしたものの、当初予算でここから8億1296万2千円を取り崩して、予算編成を行った。」というべきものであります。

さらに、その結果、財政調整基金の残高がどうなったのか、この点については市長の提案説明では触れられておりませんでしたが、今回の当初予算後の財政調整基金の残高は、わずか1億7629万9千円。一年前の2016年度当初予算成立後の同基金の残高は12億2931万9千円でしたから、わずか1年で、額にして約10億5千万円、率にして86%も大幅に減少しております。また、この財政調基金残高が1億円台まで減少したことがこれまであったのか、という質疑を企画総務常任委員会において質しましたが、当局の答弁は「初めてのことである」とのことでした。

まさに「綱渡りの予算編成」でありますが、必要なことは、なぜこうした状況に陥っているのか、その原因を分析し、財政運営のあり方を見直していくことであります。

財政調整基金の大幅減少 原因は何か

ではなぜ、財政調基金という年度間の財源調整を行う留保資金がここまで減少してきたのでしょうか。客観的にみると、二つの要因が考えられます。一つは直接的要因。もう一つは、本市の財政構造に起因する問題。

直接的要因は、2016年度に見られた法人税の大幅な減額。特定の大企業の法人市民税の減額や過去分の還付によるもので、その額は2016年度だけで約8億3000万円にのぼっており、本市のような財政規模の自治体にとっては、その「瞬間風速」による影響は大きく、これにより留保財源である当時の財政調整基金残高の大半を失うこととなりました。

もう一つの財政構造に起因する問題とは、投資的経費と標準財政規模(経常一般財源)とのバランスの問題であります。ご承知のとおり、教科書的に言えば投資的経費とは「公共施設の建設や用地購入など社会資本の形成に資する経費」で、予算参考資料の説明では普通建設事業費として区分されるものであります。一方、標準財政規模とは「国庫補助金や市債などの特定財源を除いた、市税や地方交付税など通常経常的に収入される一般財源の額」で、ある意味で地方自治体の「自力」を表すものと言えます。

具体的に見ていくならば、投資的経費は市長の2期目がスタートした2012年決算では12億4527万円であったものが、2015年度決算では、34億3858万4千円。2016年度3月補正段階では37億8045万8千円。2017年度当初予算では36億8497万円とこの5年間で3倍以上に増加しております。一方、標準財政規模は2012年度が227億1850万2千円であったものが、2015年度決算では231億1499万1千円。2016年度3月補正段階では235億2190万3千円とこの5年間でわずか3.5%、約8億円ほどしか伸びておりません。

つまり、自治体の基礎体力である標準財政規模はほとんど変わらないにもかかわらず、投資的経費は3倍となっているわけであります。このバランスに注意を払わなければ、財政上の更なる困難を抱えてしまうことになります。

実施計画事業の見直しを

市長は、今定例会の中で「総合計画に沿った事業実施、これを公約として示し、それを身の丈に合った形でなしていきたいということを申し上げております。この総合計画自体が私は座間にとっての身の丈だというふうに思っています」と述べられておりますが、ご承知のとおり、総合計画は分野別の政策目標とそれに基づく施策の重点及び方向性を示したものであり、そのもとでの事業及び予算については具体的には示されておりません。事業及び予算は、行政裁量で策定される実施計画と予算案によって具体化されるわけですから、事業実施にあたっての予算化は、当然ながら財政状況を考慮にいれながら、進めなくてはなりません。要は何を言いたいかと言えば、実施計画に盛り込まれた事業であっても、財政の状況から、その優先度を再度判断し、見直しを行うべきであるということであります。

私は、現下の財政状況の中では、実施計画事業であったとしても、特に投資的経費については、その資源配分について見直しを行い、必要最低限に抑え、市民の暮らし、健康、福祉、教育に重点的、優先的に資源配分、すなわち「人への投資」へ限られた財源を振り向けていくべきだと主張するものであります。

それでは、こうした観点から、2017年度当初予算に盛り込まれた事業費のうち問題がある主な事業について指摘し、反対理由の説明としていきたいと思います。

耐震性が疑問視される「総合防災備蓄倉庫」

まず、市長室所管の総合防災備蓄倉庫等整備事業費についてであります。本事業の審査にあたって私は大きく三つの観点から、当局と議論を進めて参りました。一つは、総合防災備蓄倉庫へ改築される現消防庁舎の耐震性能の問題。二つ目は、現消防庁舎南側法面が土砂災害警戒区域に指定されていることから、それに対する対応策の問題。三つ目は、防災備蓄品の集中管理と分散管理の問題であります。

このうち、二つ目の土砂災害警戒区域に対する対応は、今後市道30号線道路改良事業において、法面全体にわたって擁壁工事を行う予定であるとのことから、その対応については適切なものであると判断しました。また、三つ目については集中管理方式により、有事の際にこの防災拠点がダメージを受けた場合のリスクを懸念しておりましたが、避難所等での備蓄と総合防災倉庫での備蓄とを組み合わせた方式であることがわかりましたので、適切なものあると判断しました。

しかし、一つ目の耐震性能については、今回の議論では、その懸念は解消することができませんでした。現消防庁舎は、1972年に建設されたものですでに45年が経過しております。1998年に耐震補強工事を行っているものの、耐震性能を示す指標であるIS値は0.88となっております。IS値について耐震改修促進法の告示では、一般建物については0.6、病院、学校、庁舎などの防災拠点となる建物については重要度に応じてその1.25倍〜1.5倍、すなわち0.75〜0.9以上が必要とされています。この基準からすると、最重要度の建物の基準0.9には達しておらず、さらにIS値を算出する指標の中には「経年指標」も含まれております。耐震補強工事から20年近くが経過しておりますから、再度耐震診断を行い、必要とあらば改築工事と合わせて耐震補強も行うべきだと考えます。

しなしながら今定例会の予算審査における当局の答弁は、耐震診断については「費用対効果の点からどうか」「防災備蓄倉庫は常時人がいるわけではない」という理由で行わないというものでありました。東日本大震災の教訓からしても、災害においては「最悪の事態」を想定した対応が必要だと思われます。よって、新年度当初予算においては、耐震診断も含めた予算措置を行うべきであり、本事業費については認めることはできません。

小田急相模原駅前西地区再開発 公益性が少ないペデストリアンデッキ

次に、都市部所管の小田急相模原駅前西地区市街地再開発事業費についてであります。本事業については、新年度当初予算において3億4192万8千円が措置されておりますが、事業の全体を概括すれば、2014年度から2019年度までの6か年の総事業費の見込みは19億3194万4千円で、市街地再開発事業に対する補助金、保留床を市が取得する経費、及び上空横断施設(いわゆるペデストリアンデッキ)の建設費が主な内容となっております。

本事業の問題点は、再開発事業への補助にとどまらず、保留床の取得に約7億3000円、デッキの建設に約3億円、合計10億円以上の経費をかけることであります。以前当局は、本再開発事業の採算性について「保留床の取得予定者として、参加組合員予定事業者が選定されることから採算性は支障がない」と明言して事業を再スタートさせたわけですが、結果的には商業棟の75%を市が公共床として取得せざるを得なくなり、都市計画の変更決定の際には、設置が未定であったペデストリアンデッキの建設が加わり、事業費を押し上げることになったわけであります。現時点において、保留床の取得が前提として事業フレームが成り立っている以上、市が保留床の買い取りを放棄することは現実的ではない面もありますが、最低限、デッキの建設は断念すべきであります。

当局はデッキの公益性について「相模原市の再開発ビルとの往来ができ、回遊性が確保できる」ということを理由としておりますが、商業棟の店舗はほぼ一階のみで、デッキが接続される3階には店舗はありません。何のための「回遊性」なのでしょうか。どちらかと言えば高層マンション居住者の利便性が確保されるだけのものではないでしょうか。そうした点から、デッキの公益性は少なく、たとえなくても再開発事業に特段の支障はないものと思われますので、デッキ建設の実施設計委託料が措置されている本事業費を認めることはできません。

投資的経費を大幅に押し上げる都市計画道路座間南林間線の整備

次に、同じく都市部所管の座間南林間線道路改良事業費についてであります。都市計画道路座間南林間線の整備方針の政策的な問題点については、この壇上において重ねて指摘しているところでありますので、繰り返しは致しませんが、今後の投資的経費を大幅に押し上げる要素となることからしても、整備方針の見直しが必要だと思います。当局の見通しとしては、2019年度頃に都市計画の変更決定を行い、その後用地買収を行うとのことでありますが、当局の試算でも踏切立体交差だけでも事業費は27億円。用地買収と工事を含めると40億〜50億の大規模事業となります。もちろん、単年度ですべて行えるものではありませんが、本市の財政の基礎体力からして、この莫大は事業費負担は可能なのでしょうか。もし、そのまま突き進むことになれば、財政上、他の分野にそのしわ寄せが生じることとなります。今一度、立ち止まって考えなおすべきであります。

本市のインフラ整備の重点としては、こうした大規模な都市計画道路の整備を優先するのではなく、生活道路のバリアフリー化など「高齢者も子どもたちも安心して歩くこと出来る歩行空間」の整備に重点的な資源配分を行うべきであります。投資的経費を本市の財政の身の丈にあったものとし、超少子高齢化社会の到来の中で、健康、福祉、教育など、あるいは地域の商業、中小企業など地域のコミュニティの中で、懸命に働く人々、すなわち「人への投資」に力を入れるべきであります。こうした点から、今後の投資的経費を大幅に押し上げる座間南林間線道路改良事業費を認めることはできません。

以上をもって、2017年度の座間市一般会計予算に対する反対討論と致します。

上下水道庁舎 当局はPPP(官民連携)方式・リース方式の利点をどう説明していたのか

次に、議案第12号の2017年度の水道事業会計予算に対する反対する討論を行います。ここでは、PPP(官民連携)方式で行われる上下水道局局庁舎の建設、維持管理について、今回の予算審議において明らかとなった問題点を指摘をして参りたいと思います。

まず、今回上下水道局庁舎の建設、維持管理をPPP方式リース方式で行うこととした理由について当局は、次のように説明されておりました。

「資金調達、設計、建設、施設の維持管理等を民間事業者に一括発注することにより、従来の公設公営発注方式と比較して事業費の削減、事業推進の効率性などが望める」

「PPP事業方式により財政負担額を軽減する手段の一つとして、上下水道局庁舎に商業施設を併設し、賃貸借料を収入として見込み、上下水道局がリース会社に支払う費用負担を軽減する考えである」

と、これまでの議会の答弁で述べられておりました。

公設公営方式の安い

昨年6月議会段階の試算では、上下水道局が負担する費用すなわち20年間のリース料総額は2億4900万円(年間1245万円)であったものが、本年2月に行われた大和リースとの契約においては、5億2254万円と2倍以上に膨らんでおります。

これについて当局は本定例会において、この昨年6月議会の答弁以降、昨年8月、債務負担行為の設定にあたり再試算をしたところ、公設公営の場合は5億5922万9千円、リース方式の場合は5億2260万6千円となり、比較すると公設公営方式方式に比べリース方式の方が3662万3千円安くなる」と答弁されました。

ところが、当局が公設公営の場合の費用負担額として持ち出してきた5億5922万9千円は、建築費や維持管理費などの支出の総額であり、お客様センター賃料や商業施設賃料は差し引かれておりません。このことを予算決算常任委員会都市環境分科会において問いただしたところ、当局は公設公営の場合のお客様センター賃料は5966万4千円、商業施設賃料は6079万4千円と試算していたことを明らかにしました。

要するに当局は、自ら公設公営の場合の賃料を収入として試算しておきながら、リース方式との比較においては、それを差し引かずに比較をするという、全く持って、不可解かつ非合理的な態度をとっているわけであります。故に、当局が自ら試算された公設公営の場合の費用負担額は、支出から収入を差し引くと4億3877万1千円で、リース方式より約8300万円ほど、公設公営の方が安くなるというのが、妥当な比較であります。当局の「比較」は、リース方式の方が「安い」ということ演出するための、極めて作為的なものとしかいいようがありません。

リース料の総額(20年間)は5億2260万6千円だけではない

さらに、上下水道局が支払う20年間のリース料総額は、5億2260万6千円となっておりますが、費用負担はこれだけではありません。先ほども紹介したとおり、当局は「資金調達、設計、建設、施設の維持管理等を民間事業者に一括発注することにより、従来の公設公営発注方式と比較して事業費の削減、事業推進の効率性などが望める」とおっしゃられておりましたが、今回の契約では維持管理費のすべてをリース会社が負担するわけではありません。

今回の事業者公募にあたっては、昨年8月に事業者公募を行ったものの応募者がなく、11月に再度公募を行い、大和リース株式会社1社のみが応募しておりますが、上下水道局が事業者に求める要求水準書では、8月と11月を比べると求める水準は事業者側にとって有利な内容へ緩和されております。8月段階では事業者が行うものとされていた「建物内部の清掃業務」「害虫駆除業務」「廃棄物処理業務」が11月では削除されており、この費用は当然上下水道局の負担となります。

また、法定点検・定期点検によって発見された不具合に対する事業者の対応は、8月段階では「対応する」であったものが、11月では「報告する」に変更されております。「報告」後の対応は定められておりませんから、上下水道局と大和リース株式会社との「協議」によるものと思われますが、その結果上下水道局側の負担が生じる可能性があります。

さらに、大和リース株式会社との契約書では、第4条(賃貸借料及び支払方法)の12項では「前項のお客様センター事業者が変更された場合には、乙(大和リース)が提案書にて提示した費用を基に市と協議して賃貸借料を決定するものとするが、決定した賃料を下回る場合には甲(上下水道局)の費用において支払うものとする。」と定められております。これは、市から委託されたお客様センターの事業者が賃料を支払えない場合は、不足分を上下水道局が支払うことを定めたものであり、いわば上下水道局が債務保証する形となっております。

以上の点から、上下水道局の負担はリース料の総額5億2254万円にとどまるものではありません。確実にこの額に加えて費用負担が生じることとなり、その額は上下水道局が作為的に示した公設公営の場合の費用負担額5億5922万9千円をも上回ることになるでしょう。これでは、民間活力を導入した方が、事業費の負担は軽くなるという話は一体どこへ行ってしまったのか、と言わざるを得ません。

民間活力の導入による庁舎建設 妥当性はない

今回のこうした「民間活力の導入」による上下水道庁舎の建設、維持管理については、コスト比較の妥当性の問題、準備事務における当局の説明責任の問題、さらにこうしたずさんな試算のもととなったアドバイザー契約及び導入可能性調査を行ったコンサルタント会社への委託費支出の妥当性の問題などから、新年度予算において措置されているリース料の支払いは認めがたく、反対をするものであります。

