2026年7月 議会運営委員会調査に関する意見表明

2025年12月22日に松橋議長より議会運営委員会に対し諮問された「前議長の不適切と思われる行為及び座間市議会の対応方針に関する調査・研究」と2026年4月22日に追加諮問された「議員の職員に対する不適切と思われる行為及び座間市議会の対応方針に関する調査・研究」について、意見を申し述べる。

 

1.前議長の不適切と思われる行為について

 

1)議長車内での常習的飲酒について

 

  • 本件について、熊切前議長は「事実であります。」と述べ、県・関東の議長会及び県・関東の基地協議会の視察、研修会、懇親会終了後の帰路において、コンビニエンスストアで酒類を購入し、議長車内で飲酒したことが4~5回程度あったと証言した。また、議長会等からの帰路について公務との認識があったかとの問いに対しては、視察、研修会及び懇親会が現地で終了した時点までが公務であると認識していたとのことであった。

 

  • 議長会等への出席は議長の公務であり、会議終了後の帰路における議長車での移動についても、職務に付随する行為として公務の一環に含まれると考えられる。したがって、公務遂行中である議長車内において飲酒が繰り返されていたことは、社会通念上、相当性を欠く不適切な行為であったと言わざるを得ない。

 

2)視察行程中の飲酒について

 

  • 2025年5月13日から15日に実施された基地政策特別委員会視察及び同年7月2日から4日に実施された民生教育常任委員会視察の帰路において飲酒をしていたことについて、熊切前議長は「事実であります。」と認めた上で、「他の議員たちも飲酒されていたと記憶しております。」と証言した。また、視察帰路における飲酒については、「委員長の判断に委ねられているものと理解しておりました。私は委員長に確認するようにしていました。」と述べている。

 

  • しかしながら、当時の委員長(民生教育常任委員会視察については、委員長欠席のため副委員長)は、飲酒について許可を求められた記憶はないとしている。また、本議会においては、視察帰路における飲酒について「委員長の判断に委ねる」とする申し合わせ等は存在していない。

 

  • 常任委員会等による行政視察は、議会の調査活動の一環として行われる公務であり、視察先での調査終了後、本市へ帰着するまでの移動についても、本市議会の旅費規程に照らせば、公務の範囲に含まれるものと考えられる。このため、視察帰路における駅ターミナルや列車内での飲酒についても、議長車内での飲酒と同様、社会通念上、相当性を欠く不適切な行為であったと言わざるを得ない。

 

  • 今回の調査では、2025年度に実施された基地政策特別委員会視察において、熊切前議長のみならず、他の議員についても、帰路の空港内で飲酒していたことが明らかとなった。また、熊切前議長の証言によれば、本市議会においては、過去にも一部議員による視察帰路での飲酒が行われていたことが推認される。

 

  • 一方で、本市議会では、行政視察の集合場所及び解散場所が、市議会庁舎や市内の駅ではなく、新幹線の乗車駅や空港ターミナルとなることが一般的である。そのため、一部の議員においては、視察帰路について「公務中」であるとの認識がなかったか、あるいは希薄になっていたものと思われる。

 

3)全国市議会議長会フォーラムについて

 

  • 熊切前議長は、2025年8月27日から28日に開催された全国市議会議長会フォーラム2日目を途中退席した上で、空港内において随行していた議会事務局長と食事をした際に飲酒をし、その際の画像を議会事務局職員宛てに送付していた。また、その後空港内のロビーにおいて、他市議会の議長と飲酒したと証言している。

 

  • こうした行為は、客観的には会合を途中で切り上げて飲酒を優先したこととなり、社会通念上、不適切なものであったと言わざるを得ない。

 

  • また、議会事務局長は議長の指揮命令下にあるとはいえ、途中退席及びその後の飲酒について何ら指摘を行わなかったことは、議長に対する必要な補佐及び助言を十分に果たさなかったものとして、職務遂行上の責任が問われるものと考える。

 

4)職員に対する発言(セクハラ等の疑い)について

 

(略)

 

5)勤務時間外の職員への電話について

 

(略)

 

6)職員への侮辱的な発言について

 

