2022年12月 討論

それでは、ただいま議題となっております議案及び請願、陳情について、賛成並びに反対の討論を行います。

 

2022年度補正予算について

 

まず、議案第59号から64号までの2022年度一般会計、特別会計企業会計補正予算及び議案第80号の一般会計補正予算につきましては、概ね妥当な措置であると認め、賛成をするものでありますが、一点だけ事業執行にあたって申し述べておきたいと思います。

 

生活保護医療扶助資格確認におけるマイナンバーカード導入について

 

それは、生活保護費の生活保護運営対策事業費であります。本事業は、生活保護の医療扶助にマイナンバーカードによるオンライン資格確認を導入するためのシステム開発委託費であり、国は2023年度より運用を開始し、今後医療扶助の資格確認は、「原則としてマイナンバーカードにより行う」としております。

 

ここで重要な点は、マイナンバーカードによる医療扶助の資格確認が、生活保護受給者の任意の選択によることが、しっかりと担保されるのかどうか、という点であります。行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律、いわゆるマイナンバー法では、マイナンバーカードの発行について、「住民基本台帳に記録されている者の申請に基づき」とありますから、あくまでも発行を希望する者の申請であり、法的には任意性が示されております。

 

よって、生活保護医療扶助受給者に対し、間違っても「強制」と取られるような勧奨は、厳に謹むべきであります。この点について、予算決算常任委員会民生教育分科会において、当局の考えを質しましたが、受給者に対し、「あくまでも任意であることを明示する」旨の答弁がありましたので、その対応方を評価するものであります。

 

職員定年年齢引き上げに伴う関係条例について

 

次に、議案第65号座間市職員の降給に関する条例、及び議案第66号座間市職員の高齢者部分休業に関する条例について、賛成の討論を行います。両条例案は、来年度より開始されます職員の定年年齢の引き上げに伴うものであり、妥当な措置をあると認め、賛成をするものであります。

 

座間市個人情報の保護に関する法律の施行等に関する条例について

 

次に、議案第67号座間市個人情報の保護に関する法律の施行等に関する条例について、反対の討論を行います。率直に申し上げて、本条例の賛否については、大変迷った次第でありました。これまでの座間市個人情報保護条例の保護水準や権利水準を最大限維持した運用に努めたい、とする当局の姿勢については評価をするものでありますが、法の規定上から、どうしても個人情報の保護水準や市民の権利水準が低下することについては、容認できません。以下、私の基本的な考え方を申しあげておきたいと思います。

 

国の法改正に対する評価

 

まず、2021年に改正された個人情報の保護に関する法律に対する私の評価を申し上げます。2021年に成立した「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」では、個人情報保護制度の「見直し」として、民間事業者を対象とした個人情報保護法、国の行政機関を対象とした行政機関個人情報保護法、国の独立行政法人等を対象とした独立行政法人個人情報保護法という3本の法律を「個人情報の保護に関する法律」にまとめ、これまで法の適用が行われていなかった地方公共団体も法の対象とされてしまいました。

 

これは、国に先行して各地方公共団体の創意工夫で制度化が進められた地方公共団体の個人情報保護制度を画一化するものであって,憲法第92条に定める地方自治の本旨に反し,憲法第94条地方公共団体条例制定権を不当に制限するものであると考えます。また,地方公共団体における個人情報保護制度全般の後退を招くことが危惧され,これにより, 個人のプライバシー権が侵害される危険性は増大するため,デジタル社会推進を謳う今回の法改正が,かえってデジタル社会の存立基盤を危うくすることとなりかねません。

 

また、法の内容上も、これまで地方公共団体が独自に規律してきた制限を緩和し、個人情報の「保護」から積極的な「活用」へ転じるものと言え、地方公共団体の個人情報保護の水準や、市民の権利を後退させるものと言わざるを得ません。

 

市当局の姿勢について

 

おそらくこうした認識は、本市の担当者も同様であろうかと思います。しかしながら、問題のある法であったとしても、成立した以上地方公共団体は、法の範囲内で、条例を定めることとなります。こうしたことから私は、これまで市当局に対して、法のもとで、これまでの本市の個人情報保護条例の水準を維持しながら、どのような運用を行っていくのか、という点を中心に質して参りましたが、その結果と私の評価について、申し述べて参ります。

