2018年第3回定例会 討論

それでは、ただ今議題となっております議案及び陳情のうち、議案第57号、58号、60号、61号、63号について反対の討論、陳情第28号について賛成の討論を行います。

【2017年度水道事業決算に対する反対討論】

まず、議案第57号、2017年度の水道事業会計決算の認定及び未処分利益剰余金の処分について反対の討論を行います。

営業収支は赤字 経常収支は黒字
当該決算年度の損益状況は、営業損益では、8164万6千円の営業損失となっておりますが、営業外収支等を含めた経常損益は、2億2535万9千円の黒字を計上し、当年度純損益では2億1634万5千円となっており、営業収支の赤字を営業外収支等の黒字で補うという構造には変化はありません。また、貸借対象表における資産及び負債、資本の状況、キャッシュフロー計算書における資金収支の状況、さらに内部留保金の保有からしても、水道事業会計は、概ね良好な経営状態であると言えます。

営業収支赤字の原因は宮が瀬系県水受水費
一方、水道事業会計における最大の問題は、営業収支の赤字の原因となっている宮が瀬系県水の受水費の問題であります。2016年度から神奈川県広域水道企業団単価が値下げされたことにより、宮が瀬系県水受水費は、2014年度では5億2036万7千円だったものが、当該決算年度では4億2532万3千円と、約1億円近く下がってはおりますが、依然として給水原価に占める割合は24.07%と高く、供給単価との逆ざやの直接的な原因となっております。

ご承知のとおり、この宮が瀬系県水の受水費のほとんどは、使用水量にかかわらず支払が義務付けられている基本料金であります。当該決算年度で言えば、1日の平均有収水量は3万4683立方メートル、このうち県水は約5000立方メートル、わずか約14.5%にすぎません。しかし、宮ヶ瀬系県水の受水費の基本料金の計算では、日量3万7,300立方メートル、すなわち、実際に受水している水量の7.5倍の料金を支払っているわけであります。これは、基本料金の計算が、1978年に締結された神奈川県企業庁座間市との基本協定において、配分水量が3万7,300立方メートルと定められていることがその根拠とされており、故に、本市は、宮ヶ瀬系県水を、たとえ1滴も使わなかったとしても、現状では年間約4億円の支払いを求められることになるわけであります。

県水受水費 使った分の料金だけなら営業収支も2億3900万円の黒字
しかし、もし、宮が瀬系県水の受水費が、本市が使用した水の量だけだとすれば、どうなるのでしょうか。そうすると受水費は年間約1億円ほどとなりますから、残りの約3億2000万円の支出は必要がなくなります。この約3億2000万円の無駄な支出をなくせば、当該決算年度の決算では、営業損失約8100万円を容易に吸収し、逆に約2億3900万円の営業利益となり、当年度純損益は4億5500万円の黒字となるわけであります。

選択肢は二つ 契約を見直すか解約するか

よって私は一貫して主張してきておりますが、宮ヶ瀬系県水に関し、県企業庁との分水契約の内容を見直し、本市の使用水量分の基本料金、従量料金とすべきであります。また、もう一つの選択肢としては、県企業庁との分水契約を解除し、本市の自己水源のみで水道事業を運営する道であります。現在、本市の自己水源能力は1日最大4万3000㎥であります。当該決算年度の1日平均配水量は3万6372㎥、1日最大給水量は3万9395㎥ですから、十分に自己水源だけで賄うことは可能であります。

いずれにせよ、本市水道事業の営業収支赤字の原因である宮が瀬系県水受水費の抜本的見直しが必要であり、公金支出の妥当性の観点からすれば、無駄な支出と言え、当決算を適切なものとして認定することはできません。

【2017年度公共下水道事業決算に対する反対討論】
次に、議案第58号、2017年度の「公共下水道会計決算の認定及び未処分利益剰余金の処分について」と、議案第63号「下水道条例の一部を改正する条例」について反対の討論を行います。

水道事業と同じく営業収支は赤字 経常収支は黒字

当該決算年度の損益状況は、営業損益は、1億1602万3千円の営業損失、赤字となっておりますが、営業外収支等を含めた経常損益では、1億8818万8千円の黒字を計上し、当年度純損益は1億6852万9千円となっており、営業収支の赤字を営業外収支等の黒字で補うという構造は水道事業会計と同様であります。

