それでは、只今議題となっております議案及び陳情について、賛成並びに反対の討論を行います。
まず、2026年度の一般会計補正予算について、賛成討論を行います。本補正予算は、歳入歳出予算の総額に歳入歳出それぞれ1251万6千円を追加し、歳入歳出予算の総額を534億5782万1千円とするものであります。本補正予算については、概ね適正なものと認めるものではありますが、補正に至る理由に関しては、問題を指摘せざるを得ません。具体的には、企業投資促進事業費1000万円の増額補正であります。
本件は、2024年度に市内企業から提出された企業投資奨励金の申請書類を、本市産業課商工係の職員が受理し、収受印を押印したものの、その後の手続きを行うことなく、そのまま放置され、さらに2025年度には企業投資促進条例に基づく固定資産税の不均一課税(減額)の申請についても、同様の対応が行われていたとのことであります。当該職員が申請書を受理しながらも、その後の手続きを何故行わなかったのか、という点については、申請書を受理した職員は、当時の業務が繁忙であったため、直ちに決裁手続きに着手せず、その後失念してしまったとのことで、後に気付いたものの、「今さら言い出せない状況になってしまった」とのことのようであります。
本件について、私が疑問に感じたことは、なぜ事前相談から申請書の受理、その後の対応までを一人の職員が担い、組織として把握できていなかったのか、という点であります。当該企業に対しては、企業投資促進条例に基づき、今後10年間で総額5,000万円の企業投資奨励金が交付され、固定資産税の減額措置も適用されます。企業誘致や設備投資の促進を目指している本市にとっても、極めて重要な案件と言えるはずです。
そのような案件でありながら、たった一人の担当職員の判断と対応に委ねられ、上司への報告もなく、周囲の職員も状況を把握していなかったという事態は、単に一人の職員が、適正処理を怠ったということに留まらず、「組織体質」の問題や、慢性的な人員不足、という課題を孕んでいるのではないかと思う次第であります。
よって、市長及び当局においては、組織体制及び組織体質の必要な改善と適正な人員体制の確保に向けた検討に取り組まれるよう、求めておくものであります。なお、具体的な改善として、本件のような申請書の受理においては、複数人で対応すべきと考えますので、申し添えておきます。
次に、議案第33号座間市職員の給与に関する条例の一部を改正する条例、議案第34号財産の取得について、これは高規格救急自動車の購入であります。 議案第35号財産の取得について、これは小学校給食食器等の購入であります。 議案第36号財産の取得について、これは小中学校学習用端末の購入であります。議案第37号市道の路線の認定について及び議案第38号工事請負契約の締結については、いずれも概ね妥当な措置であると認め、賛成をするものであります。
次に、陳情第50号「地方財政の充実・強化を求める意見書を国に提出することを求める陳情」について、賛成の討論を行います。本陳情の陳情趣旨に記されております11項目の要望内容については、概ね適切なものであると考えます。よって、本陳情は採択すべきものと認め、賛成するものであります。
次に、陳情第51号「国に対し、mRNAワクチン(レプリコンワクチンを含む)接種事業中止を求める意見書の提出を求める陳情」について、反対の討論を行います。
mRNAワクチンは「特例承認」により通常より短期間で実用化され、通常の医薬品承認と比較すると、長期的な有効性や安全性に関するデータは限定的であり、陳情者が述べているように「安全性の検討は不十分である」という点については、私も同意するものであり、特に副反応等のリスクに関する情報公開が重要であると考えます。
一方で、同ワクチンの接種については、私は国民の選択肢として存続することを否定するものではありません。接種を希望する人がリスクを的確に把握した上で、自由に選択できることが肝要であり、接種を希望する人と接種をしない人の双方の意思決定が尊重されるべきであると考えます。よって、接種事業の中止を求めた本陳情は、採択すべきとは認められず、反対をするものであります。
次に、陳情第52号「公立中学校における平和教育及び校外学習の政治的中立と安全確保を求める陳情」について、反対の討論を行います。
本陳情は、「公立中学校における平和教育及び修学旅行や校外学習の政治的中立性、適正性、安全性を確保するため」と称し、「公立中学校における平和教育の政治的中立性に関する基本方針を確認すること」他3項目にわたり、「確認」や「実態把握」を求めております。
しかしながら、この陳情書には、こうした「確認」や「実態把握」を行う機関が明示されていません。市長なのか、教育委員会なのか、それとも議会なのか、明らかではありません。民生教育常任委員会の休憩中に陳情者に質したところ、議会に対して求めたものとのことでありました。
とすれば、議会として、陳情者が求める「確認」や「実態把握」を行うためには、地方自治法第98条又は第100条に基づく調査を常任委員会もしくは特別委員会で行うこととなります。では、陳情者が求める「確認」及び「実態把握」を、本市議会が地方自治法第98条若しくは100条に規定にされております調査権限を行使して、行うべきものであるのかどうか、以下、意見を申し上げます。
まず、陳情者が過度な懸念を抱いている平和教育について、本市の教育課程においては平和教育という独立した教科はなく、学習指導要領総則において教育の基本目標として、「平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質、能力を育成すること」と掲げられていることから、社会科をはじめ道徳科や総合学習などを通じて、日本国憲法で定められている平和主義や基本的人権の尊重という観点から、生徒の政治的教養の育成が図られているものと思われます。
