2021年度座間市当初予算に対する討論(賛成・反対)

ただいま議題となっております議案のうち、議案第12号から議案第17号までの2021年度一般会計予算、各特別会計予算、各企業会計予算及び議案第18号の条例並びに議案第28号の条例の一部改正について、賛成並びに反対の討論を行います。

 

<一般会計当初予算に対する反対討論>

 

最大の問題は、遠藤市政の悪い面を引きづった予算であること

 

まず、議案第12号2021年度一般会計予算について、反対の討論を行います。以下、その理由を申し上げます。

 

本市の2021年度一般会計当初予算は、総額413億505万7千円で、対前年度比マイナス0.7%、2億8993万2千円の減少となっております。これは、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大というこれまで経験したことのない状況の中で、経済が収縮し、それに伴い市税収入の減収を見込まれることによるものであります。

 

こうした状況は、本市のみならず、すべての地方自治体に共通することであります。しかるに、国の地方財政計画における地方交付税の総額は17兆4385億円で、対前年度5.1%、8503億円の増にとどまっており、コロナ禍で必要とされる財政需要を満たすものとはなっておらず、あまりにも少なすぎるとしか言いようがありません。緊急時に、実質上の通貨発行権を持つ国が、財政・金融政策を通じて地方自治体や国民の必要な財政需要を満たすことは当然のことであり、諸外国でも行われていることであります。

 

市長におかれては、市長会等、あらゆる手段を通じて、国の財政出動、特に地方自治体へ、ひも付きでない使途が特定されない一般財源としての交付金の交付を、規模としては最低でも現行の地方交付税交付金と同額レベルを要望されることを求めておきたいと思います。

 

そのうえで、本市の新年度当初予算を見て参りますと、昨年9月の市長選挙において、遠藤市政から佐藤市政へと変わったにもかかわらず、予算編成上は旧来の遠藤市政時代から大きな変化がありません。

 

確かに、市長就任後まもないという時間的な限界もあったことでしょう。また、地方自治体の行政事務のほとんどが、様ざまな国の法令により、がんじがらめとされ、首長の裁量権を行使できる範囲は極めて限定的であることは間違いないと思っております。きわめて個人的な感覚で恐縮でありますが、私の感覚すれば、地方自治体の事務・事業のうち95%は誰が首長になろうと、同じようなことをやらざるを得ないということもあるでしょう。

 

逆に言えば私は、5%は首長の裁量権を行使し、独自の施策や事業展開ができるのではないかと思います。ところが、私からみれば、このわずかの裁量権を行使し、キラリと光る施策展開とそのための予算編成となっているかと言えば、そうではなく、遠藤市政時代の問題ある事業をそのまま引きずっていることが、最大の問題であると思います。

 

道路行政に関する予算配分が間違っている

 

その一つが、都市計画道路座間南林間線の整備事業です。本事業は、都市計画道路座間南林間線の未整備部分、すなわち市道17号線市役所北交差点から県道相模原茅ケ崎線までの1580mのうち、市道17号線から入谷バイパスまでの区間座間市が、入谷バイパスから県道相模原茅ケ崎線までの区間を神奈川県が施工する予定となっているものであります。

 

市施工区間については、遠藤市長時代に、都市計画の変更決定が行われていないにもかかわらず用地購入が行われてきましたが、新年度当初予算においても土地開発公社による先行取得の債務負担行為が設定されており、事業費予算も約4800万円が計上されております。

 

本定例会の予算審査においても、当局は都市計画道路座間南林間線の総事業費がおおよそいくらぐらいとなるのか、という事業費見込みを明らかにしておりません。市当局は2016年第3回定例会において、小田急線アンダーパス部分の事業費だけでも、約27億円かかるということを明らかにし、2018年9月議会では当時の北川都市部長が「道路線形が確定すれば、都市計画決定前には総事業費の概算を出したい」と答弁しております。しかし、すでに都市計画の変更手続きが始まっているにもかかわらず、総事業費の見込みすら明らかにされていないことは問題であります。

 

都市計画の変更手続きにあたっては、市民説明会や公聴会、意見書の提出など様々な市民参加の手法が法律で定められております。総事業費の総額見込も示されずに、本事業の妥当性について判断することができるのでしょうか。当局には猛省を促したいと思います。