水道事業との違いは、多額な負債と資金不足
しかし、水道事業会計との大きな違いは、多額の負債と内部留保金がほとんどないことにより、資金収支において不足が生じ、一般会計からの補助金によって不足を補っている点であります。これは、下水道事業会計が公営企業会計に移行したことにより、確かに明確になりました。

まず、経常費用に占める固定費の割合、すなわち減価償却費や支払利息等の割合について見てみると、上水道の44.3%に対し、下水道は76.5%で1.7倍の開きがあります。しかも、下水道の固定費に占める減価償却費と支払利息の割合は実に95.6%ですから、固定費のほとんどが過去の建設投資に係るものと言えます。

次に、流動比率の極端な開きです。流動比率は1年以内に支払う債務に対して支払可能な現金の割合を示すもので、短期的な返済能力を示す指標ですが、上水道が582.7%に対し、下水道は32.2%と18.1倍の開きがあります。

次に、長期的な返済能力においても大きな開きがあります。キャッシュフロー、すなわち経常利益に減価償却費を加え、他会計補助金を差し引いた額に対する企業債残高(有利子負債)の倍率については、上水道の2.3倍に対し、下水道は11.4倍と5倍の開きがあります。

次に、企業債償還残高についてですが、これは、上水道が約19億4500万円に対し、下水道は約162億円と8.3倍の開きがあります。

最大の論点は、資本費の回収をどのようにすべきか

こうした結果、本市下水道事業の資本費に関わる汚水処理原価は、当該決算年度1㎥あたり82.69円と、昨年度より10.13円減少しているものの、全国同規模事業体平均55.48円を大きく上回り、全国全事業体平均69.08円をも上回っている状況であります。また、処理人口1人あたりの資本費でも同規模事業体平均、全事業体平均を上回っております。

以上のように、本市下水道事業の特徴は、多額の企業債残高により処理原価のうち84.07%を資本費がしめるという財務体質であることがわかります。したがって、市街化区域の公共下水道整備が100%近くとなった現在、この資本費の回収をどのように行うのか? 使用料だけで回収するのか? 使用料と税金をあわせて回収するのか、これが、本市の下水道事業会計の最大の論点となるわけであります。

値上げ後の使用料は県内19市中3位の高水準

本市の公共下水道会計は、特別会計時代から、一般会計からの基準外繰入金、いわゆる赤字補てんによって収支の均衡を図ってきました。当該決算年度では一般会計からの補助金は1億6135万3千円ほどとなっておりますが、当局はこの一般会計補助金をなくすことをめざし、資金収支の不足分を使用料に転嫁しようと、今回平均9.81%の使用料値上げを提案しております。具体的には、現状の使用料では、一般会計からの補助金をゼロとした場合、今後5年間で約10億円の資金不足になるとして、そのうち約8億円を使用料の値上げ分で、残りの約2億円を一般会計補助金で賄うというものであります。

その結果、本市の下水道使用料は県内他市との比較でどうなるのか言えば、本市の20㎥あたりの使用料は2395円で、現状では県下19市中3番目に高い使用料となります。また、同じ流域下水道事業に参加している綾瀬市1908円、相模原市1851円、海老名市1633円と比べても格段に高い使用料となることになります。

当局は、値上げの理由として、公営企業の独立採算制の原則から、一般会計補助金をなくすと述べられております。私も、下水道事業が独立採算となることを願っております。しかし、本市下水道事業の現状からすれば、そのためには相応の年月が必要だと思っておりますし、最大限、公共サービスの受給者である市民の理解と合意のもとで進めていくことが必要だと思います。

なぜ、多額の負債があるのか
本市における下水道事業は、1970年代中盤以降比較的短期間の間に主に企業債(借金)を財源とし、さらにバブル崩壊以降は国策(景気対策)としての国の公共事業投資とあいまって過大な建設投資を行ってきました。これは、公共の福祉のために、ある意味、身の丈を超えて建設投資を行ってきたと言えるでしょう。

当局は、独立採算制をことさら強調されますが、では、なぜ、事業開始段階から独立採算制をとらなかったのでしょうか。それでは、財政の健全性は担保されたとしても、事業の進捗が遅々として進まないと判断したからでしょう。もし、初期の段階から独立採算制で下水道事業を運営していたならば、公共下水道整備はおそらく未だに市街化区域の半分にも満たなかったでしょう。つまり、事業の政策的必要性から、採算性を度外視し、借金と一般財源を投入して整備を進めてきたたわけです。

