おきなが明久レポート第124号 web版 2023年1月15日

おきなが明久レポート第124号 web版 2023年1月15日

前市長のハーモニーホール座間不適正使用

新たに利用申込書の虚偽記載も

市議会調査特別委員会で明らかに

座間市議会は2022年9月28日に「座間市立市民文化会館の適正ではない使用に関する調査特別委員会」の設置を議決し、2022年中には4回の特別委員会を開催、8人の参考人から証言を聴取し、事件の真相究明を行ってきました。これまでの調査で明らかとなった遠藤三紀夫前市長が関係する不適正使用は2件。その概要は以下のとおりです。

 
その1 小ホール楽屋の不適正使用

この件は、2021年11月頃市長のもとに市民の方から「前市長が頻繁にハーモニーホール座間を訪れ、市職員を呼び出して指示をしており、市職員はそれに従っている」との通報を受け、座間市スポーツ・文化振興財団池田理事長に対して調査を依頼。2022年1月7日に池田理事長が市長に「そのような事実があった」と報告されていました。

 
その2 利用申込書の虚偽記載

この件は、調査特別委員会が設置された後の2022年11月4日に、田原順子財団理事(当時)より、池田理事長に電話で報告があったとのこと。なぜこうしたことを行ったのかについて池田財団理事長は、「遠藤前市長から依頼があったと思われるが、気持ちの部分は本人に確認するしかない」と回答。

 

明らかな条例違反 仕様書違反

 

座間市立市民文化会館条例第7条では「文化会館を利用しようとする者は、指定管理者の承認を受けなければならない」とあり、第8条では「承認を受けた者は、使用料を前納しなければならない」とありますから、2件の不適正使用は明らかに条例違反となります。


 また、座間市立市民文化会館は座間市の公共施設ですが、管理運営については座間市スポーツ・文化振興財団が指定管理者として指定されており、その運営について仕様書で定められています。仕様書では「公平な運営」として「特定の団体等に有利、不利になるような運営は、これを慎むこと」とあり、「法令等の遵守」では「関係法令並びに条例及び条例に基づく規則を遵守し、誠実に指定管理業務を行うこと」が定められています。2件の不適正使用は、この「仕様書」にも違反することになり、同財団を所管する教育委員会も、運営にあたっている財団理事長も、それを認めています。

 

前市長への便宜供与 問われる財団の在り方

 

現時点で明らかとなっている不適正使用は、通常ではあり得ないことです。例えば、市民が「人と話をしたいので、場所を貸してくれ」といって楽屋を使用させることはないでしょう。また、「明日会議室を使いたいので、よろしく」と電話したら、財団の職員が「私の名前でとっておきます」ということはないでしょう。明らかに「前市長だから」ということで、便宜をはかったとしか考えられません。

 

会館を運営する座間市スポーツ・文化財団の理事はほとんどが元座間市の幹部職員で遠藤前市長時代の部下。以前、このレポートでも取り上げましたが、これまで現職の市長が財団の理事長を務めていたのが、佐藤市長が当選後、新市長との協議なしに財団理事長を現職の市長が兼ねることをやめ、現在の池田理事長(前市議会議員)が就任しています。

 

こうした財団からの「佐藤市長はずし」と今回の不適正使用事件が関係があるのかどうかは、現時点では定かではありませんが、「市から独立」したとされる財団のあり方が問われるところです。

 

不適正利用を認めた財団理事 参考人招致に応じず、退職

 

2022年12月21日、市議会調査特別委員会は、2件の不適正使用に関与した田原順子財団理事(当時)を参考人として招致しましたが、「健康上の理由で出席できない」との理由で欠席し、12月23日付けで財団を退職しました。

 

田原氏は遠藤前市長時代の市長室長だった人物ですが、現時点で明らかとなっている不適正使用を認めたとされる方ですから、まさに本件のキーパーソンというべき人。今回の欠席は、調査特別委員会の調査にとっては大きな支障となりますが、ぜひ健康が回復されたならば、ご出席いただき、真相究明にご協力をいただきたいものです。

 

真相を究明し、公正な市政運営の確立を

 

1月16日に行われる調査特別委員会では、不適正使用を行った当事者である遠藤前市長を参考人として招致することになります。佐藤市長に寄せられた市民の方からの通報では、「前市長が頻繁に市民文化会館に訪れ、市職員を呼び出し、指示を出している」とのことですから、遠藤前市長に対しては、2件の不適正使用と合わせて、このことの真偽が問われることとなるでしょう。

 

今後、調査特別委員会では不適正な使用の実態の確認を通じて、なぜこうしたことが発生したのか、二度とこうしたことが起こらないようにするためにはどのような措置が必要なのか、といったことを調査していくことになると思います。今回の件は、市民のみなさんの市政に対する信頼を失墜させるようなことではありますが、問題にメスを入れ、公正な市政運営を確立していくことが必要です。

 

(2023年1月5日 記)

 

座間市職員定数条例の一部改正

職員定数30人増 全会一致で可決

 

