2017年第2回定例会 一般質問

ただ今より、一般質問を行います。

1.入札制度について
1)「市内業者」に厳しい座間市の入札参加要件

さて、一般質問の第一点目は、「入札制度について」であります。座間市工事請負に関する条件付き一般競争入札事務取扱基準では、条件付き一般競争入札の参加要件は、予定価格の金額に応じて、地域区分及び格付け等級ごとに定められております。

本市の土木一式工事の参加要件を例にとってみるならば、予定価格1500万円未満の工事の地域区分は、「第1地域」及び「第2地域」となっております。「第1地域」とは「本店所在地が市内」の業者であり、第2地域とは「本店所在地が市外で、市内に受任者」、すなわち支店を設けている業者のことを言います。

予定価格1500万円以上1億円未満の工事の地域区分は、「第1地域」「第2地域」に加えて「第3地域」までとなっております。「第3地域」とは、「本店所在地が海老名市、綾瀬市大和市厚木市愛川町清川村にある」業者が、入札参加することができるというものです。なお、予定価格の金額区分は、経営審査に基づいた業者の格付け等級(A〜Dの4段階)によって、今、申し上げたものより細かく区分されておりますが、今回は地域区分について焦点をあてて指摘をするために、格付け等級による区分は省略しております。

では、土木一式工事の近隣他市の参加要件はどうなっているのでしょうか。資料1をご覧ください。海老名市の場合は、1億円未満の工事はすべて市内本店の業者しか入札に参加することができません。1億円以上1億3千万円未満の工事になるとやっと、市内本店とあわせて市内支店の業者が参加することができるいうものになっております。綾瀬市の場合は、市内本店のみしか入札参加できない金額はさらに大きく1億5000万円未満の工事となっており、大和市も同様であります。厚木市の場合は、すべての工事において、原則市内本店の業者しか入札に参加できず、特殊工事や大型工事などで市内事業者のみでは入札参加者が確保されないことが予想される場合にのみ市内限定ではなく、地域を拡大しているとのことであります。こうした近隣他市の入札参加要件は、おそらく地元業者の受注機会の確保という観点からの措置と考えられます。

以上、ご覧になっておわかりのとおり、本市と近隣他市とでは入札参加の地域区分による基準が、大きく異なっております。簡単に言えば、本市の市内業者は、本市発注の工事の入札にあたって近隣の市外業者とのし烈な競争にさらされておりますが、一方で本市の市内業者が近隣他市の入札に参加するのは、実質上不可能に近い状態になっているということであります。

これは、1998年本市において市内業者による談合事件が発覚したことから、談合防止、適正な競争という観点で、近隣他市と比べて、地元業者にとっては「厳しい入札参加要件」を課しているものと思われますが、その後、電子入札制度が導入され、かつ予定価格2000万円未満の工事においては、最低制限価格とほぼ同額の入札価格に多くの業者が集中し、くじ引きにより落札者が決定しているという現状からすれば、また、近隣他市との均衡を図るという点からすれば、「第1地域」=「市内本店」限定の区分を設けることや、「第1地域」「第2地域」の予定価格区分を引き上げるなど、入札参加要件の見直しを進めていくべきだと考えますが、当局の現状評価及び見直しの考えについて所見を求めるものであります。

2.上下水道局庁舎問題について

次に、一般質問の第二点目は、「上下水道局庁舎問題について」であります。この問題について私は、昨年6月の一般質問、本年3月の一般質問及び予算決算常任委員会都市環境分科会において、当局に不明な点を質して参りましたが、率直に申し上げて、今回、PPP・リース方式を採用したことの妥当性においても、また、その意思決定過程においても、不可解な点が数多く見受けられました。そこで、今回の一般質問では、再度、不明な点を質して参りたいと思いますが、本市にとっては、初めてのPPP(官民連携事業)の取り組みでもありますので、今後に向け、しっかりとした教訓を導き出していければと思います。よって、当局におかれましては、明快かつ誠実な答弁を期待するものであります。