その結果、多額の負債を背負い、損益計算上、純利益を計上したとしても、ほぼ全額が負債の償還に充てられ、内部留保は積み立てることができず、資金収支において資金不足となる状況となったわけではありませんか。こうした歴史的経緯を忘れてはなりません。

どうすべきか

であるならば、完全独立採算制への移行に際しては、性急に使用料値上げという形で、市民への負担を強化するのではなく、当面の間は都市計画税を財源とした一般会計からの補助金により資金不足を補うべきであります。

あるいは、地方公営企業法第18条「地方公共団体は一般会計から地方公営企業会計へ出資できる」若しくは18条の2「長期の貸付けをすることができる」という規定に基づいて、出資また長期貸付を行い、資金不足を補うべきであります。

市街化調整区域の公共下水道整備は妥当な選択か
また合わせて、当局がこのたび進めようとしている市街化調整区域の公共下水道整備についても、その妥当性について指摘をしておきたいと思います。

当局が使用料値上げに際して作成した今後5年間の財政シュミレーションでは、2022年から市街化調整区域の公共下水道整備の建設改良費が計上されておりますが、現状では事業計画もなく、事業認可もおりていません。事業計画がないにもかかわず、工事費だけが計上され、それを前提とした財政シュミレーションによって使用料が値上げされるというのは、果たして適正な事務執行なのでしょうか。

私はかねがね、市街化調整区域の汚水処理は、経済的合理性からして公共下水道ではなく、高度処理が可能な合併浄化槽設置に対する補助方式とすべきであると主張して参りました。下水道法では、第2条において公共下水道を定義しておりますが、それでは「主として市街地における下水を排除し、又は処理するため」とあり、そもそも、市街化を抑制すべき区域である市街化調整区域は、本来対象ではありません。また、市街化を抑制すべき区域であるが故に、整備面積に対して対象戸数は少なく、市街化区域と比べて高コストとなることは明らかであります。

再検討すべき

今定例会において当局は、市街化調整区域の公共下水道整備について、その財源をどうするのかという私の質疑に対して、主に企業債で賄うと答弁されました。多額の企業債残高を抱えながら、さらに企業債で負債を増やすということなのでしょうか。また、市街化調整区域の戸数のうち、すでに1/3は合併浄化槽を設置していることも明らかとなりました。こうした状況で公共下水道を整備したとしても、果たして接続されるのでしょうか。ただでさえ、高コストの事業を行い、さらに接続率も望めないということでは、一体なんのための公共下水道整備かと言わざるを得ません。市街化調整区域の公共下水道整備については、再度立ち止まって抜本的な再検討を行うべきであります。

以上のことから、議案第58号、2017年度の公共下水道会計決算の認定及び未処分利益剰余金の処分についてと、議案第63号下水道条例の一部を改正する条例について反対をするものであります。

【工場立地法に基づく緑地率等の準則を定める条例に対する反対討論】

次に、議案60号座間市工場立地法第4条の2第1項の規定による準則を定める条例について、反対の討論を行います。

条例制定の経緯
条例案は工場立地法に基づく特定工場、すなわち、敷地面積9000㎡以上又は建築面積3000㎡以上の製造業、電気・ガス・熱供給者の工場に義務付けられる緑地及び環境施設の面積率の基準を定めるものであります。

同法において国が定める準則は、緑地20%以上、環境施設面積25%以上でありますが、これまで神奈川県では、県条例によって、工業地域及び工業専用地域は緑地15%以上、環境施設面積20%以上に緩和し、その他の地域については緑地25%以上、環境施設面積30%以上としておりました。2012年に第2次地方分権一括法が施行され、市区域における緑地面積率の準則の制定権及び届出事務が、市に移譲され、2016年には第6次地方分権一括法の施行により町村区域における緑地面積率の準則の制定権及び届出事務が、町村に移譲されたことにより、2017年に県条例が廃止され、市町村における条例化が求められていたわけであります。

県下最低の緑地率
そうした中、今回提案されております本市の条例案の、工業地域・工業専用地域における緑地5%以上、環境施設面積率10%以上という割合は、神奈川県下では最も低く、この割合を採用しているのは、現時点では横須賀市座間市だけであります。また、準工業地域の緑地10%以上、環境施設面積率15%以上という割合も県下最低であります。

では、なぜこうした最低の緑地面積率及び環境施設面積率としたのか、ということに対して市長は、同法の対象となる特定工場の再投資の促進及び市外への流失防止のための産業振興策としての規制緩和であると説明されました。