今後の公共施設再整備 しっかりとした検証を

なお、現在本市においては「公共施設再整備計画基本方針」が策定されようとしております。示されている素案では、「民間活力の導入」として「民間企業等のもつ多様な知識、ノウハウの活用等、より効率的な管理運営に資する方策を積極的に取り入れます」とし、さらに「施設の所有権を民間に移譲することについても、費用抑制につながるのであれば、中長期的な視点から選択肢の一つとします」と記されており、アンケート調査では市は公民館や文化センター、図書館などについて「民間活力の導入による効率的な事業運営」を例示しております。

今後、公共施設再整備計画が策定されることと思いますが、本来なら今回の上下水道庁舎建設における「民間活力の導入」は、その最初の事例として、「成功例」をつくりたいという衝動が、官民コスト比較における客観性を欠いたものとしたように、私には思われます。市長はじめ当局におかれましても、議員諸氏におかれましても、今後の官民連携事業においては、しっかりとした検証が必要であるということを最後に申し添えておきたいと思います。

必要のないマイナンバーの記載はやめるべき

次に、陳情第11号「平成29年度からの特別徴収税額の決定・変更通知書に受給者の個人番号を記載する件についての陳情」に対し、賛成討論を行います。 本陳情は、「給与所得者等による市町村民税・道府県民税特別徴収額の決定・変更通知書に受給者の個人番号を記載しないこと」等を求めたものであります。

これは、本市の行政事務に置き換えてみますと、市が市民税・県民税の特別徴収額(いわゆる給料からの天引き額)を事業者へ送付する際に、特別徴収を受ける従業員の個人番号を記載する欄が設けられ、その記入については、「記入してくださいよ」という助言が国からあったということであります。

法令上からすれば、個人番号の記載欄は、総務省令である「地方税法施行規則の一部を改正する省令」の中の「様式」として定められているものであり、記入に関しては地方自治法第245条の4に基づく「技術的助言」に過ぎません。なお、省令は、法律の委任がなければ、罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができないこととなっております。故に記入にあたっては省令ではなく、「技術的助言」という形をとっているわけであります。当たり前の話ですが、「技術的助言」ですから、それに従うのか従わないのかは、地方自治体の独自の判断によるものでありますので、自治体によっては自らの判断で個人番号を記載しないことを決めている自治体もあります。しかし、残念ながら本市も含めて多くの自治体が国の「助言」に、ひたすら従う姿勢を見せている中で、個人情報保護の観点から、その対応をあらためるよう求める陳情であると理解致しました。

市から税額の決定の通知を受けた事業者が、住民税のいわゆる天引きに係わる事務を行うに当たって、個人番号は一切必要はありません。このことは、市当局の答弁でも改めて明らかになりました。また、必要がないにもかかわらず個人番号を記載することは、特別徴収を行う全ての事業者に送付されるわけですから、個人番号の漏えい、流出のリスクが生じてきます。さらに、勤務先に個人番号の提供を拒否した従業員からすれば、本人の承諾なしに、個人番号が事業者へ知らさせることとなります。

これは、個人情報の自己コントロール権を侵害するものでありますので同陳情に賛成するとともに、当局においては、特別徴収額の税額決定等に通知にあたっては、必要のない個人番号を記載しないよう求めるものであります。

以上、私の意見を申し上げながら、討論を行って参りました。賢明なる議員諸氏におかれましては、是非ともご賛同いただきますよう、お願いを申し上げ、討論を終わります。

2016年第1回定例会討論

 それでは、ただ議題となっております議案、陳情のうち、2015年度の一般会計補正予算、各特別会計補正予算、水道事業会計補正予算及び2016年度の一般会計予算、国民健康保険事業特別会計予算、座間市国民健康保険税条例の一部を改正する条例、及び陳情ついて、賛成及び反対の討論を行います。

2015年度補正予算について

 まず、2015年度の補正予算についてでありますが、議案第10号の一般会計補正予算に反対し、議案第11号から議案14号までの各特別会計補正予算及び議案第15号の水道事業会計補正予算については、概ね妥当なものとして、賛成をするものであります。
 なお、一般会計補正予算に反対する理由は、社会保障・税番号制度システム、いわゆるマイナンバー制度に反対する観点から、その関係経費の支出に反対をするものであります。

2016年度一般会計予算について

1)内閣府の「月例経済報告」はこう読むべき

 次に、議案第16号。2016年度の一般会計予算について反対の討論を行います。先日市長は、2016年度当初予算の編成にあたっての考え方を述べられた際に、内閣府が先に発表した本年1月の月例経済報告の中身を引用されました。具体的には、以下のようなものでありました。

 「景気動向について、『景気は、このところ一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている』とした基調判断を示し、『先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待される。ただし、アメリカの金融政策の正常化が進むなか、中国を始めとするアジア新興国等の景気が下振れし、我が国の景気が下押しされるリスクがある。こうしたなかで、金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある』」

というものであります。

このような政府の基調判断を、市長はどのように評価されているのかは承知しておりませんが、私は、次のように読むべきだと思っております。

 「『景気はこのところ、株高と円安だけに依存してきたアベノミクスの失速が続いている』という基調判断のもと、『先行きについては、雇用・所得環境については、トリクルダウンなどというものはあり得ないということが多くの国民に明らかになりつつあるので、消費税税率10%への引き上げ断念や、5%への引き下げというウルトラCも、選挙対策として視野にいれつつ、アベノミクスの破たんを隠ぺいすることが期待される。その際には、中国の景気下振れの影響のせいにすればよい。こうしたなかで、金融資本市場の怖さを思い知った年金資金30兆円の損失が、ばれないように留意する必要がある』」

といったところでしょうか。

2)アベノミクスはいかに座間市の財政に影響しているのか

 まさにこの方が、事実に即した、適切な景気動向分析となろうかと思いますが、アベノミクスの失敗は2015年度補正予算、2016年度当初予算を見ても、、確実に本市の財政にも反映していることがわかります。

 2015年度の一般会計補正予算において、市民税全体では1647万9千円の増額補正となっておりますが、個人市民税は1億1714万2千円の減額補正となっている一方で、法人市民税は1億3362万1千円の増額補正。しかも、法人市民税は昨年の9月定例会において5億3926万5千円の増額補正をした後に、更に今回の増額補正ですから、2015年度当初予算額9億7050万円からすれば、今回の補正で額にして6億7288万6千円、率にしてなんと69.3%増となっております。

 また、2016年度の一般会計当初予算でも、個人市民税は前年度比-2.1%、額にして1億5888万3千円の減となっている一方で、法人市民税は+52.6%、額にして5億1010万円の増と補正予算と同様の対比が示されております。そして、当局の説明では個人市民税の減については、「一人当たりの所得金額が減少したことによる減」、法人市民税の増については、「大企業を中心とした業績の回復」とされております。

 まさに、「ごく一部の大企業のみが潤い、市民の所得は減少する」というアベノミクスの実態が如実に示されているのであります。

3)2016年度座間市一般会計当初予算の特徴

 では、こうした景気動向の中で提案された座間市の一般会計当初予算の特徴を概括すれば、まず第一に、市政史上最大となる総額414億1450万1千円という規模が挙げられると思います。前年度当初予算対比で、+5.2%、額にして20億4835万3千円の増となっておりますが、歳出では、目的別経費では民生費(+19億1664万3千円)、性質別経費では扶助費(+13億5113万6千円)の増が最大の要因となっており、特に障害者福祉費の増が顕著になっております。またこのことは、歳入では、歳出における扶助費の増に伴う、国・県の負担額の増による「国庫支出金」「県支出金」の増となり、予算規模を大きく押し上げております。

 第二の特徴は、先ほど述べましたようにアベノミクスの影響を受け、歳入においては市税では個人市民税が減少する中、法人市民税の大幅増、さらに配当割交付金、株式譲渡所得割交付金の大幅増という形でその影響が見られます。

 そして、第三の特徴は、同じく歳入において消費税の8%への増税による地方消費税交付金の伸びが顕著になってことであります。

 以上の三つの特徴のうち、第一の特徴である扶助費の増高については、少子高齢化社会の進行の中では不可避なものであり、必要な経費であると思う次第であり、また、今年の特徴である障害者福祉費の大幅増は、これまで毎年のごとく年度途中での大幅補正が繰り返されてきたことから、前年度実績に基づく予算計上から、伸び率を見込んだ計上へとしたことは、妥当な措置として評価をするものであります。しかし、第二、第三の特徴については、アベノミクスと消費税増税という中央政府の政策展開によって生じたものであり、地方自治体に与える影響としては、今後の景気動向との関係で、注意深く見ておかなければならないと思う次第であります。

4)バクチで30兆円すった政府が、3000億円をばらまく

 では、こうした特徴を持つ一般会計当初予算について、私が反対をする主な理由について、申し上げて参ります。

 まず、福祉部所管の臨時福祉給付金等給付事業費についてであります。本事業は、行政事務の分類としては、国からの法定受託事務ではなく、自治事務でありながら全額国庫補助によるもので、低所得の年金生活者等に対して、対象者一人あたり3万円を今年7月に予定されている参議院選挙前に給付するというものであり、本市の当初予算では、臨時福祉給付金と合わせて5億1802万円が計上されております。

 すでに多くの人々から、参議院選挙を前にしたアベ政権による国家的買収行為に他ならないという的確な指摘がされておるところでありますが、さらに付け加えれば、株価だけが景気のバロメーターと信じて疑わないアベ政権は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の株式運用枠を拡大し、国民の支払った年金保険料を市場の株高を演出するために使ってきました。そして、その結果、国民の年金資産約170兆円のうち、30兆円以上の損失を出すという大失態と犯しております。

 まさに、国民から預かっている年金資産を、バクチにつぎ込んで30兆円もすったにもかかわらず、今度は選挙前に3000億円をばらまくというのは、尋常な感覚ではなしえるものではなく、到底認めることはできません。よって、本事業に関する経費の支出に反対をするものであります。

5)毎年毎年膨れ上がる新消防庁舎建設事業費

 次に、消防本部所管の新消防庁舎建設事業費についてであります。市長は、先日の提案説明において「総合計画の実施計画事業を最優先として、すべてを網羅した予算」と述べられましたが、実施計画の財政見通しの額を大きく上回ったのが、この新消防庁舎建設事業費であります。

 2016年度当初予算では、4億9401万円が計上され、新年度より工事が着工されることとなりますが、以下の点を指摘しておきたいと思います。

 まず第一には、議会審議にあたって新消防庁舎の実施設計の詳細が明らかにされていないことであります。実施設計は2015年度予算において委託契約が行われているにもかかわらず、成果物が公表されておりません。実施設計の詳細が明らかにされていない状態では、工事予算の妥当性を議論することはできません。こうした手法は、本市においてはこれまでも繰り返されてきており、予算審議の形骸化をまねくこととなりかねませんので、厳しく指摘をしておくものであります。

 次に、第二の指摘事項としては、先ほども申しましたように事業費の総額が、2015年2月に策定された実施計画から30%近く膨らんでいることであります。現段階での総事業費は、設計委託料、監理委託料、工事費、用地購入費合わせて3ヵ年で、28億1144万7千円。昨年2月の実施計画から約6億2000万円も増加しております。

 施設の工事費で見て参りますと、基本構想段階では約16億3400万円だったものが、基本計画段階では約18億円へ。さらに基本設計段階では約20億6700万円だったものが、現段階では約24億1200万円と、わずか4年の間に16億3400万円から24億1200万円と5割近く膨れ上がっているわけであります。

 施設の内容も、基本計画段階では3階建て、延べ床面積約4000平方メートルとされていたものが、現在では4階建て、訓練施設も含めると延床面積は5240平方メートルと増えております。

 このように、基本構想、基本計画、基本設計、実施設計と事業の詳細が明らかになるたびに、事業費が拡大しており、果たしてこれが、基本構想で定めた「経済性を考慮した施設」なのかと言わざるを得ません。

 次に、第三の指摘事項は防衛省補助金の問題であります。新消防庁舎建設事業における事業費の大幅な伸びの背景には、防衛省補助金、すなわち「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」に基づく、8条交付金(民生安定施設の助成)、9条交付金(特定防衛施設周辺整備調整交付金)が大きく影響していることは言を俟たないところでありましょう。

 当初、当局は新消防庁舎建設にあたって、座間市が9条交付金の交付対象となったものの、同交付金が公用施設には適用されないことから、新消防庁舎の中に「防災拠点の整備」という名目で、公共スペースを設け、同交付金を建設費の一部として充当するという、いわば「裏ワザ」的な手法により、市の財政負担を軽減するとしておりました。その後、座間市防衛省との「良好な関係」が功を奏したのか、8条交付金の適用を受けることとなり、建設工事費の約35%にあたる8億5000万円ほどが、同交付金として交付される見込みであるとのことであります。

 8条交付金が交付対象となることは、本市にとってみれば、市債や一般財源の投入を軽減できるというメリットがあることは確かでありましょう。しかし、市長並びに当局は、本来想定されていた施設規模、事業の見込み額を大きく上回る設計へと変更し、総事業費を膨らませたわけであります。

 確かに一般論として、消防庁舎及びその付帯施設において、財政的制約がなければ、充実させることにこしたことはないでしょう。しかし、建設工事費において、当初計画から8億円近くも増加しており、もし、当初計画どおりの施設規模であったならば、その分の市債や一般財源をその他の事業へ充当することが可能であったはずであります。

 よって、新消防庁舎建設事業には同意するものでありますが、その規模と財政の資源配分の観点から、今回の予算措置には反対をするものであります。

6)続 市長給与の大幅なアップをめぐって

 次に、人件費、その中でも市長など常勤特別職の給与についてであります。

 先日の一般質問において、市長の所見を求めましたが、時間の都合で、十分に私の意見を申し上げることができませんでしたので、この際ですから、市長の発言に対して、私の反論を述べておきたいと思います。

 市長の具体的な発言をもとに、以下、私の意見を申し上げて参ります。

 まず、私が今回の常勤特別職や市議会議員の期末手当支給率のアップについて、人事院勧告に準拠するというならば、その内容は勤勉手当のアップであって、勤勉手当を支給されていない常勤特別職や市議会議員に当てはめるのは妥当性に欠いているという主張に対して市長は、「議員の主張をそのとおりとするならば、期末手当支給割合から勤勉手当分を引き下げるべきということになる」と述べられ、さらに「ではなぜ、27年の夏の支給分について勤勉手当合算分の期末手当を受け取ったのか」と、おっしゃられました。

