2024年3月 討論

それでは只今議題となっております議案及び陳情について、賛成並びに反対の討論を行います。

 

2023年度補正予算について

 

まず、議案第5号から議案第9号までの2023年度一般会計補正予算特別会計補正予算及び公営企業会計補正予算については、概ね妥当な措置であると認め、賛成するものであります。

 

2024年度一般会計予算について

 

次に、議案第10号の2024年度の一般会計予算について、賛成の討論を行います。

 

2024年度一般会計の総額は、463億8961万4千円で、対前年度比4.2%、額にして18億9926万1千円の増となっており、過去最大となっております。

 

歳入予算では、市税等の自主財源が233億8108万6千円で、構成比は50.4%。国庫支出金や地方交付税などの依存財源が230億852万8千円で、構成比は49.6%となっており、自主財源比率は対前年度比で1.4ポイント減少しております。

 

自主財源の根幹をなす市税は、総額195億2995万9千円が見込まれ、前年度対比で0.9%と微増となっております。このうち市民税86億2260万8千円は、個人、法人ともにマイナス計上で、額にして3億3194万9千円、率にして3.7%の減となっております。これは、個人市民税が国の定額減税による影響でマイナス計上となったものでありますが、マイナス分は、国からの地方特例交付金により全額が補填されますので問題は生じません。しかし、法人市民税は均等割、法人税割ともに微減とはいえマイナス計上となっております。また、固定資産税全体では約4億円の増収が見込まれる中、唯一償却資産が前年度比5.1%の減となっていること等については、景気動向との関係で心配されるものであります。

 

一方、依存財源では地方消費税交付金が4億214万3千円、12.5%のマイナス、配当割交付金が1億4214万6千円、53.8%のマイナスとなっておりますが、国庫支出金が6億2868万5千円、7.0%の増、地方交付税が5億8087万9千円、18.4%の増で計上されております。

 

本市一般会計予算の特徴

 

次に、歳出予算を見て参りますと、目的別内訳では、構成比で51.9%を占める民生費は240億7946万6千円で、前年度より8億4973万1千円、3.7%の増となっております。

 

また、性質別内訳では、構成比で36%を占める扶助費は166億7947万5千円で、11億3061万2千円、7.3%の増となっております。

 

本市の歳出予算の特徴は、目的別では民生費、性質別では扶助費の構成比率が高いことであります。神奈川県が公表している2022年度決算速報における県内市町村平均値と比べると、民生費で13.3ポイント、扶助費で8.1ポイント高くなっておりますが、これらは、必要とされる福祉関係施策において最低限のサービス水準を確保するための予算措置が、予算編成上、第一義的に求められることによるものであると考えられます。その上で、第5次座間市総合計画に掲げられた政策・施策展開に必要な予算措置をどのように配分するのか、ということになろうかと思います。

 

予算編成方針について

 

佐藤市長就任後の本市の予算編成方針の特徴としては、「「選択と集中」により、必要性や緊急性、費用対効果の高い事業を優先的に実施できる予算計上」ということが掲げられてきました。これは、総合計画の着実な推進を前提としながらも、本市予算構造上の特徴である民生費、扶助費などの義務的経費を必要最低限確保した上で、政策的経費をより効果的に資源配分するためのものであり、適格な予算編成方針であると評価するものであります。

 

では、ざま未来プランの推進とその上での「選択と集中」いう観点から、本予算案を見ていきたいと思います。第5次座間市総合計画=ざま未来プランでは、「目指すまちの姿」を「ひと・まちが輝き、未来へつなぐ」とし、実施計画では「輝く未来戦略」として「特定の政策や施策の枠を超えて分野横断的に取り組む対象事業として11事業を設定し、経営資源を優先的に配分することを方針化しております。

 

2024年度当初予算では、保育所子ども・子育て支援事業費に29億1300万円余、ファシリティマネージメント推進事業費に8億円余、小児医療費助成事業費に6億円余など、「輝く未来戦略」対象事業に総額44億7800万円余が配分されており、「選択と集中」という観点からは、最低限の予算計上がなされているものと認めるものであります。

 

一般会計予算の問題点

 

しかし一方で、保育所子ども・子育て支援事業費においては前年度から始まった保育士確保緊急対策給付金が新年度当初予算では計上されていないこと、ゼロカーボン推進補助事業費では、補助メニューにおいて対象拡大があったものの、予算総額は微増にとどまり、施策目標からすると物足りない規模感になっていること、また、住宅リフォーム助成事業では、対象と子育て世帯に限定したことなど、評価し得ない部分も含まれております。

 

特に保育士確保緊急対策給付金は、保育士給与の上乗せとして年間12万円を、事業所を通さず直接保育士へ給付するもので、処遇改善の透明性が確保され、保育士の労働条件の向上に寄与するものであり、当初予算において予算計上されなかったことは至極残念であります。

 

予算計上を見送った理由について当局は、「本市の保育対策の緊急課題は、待機児童の解消であり、認可保育園の新設等による保育定員の拡大を図ることが優先事項であるため」との説明がありました。確かに待機児童の解消が最優先課題であることは言を俟ちませんが、認可保育園の新設等の施設整備と、保育士確保のための給付金がなぜバーターとなるのでしょうか。仮に、財政上の理由と言うならば、保育士確保緊急対策給付金を含む保育所子ども・子育て支援事業は輝く未来戦略の対象事業であり、経営資源を優先的に配分すること方針化されているものではありませんか。市長及び当局に対しては、再考を求めるものであります。

 

次に、総合計画の各分野別政策・施策の予算計上についてでありますが、そもそも予算計上の必要性のない座間南林間線道路改良事業費は論外としても、事業のスクラップ化が必要な事業や、逆に事業予算の増額が必要な事業などが多々ありますが、概ね妥当なものとして2024年度一般会計当初予算に賛成するものであります。

 

3つの指摘事項

 

1)行政評価システムの廃止について

 

その上で、予算執行上の課題について何点か、指摘しておきたいと思います。まずは、行政評価システムの廃止についてであります。本市では、これまで総合計画の進捗管理は、財政推計のもとでの実施計画と事務事業評価をベースとする行政評価システムによって行われて来たはずであります。(「来たはず」というのは少なくとも方針として掲げられていたということであります)

 

行政評価は、事務事業評価、施策評価、政策評価の3層により構成され、手法としては、職員による内部評価、有識者等による外部評価、市民アンケートによる市民評価によって運用され、総合計画体系と事業評価及び予算事業が一致し、一体化しており、全国的に見ても比較的早い時期から完成度の高いシステムを構築していたと思われます。

 

ところが、第5次座間市総合計画では、行政評価システムは廃止となり、実施計画と市民、有識者等で構成する「ざま未来プラン懇話会」による進捗管理となることが予算決算常任委員会企画総務分科会の審査において、明らかとなりました。

 

問題は、まず、当局から行政評価システム廃止についての説明がなされていないことであります。曲がりなりにも総合計画の進捗管理のツールとしても、行政改革のツールとしても位置付け、市民にも公表していたわけですから、少なくとも廃止の理由について説明がなされるべきであります。

 

次に、分科会の審査において当局は、「実施計画の中に行政評価を組み入れ一本化した」とのことでありましたが、現行の実施計画では事業の評価内容の記載はなく、「新規拡充事業」「継続事業」「縮小廃止事業」等の事業区分が示されているのみで、どのような評価からそうなったのかという記述はありません。また、実施計画では、これまで4年又は3年間の財政推計に基づいて、事業費の見込みが記載されていたものが、2023年度から一切事業費見込みの記述はなくなりました。

 

こうしたことは、行政運営の透明性及び市民、議会への説明責任という点において、問題があると言わざるを得ません。特に、本市においては、先ほども述べましたように、予算における義務的経費の割合が高く、政策的経費が限られている中、政策的経費の「選択と集中」が求められてきます。とすると、なぜこの施策、事業を選択し、経営資源を集中するのかという説明が不可欠であり、現状の実施計画では、それが果たされているとは思えません。市長及び当局に対して再考を促すものであります。

 

2)包括施設管理業務委託について

 

次に、予算執行上の課題の2点目は、当初予算に計上された包括施設管理業務委託についてであります。本業務委託は、市が保有する公共施設に係る保守点検業務や修繕業務を包括的に委託することにより、業務水準の統一、保守管理の質の向上と職員の事務負担の軽減を図るものと説明されておりますが、特に留意しなければならないのが、地元業者の活用がどこまで担保されるのかという点であろうと思われます。

 

これまで、保守管理や修繕は、市と委託業者との直接契約であったものが、包括施設管理業務を委託する事業者との契約に移行することとなります。本定例会の予算審議及び審査において当局は、受託事業者に対し、市内事業者の活用及び育成について、仕様書等で市内事業者及び準市内事業者を積極的に活用することや、これまで市との契約で市内事業者及び準市内事業者となっている業務については、引き続き再委託するよう配慮を求めることなどを明らかにしております。

 

しかし、地元業者等からすれば、あくまでも「配慮事項」であることから、包括施設管理業務受託事業者の意向次第では、受注機会を喪失してしまうのではないかということを心配されております。よって、包括施設管理受託事業者からの下請け契約においては、地元業者等の公正な受注機会の確保となるような仕組みを、仕様書に盛り込んでいただきたいと思います。

 

3)市立プールの休場について

 

次に、指摘事項の3番目は、市立プールの休場についてであります。すでに廃止された栗原プールに続き、新年度から座間公園プール、広野プール及び相武台プールが休場することになっております。これまで、これらのプールで行われていた小学校の水泳授業は、市内の民間プールで行われることとなり、教育委員会では順次、民間プールを活用した水泳授業へと転換するとのことであります。よって、この転換が進めばさらに他の市立プールも休場となることが見込まれる状況であります。

 

しかし、昨年の栗原プールの廃止の際にも申し上げましたが、2022年度決算における栗原プールを除く10箇所の市立プールの利用人数は、学校授業が10,445人に対し、一般利用は15,510人と学校授業による利用人数を上回っており、その際も指摘しましたが年間利用人数がわずか3000人ばかりのパークゴルフ場よりはるかに活用されております。また、小学校の水泳授業は民間プールを活用することができますが、これらの民間施設は一般開放を行っていないため、夏休み中の子どもたちが利用することはできません。

 

よって、現在の市立プールを今後縮小・廃止とするならば、社会体育施設として屋内プールの整備を急ぐべきであります。本定例会において市長は「社会体育施設としてのプールの在り方について、今後庁内で検討し、公共施設再整備計画の見直しの中でその方向性を示していきたい。」との答弁をされておりますが、早急に方針を定めるとともに対応を求めておくものであります。

 

以上、3点の指摘事項を申し述べた上で、2024年度一般会計当初予算に賛成をするものであります。

 

国民健康保険事業特別会計及び国民健康保険税条例の改正について

 

次に、議案第11号の国民健康保険事業特別会計予算及び議案第20号の国民健康保険税条例の一部を改正する条例について、反対の討論を行います。

 

国民健康保険事業は、2018年度から都道府県が財政運営の責任主体となり、統一的な運営方針を定め、市町村が行う事務の標準化がすすめられてきました。神奈川県では、2036年度(R18年度)を保険料水準完全統一の目標とし、2027年度(R9年度)には納付金ベースでの統一、2033年度(R15年度)には県が保険料を決定する準統一とする方針を示しております。