 

次に、本市の道路行政における予算配分の問題です。本事業の総事業費はおそらく50億円を超えると思われますが、これだけの予算を投入して、本事業を進めることが必要なのかと言えば、私はそう思いません。

 

本定例会の一般質問でも取り上げましたが、市道30号線の歩行者交通安全対策は、緊要の課題であります。市道30号線の交通安全対策として抜本的に解決しようとするならば、土砂災害特別警戒区域に新たに指定されたのり面の防護工事による道路の拡幅、歩道の確保が必要不可欠でありますが、当局は一度は実施にむけ、動き始めたものの、現在は全く事業の実施を行う意向を示しておりません。

 

このように、歩道の確保、バリアフリー化など早急な交通安全対策が求められる所は、市内各所に存在しております。私は、本市の今後の道路行政における重点施策は、大規模な幹線道路の整備よりも、生活道路の安全確保、特に歩行者安全対策にあると思っており、予算配分もそうしたところにこそ重点的に配分すべきと考えるものですので、市長並びに当局に対し、再考を促すものであります。

 

来年度以降、佐藤カラーの予算編成を期待

 他にも、費用対効果が疑われる小田急相模原駅前西地区再開発事業や、約10年間にわたり放置し、待機児童数を拡大させてきた緑ヶ丘保育園、ちぐさ保育園の建て替え・耐震化対策など、これまでの遠藤市政の負の部分を引きずったままの新年度予算については、反対するものでありますが、ぜひ、来年度以降の予算編成においては、小さくともキラリと光る佐藤カラーによる予算編成を期待しておきたいと思います。

 

 

国民健康保険事業特別会計予算に対する反対討論>

 

次に、議案第13号の国民健康保険事業特別会計予算について、反対の討論を行います。

 

本市の国民健康保険税は、遠藤市政の前の星野市政においては、国民健康保険の被保険者の担税力が低下している現状を考慮し、一般会計からの法定外繰出金により国保会計の不足する財源を補填し、国民健康保険事業の財政運営を図ってきました。つまり、税金を投入して被保険者の保険税を低く抑えてきました。これは、本市の国保加入者の所得状況からすれば当たり前のことと言えます。

 

しかし、遠藤市政では国民健康保険税の値上げが繰り返され、直近では2018年に10.67%の値上げが行われるとともに、これまで比較的安く抑えられてきた税率を県が定める標準税率に合わせ、一般会計からの法定外繰出金を最終的にはなくすことを目標とし、段階的に保険税を値上げするという方針を打ち出しました。

 

新年度当初予算では、値上げは行われなかったものの、値上げ後の税率が維持されております。これは、所得200万円以下が7割以上を占めるという本市の被保険者の担税力を超えるものであり、認めることはできません。よって、国民健康保険事業特別会計予算については反対をするものであります。

介護保険事業特別会計予算に対する反対討論>

次に、議案第14号の介護保険事業特別会計予算及び関係条例について、反対の討論を行います。

 

法令上、介護保険事業特別会計は、国民健康保険事業特別会計と比べて、極めて市町村の裁量性が少ない財政構造となっております。例えば、国民健康保険事業特別会計では一般会計からの法定外繰入金による保険料を低く抑えることは可能ですが、介護保険事業特別会計ではそれはできません。また、財政構造上、国・県・市及び被保険者の負担割合が法定されているため、給付費が増えれば自動的に、それぞれの負担割合に応じて負担が増える、いわば、保険料の自動値上げシステムと言っても過言ではありません。

 

そうした中で、唯一と保険者である市町村が裁量を発揮できるのは、保険料設定の段階区分であります。新年度から始まる本市の第8期介護保険事業計画では、保険料は第1段階から第16段階までの累進性がありますが、基準段階である住民税非課税の方で年額6万6千円、一方、最高段階である所得1000万円以上の方で年額15万8400円、わずか2.4倍の差しかなく、低所得者に重い負担をなっていることは間違いありません。

 

町村が裁量を発揮するできる保険料の段階設定および累進性の強化を通じて、低所得者の保険料負担を軽減すべきであります。よって、市町村として可能かつ必要な措置を講じていないとして、介護保険事業特別会計並びに関係条例に反対するものです。

 

後期高齢者医療保険事業特別会計予算に対する反対討論>

 