 

まず、基本的な考え方についてですが、当局は「これまで本市が運用してきた個人情報保護の水準を維持していきたい」との答弁でありました。これについでは、その姿勢は評価するものであります。

 

個人情報の定義の違いについて

 

次に、本市の現行条例と法との違いに関して、その具体的な運用についてでありますが、まず「個人情報の定義」の違いについてであります。法は個人情報の定義について「生存する個人に関する情報」として、死者の個人情報は対象としておりません。

 

一方、本市の現行条例では、個人情報の定義を「個人に関する情報」として、死者も対象となっており、死者の配偶者、子供及び父母が、自己情報の開示請求権を行使することができ、さらに配偶者においては事実婚の配偶者も対象としております。

 

この点について、本定例会の総括質疑において質したところ、当局は国の個人情報保護委員会事務局が公表している「個人情報の保護に関する法律についての事務対応ガイドライン」から引用し、「死者に関する情報を個人情報として定義することは許容できないが、死者に関する情報が同時に、遺族等の生存する個人を識別することができる場合に限り、当該生存する個人を本人とする個人情報に該当する」として、この解釈の範囲内で死者に関する情報についての開示請求を行うという答弁でありました。

 

しかし、この解釈では、「個人情報の中に遺族の情報が含まれている場合にのみ遺族に関する個人情報として開示請求を認める」と、極めて限定的であります。故に、例えば、あってはならないことではありますが、いじめ自殺事件に関して、いじめの調査に関する当該児童・生徒の個人情報を遺族である保護者は開示請求を行うことができなくなると思われます。こうした事案に対しては、法と提案されている条例案ではおそらく対応することは不可能であり、明らかな権利水準の低下となります。

 

よって、こうした事案にしっかりと対応するためには、別に条例を制定し、死者の情報について、個人情報とは別の定義を設けて開示請求等を認める仕組みを作るべきだと考えます。この場合、個人情報には該当しないため、法令上の制約はありませんので、地方公共団体の条例自主権を行使すれば可能だと考えますので、当局の検討を促すものであります。

 

要配慮個人情報(センシティブ情報)について

 

次に、要配慮個人情報についてであります。要配慮個人情報(センシティブ情報)は,本市の現行条例では取扱いに配慮を要する個人情報として、人種、信条、社会的身分、犯罪の経歴について,取扱いの制限を定めております。

 

総務省の2019年度「地方自治情報管理概要」によれば,情報の種類による収集・記録規制を設けている地方公共団体は,都道府県で45団体,市区町村で1644団体にも上っています。 他方,国の行政機関は要配慮個人情報の収集制限をなかなか導入しようとしておりませんでした。2015年の個人情報保護法改正により,民間事業者については取得制限が導入され、行政機関個人情報保護法にも要配慮個人情報の定義だけが導入されましたが,個人情報ファイル簿への記載を義務付けるにとどまり,取扱いの制限は行っておりません。

 

国の行政機関が,法に基づき個人情報を取り扱うからといって,要配慮個人情報の取扱いについて制限せずにおくことが妥当とは言えず,本来ならば国の行政機関こそ、速やかに要配慮個人情報についての取扱制限を導入することが必要だったはずであります。

 

にもかかわらず,2021年の改正法の解釈では,要配慮個人情報の取得や提供等に関する独自の規律を追加することなどが地方公共団体には許されないとしております。これでは、これまで地方公共団体が要配慮個人情報を規定してきた意義を大きく損ない,個人情報保護の後退をもたらすと言わざるを得ません。

 

要配慮個人情報ついて市当局は、「法では、特別な規定を設けておりませんが、不当な差別や偏見その他の不利益が生じないように、その取扱いに特に配慮を要するものとして、慎重に取り扱う」と、答弁されております。その姿勢は評価致します。しかし、法の条文で明文化されていないわけですから、後ほども述べますが、本市における運用指針=ガイドラインを策定し、こうした運用姿勢を明記すべきである、と考える次第であります。

 