 

本市では、こうした県の運営方針を受け、2022年度の国民健康保税の改定において、2024年度には県が示す標準料率と同額まで引き上げるとしておりましたが、県において激変緩和措置と財政支援措置が取られることとなったため、今回の税率及び税額の改定においては、県が示す標準料率のとの差が1/2となる内容とした、としております。

 

今回、県が示す標準料率までの引き上げを行わなかったことについては、一定の評価をするものではありますが、今回の改定によりどのくらいの負担増となるか具体的に、モデルケースで見て参ります。

 

負担増の実態

 

2人世帯で一人が45歳所得300万円、一人が38歳所得40万円の場合の年間保険税額は、現行37万6900円だったものが、改定後は42万6500円、額にして4万9600円、率にして13.2%の増となります。

 

また、10年前と比較すると、同じモデルケースの場合、当時の年間保険税額は28万2200円でしたから、この10年間で額にして14万4300円、率にして51.1%もの増となっております。

 

ちなみに、被用者保険で公務員共済保険加入者である本市職員で同じモデルケース世帯の場合の保険料額は約22万円ですから、これと比べた場合、国民健康保険加入者は同じ所得であっても2倍以上の保険税を負担していることになっているわけであります。

 

所得に対する保険税の負担率及び改定率

 

次に、所得階層毎の所得に対する税額の負担率及び税額改定後の改定率を見て参りますと、医療分、後期分、介護分が発生する4人世帯の場合、所得に対する税額の負担率は、所得60万円の層が22.68%と最も高く、次に所得82万円の層の19.8%となっております。一方、所得1000万円では10.6%、所得2000万円では5.3%と所得1000万円以上は、所得階層が上がるほど負担率は低下しております。

 

今回の税率・税額改定後の改定率では、所得60万円の層が14.08%で最も高く、次に所得82万円の層の14.05%が続き、所得500万円の層までは13%台となっている一方で、所得900万円以上の層は1.92%と、今回保険税上限額のアップ分しか現行保険税額は増えておりません。

 

総じて、所得が低いほど所得に対する保険税額の割合が高く、今回の改定率も高くなっております。これは、国民健康保険制度の構造的問題であり、所得に関係なく賦課される均等割や平等割などの応益分と所得に応じて賦課される所得割の応能分が、おおよそ50対50に設定されていることから、応益分が所得の少ない層にとって、所得に対する保険税額の割合を押し上げている要因となっており、かつ、保険税の上限が106万円に設定されていることにより、所得1000万円以上の層は所得割6.8%が実際上軽減され、累進が機能していないためであります。

 

被保険者の負担能力を超えている

 

現行の国民健康保険制度は、明らかにこうした構造的な問題を抱え、これらの問題の抜本的な解決なくして、標準料率への統一や県内統一保険料に突き進むならば、明らかに被保険者の負担能力を超えることになり、適正かつ公正な制度とは言い難いものとなります。

 

以上のことから2024年度の国民健康保険事業特別会計及び国民健康保険税条例の一部を改正する条例に反対するとともに、市長並びに当局においては、医療給付費等総額の50%を国庫負担とすることや、保険料上限額を150万円まで引き上げること等、抜本的な改革を国に対し求めるよう、申し述べておくものであります。

 

介護保険事業特別会計及び介護保険条例の改正について

 

次に、議案第12号の2024年度の介護保険事業特別会計予算及び議案27号の座間市介護保険条例の一部を改正する条例に反対の討論を行います。

 

今回、2024年度から2026年度までの第9期介護保険事業計画に基づいて保険料及び所得段階区分の改定が行われました。基準額である第5段階の年間保険料は現行6万6000円から7万300円と、額にして4300円、率にして6.5%の増となっております。所得段階区分はこれまでの16段階から20段階とし、所得1000万円以上の段階区分を4段階設定することにより、累進性を多少なりとも強化したことについては、一定の評価をするものであります。

 

しかし、所得に応じた保険料の公正な累進が確保されているかと言えば、そうではありません。今回の20段階の所得段階区分では、住民税課税対象者となる第6段階から第20段階までの基準額(第5段階)に対する倍率は、第6段階が1.2倍、第7段階が1.3倍と0.1ポイント、倍率が加算され、第8段階から第12段階までは第8段階が1.5倍、第9段階が1.7倍、第10段階が1.9倍、第11段階が2.1倍、第12段階が2.3倍と0.2ポイント倍率が加算されておりますが、第13段階から第20段階までは、なぜか0.1ポイントの倍率加算に留まっております。0.2ポイントづつ倍率加算された段階の所得階層は、所得210万円~700万円未満の階層であり、一方、0.1ポイントづつの倍率加算に抑えられている所得階層は、所得700万円以上の全ての階層であります。

 

このことから何が言えるかと言えば、所得700万円未満の中間所得階層の段階区分では0.2ポイントづつ倍率がアップしているにもかかわらず、所得700万円以上の高額所得階層の段階区分では0.1ポイントづつに累進が緩和されているということであります。

 

こで、試算をしてみました。設定条件は、今回当局が提案している20段階の区分で、第12段階までは当局提案と同じ0.2ポイントの倍率加算とし、第13段階から第15段階までは当局提案では0.1ポイントの倍率加算としているものを第12段階までと同様に0.2ポイント倍率加算とし、所得1000万円以上となる第16段階から第20段階までは0.3ポイントの倍率加算としました。この場合、第20段階所得1400万円以上の年間保険料は30万9320円となり、基準額の4.4倍となります。

 

これでも年間所得1400万円の人では所得に対する負担率はわずか2.2%程度で公正な応能負担とは言い難いものではありますが、この場合の年間保険料の増収分は、総額約8800万円程度となりますので、その分で低所得者層や中所得者層の保険料を減額することは可能となるわけであります。

 

このように、現行制度の範囲内においても保険料の段階設定及び累進性の強化を通じて低所得者層及び中所得者層の保険料負担を軽減することは可能であります、よって、今回の保険料改定にあたって、市として可能かつ必要な措置を講じていないものとして、介護保険事業特別会計及び座間市介護保険条例の一部を改正する条例に反対をするものであります。

 

その他の特別会計、公営企業会計について

 

次に、その他の特別会計及び公営企業会計についてでありますが、議案第14号の水道事業会計予算に賛成し、議案第13号後期高齢者医療保険事業特別会計及び議案第15号公共下水道会計事業会計予算に反対するものであります。理由については、これまでも述べておりますので、ここでは割愛致しますが、一点だけ申し上げておきたいと思います。それは、2023年4月に公営企業運営審議会から水道料金と下水道使用料の据え置きの答申を受け、これに基づき料金改定等を見送ったことについては、しっかりと評価をしたいと思いますので、改めて申し上げておくものであります。

 

条例改正の議案について

 

次に、条例改正に係る議案についてですが、議案第16号座間市議会議員及び座間市長の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例の一部を改正する条例、議案第18号座間市職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例、議案第19号座間市市税条例の一部を改正する条例、議案第21号座間市手数料条例の一部を改正する条例、議案第22号座間市国民健康保険条例の一部を改正する条例、議案第23号座間市都市公園条例の一部を改正する条例については、概ね妥当な措置であると認め、賛成をするものでありますが、議案第17号座間市行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の一部を改正する条例については、反対をするものであります。

 

以下、理由を申し上げます。本条例改正は、マイナンバー法の改正に伴い改正をするものでありますが、法改正においては、これまでマイナンバーの活用については「法定事務」として、税・社会保障・災害対策のみに限定されていたものが、「特定個人番号利用事務」とされ、国会の議決なしに、その利用範囲を拡大することが可能となってしまいました。マイナンバーの利用範囲については、国会の議決による法定事務として厳格かつ民主的に取り扱うべきであり、そうした観点から条例改正に反対をするものであります。

 

訴えの提起について

 

次に、議案24号訴えの提起についてでありますが、本件は、本市の公用施設たるふれあい会館内食堂を運営していた事業者に対し、契約に基づく使用料及び光熱水費の未払い分等合計518万3532円の支払いを求め、提訴することについてであります。まず、結論的に申し上げれば、契約の不履行に対し、未払い分の請求のため提訴することについては、適切な対応であると認め、賛成をするものであります。

 

しかしながら、現在のふれあい会館内食堂の契約条件は、使用料は無料、光熱水費は調理場のみとしております。これは、以前の契約内容では事業スキームとして成立し得ないという判断からではないでしょうか。つまり、今回の訴えの対象となる事業者との契約内容自体に無理があったのではないか、と思う次第であります。もちろん、当該事業者は契約内容を認め、契約が成立している以上、その履行が求められるのは当然ではありますが、そうした事情も考慮すべきと考えますので、今後の裁判がどのように推移するかわかりませんが、裁判の経過次第では、そうした事情を考慮した和解が成立することを望むものであります。

 

次に、議案第25号市道の路線の認定については、妥当な措置であると認め賛成をするものであります。

 

陳情3件に賛成、2件に反対

 

次に、只今議題となっております陳情についてでありますが、陳情第75号「国に私学助成の拡充を求める意見書の提出を求める陳情」、陳情第76号「神奈川県に私学助成の拡充を求める陳情」、陳情第78号「加齢性難聴者の補聴器購入に市独自の助成を求める陳情」については、陳情趣旨に賛同し、採択すべきものとして、賛成をするものであります。

 

 

陳情第77号「年金制度における外国人への脱退一時金の是正を求める意見書の提出を求める陳情」、陳情第79号「別居・離婚後の良好な親子関係が守られる家族法制改正を求める意見書の提出を求める陳情」については、採択すべきものではないと考え、反対をするものであります。

 

以下、理由を申し上げます。まず、陳情第77号「年金制度における外国人への脱退一時金の是正を求める意見書の提出を求める陳情」についてでありますが、陳情の趣旨が全く持って意味不明であります。陳情書では「国に対し次の事項の調査及び改善を求める意見書を提出するよう」として、「脱退一時金の運用において、日本人と外国人の被用者間で退職時の不公平が生じていること」をあげております。

 

ここであげられている「脱退一時金」とは、日本国籍を有しない方が公的年金制度の被保険者資格を喪失し、日本国内に住所を有しなくなった場合、本人からの請求に基づき被保険者であった期間に応じた額を一時金として支給する制度であります。この制度は、外国人労働者であっても社会保険の加入条件を満たす場合には、強制加入となりますので、老齢年金支給対象となる10年以上の年金保険料納付済み期間の前に帰国する場合は、保険料がいわば「掛け捨て」となるため、支払った年金保険料の一部を一時金として支給し、「掛け捨て」を防ぐことを目的としており、極めて適切な制度運用であると考えます。

 

しかしながら陳情者は、「日本人と外国人の被用者間で退職時の不公平が生じている」と主張しておりますが、日本国籍を有する者の場合は、退職して非被用者となろうが、引き続き被用者となろうが、国民年金又は厚生年金への加入義務が生じるわけですから、制度上の不公平は存在しておりません。

 

次に、陳情書では「生活保護予備軍を無尽蔵に生み出す制度運用であり」と記されておりますが、なぜそうなのかという説明はなく、これもまた意味不明であります。 

 