1)事業の概要及び経過
ではまず、改めて事業の概要及び経過を振り返ってみたいと思います。この上下水道局庁舎等整備事業は、本市では初めてのPPP(Public Private Partnership)官民連携事業であります。本事業は、座間市上下水道局が(最初の起案時は上下水道部ですが)、市庁舎に隣接する市有地に商業施設及び水道料金お客様センターを併設する上下水道局庁舎の設計・建設・維持管理を、一括して民間事業者に発注し、上下水道局は20年間リース料を支払い、その後、建物は上下水道局へ譲渡されるというものであります。

2015年度に当時の上下水道部から「日水コン」というコンサルタント会社へ「民間資金等による公共施設整備支援業務委託」が行われ、同社より「座間市上下水道局庁舎、導入可能性調査業務報告書」が提出されております。この報告書を受けて2016年2月、当時の上下水道部は「リース方式による一括発注が可能である」として、「プロポーザル方式による業者選定の準備を進めます」との回議書を提出し、市長の決裁が行われております。この段階で、まず庁内的な意思決定が行われていることになります。

その後、2016年3月には本事業に対する民間事業者の意見やアイデアを取り入れいることを目的とした「民間事業者との対話」が実施されております。そして、5月には「(仮称)座間市上下水道局庁舎等整備事業実施方針」が公表されました。8月には議会において20年間で総額5億2260万6千円の「債務負担行為」が議決された後に、同じく8月に「募集要項」及び「要求水準書」が公告されました。しかし、募集期間中に応募事業者はなく、公募は不調に終わり、2016年11月に新たな「募集要項」及び「要求水準書」が公告され、今回契約に至った大和リース株式会社1社が応募。2017年1月に「座間市上下水道局庁舎等整備事業に係わる公募型プロポーザル選定委員会」で同社が優先交渉権者と確定され、2月に同社と上下水道局との間で「譲渡特約付賃貸借契約書」が締結されております。

以上が、本事業の概要及び経過でありますが、今回の一般質問では、大きく二つの観点、一つは「PPP・リース方式選択の妥当性について」、もう一つは「本事業の推進過程」特に意思決定過程について、検証してみたいと思います。

2)PPP・リース方式選択の妥当性について

なぜ、2018年4月開庁?

まず、「PPP・リース方式選択の妥当性について」でありますが、2015年度に実施された「座間市上下水道局庁舎 導入可能性調査業務 報告書」によると、調査開始段階において、「事業スケジュール」について、次のような記述があります。

「平成30年4月までに新庁舎での営業を開始したいという市の方針に対し、公設方式やPFI方式では時間的余裕がない」「公設・公営の場合、実施設計及び建設工事に約3年かかるため、スケジュールに見合わない」

としていますが、これはいわば当たり前の話であって、新庁舎での業務開始を2018年(H30年)4月とすれば、それだけで公設・公営方式やPFI方式は自動的に選択肢から外れることを意味します。さらに「公設・公営方式ではスケジュールに見合わない」とのことでありますが、その違いはわずか1年であります。この「1年の短縮」にどれほどの意味があるのでしょうか?2018年4月に業務開始しなければならない、特段の理由があるのでしょうか?2015年の導入可能性調査段階で、「2018年(H30年)4月開庁」とした理由について、まずは説明を求めるものであります。

想定利益率は適正だったのか?
次に、リース方式選択の妥当性を検証する重要な論点として、事業フレームの変更や上下水道局が事業者に求める要求水準の度重なる変更があります。資料2をご覧ください。これは、2015年導入可能性調査報告書におけるリース方式による事業スキームであります。このスキームでは、例示されているコンビニエンスストアなど商業施設の賃借料は、事業者へ収入されるものの、上下水道局が事業者へ支払うリース料と相殺され、局側の負担が削減されるというものであります。

