2022年2月 一般質問

1.基地対策について

 1)新型コロナウイルス対策について

 2)有機フッ素化合物(PFOS,PFOA)について

 3)日米地位協定について

2.入札制度について

3.国民健康保険税の改定について

4.市道30号線の安全対策について

 

1.基地対策について

 

1)新型コロナウイルス対策について

 

一般質問の第1点目のテーマは基地対策についてであります。まず、キャンプ座間の新型コロナウイルス感染症対策についてお聞きして参ります。

 

日本における新型コロナウイルス感染症の拡大の第6波、「オミクロン株」の感染は、在日米軍基地が所在する地域から拡大しました。沖縄県のキャンプ・ハンセンや山口県岩国基地で米軍人等の大規模なクラスターが発生し、これと連動するようにして、沖縄県山口県、さらには隣接する広島県に居住する住民に感染が拡大しました。沖縄県玉城デニー知事は、本年1月2日の記者会見で、国立感染症研究所が行ったゲノム解析の結果を踏まえ、沖縄県におけるオミクロン株の感染拡大は、米軍由来との認識を示し、「年末年始を通してオミクロン株が市中に流出し、感染の種が市中に巻かれてしまった状況にある」と述べました。また、松野博一官房長官も本年1月11日の記者会見で、新型コロナウイルスの国内感染が米軍基地に由来しているか問われ、「その一つである可能性がある」と認めております。

 

ではなぜ日本において、オミクロン株の感染拡大が米軍基地の所在する地域から始まったかと言えば、米軍人等の入国が日本側の検疫の対象外となっていること。さらに米軍側が2021年9月以降、米国出国時の新型コロナウイルス感染の検査を行っていなかったということが、最大の原因ではないかと言われております。

 

この「検査なし入国」については、日米の見解は180度異なっております。日本政府は検査なし入国を「確認したのは2021年12月24日」と主張する一方で、在日米軍司令部は「9月末に日本政府に情報提供した」と述べております。米側の主張の正しいのならば、日本政府は「検査なし入国」を知りながら、水際対策に穴をあけるような状況を放置してきたことになります。また、日本側の主張が正しいのならば、「検査なし入国」が3ヶ月近くも日本側に知らされていなかったことになり、同盟国と言いながら日米の情報共有はこの程度だったのかということになります。まあ、どちらの主張が正しいのか定かではありませんが、いずれにせよ、米軍人等が米軍基地を通じて直接入国する際に、日本側の検疫が行われていないという問題が改めて浮き彫りされたと思う次第であります。

 

こうした米軍人等の出入国管理及び検疫については、日米地位協定に基づくものとされておりますが、この問題に関する質問は後ほど行うこととし、まず、キャンプ座間の新型コロナウイルス感染症対策に係って何点か質問をしてまいりたいと思います。

 

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キャンプ座間米軍関係者陽性者の状況

キャンプ座間における米陸軍関係者の感染者情報は、本市にも伝えられ、公表されておりますが、このグラフはその情報をもとに作成したものであります。

 

おそらく、キャンプ座間におけるオミクロン株の拡大は昨年12月中旬頃から始まり、1月中旬頃にピーク達したということでしょう。キャンプ座間を一つの施設であると見なすと、まさにクラスターが発生したといえる状況だと考えられます。

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座間市陽性者の発生状況

こちらは、同じ時期の座間市の感染者数の推移です。これを見ると、キャンプ座間の感染者数がピークに達した1月中旬頃から増えはじめ、2月1日にピークに達していることがわかります。キャンプ座間における感染者の急増と、本市における感染者数の拡大になんらかの因果関係があるのかどうかは定かではありませんが、時期的には符号していることは見てとることができます。

 

米軍基地における感染拡大とそれが地域社会に与える影響を考えざるをえませんが、その狭間にいる方々、日本人基地従業員の方々の状況が心配されます。そこでまずお聞きするものでありますが、2021年末から2022年年初にかけて、キャンプ座間の米軍関係者の感染者が急増していた時期の日本人基地従業員の感染状況について、明らかにしていただきたいと思います。