 それに対する私の意見を端的に申し上げるならば、そのとおり、常勤特別職及び市議会議員の期末手当支給割合から勤勉手当分を引き下げる措置をとられればよろしいかと思います。

 一方、「なぜ、受け取ったのか?」に関しては、では、逆にお聞きしたいものですが、受取を拒否することが法的に可能でしょうか?例えば、値上げ分の受取を拒否し、市へ返還するとすれば、それは市への寄付行為にあたり、公職選挙法に抵触する可能性が大であります。法的には不可能であるにもかかわらず、「なぜ、受け取ったのか」とするのは、議論の作法としてはいかがなものかと思う次第であります。

 次に、私が、市長給料のアップ分が、2014年3月段階と比べると21.3%増、額にして月額16万2千円アップに対し、一般職職員の給料は、昨年度は平均マイナス1.84%、今年度は、平均プラス0.38%、平均額では、月額わずか694円であるということ。さらに市長の期末手当は、2013年度と2015年度との比較では、135万6299円の増となっている一方で、一般職職員は、平均6万9000円にとどまっていることを示し、「あまりにも均衡に欠けざるを得ません」と主張したことについて、市長は、「性質や背景の違う一般職の給与と常勤特別職の給与を単純に額や率だけを取り上げて論じるのは不適切」と述べられました。

 これについては、市長がおっしゃるとおり一般職の給与と常勤特別職の給与は、その性質においても、給与体系においても異なることは十分承知しております。しかし、その上で、両者の均衡性を論じるのは不適切なのでしょうか。

 一昨年、常勤特別職及び市議議員の給料及び報酬の引き上げについて審議をしていた特別職報酬等審議会の議事録を読むと、委員より、次のような意見が出されています。「特別職の報酬を考える時に、バランスとして一般職の動向もあると思う」また、別の委員からは、「一般職とのバランスというのも、ここで整合性がとれていくだろう」と述べられており、同審議会の審議において特別職と一般職の給与のバランスが議論されていることがわかります。

 また、同審議会に提出された市作成の資料の中には、「常勤特別職と一般職の最高支給者との給与の比較」あるいは過去17年間にわたる「一般職の給与改定状況」という資料があり、特別職と一般職の給与のバランスが議論され、考慮にいれられていることは明らかであります。

 私は、同審議会の答申内容について、同意するものではありませんが、市長が「論じるのは不適切」とおっしゃった常勤特別職と一般職との均衡が、同審議会では論じられていることをしっかりと認識されるべきであります。

 次に、市長が「「特別職給料の削減措置は、報酬審議会の意向にそむいて独自の判断で削減するものなので、これ自体が不均衡。減額する場合は、年度を区切り、なぜそういう判断をするのか説明し、ご理解をいただくことが必要だが、元へ戻すのは、本則に戻すのであるのから、特に説明をする必要がない」とおっしゃったことについてであります。

 これについては、何度も申し上げておりますが、まず、自分自身の不明を恥じなければならないと思っております。それは、市長が常勤特別職給料を、条例本則上の規定からの減額を条例附則で規定していた期限を失念し、2015年の給与引き上げの際には、東日本大震災による臨時特例減額措置は終了したものの、独自削減分については、未だ減額措置が続いているものと認識していたことであります。

 しかし、私の不明を認めた上で、指摘せざるを得ないのは、なぜ独自減額措置を止めたのかということであり、その説明責任であります。市長のおっしゃられていることは、要は「減額するときは説明をするが、止めるときは、元にもどすのだから特に説明の必要はない」ということですが、それが最大の問題であります。

 減額の理由は、本市の財政状況を鑑みての決断であったわけですから、減額を止める際には、「このように財政状況は好転した」と、その判断根拠を示すべきであります。それが説得力あるものならば、市民も納得をするでしょうが、それなしにいつの間にか市長給料が大幅にアップされていたということでは、先ほどの補正予算や当初予算で示されているように、市民の所得が減少し、個人市民税がマイナス計上となっている中、さらに、各種社会保障に関する市民負担が増大しているなかで、市長を始め常勤特別職の給料だけが大幅に引き上げられるというのは、市民感情としても納得がいかないところではないでしょうか。

 以上の述べてきたような理由により、人件費のうち、市長など常勤特別職の給与及び市議会議員の報酬に関する支出について、反対をするものであります。

 その他、各部局の事業予算において、事業の目的そのものが妥当性に欠けるもの、あるいは事業目的は適切なものであっても、目的達成において有効性に欠ける予算措置が少なからずありますが、ここではこの程度にとどめ、2016年度の一般会計予算に反する討論としたいと思います。

国民健康保険事業特別会計予算及び国民健康保険税条例の一部改正について

 次に、議案第11号、2016年度の国民健康保険事業特別会計予算、並びに議案第41号、座間市国民健康保険税条例の一部を改正する条例に反対の討論を行います。

 今回市長は、2013年3月に引き続き国民健康保険税の引き上げに関する条例並びに予算案を議会に提出されました、具体的には、所得割現行7.8%を8.7%へ0.9%の値上げ、均等割を2万9500円から3万2000円へ2500円の値上げ、平等割を2万8200円から2万9600円へ1400円の値上げ、賦課調定額ベースでは7.68%、額にして1億9964万6千円の増税という内容になっております。

 この値上げは、前回2013年と同様に、第2期国民健康保険事業財政健全化計画を策定し、2016年度から2018年度までの財政収支見通しを行ったところ、16億3800万円の不足額が生じるとして、今回の保険税の値上げ提案に至ったと説明されております。

 では、私の評価並びに反対理由を以下、申し上げて参ります。

 まず、2015年度に策定された第2期国民健康保険事業財政健全化計画についてでありますが、まず、評価すべき点を申し上げます。それは、財政収支の見通しにおける各歳入・歳出科目の試算において、前回とは異なり、過去の実績に基づく平均値で試算したことです。このことは、私が2013年3月議会において指摘をしたところでありますが、変動の大きい国保財政において、その財政推計は確かに難しいものがありますが、常識的な数値で試算したことは率直に評価をするものであります。

 しかし、再び指摘をしておかなければならないのは、財政収支見通しの起点である数値を前回同様、当初予算、今回の場合は2015年度当初予算にしていることであります。前回も指摘しましたが、変動要素の高い当初予算数値を起点とするのではなく、確定した決算数値を起点とするのが妥当なはずであります。今議会においても2015年度の国保会計補正予算で、保険税収入は1億8300万ほどの減額補正をし、法定外繰入金を約4300万円ほどの増額補正をしておりますが、前回はおよそ実現不可能な、(現在でも達成されていませんが)収納率現年分90%、滞納繰越分30%で予算計上し、意図的に法定外繰入金を低く見積もり、その低く見積もった法定外繰入金を3ヵ年固定した財政収支の不足額を算出するといった、いわば数字の操作によって不足額の水増しを行っていました。

 これは、保険税値上げの是非以前の問題であります。本来なら比較的妥当な推計数値を基に、客観的に本市の国保財政を見通した上で、そのギャップを埋めるためにどうように対処するのかということが当局側に問われていたはずにもかかわらず、こうした手法は、適切かつ建設的な議論を妨げるものと言えますので、改めて指摘をしておくものであります。

 次に、今回提案された具体的な保険税値上げ案について、指摘をして参ります。

 ここでもまず評価すべき点が申し上げます。それは、今回の保険税の税率改定を区分別に見て参りますと、医療給付費分については、所得割を0.3%引き上げる一方で、均等割を900円減額、平等割を2000円減額しており、これは国保加入者の低所得化が進行する中で、所得割部分の税率を引き上げ、所得に関係なく賦課される均等割、平等割を減額するというのは、妥当な措置であると評価するものであります。

 しかし、この所得のある方々へ負担増をお願いし、所得の少ない方々の負担を軽減するという考え方が、後期高齢者支援分、介護納付分には貫かれておりません。後期高齢者支援分では、所得割は医療給付分と同率の0.3%引き上げるものの、均等割は2200円の増、平等割は2000円の増となっており、介護納付分も所得割は0.3%の引き上げ、均等割は1200円の増、平等割は1400円の増としていることは、評価することはできません。

 市長も、当局も認めるとおり、本市の国保加入者の所得水準は、県央地区の他市と比べても低く、担税力も弱いものがあります。ならば、法定外繰入金を必要額確保するか、あるいは値上げをせざる得ないとすれば、比較的担税力のある所得割が発生する方々への税率、すなわち所得割の税率を引き上げ、均等割、平等割額を固定または引き下げるのが、とるべき必要な措置ではないかと思います。

 もちろん、これは国の財政負担が著しく低下していること、かつ国保財政が抱える構造的問題の解決が根本問題としてあるということを前提として、現状の中で地方自治体の取り得る選択肢の問題として指摘しておるものであります。

 以上のような点から、2016年度の国民健康保険事業特別会計並びに座間市国民健康保険税条例の一部を改正する条例に反対をするものであります。

陳情について

 最後に、陳情についてありますが、ただ今議題となっております全ての陳情について、その趣旨に賛同し、賛成をするものであります。

 特に、陳情第52号、53号の消費税増税中止を求める意見書の提出を求める陳情については、安倍政権ですら「柳の下の二匹目のどじょう」を狙った消費税10%への増税中止や、あるいは選挙に勝つために政策などどうでもいいとばかりに、「消費税5%」への引き下げといったアクロバットまで考えているのではないかということが、まことしやかに語られておりますので、議員のみなさまに置かれまして、ここは自らのご判断で、現下の経済状況で消費税を増税した場合、どうなるのかを真剣にお考えいただき、陳情に賛成されるよう求めまして、私の討論を終わります。

 ご清聴ありがとうございました。

2015年第4回定例会 討論

 それでは、ただ今議題となっております諸議案について、賛成及び反対の討論を行います。

 まず、議案第81号から議案第86号までの、一般会計、各特別会計、水道事業会計の補正予算について、賛成の討論を行います。これらの補正予算議案については、概ね妥当なものであるとして賛成をするものでありますが、いくつかの事業については問題、課題を指摘をして参りたいと思います。

国から借りている土地の地中埋設物の除去費用は、市が負担しなければならないのか?!
 いずれも一般会計補正予算に含まれるものでありますが、一つ目は、基地返還利用促進事業費についてであります。
 本事業費の補正措置は、キャンプ座間チャペルヒル住宅地区返還予定地で進められている誘致病院の建設工事において、地中埋設物が出現し、建設工事の障害となったため、国有提供財産の一時使用許可の条件に基づき、費用の補償を追加する予算措置となっております。
 具体的には、病院建設予定地の四か所からコンクリートガラ等が出現し、この地中埋設物の除去のために、1198万8千円を支出するものでありますが、今定例会における審議にあたって疑問に思ったことは、なぜ、当該土地の所有者ではない本市がこの費用を負担しなければならないのかという点でありました。これに対し、当局は、提供国有財産一時使用許可書第8条「使用のために支出する経費はすべて使用者の負担とする」となっていることから、国では負担することができないということであり、かつ病院事業者には瑕疵はないので、本市が除去費用を負担することとなったとの見解が示されました。

 ご承知のとおり当該土地は、米軍基地であるキャンプ座間の部分的返還地予定地であります。正式返還後は国有財産を管理する財務省から本市が有償で賃貸借を行い、更に本市が病院事業者へ無償で転貸することとなっており、正式返還前である現在は、在日合衆国軍隊の用に供する国有財産の一時使用という形で、病院事業者による病院建設が進められてところであります。
 当局が示したように、提供国有財産一時使用許可書の第8条(経費の負担等)では、「使用財産の維持保持、現状変更及び使用のために支出する経費は、すべて使用者の負担とする」とする条件が明記されており、本市がこれを認めて許可を受けた以上、貸し手責任を求めることはできないということは不本意ながら認めざるを得ません。

 しかし、これが、正式返還後であったならば、地中埋設物の除去費用の負担は、どうなっていたでしょうか。通常、土地の売買や賃貸借において、特約事項等がないかぎり地中埋設物が出現した場合、瑕疵担保責任が売り手又は貸し手に発生することとなり、今回の場合なら、本市は国・財務省へ除去費用を請求できるのではないかと思う次第であります。

 今後、座間市ではこの部分返還予定地へ消防新庁舎や公園建設が計画されております。これらは正式返還後となるでしょうが、これらの土地は、無償譲渡ではなく有償譲渡とされておりますので、今後の課題として、土地の譲渡にあたっては瑕疵担保責任がまっとうされるよう、国・財務省との交渉にあたることを求めておくものであります。

なんともいい加減な国の地方創生交付金

 次に、健康センター管理運営事業費の増額補正についてでありますが、この増額補正の内容は、国の地方創生先行型交付金(上乗せ交付分)500万円を活用して、健康測定機器等を購入し、市立健康センターに健康寿命延伸に向けた「健康状態見える化コーナー」を設置するというものであります。

 本市が行うこの事業内容については、異論はありませんので賛成をするものでありますが、国の地方創生関連の交付金のあり方としては大きな問題を含んでいると指摘せざるを得ません。

 それは、交付対象事業としての妥当性の問題です。内閣府が所管するこの交付金の正式名称は、地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金(地方創生先行型)と呼ばれるものでありますが、その制度要綱によると、「観光、都市農村交流等の特定の分野に関し、広域にわたる複数の地方公共団体が、適切に連携して同一事業を実施するものであること」という交付基準が、今回、本市を含む県央5市1町1村が交付対象となった理由とのことであります。

 しかし、「観光、都市農村交流」と例示されている事業と本事業は全く関係がありません。おそらく、「都市農村交流等」の「等」に無理やり本事業を当てはめたと考えられますが、本来想定されている事業とはかけ離れた「解釈」としか言いようがありません。

 また、地方創生先行型上乗せ交付は、「他の地方公共団体において参考となる先駆性を基準として評価を行い、選定する」と制度要綱では示されております。では、本市を含む県央5市1町1村が交付対象となった「先駆性」とは、一体何かということに突き当たらざるを得ません。先の交付基準の文脈からすれば、「広域連携による同一事業の実施」が評価対象ということであろうと思われますが、今定例会の審議・審査において明らかになったように、事業実施にあたっての「広域連携」の中身は、5市1町1村が同一の事業を行うことぐらいしかなく、その他は明らかではありません。故に、、事業自体には広域連携の必要性はなく、あえて言うならば交付金を獲得するために広域連携が必要であったしか言いようがないものであります。