次に資料3、資料4、資料5をご覧ください。これは、導入可能性調査報告書における公設・公営方式とリース方式とのコスト比較で、資料3は公設・公営方式の試算、資料4はリース方式で民間事業者の一括発注等により事業費が12%削減された場合の試算、資料5は事業費が17%削減された場合の試算であります。

ご覧になればおわかりのとおり、事業費が12%削減の場合、上下水道局が支払うコストは、20年間で4億242万7千円。公設・公営方式のコストは4億243万9千円。その差はわずか1万2千円で、ほとんど変わりません。ところが報告書では、この比較(1万2千円の違い)について、「総事業費削減効果はあることが確認された」と記されております。一方、事業費が17%削減された場合の方は、事業費の削減率を増やすだけではなく、商業施設の賃借料収入を3倍以上引き上げ試算しております。その結果出てきたのが、上下水道局の20年間の実質コストは2億4000万円、年間1200万円、というもので、現在の市役所庁舎使用料と変わらないという大変「夢のような」プランでありました。これを上下水道局長は、昨年6月議会において、事業費削減効果として説明をしていたわけであります。のちほどご覧いただきますが、ちなみに、今回の契約に至った大和リースの事業提案書では、総事業費は、削減どころか約12%公設公営方式より増加しております。

さて、ここで、注目していただきたいのは、リース方式の場合の「支出」項目に記載されている「リース費用」という費目です。これは、工事費等施設整備費の10%を「想定利益率」として、額としては事業費12%削減の試算では2697万4千円が、17%削減の試算では2564万9千円が計上されております。これは、20年間の事業者利益、有体にいえば事業者の取り分と考えられますが、年間にすると約128万円〜135万円ほどであります。わずかこれだけの「事業者利益」で、民間事業者がこの事業に参入してくるとお考えだったのでしょうか?ちなみに、その妥当性はともかく、今回契約をおこなった大和リースの事業者提案書では事業利益は20年間で2億円、年間1000万円となっております。

そこでお聞きするものでありますが、導入可能性調査報告書の事業スキームで想定されている事業者利益とは、「リース費用」の項目に計上されている20年間で「2697万4千円」又は「2564万9千円」と理解してよいのでしょうか?また、もしそうだとすれば、この事業者利益の想定は適切かつ現実的なものだったのでしょうか?説明を求めるものであります。

事業フレームの変更はなぜ?

次に、事業フレームの変更内容についてお聞きして参ります。この導入可能性調査段階での事業フレームは、2016年3月「民間事業者等の皆様との『対話』実施要領」、2016年5月「(仮称)座間市上下水道局庁舎等整備事業 実施方針」までは変わっておらず、資料2のように、上下水道局は事業者に対しリース費用を支払い、商業施設賃借料は事業者に収入されるものの、上下水道局が支払うリース料と相殺され、これにより上下水道局の費用負担が軽減されるというものでありました。

資料6ご覧ください。ところが、2016年8月の債務負担行為の議決後に公告された「募集要項」及び2016年11月に再公告された「募集要項」では、商業施設賃借料と上下水道局が事業者に支払うリース料が相殺されるものではないという形に変更されております。これはおそらく、導入可能性調査段階での事業フレームでは、適正な事業者利益を見込むことができないと判断し、商業施設賃借料の全てを事業者利益として見込むことも可能としたうえで、できることならば全てを事業者利益とせず、多少はリース費用から差し引いてもらればという願望をも込めて、事業フレームを変更したものと考えられますが、改めて事業フレームを変更した理由について、説明を求めるものであります。

また、本年3月の第一回定例会において上下水道局長は、「私どもにとって有利なのものであれば、当然実施方針や事業スキームを変更することがある。また、逆に何か支障とか困難なことがあれば、最善の対応を私どもはまかされている」と答弁されておられますが、では、この事業スキームの変更は、局側にとって有利な事業スキームだったのでしょうか?それとも「困難なことに対する最善の策」だったのでしょうか?説明を求めるものであります。

要求水準(駐車場の配置)の変更はなぜ?