 

<市長室長>

防衛省南関東防衛局から1月12日8人、1月19日が3人、13日,14日、18日、20日、21日、25日、31日、2月2日、21日はそれぞれ1人との連絡がありました。

 

 

次に、統計上の分母にあたる数についてお聞きします。当たり前の話ですが、本市の新型コロナウイルス感染症の感染者は、人口で割り返せば、人口当たりの感染者数、または共通指標を用いられる10万人あたりの感染者数が明らかになります。そこで、今回のキャンプ座間における感染者の急増が、どのくらいの規模であったのか、共通指標で用いられる10万人あたりの数値を導きだすためには、キャンプ座間の米軍駐留人数が何人かということが必要となります。キャンプ座間の米軍駐留人数及び基地従業員の数について明らかにしていただきたいと思います。また、このうちキャンプ座間の施設区域外で本市の市域に居住する米軍人の数は何人なのか、明らかにしていただきたいと思います。

 

<市長室長>

防衛省南関東防衛局に確認したところ、「米側から提供されていないため、わかりかねる」との回答でした。なお、キャンプ座間基地従業員は本年1月末時点で、1596人とのことです。

 

 

次に、コロナ感染患者の隔離・治療についてお聞きします。

 

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在日米陸軍基地管理本部からの情報提供の末尾には、必ずこのような文言が記されております。そこで、お聞きするものでありますが、キャンプ座間の米軍人、軍属及びその家族が新型コロナウイルス感染症に感染した場合、隔離・治療はどこで行われているのでしょうか。また、キャンプ座間の区域外に居住する米軍人・軍属の場合は自宅療養となるのでしょうか、説明を求めるものであります。

 

<市長室長>

在日米陸軍基地管理本部に確認したところ、新型コロナウイルス感染症に関するすべての検査及び医療ケアは、在日米陸軍医療部隊の医務官により実施されています。また、米軍関係者で陽性者となった場合は、基地内又は基地外に居住する方、いずれもその方の自宅で隔離されます、とのことです。

 

 

次に、米軍の新型コロナウイルス感染症対応に関するガイドラインについてお聞きします。どのような内容となっているのでしょうか。行動制限の内容等について説明を求めます。また、現状の行動制限の内容についても合わせてお示しいただきたいと思います。

 

<市長室長>

在日米陸軍では、新型コロナウイルス感染症の行動指針及び一般命令を定めています。これらについて適宜状況に応じて更新されており、現在は2月24日に発効されたものが最新になります。内容について多くのことが書かれておりますので、具体的な項目は割愛させていただき、項目のみ紹介させていただきます。1.禁止・制限事項 2.ソーシャルディスタンスとマスク着用 3.非公式・国防総省の関与しない社交目的の会合 4.衛生当局への報告及び行動制限 5.報告義務 6.緊急時 7.部隊長の責任 8.方針の例外 9.発効日 です。

 

2)有機フッ素化合物(PFOS,PFOA)について

 

次に、基地対策の2点目として有機フッ素化合物についてお聞きします。 有機フッ素化合物(PFAS)は、水や油をはじき熱に強いなどの特徴を持った化学物質で、撥水やコーティング、消火剤の用途でフライパンや家具など様々な製品に使用されてきました。しかし、廃棄された場合、分解されるまでに数千年を要するとされており、そのあまりにも長い環境残留性から「フォーエバーケミカル=永遠の化学物質」とも呼ばれているものであります。

 

