2017年第1回定例会 討論(2018年度当初予算等について)

それではただ今議題となっております議案及び陳情について、賛成並びに反対の討論を行います。

 まず、議案第1号から議案第6号までの2017年度の一般会計、特別会計企業会計補正予算については、概ね妥当なものと判断し、賛成をするものであります。

 次に、議案第7号の2018年度の一般会計予算及び議案第8号の国民健康保険事業特別会計について反対の討論を行います。

新年度予算の特徴 土木費の大幅増、民生費・衛生費の減額

 2018年度の一般会計予算の総額は、407億2604万円で、前年度比マイナス1・3%となっております。これは、2017年度補正予算で、2018年度実施予定であった小中学校施設整備事業費2億3461万2千円を、国の補正予算による交付金の関係で、前倒しすることとなり、その分が当初予算から差し引かれていることによるもので、これを加えるとほぼ前年度並みの予算編成ということができます。その中で、目的別歳出の前年度との比較的大きな増減を見て参りますと、増額となっているのは、土木費が9億1136万8千円の増。総務費が2億4096万3千円の増となっており、減額では消防費が11億888万4千円の減、民生費が2億6412万3千円、衛生費が2億2452万3千円の減となっております。

 土木費の増は、主に小田急相模原駅前西地区市街地再開発事業において、公共床の取得、公共床内装工事、再開発組合への補助金などで約7億円、ペデストリアンデッキの設置工事で約3億5千万円、合計10億5千万円を支出することが大きな要因となっており、総務費の増は、職員給与費の増によるものとなっております。一方減額では、消防費の減は、新消防庁舎の完成に伴うものであります。民生費の減は、児童保育費や小児医療助成の中学生3年生までの拡充など増となったもののがあるものの、国民健康保険事業特別会計への繰出金が、約3億7千万円の減、生活保護扶助費が約2億7千万円の減となっていることなどによるものであります。衛生費の減は、主に高座清掃施設組合運営費負担金が約3億円の減となったことによるものであります。

 以上のことから、新年度予算の特徴は、土木費が25%増となる中で、国民健康保険事業特別会計への繰出金の減額と保険税の値上げなど低所得者に対する負担が強化されていることであると言えます。

 それでは、こうした特徴をもつ新年度予算について、反対の理由を述べて参りたいと思います。

小田急相模原駅前西地区再開発 「事業の採算性は支障がない」はずだったのに

 まず、土木費の増の主な要因となっている小田急相模原駅前西地区市街地再開発事業についてであります。本事業については、新年度当初予算において、再開発事業費として7億2427万7千円、上空横断施設(いわゆるペデストリアンデッキ)整備としてで3億7035万6千円、合計10億9463万3千円が計上されております。

 本事業は、市街地再開発事業の第一種事業、権利返還方式によって施行されているものであります。権利変換方式とは、土地の高度利用によって生み出される新たな床(保留床と呼ばれていますが)、これを新しい居住者や営業者などに売却し、事業費を捻出し、従前からの土地所有者に対しては従前資産の評価に見合う床(権利床と呼ばれていますが)、これを受け取ることができるという仕組みであります。つまり、保留床の売却が事業の採算性の担保するものであります。

 一方、この市街地再開発の第一種事業に対する地方自治体の関与としては、事業主体である市街地再開発組合への補助金の支出が一般的なものでありますが、90年代バブル崩壊以降に行われた市街地再開発においては、保留床の売却が思うようにいかず、地方自治体がやむを得ず保留床を税金で買い取り、なんとか事業のつじつまを合わせるといったような事態が数多く見受けられておりました。

 そうした中、長年にわたって事業が凍結状態であった本開発事業の再開にあたって、私は、2014年3月議会において本事業の採算性について質したところ、当時の都市部長の答弁は「すでに事業者が取得する床、いわゆる保留床の取得予定者として参加組合予定事業者が選定されていることから採算性は支障がないものと考えております」とのことでありました。

 しかしながら、商業棟の延べ床面積1951㎡のうち、店舗は1階部分のわずか481㎡のみで、商業棟の約25%にすぎません。一方、座間市の本来の権利床面積は147㎡にすぎないものを、その10倍にあたる1448㎡を約7億円で買い取るとこととなったわけであります。「事業の採算性に支障はない」という話は一体どこへいってしまったのでしょうか。

 さらに、設計費も含めれば約4億円近くとなるペデストリアンデッキ設置の妥当性についても指摘をしておかなければなりません。本来なら、ペデストリアンデッキは、駅と商業棟とを結ぶ集客動線として、また、隣接する相模原市域の再開発ビル商業施設等との回遊性を確保するために機能しなければならないもののはずですが、デッキが接続する商業棟3階には1階にしか店舗はなく、地表に降りた先にも商業ゾーンといえるような連続性はありません。あえて言うならば、昨年も指摘しましたが、高層階居住者の利便性確保のためのものであり、公益性が高いとは思えません。