「本人収集の原則」と「目的外利用の禁止」について

 

次に、「本人収集の原則」と「目的外利用の禁止」についてであります。本市の現行条例では「個人情報を収集するときは、本人から収集しなければならない」「取扱目的以外の目的のために保有個人情報を利用し、提供してはならない」と規定され、これらは地方公共団体の標準的な原則として運用されてきました。しかし、法ではそれらの規定はないばかりか、利用目的の変更も認められております。

 

これについて当局は「本人からの直接収集に関する規定の趣旨は、法の個人情報の保有の制限等及び適正な取得の趣旨に含まれる」と答弁されております。また「利用目的の変更」については「変更前の利用目的と関連性やその合理性を慎重かつ適切に判断する」とし、「従前と同水準の個人情報の保護が図られる」としております。ならば、「本人収集の原則の趣旨」や「利用目的の変更に関する合理的判断についての基準」をガイドラインに示すべきであると考えます。

 

個人情報ファイル簿について

 

次に、個人情報事務の登録と個人情報ファイル簿についてであります。法では個人情報ファイルの作成が義務化されます。一方、事務登録については残すことも認められておりますが、本市では個人情報ファイル簿に一本化する予定とのことであります。違いは、個人情報事務の登録は、事務単位での取扱になりますが、個人情報ファイルは、複数の事務で利用して一つのファイルが構成される場合があります。個人情報事務の登録は、取り扱う事務において個人情報があればすべて対象となりますが、個人情報ファイルは、1000人以上の個人情報を含むファイルについてのみ作成義務があるとされております。

 

個人情報ファイル簿は公表されるものですから、1000人未満の個人情報を含むファイルを作成しないとするならば、今までの個人情報取扱事務登録で確保されていた透明性が低下することとなります。個人情報保護委員会が示している「個人情報の保護に関する法律についてのQ&A(行政機関等編)」では、「個人情報の数が1000人未満でも個人情報ファイル簿の作成は妨げられない」としておりますから、本市においては、1000人未満であっても個人情報ファイル簿を作成するという運用を行うべきであります。

 

市独自のガイドラインの作成を

 

以上、現行条例と法との違い中で、どのような運用を行っていくのか、という点について、私の意見も交えながら述べて参りましたが、最後に総じて指摘しておきたいのは、運用にあたっての本市独自のガイドラインの作成であります。国の法改正で、地方公共団体まで一律に法の対象となる中で、これまでの個人情報保護の保護水準や市民の権利水準をなんとか守りたいとするならば、その運用方針を明文化したガイドラインを作成すべきであります。さらに、市民に対しては、わかりやすく周知するパンフレット等を作成すべきである、と考えますので、その対応を期待するものであります。

 

地方公務員法改正に伴う条例整備について

 

次に、議案第68号地方公務員法の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整備に関する条例についてでありますが、概ね妥当な措置であると認め、賛成をするものであります。

 

行政組織条例の一部改正について

 

次に、議案第69号座間市行政組織条例の一部を改正する条例に、賛成の討論を行います。本条例案は、第五次座間市総合計画基本構想に示される政策・施策を遂行するために組織編成を改めるものでありますが、基本的に、政策・施策と組織編成が一体となっていること、また、これまで指摘してきたところではありますが、高齢者福祉と介護保険、広報と広聴が同一の部ではなかった点が、改められたことなどから、概ね妥当な措置と認め、賛成をするものであります。

 

職員定数条例の一部改正について

 

次に、議案第70号座間市職員定数条例の一部を改正する条例に、賛成の討論を行います。本条例改正案は、職員定数を現行873人から30人増やし903人とし、その内訳は、市長部局の職員の定数を25人増やし537人から562人とし、教育委員会の職員の定数を1名増やし95人から96人とし、消防職員を4名増やし175名を179名とするものであります。また、職員のうち、休職者や育児休業者などを定数外とする規定を新たに追加するものであります。なお、この定数30人増の根拠については、来年度より開始される定年年齢の引き上げに伴う人員増分として14人、休職者等の対応分として16人と示されております。

 