 また、政府が定めた「まち・ひと・しごと総合戦略」における政策5原則では、「結果重視」が掲げられ、「具体的な数値目標を設置し、効果検証と改善を実施する」とありますが、本交付金の申請にあたって提出された実施計画書の重要業績評価書(KPI)の指標値は、5市1町1村の全てが、「平成28年3月まで健康測定機器等を購入設置し、未病センターとしての運営体制や機能を確保し、神奈川県からの認証を受ける」としか記述されておりません。果たしてこれが具体的な数値目標となるのでしょうか。また、これでどうやって効果を検証を行うのでしょうか。

 以上述べて参りましたように、率直に言って、こうした交付金のあり方については、「問題あり」と指摘せざるを得ません。今回の場合、交付金の交付申請にあたって本市がイニシアティブをとったわけではなく、他市と同一歩調をとったにすぎませんが、今後、本市が地方創生関連の交付金の活用を行うならば、適正・的確な対応をするよう求めておくものであります。

 さらに、申し添えておくならば、こうした中央官庁による縦割りの政策意図も不明確な交付金ではなく、地方創生関連の予算は全て地方交付税の増額若しくは使途を制限しない一括交付金として地方自治体に交付し、その検証は地方の自治に任せるといった地方分権の観点からすれば極めて原則的な要求を、本市が国に対して強く求めるいくことを願うものであります。

条例制定・条例の一部改正議案について

 次に、議案第87号「座間市行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例」について、反対の討論を行います。

 この条例は、名称にも示されているように、いわゆるマイナンバー法の公布に伴い、個人番号の利用及び特定個人情報の提供について定めるものでありますが、私は、すでに明らかにしているようにマイナンバー法そのものに反対する立場から、条例制定に反対するものであります。

 次に、議案第88号「座間市消費生活センター条例」については、必要な条例制定であることを認め、賛成するものであります。

 次に、議案第89号「座間市行政組織条例の一部を改正する条例」について、反対の討論を行います。今回の組織機構見直しの基本方針について当局は、「今年度に実施された第四次座間市総合計画の中間見直しにおいて、追加及び変更された三つの方針に対応する組織にすること。次に。平成28年度に公共下水道事業が公営企業法の全部適用し、地方公営会計基準を適用するため、公営企業管理者の設置を含め、それに対応する組織機構とすること」の大きく二つの理由を示されました。

 私の判断は、後者の公共下水道事業の公営企業法の全部適用にあたっての措置は、概ね妥当なものと思いますが、第四次座間市総合計画の中間見直しに対応する組織機構の見直しは、総合計画の見直し内容が不十分であることから、賛成することはできません。

 具体的に申し上げますと、今回の総合計画の中間見直しにおいて、子ども・子育ての分野は、新制度施行に伴い、見直しの基本方針のひとつに掲げられ、組織上も施策を統一的に推進するため、新たに子ども未来部が創設されようとしております。しかし、一方で第四次総合計画策定以降に新たに国の方針となった高齢者介護分野における地域包括ケアシステムについては、施策上も追加されておらず、組織上も旧来どおり、介護保険は健康部介護保険課、高齢者福祉は福祉部福祉長寿課となっていることであります。

 介護保険と高齢者福祉が健康部と福祉部に分かれていることの問題については、第4次総合計画策定時より、指摘をしてきているところでありますが、子ども・子育て支援と同様に、総合的な施策展開とその体制整備が求められている地域包括ケアシステムについて、総合計画の施策上の見直し及び組織上の見直しを行わなかったことについては、認められるものではありません。よって、議案第89号に反対するものであります。

 次に、議案第90号「座間市付属機関の設置に関する条例等の一部を改正する条例」並びに議案第91号「座間市非常勤特別職員の報酬等に関する条例の一部を改正する条例」について、反対の討論を行います。 この二つの条例の一部改正は、いじめ防止対策推進法に基づく調査機関の設置と水道事業審議会及び公共下水道事業審議会を廃止し、新たに公営企業審議会を設置することなどを主な内容とするものでありますが、以下の理由で反対するものです。

 座間市公営企業審議会の設置目的については、「上下水道事業の合理的かつ健全な運営を図るために管理者の諮問に応じ調査審議し、その結果を報告し、又は意見を建議する」とし、水道事業、公共下水道事業に共通する事項について、「一体的な審議」「審議の視点の統一」「審議の円滑化」が図れる」と説明をしておりますが、今定例会の審議において、一体的な審議等の必要性について説得力ある説明は結局示されませんでした。

 水道事業と下水道事業は、それぞれ別々の料金体系と別々の長期ビジョン及び財政計画を定めており、それぞれ独自の視点と審議が必要であると考えることから、公営企業審議会の設置に反対をするものであります。

 なお、いじめ防止対策推進法に基づく調査機関の設置については、「学校課題」という名称に関しては、適切なものではないと思われますが、設置目的等については異論はありませんので認めるものであります。しかし、議案提出が公営企業審議会設置と一体となって提案されておりますので、議案第90号及び議案第91号について反対をするものであります。

 次に、議案第93号座間市特別会計条例の一部を改正する条例、議案第94号座間市水道事業の設置に関する条例の一部を改正する条例、議案第95号座間市水道事業給水条例の一部を改正する条例に、賛成の討論を行います。 これらの議案は、公共下水道事業の公営企業法の全部適用にあたって、条例の一部改正を行うものでありますが、概ね妥当なものとして賛成をするものであります。

指定管理者の指定について
 次に、議案第96号「座間市立もくせい園の指定管理者について」、賛成の討論を行います。2003年9月に地方自治法の一部改正により施行されました指定管理者制度でありますが、法施行から12年が経過する中で、今回初めて、本市では公募による指定管理者の選定が行われました。制度の趣旨からすれば、公募指定が原則であるにもかかわらず、長期間にわたって本市が実施してこなかったことは残念でありましたが、今回遅ればせながらとはいえ、公募を実施したことについては率直に評価をするものであります。

 庁内組織である指定管理者選定委員会において、担当課である障害福祉課は、「本市の公の施設の指定管理者制度に関する指針に基づき、市民への説明責任から公募により公明・公正に事業者を選定することとした」と公募選定の理由を説明しておりますが、極めて適切な説明であり、高く評価するものであります。今後は、他の公共施設においても、同様の観点から公募選定を行うよう求めておくものであります。

道路認定議案について

 次に、議案第97号から104号までの道路の路線認定議案並びに議案第105号の道路の路線変更議案については、妥当なものとして賛成をするものであります。

陳情について

 次に、陳情第42号「外国人の扶養控除制度の見直しを求める意見書の採択を求める陳情」について反対の討論を行います。

 同陳情では、「陳情の趣旨」において、「児童手当と同様に国外扶養親族の原則廃止など、扶養控除制度の抜本的な見直しを求める意見書の採択を求める」と記述されておりますが、「国外扶養親族の原則廃止」とは一体どういう意味なのでしょうか。扶養親族という言葉は、「扶養する対象となる親族」を意味するものであり、制度ではありませんから親族関係を「廃止」することは不可能であります。 よって、まず、不可能なことを意見書として提出することには、反対であります。

 次にこのことは、陳情の理由で述べられている文脈から、「所得税及び個人住民税の扶養控除において、外国に居住する扶養親族は税法上の扶養親族とみなさないものとする」ということではないかと類推されますが、とりあえず、この理解で私の意見を申し上げます。

 陳情者は、「会計検査院の調査によると」として、納税者一人あたりの控除対象扶養親族の人数が、国内扶養者に比べ国外扶養者が多いことや控除対象扶養親族の要件を満たしているどうか確認不十分であることを指摘しております。確かに、会計検査院が作成した2015年度決算検査報告の中には、「日本国外に居住する控除対象扶養親族に係わる扶養控除の適用状況等について」という報告がされております。しかし、この報告書の結論部分である「本院の所見」では、

・近年、我が国においては国際化の進展に伴い、外国人労働者や国際結婚等が増加しており、これにより国外扶養者が増加するなど、扶養控除制度創設当時と大きく社会情勢が変化している。

・ついては、このような社会情勢の変化及び本院の検査によって明らかになった状況を踏まえて、今後、財務省において、国外扶養親族に係る扶養控除制度の在り方について、引き続き、様々な視点から有効性及び公平性を高めるよう検討を行っていくことが肝要である。

 とあるように、海外に居住する扶養親族を控除対象から外すことを求めているのではなく、制度の有効性及び公平性の観点から改善を求めているものであります。また、この会計検査院の指摘を受けて財務省は、2015年度の所得税法の改正にあたって、確定申告書の提出の際等に書類の添付等の義務付けを行っております。

 以上、会計検査院の指摘を受け、財務省により適切な措置が取られていることから、本陳情の採択には反対をするものであります。

 次に、陳情第44号「安全・安心の医療・介護の実現と夜勤改善・大幅増員について国への意見書提出を求める陳情」、陳情第46号「国に私学助成の拡充を求める意見書の提出を求める陳情」、陳情第47号「神奈川県に私学助成の拡充を求める意見書の提出を求める陳情」については、陳情の趣旨及び陳情理由に賛同し、賛成をするものであります。

 次に、陳情第48号「沖縄県の米軍普天間飛行場代替施設建設の早期実現、沖縄米軍基地の整理縮小及び負担軽減を求める意見書の採択を求める陳情」と陳情第49号「地方自治の堅持・尊重についての陳情」についてでありますが、沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設を進めようとする陳情第48号に反対し、沖縄県民の民意を尊重し、辺野古への米軍新基地建設計画を白紙に戻すことを求めた陳情第49号に賛成するものであります。

 ただし、陳情第48号の陳情理由にある「在日米軍専用施設の74%が沖縄県に集中しており、基地の整理縮小を全国の自治体で議論していただきたい」との訴えについては、深く、賛同をするものであります。
 
 以上、ただ今議題となっております諸議案について、賛成並びに反対の討論を行いました。議員の皆様のご賛同を呼びかけ、討論を終わります。


 

2015年第3回定例会 討論

 ただ今、議題となっております諸議案について、賛成及び反対の討論を行います。

 まず、議案第52号の一般会計決算の認定、議案第53号から議案第56号までの各特別会計決算の認定、議案第57号の水道事業会計決算の認定について、反対の討論を行います。

消費税増税で日本経済はどうなったのか?

 決算認定の対象である2014年度は、年度開始日の4月1日から消費税率が5%から8%へと増税された年でありました。では、この増税によって日本経済はどうなったのか?

 これはみなさんもご承知のとおり、GDPは2014年度4月−6月期は年率換算で−7.1%、続いて7月-9月期も−1.9%と2期連続してマイナス成長となりました。10月-12月期は+1.5%、2015年度1月-3月期は+3.9%と回復の兆しを見せたものの、2015年度4-6月期は再び−1.2%とマイナスに転じています。

 一方、株価と円安だけに支えられたアベノミクスによって、大企業の売上高経常利益率は+6.96%となり、リーマンショック前を超えて、過去最高のレベルに上昇しております。この要因は、海外子会社からの受取配当金などの金融収益が、営業外損益を押し上げたことと、人件費軽減によって固定費が抑えられたことが、収益率向上に貢献しているわけであります。

 一言で言うならば、バブルであります。実体経済を反映した収益率の向上ではありません。

 財務省が発表している「法人企業統計」によると、第2次安倍政権発足以降、企業(全規模、全産業)の「売上高経常利益と営業収益率の推移」では、営業利益率を経常利益率が常に上回り、その差は拡大しております。つまり、本業の営業収益より営業外収益が拡大しているということであります。この現象は1980年代後半のバブル経済と同様の現象であり、さきほど、「株価と円安だけに支えられたアベノミクス」と述べましたが、そのことを政府統計でも如実に示しているのであります。

 一方、大企業が史上空前の企業収益を上げている中で、雇用者の実質賃金はどうなっているのか? 

 実質賃金は、2013年4月から本年6月まで、実に26か月連続してマイナスとなっております。(2015年4月速報値+0.1、確報値では−0.1)では、なぜ企業の利益率が高くなっても賃金上昇とならないのか?

 これは、企業収益が本業以外の営業外収益によってもたらされているため、本業に関わる人件費を増やすことにはなりません。また、営業外収益の増加は、単年度限りの収益として留保資金となるか、株主に帰属するものとして配当還元され、雇用者の家計には還元されない、故に安倍政権の掛け声とは裏腹に実質賃金が上昇しないのであります。

アベノミクス地方自治体の財政にどのような影響をあたえたのか?

 さて、以上のような日本経済の惨状は、地方自治体の財政にどのような影響をあたえているのか、こうした視点で当該年度の決算を見ていくと、個人市民税は決算額75億1797万円で前年度より−3600万円、0.5%の減。一方、法人市民税は決算額9億6488万円で前年度より2662万円、2.9%の増となっており、増減の規模は小さいものの対照的な結果となっております。

 さらに個人市民税所得割の課税標準額段階別の人数を前年度対比で見ていきますと、課税標準額300万円以下では、100万円〜200万円の層を除いてすべて増加。一方、300万円以上では最高ランクの1000万円以上を除いてすべて減少となっています。ここで注目すべきは、多くの市民が所得を減らしている中で、所得割納税義務者のわずか0.9%しかいない課税標準額1000万円以上の層は、この状況の中で前年度より2.4%増えているということであります。

 一方、法人市民税は、赤字でも一律に支払う均等割は約2億9700万円で−3.9%。一方利益に課税される法人税割は約6億8200万円で+3.9%。法人税全体では合計約9億6488万円で+2.8%。特に輸出関連企業の収益の伸びが主な要因とのことですが、さらに今年度の補正予算では、法人税割の大幅な増額補正となり、合計で15億976万円と、2014年度に比べ+84.4%と驚異的な伸びとなる見込みであります。

 こうした決算数値から見えてくるのは、市民の懐が全体として目減りしていく中での、一部大企業を中心とした法人市民税の伸びはみごとな対比となっておりますし、さきほどの日本経済の現状を如実に反映しているものと言えます。

 それでは、こうした国の経済政策に大きな影響を受けた2014年度決算について、私の反対理由を申し上げて参りたいと思います。

消費税増税関連施策に反対
 まず、当該決算年度4月から行われた消費税増税にかかわる施策、臨時福祉給付金給付事業並びに子育て世帯臨時特例給付金給付事業についてでありますが、政策の意図及び目的、その効果について認めがたいものであると指摘するものであります。