「産業振興」のために環境保全を犠牲にしてよいのか

しかし、産業振興と環境保全は、「一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ない」というトレードオフの関係ではありません。この工場立地法が制定されたのは1973年。当時は、まさに高度成長のひずみである公害問題が全国各地で多発し、同法は遅ればせながらも、工場の立地段階から、企業自らが周辺の生活環境との調和を保ちうる基盤を整備し、社会的責任を果たすことを目的として制定されたものであります。つまり、産業振興と環境保全を両立させ、対象工場となる大規模工場が社会的責任を果たすことが、立法趣旨であると思われます。

では、制定から45年が経過し、この大規模工場が果たすべき環境保全の役割は、少なっているのでしょうか。今夏の猛暑は記憶に新しいところですが、ヒートアイランド現象など世界的な気候変動が深刻さを増す中で、大規模工場の緑地等の面積率の基準を緩和をすることが、地方自治体の政策として果たして妥当なのでしょうか。答えは断じて否であります。

座間市の環境施策と対立する

また、一方で本市では緑の基本計画や環境基本計画などに基づく環境施策を推進しておりますが、本条例案はこうした本市の環境施策と相対立するものであります。

市長は、「現在、市域面積に対して約26%の環境保持のための緑地等の環境施設面積を有しており、一定程度はしっかりと担保されている」「市域全体では国が公表する準則以上の割合を維持」していると答弁されましたが、率直に言って理解に苦しむ答弁であります。

なぜならば、極めて当たり前の話ですが、工場立地法に基づく国の準則である環境施設面積率25%以上は、あくまでも、特定工場の工場敷地内の割合であり、市域に対する割合ではありません。比較する意味が全くない市域全体に対する割合を持ち出してきて、「しっかりと担保されている」とおっしゃられても、全くの的外れとしか言いようがありません。

「現状の緑地を維持」(市長)できるのか

また市長は、「現状の緑地の維持を基本とする」と述べられておられますが、本条例の制定によって、工場敷地内の緑地は現状維持どころか減少することは明らかであります。本市の特定工場10社のうち、現状で旧神奈川県条例の準則を満たしている工場が4社あります。本条例が成立すれば、今後これらの工場が増設や新築、あるいは他の事業者へ売却された場合、旧県条例ではなく本条例が適用されることになりますから、緑地及び環境施設面積率は、下がることになります。

また、本会議での私の一般質問で明らかとなったように、本条例が制定された場合、現行の座間市開発等指導要綱技術基準に基づく緑地率において、大規模工場である特定工場の緑地及び環境施設面積率の方が、それ以下の規模の工場の緑地率より低くなるという逆転現象が生じることとなります。このことについて市長は、条例制定後不整合を是正するために同要綱技術基準を見直すと表明されましたが、同要綱は、工場建設のみならず、開発行為全てに適用されるものでありますから、工場のみならず網羅的に緑地率を見直すならば、市域全体で開発行為において、緑地が減少することになってしまいます。また、もし、見直しの範囲を工場のみに限定したとしても、特定工場の緑地及び環境施設面積率以下になると思われますので、いずれにせよ、減少することはまちがいありません。

環境施策の後退につながる

このように、本条例の制定による本市の緑化施策への影響は大きく、市長の言う「現状の緑地を維持」することは不可能であり、本市の環境施策は大きく後退することになりかねません。2016年度の座間市環境基本計画年次報告書では、座間市環境審議会から次のような提言を受けております。

「自然環境の保全にはまとまった土地の確保が必要ですが、市内には樹木の減少が著しい地域も存在します。また、現在生産緑地として指定されている土地の多くは、2022年に指定期間満了を迎え、宅地転用が加速する可能性があります。都市部における緑地の保全が喫緊の課題となっている現状を踏まえ、市は長期的な展望のもと自然環境の保全に向けた環境施策を実施することが必要です。」

本条例の制定は、果たしてこの提言に応えることになるのでしょうか。明らかに対立するものとしか言いようがありません。以上の点から、議案第60号座間市工場立地法第4条の2第1項の規定による準則を定める条例に反対するものであります。