1950年に施行された生活保護法は、生活に困窮する「すべての国民」に対して必要な保護をすると規定し、外国人については、1954年の局長通知で、「生活に困窮する外国人に対しては一般国民に対する生活保護の決定実施の取り扱いに準じて必要と認める保護を行うこと」とし、保護を実施してきております。また、2014年の最高裁判決でも、「外国人は行政庁の通達等に基づく行政措置により事実上の保護の対象となり得る」とされており、外国人への生活保護は、生活保護法及び運用基準にしたがって、適法かつ適切な運用が行われるべきものであります。

 

以上のように、全く持って意味不明であり、かつ、いたずらに日本人と外国人との不要な対立を煽るかのような本陳情は、採択すべきでなく、反対をするものであります。

 

次に、陳情第79号「別居・離婚後の良好な親子関係が守られる家族法制改正を求める陳情」についてですが、以下、反対の理由を申し述べます。

 

まず、親権に関する私の基本的な考え方を申し上げます。現在、日本は婚姻中は共同親権、離婚後は単独親権制度であることに対して、「単独親権制度では夫婦の別れが親子の別れになってしまっている」というのが共同親権を推進する人々の主張のようでありますが、事実と異なるものと言わざるを得ません。

 

民法766条では「父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」と定められており、離婚後も父母が協力して子育てが出来るようになっております。

 

よって、共同親権推進論者の言う「夫婦の別れが親子の別れになってしまう」のは単独親権制度だからではなく、つまり、親権の問題ではなく、父母の信頼関係が破綻していることによるものと言え、単独親権制度のもとでも、離婚後も民法766条にのっとって協力し合って子を養育することは可能であり、現行法制上、特段の問題があるとは思えません。

 

以上私の基本的な考え方を述べた上、本陳情の陳情趣旨について問題点を指摘して参ります。

 

まず、「原則共同親権・共同監護の実現」についてであります。「子どもへの重大な虐待が認められる場合」や「父母双方の人格を尊重せず子どもの利益を著しく害する場合」等は、「例外として単独親権を認めること」としておりますが、DV等を的確に除外できるのか、という問題があります。

 

つまりDVは密室で行われる場合が多く表面化しにくく、身体的DV以外の精神的、社会的、性的DV等は、証明のハードルが高く、単独親権か共同親権かを定める際にもDVはなかったものとして共同親権が強制される可能性が高いと言わざるを得ません。

 

よって、仮に共同親権を導入するとすれば、陳情者の主張は逆に、原則単独親権とし、父母双方が共同親権の合意が成立する場合にのみ、共同親権とすべきであると考えます。とはいえ、表面上合意が成立されたとしても、実際には「共同親権にしないと離婚しない」とか「共同親権にしないと養育費は払わない」等と共同親権が取引材料とされる恐れもあり、やはり、現行の単独親権制度の維持が最良と考えるものであります。

 

次に、親子交流の考慮要素の適正化についてでありますが、家庭裁判所における面会交流申し立ての内、2020年度では89.6%が何らかの形で面会交流が実施されております。この中にはDVとして認定されなかったり、子どもが別居親と会いたくない意思を示している場合も含まれており、そうした中で面会を制限されたり認めてもらえないということは、DVなどよほど強い事情があることが推察されるものであります。

 

別居親が信頼関係の破綻している相手、あるいはDV加害者等である場合は、面会交流に向けたやり取りを直接続けなければならないことは同居親にとっては、耐えがたい苦痛・恐怖であり、「親子の関係性」に加えて「父母の関係性」を面会交流の考慮要素として重視することは当然であると考えます。

 

また、陳情人が言うように、主体は子どもであり、面会交流権は「子どもに会いたい親の権利」ではなく、「親に会いたい子どもの権利」だということを指摘しておきたいと思います。

 

次に、裁判所の調停・審判が確実に実施される規律の明文化についてでありますが、面会交流については、現在、家庭裁判所においては、診断書などで客観的に証明できる身体的DV以外はDVとしてなかなか認めて貰えず、または過小評価され、子どもが別居親に会いたくないとしても面会交流が強制されている実態があります。このような状況により、不履行という選択をせざるを得ない同居親・子の存在が推定されますので、面会交流のみならず養育費の支払いや子の引き渡しについても、事例ごとに個別具体的な考慮を経ずにいきなり親権停止、喪失を課すというのは思慮に欠けるものであり、適正ではないと思う次第であります。

 

次に、子どもの連れ去り行為の抑止についてでありますが、「子どもの連れ去り」「実子(じっし)誘拐」というキーワードを共同親権推進論者はしばしば用いております。陳情者は「DVや児童虐待がないのに正当な理由なく子を連れ去って」としておりますが、DV加害者の特徴は加害を認めないことにあり、多くの場合、正しくは「子連れ避難」「子連れ別居」と考えられ、緊急避難措置としては適切な対応だと考えます。

 

また、子どもの権利条約を引き合いに出すことも特徴でありますが、同条約第9条では、「締約国は、児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する。ただし、その分離が児童の最善の利益のために必要であると決定する場合はこの限りでない。」とされており、分離自体を否定しているわけではなく、条約の趣旨に反するものでもありません。

 

以上、本陳情の問題点について指摘して参りましたが、これらの理由から本陳情は採択すべきではなく、反対をするものであります。

 

以上、只今議題となっております議案及び陳情について、賛成並びに反対の討論を行いました。議員の皆さんのご賛同をよびかけ、討論を終わります。

2024年3月 一般質問その2 医療的ケア児者を対象とした日常生活用具の給付について その3 ワンストップサービスについて

医療的ケア児者を対象とした日常生活用具の給付について

 

次に、一般質問の第2点目のテーマとして、医療的ケア児者を対象とした日常生活用具の給付について、お聞きしたいと思います。

 

2022年第2回定例会の一般質問において安田議員は、災害時の電源確保について、「人口呼吸器、酸素濃縮器、吸引機など、24時間在宅で医療機器を使用している医療的ケア児者にとって、地震や台風などによって起こされる停電は命の危機に直結します」として、「在宅で人工呼吸器などの医療機器を使用している医療的ケア児者を対象に、自家発電機または外部バッテリーなどを日常生活用具の給付対象とするべきである」と質問されました。

 

これに対し福祉部長は、「人工呼吸器等の医療機器を使用している医療的ケア児者にとって、災害時の電源の確保は非常に重要な問題」との認識を示し、「本市でも、日常生活用具の給付対象として自家発電機や外部バッテリーなどを追加する検討をしてまいります」と答弁されております。

 

そしてその後、2023年4月1日に座間市障害者日常生活用具給付事業実施要領の給付項目に発電機、ポータブル電源、インバーターが追加されました。

 

しかし、対象者は「在宅で人工呼吸器を常時使用している方」となっており、電気式痰吸引機を常時使用している方は対象となっておりません。電気式痰吸引機を常時使用する方にとって、吸引機は日常的に生命・身体機能を維持する上で必要不可欠なものであります。なぜ、対象者を「在宅で人工呼吸器を常時使用している方」のみに限定したのか、説明を求めるものであります。

 

<福祉部長>

 

医療的ケア児者を対象とした日常生活用具の給付についてです。本年度から新たに追加した正弦波インバーター発電機、ポータブル電源蓄電池の支給対象を在宅で人工呼吸器を常時使用している方とした理由です。日常生活用具給付事業は、日常生活用具を必要とする障がい者、障がい児、難病患者等が対象であり、障がい者等の日常生活がより円滑に行われるための用具を給付することにより、福祉の増進に資することを目的とした事業です。

 

新たな種目を追加するにあたっては、その必要性、他の給付対象となり得る種目やその優先順位、代替性や近隣の状況などを踏まえ、検討しています。正弦波インバーター発電機、ポータブル電源蓄電池については、事業の目的からすると日常的に使用するものとは言えませんが、必要性は高いと判断し、新たに種目に加えました。対象者について、痰吸引器は手動式又は電池式の代替品がありますが、人口呼吸器については代替品がなく、生命の危機に直結することから、在宅で人工呼吸器を常時使用している方としたものです。日常生活用具の種目については、今後も必要性など勘案しながら研究して参ります。

 

 

今、部長の方からいろいろと説明がありました。日常生活用具の種目を新たに追加する場合に、代替性が他にあるかどうかだとか、近隣の状況がどうなっているのか、そうしたことを判断して今回の場合、痰吸引器については手動式等があるので見送ったというようなご答弁だったと思います。

 

それでちょっとお伺いをしたいのですが、先ほども引用しましたが、安田議員の質問の際には、「人工呼吸器、酸素濃縮器、吸引器」と明確に例示していますよね。これらの医療機器を24時間在宅で常時使用していると。それに対して当時、福祉部長は何と答えているかと言えば、「人工呼吸器等の」と、「人工呼吸器」に限定せず、「人工呼吸器等の」と、あえてここで入れていると思われるのです。この「等」の中には、電気式の痰吸引器も含まれるという理解でよろしいですか。

 

<福祉部長>

 

以前私が答弁したことの中に「等」が入っていたということについてですが、検討の段階においては、様々な人工呼吸器以外のものについても検討した結果ということであります。

 

 

もちろんそうでしょうね。含まれていて検討したと。では、なぜ検討の結果、この痰吸引器は対象から外されたのですか。

 

<福祉部長>

 

大前提として、日常的に使用しているものという中で、昨今の災害等における報道等を加味して、今回発電機等の検討をしました。その中で、さきほども言いましたが、代替性とか、そういったことを様々な検討の結果、ということになります。

 

 

今、日常的にという話なのですが、確かにこれは災害時などでの非常用電源としての取扱いですよね。でも一方で、電気式痰吸引器って、日常生活用具の給付対象になっていませんか。

 

<福祉部長>

 

項目に入っていると思います。

 

 

なってますよね。ということは日常的に必要なのですよ。それが災害時に電源が必要になってくるというのは、人工呼吸器を使われている方はもちろんそうでしょう。電気式の痰吸引器も日常生活用具として認めているわけでしょ。その電源がなくなった場合どうするのか、という話も安田議員もされているのだと思うのですね。私もそう思います。

 

さきほど代替性という話がありました。安田議員は確か、モニターに写真も写されましたよね。医療的ケア者のお宅の写真を。あの方は、人工呼吸器ではないですよね。私も承知しております。日常的に使っているのは痰吸引器なのですよ。部長に改めてお伺いしますが、安田議員が紹介されたような重度障がい者が、災害時に手動式の痰吸引器を使用することは可能だと思っておられますか。

 

<福祉部長>

 

具体的に可能かどうか、という判断は私には今できませんけれども、様々の検討を踏まえた結果、今回は人工呼吸器という結論に至ったという担当課の結論については、尊重したいと考えております。

 

 

痰吸引は大変ですよね。私の義理の母親はALSだったのですよ。最後は病院の方で亡くなったのですが、それまでは在宅でした。人工呼吸器をつけることの選択を拒否したのですよ。そういう方々は日常的に痰吸引が必要ですよね。私よりも実の子どもであったつれあいが、痰吸引をやっていましたけれど、なかなか大変ですよ。電動であっても。家族がやる場合。しかも、安田さんが紹介した重度の障がい者は、障がい特性から常に体を大きく振るのですよ。さらに環境が災害時は、大きく変わりますよね。そんな中で手動式をやれってことなのか、という話です。再度お聞きしますが、そういう障がい特性を持つ障がい者が、災害時に手動式の痰吸引器の使用が可能だと思いますか。