(略)

 

7)庁舎管理規則の禁止行為(犬の連れ込み)について

 

  • 本件は、熊切議長が2025年10月1日に来庁した際に、飼い犬をケージに入れることなく議長室及び議会事務局執務室内に持ち込んだことについて調査を行ったものである。

 

  • 座間市庁舎管理規則第10条は、庁舎内における禁止行為を定めており、第5号では「事務又は通行の妨げとなる行為」を、第7号では「庁舎又は物件を汚損し、又は毀損する行為」を、第8号では「その他庁舎の秩序維持を妨げる行為」を禁止している。これらの規定を踏まえ、庁舎管理上、犬などのペットを庁舎内に持ち込む場合には、ケージに入れるか、抱きかかえた状態で移動することとされている。

 

  • 本件においては、議会事務局職員から事前にペットの持ち込みに関する注意がなされていたにもかかわらず、議会フロア内において犬を手から離した行為が認められた。したがって、当該行為は、座間市庁舎管理規則第10条に反するものであったと認めることができる。

 

8)総括的意見

 

  • 本調査において明らかとなった熊切前議長による一連の行為は、議長車内及び視察行程中における飲酒、全国市議会議長会フォーラムの途中退席、職員に対するセクシュアルハラスメント及びパワーハラスメントに該当する行為、職員に対する侮辱的かつ差別的な発言並びに庁舎管理規則に反する行為など、多岐にわたるものであった。

 

  • これらの行為の根底には、公務と私的領域との区別に対する認識の甘さ、職員との適切な距離感に対する理解の欠如、ハラスメント及び人権尊重に対する意識の欠如並びに議長としての自覚と規範意識の欠如という共通した問題が認められる。

 

  • とりわけ、議長と議会事務局職員との間には、指揮命令関係を背景とした明確な優越的地位が存在することから、議長には一般の議員以上に高い倫理観と慎重な言動が求められる。しかしながら、職員に対する一連の言動は、職員の人格及び尊厳を侵害し、精神的苦痛を与えるものであって、職員が安心して職務に従事することのできる職場環境を著しく損なったものと認められる。

 

  • また、一連の行為は、被害を受けた職員個人に深刻な影響を及ぼしたのみならず、市民からの信頼を基礎として成り立つ議会の品位及び公正性に対する信頼を大きく損なう結果を招いたものであり、その社会的責任は極めて重いと言わざるを得ない。

 

  • 以上のことから、熊切前議長による一連の行為は、議長としての資質及び倫理観が厳しく問われるものであり、本市議会の品位と信頼を著しく損なった極めて重大な事案であったと考える。

 

2.議員の職員に対する不適切と思われる行為について

 

(略)

 

3.今後の対応方針について

 

  • 本委員会が調査を行った二つの事案は、いずれも議員による不適切な言動に起因するものであり、両議員はその責任を負うべきであるが、背景には、本市議会におけるコンプライアンス意識の不足やハラスメントに対する理解の不十分さといった組織的課題が存在していたものと考えられる。

 

  • また、これらの事案は、被害を受けた職員の人格及び尊厳を傷つけ、安心して職務に従事することのできる職場環境を損なったのみならず、市民からの信頼を基礎として成り立つ議会の品位及び信頼性にも大きな影響を及ぼしたものである。

 

  • こうした事態を重く受け止め、本市議会においては、再発防止及び信頼回復に向け、少なくとも次の取組を速やかに進める必要がある。

 

一 議員及び職員を対象としたハラスメント防止研修の実施

 

二 セクシュアルハラスメント及びパワーハラスメントに関する相談体制並びに被害者保護体制の充実

 

三 議員として遵守すべき規範に関する条例又はガイドラインの策定

 

  • 議会は、市民の負託を受けた合議体であり、議員には、高い倫理観と人権意識に基づいた言動が求められる。本市議会においては、本件を一過性の問題として終わらせることなく、互いの人格と尊厳が尊重される職場環境の確立に努めるとともに、市民から信頼される議会運営の実現に向け、不断の改善と努力を重ねていくことが強く求められる。

 

以上をもって、本件調査に関する意見とする。