さて、このなんともやっかいな有機フッ素化合物ですが、現在国は、50ナノグラム/Lを暫定目標値としておりますが、みなさんもご承知のとおり、本市では神奈川県が2020年度の河川水調査で、市内鳩川2箇所で85ナノグラムと56ナノグラム、2021年度に県が行った地下水調査では緑ヶ丘地区の井戸から100ナノグラムと暫定目標値を超える数値が検出されております。また、本市上下水道局が2021年度に行った調査では、第3水源の原水で100ナノグラム、第3水源の地下水を受水する相模が丘配水場出口での浄水で70ナノグラムが検出され、現在第3水源からの取水を停止している状況であります。

 

環境省が行っている全国調査の結果を見ますと、地下水や河川の汚染度合が激しいのは、沖縄県の嘉手納基地・普天間基地の周辺自治体、東京都の横田基地の周辺自治体、そして神奈川県の厚木基地とキャンプ座間周辺の自治体となっており、その原因としては、米軍が使用してきた泡消火剤の使用がその原因ではないかと言われております。

 

この点については昨年9月の一般質問において長瀬議員が、「キャンプ座間にはPFOS、PFOAが含まれる泡消火器は設置されているのか。ない場合はいつ頃まで設置されていたのか」と質したところ、当局の答弁は、「PFOS、PFOAを含む泡消火剤の設置の有無については、昨年8月に一定の回答を得ておりますが、今回の一般質問に際し、改めてその回答を答弁することについて、南関東防衛局を通じ、米軍に確認したところ、今朝まで回答をいただけていない状況でありますので、答弁については控えさせていただきます」と答弁されております。昨年9月からだいぶ時間が経過しておりますので、今朝までには回答は届いていることでしょう。改めて回答を求めるものであります。そして、この際に長瀬議員は過去の設置の有無についても質しておられますが、改めて過去の設置の有無及び設置されていた場合は、その使用の状況について明らかにしていただきたいと思います。

 

<市長室長>

防衛省南関東防衛局に改めて確認したところ、現在も防衛省から米軍に確認を行っているところとの回答がありました。従いまして現時点において、お答えできる内容はございません。

 

 

また、本市では以前、環境経済部が毎年行っている「事業所排水分析調査」において、キャンプ座間内の排水分析調査を行っておりましたが、現在は行われておりません。この際、キャンプ座間内の有機フッ素化合物に関する排水分析調査を行うべきと考えますが、当局(環境経済部)の見解を求めるものであります。

 

<環境経済部長>

有機フッ素化合物は、水質汚濁防止法や神奈川県生活環境の保全等に関する条例において、排水基準が設定されていない物質であるため、排水分析調査を実施する予定はありませんが、基地周辺の環境保全のため、神奈川県基地関係県市連絡協議会を通じ、事故防止及び必要に応じた基地内への立ち入りを引き続き要望して参ります。

 

3)日米地位協定について

 

次に、基地対策に関する質問の最後として日米地位協定の見直し・改定に関する市長の所見を伺って参りたいと思います。

 

冒頭、申し上げましたように、今回の新型コロナウイルスオミクロン株の日本国内の感染拡大の一因には、松野官房長官も認めるように在日米軍基地に由来するものがあり、その最大の原因としては、米軍人等が米軍基地を通じて入国する場合、日本の検疫が行われないことが挙げられます。

 

日米地位協定第9条は、出入国管理に関する日本の法令が米軍人等には適用されない旨を定めておりますが、実は検疫についての明文規定は書かれておりません。しかし、検疫については日米合同委員会合意で取り決めがなされ、この合意の中では、米軍人等の検疫は原則として米国側の手に委ねられております。さらに、国内法令である「外国軍用艦船等に関する検疫法特例」が検疫法の多くの規定を適用除外としていることから、米軍人等が在日米軍基地を通じて入国する場合、日本側は検疫に関与することができない、すなわち国内法が適用できないこととなっているわけであります。

 

日米地位協定の場合、検疫のみならず国内法が原則不適用となっておりますが、他国の地位協定と比較してみると、その異様さが明らかとなります。

 

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他国地位協定比較(沖縄県資料より)

