2023年3月24日 2023年度当初予算案等に対する討論

それでは、ただいま議題となっております議案及び陳情について、賛成並びに反対の討論を行います。なお、討論にあたっては、資料を配布し、モニターを使用致しますが、あらかじめ議長に許可を頂いております。

 

まず、議案第3号の2022年度の一般会計補正予算、及び議案第4号から議案第7号までの各特別会計及び企業会計補正予算については、概ね妥当な措置であると認め賛成をするものでありますが、一点のみ指摘事項を申し上げておきたいと思います。

 

国民健康保険税 値上げすれど税収増は見込みの半分以下

 

それは、国民健康保険事業特別会計の現状についてであります。本補正では、国民健康保険税の歳入を9496万1千円減額し、歳入総額見込みを26億7078万6千円に、減額補正しております。

 

2022年度は、国民健康保険税率の改定、すなわち値上げが行われた年ですが、当初予算ベースで約1億6000万円の増収を見込んでいたにもかかわらず、今回約9400万円強を減額するわけですから、結果として保険税改定の増収効果は、約6500万円程度、見込みの半分以下ということになります。

 

ではなぜ、約9400万円もの収納欠損が生じるのかと言えば、保険税の収納率が2022年度当初予算においては、現年分の収納率を92.4%と見込んでいたものの、現時点での見込みでは89.78%と、当初予算対比で約3ポイント程度低下することによるものであります。つまり、保険税の値上げをしたものの、保険税を払えない人々が増え、見込んだ増収分の半分以下となってしまったということであります。

 

昨年の3月議会において私は、「今回の値上げで40歳以上の4人世帯では、年間所得60万円の世帯の所得に対する負担率は19.9%、所得の約2割が保険税で消えることとなるなど、所得の低い人ほど所得に占める保険税の負担が重くなっており、担税力を超えるものとなっているのではないか」と指摘致しましたが、今回の保険税歳入の減額補正は、まさにこのことの現れではないかと思う次第であります。

 

国民健康保険制度は制度は制度破綻 大胆な国費投入を

 

当局も認めるように、国民健康保険事業は被保険者の減少と低所得化とが進む一方で、医療費は増高するという構造的問題を抱えております。端的に言えば、制度破綻の状態に陥っていると言っても過言ではないと思います。こうした状況を改善し、保険制度を維持するためには、その負担を被保険者に負わせるのではなく、大胆に国が国費を投入すべきであります。市長並びに当局におかれましては、国民健康保険事業の抜本的な制度改革について、国に対し要望されるよう求めておくものであります。

 

2023年度当初予算 子ども・子育てに重点配分

 

次に、議案第8号の2023年度の一般会計予算について、賛成の討論を行います。

 

2023年度の一般会計当初予算は444億9044万3千円で、前年度当初予算対比で3.4%、額にして14億5546万6千円の増となっておりますが、本予算の最大の特徴は、子ども・子育て分野における新たな施策展開を数多く盛り込んだ予算であると言えます。

 

具体的には、

  • 小児医療費無料化を18歳まで所得制限なしに拡大したこと。
  • 児童手当法の改正により廃止された特例給付対象者に、市の独自施策として、これまでの同様に月額5000円を支給する「子育て支援特別給付金支給事業」の創設したこと。
  • ひとり親自立支援として、「養育費に関する公正証書等作成支援補助金」を創設したこと。
  • 満1歳及び満2歳を迎えるときに1万円を現金給付する「ざまりんすくすく給付金事業」を創設したこと。
  • 妊婦及び0歳から3歳児までの養育者に1か月1000円、年間12000円のタクシー及びガソリン券を支給する「妊婦等タクシー及びガソリン券支給事業」を創設したこと。
  • 保育士確保方策として、民間保育所保育士に月額1万円、年間12万円の給付金を支給する事業を創設したこと。
  • 保育所待機児童解消に向け、新たに小規模保育施設を整備するとともに、ちぐさ保育園の建て替えによる定員規模の拡大を図る予算を計上したこと。

 

さらに、新年度予算ではありませんが、2022年度補正予算において、小・中学校施設整備事業に約6億5000万円という近年にはない規模の予算を投入したことは、子ども・子育て分野への重点投資の一環として評価に値するものであります。

