2018年第4回定例会 討論

それではただ議題となっております議案及び陳情について、賛成並びに反対の討論を行います。

戸籍事務へのマイナンバー制度導入に係る予算措置に反対

まず、議案第69号の一般会計補正予算について反対の討論を行います。本補正予算では、歳入においては国庫補助金として「戸籍住民台帳管理経補助金(戸籍システム記録文字情報収集事業)と、歳出においては番号制度対応システム事業費が計上されております。本補助金及び事業は、「戸籍事務へのマイナンバー制度導入にあたり、戸籍の記録に使用している外字の提供作業が必要となったことから、作業に要する費用の増額措置」とされておりますが、今定例会の審議において明らかとなったように、戸籍事務においてマイナンバーを活用し、他の行政事務に対し特定個人情報を提供するための法改正は未だ行われておりません。

本年7月12日に横浜地方法務局戸籍課長から市町村戸籍事務主管課長へ発出された通知においても、「戸籍事務へのマイナンバー制度導入については、法制審議会戸籍法部会において『戸籍法の改正に関する中間試案』が示されたところですが」として、審議会の答申にも至ってない中間試案なるものに基づいて、今回の外字情報の提供を求めており、法令上の根拠は示されておりません。

昨年のマイナンバーカードへの旧姓併記に伴うシステム改修も同様でありましたが、マイナンバー関係の事務については、法令の整備が整っていないにもかかわらず予算措置され、事務が進められるという事態が相次いており、はなはだ由々しき事態であると言わざるを得ません。

そもそも、戸籍事務にマイナンバー制度を導入すること自体がまちがいであります。極めてセンシティブな情報である戸籍情報と個人番号と紐づけするならば、それが外部に漏えいした場合、プライバシー保護上取り返しのつかない事態となることは容易に想像できますし、事務効率の面からも膨大な費用をかけて戸籍制度にマイナンバー制度を導入する必要性は認められません。

市民交流プラザの指定管理料の上限設定 なぜ1社見積もりなのか?!

次に、本補正予算の債務負担行為の補正についてであります。今回の債務負担行為補正では、指定管理委託料として、小田急相模原駅前西地区再開発事業において、本市が買い取った保留床のうち3階部分に、市民交流プラザを開設し、指定管理者による管理を行わせるため、指定管理料の上限を債務負担行為として設定することが含まれております。

この債務負担行為の設定は、2019年12月から2022年3月までの28か月分の指定管理料の上限を1億604万3千円、年額4544万7千円とするものでありますが、この上限額はどのように算出されたのかいうことについて当局は、「全国的に数多くの実績のある事業者1社から見積もりを徴取し、設定した」とのことでありました。

しかし、1社だけからの見積りを基にした上限額の設定は、果たして妥当なのでしょうか。なぜ複数者からの見積を徴取しなかったのか、という点について当局は、「公募の前に施設の詳細の公表、併せて細かな説明が非常に難しいと考え、一社見積もりとした。」と答弁をされておられますが、見積もりを徴取した1社に対しては仕様の内容を提示したと思われますので、もしこの事業者が公募に応じるならば、この1社だけは公募期間の前に仕様の具体的内容が示されたこととなり、公平性が問われることになってしまいます。

また、座間市の契約事務の手引きでは、委託業務等の仕様書の作成の場合は、予定価格を設定するための参考見積もりについて、「複数者から徴取すること」と明記され、その理由について「見積もり価格が市場における適正価格であるか判断でき、入札の公平性を保てる」としております。もちろん、これは、競争入札における予定価格設定について定めたものでありますが、競争入札における予定価格は上限額を意味しますから、指定管理料の上限額を定めるにあたっても、その適正さを担保するためにも、複数者からの参考見積もりの徴取が必要であったと考えます。

カフェは初めから赤字を想定

次に、指定管理料の上限額の内訳においては、カフェの運営費用について、収入が年間1320万円と見積もられているのに対し、支出はカフェの人件費を加えると1861万円となり、年間514万円の赤字となることが見込まれております。

当局は、「カフェの運営は、営利を目的としたものではなく、市民の交流、コミュニティの醸成等を第一の目的としているので、結果的に収入より経費が多くなった」と答弁されておりますが、この市民交流プラザは、駅前の再開発ビル内に立地するという恵まれたロケーションのもとで、しかも市の直営ではなく、民間活力を導入しながら、あらかじめ赤字を想定するということは理解に苦しむ次第であります。