 この事業は、消費税引き上げ時の低所得者対策として、世帯全員非課税世帯及び児童手当受給世帯に対し、世帯人員や子ども一人に対し1万円、公的年金受給者、児童扶養手当等の受給者に対しては1万5千円を支給するもので、当該年度決算では合計3億6883万4千円が支出されております。政府は、「消費税引き上げに際し低所得者に与える影響に鑑み適切な配慮を行うため」としていますが、年収300万円未満の年間消費税負担額は、税率5%では9万5882円であったものが、税率8%では15万3411円と5万7529円の負担増、年収300万円以上400万円未満では、税率5%では11万8146円であったものが、税率8%では18万9033円と7万888円の負担増となったことが試算されており(みずほ総合研究所)、「適切な配慮」にはほど遠いものでしかありません。しかも、この措置を決定した閣議決定の表題は、「好循環実現のための経済対策」ですから、まさにブラックジョークとしか言いようがありません。

 よって、同事業について、その意図及び目的、その効果について認めがたいものであり、認定に反対するものであります。

マイナンバー関係経費に反対
次に、マイナンバー法施行に伴う関係経費についてであります。

 マイナンバー制度は、官と民における、社会保障や税分野の様々な個人データを、生涯変わらない一つのマイナンバーで管理し、情報提供ネットワークシステムを通じて名寄せ・統合して利用することを可能とするものでありますが、これにより国民の自己情報コントロール権は完全に奪われ、アメリカを始め諸外国において深刻な社会問題化している大量の情報漏えいや、なりすましなどのプライバシー侵害の大きなリスクを高めることになります。

 また、本年6月に発覚した日本年金機構における約125万件におよぶ情報漏えい事件は、ヒューマンエラーによって一瞬にして莫大な個人情報の流出が行われることを明らかにしたといえ、こうした政府系機関でさえ、このありさまであるわけですから、さらに中小零細企業個人事業主まで、このネットワークに加わることとなれば、そのリスクは計り知れないものがあります。

 よって、マイナンバー法施行に伴う関係経費の支出については認めることはできませんので、認定に反対するものであります。

「大企業は高落札、地元業者は低落札」の改善を
次に、入札制度についてであります。

 当該決算年度の工事契約実績調書によると、加重平均の落札率は89.20%。このうち、最低価格落札者が複数となり、抽選により落札者が決定された入札件数は100件中18件。一方、予定価格1億円以上の工事では、依然として高落札率による落札が続いております。

 特に、四ツ谷配水管理所非常用発電設備更新工事では、予定価格1億4304万6千円に対し、契約金額1億4290万3440円で落札率99.9%となっております。この工事は、工事担当課である水道施設課のミスにより本来分離発注すべきものを合併工事として入札を行ったものの、契約検査課の指摘により入札中止となりました。そして、再度の入札では分離発注となったため予定価格が1億5000万円以下となり、低入札価格調査制度の適用からはずれ、平均額変動型最低制限価格制度が適用されました。その結果は東芝が79.95%、明電舎が80.00%の低落札価格であったもの、入札参加3社の平均値の90%が最低制限価格となったため、低落札価格の2社は失格となり、99.9%の三菱電機が落札するという結果になっております。

 もし、低入札価格調査制度が適用され、調査の結果、品質が担保されるならば、契約金額は約3000万円ほど安くなり、財政支出の節約となったわけであり、制度改善を行わず、高値落札を放置していたことは容認することはできません。市外大企業は高値落札、地元業者は低落札という状況を改善するためにも、(まるでアベノミクスのようでありますが)低入札価格調査制度の適用要件をせめて1億円以上の工事とするよう、改めて求めるものであります。

 次に、当該決算年度24億4883万円と前年度比4億7538万円、+24%となった投資的経費についてでありますが、このうち、小学校・中学校普通教室等空調整備事業、南東部総合交通対策事業、小田急相模原駅西地区市街地再開発事業への支出については、理由はすでに明らかにしておりますので、この場では繰り返しませんが、政策的妥当性に疑義がありますので反対するものであります。次に、当該決算年度24億4883万円と前年度比4億7538万円、+24%となった投資的経費についてでありますが、このうち、小学校・中学校普通教室等空調整備事業、南東部総合交通対策事業、小田急相模原駅西地区市街地再開発事業への支出については、理由はすでに明らかにしておりますので、この場では繰り返しませんが、政策的妥当性に疑義がありますので反対するものであります。

一般会計から特別会計への繰入金問題について

 次に、国民健康保険事業、公共下水道事業、介護保険事業、後期高齢者医療保険事業の各特別会計の決算についてでありますが、それぞれの固有の問題点については、これまで明らかにしてきておりますので、反対理由はこの場では省略いたしますが、共通する問題として、一般会計会計からの繰入金について、言及しておきたいと思います。

 当該決算年度では、国民健康保険事業には18億2613万円、公共下水道事業には7億1847万円、介護保険事業には11億1442万円、後期高齢者医療保険事業には1億8687万円、合計38億4589万円ほど一般会計から繰り入れが行われています。

 こうした一般会計からの繰入金についてここ数年、これらの繰入金自体があたかも問題であるかのような主張が散見されますが、これは各特別会計の制度設計に対する無理解からくる暴論としか言いようがありません。この四つの特別会計のうち、公共下水道事業の除く三つの特別会計は制度上、一般会計からの繰入金が法律で定められております。特に、介護保険事業、後期高齢者医療保険事業における繰入金は、地方自治体が独自に判断することができる裁量的余地はありません。一般会計繰入金について、本市が政策的に判断することができるのは当該決算年度で言えば、国民健康保険事業の法定外繰入金11億4345万円と公共下水道事業の基準外繰入金2億9985万円の合計14億4330万円であり、各特別会計の繰入金を合算することには何の意味もありません。

 一般会計からの特別会計への繰入金についての政策的議論をするならば、国保会計の法定外繰入金、下水道会計の基準外繰入金を特定し、その多寡や政策的妥当性について、歴史的経過や制度の趣旨を踏まえて議論すべきであることを指摘しておくものであります。

マイナンバー法と個人条例保護条例のポリシーの違い

 次に議案第58号の2015年度一般会計補正予算についてでありますが、マイナンバー法施行に伴う関係予算について、法施行に反対する立場から、反対をするものであります。

 次に、議案第59号座間市個人情報保護条例の一部を改正する条例に反対する討論を行います。

 今回の条例の一部改正は、マイナンバー法の施行に伴い、法で規定されている特定個人情報が、座間市個人情報保護条例で規定する個人情報の取り扱いと異なるため、条例に特定個人情報の取り扱いを規定するためのものと、説明がされております。

 本市の個人情報保護条例もそうですが、国の個人情報保護法より先行する形で条例化されてきた地方自治体の個人情報保護条例では、個人情報について、「本人収集」の原則、「目的外利用」並びに「提供」の制限、「オンライン」結合の禁止が定められ、行政が取得した個人情報について、その取扱いと保護、並びに自己情報の開示、訂正及び利用停止などの措置が規定されてきました。

 しかし、マイナンバー法では、本人の同意を得ることなく情報のひも付が行われ、情報提供について本人の拒否権はなく、情報提供ネットワークを通じてオンライン結合されることとなり、これまでの条例で謳われてきた個人情報の保護の基本的ポリシーは、マイナンバー法により、まさに換骨奪胎されることとなるわけであります。

 マイナンバー法は、個人の自己情報コントロール権を侵害し、地方自治体には選択権がないといった点では、地方自治を否定するものでもあります。よって、そうしたマイナンバー法の施行に基づく条例改正には反対をするとともに、市長並びに当局においては、マイナンバー制度自体を抜本的に見直すよう、国に対し要請するよう求めるものであります。

 次に、議案第60号座間市非常勤の職員の公務災害補償等に関する条例等の一部を改正する条例については、妥当なものとして賛成をするものであります。

 次に、議案第61号座間市手数料条例の一部を改正する条例、議案第62号座間市印鑑条例の一部を改正する条例については、マイナンバー法施行に伴う措置であり、反対をするものであります。

下水道使用料値上げに反対

 次に、議案第63号座間市下水道条例の一部を改正する条例に反対する討論を行います。

 本条例の一部改正は、下水道使用料の基本使用料を777円から815円へ、従量使用料の水量区分を水道料金と同一として、平均改定率16.02%の値上げを行うものとなっております。そして、使用料値上げの理由として当局は、「現状では、必要な経費を使用料収入で賄うことができず、一般会計からの繰入金により収支の均衡を保っていること」などをあげております。また、この一般会計からの繰入金について当局は「公共下水道が普及したことの便宜を享受できない市民の税金が下水道事業に投入されることは、税負担の公平性から問題がある」とも主張しております。

 しかし、当該決算年度7億1847万2千円の繰入金のうち公債費対象繰入金は6億2394万円、残りの9453万円は管理経費と雨水管整備事業に充てられております。この9453万円の管理経費と雨水管整備は、公費を充当することが原則となっておりますので、繰入金の問題は発生しません。では、繰入金の大半を占める公債費対象繰入金についてですが、このうち公費で賄うべき雨水処理分と本来は私費(使用料)で賄うべき汚水処理分の区分は明らかではありませんが、6億2394万円のうち実に98.6%を占める6億1503万6千円は、一般会計で歳入されております都市計画税が充当されております。ご承知のとおり都市計画税は、市街化区域内のインフラ整備を目的とした目的税であり、市街化区域内の土地及び家屋に課税されるものであります。よって、下水道整備区域である市街化区域の方々が負担する都市計画税で、繰入金は賄われており、税負担の不公平は基本的には生じることがありません。

 問題は、当該決算年度で言えば、2億9985万円ほどの基準外繰入金を使用料で負担すべきか、税で負担すべきかということであります。このことの議論は、地方自治の問題であり、住民自治の問題だと言えます。しかし、今回の値上げに際して、市民参加での議論はどれほど行われたのでしょうか。市長からの諮問を受け、下水道事業運営審議会では審議は行われましたが、パブリックコメントや市民説明会の開催など、その他の市民参加の手法は行われませんでした。

 当局は、パブリックコメント等を行わなかったことについて、市民参加推進条例第5条(2)「市税の賦課徴収その他金銭の徴収に関するもの」は、「市民参加の対象事項としないことができる」という規定をもって、その理由としておりますが、条例の規定は「できる」規定であり、除外規定ではありませんので、当局の判断で実行することは可能なわけであります。また、値上げの審議を行った下水道事業運営審議会は市民参加推進条例に規定されている「審議会等手続き」に基づくものであり、下水道使用料の値上げは、市民参加手続きの対象事項としてしているわけであります。故に市民参加推進条例を規定をもってパブリックコメント等その他の市民参加の手法をとらなかったことを合理化できるものではありません。

 以上のように、多様な市民参加の手法により多くの市民の声を聴くことなく、法的拘束力のない国の推奨単価のみを基準した今回の下水道使用料値上げについて、賛成することはできません。このことは、国の行政官僚と市民、どちらに顔を向けて行政事務を行っているのかが問われる問題でもあります。下水道使用料値上げに至るプロセスについて、当局の猛省を促すものであります。

 次に、議案第64号座間市営住宅条例の一部を改正する条例については、妥当なものとして賛成をするものであります。

 次に、議案第65号座間市住民基本台帳カードの利用に関する条例を廃止する条例についてですが、住民基本台帳ネットワークシステムに反対してきた立場から賛成をするものであります。

 次に、議案第65号から議案第77号の道路認定、変更、廃止に関する議案については、概ね妥当なものとして賛成をするものであります。

消費税率ゼロ税率について
 次に、陳情第37号保険診療への消費税率ゼロ税率課税(免税措置)とする意見提出を求める陳情について、賛成の討論を行います。

 まず、私の税制に関する基本的な考えを申し上げます。消費税などの間接税と所得税などの直接税の割合については、税制民主主義の立場から直接税である所得税を重視し、総合累進課税のもと所得に応じた公平な累進課税を強化すべきであると考えております。なお、先ほどマイナンバー制度の問題を指摘しましたが、マイナンバーように網羅的に個人情報をひも付するような制度ではなく、特に高額所得者の所得や莫大な金融資産をもつ者の金融資産を的確に把握し、適正な課税を課すための納税者番号制度こそが求められていると考える次第であります。よって、こうした所得税の累進性の強化と金融資産1億円以上の者への高累進性の金融資産課税を行い、消費税は一部の贅沢品に限ったかつて物品税に戻すべきだと思っております。

 そうした基本的な考えから、消費税10%を前提とした「軽減税率」については、庶民増税を隠ぺいする弥縫策として反対の立場ではありますが、陳情者の軽減税率は、与党協議での2%軽減などという子どもだましのものではなく、0%を求めており、消費税を物品税化する第一歩、すなわち医療分野のみならず、食料品を始めすべての生活必需品のゼロ税率につなげていくものとして、賛成をするものであります。

「安保法案関連法案の策定中止を求める陳情」について

 次に、陳情第39号安全保障関連法案の策定の中止を求める意見書の提出を求める陳情について、賛成の討論を行います。

 9月19日未明、憲法違反の集団的自衛権行使容認にもとづく安全保障関連法案が、参議院本会議で可決されたようであります。「ようであります」というのは、参議院本会議の前日の18日、自民党公明党などの政権与党は参議院特別委員会で「強行採決のような何か」を行なったからであります。鴻池委員長のもとに複数の者が駆け寄って防衛大名物の体育祭棒倒しの際の人間「かまくら」を作り、野党議員が入るのをブロック。その複数の者たちは、特別委員会の委員ではない自民党公明党の議員、さらには秘書ら議員ではないものも含まれていたとされています。

 委員会の議事録によれば、「発言する者多く、議場騒然、聴取不能」とのみ記され、採決が行われた記録は残っていません。そもそも、鴻池委員長による委員会の開会も宣言されていません。また、前日に横浜で行われた地方公聴会の報告も行われていません。予定されていた締めくくり総括質疑も行われていません。そして野党議員は、採決に参加もしておらず、野党議員の票決権の侵害を与党側は実力で行ったわけであります。よって、これは「強行採決」ですらなく、委員会採決なるものが有効であるはずがないのであります。

 以上の点から、今回の安保関連法案ついては、その採決の有効性に疑義がある以上、成立していないものと見るのが常識的であり、陳情の趣旨である「法案策定の中止」は、依然として有効なものとして、賛成をするものであります。

 次に、陳情第40号マイナンバー制度実施の中止または延期を求める国への意見書提出を求める陳情については、さきほど述べたとおり、マイナンバー法そのものに反対する立場から、賛成をするものであります。

 以上、ただ今議題となっております諸議案について、賛成並びに反対の討論を行って参りました。議員の皆様のご賛同を呼びかけ、討論を終わります。

「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」(2014年12月27日閣議決定)に関するレポート

■2014年12月27日に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」(以下 長期ビジョン)は、「地方が成長する力を取り戻し、急速に進む人口減少を克服する」という一文から始まっている。

