2022年9月 討論

それでは只今議題となっております議案、請願及び陳情について、賛成並びに反対の討論を行います。

 

遠藤市長時代の問題ある事業をそのまま引きずったままの予算

 

まず、議案第38号、2021年度の一般会計決算の認定について反対の討論を行います。

私は、この年度の予算審議において、次のように述べました。

 

「昨年9月の市長選挙において遠藤市政から佐藤市政へと替わったにもかかわらず、予算編成上は旧来の遠藤市政時代から大きな変化がありません。確かに市長就任後間もないという時間的な限界もあったことでしょう。また、地方自治体の行政事務のほとんどが、様々な国の法令によりがんじがらめとされ、首長の裁量権を行使できる範囲は極めて限定的であることも間違いないと思っております。私の感覚では、地方自治体の事務や事業のうち95%は誰が首長になろうが、同じようなことをやらざるを得ないという状況にあると思っています。逆に言えば、5%は首長の裁量権を行使し、独自の施策や事業展開ができるのではないかということであります。ところが今回の予算編成は、この僅かな裁量権を行使し、きらりと光る施策展開があるかといえばそうではなく、遠藤市長時代の問題ある事業をそのまま引きずっていることが最大の問題であると思います。」

 

 

 

と、述べましたが、こうした私の考えは、予算執行を終えた本決算審議においても変わっておりません。以下、いくつかの事業等を例示し、具体的に指摘して参りたいと思います。

 

住民合意がないままの設計予算の計上と執行

 

まず、都市再生整備計画推進事業費の歩行者用上空横断施設設計委託料についてであります。この歩行者用上空横断施設とは、座間市側の小田急相模原駅前西地区再開発事業で建設された商業・公益棟と相模原市側の再開発施設とを上空で横断する歩行者用通路、いわゆるペデストリアンデッキでありますが、当該決算年度では、前年度の繰り越し分1001万円と当該年度の委託料1263万200円、あわせて2264万200円が執行されております。

 

しかし、このペストリアンデッキに係る設計委託料の支出は、この年度だけではありません。2016年度(H28年度)から6年にわたって毎年毎年、設計委託料が支出され、その合計額は7798万1600円にも及んでおります。

 

私が今定例会の決算審議において、なぜこうした事態となったのかと質したところ、当局の答弁は「本市として前例のない施設であり、関係者との協議の中で進めてきたもので、やむを得ないものだった」と答弁されておりますが、けっして「やむを得ない」では済まされるものではありません。

 

本事業では、接続先となる相模原市側のラクアル・オダサガ管理理組合との協議と同意が必要となりますが、協議が整っていないにもかかわらず、6年間にわたって設計予算を計上し続け、執行してきたという、事業執行の在り方が問われなければなりません。このような、極めて妥当性に欠く事業執行プロセスに対しては、当局の猛省を促すものであります。

 

事業費が約2倍に膨らんだキャンプ座間返還地公園

 

次に、キャンプ座間返還地公園、広場、緑地等整備事業費についてであります。本事業は、当該決算年度4億4523万2470円が執行され、本年4月に開園しておりますが、同返還地にすでに完成している消防庁舎と同様に、計画時と比べて大幅な事業費増をなっております。本事業は、2017年度実施計画段階での事業費の総額の見込みは4億9,000万円であったものが、2020年度の実施計画段階では、8億5,000万円となり、当該決算年度の予算執行を含めて総事業費は、9億6400万円余と、当初見込みの2倍近くとなっております。

 

遠藤市長時代に策定されました「キャンプ座間返還跡地利用構想」では、基本的な考え方として、「施設整備等に当たっては、市の財政負担を極小にする」としながら、事業費を当初計画の2倍に膨らませるとは、全くもって理解に苦しむ次第でありますし、適正な事業執行とは認められません。

 

一方で保育園待機児童対策はおきざり 3年連続待機児童ワースト1位

 

一方、遠藤市長時代、こうした一部の事業費が大幅増となる中で、本市の対応が決定的に遅れたのは、保育園の待機児童対策でありました。本市における保育園待機児童数(各年度4月1日段階)は、2020年度が69名で神奈川県下33市町村中ワースト1位、2021年度が59名でこれもワースト1位、そして2022年度が50名でまたもやワースト1位となり、3年連続ワースト1位と不名誉な記録を更新中であります。

 