次に、「要求水準」の変更について、お聞きします。上下水道庁舎に併設されるコンビニ等の商業施設については、駐車場の確保がその収益性に大きく影響してくると思われますが、駐車場の配置条件は次のように変更されております。資料7をご覧ください。

これは、2015年の導入可能性調査報告書に記載されている配置図ですが、ご覧のとおり駐車場は建物の東側に9台分が確保されております。さらに、2016年5月に公表された「実施方針」でも、「敷地内には9台以上の駐車スペースを確保することとし、(中略) また駐車場への進入については、東側道路からの進入とする」と明記されております。これは、私が本年3月議会の一般質問で指摘した内容と同じであり、適切な駐車場台数の確保という点からも、また、交通安全対策という点からも妥当な案であります。ちなみに、この質問時には私は導入可能性調査報告書を入手しておりませんでしたが、まあ、ふつうに考えれば、極めて常識的な考え方だと言えると思います。

これが、2016年8月公告時の「要求水準書」では、「敷地内には、外来者用の駐車スペースを確保する。(中略) 東側道路からの進入とする」と東側道路からの進入は残されたものの、駐車台数は明示されなくなりました。さらに、2016年11月の「要求水準書」では、「敷地内に外来者用の駐車スペースを確保」とだけになり、進入経路の指定も行われなくなりました。その結果、大和リースの事業提案書では、台数は身障者用駐車スペースを含んで5台分、進入経路は交通安全上問題が多いと思われる北側道路からの進入となっているわけであります。

これはおそらく、コンビニ等の収益性からも、交通安全上からも、東側道路からの進入で、駐車台数を最大限確保する施設配置が最適であると認識しつつも、これを要求水準とすれば、既存の擁壁の撤去、土地の造成、新たな擁壁の築造などの整備費が重荷となり、事業者の事業利益を確保できないのでないかという点から、要求水準が緩和されたと思われますが、駐車場の配置条件が変更されてきたことについて、その理由の説明を求めるものであります。

公設公営の方が安い
次に、リース方式選択の妥当性を検証する上で、最も重要な論点となる公設・公営方式とリース方式とのコスト比較について、改めて議論したいと思います。資料8をご覧ください。これは、昨年8月の債務負担行為議決前に当局が公設公営方式とリース方式とのコスト比較を再計算したものと、大和リースの事業提案書を合わせた表であります。

当局の見解によれば、リース方式の場合の上下水道局の負担額は20年間で5億2260万6千円で、公設・公営方式の場合の5億5922万9千円と比べて、3662万3千円ほど安くなり、リース方式の方が有利であるとのことでありました。しかし、公設・公営方式の当局の試算における上下水道局の負担額5億5922万9千円は、施設整備費やメンテナンス費用等の総事業費の合計額であって、自ら試算しているお客様センター賃借料5966万4千円と商業施設賃借料6079万4千円が差し引かれておらず、これらを総事業費から差し引くと、公設・公営方式の場合の上下水道局の負担額は4億3877万1千円となり、リース方式より8383万5千円ほど安いということになります。

これについて当局は、リース方式の事業フレームが変更となり、賃借料収入とリース料が相殺されないフレームに変わったため、公設・公営方式の場合も総事業費から賃借料を差し引かないとおっしゃっておられますが、率直にいって理解不能であります。当たり前の話ではありますが、施設整備とメンテナス等において同一条件のもとで比較するわけですから、公設・公営方式の場合は商業施設などを併設する施設建設をしたとしても、その賃借料は収入されないと想定して比較するのは明らかに間違っております。公設・公営方式の場合、なぜ賃借料を総事業費から差し引かないのか?改めて説明を求めるものであります。

お客様センターの賃借料は誰が払うのか

次に、お客様センター賃借料について、お聞きして参ります。資料8の表をご覧いただければおわかりのように、お客様センター賃借料は当局の試算では20年間で5966万4千円であったものが、大和リースの事業提案書では1億7107万2千円と3倍近く膨れ上がっております。では、この1億7107万2千円は一体誰が実質上負担するのか、と言う点について考えてみたいと思います。