■第2次安倍政権の政治的意図(「アベノミクスの恩恵が地方に回っていない」という批判回避と統一地方選挙を前にした集票効果)を除いて、示されている政策的意図のみで見るならば、基本的には人口減少への対応策(人口政策)であり、その手段としての「地方経済の活性化」という位置づけとなっている。

■「第1章人口問題に対する基本的認識」では、「1.人口減少時代の到来」「2.『人口減少』が経済社会に与える影響」「3.東京圏への人口集中」の3項目で構成されているが、現状評価としては基本的には異論はない。

■ところが、こうした現状認識のあとにいきなり「第2章 今後の基本的視点」として「1.人口減少問題に取り組む意義」「2.今後の基本的視点」と、「現状認識」からいきなり「今後の方向性」へ論旨が展開され、第1章で示された現状認識に対し、なぜこうした状況に陥ったのか、という分析・評価が決定的に欠けている。
■例えば、「若い男女が結婚し、子どもを持ちたいという希望は強い。18歳から34歳までの未婚者を対象とした意識調査では、男女とも『いずれ結婚するつもり』という人の割合は9割程度に達している。そして夫婦が予定する子ども数は2010年で2.07人であり、未婚者が希望する平均子ども数も男性で2.04人、女性で2.07人と2人を超えている。この水準は他の国の状況から見てもかなり高く、1980年代後半以降、今日までほぼ安定的に推移している」と分析する一方、「男性正社員の場合の有配偶者率は20代後半で32%、30代前半で約58%であるのに対して、非正規雇用の場合は20代後半で約13%、30代前半で約23%と、正社員の半分以下にとどまっている」と雇用形態に着目した比較的まっとうな現状分析をするものの、結論部分では「『相応の収入』や『安定的な雇用形態』、『やりがいのある仕事』といった『質』を重視した雇用の確保が大きな課題となる」と極めてあいまいな課題設定=「総括」となっている。

■若い世代の結婚・出産の希望が80年後半から『安定的に推移している』ものの、なぜそれがかなわないのか、それは正社員と非正規雇用者の有配偶者率でわかるように、派遣労働等、雇用形態の不安定化を促進する政策を法的にも政策的にも進めてきた結果によるものであることや、その政策が正しかったのか否か、という基本的な総括が示されていない。

■また、「的確な政策を展開し、官民あげて取り組めば、未来は開ける」という事例では、先進国の中で、いったん出生率が低下したものの回復しているフランス、スウエーデンを例示しているが、両国とも「手厚い家族支援策」、すなわち豊富な子ども手当(出生手当、基礎手当、子ども手当、看護手当、新学期手当etc)が現金給付されていることには着目せず、わが国のおいても民主党政権下で子ども手当が不完全とはいえ支給されるようになって以降、2009年1.37、2010年1.39、 2011年1.39、2012年1.41と合計特殊出生率が上昇したことをどのように分析・評価するのかといった総括が一切示されていない。さらに、国が策定したまち・ひと・しごと創生総合戦略の政策パッケージにおける子ども・子育て支援分野においては、現金給付による支援策は一切触れられていない。

■まさに典型的な「総括抜きの方針」であるが故に、「第3章目指すべき将来の方向」は、「1.『活力ある日本社会』の維持のために」で示されている「(1)人口減少に歯止めをかける」「(2)若い世代の希望が実現すると、出生率は1.8程度に向上する」「(3)人口減少に歯止めがかかると、2060年に1億人程度の人口が確保される」「(5)『人口の安定化』とともに『生産性の向上』が図られると、2050年代に実質GDP成長率は1.5%〜2%程度が維持される」という「目標」には、何の根拠も説得力もない。特に、「2020年に出生率=1.6程度、2030年に1.8程度まで向上し、2040年に人口置換水準(2.07)が達成されるケースを想定している」などは、数値上の願望を吐露しているにすぎない。

■目標が「願望」によってちりばめられているからこそ、「地方創生がもたらす日本社会の姿」という将来像は、「地域資源を活用した多様な地域社会の形成」だとか、「外部とのつながりによる新たな視点から活性化を図る」だとか、極めて理念的かつ抽象的なものとなっており、その具体的道のりについては、「今後、地方自治体は、国の長期ビジョンや総合戦略を勘案し、都道府県及び市町村総合戦略を策定することが求められている」として、「この取組によって、地方で『しごと』がつくられ、それが『ひと』を呼び、さらに『ひと』が『しごと』を呼び込む好循環が確立されるならば、『まち』は活力を取り戻し、人々が安心して働き、希望通り結婚し、子どもを産み育てるができる地域社会が実現することとなる」と結論付けていることについては、正直言って、唖然とさせられる。つまり、「国、都道府県、市町村が計画をたてて、それを実行すれば、実現できる」としか言っていないのである。

■改めて評価を概括すれば、
1)人口減少・高齢化社会となった現状の原因分析が明らかではないこと。
2)原因分析が明らかでないが故に、解決方策が抽象的・理念的なものにとどまっていること。
3)故に、目標値は願望値でしかないため、施策と目標値との相関関係が合理的に説明できない。

■一方、こうした「長期ビジョン」をもとに、都道府県及び市町村は、まち・ひと・しごと創生法に基づいて自治体版「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を2015年度中に策定することを求められている。これは、法的には「義務規定」ではなく「努力規定」であるが、おそらく国は「自治体版総合戦略を今年度中に策定しなければ、来年度以降、地方創生に係る交付金は交付しない」と言ってくるであろう。その結果、自治体版総合戦略は国の総合戦略同様、「おざなり」の総合戦略になる可能性が高い。

■まず、現段階では財源的裏付けが全くない。国の交付金の制度設計次第ということになる。故に、財源的裏付けのない戦略をたてたところで、国と同様に「抽象的」「理念的」なものにしかならない。これで、どうやって、「地方の創意工夫」を発揮しろというのか。

■また、地域の実情に応じた「人口ビジョン」や「総合戦略」が、わずか1年ほどでできあがると思っているのか。それができるのであれば、こんな状況に陥ってはいないだろう。

■国の長期ビジョン・総合戦略ー都道府県総合戦略ー市町村総合戦略という「上から下」への「計画」の押しつけ(縛り)と交付金(カネ)の流れ、これが現状の「地方の衰退」を招いたのではないか。

■「長期ビジョン」の巻頭部分は、先に引用した通り「地方が成長する力を取り戻し、急速に進む人口減少を克服する」の一文から始まっているが、「おわりに」を題された巻末言は、象徴的である。それは、「我々が目指す方向と逆行するような厳しい現実に直面することを覚悟しておかねばならない。しかし、決して悲観論陥ってはならない。目の前の現象に一喜一憂することではなく、将来をしっかり視野に入れ、ぶれることなく着実に取り組んでいくことが、我々に課せられた責務である」と。

■避けられない「少子・超高齢化社会」にどう向き合うのか、というテーマは極めて重要なことである。しかし、引用した巻末言から伺えるのは、「展望なき精神論」。これでは、地方は厳しい現実の中で、将来を展望することは不可能である。

2015年第一回定例会 討論

 それではただ上程されております議案のうち、議案第22号「座間市議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例」及び議案第24号「座間市常勤特別職の給与に関する条例の一部を改正する条例」に反対する討論を行います。 

市長、副市長、教育長、議員、3.1%〜3.7%の給料・報酬月額のアップ
 両条例の改正案では、常勤特別職については、市長の給料月額を現行89万3千円から92万1千円へ、+3.1%、額にして2万8千円引き上げ、副市長は72万1千円から74万4千円へ、+3.2%、額にして2万3千円引き上げ、教育長は67万5千円から69万3千円へ、+2.7%、額にして1万8000円引き上げるものであります。また、非常勤特別職である市議会議員については、議長の報酬月額を現行52万2千円から54万1千円へ +3.6%、額にして1万9000円引き上げ、副議長は43万4000円から45万円へ、+3.7% 額にして1万6000円引き上げ、議員は40万4000円から41万9000円へ、+3.7% 額にして1万5000円引き上げるものであります。

常勤特別職の給料減額措置をなぜやめたのか?!

 ご承知のとおり、これまで市長などの常勤特別職については、星野前市長以来行われてきた減額措置を遠藤市長も踏襲されてこられました。具体的には、市長給料で見ていくならば、2008年12月から2012年3月までは、星野前市長と同様に10%カットを行い9万円の減額。2012年4月から2013年9月までは、市長が座間市緊急財政対策本部を設置したこともあり、15%カットで13万4千円の減額。2013年10月から2014年3月までは、震災復興財源の一部として国家公務員の給与削減が行われ、それに同調して地方公務員の給与削減を行ったこともあり、20%カットで17万9000円の減額を行っていました。

 こうした減額措置は、条例本則の給料表に対し、附則で期限を区切っていたものでありますが、2014年、すなわち昨年4月以降は、附則において新たに減額措置を明記しておらず、条例本則の給料表どおり支払われております。

 しかし、先日の一般質問において私が、市長などの常勤特別職の給料が昨年4月以降条例本則通りに戻っていたことついて、その理由を質したところ、市長は「1年毎に期限を区切って減額措置を行ってきた」「期限が切れたので戻させていただいた」と答えるのみで、なぜ減額措置を打ち切ったのか、明確な説明はありませんでした。

 その際にも申し上げましたが、前市長も、遠藤市長も、給料カットを行う際には、市の財政状況を考慮しカットした旨を説明されたおられました。しかし、給料カットを打ち切る際には、「ただ期限が切れたから」では、説得力に乏しく十分な説明とは言えません。

 減額措置のうち、震災復興名目の地方公務員の給与削減は、国の同調圧力によるものであり、私も承服しがたいものであると反対をしましたが、一般職公務員の給料が元の給料に戻った際に、なぜ市長などの常勤特別職は、元の給料を飛び越えて、条例本則上の給料に戻す、すなわち15%の減額措置を打ち切ったのでしょうか。その結果、今回の給料アップ率と額は、本則上の給料月額からは市長は+3.1%、額にして+2万8000円ということになりますが、15%カット段階を基準とするならば、+21.3%、額にして+16万2千円のアップということになります。こうした市長給料の大幅引き上げをどのように市民に説明するのか、市長には問われていると思う次第であります。

今回の特別職の給料値上げの理由は何か?

 次に、今回の市長などの常勤特別職、非常勤特別職の市議会議員の給料引き上げの理由は一体何かということでありますが、これも私の一般質問に対し市長は、「座間市特別職報酬等審議会の答申を尊重した」としか答えておられません。

 では、特別職報酬等審議会は、どのような答申を出しているかと言えば、「今回の答申については、適正な報酬等の水準について様々な角度から慎重な審議を行い、結論を得たものある」としておりますが、答申書には明確な理由、基準等は何も示されておりません。

 そこで、公開されている審議会の議事録を見ると、かろうじて理由らしき意見としては、
・「16年も据え置かれているのは、如何なものか」
・「一般職とのバランスというのも不透明な部分はあるけれど、ここで整合性がとれていくだろう」
・「近隣他市との水準について、職員、特別職も含めて士気を高く持っていただくための水準は必要でないか」
・「座間市の財政状況が危機的であるいうのであればそういう話はないが、見通しが持てるよということであるならば、幅はともかく少し上げていくという方向性でよろしいと思います」

というようなものがありました。

 これらのご意見からすると、今回の給料引き上げの判断基準は、

・1997年以来16年ぶりという期間の問題
・一般職とのバランスという問題
・近隣他市とのバランスという問題
・市の財政状況の問題

という四点ということになります。

「16年ぶり」「一般職、近隣他市とのバランス」「市の財政状況」具体的に検証していくと

 それでは、この四つのポイントについて具体的に見て参りますと、まず、「1997年以来16年ぶりという期間の問題」についてであります。

 1997年というのは、みなさんもご承知かと思いますが、消費税が3%から5%に引き上げられた年であります。この消費税増税が引きがねとなり、消費が落ち込み、景気が後退し、国の税収はこれ以降消費税を増税したにも関わらず、一度も1997年の税収を上回っておりません。

 一方、この年の座間市の市民税収は、個人市民税が約80億5500万円、法人市民税が約10億8000万円で、合計約91億3500万円でありました。一方、確定している数値として2013年度決算では、個人市民税は約75億5000万円、法人市民税は約9億3800万円で、合計84億8800万円。1997年当時より市民税収は、約6億4700万円の減収となっております。しかも、この16年間の間に、老齢者控除の廃止、市民税の10%フラット課税や年少扶養控除の廃止など様々な増税策が行われたにもかかわらずということを忘れてはなりません。

 こうしたことからするならば、16年間常勤特別職や市議会議員の給料が据え置かれてきたことは、ある意味で当然と言えるのではないかと思います。

 次に、「一般職とのバランスの問題」についてですが、一般職職員の給料は、本市では人事院勧告に準拠して給料表の改訂が行われておりますが、昨年末の改訂では−1.84%と3年間の減給保障があるものの、引き下げられております。とはいっても、一般職の場合は人事院勧告で、過去15年間の間に引き上げられた年もあったではないかと言われる方もいらっしゃるかもしれません。確かに過去15年間でプラス改訂が6回ありますが、マイナス改定も6回あり、過去15年間の累積改定率では、−1.49%とトータルではマイナスとなっているわけであります。

 こうしたことからすると、一般職とのバランスを考えると、今回の常勤特別職・市議会議員の給料・報酬の引き上げは、バランスに欠けると言わざるを得ません。

 次に、「近隣他市とのバランス」についてですが、まず、条例本則上の市長の給料月額について県央7市を比較してみますと、1位が伊勢原市長の96万6千円、2位が厚木市長の95万8千円、3位が大和市長の94万3千円、4位が秦野市長の93万8千円、5位が海老名市長の93万円、6位が改定後の座間市長の92万1千円、7位が綾瀬市長の91万1千円となり、改定後の座間市長は県央7市では6番目ということになります。

 しかし、条例本則上ではなく、他市の市長が行っている減額措置後の給料で見てみますと、1位が大和市長の94万3千円(減額措置なし)、2位が海老名市長の93万円(減額措置なし)、3位が改定後の座間市長の92万1千円、4位が秦野市長の79万7千300円(減額措置あり)、5位が綾瀬市長の71万4224円(減額措置あり)、6位が伊勢原市長の67万6200円(減額措置あり)、7位が厚木市長の67万600円(減額措置あり)となり、実質的な給料額では本市の市長は県央7市中3番目に高い給料となります。

 こうしたことからすると、「近隣他市とのバランス」という点からみても、適切な引き上げとは言えないのではないかと思います。

 次に、本市の財政状況の問題についてですが、確かに本市は、2010年度〜2013年度まで4年連続で実質単年度収支は黒字決算となり、留保資金である財政調整基金は、2009年度1億5000万円程度であったものが、2014年度末残高が約13億3000万円となるなど、この二つの指標上は、好転していると言えるでしょう。