 よって、以上の点から、小田急相模原駅前西地区市街地再開発事業に係る関係予算の支出に反対するものであります。

一般会計から国保会計への繰出金を大幅減額 国保税の大幅値上げ

 次に、前年度対比で大きな減額となった国民健康保険事業特別会計への繰出金についてであります。新年度、繰出金の予算計上は8億7527万5千円で、前年度より3億7270万3千円の減。このうち、法定外繰出金は、4億8245万7千円。前年度が8億8821万9千円ですから、法定外繰出金のみでは、3億9423万8千円、44.1%の大幅な減額となっております。

 この要因は、当初予算とともに本定例会に提案されております座間市国民健康保険税条例の一部改正により、調定額ベースで10・67%もの値上げを行ったことによるものであります。今回の保険税の値上げについて当局は、「国民健康保険の制度改革により、都道府県が財政運営の責任主体となり、国保税の課税総額については、県が決定する国民健康保険事業納付金をもとに算定するように変更されたため」とし、値上げとなった所得割、均等割、平等割の税率及び額は、「県が定める標準税率との乖離を段階的に解消していく」という旨の説明がされております。つまり、県が定める標準税率に合わせるため、一般会計からの法定外繰出金を最終的にはなくすことを目標とし、段階的に保険税を値上げするということであります。

 ご承知のとおり本市では、被保険者の担税力が低下している現状を考慮し、一般会計からの法定外繰出金により、国保会計の不足する財源を補塡し、国民健康保険事業の財政運営を図ってきました。これは、本市の国保加入者の所得状況からすれば、当たり前のことと言えます。本市の国保加入世帯の所得階層では、(これは2014年の統計しか当局からしめされておりませんが) 所得100万円以下が49%、所得200万円以下が72%と大半を占め、2015年度の基準総所得金額は、74万7962円で、アベノミクスの恩恵はどこへやらとばかりに、過去3年間連続して低下しつづけております。また、年齢構成においても60歳から74歳までの加入者が約半分と、高齢化が進んできております。

 こうした状況の中で、これまで本市は、国保加入者一人当たりの保険税、世帯あたりの保険税いずれも県内19市中最低に抑え、加入者一人当たりの法定外繰出金の額は県内19市中トップというように、県内他市との相対比較では、最も国保加入者の所得状況を考慮した財政運営を行ってきたわけであります。ところが、今回の税率改定では、国保制度の変更に伴い、ある意味これを奇貨として、本市が一般会計から国保会計への法定外繰出金ゼロに向けた道、すなわち段階的値上げの道を選択したことについて、厳しく批判をしておきたいと思います。厚生労働省も、当局も、よく「制度の持続可能性」という言葉を使い、国民負担を合理化しようとします。しかし、「人々のくらしの持続可能性」はどうなるのでしょうか。

 当局より、今回の保険税改定後のモデル世帯保険税の試算を出していただきましたが、この中で最も収入や所得に対する負担率が多くなるのは、医療分、後期高齢者支援分、介護分が発生する4人家族で、収入273万円、所得173万1千円の世帯です。この世帯の場合、現行保険税は年額23万7400円であったものが、改定後は26万5400円へ2万8000円の値上げとなり、最終目標である標準税率どおりとなると年額31万1300円と現行税額より年額7万3千円もの値上げとなります。この場合所得に対する負担率は、国保の負担率だけでも18.0%。となります。さらに、このモデル世帯のその他の所得税、市県民税、国民年金保険料をあわせた負担額は、私の試算では年額96万6710円となり、収入及び所得に対する負担率は、収入に対して35.4%、所得に対しては55.8%にものぼることとなります。

 こうした負担強化は、市民の担税力に見合うものなのでしょうか。この私の疑問に対して、当局は今定例会の議論においても正面から答えることはありませんでした。本定例会の審議でも明らかとなったように、本市から県への納付金は義務であっても、県が定める標準税率の採用は義務ではありません。故に、本市の保険料水準をどのくらいとするのか、国保財政への法定外繰出金をどのくらいとするのかは、本市の自主的な判断、すなわち自治の問題であります。よって、本市の国保被保険者の所得状況からすれば、さらに基準総所得金額が毎年低下している状況の中で、保険税の値上げ、法定外繰出金の減額は到底容認することはできません。