現在、上下水道局は株式会社東計電算と水道料金及び下水道料金徴収等業務委託契約を締結し、東計電算は「水道料金お客様センター」を市役所近くの賃貸ビルにおいて開設しております。この業務委託の「業務仕様書」において「事務所借上げに係わる経費」は、受託者=東計電算が負担する経費として明記されておりますが、上水道局が同委託業務にあたって作成した「業務委託積算内訳書」では、事務所家賃月額30万円、水光熱費月額8万円が計上されております。再び、資料8の表をご覧ください。お客様センター賃借料の試算では、公設・公営方式、リース方式どちらも20年間で5966万4千円、月額24万8600円と想定されておりますが、これは現行の委託料の内訳書に示されている月額30万円より少ない額として見積もられております。しかし、大和リースの事業提案書では3倍近く賃借料は引き上げられことになります。

ではこの賃借料を実際は誰が負担することとなるのかという点ですが、今回の大和リースとの契約書を見て参りますと、第4条(賃借料及び支払方法)の第10項ではお客様センターが支払う賃借料は大和リースと別途契約する旨が規定されております。つまり、形式上といいますか、契約上は市の受託業者が支払うということを定めたものであります。次に、第11項では平成30年開業時においては、大和リースが提案する費用でお客様センター受託事業者と契約する旨が定めらております。これは、おそらく大和リースが事業提案書で示した年額賃料ではなく、大和リースと受託事業者との間で任意に設定される賃借料だと思われます。(おそらく現行のどおり) なぜなら、受託事業者からすれば現在の委託料の含まれている事務所賃料分では賄うことができず、もし上下水道局の支払う委託料を増やして対応しようとするならば、受託業者との契約はすでに2021年度までの長期契約が行われているため、変更契約をしなければならなくなるからです。さらに第12項では、お客様センター事業者が変更された場合、大和リースが事業提案書で示した賃借料を下回る場合は、上下水道局が負担することが定められております。これは、2021年度以降、受託事業者が変更された場合、委託料がどのような額になったとしても(入札によるものなので)賄えない分は、上下水道局が支払うこと、いわば債務保証が定められたものであります。

以上のことを整理すると、上下水道局庁舎における「お客様センター」賃借料は、契約上は受託業者が支払うこととなりますが、上下水道局が受託業者へ支払う委託料に賃借料分は含まれおり、さらに大和リースと受託事業者との契約において、事業提案書で示された額を下回った場合は、上下水道局が差額を支払うこととなるわけですから、実際上は上下水道局が負担するものと思われます。そこで、お聞きするものでありますが、お客様センター賃借料について、こうした理解でよろしいでしょうか?見解を伺うものであります。

2)事業の推進過程、意思決定過程の問題について

次に、今回のPPP・リース方式による上下水道局庁舎等整備事業を検証していく二つ目の観点、事業の推進過程、意思決定過程の問題について議論を進めて参りたいと思います。

本事業は、座間市で初めての官民連携事業であったわけでありますが、事業を進めるにあたって、PPP事業を実施する際の手続き及び庁内体制などを定めた規程やガイドライン等は整備されていたのでしょうか?まずは伺うものであります。

次に、本市では2006年12月に「民間活力有効利用指針」が策定され、2015年3月に改訂されております。改訂版では「民間活力有効利用の手法」の中にPPP事業が位置付けられました。また、改訂版では、「8選定にあたり」として、「担当課で民間活力の有効利用が可能と判断した事業については、財政課、企画政策課との調整後、行政改革推進委員会に諮ることとする」とあり、「民間活力有効利用予定事業採択フロー」が記されております。

資料9をご覧ください。これがフローチャートですが、では、上下水道局庁舎等整備事業は、この「民間活力有効利用予定事業採択フロー」に基づいて事業採択が行われたのでしょうか? 説明を求めるものであります。