 

<福祉部長>

 

さきほどの答弁のとおり、それに関しては申し訳ありませんが、判断はできません。今回、人工呼吸器を使用の方ということで決定をし、令和5年度から種目に加えましたが、これについては今後、様々の要望等ありますので、検討を続けていきたいと思いますが、今回は担当として様々な検討を行った結果について尊重したいと、私は考えております。

 

 

今年1月1日に能登半島地震が起こりましたよね。直接災害を通じて亡くなられる方、さらに災害関連死の問題が懸念されます。適切な医療や介護が供給されないために、その他の要因も災害関連死の場合ありますけれども、この能登半島地震においても災害関連死が増えるのではないかということを非常に懸念しております。

 

もう一度言っておきますけれども、災害時に停電になった時に、日常的に電気式の痰吸引器を使用している者からすれば、その電源が喪失した場合は、命に係わる問題です。ですから、その点を考えていただき、日常生活と生命を維持するために、電気式の痰吸引器や酸素濃縮器を常時使用している方を対象に加えていただきたいと思います。

 

ワンストップサービスについて

 

次に、一般質問の第3点目のテーマとして、ワンストップサービスについてお聞きするものであります。

 

死亡後の遺族の手続きをワンストップで行う「おくやみコーナー」の設置について、2022年第4回定例会の一般質問において、当時の市民部長は「おくやみコーナーの設置についてですが、死亡に伴う多くの手続は、ご遺族にとって精神的にも大変な負担であり、本市としてもその必要性は認識しております。導入に当たっては、コーナーの設置場所や運用するシステム、人員配置等の検討課題も多くありますので、先行している自治体の運用状況などの情報収集を進めるとともに、関連する部署で協議し、本市の状況に合った支援ができるよう、来年度以降の開設に向けて検討してまいります」と答弁されております。

 

では、検討の結果はどのようになったのでしょうか。「おくやみコーナー」の設置に関する検討結果及び実施方法等について、説明を求めるものであります。

 

<総合政策部長>

 

ワンストップサービスに関する「おくやみ窓口」の設置について、検討結果及び実施方法等をお答えします。他自治体の事例も参考にしながら、本市のめざすスマート窓口の方向性に合わせて検討した結果、コーナーのように特別な場所を設けずに可能な限り手続きの負担を軽減する方法で実施することとしました。

 

具体的な実施方法は、市公式アカウント等でご遺族に来庁日を予約いただき、来庁時には手続き一覧及び氏名等が記載された申請書類をお渡しすることで、手続きの必要な窓口を探す時間の短縮、記入に要する手間が省けるなど手続きの負担軽減を図るものです。

 

なお、本年2月に試行期間を設け、運用面を検証したところ、実施可能と判断したため、3月から本運用で開始したところです。

 

 

これは特別に場所を設けるものではないと。LINE又は電話で予約をして、市民広聴課が必要な手続きについて関係各課に照会をし、申請書などの取りまとめを行い、来庁者は手続きの一覧表に従って、各担当窓口に行ってもらうという流れですよね。

 

ワンストップサービスかと言えば、そうではないですよね。私が率直に感じたのは、「ちょっと円滑なたらい回し」と思ったのですが、なぜ、ワンストップサービスを採用しなかったのですか。

 

<総合政策部長>

 

今回2月に試行を開始するにあたって、事前に関係各課と協議をする中で、おくやみコーナーにすべての仕組みを集約していくのは、該当する手続きが多岐にわたりますので、事務フローが煩雑になること、対象手続きの職員をおくやみコーナーに向かわせることをしても担当外の事案が出てきたり、いわゆる手戻りが発生する可能性があることから、検討の結果、所管課で相談を含めて対応する方がよいという判断をしました。

 

 

今のお話で言うと、手続きが多岐にわたるということと突発的に派生的な手続き等も発生してくるという話なのですが、おととしの12月に、私は一般質問は結局しなかったのですが、私の経験をしゃべらせていただきました。私の母親が九州の実家で亡くなったとき、そのおくやみコーナーの手続きだったのですが、極めてスムーズに進んだのですね。おくやみコーナーで手続きを申し出て、そこに座っていれば関係各課が書類を持ってやって来て、書類の記入についてもスムーズに進みましたし、派生的な手続きが発生するということもありませんでした。

 

利便性がどちらが良いかと言えば、ワンストップサービスの方ですよね。来庁される方々にとってみれば。今の話だと皆さん方の立場からすると、そっちの方がスムーズだというふうに聞こえてくるわけであります。

 

関連でお伺いしたいのですが、今回の予算資料の説明の中にスマート窓口ってありましたよね。スマート窓口を開設すると。そのスマート窓口の考え方と今回のおくやみコーナーのシステムと同一のシステムにしたということですか。

 

<総合政策部長>

 

窓口を一本化するというのは、市民にとっては利便性が高まると理解するものですが、検討の中で、事務の洗い出しをさせていただきまして、おくやみコーナーについては職員が出向くという方法をとらず、他機関へのご案内も含めて、手続きの漏れをより防止できるのではないかと判断から、そのようにさせていただいております。

 

 

今、お聞きしたのは、今回の遺族の方の手続きのシステムについてスマート窓口と同じシステムなのかということ。スマート窓口というのはワンストップではなく、流れを便利にしていくと言うか。例えば、病院に行くと、まず総合受付で保険証を出して受付を行い、それから各診療科に行く、あるいは検査に行く、診療を受ける、最後に窓口に帰って来て支払いを行う、こういうイメージで捉えているのですよ。言ってみれば、ワンストップは職員が動くのですよ。スマート窓口はお客さんが動くのですよ。というふうに私は理解していますが、今回の遺族の方の手続きはスマート窓口との統一で、そういうふうにしたのかというのが私の質問です。

 

<総合政策部長>

 

スマート窓口については、スマート窓口の定義的なものは、まだしっかりとできているわけではありませんが、今定例会の総括質疑において須崎議員に答弁させていただいたように、市民等が来庁時に窓口で長時間待たされたり、迷ったり、何度も手続きをすることなくサービスが受けられるということを基本的な考え方としております。今後は更なる検討を進めて参ります。

 

 

スマート窓口の方向性が定まっていないので、なかなか答えづらいということで、そういう答弁になるのかもしれません。まあ、話を戻しますと、ワンストップサービスなのか、人の流れを便利にしていく方法なのか、ということです。遺族の方の手続きは、人によって違うのは確かでしょう。しかし、ほぼ定型化されていますよね。私が行った自治体での手続きもそうでしたけれども、一覧表でほぼ定型化されています。市民の利便性からも、また職員の事務においてもワンストップサービスは可能なのではないか思います。

 

もちろん、流れを便利にすることで市民の方の利便性を確保しようとしたことについては、もちろん評価しますよ。その上でもう一度、ワンストップサービスが可能なのかどうか、再度検討していただきたいと思いますが、いかがですか。

 

<総合政策部長>

 

今、議員のおっしゃったことも私も理解するものです。ワンストップサービスを否定するものではありません。利便性については確かにサービスの向上につながっていくと思います。ただ、いろいろなことを総合的に考えた時に、すべてが整った段階でスタートするとなると相当な時間が要してしまいますので、我々としては、令和5年度中には実施したいという考えもありましたので、まずはスモールスタートということで始めたわけで、今後、市民サービスの向上と合わせて、ワンストップサービスについては引き続き検討してまいります。

 

 

スモールスタートという話ですが、私は取り組んだことは評価しているのですよ。ただ考え方の問題として、お客さんの方が動くのか、職員が動くのか、で言えば、利便性から言えばワンストップの方ではないかと思いますので、実施をしながら再検討していただければと思います。

2024年3月 一般質問その1 国民健康保険税の改定及び社会保険料の負担について

一般質問の第1点目のテーマは、「国民健康保険税の改定及び社会保険料の負担について」であります。まず、先日の総括質疑に引き続き今回の国民健康保険税の改定、値上げについてお聞きして参ります。

 

一回目の質問と答弁

1)国民健康保険税の改定について

 

 

これは、先日の総括質疑の際にお示ししたモデルケース(2人加入で一人が45歳所得300万円、一人が38歳所得40万円)の場合の、保険税の値上げの推移です。ご覧のとおり、今回の値上げでは。現行37万6900円の年間保険税が42万6500円、額にして4万9600円、率にして13.2%の増となり、2013年度対比では、額にして14万4300円、率にして51.1%の増と大幅な値上げとなります。今回は神奈川県が示す標準料率への統一は見送られましたが、もし標準料率と同じなれば、年間46万7600円まで引き上げられることなります。

 

次に、単身者世帯について見ていきたいと思います。

 

 

これは、40歳以上の1人世帯で、値上げ後の保険税額を所得階層ごとに並べたものです。ご覧のとおり所得900万円までは所得に応じて保険税が上がるという累進性が機能しておりますが、所得1000万円以上になると、保険税限度額が106万円であるため、いくら所得が多くとも、累進性は機能しなくなります。

 

 

一方、所得に対する保険税額の割合(負担率)で見て参りますと、この40歳以上の1人世帯では、所得100万円の層が15.02%と最も高く、次が所得82万円の層で13.7%となります。

 

 

これは、40歳以上の4人家族で所得に対する保険税額の割合を示したものですが、ご覧のように所得60万円の層が22.68%で最も高く、次が所得82万円の層で19.8%となっております。しかも、共に均等割が法定減免で5割軽減となった上での話であります。

 

 

次に、現行保険税から何%の改定率となるのかということを見て参りたいと思います。これは40歳以上の4人家族で、所得階層毎に並べたものですが、所得60万円の層が14.08%と最も高くなっております。

 

総じて、所得が低いほど、所得に対する保険税額の割合が高く、改定率(値上げ率)も高くなっております。そこで、お聞きするものでありますが、なぜこうした状況になるのでしょうか。理由の説明と見解を求めるものであります。

 

このように、国民健康保険税はこの11年間で5回も値上げが繰り返され、特に低所得者にとって思い負担となっておりますが、では、保険税を支払う側の負担能力、すなわち懐具合はどうなっているのか見ていきますと、

 

 

これは、実質賃金指数に関する比較ですが、ご覧のとおり、いわゆる「先進国」と呼ばれる国々の中では、唯一日本だけがマイナスとなっております。

 

 

次に、所得の中央値についてですが、1997年から2022年までの25年間で、117万円低下しております。

 

このように、実質賃金も所得の中央値も落ち込む一方で、国民健康保険介護保険後期高齢者医療制度などの公的社会保障に関わる負担は、一貫して増え続けているわけであります。

 

さて、話を戻しまして国民健康保険事業についてですが、法改正により2018年度から都道府県が国民健康保険事業の財政運営の責任主体となり、統一的な運営方針を定め、市町村が行う事務の標準化がすすめられてきました。神奈川県では、2036年度を保険料水準完全統一の目標とし、2027年度には納付金ベースでの統一、2033年には県が保険料を決定する準統一とする方針を示しております。