異常に高い施設管理委託費

また、施設管理委託費は年間455万7000円が計上され、具体的には清掃業務や警備業務であると説明されました。ちなみにこの施設の延床面積は、351.64平方メートルであります。これを延床面積1182.31㎡の上下水道局庁舎と比べてみますと、上下水道局庁舎計画段階の試算である導入可能性調査では、総合清掃費と設備管理業務の合計は460万8千円、事業者提案書では、維持管理費とその他管理費の合計は328万8千円となっております。もちろん詳細な費目設定において違いがあるのかもしれませんが、延べ床面積で約3.4倍も上下水道局庁舎が上回っているにもかかわらず、維持管理経費は市民交流プラザの方が高いという見積もりとなっており、見積もりの妥当性に疑念が生じざるを得ません。

以上の点から、市民交流プラザの指定管理料の上限を定める債務負担行為の設定については、適正なものと判断することができませんので、反対をするものであります。

次に、 議案第70号から議案第74号までの各特別会計補正予算及び企業会計補正予算については、概ね妥当なものとして賛成をするものであります。

子育て支援センター条例修正案に賛成

次に、議案第75号の座間市子育て支援センター条例についてでありますが、これまで条例に基づく設置が行われていなかった子育て支援センターを、公の施設と位置付け、条例に基づき設置、管理、運営等を定めるものあります。本条例案については、原案の第3条(事業)に「地域の子育て拠点として地域における子育て支援活動の展開を図る取り組みの実施」を加える修正案が提出されております。私は、本修正案の趣旨に賛同し、賛成するものであります。

市民交流プラザ条例 設置目的には賛成

次に、議案第76号の座間市立市民交流プラザ条例について、賛成の討論を行います。本施設は、小田急相模原駅西口再開発事業の保留床を座間市が購入したことにより、設置されることとなったものであります。

私は、同再開発事業の保留床の買い取りについては、一貫して反対の見解を示して参りました。現状でもその考えは変わりません。しかし、保留床の買い取りが議決され、すでに契約も締結されておるわけですから、今回は、購入された保留床部分をどのような行政目的として活用するのかという観点から、その適否を判断しました。その結果、その利用目的については、概ね適切であると判断いたしましたので、賛成をするものであります。

ただ一点のみ指摘しておきますと、本条例案では第6条において、休館日及び開館時間が規定されておりますが、「市民交流プラザの休館日及び開館時間は規則で定める」として、市長が定める規則に委任されております。本来なら公の施設である以上、議会の議決が必要とされる条例本体に明記すべきと考えるものであります。以上、指摘事項を申し上げた上で、賛成するものであります。

法人市民税の引き下げに反対

次に議案第77号から第80号までの各条例の一部改正についてでありますが、議案第78号の市税条例の一部を改正する条例を除いて概ね妥当なものとして、賛成をするものであります。

反対をする市税条例の一部を改正する条例については、法人市民税の税率を3.7%引き下げることが含まれております。

本来、法人市民税は、法人が、所在する地方公共団体から公的サービスを享受しているという視点から、課税され納付の義務を負っているものであり、地方公共団体固有の税源であるはずであります。ところが国は、地方税法を改定し、税率を引き下げ、その分を国税化し、地方交付税の財源とすることを2014年以降進めてきており、その理由は、「地域間の税源の是正をするため」と称しております。

ご承知のとおり、地方税の特徴は応益的要素が強く、ほぼ均一課税となっております。一方、国税の基幹税である所得税は、かつてに比べると累進性が緩和されてきておりますが、応能的要素が強いものであります。国がいう、地域間の税源を是正するというならば、本来なら、再分配機能を有する所得税の累進性を再度強化し、その財源を地域間格差の是正のために再配分するのが原則であり、応益的要素の強い地方税を税源から奪うのは、まさに筋違いとしか言いようがありません。

今回当局は、法人市民税の税率が改定された場合の影響額について、試算していないとのことでありましたので、2017年度決算における法人市民税約16億8360万円から、改定後の税率を単純計算しましたところ、法人市民税は約11億776万円となり、約5億7584万円減収となる計算となりました。もちろん、消費税の10%増税がもしも予定どおり進められるならば、地方消費税の増収とはなりますが、果たして、この減収分を上回ることとなるのか、はなはだ疑問であります。以上のような理由から、市税の条例の一部を改正する条例に反対するものであります。

市民文化会館、市民体育館の指定管理 またも公募せず
次に議案第81号「座間市立市民文化会館の指定管理者の指定について」と議案第82号「座間市立市民体育館の指定管理者の指定について」反対の討論を行います。