また、2016年2月の段階で、導入可能性調査の結果をもとに、上下水道局庁舎等整備事業をPPP・リース方式で推進するという判断をされているようですが、この判断は、当時の上下水道部内の判断なのでしょうか、それとも政策会議や行政改革推進委員会等、全庁的な会議体における判断なのでしょうか?説明を求めるものであります。

次に、事業者の選定過程についてお聞きします。今回の公募型プロポーザルでは、座間市上下水道局庁舎等整備事業に係わる公募型プロポーザル選定委員会が組織され、大和リースが提出した事業提案書が審査されております。審査においては、事業計画、施設計画、維持管理計画、提案金額について、全体で25項目の評価基準に基づいて、各委員が5段階評価で評価点を記入する方法が取られております。本件の場合、評価基準点の満点130に対して選定委員の平均は77.8、得点率は58.81%でありました。100点満点にすると59点ぐらいだったということですね。選定委員8名の中で、最高の得点率は67.69%。最低は46.15%であったとのことであります。

本件の場合、応募事業者が1社であったため、評価基準点による相対評価は行うことができず、絶対評価となりますが、58.81%という低い得点率であっても優先交渉権者に決定されております。本件が、座間市で初めてのPPP事業方式による事業であったことを考えるならば、最低基準点を設け、事業内容の品質の確保に努めるべきであったと考えるところでありますが、最低基準点を設定しなかったのはなぜでしょうか。説明を求めるものであります。

次に、議会対応についてお聞きします。昨年6月議会での私の一般質問に対する局長答弁から8月議会の債務負担行為の議決時までに、本事業の事業スキームは、大きく変更されております。しかし、8月議会では議案提案にあたって、上下水道局より事業スキーム変更の説明は行われておりません。また、債務負担行為議決後も、8月公告時と11月再公告時では、さらに施設条件及び維持管理条件が変更されておりますが、議会への報告等はありませんでした。事業の発案から終結に至る全過程を通じて透明性が確保されることは、PPP事業の原則の一つではないでしょうか。こうした重要な変更については、適宜適切な議会等への報告が必要であったと考えるものですが、見解を伺うものであります。

3.水道事業の今後のあり方について

現在、国会に「水道法の一部を改正する法律案」が提出されております。会期切れを間近に控え、大幅な会期の延長がない限り今国会での成立は不可能と思われますが、改正の主な内容は、「1.関係者の責務の明確化」「2.広域連携の推進」「3.適切な資産管理の推進」「4.官民連携の推進」「5.指定給水工事事業者制度の改善」と説明されております。このうち、特に注目すべき点として、「1.関係者の責務の明確化」及び「2.広域連携の推進」については、「都道府県は水道事業者等との広域的連携を推進するよう努めなければならない」として、「努力義務」が課せられ、都道府県と関係市町村及び水道事業者等との「協議会設置」が定められております。旧厚生省時代から、国は水道事業の広域化を推奨してきた経緯がありますが、本法律案が今後成立するならば、「広域連携」「広域化=事業体の合併」等が加速する可能性があります。

また、「4.官民連携の推進」では、「地方公共団体が、水道事業者としての位置付けを維持しつつ、厚生労働大臣等の許可を受けて、水道施設に関する公共施設等運営権を民間事業者に設定できる仕組みを導入する」として、いわゆるコンセッション方式の導入を可能とするものとなっております。これは、国民の大切なライフラインである水道事業の運営を営利企業へ委ねるという水道民営化に道を拓くものと言えます。

そこで、企業管理者に伺うものでありますが、水道法の一部を改正する法律案」について、上下水道局の評価、問題意識、また懸念等あれば、お聞かせいただきたいと思います。また、本市の水道事業の今後のあり方として、「広域化=事業体の合併」やコンセッション方式について、どのようにお考えか、所見を伺いたいと思います。

以上、16項目にわたり質問致しました。明快な答弁を求め、一旦降壇致します。