座間市の職員定数のうち特に市長部局は、職員定数に余裕がない上に、メンタルによる病気休職者が続出、様々な市民サービスに支障をきたす状態となっていました。これに対し佐藤市長は、一昨年9月議会に定数40人増を提案しましたが、自民党・いさま、公明党、ざま大志会の反対で職員定数条例の改正案は否決。昨年12月議会では、再度佐藤市長は、定数30人増の条例改正を提案。これは全会一致で可決されました。

 

必要最低限の定数増

 

今回の職員定数条例改正案は、職員定数を現行873人から30人増やし903人とし、その内訳は、市長部局の職員の定数を25人増やし537人から562人に、教育委員会の職員の定数を1名増やし95人から96人に、消防職員を4名増やし175名を179名にするものです。また、職員のうち、休職者や育児休業者などを定数に加えないとする規定を、新たに追加するものです。

 

この「定数30人増」の根拠について市当局は、来年度より開始される定年年齢の引き上げに伴う人員増分として14人、休職者等の対応分として16人としており、当面の必要性に迫られた「緊急避難的」な定数増となっています。

 

来年度に適切な職員定数と定員管理計画を検討

 

昨年12月議会では、今後8年間の市政運営を定めた第五次座間市総合計画と、それを推進するための組織編成を定めた条例改正が可決されました。本来ならば、第五次座間市総合計画の政策・施策を遂行する組織改革に合わせて、必要な人員体制を定めることが求められていたわけですが、これについては示されませんでした。

 

このことについて、市長は、「新組織における必要な人員体制に基づく定数については、来年度以降の状況を踏まえて検討したい」と説明。いわば、一定の試行期間を経て、総合計画の政策・施策を遂行する適切な定数と定員管理計画を策定したい、とのことでした。

 

常勤職員と非常勤の職員とのアンバランス

 

適切な職員定数を考えていく場合に、まず、第一に考えるべきことは、総合計画の政策・施策を推進するために必要な職員の数であることに間違いありませんが、もう一つの視点として、私は常勤職員と非常勤の職員、特に会計年度任用職員とのバランスにも考慮すべきと考えます。

 

下のグラフは、現状の座間市職員の内訳ですが、上のグラフのとおり、常勤職員818人に対し、非常勤の職員は873人で、合計1691人となっており、非常勤の職員の割合が常勤職員を上回っております。

 

 

官製ワーキングプアの解消へ

 

非常勤の職員873人のうち、フルタイマー会計年度任用職員は119人。この方々は、常勤職員と同じ労働時間であるにもかかわらず、給与は常勤職員の初任給よりも低く、年収ベースでも200万円台となっており、「官製ワーキングプア」と呼ばれるような状態です。本来ならば、常勤職員の定数に加えなければならないものだと考えます。

 

私の質問に対して市当局も「職員定数を検討していく上で、常勤職員と非常勤の職員のバランスも含め、検討していく」と答弁していますので、今後の状況を見守っていきたいと思います。

 

個人情報保護条例の廃止と個人情報保護法施行条例に反対

 

2021年に成立した「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」では、これまで国の行政機関、地方公共団体、民間事業者の個人情報保護制度は、それぞれ法や条例によって定められていたものを「個人情報の保護に関する法律」に全てまとめました。これにより、これまで法の適用が行われていなかった地方公共団体も法の対象とされてしまいました。


この法律は地方公共団体が行ってきた制限を緩和し、個人情報の「保護」から積極的な「活用」へ転じるものと言え、地方公共団体の個人情報保護の水準や、市民の権利を後退させるものと言わざるを得ず、採決にあたって私は反対しました。主な理由は以下のとおりです。

 

1.法は個人情報の定義について「生存する個人 に関する情報」として、死者の個人情報を対象としていないため、遺族の開示請求が困難となること。


2.人種、信条、社会的身分、犯罪の経歴等の要配慮個人情報の取扱い制限がなくなったこと。


3.個人情報の「本人収集の原則」と「目的外利 用の禁止」が明記されず、「利用目的の変更」が認められていること。


4.個人情報のオンライン結合の原則禁止がなくなり、情報流出の危険性が生じること。

 

 

なお、議会の個人情報については、これまでは市の条例の対象となっていましたが、国の法律では、国会や地方議会は対象外となることから、私は、議会の個人情報の取扱いを定めた条例案を提案。現在、継続審査となっています。

 

有機フッ素化合物汚染に関する陳情

原因究明は採択、健康調査は不採択

 

市内の地下水や河川水の有機フッ素化合物汚染は、2022年度調査においては市営水道第3水源井戸で59ng/L~78ng/L、鳩川で180ng/Lと国の暫定目標値50ng/Lを超える地点が出ています。

 

こうした有機フッ素化合物汚染について、昨年12月議会では二つの陳情が審議され、原因究明を求める陳情は全会一致で採択となりましたが、市民健康調査を求める陳情は、賛成少数で不採択となりました。採決結果は以下のとおりです。

 

有機フッ素化合物汚染の原因究明を求める陳情」

 

 全会一致 (全員賛成)

 

「安心しておいしい市営水道を飲み続けていく ために、有機フッ素化合物による地下水汚染 の原因究明と市民健康調査を求める陳情」

 

 賛成:10人(会派に属さない議員4人、公明党4人、共産党2人)

 

 反対:11人(自民党・いさま7人、ざま大志会4人)

 

 

 

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