次に、議案第15号の後期高齢者医療保険事業特別会計予算について、反対の討論を行います。

 

後期高齢者医療制度の財政構造も、介護保険制度と同様に、国・県・市及び被保険者の負担割合が法定され、給付費が増えれば自動的に、それぞれの負担割合に応じて負担が増える、いわば、保険料の自動値上げシステムとなっております。これは、このシステムを開発した霞が関の官僚からすれば、「持続可能な制度」かもしれませんが、75歳以上の高齢者にとっては、その負担はとても持続可能とはいえません。よって、後期高齢者医療制度は廃止するか、抜本的に国庫負担の大幅の増額をすべきであるという立場から、反対をするものであります。

 

<水道事業会計予算に対する賛成討論>(賛成は初)

次に、議案第16号の水道事業会計予算について、賛成の討論を行います。

 

本市の水道事業は、事業開始以降長年にわたり地下水を主要水源とする事業運営を行ってきました。地下水だからこそ、ダム水と比べておいしく、水源開発のコストが安く、浄水場などの施設も必要としないことから、ランニングコストも低く抑えられるという利点があります。

 

一方、本市の水道事業の最大の問題が、県水受水費の過剰な負担であることは、誰しもが認めるものであろうかと思います。新年度予算においても、県水受水費の総額は、4億3715万円、実に営業費用の22.1%を占めております。これは、県水の実際の使用量は日量5200㎥にすぎませんが、受水費は日量37300㎥分の料金支払っているためであり、この負担が営業収支を圧迫しております。

 

そのためここ数年本市では、営業損益は赤字となり、これを営業外損益の黒字カバーすることにより、経常損益ではかろうじて黒字となるという収支構造が続いております。もし、県水受水費が日量5200㎥分の基本料金、従量料金であれば受水費の総額は、高く見積もっても約1億円ほどなりますから、そうすれば、営業損益においても約1億5000万円以上の黒字となるはずあります。

 

私は、これまで当局に対しこの県水受水費の過剰な負担に対し、使った水量に応じた受水費の支払いを求めてきましたが、本定例会の予算審査において当局は、「配分水量の見直しを県企業庁へ求めていきたい」という答弁を行いました。私の記憶によれば、当局が受水費単価の軽減のみならず、「配分水量の見直し」に言及されたのは初めてであり、画期的なことだと思っております。私は、その姿勢を、積極的に評価し、今回初めて水道事業会計予算に賛成をするものであります。

 

ぜひ、市長、企業管理者を先頭に、県との交渉を精力的に行い、配分水量の見直しを実現されるよう、期待を込め、賛成するものであります。

 

<公共下水道事業会計予算に対する反対討論>

 

次に、議案第17号の公共下水道事業会計予算及び議案第18号の公共下水道分担金の徴収に関する条例及び議案第28号の水道事業及び公共下水道事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例に反対の討論を行います。

 

まず、公共下水道事業会計予算についてでありますが、企業会計に移行後の収支構造は、水道事業会計と同様に、営業損益の赤字を営業外損益の黒字で補い経常損益は黒字となるという形になっておりますが、水道事業会計との違いは利益剰余金が発生したとしても、過去の起債の償還に充てることとなり、内部留保金を蓄積することができないということであります。こうした状況の中で今後10年間にわたって、18億円もの巨費を投じ、市街化調整区域の公共下水道整備を行うことについては妥当性に欠けると考えるものであります。

 

次に、議案第18号と議案第28号は、市街化調整区域における公共下水道整備にあたって負担金の徴収を定めることと、計画区域面積、計画処理人口及び1日最大汚水量を定めるものであります。

 

議案第18号の分担金については、近隣の他市が市街化調整区域内においても、敷地面積の違いにより額が異なる地籍面積割を採用しているにもかかわらず、一律15万円という単一定額方式を採用していることについては、妥当性に欠けるものとして反対をするものであります。

 

議案第28号の計画区域面積等を新たに定める条例改正については、現時点で市街化調整区域の公共下水道整備を行うのではなく、合併浄化槽への補助方式を採用すべきであるという点から反対するものであります。

 

以上、新年度一般会計予算、各特別会計予算、各企業会計予算並びに関係する条例について、賛成並びに反対の討論を行いました。以上で、討論を終わります。