これは、沖縄県が発行している「他国地位協定調査について」というパンフレットから引用したもので、ご覧いただければおわりのように、「国内法の適用」、「基地の立ち入り権」、「訓練・演習の承認・規制」、「警察権の行使」どれをとっても日本だけがその権限がないことになっております。

 

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他国地位協定-2(沖縄県資料より)

こちらは、NATO加盟国以外のオーストラリア、フィリピンとの比較ですが、同様に、日本だけが際立っております。

 

では、日本政府の考えはどうか言えば、次のような見解を示しております。

 

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日米地位協定 外務省ホームページ

答えの冒頭に「一般に」という記述がありますが、以前はこのような記述でした。

 

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日米地位協定 外務省ホームページ(~2019年)

以前は「国際法上の原則」かのように記述していたのですが、これを「一般に」と書き替えています。しかし、他国の地位協定を見ると日本の地位協定が「一般に」見られるようなものではないことは明らかです。

 

さて、市長はどのようにお考えなのでしょうか。日米地位協定の見直し・改定について、市長の見解を伺うものであります。

 

<市長>

本市ではこれまでも神奈川県基地関係県市連絡協議会を通じて、日米地位協定の見直しや運用の改善について要望しております。私としましても、基地の所在する自治体の首長として、今後も地位協定の見直しや運用の改善につきましては引き続き、神奈川県基地関係県市連絡協議会を通しまして、国に求めていきたいと考えております。

 

特に、新型コロナウイルス感染症対策におきましては、検疫や行動制限などは、地域の状況を鑑みながら適切な運用を図るべきであると考えております。

 

 

2.入札制度について

 

次に、一般質問の第2点目のテーマとして、本市の入札制度について伺って参ります。今回、取り上げますのは「最低制限価格」とダンピングの防止に関することであります。

 

まず、改めておさらいですが、入札とは

 

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入札とは

本市の公共工事請負の入札における最低制限価格の算定方法は「計算型」と「平均額変動型」という2種類が採用されております。

 

まず「計算型」とは、

 

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最低制限価格(計算型)

「平均額変動型」とは、

 

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最低制限価格(平均額変動型)

わかりにくいと思いますので、例を挙げますと、

 

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平均額変動型の例

この場合の落札者は、B社ということになります。

 

本市において、計算型と平均額変動型の区分は以下のようになっております。

 

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区分

以上のようになっておりますが、まずは、なぜ2種類の算定方法を採用しているのか、その理由について説明を求めるものであります。

 

<総務部長>

平均額変動型を採用する理由は、積算した工事費等に対し定められた割合を乗じて求める計算型においては、事業者のノウハウにより、最低制限価格をおおよそ推測することが可能であると想定され、最低制限価格での入札が複数発生することに伴い、くじ引きでの決定が多数生じるものと考えております。平均額変動型は、最低制限価格が応札状況により、変動することから、入札の公正性が高まるとともに、入札業者自らが市場価格を反映しながら応札を行うため、市場価格に近い落札額となるものと考えております。

 

なお、金額の区分については、現在の区分に改正した時点における座間市工事請負に関する条件付き一般競争入札事務取扱基準の別表第2(参加基準)に規定されている金額区分にもとづき設定しております。

 

 

2020年度(R2年度)の本市の工事入札結果データを基にして、予定価格に対する最低制限価格の割合(最低制限価格率)を調べてみますと、次のような結果となりました。

 

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2020年度入札結果より

 

「計算型」が平均89.25%であるのに対し、「平均額変動型」は82.13%となっており、7.12ポイントもの差が生じております。

 

本来最低制限価格とは、ダンピングを防止し、公共工事の品質を確保するためのものとされておりますが、当該年度「平均額変動型」では70%台となっている落札もみられ、ダンピングが懸念されるところであります。

 

こうしたことから、本市が現在運用している「計算型」と「平均額変動型」の区分の見直し、または「平均額変動型」を廃止し、「計算型」のみとするなとなどが必要と考えますが、当局の見解を伺うものであります。