 また、こうした低所得者への負担強化は、結果として可処分所得を減少させ、さらに消費を縮小させ、景気に対して悪影響しか与えないということを申し上げておきたいと思います。

マイナンバーカード推進のために自動交付機を廃止

 次に、市民部所管の戸籍住民台帳管理経費及び住民票等コンビニ交付事業についてであります。新年度予算では、住民票、印鑑証明の自動交付機廃止に伴う経費が計上されております。これは、現在市役所庁舎内と小田急相模原駅駅ビル内に設置されております自動交付機を廃止しようとするものであります。当局は、廃止の理由として自動交付機の製造メーカーが製造を中止し、部品の供給ができなくなることと、マイナンバーカードによるコンビニ交付を推進するためと説明しております。
 しかし、新年度予算に計上された住民票手数料、印鑑証明手数料の交付見込み件数では、住民票の窓口交付が4万7440件で65.4%、自動交付機が2万1430件で29.6%に対しコンビニ交付は3620件で5.6%にすぎません。印鑑証明は、窓口交付が1万3410件で33.1%、自動交付機が2万4310件で60%に対し、コンビニ交付は2830件で7.0%にすぎません。 自動交付機とコンビニ交付では10倍近くの利用者数の違いがあります。

 また、新年度予算ベースでの一枚当たりの交付単価は、窓口交付が471円、自動交付機が61.5円に対し、コンビニ交付は2823円とこれもまた大きな開きがあります。

 このように利用者の数においても、一枚当たりの交付単価においても利用価値が高いことは明らかであるにもかかわらず、「マイナンバーカードの推進」という国策のために自動交付機が廃止されることは、到底容認することができません。よって、関係経費の支出に反対するものであります。

行政の意思形成過程の情報公開を

 次に、新年度予算の審議、審査を通じて明らかとなった行政事務の執行のあり方について指摘をしておきたいと思います。具体的には、行政の意思形成過程、すなわち審議・検討段階の情報公開及び情報提供についてであります。

 今定例会には、座間市立リサイクルプラザ条例の一部を改正する条例他、6本の公共施設の使用料改定に係る議案が提出されておりました。これらの公共施設の使用料改定は、今年度に改訂された「公共施設の使用料設定にあたっての基本方針」に基づいて見直しが行われたものでありますが、同基本方針に示されている使用料算定方法で算出された金額を用いた施設と用いなかった施設があります。

 私は、基本方針に示されている使用料算定方法で算出された金額を用いなかったことが問題だとは思っておりません。問題は、用いなかった施設について、算定方法で算出された金額がいくらであったのかということが、最終的には示されましたが、なかなか明らかにされなかったということであります。まず、総括質疑の前に当局からのヒアリングの際にもお聞きしましたが、明らかにできないということでありました。総括質疑でもお聞きしましたが、ここでもお答えいただけませんでした。一般質問でもお聞きしましたが、一問目ではお答えいただけず、三問目でやっとお答えいただいたという具合でありました。

 なぜ、ここまで検討段階の数字を明らかにすることに消極的なのか理解に苦しむ次第です。明らかとなった数字を見れば、現行使用料と算定使用料の乖離が著しいことは誰の目にも明らかであり、算定金額を採用しなかった理由を議会や市民に対して説明ができるはずであります。さらに気になる点としましては、改訂前の基本方針では、見直しにあたって市民に明確にすべき事項として、「算定の基本ルールに基づく算出金額」「上記に付加した要素がある場合は、その内容と理由」という項目が明記され、市民に対する説明責任を果たそうとする姿勢が伺えましたが、改訂後はこのことが削除されております。市長も担当部長も「この姿勢は変わっていない」と述べられておられましたが、再度基本方針に明記すべきであります。そして、この点のみならず、行政のすべての分野において、最大限、意思形成過程の情報公開、情報提供に努めるよう求めておくものであります。

 以上をもって、2018年度の一般会計予算及び国民健康保険事業特別会計予算に対する反対の討論と致します。

水道事業会計 営業収支の赤字の原因は県営水道からの受水費

 次に、議案第11号の水道事業会計予算について反対の討論を行います。新年度予算の第2条業務の予定量では、年間総給水量は、1319万8600㎥、一日平均給水量は3万6100㎥と定められております。さらに、当局から示された計画給水表によると一日最大給水量は4万900㎥。取水量は自己水源から一日3万2700㎥、県営水道からの受水は5300㎥となっており、県水のブレンド率は13.9%となっております。第3条収益的収入及び支出と予定損益計算書によると、営業損益では1億988万811円の営業損失が見込まれるものの、営業外損益特別損益では黒字が見込まれ、当年度純利益では約2億が計上されております。