 では、県央七市の財政状況と比較してみますと、財政の弾力性を示す経常収支比率は、本市は県央七市中2位となっておりますが、地方交付税の交付団体か不交付団体かの指標となる財政力指数は、本市は県央七市中最下位の7位。標準財政規模に対する実質収支額の割合を示す実質収支比率は、本市は県央七市中6位。歳入に対する実質的な公債費(借金)の比率を示す実質公債費比率は、本市は県央七市中6位と、近隣他市の財政指標と比べて、本市の財政状況が良好とは言い難い状況であります。

引き上げの合理的根拠は見いだせない

 以上、特別職報酬等審議会の議論の中で出されておりました四つの論点について、具体的に検討して参りましたが、どれをとっても、現時点において、市長など常勤特別職、非常勤特別職である市議会議員の給料・報酬を引き上げる合理的根拠は見出すことはできません。

 最後に、私の意見を申し上げるならば、市長や市議会議員などの給料・報酬の見直しについて、なぜ、来年度以降に行わなかったのかという点であります。さきほどを申し上げましたように、2014年度人事院勧告に準拠した本市一般職員の給料表は、−1.84%とマイナス改定となっております。

 人事院勧告は、実質上民間大手企業の賃金水準によって上下しますので、アベノミクスによる大手企業の春闘妥結状況を見るならば、おそらく、2015年度の人事院勧告はプラス改訂となることでしょう。ならば、民間の実質賃金がアップし、一般職職員の給料水準が引き上げられた後に、市長や市議会議員の給料・報酬が見直されるなら、ある意味で合理的な判断根拠となり得るのではないでしょうか。そうした状況を待つことなく、まずは市長や市議会議員の給料・報酬を引き上げるというのは、「話の順序がちがう」としか言いようがありません。

 県央七市のうち、この時期に引き上げを行う市は座間市以外ありません。では、なぜ、来年ではなく今年なのか、ということでありますが、みなさんご承知のとおり、来年は本市の市長選挙、市議会議員選挙の年であります。来年に引き上げを行った場合は、選挙直前の引き上げとなりますから、市民感情を考慮するならば、「今年のうちに済ませておかなければならない」といったような邪念が、今回の提案の動機となっているとまでは申しませんが、「今年」と言う時期についても、不可解さをぬぐいきれません。

 よって私は、議案第22号「座間市議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例」及び議案第24号「座間市常勤特別職の給与に関する条例の一部を改正する条例」に反対するものであり、他の議員の皆様におかれましても、ご賛同いただけるよう訴えるものであります。
 
以上で、討論を終わります。

2014年第三回定例会 討論

 それではただ今議題となっております諸議案について、賛成及び反対の討論を行います。

2013年度一般会計決算の認定について

 それではまず、議案第38号の2013年度一般会計決算の認定についてでありますが、反対の討論を行います。なお、反対討論の理由説明でありますので、どうしても問題点の指摘のみとなりますが、ご容赦いただきたいと思います。

 まず、財政運営全般に関わる点についてですが、今決算の特徴について当局は、「歳出では義務的経費である人件費、公債費及び扶助費の減少並びに不用額をあえて残すなど厳正な予算執行管理により抑制された」としておりますが、それはほんとうにそうなのでしょうか。

 人件費についてみて参りますと、総額71億3587万8千円円は、確かに前年度比1億8714万円3千円の減となっておりますが、このうち、約1億6241万9千円、つまりそのほとんどは、国からの不当な圧力に屈し削減したものであります。すなわち、「国家公務員の給与を2ヵ年にわたって7.8%削減し、その財源を東日本大震災の復興財源等に充てるので、地方自治体も同様に削減し、防災などの事業に充てなさい。その分の地方交付税はあらかじめ減額する」という、なんとも理不尽な要求によるものであります。この給与削減の同調圧力が、地方自治に対する不当な介入であり、かつ震災復興ともなんら関係のないものであることなどは、すでに指摘してきたことであり繰り返しませんが、こうした意味も意義もない給与削減によって、「歳出が抑制された」と言われても到底容認することはできません。

 また、市債の償還額の減少を政策的効果のごとく示している点はなはな疑問であります。ご承知のとおり、公債費は過去の起債の償還計画に沿ったものであり、当年度の財政運営で政策的に増減できるものでありません。

 また、扶助費について、総額106億2454万円は、前年度に比べ7297万円程度の減になっており、主なところでは生活保護法定扶助費約9900万円、児童手当支給事業費が約6800万円の減となっております。確かに、生活保護医療扶助においては、ジェネリック医薬品の推奨などを通じた減額効果は認められますが、国の生活保護基準の改訂による影響額が約2300万、児童手当の減は、対象児童数の減と所得制限の通年実施によるものですから、この二つを合わせると約9000万円で、これだけで扶助費減額の主な理由を説明することができるわけであります。

 さらに、「不用額をあえて残す」という近年当局が多用するフレーズですありますが、地方自治法第2条第14項「地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」という規定からすれば、ある意味当たり前の事務執行と言えます。また、当該決算年度における100万円以上の不用額約6億3700万円の内訳を見ていくならば、その最大のものは歳出予算執行の見込みが減となったもので、約4億7500万円。次いで入札執行残が約1億1200万円。一方職員の経費削減によるものは約4999万円ほどで、その中にはリサイクルセンター管理運営事業費、リサイクルプラザ管理運営事業費、市民文化会館管理運営事業費など指定管理者の経費削減によるものが合計約2000万円ほどあり、職員の実質的な経費削減額は約3000万円弱となるわけであります。

 これを多いと見るか、少ないと見るか、評価の分かれるところでありましょう。職員の経費削減努力には敬意を表するものでありますが、ことさらその実績を強調するほどのものではなく、地方自治法に定められている財政原則に従って、着実な事務執行を望むものであります。また、さらに申し上げるならば、不用額の最大となっている歳出予算執行の見込みの減、約4億7500万円については、先ほど述べました形式的決算の意義からすれば、予算計上の的確性が問われるものとも言えますので、注意を促すものであります。

 以上、当局が「厳正な予算執行管理により抑制された」とするものについて具体的に見て参りましたが、予算執行管理によるもの、すなわち自律的な対応によるものよりも、現実には国の制度改正や対象人数の減など客観的条件の変化によるものの方が多く、今決算結果をもたらした政策的対応としては、国の圧力による人件費の削減が主なものとしか見て取れず、まず財政運営全体に対する評価において、今決算の認定に賛成できません。

 次に、いくつかの個別的な事業について指摘をして参りますが、以下の分類で進めて参ります。一つは、「政策的妥当性に疑義があるもの」。二つ目は、「費用対効果が認められないもの」。三つ目は「事業の優先性に疑義があるもの」。四つ目は「事業執行にあたっての手続きに疑義があるもの」であります。

 はじめに、政策的妥当性に疑義がある事業ですが、まず、自衛隊宿舎建設を前提とした基地返還跡地利用促進事業については、その妥当性を認めることはできません。すでに、本年第二回定例会における討論において、歴史的経過を追って問題点を指摘をしておりますので、ここでは繰り返しませんが、陸上自衛隊中央即応集団司令部が陸上総隊へ改編されることが予想され、その所在地もキャンプ座間以外の所となることが有力視されている中では、近い将来「この自衛隊宿舎は一体何のため?」ということになりかねません。市長におかれましては、座間市の市是である基地恒久化解消、整理・縮小・全面返還に向けて全力を傾注されるよう、改めて求めておくものであります。

 次に、政策的妥当性の疑義がある事業として、市道4号線改良事業について指摘をして参ります。同事業は、第4次座間市総合計画戦略プロジェクトの一つにもなっているもので、将来的には都市計画道路座間南林間線市役所付近から県道42号線(相模原茅ケ崎線)までの1.6kmを県施行によって整備し、当面県道51号線(入谷バイパス)から0.4kmを座間市が整備するというものですが、以下の点で問題があると思っております。

 一つは、緊急対策として県道51号線から0.4kmを整備することについてですが、これが完成したとしてもここから市役所北側交差点までの整備はメドが付いていません。よってボトルネック状態となりかえって渋滞が発生する可能性があること。また二つ目として、この路線は県立谷戸山公園に隣接しており、環境保全及び景観保全上、特別の配慮を払う必要があると思われること。などの課題があります。

 さらに三つ目として当局は、この路線については圏央道厚木インターへのアクセス道路としての位置づけをしているようですが、果たしてその位置付けは正しいのでしょうか。当局が県施行、県道整備として要望している県道42号線から県道51号線に至る区間は、本市が長年にわたって多額の財政資金を投入し、地元住民の方々と協力しながら進めてきた鈴鹿・長宿街並み整備事業地域のど真ん中を通ることになり、良好な街並み環境が幅員20m級の道路によって完全に分断されることになります。それこそ、これまで本市が進めてきた都市計画との整合性が問われることは間違いありません。
 都市計画道路座間南林間線は、いずれにしても南林間駅前で行き止まりとなり、通過交通を処理する広域道路としては適しておりませんし、ご承知のとおり座間南林間線は現状でも朝夕渋滞が発生しております。こうした状況の中で、圏央道へのアクセス道路として位置付けるならば、更なる通過交通の市内流入をもたらし、生活環境の悪化を招くことが懸念されます。本市にとって必要なことは、いかに通過交通の市内流入を抑制するかという観点からの道路行政だと思います。以上の点から、市道4号線改良事業の事業執行については認めることはできません。

 次に、政策的妥当性に疑義がある事業として、当該決算年度において進められた環境基本計画についても指摘をしておきます。これもこれまで何度か指摘してきたことであり、詳しく繰り返しませんが、問題は、同計画において地球温暖化防止、低炭素社会実現を謳いながら、CO2削減量や再生可能エネルギー推進関連施策について、目標値が設定されていないことであります。これは環境基本計画においても、戦略プロジェクトについても同様であり、早急に是正するよう求めるものであります。

 次に、「費用対効果が認められない事業」についてでありますが、神奈川県市町村電子自治体共同運営事業費、住民票等コンビニ交付事業費、コンビニ・ペイジー収納関係経費については費用対効果が見込めないものと言わざるをえません。

 個別的な内容を見て参りますと、電子申請については2010年度以降、負担金、委託料などの関係経費は、年間約600万円から当該年度年間約76万円と大きく減少しておりますが、総申請件数のうち、最多は職員採用試験の応募申請275件、次いで粗大ごみ収集申し込みが207件、水道開始届が132件、職員採用試験履歴書送付が101件となっております。一方住民票の写し交付は、今年も0件、印鑑証明はわずか4件となっており、本来期待された電子申請の役割は果たしていません。ランニングコストの総額は、大きく減少したものの依然として1件あたりの経費は約900円、しかも総申請件数の約半分が職員採用試験関係という実態は、費用対効果から、さらにその必要性自体も問われるものであると言わざるを得ません。

 コンビニ交付事業では、当該決算年度住民票、印鑑証明の総交付数12万2786件に対し、コンビニ交付数は3404件で、総交付数に対する割合は2.7%と、昨年に比べ0.4ポイント増えているものの、初期投資額を除いたランニングコストだけで計算しても1枚あたりの経費は1824円で、窓口交付の約3.5倍、自動交付機の約7倍と、依然として高コストとなっており、適切な予算執行とは認められません。

 コンビニ・ペイジー収納に関しては、当該決算年度は本年度からの実施にあたっての準備経費として、約2000万円が執行されております。本年度5月からのスタートで、その実績値は明らかではありませんが、おそらく収納率の向上には寄与しないと思われます。徴税経費と収納率との関係からすれば、この間取り組まれてきた国税、県税OBの方々の活用をなど正規職員たる徴税吏員の適切な配置こそが、収納率向上にとっては最も効率的であると思いますので、コンビニ・ペイジー収納については、適切な予算執行とは認められません。

 次に、「事業の優先性に疑義のある事業」についてでありますが、当該決算年度で最大のものは、小中学校エアコン設置事業であります。この事業についても、すでに何回となく事業の優先性の問題については指摘をしておりますので、ここではその詳細については省略いたしますが、あえて一言だけ申し上げておきます。

 それは、行政事務の計画的推進という観点からするならば、公共施設利活用指針の策定、それに基づいての学校施設の長寿命化及び建て替えの判断と計画策定、その際に防災・減災体制の強化から、全小中学校への太陽光発電整備と蓄電池の設置を優先し、その後にエアコン設置というのが、本来の姿ではなかったかというのが私の考えであります。こうすれば、学校施設整備における二重投資を回避し、バックアップ電源を確保することによる防災・減災の効果も高く、かつエアコン設置後の電力料金の軽減という点からも、最も効率的な学校施設整備となったと思いますので、極めて残念であります。

 次に「事業執行にあたっての手続きに疑義がある事業」についてでありますが、事業名で申し上げるならば高座清掃施設組合運営事業費に関わるものであります。本市も構成団体の一つである高座清掃施設組合は、現在2019年度からの本格稼働を目指して、新炉建設の準備が進められておりますが、当該決算年度においても、本年度においても、新しい炉の方式、及び設計、建設、運営などについて施設整備検討委員会において決定されていないにもかかわらず、当該決算年度末である2014年3月に、高座清掃施設組合議会において、2015年度から2038年度までの限度額445億848万円の債務負担行為が提案され、可決しております。しかも、この債務負担行為は、DBО方式(Design Build Operate)によるものとされております。DBO方式とは「設計・建設・維持管理運営を民間事業者に一括発注する公設民間方式の一つで、民間から提供されるサービスに応じて組合が資金を負担します。民間が行う資金調達に比べ資金調達コストが低いためトータルコストが縮減されます」と施設組合は説明をしているようですが、先に述べましたように新しい炉の方式も、設計も、運営方法も決まっていない段階で、なぜこうした巨額の債務負担行為が決定されるのか、しかも議会をすんなり通過してしまうのか、驚きを禁じ得ないとともに、率直に言って理解できません。この債務負担行為は施設組合を構成する本市の分担金、すなわち本市の財政負担を規定するものでもあります。よって、こうした手続きを到底容認することはできませんし、施設整備の実施計画なく財政計画もない段階での債務負担行為設定は、明らかに手続き上の問題があると言わざるをえません。
 当局に対しては、債務負担行為の撤回を施設組合において求めること、さらには高座清掃施設組合議会のみならず、構成各市の議会や市民の間でも十分な議論ができるよう説明責任を果すこと、以上の点を強く求めるものであります。