本来ならば、第5次座間市総合計画基本構想の政策・施策を遂行する組織機構改革に合わせて、必要な人員体制を定めることが求められていたわけでありますが、本条例案は極めて限定的、緊急避難的な定数改正に留まっております。

 

これに対し市長及び当局は、「新組織における必要な人員体制に基づく定数については、来年度以降の状況を踏まえて検討したい」としております。言わば、一定の試行期間を経て、総合計画の政策・施策を遂行する適切な定数と定員管理計画を策定したい、とのことでありますので、その対応を概ね理解し、今回の暫定的な定数改正に賛成するものであります。

 

なお、適切な定数及び定員管理計画の検討にあたっては、是非とも各課の現場の声を反映させていただきたいと思いますし、常勤職員と非常勤の職員とのバランスにも考慮していただくよう、申し上げておきたいと思います。

 

市職員の定年等に関する条例の一部改正について

 

次に、議案第71号座間市職員の定年等に関する条例の一部を改正する条例についてでありますが、本条例案は定年年齢の引き上げと管理監督職勤務の上限を定めるものでありますが、概ね妥当な措置と認め、賛成するものであります。

 

市議会議員、市長、副市長などの期末手当引上げについて

 

次に、議案第72号座間市市議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例、並びに議案第73号座間市常勤特別職職員の給与に関する条例の一部を改正する条例に、反対の討論を行います。

 

条例案は、市議会議員、市長、副市長、教育長、公営企業管理者の期末手当の支給割合を年間で0.1か月引上げ、4.3か月とするものでありますが、認めることはできません。これは、毎回指摘をしているところでありますが、人事院勧告は、引き上げ分を勤勉手当に配分するとしており、勤勉手当のない常勤特別職や市議会議員の期末手当を引き上げることは勧告の内容とは異なり、人事院勧告に準拠したとは言えないと考えるからであります。したがって、人事院勧告に準拠しないとするならば、座間市特別職報酬等審議会に諮問し、その答申に沿って措置されるべきものであると考えるものであります。よって、両条例改正に反対をするものであります。

 

職員の給与関連及び退職手当に関する条例改正について

 

次に、議案第74号から議案第76号までの職員の給与関連及び退職手当に関する条例についてでありますが、これらは、人事院勧告に伴う給与改定と職員の定年年齢引き上げに伴う措置等であり、概ね妥当な措置であると認め、賛成をするものであります。

 

座間市立緑が丘保育園の廃止について

 

次に、議案第77号座間市保育所設置条例の一部を改正する条例についてでありますが、本条例の一部改正は、座間市立緑が丘保育園が2023年4月1日から民間の社会福祉法人による運営に変わることによるものであります。この緑ヶ丘保育園の民営化が本市の公式文書に初めて記載されたのは、今から10年以上も前のことです。2011年度から2020年度までの第4次座間市総合計画戦略プロジェクトにおいて、でありました。

 

ちなみにプロジェクト名は「保育園(私立を含む)の建替えを進めます」というもので、私立保育園については国庫補助金を活用した建替え、公立保育園については、国庫補助の対象とならないため、公立保育園の一部を民営化し、老朽化した園舎を建て替え、待機児童の解消のために、施設規模を拡大し、定員を増やすというものでありました。

 

本市の場合、公立保育園の一部民営化は、当時流行していた「民間でできるものは全て民間へ」などという、極めて安易で無責任な民営化論ではなく、老朽化した公立保育園の建て替え、規模拡大のための手段として、財政的な制約の中で、取り得る一つの選択肢としたものであります。

 

ところが、第4次座間市総合計画の期間であるこの10年間、戦略プロジェクトに掲げられた公立保育園の建て替えによる規模拡大は1園も実現せず、その結果、3年連続神奈川県内待機児童数ワースト1という不名誉な記録を続けている状態であり、これについては、当時の市長及び当局の責任が、厳しく問われなければなりません。

 

このように、戦略プロジェクトに掲げられてから、実に12年の歳月を経て、定員規模90名の新しい緑ヶ丘保育園(仮称:緑ヶ丘もえぎ保育園)がスタートすることとなりますが、常任委員会の審査においては、保育園事業者・保護者・市による三者協議の状況、引継ぎ保育の状況、民営化後の市の保育士の処遇等、確認をさせていただきました。その結果、現時点においては概ね適切な移行措置が取られているものと認め、本条例の一部改正に賛成をするものであります。