今定例会において教育長は、「平和学習を含むすべての教育活動は、外部の不当な影響に左右されず、学習指導要領に基づき、客観的かつ多角的な視点で行うべきであると考えております。学校が特定の動向に過度に委縮したり、特定の主義主張に偏ったりすることなく、子どもたちが歴史を客観的に学び、主体的に平和について考えることができるよう教育委員会としては、今後とも法令に基づいた適正な教育課程の実施にむけ支援をして参りたいと思います。」と答弁されております。この答弁には陳情者が求める「教育委員会としての方針及び学校への指導上の留意点」が示されており、改めて「確認」する必要性は認められません。
次に、陳情者が求めている修学旅行及び校外学習の際の保護者への説明責任や安全管理の徹底については、本市中学校においては、すでに実施されていることから、改めて「確認」する必要性は認められません。
次に、陳情者が求めている修学旅行及び校外学習等の記録については、本市においては各学校より実施届及び実施報告書が教育委員会に提出されていることから、改めて「確認」する必要性は認められません。
次に、陳情者が求めている修学旅行や校外学習の記録から懸念が残る事例について必要な実態把握を行うことについては、かつて本市中学校6校のうち、1校が広島を訪れ、平和学習を念頭においた旅行日程が組まれていたものの、現在ではすべて関西方面となっており、改めて「実態把握」を行う必要性は認められません。また、過去の広島への修学旅行においても、特段の問題があったとは私は認識しておりません。
以上のことから、陳情者が求める項目について、座間市議会として地方自治法第98条若しくは100条に基づく調査を行う必要性は認められないことから、本陳情は採択すべきものとは認められず、反対するものであります。
最後に、本陳情の陳情者が過度な懸念を示されている、いわゆる「教育の中立性」について、私の考えを申し上げます。
陳情者が陳情文で述べられているように、本陳情提出の背景には、本年3月16日、沖縄県名護市の米軍新基地建設現場付近の海上において、修学旅行中の同志社国際高等学校の生徒らが乗船した船舶が転覆し、生徒1名と船長が亡くなられた痛ましい事故があったものと承知しております。
今回の事故については、学校法人及び修学旅行生の乗船を受け入れた団体の双方において、生徒の安全管理が適切でなかったことは言うまでもなく、その責任については厳しく検証されるべきであります。
しかしながら、安全管理上の問題とは別に、修学旅行の研修先として米軍新基地建設現場付近を訪れ、新基地建設反対運動団体からお話を聞くこと自体をもって、教育基本法第14条第2項に反するとの見解については、妥当性を欠くものと考えます。
教育基本法第14条は、第1項において「良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない」と定め、その上で第2項において、「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治的教育その他政治的活動をしてはならない」と規定しております。
このうち、「特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治的教育」の意味は明確ですが、「その他政治的活動」をどのように解釈するかによって、違いが生じてきます。しかし、教育基本法の立法趣旨及び第1項との整合性を踏まえれば、同条は政治的活動一般を禁止したものではなく、「特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治的教育に類する政治的活動」を禁止したものと解するのが通説であります。
したがって、例えば学校が生徒に対し、抗議船上で米軍新基地建設への抗議活動への参加を強要したり、デモへの参加を義務づけたりしていたのであれば、教育基本法第14条第2項に抵触する可能性があると考えます。しかし、私が承知する限り、そのような事実があったとは確認しておりません。
また、新基地建設に対する賛成の立場を含めた多角的な視点、例えば「なぜ日本政府は、沖縄県民が二度にわたる住民投票で反対の意思を示しているにもかかわらず、基地建設を進めているのか」といった政府側の考え方や政策の正当性について十分に取り上げられていなかったのではないか、との指摘もあります。
しかし、多角的な視点を示し、生徒の主体的な判断力を育む教育は、今回の修学旅行だけで完結するものではなく、事前学習や日頃の教育課程全体を通じて行われているのであれば、特段の問題はないものと考えます。
この点については、本陳情を審査した民生教育常任委員会において、本市教育委員会も、「政治的教養を育む教育については、必ずしも個別の単元や校外学習の中で全ての視点を網羅しなければならないものではない」と答弁しており、私もこの見解に同意するものであります。
最後に、教育基本法第16条には、「教育は、不当な支配に服することなく」という規定があります。この規定は、1947年の教育基本法制定時に、戦前、とりわけ戦時下において国が教育内容を強く統制し、教育が軍国主義・国家主義の手段とされ、学校や教員が国家への忠誠教育を担わされたことへの深い反省を踏まえ、教育は権力による不当な支配に従ってはならないとの理念の下に設けられたものであります。そして、この理念は、独立した教育行政機関である教育委員会制度とともに、戦後教育の根幹を成す原則となっております。私自身も、我が国の教育行政の原点であるこの理念と原則を改めて、しっかりと胸に刻んで参りたいと思う次第であります。
以上、只今議題となっております議案及び陳情について、賛成並びに反対の討論を行いました。議員の皆さんのご賛同をよびかけ、討論を終わります。