 以上、2013年度の一般会計決算について、その評価及び指摘事項を申し上げて参りましたが、これをもって決算認定に反対する理由の説明として参りますので、議員の皆様に置かれましてはご賛同いただきますよう呼びかけるものであります。

国民健康保険事業特別会計決算の認定について

 次に、議案第39号座間市国民健康保険事業特別会計決算の認定について、反対の討論を行います。

 当該決算年度は、保険税率の改訂、すなわち値上げが行われた年でありました。改訂の主な内容は、平等割は据え置き、資産割を廃止した上で、医療給付分、後期高齢者支援金分、介護納付金分の所得割、均等割の税率及び額をアップするというもので、所得割は約19%、均等割は約10アップ、全体では調定額ベースで6.91%増、額にして1億8231万9千円の増を見込んだものでありました。

 そのうえで、決算ベースで税率改定前の2012年度と改定後の2013年度を比較すると、保険税収の増は1億3576万5千円。当該決算年度当初予算額と決算額との差額はマイナス約2億円、補正後の予算現額との差額でもマイナス約1億円となっております。

 収納率を見ると、現年分が87.2%、滞納繰越分が12.4%と共に0.3ポイント上昇するにとどまっていること。被保険者世帯は0.2%増、被保険者数は、マイナス1.3%減となっていることなどの条件を加味したとしても、これらが前年度との比較において、大きな影響を及ぼしているとは考えられず、税率改定を行ったにもかかわらず、保険税収が見込みより約5000万円ほど落ち込んでいるということは、おそらく所得割のベースとなる被保険者の所得が減少していると、言えるのではないかと思われます。

 一方、歳出を見て参りますと、保険給付費は97億352万1千円で、前年度より額にして約2億200万円の増加、率にして2.3%の増加となっております。歳入歳出における他の費目では当局の財政計画のアップ率とは違いが生じているものの、この保険給付費だけは見事財政計画どおり2.3%の増加となっております。当該決算年度では、前期高齢者納付金が6.0%増とみていたものが、3.7%にとどまったこと、介護納付金も7.0%増とみていたものが、6.2%となったことなどが歳出面では助かったと言え、その結果、歳入不足を補う法定外繰入金が前年度とほぼ同額の水準(+1.8%)となったわけであります。

 以上、国保会計の2013年度の決算数値を値上げの評価抜きに客観的に分析してみましたが、問題は、国保会計のこの現状をどう評価するのかということであります。値上げをすれど、保険税収は思ったほど伸びないという現実は、先ほども述べましたように、被保険者の所得の低下、すなわち担税力の低下と収納率の停滞が主な要因であると言えます。今回、当局は被保険者の担税力の低下という現実を十分に知りながら、値上げを行いました。一方、収納率に関しては、財政健全化計画策定時に現年分90%、滞納繰越分30%で計算し、かつ目標にも設定しておきながら、わずか1年でその目標を放棄すると同時に値上げをおこなったことは、行政の事務執行として、順序が逆であるしか言いようがありません。

 よって、当該決算年度の認定については反対するものでありますし、当局においては、保険給付費が増え続ける中、機械的な税率改定を繰り返すのではなく、まずは、公言した収納率の目標、現年分90%、滞納繰越分30%を達成されることを求めるとともに、そのことなしの値上げはありえないことを申し上げておきたいと思います。

 次に、議案第40号の公共下水道事業特別会計、議案第41号の介護保険事業特別会計、議案第42号の後期高齢者医療保険事業特別会計の決算認定について反対をするものでありますが、その理由については、当該決算年度の当初予算段階でも指摘しておりますので、ここでは省略いたします。

水道事業会計決算の認定について

 次に、議案第43号の水道事業会計決算の認定について、反対の討論を行います。

 決算審査にあたって提出された2013年度給水実績表によると、行政区域内人口、給水区域内人口、給水人口は、全て減少に転じております。ここ数年間の特徴は、微増ながらも給水人口等は増えながらも給水量は低下するというものでしたが、当該年度初めて給水人口等も、給水量も減となっております。
この傾向はおそらく長期にわたって続くものと考えられ、本格的な人口減少時代における水道事業運営のあり方が問われることは間違いありません。

 こうした中で、本市水道事業経営上の最大の問題が、宮が瀬系県水受水費であることは言を俟ちません。当該決算年度の受水費は約4億6000万円、給水原価の27.52%を占めております。この受水費は、基本料金と従量料金とで構成されておりますが、受水費総額約4億6000万円に対し、基本料金だけで約4億2800万円と受水費の93%を占めております。ご承知の通り、基本料金は受水量に関係なく支払いを義務付けられているものあり、従量料金は受水量に応じて支払う料金でありますが、宮が瀬系県水の特徴は、実際に使う水の量に関係なく支払が義務付けられている基本料金がそのほとんどを占めるということであります。

 当該決算年度を見て見るならば、地下水を含めた1日平均給水量は3万6933㎥、このうち県水は8910㎥で約24%、当年度は水源井戸の耐震工事により通常の15%と比べ比率が高くなっておりますが、それでも、その程度のものであります。しかし、宮が瀬系受水費の基本料金の計算では、3万7300㎥、すなわち1日平均水量をも上回る水量分の料金を支払っております。これは、基本料金の計算が、1978年、宮が瀬ダムに関わる基本計画が県議会において可決された直後に締結された神奈川県企業庁座間市との基本協定において配分水量が3万7300㎥を定められていることを根拠としていることによるものであります。

 つまり、本市は宮が瀬系県水を一滴も使わないとしても、現状では、年間約4億2000万円の支払いを強制されているわけであります。宮が瀬系県水の受水が開始されたのは、2001年。当該決算年度まで13年が経過しておりますが、この間の受水費の総額は約56億9000万円、もし基本料金が使った水の量に単価を掛けるものとすれば、その金額は約19億2000万円となり、一滴も使っていないにもかかわらず支払った料金の総額は、約37億7000万円にものぼるわけであります。まさに、「水に流した37億7000万円」であります。

 では、この法外な宮が瀬系県水受水費をいつまで払い続けなければならないのしょうか。都市環境常任委員会に審査において、こうした私の問いに対し、当局は明確な答弁をすることができませんでした。現状、宮が瀬系県水受水費基本料金の単価は、県企業庁もその構成団体の一つである神奈川県広域水道企業団の供給単価に基づいて設定されており、現状では宮が瀬ダム本体分が1立方あたり40.5円、宮が瀬2期工事の代替である寒川事業分が22.3円となっておりますが、これは本来の供給単価よりも安く設定されております。

 これは、広域水道企業団が、本来ならば総括原価方式により現金支出を伴わない減価償却費を含めるべきものを多額の減価償却費を総括減価に含めると、今以上に高い料金水準となることから、現金支出を伴う費用のみを計上するという資金ベースでの総括原価算定を行っているためであります。

 誤った水需要予測のもとに、全く無駄なダム建設を強行し、その多額な借入金返済と将来の施設維持・更新にとって必要な資金留保に窮し、その破綻を繰り延べしているとしか言いようがありません。
 こうしたことからすれば、この宮が瀬系県水の法外な料金設定は、おそらく今後何世代にもわたって、本市の水道事業並びに水道料金を支払う市民へ重い負担としてのしかかってくることは間違いありません。

 私は、本市水道事業経営上のまさにがん細胞となっている、宮が瀬系県水について、県企業庁との分水契約の見直しを含めた抜本的見直しを行わない限り、先の申し上げた人口減少時代における本市水道事業は立ち行かない、ということを申し上げ、水道事業会計決算認定の反対理由といたします。

2014年度一般会計補正予算について

 
 次に、議案第45号の2014年度の一般会計補正予算について、反対の討論を行います。

 主に2点について、反対の理由を説明いたします。一点目は、座間市土地開発公社に対する債務負担行為の設定についてであります。この債務負担行為の追加補正は、本市が県施行で整備を要望している都市計画道路座間南林間線の県道42号線から県道51号線までの区間の用地取得のためのものでありますが、さきほど一般会計決算の討論部分で申し上げましたように、都市計画上、鈴鹿長宿街並み環境事業との整合性が問われる施策であり、関係地権者をはじめ市民間での十分な議論が必要とされるものだと思う次第であります。また、本市が施行を要望している神奈川県の「みちづくり計画」でも、検討箇所となったばかりの区間であり、着工の具体的メドはたっておりません。こうした段階での土地開発公社による用地取得は、時期尚早であると考えるものであります。

 二点目は、民生費、社会福祉費、老人福祉費の「いきいき高齢者応援事業」を新規事業として追加する措置についてであります。私は、高齢者に敬意を払い、長寿をお祝いすることについては異存はありませんし、現行でも本市の事業としては「敬老祝金支給事業」があります。

 一方、今回のこの新規事業について、当局は「一定期間、介護保険サービスを利用しなかったあるいは長期入院をしなかった85歳以上の高齢者に対し、シルバー人材センター利用券などの報償費を支出する」と説明をされております。ここで問題となるのは、「介護保険サービスを利用しなかった」という基準であります。健康福祉常任委員会における審査で、私が「では、例えば介護認定において最重度の要介護5の判定の受けた方でも、家族介護により介護保険サービスを利用しなかった場合は、対象となるのか?」と質したところ、当局は「対象となる」とのことでありました。また、私が「これは介護保険サービスの利用抑制を奨励するのになりはしないか」という質疑に対しては、「そうしたことは考えていない」との答弁でありました。

 しかし、その基準において対象者を「介護保険サービスを利用しなかった高齢者」とするならば、行政が介護保険サービスの給付抑制を図り、家族介護を奨励していることになってしまいます。介護保険制度が始まった当時、旧厚生省はなんと説明をしていたかと言えば、「これからは介護の社会化。家族介護から社会全体で高齢者を介護する」「保険制度なので、これまでの『行政の措置』から『権利としての介護』となる」ということが繰り返し説明されておりました。

 ところが、高齢者数の増大により、介護保険給付費が大幅に増えてくると、「権利としての介護」はどこへやら、今度は給付抑制。要介護度の低い高齢者へのサービスを保険給付から除外し、市町村事業へ移行したりするなど「なるべく使わないでほしい」といわんばかりの姿勢に転換しています。

 そうした中で、この「いきいき高齢者応援事業」は、こうした国の給付抑制政策に乗っかり、「介護保険を使わない」ことを「美徳」とするようなものではないかと思えてなりませんので、その予算措置には反対をするものであります。

子ども子育て支援法関係条例について

 

 次に、議案第46号、議案第47号、議案第48号、議案第49号、議案第52号、議案第53号及び議案第54号の子ども子育て支援法関連の条例については、議案第52号座間市福祉事務所設置条例の一部を改正する条例については、妥当なものとして賛成をするものでありますが、その他の条例については反対をするものであります。

 以下、その理由を申し上げます。ここでは、あえて子ども子育て支援法そのものの妥当性については論じませんが、その是非は置くとしても法制定に伴う条例化措置として適正に欠けるものであると思います。子ども子育て支援法では、特定教育施設・保育施設及び特定地域型保育事業、家庭的保育事業、放課後児童健全育成事業の運営に関する基準については、国が定めた「従うべき基準」と「参酌基準」に沿って、市町村が条例で定めることを謳っております。

 ところが本市の条例案では、「運営に関する基準」を定める条例でありながら、条例には具体的な基準が書かれておらず、「趣旨」あるいは「一般原則」などの理念的部分しか条例で規定されておりません。一方、市町村の裁量的部分を多数含む具体的基準は、規則に委任されております。条例と規則との関係については、ご承知の通り条例は議会の議決事項であり、規則は議会の議決は必要とせず市長が定めるものであります。つまり、本市の条例案では、子ども子育て支援事業の具体的基準、しかも、これまで条例に明記されてきたものまで、条例から除外され、議決の対象とならない規則へ委任されているわけであります。

 まさに、地方自治が十分に発揮されるべきところが、議会の議決事項から外されており、到底認めることはできません。

 次に、児童ホームの運営費をこれまで所得に応じて月額2300円から6910円まで16段階の累進性がとられていたものを全て一律月額4700円に改めることについては、強く反対するものであります。今定例会を通じての議論で、この応能負担から応益負担へと変えることの意義について、結局、当局から説得力ある説明はありませんでした。あったのは、「直営で学童保育を行っている県内各市が全て応益負担だから」という答えだけであります。

 今回の改悪で、所得の低い層ほどその負担は重くなり最大年間2万8800円の負担増、所得の高い人層ほど負担軽減される(最大年間2万6520円の負担減)というアンバランスをどう保護者に説明しようとするのでしょうか。また、当局は、減免規定を新たに設けるとしておりますが、当局の想定している減免策を行ったとしても、給与所得100万円強の層でも年間28800円の負担増となる人々が存在することになるという事実をどう考えるのでしょうか。

 こうした改悪を含んだ条例案は、議会の良識によって否決されるべきものと考えますので、議員の皆様のご賛同を訴えるものであります。

その他の条例について

 

 次に、議案第50号中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整理に関する条例については、妥当なものとして賛成をするものであります。
 
 次に、議案第51号市税条例の一部を改正する条例についてでありますが、軽自動車や原付二輪車を狙い撃ちにし、まるでTPP交渉におけるアメリカの軽自動車たたきの露払いになるような法律改悪は認められません。よって、同条例案に反対するものであります。

 次に、議案第55号から議案62号までの道路認定議案、並びに議案62号の工事請負契約締結に関する議案については、概ね妥当なものとして賛成をするものであります。

請願・陳情について

 次に、請願第3号「義務教育に係る国による財源確保と、35人以下学級の着実な実施・進行を図り、教育の機会均等と水準の維持・向上並びに教育の保障に関する請願」については、請願者の請願理由、に賛同するものであり、賛成をするものであります。

 次に、陳情第27号「ウイルス性肝炎患者に対する支援を求める陳情」についてでありますが、陳情者が述べているように国の責任は重大であります。わが国には、B型肝炎患者が150万人、C型肝炎患者が200万人いるとされ、その多くが輸血や血液製剤の投与、不潔な医療行為によって引き起こされたものであります。

 B型肝炎については、集団予防接種による感染事例について、最高裁判決で国の責任が認められてところであり、C型肝炎についは、1970年代末には、血液製剤による感染が大きな原因であることは知り得たにもかかわらず、血液製剤の販売・使用を中止しなかった国と製薬メーカーは、厳しく断罪されなければなりません。

 よって、国に対してウイルス性肝炎患者に対する十分な支援策を講じるよう求める本陳情に賛成するものであります。

 以上で、ただ今議題をなっております議案並びに請願・陳情について、賛成及び反対の討論を終わります。