都市公園条例の一部改正に対する反対討論】

次に、議案第62号座間市公園条例の一部を改正する条例について、反対の討論を行います。

本条例改正案は、都市公園法及び都市公園法施行令の改定に伴い、住民一人当たりの都市公園の敷地面積、並びに公園施設の設置基準の特例を定めるものであります。そのうち公園施設の設置基準の特例については、今回、 都市公園法及び同施行令が改定され、飲食店、売店等を設置し、その収益を活用してその周辺の園路、広場等の整備、改修等を行う民間事業者を公募により選定する「公募設置管理制度」、いわゆるパークPFI制度が新たに設けられたことにより、公園施設の設置基準の特例に、公募対象公園施設を加え、建蔽率の上限を現行の2%から10%へ拡大するものであります。

今や、建物系の公共施設のみならず、水道事業や下水道事業、さらには今回の公園施設と、PPP事業やPFI事業はまるで国策の如く国によって推奨、誘導されております。私は、こうした手法を一概に全て否定するわけではありませんが、事業目的との適合性や、経済的合理性をしっかりと見極め、さらに事業をコントロールするマネージメント能力を備えていなければ、とんでもない失敗を犯してしまうことは、全国的にも事例がありますし、本市のPPP事業方式による上下水道局庁舎整備事業の事例でも明らかであります。

本市の都市公園において、パークPFI事業の可能性はあるのかと言えば、現実にはあり得ません。当局も現時点で本市の都市公園を公募対象公園とする意思はないとしております。

では、なぜ条例にパークPFI事業にあたっての建蔽率の上限の特例を設定するのでしょうか。しかも、上限の割合は国の参酌水準どおりとなっております。この建蔽率の特例10%は、政令で定められておりますが、地方自治体はこれを参酌して条例で定めるとされており、上限どおりに設定しなければならないというものではありません。

まさに、自治の問題であります。本市都市公園の具体的な状況を具体的に分析すれば、先ほども述べましたようにパークPFIの事業スキームが成立する可能性はなく、パークPFI事業に関わる建蔽率の上限の特例を条例で規定する必要性はありません。よって、本条例案に反対するものであります。

【「主要農作物種子法に代わる公共品種を守る新しい法律をつくることを求める意見書を国に提出することを求める陳情」に対する賛成討論】

次に、陳情第28号「主要農作物種子法に代わる公共品種を守る新しい法律をつくることを求める意見書を国に提出することを求める陳情」に賛成する討論を行います。

本陳情は、本年3月末日に廃止となった主要農作物種子法について、その廃止による悪影響、すなわち、グローバル企業の種子市場の独占により、日本の食の安全、食糧主権が脅かされる危険性などから、公共品種を守る新たな法律を制定を求め、それに関する国への意見書提出を求めるものであります。

廃止された主要農作物種子法は、1952年に制定され、イネや大麦、大豆など主要作物の優良な種子の生産と普及を国の役割とし、具体的な品種の選定、種子の生産と供給を都道府県の責任で推進することを定めたものでありました。

国は、旧主要農作物種子法廃止の理由として「民間の品種開発意欲を阻害している」として、民間企業の参入を促すためとしておりますが、我が国の主要穀物の種子の改良及び生産に、民間企業の参入を促すことは、すでに進行している巨大なグローバル企業による種子の開発や供給の独占をさらに進めることになり、それにより種子の価格が左右され、農作物の多様性が失われ、ひいては国の食糧主権が脅かされることになりかねません。

旧主要農作物種子法の基本的理念は、主要穀物の種子及び新品種は国や都道府県が「公共の資産」として持つという考え方であります。しかし、これが民間企業に委ねられた場合、新品種について、改良部分だけでなく、種子全体に特許をかけ企業がその所有権(知的財産権)を主張することになります。つまり、ロイヤリティ(特許料)を払い続けなければ、その種子を使えなくなり、新しい品種をつくるために素材となる「遺伝資源」が、民間企業に囲いまれることとなるわけであります。これは「公共の資産」ではなく、明らかな民間企業の「私的な資産」であります。

歴史的にみれば、種子はもともと自然界の中にあったものを数万年の人類の歴史の中で、先人達が改良を積み重ねてきた賜物であり、本来は公共のものであります。誰のものでもなく、人が生きていく上で必要不可欠な食物の種子を、一部の巨大グローバル企業に独占させてはならないと考えます。

そして、主要穀物の種子を公共品種として守ることは、まさに国民の安全保障に関わる重要な問題であります。日頃より「日本の伝統と歴史を保守する」と主張されておられる皆様方には、特に、本陳情への賛同を求め、賛成討論と致します。

以上で、私の討論を終わります。