 

こうした、子ども子育て分野の新たな施策展開と予算配分は、市長の予算編成方針の一つである「選択と集中により、必要性や緊急性、費用対効果が高い事業を優先的に実施できる予算を計上する」に沿ったものであり、2022年度当初予算に引き続き、前市長とは異なる「佐藤カラー」が鮮明に示された予算と言うことができると思います。

 

なぜ今、子ども・子育てに選択と集中を図らなければならないのか

 

ではなぜ、こうした子ども子育て分野への予算配分の選択と集中を図らなければならなかったのか、ということを分析すると、これまでの市政運営によって、本市の子ども・子育てに関する分野は、大変厳しい状態に陥っていたからであります。

 

 

これは2011年度から2020年度までの合計特殊出生率の推移のグラフであります。赤線が座間市。黒線が神奈川県平均。青線が全国平均です。この10年間で本市の合計特殊出生率が最も高かったのは2015年の1.33。実はこの年に、座間市まち・ひと・しごと創生総合戦略が策定され、その重要業績評価指標(KPI)では、前年度の合計特殊出生率「1.22」を基準数値として、計画最終年度の2019年の目標数値は、「1.33」としておりました。ところが、ご覧のように2018年度以降下降し、2019年度は「1.17」、そして2020年度は「1.14」まで落ちています。全国平均も神奈川県平均も2018年度以降下降しておりますが、本市はそれを上回る下降となっております。ちなみに、子どもを核とした街づくりを標ぼうし、市独自の手厚い子育て支援策を講じてきた明石市は「1.62」であります。

 

一方、こちらは本市の保育所待機児童数の推移であります。ご承知のとおり、本市の保育所待機児童数は、2020年度から2022年度まで3年連続県内ワースト1位、しかも、さきほどの合計特殊出生率が最も少ない「1.14」を記録した2020年度からワースト1位になっているわけであります。合計特殊出生率が最低まで落ち込んでいるにもかかわらず、保育所に入所できない子どもが県内で一番多いという最悪の事態に本市は直面していたわけであります。

 

こちらは、本市の児童福祉費の推移であります。ご覧のとおり、2021年度までは70億円台で推移していたものが、2022年度では83.1億円、そして2023年度では90.6億円と伸ばして来ておりますが、本市の子ども子育てをめぐる状況からすれば、至極当然の予算措置であると言えます。

 

以上のように、子ども子育て分野への重点的な予算配分は、本市にとって必要不可欠でありますし、これまでの市政において遅れをとってきたこの分野における支援策を充実しようとする市長及び当局の姿勢については、率直に評価し、一般会計予算に賛成するものであります。

 

今後は、3歳未満時の保育料の無償化、学校教育における給食費の無償化、高等教育における学費の補助等、本格的な国の施策が期待されるところでありますので、市長及び市当局におかれましては、しっかりと国に要望していただき、必要とあらば、市独自の施策をして展開されるよう、求めておくものであります。

 

次に、2023年度の特別会計企業会計の当初予算についてでありますが、議案第12号の水道事業会計には賛成致しますが、議案第9号から議案第11号までの特別会計と議案第13号の公共下水道事業会計には反対をするものであります。各々の理由につきましては、すでにこれまで述べて来ておりますので、この場では、割愛致します。

 

ただ、一点だけ上下水道局に対して、事務執行上の問題を指摘しておきたいと思います。

 

時代に逆行する公営企業運営審議会の非公開

 

それは、水道料金と下水道使用料の改定を審議している公営企業運営審議会において、料金等の改定に係る審議は、会議を非公開とし、会議録は委員や当局の発言が記録されないものとし、さらに会議に提出された当局資料についても、審議が終了後も非公開とする、との見解を示していることであります。

 

これまでの公営企業審議会においては、料金等の改定に際しても、会議は公開で行われ、会議録では詳細な発言内容が記載され、資料は情報公開されていたにもかかわらず、この期に及んで審議等を非公開とするというのは、時代錯誤も甚だしいものとしか言いようがありません。

 