 

<総務部長>

計算型では最低制限価格の割合をある程度推測することが可能なため、最低制限価格又はその付近での落札が多くなる傾向がある一方、平均額変動型では主たる要因として、入札の平均額に90%を乗じた額を最低制限価格とすることから、予定価格に対する最低制限価格の割合は低くなるものと捉えております。このため最低制限価格の割合に差はありますが、落札率からみますと計算型が89.26%、平均額変動型では89.08%となっており、最低制限価格の割合ほどの差分が見受けられないことから、適切な入札が行われているものと捉えております。

 

入札制度につきましては、ここ最近では令和2年9月に入札での地域区分を原則第一地域、本店所在地が座間市内にある事業者に限定すること、また令和3年4月からは共同企業体による受注を可能とするなど、地元業者育成等の観点も踏まえ改正を行って参りました。予定価格の区分や最低制限価格の見直しにつきましては、落札率の推移、県や他市の状況等を注視し、引き続き研究して参ります。

 

 

3.国民健康保険税の改定について

 

次に、一般質問の第3点目のテーマとして、国民健康保険税の改定について、お聞きして参ります。

 

本議会には、座間市国民健康保険税条例の一部を改正する条例が提出されております。今回の改定では、所得割、均等割、平等割のうち、平等割の一部で値下げが行われますが、保険税の総額見込みでは約1億6000万円の値上げとなる内容になっております。

 

この値上げの理由について当局は、次の点をあげております。

 

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保険税改定の理由

これは一体どういうことかと言いますと、 国民健康保険税の賦課・徴収の仕組みはこのようになっております。

 

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国民健康保険税 賦課・徴収の仕組み

一言で値上げの理由を言うならば、

 

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現状

以上のようなことから、保険税率と税額の値上げを行うというものであります。

 

ではその結果、国保加入者の負担はどのようになるのか。当局が示したシュミレーションを基にグラフしてみましたので、ご覧ください。

 

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一人世帯(税額)

これは、介護分が発生する40歳以上の1人世帯の場合で、税額で所得段階ことに並べてみたものです。税額で見ると所得の高いほど保険税額が高くなるという累進が機能しているように見えます。

 

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負担率(一人世帯)

しかし、これを所得に対する税額の割合、負担率で並べてみると、年間所得が100万円の人の負担率が最大で13.4%、年間税額13万4250円となります。次に負担率が大きいのは年間所得82万円の人で12.4%、年間税額は10万470円となり、その次が所得200万円の人と、低所得者の人ほど負担が重いという実情が明らかになります。

 

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四人世帯税額

次に、4人世帯で同じく介護分が発生する場合ですが、ご覧の通り、税額でみると、これも累進が発揮されています。

 

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四人世帯負担率

しかし、これを所得に対する税額の割合で並べみると、年間所得60万円の世帯では負担率は、なんと19.9%、所得の約2割が保険税で消えることになります。この場合でも、法定減免の対象となる低所得者ほど所得に占める保険税の負担が重いことが明らかになります。

 

以上 2つの具体例をお示ししましたが、改定後の税額は、特に低所得者にとって、その負担能力、担税力を超えるものとなっているのではないでしょうか。当局の見解を伺うものであります。

 

<健康部長>

国民健康保険税については、令和8年度には市町村ごとの医療費の給付水準にかかわらず、被保険者数及び所得水準に基づいた納付金に対し保険料率が定められることになります。このため今回の改定においては、神奈川県が定める標準保険料との乖離を段階的に近づけていくことで、被保険者への負担が急激にならないように配慮したものです。

 

標準保険料は、運営主体である神奈川県が定めるものでありますので、神奈川県において所得に応じた担税力を考慮したものであると考えます。

 

 

次に、いわゆる赤字補てんのための一般会計からの繰入金についてお聞きしたいと思います。

 