両施設の指定管理者の指定については、今回も公募によらず、特命指定となっております。これは、本市の「公の施設の指定管理者制度に関する指針」において、公募の対象外とする施設として「公の施設であって、専ら当該施設の維持管理、事業運営等を行うことを目的として設立された団体に管理させようとする施設」が示されていることによるものとされております。

このことについては、これまで何度となく指摘をしてきておりますが、公募の対象外として「専ら当該施設の維持管理、事業運営等を行うことを目的として設立された団体に管理させようとする施設」などという規定は、私の知る限り他の地方自治体において例はなく、本市独特のものであり、指定管理者制度の趣旨からすれば、明らかに逸脱するものとしか言いようがありません。

よって、両施設の指定管理者の指定にあたっては公募の手続きをとるべきであるという考えから、反対するものであります。

一般職職員の給与等の引き上げに賛成 市長や議員の期末手当引き上げは反対

次に、議案第83号から議案第88号までの一般会計補正予算、各特別会計補正予算企業会計補正予算と、議案第89号から議案第91号までの給与、報酬関連の条例の一部改正については、関連がありますので、まとめて討論を行います。

まず、私の議案に対する態度を申し上げますと、議案第84号、85号、86号、88号、91号に賛成、議案第83号、87号、89号、90号に反対するものであります。以下、理由の説明を致します。

これらの議案は、国の人事院勧告に準拠し、一般職職員の給与及び期末勤勉手当、市長などの常勤特別職職員と非常勤特別職である市議会議員の期末手当の支給額を改正する条例とそれに伴う補正予算であります。2018年の人事院勧告は、民間給与との較差を埋めるため、俸給表の水準を0.16%引き上げ、期末勤勉手当については、0.05か月分を引き上げ、勤勉手当に配分するというものであります。こうした人事院勧告のもと、一般職員の給与及び期末勤勉手当の係る条例改正並びに予算措置に関しては、人事勧告に準拠するという観点から、妥当なものとして、賛成をするものであります。

しかし、常勤特別職員や市議会議員の期末手当の0.05が月分の引き上げについては、認めることはできません。なぜならば、人事院勧告は、「引き上げ分を勤勉手当に配分」としており、勤勉手当のない常勤特別職や市議会議員の期末手当を引き上げることは、勧告の内容に反し、人事院勧告に準拠しているとは言えません。したがって、人事院勧告に準拠しないというならば、座間市特別職報酬等審議会に諮問し、その答申に沿って措置されるべきであります。よって、常勤特別職及び市議会議員の期末手当の引き上げに係る条例改正及び予算措置に反対するものであります。

次に、陳情について討論を行います。ただ今、議題となっております陳情のうち、陳情第35号、第36号、第39号、第40号、第41号につきましては、その趣旨に概ね賛同し、採択すべきものと考えます。

都市計画道路広野大塚線の一刻も早い整備を求める陳情」に反対

陳情第37号につきましては、以下の理由で反対するものであります。

本陳情は、「座間市都市計画道路広野大塚線の一刻も早い整備を求める」ものであります。都市[計画道路広野大塚線とは、海老名市境の大塚本町交差点付近から県道座間大和線相模が丘小学校付近までの延長4510m、幅員22mで都市計画決定されている道路であります。

現状では、都市計画道路としての整備は、全線未整備となっており、このうち、海老名市境からさがみ野立体、すなわち市道14号線相模健康センター付近までが、神奈川県の「かながわの道づくり計画」において、事業化に向けた調査を行う箇所として「事業化検討箇所」に位置付けられております。よって、県の考え方としては、綾瀬市都市計画道路上土棚線から広野大塚線のさがみ野立体までの区間について、事業化にむけた検討が行われているものと思われます。

一方、本陳情は、「陳情趣旨」において、座間市に対して広野大塚線の一刻も早い整備を強く求める」とし、さらに「陳情理由」において「特に、事業化可能な区間都市計画道路座間大和線から都市計画道路座間南林間線までの栗原東部地区)からの先行事業化を求めております。つまり、整備にあたって現在検討されている綾瀬市側から北進するのではなく逆に県道座間大和線から南進する整備を本市に求めているものと思われます。

しかし、こうした考え方には、いくつかの大きな問題があります。まず、栗原東部地域の先行事業化については、県のみちづくり計画には全く位置付けられておりませんから、陳情者が求めているように座間市が単独で整備をすることになります。では、座間市が単独で22m級の都市計画道路を先行事業化しうる財政力を有しているのかと言えば、中長期的にみても、全く現実性に乏しいものであります。さらに、あえて財政的に無理を重ねて事業化しようとしても、県や座間市がかねがね主張している広域幹線道路としての機能を果たすことはできず、費用対効果が問われることとなるでしょう。