 

本市の今回の改定では、県が示す標準税率と現行税率との差額の1/2を埋める値上げとしておりますが、今後標準税率と同額水準まで引き上げるとすれば、国民健康保険被保険者の更なる負担増となります。しかし、こうした負担増は、被保険者の担税力を超えるものであり、制度上の抜本的な改革が求められると思われますが、市として国に対してどのような制度改革を求めていくのか、総括質疑でも質しましたが、改めて見解を伺いたいと思います。

 

2)後期高齢者医療制度保険料及び介護保険料について

 

次に、後期高齢者医療制度保険料及び介護保険料について、お聞きして参ります。

 

 

夫婦2人世帯、共に75歳以上、夫の年金収入174万7980円(2021年度厚生年金平均額)、妻の年金収入79万5000円(基礎年金)をモデルケースとして設定した場合、後期高齢者医療制度の年間保険料は、制度発足時の2008年度は4万7970円。それが2022年度では6万2230円と額にして1万4260円、率にして29.73%の増となっております。

 

 

次に介護保険料についてですが、制度発足時の2000年度7万6910円。それが2021年度13万7280円と額にして6万370円、率にして78.49%の増となっております。

 

 

後期高齢者医療制度保険料と介護保険料の合算では、2008年度14万470円。それが2022年度には19万9510円と額にして5万9040円、率にして42.03%の増となっております。

 

ではなぜ、こうした負担増が続いているのか、ということでありますが、その要因は、後期高齢者医療制度介護保険制度の財源構成に起因するものであります。

 

 

これは、後期高齢者医療制度の財源構成と2022年度の決算速報値による財政規模を表したものであります。負担割合は、保険料50%、公費50%。保険料のうち75歳以上の被保険者の保険料が医療給付費等の10%、健康保険や国民健康保険の被保険者からの支援金が40%。公費では、国が33%、都道府県が8%、市町村が8%となっております。なお、ここには被保険者の窓口負担分(1割~3割)がありませんが、これを加えたものが総費用となります。

 

 

次に、これは介護保険制度の財源構成と2022年度予算ベースによる財政規模を表したものであります。負担割合は、後期高齢者と同様に保険料50%、公費50%。保険料のうち65歳以上の第1号被保険者の保険料が23%、40歳から64歳までの第2号被保険者の保険料が27%。公費は国が20%+5%で25%、都道府県が12.5%、市町村が12.5%となっております。また、これにサービス利用者の利用料(原則1割~3割)を加えたものが総費用となります。

 

以上のように後期高齢者医療制度介護保険制度の財源構成が公費分50%保険料分50%と明確に区分されているため、高齢化の進行により、給付総額が拡大していくことになりますから、給付の伸びに応じて、保険料もまた利用料も、確実に比例して増加することになるわけであります。

 

しかし、高齢者世帯は現役世代と異なり、年金生活の方にとっては年金収入が増えることはなりません。(厳密に言えば、年金受給額の平均は直近5年間では減少している) こうした中で、保険料の負担増は確実に消費支出の減に直結するとともに、場合によっては生活が成り立たなくなる場合もあります。

 

今後、中長期的に見ても団塊世代が75歳以上となることから、後期高齢者医療給付費及び介護給付費は増加することが確実であり、それに伴い各々の保険料や自己負担額は増加することとなりますが、こうした高齢者世帯の負担増をどのように見ているのか、見解を伺うとともに、国に対してどのような制度改革を求めて行くのか、見解を伺いたいと思います。

 

<健康部長>

 

初めに国民健康保険税の改定について、所得が低いほど所得に対する保険税額の割合が高く、改定率も高くなっている理由ですが、低所得者世帯に対する軽減制度が適用されない境目の所得階層の負担割合が高いこと、また、軽減制度が適用されたとしても、応益分の均等割及び平等割は、被保険者に等しく賦課されるため、世帯員数が多ければその分の均等割額が賦課されることから、保険税額の割合が高くなっているものと考えます。

 

一方で、賦課総額構成の割合のうち、応能分である所得割を高くした場合は、低所得者の加入割合が高いため、十分な国民健康保険税の歳入を確保することは困難です。このため、国民健康保険制度を維持するためには、応益割についても一定程度の割合で賦課する必要があると考えます。

 

次に、国に対してどのような制度改革を求めていくのかということについてですが、国民健康保険は、他の医療保険制度と比べ、高齢者や低所得者の加入割合が高いという構造的な問題を抱えていることから、国民健康保険財政基盤の更なる強化が求められています。

 

持続可能な国民健康保険制度となるよう、被保険者の保険税の負担増が起きている現状を踏まえ、財政支援のさらなる拡充として国庫負担割合の引上げを国へ、また県の定める標準保険料率が更なる被保険者の負担増とならない率とするよう県へ求めて参ります。

 

次に、後期高齢者医療保険料負担が増となることへの見解ですが、団塊の世代後期高齢者医療制度へ移行し、今後の後期高齢者の医療費は一層増加していく見込みであると、運営主体である神奈川県後期高齢者医療広域連合からも示されています。制度全体にかかる費用が大きくなることで被保険者への負担が大きくなることは、後期高齢者医療制度の構造上の問題と捉えています。

 

また、国に対してどのような制度改革を求めていくのかについてですが、国が進めている医療保険制度改革は、後期高齢者の生活に大きな影響を及ぼすことから、被保険者の負担能力に応じた適切な制度とすること、また、国による財政支援を確実に実施することを求めて参ります。

 

 

<福祉部長>

 

初めに介護保険料についてお答えします。第9期介護保険事業計画の期間中に団塊の世代が全員75歳以上となることから、要介護高齢者が増加する一方、生産年齢人口が減少することが見込まれています。そのため、議員がおっしゃるとおり、介護給付費は増加し、保険料負担も負担増となることが見込まれています。介護保険制度を維持していくためには、国において持続可能な制度設計を行う必要があるものと捉えています。

 

そのため本市から国への働きかけとして、介護給付費負担金は国庫負担25%のうち、全国平均5%となるよう財政調整交付金を配分しているが、これを別枠として確保し、国庫負担25%を全保険者に交付すること、介護保険に係る人件費、事務費等が多大な財政負担となっていることから、市町村の財政負担が過重とならないよう、十分な財政措置を講じること、を国に働きかけでおります。加えて本年度の県を通じて、国の国庫負担割合の増を働きかけるよう要望しました。

 

 

以下、一問一答方式による再質問と答弁

 

まず、国民健康保険税の改定についてですが、私が壇上で、具体的な数字を基にして、所得が低いほど所得に対する負担率が高い、さらに今回の値上げの率、改定率でも所得が低いほど高いということを指摘し、なぜこうした状況になるのかということをお聞きし、部長の答弁がありました。

 

これは良い悪い別にして、事実としてそうだと思います。応益割と言われる均等割だとか平等割ですね。これは所得に関係なく課税されるわけですが、これの割合が座間市国保の場合、まあ、全国的にもその割合が非常に大きいということですよね。

 

一方で応能割を増やそうとしても、応能力のある人たちが加入者の中にいるのか、ということですよね。座間市の直近の数値で、世帯単位になりますが、所得なしが36.76%、所得100万円以下が62.4%、所得300万円以下で90.38%と、所得300万円以下で9割、その中には所得なしが36.76%という状況です。こうした中で、所得割の少しばかり増やしたとしても、それによって十分な歳入を確保することは困難だ、という答弁だったと思います。

 

確かにそのとおりなのですが、なぜそうなるのかという点ではもう一つの要素があると思います。

 

 

これは改定後の改定率ですが、所得1000万円以上の層の限度額の問題なのですね。分岐点はおそらく所得900万円台のところにあると思いますが、間違いなく1000万円以上で言えば、保険税が増えない。いくら所得が多くても。1000万円以上は、みな改定率1.92%とあるのは、今回の改正による課税限度額の引き上げ分が1.92%だったということです。

 

現在国保税の限度額が106万円に設定されているために、どういう現象が生まれるかと言えば、所得割というのは所得に対して6.8%を掛けますよね。それによって所得割額を算出する。例えば2000万円の所得がある人に、本来の所得割の税率である6.8%を掛けた場合の保険税額は141万3360円になります。実際は106万円ですから、この場合は所得割の率というのは、4.99%なのですよ。条例上は6.8%と書いてあるのですよ。けれど4.99%ですんでいるという話なのです。額にして35万3360円、率にして25%、減額されていると言っても過言ではないということです。

 

私は、これも国民健康保険事業の構造的な問題ではないかと思っています。ここで、お伺いしたいのですが、本市の所得1000万円以上の被保険者数とその構成比率、及び所得2000万円以上の被保険者数とその構成比率。細かな数字なので事前に通告しておりますが、いかがでしょう。

 

<健康部長>

 

令和5年3月31日時点における令和4年中に加入した被保険者数の合計ですと、所得1000万円超で2000万円未満の被保険者数は342人、割合にして1.14%。所得2000万円以上の被保険者数は117人、割合にして0.39%でございます。

 

 

2000万円以上の被保険者が117人ということですよね。事前に担当からその数字をお聞きしておりましたが、試算してみました。117人全員が2000万円の所得だと仮定し、本来の所得割6.8%を課税した場合の保険税額の増額分は4134万円。1000万円から徐々に上限額を上回ることになりますから、保険税の上限額を150万円まで引き上げた場合、少なくとも本市においては、おそらく5000万円以上の増収になると思いますが、課税限度額の引き上げについて、当局の見解を伺っておきたいと思います。

 

<健康部長>

 

課税限度額を引き上げることにつきましては、高所得層により多く負担していただくことで、中間所得層の被保険者には配慮したものとなりますが、国が被用者保険のルールとのバランスを考慮して定めております。今後の国の動向を注視しつつ、研究して参る必要があるものと考えております。

 

今の話ですが、課税限度額を引き上げれば中間所得層に配慮したものになるけれども・・・、というお話でしたよね。課税限度額を上げれば高額所得者により多く負担してもらい、中間層に配慮することになると。けれども、とお話されたのですが、でも、逆に言うと今の現状というのは高額所得者の負担軽減されている分が中間所得層に転嫁されていると言えるじゃないですか。論理的にはそうなりますよね。

 

そのことについて、あえてこれ以上言いませんが、私が知り得る限りでもこの間、限度額は何回も引き上げられていますよね。今の国保の実情からすれば、限度額を上げることが根本的な解決になるとは思っておりません。ただし、限度額を150万円まで引き上げれば、少なくとも今の国保財政で5000万円以上の増収になるという話なので、ぜひその点を含めて、国に対して要望をしていただきたいと思います。

 

次に、国に対してどういうことを求めていくのかということですが、国庫の負担割合の増を求めていくというお話で、それはそれで是非ともやっていただきたいと思います。

 

ところで、という話ですが、今国会に提出をされているんでしょうかねえ、いわゆる異次元の少子化対策と言って、子育て支援策の財源3兆6千億円、このうち1兆1000億円に関しては公的医療保険に合わせて徴収するということを政府は方針としています。新聞報道によると、一人当たり月500円という話があったり、保険の種類によっては一人当たり月1000円になったりと、そんな話が出ています。もし500円だとすれば年間6000円の値上げです。1000円だとすれば年間1万2000円の値上げになりますよね。これについて、何か国の方から説明がありましたか。