この主な原因は、2011年度開始された第四次座間市総合計画の戦略プロジェクトの一つに、公立保育園の建て替えにあたって、国庫補助を活用するために民営化し、規模拡大、定員増を図ることが示され、2012年度には保育園整備計画の策定、2013年度には民間移管に係る選定委員会が開催されていたにもかかわらず、民営化に向けた代替地問題を保留状態にし続け、結局のところ、第四次座間市総合計画の終了年度である2020年度までに、公立保育園の建て替え、規模拡大、定員増、民営化は一園も実施することができなかったことによるものであります。

 

ではなぜ、代替地問題を保留状態にし続けたかと言えば、当初予定されていた旧消防庁舎用地について、新消防庁舎の返還地内での新築はいち早く決定したものの、跡地利用については、擁壁の築造の判断を一度は決定しながら、翌年度にはそれを翻すというドタバタを演じ、結局、代替地が決まらない、すなわち、公立保育園の建て替え、規模拡大、定員増が決まらない状態を続けてきたからであります。

 

その間、前市長が熱心に取り組まれた新消防庁舎や返還地公園整備には、潤沢な事業費が投入される一方で、保育園待機児童の解消については、後回しにされて来たとしか言いようがなく、返還地に係る事業の事業規模や予算配分の適格性においても、一方、保育園待機児童対策の緊急性からしても、大きな問題であると指摘せざるを得ません。

 

何のための補助金支出だったのか?!

 

次に、商工会補助事業費の商工会本館テレワーク等改修工事補助金についてであります。本事業は、座間市商工会が老朽化している商工会本館を改修し、テレワークやコワーキングスペース等の施設=Bizプラザを設置することに対し、本市が5180万円、補助率95%の補助金を支出したものであります。

 

次に、商工会補助事業費の商工会本館テレワーク等改修工事補助金についてであります。本事業は、座間市商工会が老朽化している商工会本館を改修し、テレワークやコワーキングスペース等の施設=Bizプラザを設置することに対し、本市が5180万円、補助率95%の補助金を支出したものであります。

 

 当該決算年度の11月にオープンをしておりますが、本定例会の決算審議において、これまでの利用実績を尋ねたところ、8部屋ある個室は年間契約が3件、時間単位の貸し出しを行っているフリースペースでは11月から3月までの利用実績はゼロ、4月は2件、5月はゼロ、6月は1件、7月は1件という極めて低調な利用状況であることが、明らかとなりました。

 

この実態について当局は、「利用状況の多寡が評価の全てではありませんが、施設の機能等についてより一層の周知を図り、活用いただくことで、市内事業者や在宅勤務が困難な方の支援の一助になるものと考えます。」と答弁されておりますが、この答弁には首をかしげざるを得ません。なぜかと言えば、この答弁では「意義あるものなのだから、利用者が少なくても問題ない」と言っているように聞こえてしまうからであります。

 

私は、オープンからまだ1年も経過しておりませんので、現段階では「補助金支出の妥当性がない」と断定致しませんが、この程度の利用状況が続くならば、客観的に見ても補助金支出の妥当性、何のための補助金支出だったのか、ということが問われることになるでしょう。もう少し深刻に捉えた方がよいと思います。

 

以上、何点か具体的に示して参りましたが、当該年度決算は、佐藤市長として初めての予算編成と執行ではありましたが、冒頭引用致しました通り、遠藤市長時代の問題ある事業をそのまま継続したものが多々見られ、かつ、それが、本市の市政運営を歪めてきた、と考えることから、当該決算認定には反対をするものであります。

 

次に、議案第42号の水道事業会計決算の認定及び未処分利益剰余金の処分については賛成の討論、議案第39号から議案第42号までの国民健康保険事業特別会計介護保険事業特別会計、及び後期高齢者医療保険事業特別会計の決算認定についてと議案第43号の公共下水道事業会計決算の認定及び未処分利益剰余金の処分について、反対の討論を行うものでありますが、それぞれの賛成及び反対理由は、当初予算時の討論で、すでに述べておりますので、この場では省略致します。

 

次に、議案第44号の2022年度の一般会計補正予算についてありますが、概ね妥当な措置であると認め、賛成するものであります。

 

次に、議案第45号座間市児童発達支援センター条例についてでありますが、必要な条例整備であると認め、賛成するものであります。

 

学校給食費の公会計化 食物アレルギー等で一部摂取できない児童の給食はどうする? 