 

第五次座間市総合計画基本構想について

 

次に、議案第79号第五次座間市総合計画基本構想について、賛成の討論を行います。第五次座間市総合計画基本構想について、私の評価を有体に申し上げれば、「赤点ではないが、及第点ギリギリである」といったところであります。

 今年5月に公表された素案を見たときには、率直に申し上げて「一体どうなのか?」と感じたところでありました。具体的には、

 

  • 政策・施策ごとの目指す街の姿、すなわち目標が明確に示されていないこと。
  • 施策達成度合いを検証するまちづくり指標から、市民満足度調査がなくなっていたこと。
  • 施策の方向性と街づくり指標の設定において、到底相関関係があるとは思えない指標が多々見受けられたこと。
  • 本市の財産とでも言うべき、生涯学習が単独の施策ではなくなっていたこと。

 

等々といったことを、私は、一般質問や第五次座間市総合計画特別委員会において、指摘して参りました。

 

その結果、原案、そして今回の議案においては、修正・変更が行われ、私からすれば十分とは言い難いものではありますが、なんとか及第点ギリギリの総合計画基本構想となったのではないかと思う次第であります。市長はじめ職員の皆さん方におかれましては、是非とも、今回の総合計画で掲げた政策・施策の遂行にご尽力いただき、計画期間が終了した際には、及第点ギリギリをはるかに上回る成果を挙げていただきますよう、願いながら賛成をするものであります。

 

なお、一点だけ申し添えておきますと、総合計画特別委員会において私が、総合計画の政策・施策体系と連動する行政評価システムにおいて、外部評価の一つと位置付けられてきた市民意識調査を今後も継続するのかと、尋ねたところ当局は、「行政評価に市民アンケートを活用するかどうかも含めて検討する」との答弁でありました。現時点で方針が確定しているのかどうか承知しておりませんが、是非とも継続していただきたいと思います。本市の行政評価システムは、職員による内部評価と学識経験者による外部評価、さらに市民意識調査による市民アンケートを外部評価として位置付け運用されてきました。街づくり指標から「何々と思う市民の割合」という指標は大幅に減少してしまいましたが、政策や施策に対する市民満足度は、行政評価の一つの手段として有効であると思われますので、改めて求めておきたいと思います。

 

本市の災害対応体制の堅持を求める請願について

 

次に、請願及び陳情についてでありますが、まず、請願第3号本市の災害対応体制の堅持を求める請願について、反対の討論を行います。本請願の趣旨は、本市のこれまでの危機管理に対する組織体制が、「首長直轄運用方式」なるものであったとして、「引き続き市長の下で災害の状況にあわせて即応対処可能な危機管理業務が行われること」を求めております。

 

今までは「首長直轄運用方式」だったのか

 

しかし、請願者の言う「首長直轄運用方式」なるものを、本市は、採用してきたのでしょうか。2016年の組織機構改革で市長室の下に危機管理課が設置されましたが、当時、市長及び当局から、そのような説明はありませんでした。また、本市の市議会会議録検索システムに「首長直轄運用方式」というキーワード検索をかけても、一つもヒットしません。つまり、過去の会議録において、本会議、常任委員会を問わず、市長はじめ当局側も、議員側も、誰もこの言葉を使用した者がいない、ということであります。

 

「国や県の指針に基づいて」?

 

また、今定例会の一般質問において私は、当局に対して、「請願趣旨の文章からは、国や県の指針に基づいて首長直轄運用方式を採用したと読み取れるが、果たして国や県の指針において『首長直轄運用方式』」は推奨されているのか」と質したところ、当局の答弁は、「首長直轄運用方式が、明確に示されている通知や資料等は確認できない」とのことでありました。

 

以上のことから、請願者のいう「首長直轄運用方式」なるものは、事実に基づくものとは異なり、ある種の妄想的見解としか言いようがありません。よって、そのような事実ではないことに基づき、「引き続き市長の下で、即応対応可能な危機管理業務が行われる」ことは、本市の危機対応業務としては適切ではないと判断致しますので、本請願は採択すべきではないと考える次第であります。