 

<健康部長>

 

議員が言及された子ども子育ての支援の関係についてですけども、今現在、正式な通知が来ておりませんので、具体的な内容については把握しておりません。

 

 

間違いなく、年間6000円から1万2000円、まだ確定はしておりませんが、今後標準料率まで国保税を上げると言っていますけど、それにプラスしてこの子育て支援金が加わってくるわけですよね。

 

これも、ちなみにお聞きしておきたいのですが、先ほどお示しした2人世帯で、所得300万円と所得40万円、片方のみ介護分が発生する場合の保険税額が42万6500円ですよね。同じモデルケースで本市の職員だった場合、健康保険の自己負担額はいくらになりますか。

 

<健康部長>

 

共済組合関係を所管している課に参考として確認しております。同じ45歳、所得300万円で標準報酬を想定して、介護分ありで掛金を算出した場合は22万円余となるとのことです。

 

 

国保の半分ですよね。皆さん方は。まあ。別にそれが悪いということを言っているわけじゃなくて、当たり前ですよね。被用者保険ですから事業者負担が入っているわけです。でも国保の場合は、事業者負担がないので、負担水準は倍。同じ所得であっても倍の保険税を負担していることになるわけです。

 

私自身は、国に求めていくならば、水準をどう統一していくかということに関して、今は国保の中で標準料率にいかに近づけていくのかという話をしていますが、統一すべきは保険料負担の統一じゃないですか。被用者保険の人と国保の人と同じ所得であっても、国保の人は2倍払っているということ、ここを是正する。保険料の水準を統一することが一番必要なことではないかと思いますが、見解はいかがですか。

 

<健康部長>

 

保険料の統一ということで、ご質問いただきましたが、保険料の統一ということになりますと、医療保険制度の大変大きな改革になりますので、議員のご意見として受け止めをさせていただきます。

 

 

 

これは、厚労省の2022年度決算速報値を基にした医療経済実態調査なのですけれども、国民健康保険の全国的な給付総額は、8兆6244億円。そのうち国がいくら負担しているのか。3兆384億円。都道府県の負担金は1兆402億円。市町村の負担金は5938億円。保険料が2兆2479億円。こういう形になっています。

 

これを見ると保険料が約2兆2000億円ですから、先ほど言ったように被用者保険と統一するならば半額でしょ。半額の1兆1000億円分を上の国庫負担の約3兆円に加えると、国庫負担が約4兆1000億円になって、保険料が約1兆1000億円になりますよね。それによって保険料水準は統一することが可能だと思います。

 

ぜひ、こうしたことも含めて要望していただきたい。数字上は可能なのですよ。ただ、先ほどの答弁で「医療制度の大きな改革であり、ご意見として受け止めます」という話でしたが、とてもそんなこと国には言えないという雰囲気がにじみ出ていますが、ほんとうに国保被保険者のことを考えるならば、このぐらいの抜本的な改革をしっかりと国に要望していただきたいと思います。

 

次に、後期高齢者医療制度保険料及び介護保険料についてですが、75歳以上の方からすれば、後期高齢者医療保険料も介護保険料も同じように払わなければならないものですが、市の部署で言えば、健康部と福祉部ということで、それぞれ答弁がありました。

 

両制度とも今後の見込みからすれば、事業費が膨らむことは間違いない。すると被保険者の保険料負担や利用料負担が増えることは間違いないということでありましたが、介護保険について具体的にお伺いしたいと思います。

 

介護保険制度では、要介護ごとにサービス量の上限額、支給限度額が定められておりますが、本市の場合、支給限度額に対する利用率はどのくらいになっていますか。

 

<福祉部長>

 

本市の利用限度額に対する利用率については、そういった数値をとっておりませんので、お答えできません。

 

 

これについては、私は記憶しているのですが、介護保険制度が始まった頃に議会の議論の中で当局側からしっかり答えられたのです。統計をとっていないというのが、不可思議なのです。

 

 

これは、神奈川県介護支援専門員協会の制度改正調査研究委員会の調査報告書からの引用です。要介護ごとに支給限度額が並んでいます。それに対する県平均の利用率が分かりました。要介護1については支給限度額167,650円に対し利用率は39.3%。要介護2が197,050円に対し44.8%。要介護3が270,480円に対し52.1%。要介護4が309,380円に対し53.5%。要介護5が362,170円に対し66.0%。こういう状況です。これについて、支給限度額まで使われていないことについて当局としては、どのようにお考えになりますか。

 

<福祉部長>

 

その理由については、様々な要因があるかと思いますが、ケアのプランニングをする段階で、その家庭の状況やお体の状況を踏まえてケアプランを作成しておりますので、その結果であると捉えています。

 

 

適正なケアプランによって、という話でしょうけれど。そりゃあ、ケアプランとしては適正だと思いますが、ケアプランを作成する上でも、ケアマネージャーの頭の中に何があるかと言えば、そのご家庭の負担能力の問題も出てきますよね。また、家族介護ということもあるかもしれません。でも家族介護というのは、私は論外だと思っています。元々制度自身が家族介護から介護の社会化ということで始まったものですから、家族介護を前提におくというのは間違っていると思います。

 

私は、こうしたことからも利用料や保険料の負担というのが大きな影響を及ぼしているのではないかと思いますが、その点はいかがですか。

 

<福祉部長>

 

介護保険料やサービスの利用料、自己負担額等も影響しているものとは思います。

 

 

先ほどのモデルケース、75歳以上で年金収入が厚生年金の平均額、妻が年金収入が79万5000円の基礎年金分だけという場合ですが、この世帯で一人が特養老人ホームに入所した場合、利用料は月額いくらとなりますか。

 

<福祉部長>

 

施設によって総額の利用料は変わってくると思いますが、自己負担額の部分で言えば、2万3000円程度と聞いています。それに食費や雑費が含まれるというふうに聞いています。

 

 

 

厚労省のホームページに目安が出ています。要介護5の人が多床室を利用した場合、サービス利用料としては2万5200円ですが、いわゆるホテルコストと呼ばれる居住費や食費が加わりますよね。それに日常生活費を加えて多床室で10万4200円。

 

 

ユニット型個室の場合は、14万1430円。今や、高額所得者でないと特養老人ホームには入れないのではないかという感じです。

 

 

一方で、これは厚労省社会保障審議会の資料です。75歳以上の夫婦2人世帯の年収別モデルです。年265万円、月21万円というのは先ほどのケースとほぼ変わらないです。先ほどのケースは月22万円の計算ですね。

 

これどうもおかしいのは、住居費が年間18万円しか計算されていません。月1.5万円ですから。ということは持ち家ということなのでしょう。もし、月5万のアパートに暮らしていたとすれば年間60万円、7万だとすると84万円。全く違ってきますよね。さらに保健医療費が年15万円、月1.25万円なのですよ。これもおそらく介護を受けていないことを想定しての保健医療費じゃないかと思われるわけです。これが年収モデルとして介護保険の改定にあたっての出されている資料なのですね。これが適切なのかどうかわかりませんが。

 

年収ベースで年265万円、月21万円。その家庭で一人が要介護状態となって、特別養護老人ホームに入ることになると、年間利用料はユニット型で168万円になのですよ。しかもこの世帯の場合は、補足給付という低所得者に対する減免が適用されません。課税世帯ですから、丸ごと168万円です。ということは年収265万円に対して一人が特養老人ホームに入所した場合、収入の約6割が自己負担額に消えていくことになります。こうした状況についてどう思われますか。

 

<福祉部長>

 

介護サービスの利用につきましては、様々な課題があるとは捉えております。また、先ほど議員の方からも言われたように、本人の負担がどんどん増えていく状況。一方でそうしたことをしないと、介護保険サービスそのものが市として維持ができないということについては、大変懸念をしております。

 

その上で、どういった形でこれからの、直近で言えば次年度からの第9期の事業計画において、どういう負担をいただき、財政措置を要望していくか、検討した上で、今できることで維持をしていく計画を立て、今後やっていこうと決めたところです。ただ、高齢者はどんどん増えますので、未来を担う子どもにお金を使うということもあるけれども、高齢者、障がい者もバランスよくしっかり財源措置をいただきたいなと思っています。

 

 

私は、市の当局を責めているわけではありません。こうした現状の中で、地方自治体で解決できるかと言えば、解決できないじゃないですかという話なのです。制度の抜本的な改革が必要だと思うのです。高齢者にとってみれば、保険料や利用料の負担がサービス利用の抑制効果に働く、あるいは生活がままならなくなる、非消費部門の支出がどんどん増える、ということがあります。一方で、介護の現場で働いている人たちの処遇を見ると、よく言われることですが、全産業平均と100万円以上の差額があると。今回の改定では、多少、処遇改善が措置されていますが、足りないですよね。介護従事者にしっかりとした労働条件を確保しようとすれば、介護費用は上がりますよね。当然保険料は上がってしまう。天秤のような状態になっているわけですよ。この構造自身を変えない限り、両方とも不幸なのですよ。

 

先日長瀬議員もおっしゃっておられましたけれども、在宅介護の中心となるホームヘルパーでは、ついに年間の離職者が入職者を上回ったのですよね。しかし、訪問介護は基本報酬がマイナス改定となっている。一体何をやっているんだ、というのは私の率直な気持ちです。

 

 

これは、先ほどもお示ししましたが、介護保険の財源構成と規模です。先ほどの福祉部長の答弁では、調整交付金の5%のところは別枠にして、25%国庫負担は確実に交付してほしいということでしたが、それはあまりにも過少な要望ですよ。

 

これも公費負担を75%まで引き上げるべきですよ。国の負担が今25%になっているものを50%へ、介護保険財政の半分は国が責任を持つ、都道府県や市町村の負担はそのまま、そうすると第1号被保険者と第2号被保険者は保険料が半額となる。そうすることよって、国保の第2号被保険者の保険料も減額になっていく、ということになります。ぜひ、そうした大胆な国費投入、私からすれば、具体的には50%の国庫負担、これをしっかり国に求めていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

 

<福祉部長>

 

先ほど健康部長からもお話がありましたが、介護保険制度についても抜本的な改革をお願いしたいところではございますが、大きな改革を市から声をあげても、なかなか実現をしないところではありますが、実現可能なところから、改革をしていただける部分があると思いながら、求めていきたいと思います。

 

 

さきほどの要望項目の中で、国の交付金をしっかりと25%基本交付金として確保してほしいという話と、人件費等の財政な負担を財政措置してほしい、ということでありましたが、もう少し視点を被保険者に移してほしいと思います。被保険者の保険料とか利用料とかが軽減をされる、そうしたことに視点を移していただきたい。現実には、この介護保険後期高齢者医療制度に関する法律では、市町村の裁量的余地はほとんどありません。制度上そのように設計されていますよね。昔の国保では、保険料を抑えるために一般財源を投入することができましたけれど、介護と後期高齢者については、法律で禁止されていますよね。

 

市町村の裁量権が非常に少ない中ですけれど、だからこそ、しっかりと国に要望していただく、そのためには被保険者の立場に立って、要望していただきたいということを申し上げて質問を終わりたいと思います。