 このように営業収支の赤字を営業外収支等でカバーし、全体では黒字となるという収支構造は、例年と変わっておりません。そして、営業収支の赤字の原因となっている要因が、かつてに比べると多少減額されているものの年間約4億3000万円にのぼる県水受水費であることも例年どおりであります。

 一方、本市の自己水源能力は、一日4万3900㎥ですから、一日平均給水量の3万6100㎥も、一日最大給水量の4万900㎥も十分にクリアしておりますので、自己水源だけで水道事業を運営することは可能であります。

 よって、私は以前より、神奈川県企業庁との分水契約を解除するか、、分水契約における日量3万7300㎥分の受水費ではなく、実際に使用する日量5300㎥分の受水費とするよう契約変更を行うよう求めて参りました。分水契約を解除した場合は年間約4億3000万円、使用水量のみの受水費とする場合は、年間約3億3000万円の公金の浪費が解消され、本市の水道事業は営業収支も毎年黒字となります。

 こうした措置をとることなく、いたずらに公金を浪費する水道事業会計予算に反対をするものであります。

公共施設使用料の値上げに反対 「受益者負担」はまちがい

 次に、ただ今議題となっております条例及びその他の議案についてでありますが、議案第13号、15号、16号、18号、21号、22号、23号、24号、25号、28号、32号、33号、34号、35号、36号、37号については概ね妥当である判断し、賛成し、その他の議案については反対をするものであります。なお、議案第14号の環境美化条例については、総括質疑でも指摘致しましたが、落書きの定義が立法技術上妥当性に欠くため、趣旨は認めるものの、採決にあたってはその態度を留保するものであります。

 このうち、公共施設の使用料改定に関する条例改正については、問題点を指摘しておきたいと思います。まず、これらの議案の提案説明において副市長は「受益者負担の原則に基づき、使用料の適正化を図るため」と述べられておられましたが、使用料について「受益者負担の原則」は、地方自治法をはじめ関係法令において、どこにもその規定はありません。

 例えば地方自治法第224条分担金においては「特に利益を受ける者から、その受益の限度において、分担金を徴収することができる」とあり、受益者負担の趣旨が示されておりますが、第225条使用料においては、「普通地方公共団体は、行政財産の使用又は公の施設の利用につき使用料を徴収できる」と定めれているだけで、いわゆる「受益者負担原則」なるものは記されておりません。よって、まず法令上根拠のない「受益者負担原則」をもとに、使用料の改定を行うのは適当ではないということであります。

 次に、負担の公平性についてであります。当局は「公共施設の使用料設定に当たっての基本方針」において、「公共施設を利用する市民と利用しない市民との負担の公平を図る観点から受益者である公共施設を利用する市民には応分の負担をしていただきます」と述べております。これは、受益者とそうでない者との違いがあるので、受益者に負担させるという論理であります。

 ところが、肝心の受益に、問題がつきまといます。まず、受益とは何かが極めて不明確なことです。例えば、私的企業が公共施設を利用する場合は、使用料はコストの一部であり、それによる便益は利益に反映され、計測が可能ですが、市民が社会教育活動や福祉活動などで利用する場合の受益は計測不可能であります。さらに、こうした活動は広い意味で公益性があり、その場合は使用する人々の受益というより、行政にとっての受益となる場合も多くあります。

 次に、負担の公平性についてですが、公共サービスには市民のだれでも利用できるようになっているものとそうではないものがあります。公共施設の利用は、特定の市民が排他的に利用しているのではなく、現在利用していない人々にも広く開かれています。一方、たとえば市営住宅などの場合は、当たり前ですが特定者によって排他的に利用されています。排他的に利用する場合は、受益は明確であり、負担の根拠となるでしょう。しかし、排他的利用ではない、誰でも、いつでも利用できる公共施設の場合、利用しない者との不公平が生じるなどということはありません。もし、市民の中にそのような意識があるとすれば、それば単なる感情にすぎません。行政は、施設の設置目的と公益性を説明するとともに、積極的な利用を促進し、そうした感情論を払しょくすることが本来の役目ではないでしょうか。

 以上、当局のいう受益者負担の原則と負担の公平性について、その問題を指摘しましたが、昨年改訂された「公共施設の使用料設定に当たっての基本方針」については、座間市のバブリックコメント史上最大の数の意見が寄せられ、そのほとんどが反対の意見だったことを重く受け止め、再度、市民とともに新たな基本方針を導き出すよう、求めておきたいと思います。

 次に、陳情についてでありますが、陳情第15号、20号については採択すべきではないと判断し反対し、陳情第27号については、趣旨に賛同し、採択すべきものと判断し賛成するものであります。

 以上で、討論を終わります。