 

10件の陳情に賛成

 

次に、陳情についてでありますが、

  • 陳情第34号「安心しておいしい市営水道を飲み続けていくために、有機フッ素化合物による地下水汚染の原因究明と市民健康調査を求める陳情」
  • 陳情第36号「最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求める意見書の提出を求める陳情」
  • 陳情第37号「旧統一教会座間市議会議員との関係について調査を求める陳情」
  • 陳情第38号「安全・安心の医療・介護実現のため、人員増と処遇改善を求める陳情」
  • 陳情第39号「介護保険制度の改善を求める陳情」
  • 陳情第40号「医療・介護・保育・福祉などの職場で働く全ての労働者の大幅賃上げを求める陳情」
  • 陳情第41号「国に私学助成の拡充を求める意見書の提出を求める陳情」
  • 陳情第42号「神奈川県に私学助成の拡充を求める意見書の提出を求める陳情」
  • 陳情第43号「座間市立市民体育館の駐車場を無料に戻すことを求める陳情」
  • 陳情第45号「有機フッ素化合物(PFOS、PFOA等)汚染の原因究明を求める陳情」

以上、10件の陳情については、概ねその趣旨に賛同致しますので、採択すべきものと考えます。

 

2件の陳情に反対

 

陳情第35号「潜在看護師を活用する意見書の提出を求める陳情」については、陳情趣旨において、「厚生労働省パンデミック対応のために潜在看護師の活用を求める意見書を提出するよう」求めておりますが、どのような具体的方策を求めるのか、条件はどのようなものを想定しているのか、等々の点が明らかではなく、意見書の作成は困難であると考えますので、同陳情は不採択とすべきものと考えます。

 

次に、陳情第44号民主主義・立憲主義の基盤である思想・良心の自由、請願権等を守るための陳情については、以下の理由で反対するものであります。

 

本陳情は、「特定の宗教法人および関連団体との関係を遮断する内容の宣言・決議をしないこと」や「公人および私人に対し、特定の宗教に対する信仰の有無を問うたり、その団体との関係を調査・質問したりしないこと」を求めておりますが、すでに各報道機関において報道されているとおり、この時期に、全く同じ文章の陳情文が全国各地の地方議会に提出されているとのことであります。

 

陳情趣旨には、「市長や市議会が特定の宗教及びその関連団体との関係を遮断することは、地域内の関連団体や信者らの憲法第19条の思想・良心の自由、憲法第20条第1項の信教の自由に対する侵害となることはもちろん、憲法第16条で保障されている請願権の侵害となり、憲法第14条第1項で保障されている法の下での平等に違反することになる」とのことが記されておりますが、例示されている憲法各条文を、どのように読めばそういう解釈となるのか、全くもって、理解不能であります。

 

思想及び良心の自由や信教の自由は、個人の内心にかかわることであり、この保障は絶対的であり、国家権力が個人の内心の思想に対し、不利益を課したり、禁止することはできないというものであります。

 

一方、個人の内心において、信教の自由があるからと言って宗教行為及び宗教団体の行為に、無制限の自由があるというものではありません。例えば、宗教儀式において人を殺せば、殺人罪又は業務上過失致死罪が適用されますし、人をあざむいて金品を得る行為を行えば詐欺罪が適用され、損害賠償を求められることとなるわけであります。

 

つまり、個人の内心における宗教上の信仰は、断じて侵してはなりませんが、旧統一教会やその関連団体において、あまた行われてきたような法に抵触する行為については、法において裁かれるのは当然であり、また、その行為による社会的な影響の深刻性及び重大性からして、地方公共団体の長や議会議員が、旧統一教会やその関連団体との関係を遮断しようとすることは、内心の自由を侵害するものとは言えず、適切な対応であると考える次第であります。よって、本陳情は、不採択とすべきものと考えます。

 

以上、ただいま議題となっております議案及び請願・陳情について、賛成並びに反対の討論を行って参りました。議員の皆様のご賛同を求め、討論を終わります。