次に、技術的な問題であります。幅員22m四車線の広野大塚線が接合する県道座間大和線は2車線で、県道座間大和線を四車線化しない限りボトルネック状態となり、ただでさえ慢性的な渋滞状態となっている県道座間大和線の交通処理は不可能となることが明らかであります。

また、広野大塚線と座間南林間線との接合においても、現行の都市計画決定では、北向庚申堂交差点付近は、ごくわずかの距離の間に市道15線、広野大塚線、市道16号と三つの幹線道路が交差することなり、ここでも交通処理は不可能と思われるからであります。

以上のような点から、陳情者が求める都市計画道路広野大塚線の栗原東部地域における先行事業化は、妥当なものとは判断できませんので、反対をするものであります。

一方で、この陳情の陳情理由においては、「農業を取り巻く環境も大きく変化し」とあり、社会環境の変化が本陳情提出の背景となっていることがうかがえます。ご承知のとおり、本市では2017年度に座間市都市マスタープラン運用方針(地域別構想・地域別都市づくりの方針「栗原東部地域」)を策定し、その中では、都市計画道路広野大塚線のルート周辺の農振農用地は、水源涵養地の機能も含め、保全ゾーンとして、将来的にも保全の対象とすることが定められております。

私は、こうした栗原東部地域の土地利用方針については、都市計画道路部分を除いて大いに賛同し、評価するものでありますが、都市計画上、農振農用地としての保全を定めたとしても、どのようにして都市農業を守り、振興させていくのかという農業政策がなければ、優良な農地として保全していくことはできません。今回、こうした陳情が提出された背景には、農業従事者の高齢化や農業後継者の不足、また、農業生産への意欲を喪失しつつあるというようなことが、あるのではないかと思われますし、私自身もこのままでは、優良な農地であり、そして大事な水源涵養地であるこの地域の農地が、耕作放棄地等となってしまうのではないかという危機感を持っております。

そして、この問題は単にこの地域の地権者の問題にとどまらず、本市にとっても、極めて公共的な課題であると考えるものであります。こうした重い課題を、当局も我々議会も、さらに他の地域の市民も、しっかりと真正面から受け止め、この地域の優良な農地をどのようにして保全していくのか、農業振興策をどうするのか、その答えを出していかなければならないと思う次第であります。

「臓器移植の環境整備に関する意見書の提出を求める陳情」に反対

本陳情は、「臓器移植の環境整備に関する意見書の提出を求める陳情」として、国の対して様々の施策を講じるよう求めております。部分的には賛同しうる内容も含まれておりますが、「陳情趣旨」や「陳情理由」を貫く基本的な考え方については、「ドナーを増やすため」や「臓器提供施設を増やすため」など、現行法のもとで、さらなる臓器提供を促進することが示されております。

臓器移植法は、1997年に成立し、2009年に改正されておりますが、この改正には、大きな問題点が含まれていると私は思っております。当時、改正の目的として強調されたのは、陳情理由にも触れられておりますが、「イスタンブール宣言によって,子どものレシピエント(受領者)患者の海外渡航による脳死臓器移植ができなくなるから,日本で実施できるようにすべきだ」という理屈でありました。その結果、同じく陳情理由の中にあるように「本人の意思が不明確な場合であっても、家族の承諾により臓器を提供することが可能」となったわけであります。

私は、こうした結論を導き出したことは誤りであると考えるものです。レシピエントとなる子どもの権利のみならず,ドナーとなる子どもの権利も十分に保障したうえで脳死臓器移植を実施することが可能であるのか否かにつき,わが国の脳死臓器移植についての社会的合意の有り様に応じて、慎重に検討されるべきものであったと思う次第であります。多くの子どもが移植を受けられないで待っているから,移植例を増やすため,脳死状態に至る少数の子どもの権利の擁護を後退させてもやむを得ないとするような,「最大多数の最大幸福」といった考えを人間の生死に関して導入することは、私は誤った考え方であると思っております。

この問題については、生命倫理や死生観にかかわることでありますので、客観的事実というより、私の考えを中心に述べさせていただきましたが、私は、臓器移植の改正法については自己決定権の保障が不十分である認識から、そうした状態でさらに臓器移植を促進させようとする本陳情には反対をするものであります。

以上で討論を終わります。