国民健康保険事業の構造的問題の一つに、担税力の乏しい低所得者が多いということは、誰しもが認めることであります。

 

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国保加入者の所得区分

これは、本市の所得階層別加入者の状況です。「所得なし」が35.17%、所得100万円以下が26.93%で、合わせて所得300万円以下が90.84%を占めており、所得300万円以上は、わずか9.16%です。

 

国も、県も、そして座間市当局も、赤字補てんのための一般会計からの繰入金の削減・解消をめざすという流れが進んでおりますが、一般財源、すなわち税金を投じて、低所得者の保険税額を抑制することは間違っているのでしょうか。当局の見解を伺いたいと思います。

 

<健康部長>

事業執行に必要な財源不足に伴う一般会計からの法定外繰入については、段階的に削減し、解消していくことを目指します。このことは国民健康保険の運営主体である神奈川県の運営方針に基づくもので、本市には判断する余地がないため、一般財源の投入による低所得者の保険税額の抑制することについて、間違っているか否かについては見解を持ちえない状況です。なお、低所得者への保険税の軽減及び減免については、必要に応じて国及び県に要望していきます。

 

 

4.市道30号線の交通安全対策について

 

次に、一般質問の第4点目として、市道30号線の交通安全対策についてお聞きして参ります。

 

この市道30号線の交通安全対策については、過去2回にわたって指摘をして参りましたが、残念ながら本年1月に再び事故が発生しました。

 

こちらは市道30号線の現況です。

 

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座間中学校前

特に危険な区間は、この座間中学校前から県道51号線に至る区間です。

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緑ヶ丘5丁目

 

狭い道路をトラックも行きかいます。

 

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事故現場

今年1月の事故現場です。青色の小型ダンプが鉄製のポールに衝突した後、被害にあった事業所の中に突っ込んだとのことです。

 

実は、昨年3月議会でも取り上げましたが、一昨年12月に全く同じ場所で、同じように鉄製のポールに衝突した後、乗用車が横転するという事故がありました。

 

幸いにも、人身事故とはなりませんでしたが、もし児童・生徒の下校時であったならばとり返しの使い事態となった可能性があります。児童・生徒の人身事故が発生する前にさらなる対策を講じるべきだと考えますが、今回の事故を受けての当局(都市部及び教育委員会)の見解を求めたいと思います。

 

<都市部長>

市道30号線については、通学路もある中、片側歩道箇所もあり、現状では安全な道路とは言えないという認識でおりますが、道路南側に歩道を整備するためには、旧消防庁舎南側斜面を整備する必要があります。これは平成31年第一回定例会で前任者が答弁したとおり、現段階で道路事業単独での歩道拡幅工事はございません。

 

しかしながら、市道30号線の旧消防庁舎南側の区間は地形が急峻であることや現況の幅員が狭いこと、片側歩道による潜在的問題のある道路として認識していることから、これまでに安全確保のため、県道との取り付け部の改善工事や道路狭隘部分のカラー舗装及びポストコーンの設置、また近年では鋼製の車止めポールの増設、振動舗装による車両の速度低減対策を行い、危険個所の解消を図ってまいりました。

 

今後の交通安全対策としては、現況道路で可能な安全対策について、交通管理者である座間警察署とも連携し、他市で実証実験が行われております通行車両のスピード抑制が期待される「スムース横断歩道」といったものがあり、この対策は路面より10cmほど高くし、赤く塗装し目立たせる横断歩道を設置することで、通行車両のスピード抑制や横断歩道の認識性の向上などの効果が期待され、実際他市では通行車両の速度が30kmを下回る結果が出ていることから、今後このような対策も検討して参ります。

 

<教育部長>

通学路における児童生徒の安全確保には、教育委員会と学校が連携した取り組みが必要だと考えます。具体的には、通学路変更の検討やコミュニティスクール制度を活用した地域の方々との課題の共有、児童生徒への安全教育のさらなる推進等があげられます。