 

2024年2月 総括質疑

それでは、只今議題となっております議案のうち、議案第20号座間市国民健康保険税条例の一部を改正する条例について、質疑を行って参ります。今回もモニターを使用致しますけれども、議長から許可をいただいております。

 

国民健康保険税の改正内容

これが、今回の保険税条例の一部を改正する条例の改正内容です。ご覧の通り、医療給付費分、後期高齢者支援金分、介護納付金分とそれぞれ現行と改正後について表記されておりますけれども、まあ、これを見ても一体どのくらい上げるのか、なかなかイメージつきにくいと思いますので、後ほどモデルケースをお示ししていきたいと思っています。

 

改正理由

次に、これが改正理由です。みなさんご承知のとおり国民健康保険法の改正により、2018年度から都道府県が国民健康保険事業の財政の責任主体となりました。その上で、「神奈川県では、県内市町村の保険料(税)水準の統一に向け、令和18年度を完全一致の目標年度とし、令和9年度に医療費水準を納付金に反映させない納付金ベースの統一を目指している」と。

 

「本市においては、この県の方針に基づいて段階的に県の標準保険料率に近づけていくため、令和4年度の国民健康保険税率及び税額の改定において、令和6年度、」今回ですけれども、「神奈川県の示す標準料率と同額にすることとしましたが、県において激変緩和措置及び財政支援措置が講じられること及び被保険者への影響を鑑み、令和6年度保険税率及び税額を県の示す標準料率との乖離率及び乖離額の差が1/2となるよう改定します。」

 

これが今回の定例会の概要資料の中で示されている改正理由であります。

 

モデルケース(2人加入 45歳:所得300万円 38歳:所得40万円)

 

これは、モデルケースなのですが、「2人加入 45歳所得300万円、38歳所得40万円」というケースです。45歳の方については介護保険の第2号被保険者の分が含まれますね。38歳の方については、介護分が含まれないと。これを計算していくと、医療分が現行22万3900円から24万9400円に。後期分が現行8万2700円が9万7700円。介護分が現行の7万300円が7万9400円。合計で、課税合計額が42万6500円。現行が37万6900円ですから、プラス4万9600円。今回の改定で、これだけ上がるわけですよ。

 

これを経年的に見ると、2013年度からにしたのは、これ以前は資産割が入っていたのですね。資産割がなくなった以降で見ていくと、このケースでは、2013年度、今から11年前ですけれども、この時の保険税の総額は28万2200円。それが、2024年度では42万6500円ですから、14万4300円、率にして51.1%の値上げになっているのですよ。5割増えたという話ですよね。

 

 

前年度比でプラス4万9600円、13.2%の増。2013年度比でプラス14万4300円、51.1%の増。この負担増は、果たして適切なものなのか。まず、お聞きをしたいと思います。また、総じていうならば、今の国民健康保険事業において、被保険者の負担というのは、私は明らかに被保険者の担税力、税を負担する能力を超えるものではないかという認識を持っておりますが、当局側としては現行の国民健康保険税について、担税力を超えるものであるという認識はあるのか、見解を伺い、1回目の質疑としたいと思います。

 

<健康部長>

 

モデルケースの負担増についてですが、本条例改正は国の法改正に基づき神奈川県が神奈川県国民健康保険運営方針を策定し、本方針に基づく保険料水準の統一のロードマップに沿って、本市の国民健康保険税率及び税額を改定するものです。本市の国民健康保険財政の基盤を強化しつつ、また、被保険者へ急激な負担増とならないよう完全統一にむけ保険税率及び税額の改定を行ってまいります。

 

次に、被保険者の担税力を超えるものではないかとのことですが、被保険者への負担が増加していることは認識しております。国民皆保険制度を維持し、持続可能な制度とすべく引き続き国や県に抜本的な改革を求めて参ります。

 

 

<再質疑>

 

それでは、再質疑を行って参ります。まず、モデルケースですが、「この負担増は適切なものか」ということに対して、部長の答弁は「県の運営方針にしたがって、保険料統一のロードマップにしたがって、急激な負担とならないように」と。

 

ゆでガエル理論

 

みなさん、ゆでガエル理論ってご存じですか。熱湯にカエルを入れると、熱くてすぐに飛び出します。ところが、ぬるま湯にしておいて、徐々に温度を上げていくと、しばらくは耐えていて、最後は息絶えるという話です。これは比喩表現ですけれども、今の状態というのはゆでガエル状態ではないかと。つまり、上がることは上がるけれども徐々に上げていけば、ゆでガエル状態でまだ耐えれるだろうという風にしか思えません。

 

何のための定額減税

 

例えば、現行より4万9600円、年間約5万円ですよね。みなさんご承知のとおり、岸田政権がデフレ脱局、みなさんの懐をあたためるために、減税をやりますということですよね。所得税と住民税の減税4万円ですよね。まあ、このモデルケースの場合は、所得40万円の人を扶養者とみなせば今回の定額減税では8万円となりますから、8万円のうち5万円は保険料の値上げ分で消えていくわけです。

 

一方で所得300万円の単身世帯の場合の負担増はいくらとなるか計算してみますと、4万4000円なのですよ。単身者の場合はまるっぽ減税分が社会保険料の値上げで吸い取られてしまうという状態なのですよ。

 

これを見てもわかるように、2013年からわずか11年間で保険税が51%増ですよ。平均的な給与が51%上がっていますか。あるいは、給料が前年度13.2%上がっていますか。間違いなく保険税負担によって、可処分所得がなくなるわけですよ。これでは、景気が回復しないのは当たり前ということです。結局減税を行ったとしても、その分社会保険料で持っていかれれば、減税効果は全くないじゃないですか。

 

いろいろと私の意見を述べました。さっき、ゆでガエルと言いましたけれども、行政の立場としては神奈川県の方針に沿ってと言わざるを得ないと思いますが、当局の皆さん方にも考えていただきたいのは、保険税を支払っている被保険者の立場にたって考えていただきたい、ゆでガエルの立場に立って考えていただきたい、と思う次第です。

 

国や県に抜本的な改革を求めていくという答弁がありましたけれど、やっぱり制度上おかしいということを市当局のみなさんには認識していただきたいと思います、このままの状況で耐えられるわけないですよ。標準料率まで今回は値上げせず、乖離分の半分になっていますが、標準税率ならば、先ほどのモデルケースでは、さらに約5万円上がるわけですよ。

 

こうした状況に対して、抜本的改革を求めていくというならば、まず必要なことは、国が国費投入を大幅に増やすことですよね。私はそう思います。県に負担ができるか、市町村に負担ができるか。地方公共団体には通貨発行権がありませんから、国の財政金融政策によって国費の投入量を増やしていく、これしか道はないわけです。

 

私はそう思いますが、見解を伺っておきたいと思います。

 

<健康部長>

 

国に求める改革についてということですが、現在の国民保険制度は、被保険者数が減少傾向にありまして、年齢構成が高いことからも一人当たりの医療給付費が増加傾向にあり、このことが被保険者に税率を引き上げる形で負担を強いることになっていると思っております。

 

完全統一に向けた県の標準料率との乖離が大きいこと、現状のままならば今後広がっていくことも懸念されます。一方、被保険者の負担軽減が求められるということも理解しておりますので、制度の構造的な課題に対して、議員もおっしゃられたような国費の投入についても、抜本的な改革として行っていただけるよう、引き続き国に求めて参ります。

 

 

 

 

2023年12月 討論

それでは只今議題となっております議案及び陳情について、賛成並びに反対の討論を行います。

 

まず、議案第84号から89号までの一般会計、特別会計及び企業会計補正予算については、概ね適切な措置であると認め、賛成をするものであります。

 

職員定数条例の改正について

 

次に、議案第90号座間市職員定数条例の一部を改正する条例について、賛成の討論を行います。

 

本条例改正案は、本市の職員定数を現行903人から961人へと改めるものであります。その内訳は、市長の事務部局の職員定数を562人から609人とし、監査委員事務局の職員定数を4人から6人とし、教育委員会の職員定数を96人から99人とし、消防職員の定数を179人から185人とするものであります。その他の議会事務局職員、行政委員会事務局職員、上下水道局職員の定数については現状のままとなっております。

 

また、条例改正案とともに2024年度から2027年度までの定員管理計画(案)が参考資料として提出され、定員管理に関わる方針と定員上限数の目標値が示されております。

 

市長及び当局は、本条例案及び定員管理計画(案)の提出にあたって「持続可能な市政運営の実現を目指す」として、以下の4点を基本的な方針として示されました。まず第一には、第5次座間市総合計画である「ざま未来プランの着実な推進。」次に「社会情勢等の変化に柔軟かつ迅速な対応を可能とする職員体制の構築。」次に「定年年齢の段階的引き上げへの対応と将来を見据えた職員年齢構成の平準化。」そして、「本市の自治体規模に即した職員数の確保」であります。では、この4項目に即して、私の意見を申し上げて参ります。

 

ざま未来プランの着実な推進について

まず、「ざま未来プランの着実な推進」についてありますが、昨年12月、第5次座間市総合計画基本構想と行政組織条例の改正、いわゆる組織機構改革が本市議会において議決され、本年4月よりすでにスタートしております。本市の総合計画は、第4次総合計画以降、政策・施策体系と組織を連動させることをコンセプトにしておりますので、本来ならば、総合計画と組織機構改革に合わせて定数及び定員管理を定めるべきでありましたが、今回提案され、これにより、ざま未来プランの政策・施策体系と、それを実現するための組織編成と必要な人員体制が出そろったことについては、1年遅れとはいえ適切な対応であると認めるものであります。

 

社会情勢等の変化に柔軟かつ迅速な対応を可能とする職員体制の構築

 

次に、「社会情勢等の変化に柔軟かつ迅速な対応を可能とする職員体制の構築」についてありますが、30年間に及ぶデフレ不況の深刻化に加え、原材料やエネルギー資源等の輸入に関わるコストプッシュインフレの中、国による度重なる「経済対策」の名のもとでの給付金事業などが現在も継続しており、また今後も予想されることから、地方自治体としては対応せざるを得ません。

 

また、当局は「デジタル化の過渡期」という表現をとっておられますが、確かに言い得て妙であり、デジタルとアナログを併用せざるを得ない現状の中、自治体事務が効率化して面もあれば、かえって事務量が増えている面もあるという極めて不透明な状況の中でも、住民サービスを低下させることなく事務を遂行しなければなりません。

 

こうしたことを勘案し、「柔軟かつ迅速な対応を可能とする人員体制」のために職員定数及び定員を必要最低限度増やすことは、適切な判断だと認めるものであります。

 

定年年齢の段階的引き上げへの対応と将来を見据えた職員年齢構成の平準化

 

次に、定年年齢の段階的引き上げへの対応と将来を見据えた職員年齢構成の平準化についてでありますが、地方公務員法の改正により、2023年度から、地方公務員の定年がこれまでの60歳から、2年ごとに1歳づつ引き上げられ、10年間かけて65歳まで引き上げられることとなりました。これにより、定年退職者は2年に一度しか生じないことから、退職者数補充の観点から新規採用する場合、年度毎の新規採用者にばらつきが生じることとなります。よって、これを回避し、年齢構成の偏りを抑制する観点から、複数年度間で新規採用者数を平準化する必要があります。