 

次に、議案第46号座間市学校給食費の管理に関する条例についてであります。

 

本条例は、本市の学校給食のうち、座間市立小学校に係る学校給食費の管理に関して、これまでの私費会計を改め、公会計とするための条例制定であります。学校給食の公会計化については、私は今から14年前の2008年第四回定例会の一般質問において、給食費の私費会計について、次のような指摘をしておりました。

 

  • 本市の会計規則が適用されず、取扱基準も各校において違いがあること。
  • 各校の給食費決算報告書では、未納・滞納分がいくらか明らかでなく、債権管理が不透明であること。
  • 地方自治法が適用されないため、住民監査請求の対象とならないこと。
  • 未納があったとしても、徴収した収入の範囲内での食材購入となること。

 

以上のことから、給食費は公会計化すべきであると主張しておりましたので、それから14年が経過したとはいえ、条例制定に至ったという点では、評価をするものであり、賛成をするものであります。

 

しかしながら、この際ですから、指摘事項及び懸念事項を申し上げておきたいと思います。

 

まず、条例第3条第2項において、「保護者が負担すべき学校給食費の額並びに納付の方法及び期限は、規則で定める」として規則に委任し、参考資料として示されている規則(案)第5条において、「学校給食費の額は、月額4500円とする」と定められておりますが、本来ならば学校給食費の額は、議会の議決対象となる条例で定めるべきものである、と考える次第であります。

 

次に、食物アレルギー等により児童が学校給食の一部を摂取することができない場合の給食費の徴収についてであります。条例では第3条第2項において、規則に委任しているため、その規定はありません。また、規則(案)第5条第1項のただし書き部分で「小学校第1学年の4月分の給食費の額」についてと、同条第2項において「児童の転出入等の理由により月の途中から学校給食を受け、又は受けない場合」の額についての定めはありますが、食物アレルギーやその他の事由により、特定の食物を摂取することができない場合の給食費の額についての定めはありません。

 

一方、規則(案)第4条第2項において、「保護者等は、食物アレルギー等によりその児童が学校給食を摂取することができない場合は、あらかじめ学校給食辞退届を市長に提出しなければならない」とありますから、この条例と規則(案)を読む限り、学校給食を全て辞退するか、一部摂取できない食物があった場合(例えば、牛乳アレルギー場合とか)でも、給食費はすべて納付しなければならないことになります。

 

条例は議会の議決事項であり、規則は市長が定めるものでありますので、本条例が可決した後に、規則が正式に定められることになることと思います。その際にはぜひ、食物アレルギー他、なんらかの事由により、学校給食を一部摂取することができない児童に対する規定を、規則に盛り込むべきであるということを申し添えておきたいと思います。

 

育児休業条例の改正 誰でもが安心して育児休業を取得できる職場環境を

 

次に、議案第47号座間市職員の育児休業に関する条例の一部を改正する条例についてでありますが、必要な条例改正であると認め、賛成をするものであります。

 

2021年度、本市職員の育児休業取得率は、女性は100%ですが、男性は23.1%と、まだまだ男性職員の取得率が少ないのが現状であります。条例改正にあたって、男性であれ、女性であれ、また、非常勤職員であれ、安心して、気軽に育児休業が取得できるような職場環境の整備に注力されることを望むものであります。

 

次に、議案第48号座間市印鑑条例の一部を改正する条例についてでありますが、本条例の一部改正は、印鑑登録における登録事項から性別を削除するもので、証明内容からして、性別表記の妥当性はなく、かつ多様な性への配慮という観点しても、適切な条例改正であると認め、賛成をするものであります。

 

次に、議案第49号の2022年度の一般会計補正予算及び議案第50号の和解及び損害賠償の額を定めることについて、でありますが、概ね適正な措置であると認め、賛成をするものであります。

 

最後に、ただいま議題となっております請願及び陳情についてでありますが、請願第2号「義務教育に係る国による義務教育財源の保障、教育の機会均等と水準の維持・向上並びに行き届いた教育の実現を求める請願」及び陳情第27号「新たなパートナー制度についての陳情」については、請願、陳情の趣旨に賛同し、採択すべきものと考えます。

 

陳情第32号「中国共産党による臓器収奪の即時停止並びに人権状況の改善を求める意見書の提出を求める陳情」及び陳情第33号「性的マイノリティ―に関する施策を慎重に協議することを要望する陳情」については、その趣旨に賛同することはできませんので、不採択とすべきものと考えます。

 

以上で、只今議題となっております議案、請願、陳情に関する賛成並びに反対討論とし、議員の皆様のご賛同をよびかけ、討論を終わります。