これは、神奈川県内で水道事業を営む主な自治体との比較ですが、ご覧のとおり、本市以外の審議会等では、当たり前のように会議は公開、会議録は、発言者の発言は詳細に記録されるだけではなく、発言者名まで全て公開されております。また、当局が提出した資料は、情報公開の対象となるのはもちろんのこと、市のホームページに答申前であっても随時公表されております。これを見ると、いかに本市の対応が特異なものであり、情報の非公開性が際立っていることがわかります。

 

水道料金や下水道使用料の改定は、市民生活に大きな影響を与える重要な問題であります。だからこそ、その決定に至る審議会の議論や当局の資料をしっかりと議会や市民に公表し、説明責任を果し、多くの方々に議論の材料を提供することが行政に求められるということは、極めて当たり前のことであります。

 

本件について市長は、今定例会において、「どういった議論がなされているのか、といったところを市民のみなさんにご理解いただくという姿勢は大変重要だと考えておりますので、今後検討していきたいと考えております」と答弁されておりますので、ぜひ、しっかりとご検討いただき、せめて他市と同等レベルの情報提供に努めていただきたいと思います。

 

次に、議案第14号から議案第20号までの条例改正及び条例の廃止についてでありますが、議案第18号以外は、概ね妥当な措置であると認め、賛成をするものであります。

 

市営上宿・西原住宅の廃止に反対

 

議案第18号の座間市市営住宅条例の一部を改正する条例は、市営上宿住宅と西原住宅の廃止に伴うものであります。両住宅は、座間市市営住宅管理計画において、耐用年数を経過していることから、用途廃止を行うものであります。

 

 

市営住宅は、憲法第25条(生存権の保障)の趣旨にのっとり、国と地方公共団体が協力して、住宅に困窮する低所得者に対し、低廉な家賃で住まいを供給するものあり、住まいの権利として、セーフティネットの一つであります。人口減少時代へ突入するとはいえ、昨今の経済状況と格差社会の進行の中で、低廉な家賃で住むことができる市営住宅潜在的な需要は広がっているのではないかと考えます。そうしたことから私は、上宿、西原住宅については、用途廃止とするのではなく、直営方式での建て替えを行うべきであったと考えることから、本条例の改正案に反対するものであります。

 

次に、議案第21号の児童発達支援センターの指定管理者の指定については、概ね妥当なものと認め、賛成をするものであります。

 

死者情報の開示に関する条例に賛成

 

次に、議案第23号座間市死者情報の開示に関する条例に賛成の討論を行います。

 

条例案について当局は、2023年4月1日から地方公共団体にも適用される個人情報の保護に関する法律は、個人情報を「生存する個人に関する情報」に限定し、死者に関する情報を適用外としていることから、新たに条例を制定し、相続人等の権利利益の保護を図るため、死者に関する情報の開示等に関し、必要な事項を定めるものと、説明しております。

 

私は、昨年12月の座間市個人情報の保護に関する法律の施行等に関する条例の審議にあたって、死者の情報について、個人情報とは別の定義を設けて開示請求等を認める条例を制定すべきであるとして、当局に検討を促したところでありました。今回、その趣旨をご理解いただき、条例提案に至ったことについては、率直に評価し、賛成をするものであります。

 

5件の陳情に賛成

 

次に、陳情についてでありますが、

  • 陳情第46号「日本全体で解決すべき問題として、普天間基地周辺の子供たちを取り巻く空・水・土の安全保障を求める陳情」
  • 陳情第47号「国民軽視の安全保障関連3文書の閣議決定に抗議し、安全保障政策の変更について国民的議論を求める意見書の提出を求める陳情」
  • 陳情第48号「保育士配置基準の引上げによる保育士増員を求める意見書の提出を求める陳情」
  • 陳情第49号「スカイアリーナ座間の使用者に対して駐車場を無料にすることを求める陳情」

以上、5件の陳情については、その陳情趣旨に賛成するものであり、本市議会として採択すべきものであると考える次第であります。

 

以上、ただいま議題となっております議案及び陳情について、賛成並びに反対の討論を行いました。議員の皆様のご賛同をお願いし、討論を終わります。