 

本条例改正案とともに示された定員管理計画(案)では、新規採用者数は2024年度28人、2025年度28人と同数になっているものの、2026年度47人、2027年7人と偏りが生じております。これは、市長の事務部局が定数609に対し定員管理上の実人員が2027年度609人と、定数と定員との差がゼロとなっていることによるものと思われ、市長の事務部局の定数はもう少し余裕を見て設定することが適切であると考えますが、ギリギリとはいえ、定年年齢の引き上げへの対応と将来を見据えた職員年齢構成の平準化について、最低限対応されているものと認めることができます。

 

本市の自治体規模に即した職員数の確保

 

次に、「本市の自治体規模に即した職員数の確保」についてでありますが、定員管理計画(案)において示されているとおり、人口1万人あたりの職員数は、政令市を除く県内16市中最低の62.26人、トップの小田原市117.94人と比べると約2倍の開きがあり、普通会計における人口1万人あたりの職員数においても、16市中15位となっております。

 

一方、2021年度県内市町村の決算状況では、福祉費の平均構成比率は38.1%であるのに対し、本市は47.4%と10ポイント近くも高く、県内他市と比べ福祉サービスの需要が多いことがわかります。にもかかわらず職員数は最低レベルであり、現に本市の生活保護ケースワーカーの数は、法定の標準数から7人下回っており、近年この傾向が常態化しております。

 

また全国レベルの比較においても、総務省が実施する「地方公共団体定員管理調査」によると、本市の普通会計職員数は、他の類似団体と比較して単純値で61人、修正値で96人下回っており、本市の自治体規模に即した適正な職員数が確保されていないことが確認でき、今回の定数増の妥当性を認めるものであります。

 

以上、当局が示した4つの方針について、私の意見を申し上げて参りましたが、定数増の必要性については、これに加えて2点、申し上げておきたいと思います。

 

常勤職員と非常勤職員の適正配置

 

一つは、常勤職員と非常勤職員の適正配置の問題であります。本市においては、本来常勤職員を配置しなければならないところに、会計年度任用職員のフルタイマーなどを充てることにより補っている状態があります。会計年度任用職員は、任用期間は一会計年度限りで、常勤職員が行うべき事務の補佐や臨時的業務を担任することが本来の制度上の趣旨であるにもかからず、常勤職員の代替として恒常的に配置されることは、極めて不正常な状態であるといえ、早急な改善が求められるところであります。

 

ワーク・ライフ・バランス

 

二つ目は、ワーク・ライフ・バランスの問題であります。国の時間外勤務の上限は1か月45時間、年間360時間となっておりますが、本市においては、2022年度年間360時間を超える時間外勤務が行われた部署が10係もあり、そのうち500時間を超える部署としては、機構改革前の名称となりますが、総務部文書法制課情報公開係が701.75時間、総務部文書法制課法制係が634.92時間、教育部学校教育課保健給食係が537.38時間、福祉部生活援護課自立サポート担当が526.88時間となっております。こうした状況を改善するためにも職員定数の増は不可欠であります。

 

また、現在のように各部署において人員がひっ迫する状況では、育児休業を必要とする職員が取得しづらい状況と、残る職員に過重な負担がかかることなどを考えれば、子育て支援政策を積極的に推進すべき地方公共団体の職場環境として、ふさわしくない状態が続くことになります。また、こうした状態は、ワーク・ライフ・バランスに配慮した職場環境とは言い難く、離職者の増加や、新規採用者予定者から忌避され、人材確保がさらに困難となることが懸念されるものであります。

 

以上、市長及び当局から示された提案理由に対する私の意見を申し上げて参りましたが、今回の職員定数条例の一部改正は、必要性はもちろんのこと、事態の緊急性及び定員管理の合理性、いずれにおいても妥当な提案であると認め、賛成をするものであります。

 

企画総務常任委員会における改正案否決に対して

 

次に、本条例改正案が付託された企画総務常任委員会において、否決となったことについて、私の意見を申し上げます。

 

企画総務常任委員会の質疑を聞いておりましても、率直に言って、一体何をもって反対しているのか、何が問題なのか、わかりづらいものがありましたが、「DXが進めば」だとか、「機構改革の検証がされていない」だとか、「市民に説明することができない」だとか、極めて抽象的かつ的外れな理由により、本市職員に、現状維持の人員体制を押し付けることは、極めて無責任な態度であると言わざるを得ません。

 

本会議で否決された場合、どのような弊害が生じるか

 

では、仮に本条例案が否決された場合、どのような弊害が生じるのか、という点について述べて参ります。

 

まず、定年年齢延長分の増員を無視するわけですから、今後10年間で2年に一度発生する定年退職のタイミングでしか新規採用を行うことはできず、新規採用者の計画的採用は困難となり、採用数の平準化や年齢構成のバランスが崩れることとなってしまいます。

 

また、先ほども述べましたように、本来常勤職員を配置すべきところに会計年度任用職員等を充てている実態は改善されることはなく、国の基準をはるかに上回る時間外勤務の実態も改善されることはなくなり、必要な育児休業の抑制など、ワーク・ライフ・バランスに配慮した職場環境の改善は期待することができなくなります。

 

またこの他にも、障がい者雇用率を達成するために、常勤職としての採用が困難になることや、近年数多くみられる政府施策による突発的な対応に迫られた際に、当該業務を担任する職員やその所属元に対する負荷が見込まれ、事務の遂行に支障をきたすことが想定されます。

 

以上のように、本条例案が仮に否決となった場合の悪影響は計り知れません。今回の定数増は、職員課が各部署からの入念な聞き取りを行い、その上で各部署から出された必要数を相当絞り込んだものと、推察されるものであります。にもかかわらず、なぜここまでかたくなに認めようとしないのか、私には理解できない次第であります。

 

DX(デジタルトンラスフォーメイション)は「魔法の杖」ではない

 

次に、定数増に反対する意見のよりどころをなっているではないかと思われる「DX」について、この際ですから、私の意見を申し上げておきたいと思います。それは、DX(=デジタルトランスフォーメンション)より定数増は必要ない」という意見についてです。この主張は、デジタル化に対する過剰な「期待」あるいは「願望」をもとに、DXをまるで人員削減の「魔法の杖」のごとく捉えるものであります。

 

これに対し当局の定員管理計画(案)では、「時代の過渡期を踏まえたデジタル化の取組」という認識が示されております。これは、現状において、行政事務のデジタル化を進めることにより、確かに業務の効率化が図られる面もあれば、一方で、デジタル技術を利用できる者とできない者の格差を解消するためのデジタルデバイト対策が必要とされたり、デジタルとアナログの併用によってかえって事務量が増大する面もあることを、正確に捉えようとする姿勢であり、私も同意するものであります。

 

マイナ保険証の失敗

 

一番わかりやすい例が、マイナ保険証であります。政府は、健康保険証のデジタル化を極めて拙速に推し進め、来年秋に従来型(紙)保険証の廃止方針を撤回しておりませんが、その結果はどうなっているのでしょうか。

 

現状で確認できるだけでも、

  • 最大1年間有効となる現行の紙保険証
  • 健康保険証の利用登録を行っているマイナンバーカード
  • アンドロイドスマートフォンに、マイナ保険証を搭載したもの
  • 暗証番号の設定が不要なマイナンバーカード
  • マイナ保険証を保有していない人へ発行される資格確認書
  • マイナ保険証を保有している人へ発行される資格情報のお知らせ

と、6種類もの保険資格を確認するためのものが乱立することとなります。そして、これら全てに渡って地方自治体の事務に加わってくることになるわけであります。

 

一体何をやっているのか、と思わざるを得ませんが、医療の現場における混乱は必至であり、地方自治体にとっては事務量も経費も増大することとなります。これは、一定期間にわたるデジタルとアナログの併用期間、「過渡期」が必要となってくることを無視し、性急にことを進めようとした政府の政策及びマネージメントの失敗によるものであります。

 

こうしたことから、デジタル化を「魔法の杖」の如く捉え、地方自治体の業務及び人員削減に単純に直結すると誤解するのは、極めて短絡的であるということを指摘しておきたいと思います。

 

以上、本条例改正案に賛成する理由と、私の意見を申し上げて参りましたが、賢明なる議員諸氏の皆様のご賛同を、心からお願いするものであります。

 

給与、報酬、期末手当等に関する条例改正について

 

次に、議案第91号から94号までの給与、報酬、期末手当等に関する条例改正についてでありますが、議案第92号の監査委員のうち識見ある者の報酬を引き上げるための条例改正及び議案第94号の一般職職員等の給与引き上げ等の改正については、適切な措置であると認め賛成するものであります。

 

一方、議案第91号及び議案第93号の市議会議員と市長ら常勤特別職の期末手当の引き上げを定めた条例改正については、反対をするものであります。以下、理由を申し上げて参ります。

 

両条例改正案は、市議会議員、市長、副市長、教育長、公営企業管理者の期末手当の支給割合を年間で0.1か月分引上げるものでありますが、毎回指摘をしているところでありますが、人事院勧告の引上げ分は、期末手当が0.05か月、勤勉手当が0.05か月となっております。勤勉手当のない常勤特別職や市議会議員の期末手当を人事院勧告に準拠して引き上げるとすれば、0.05か月引き上げるというならばまだ理解できますが、0.1か月分となると人事院勧告に準拠しているとは言い難く、引上げの根拠が失われてしまうからであります。

 

今定例会の定数条例の審査において、たびたびお聞きしたフレーズで恐縮ではありますが、「明確な根拠なき引き上げは、市民感情として中々受け入れられるものではない」と思う次第であります。

 

その他の条例等について

 

次に、議案第95号の市税条例の改正については、森林環境税そのものに反対の立場から、条例改正に反対をするものであります。

 

 次に、議案第96号から97号までの、国民健康保険税条例の改正、和解及び損害賠償の額を定めることについてと、市道の路線の認定及び変更については、概ね妥当な措置であると認め、賛成をするものであります。

 

陳情すべてに賛成

 

次に、只今議題となっております陳情についてでありますが、

  • 陳情第52号 学校施設整備促進及び小田急相模原駅前歩行者用デッキ(ペデストリアンデッキ)建設中止を求める要望に関する陳情
  • 陳情第55号 国に対し、適格請求書等保存方式(インボイス制度)の延期、見直しを求める意見書を提出することを求める陳情
  • 陳情第56号 公園のトイレ照明について改善を求める陳情
  • 陳情第67号 国に対し、インボイス制度の実施延期を求める意見書の提出を求める陳情
  • 陳情第68号 最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求める意見書の提出を求める陳情
  • 陳情第69号 安全・安心の医療・介護実現のため、人員増と処遇改善を求める陳情
  • 陳情第70号 介護保険制度の改善及び介護従事者の処遇改善を求める陳情
  • 陳情第71号 国民の命と健康を守るため、政府の責任で医療・介護施設への支援を拡充し、全てのケア労働者の賃上げや人員増を求める意見書の提出を求める陳情
  • 陳情第72号 健康保険証廃止の中止を求める陳情
  • 陳情第73号 学校給食において、極力栄養素を壊さない殺菌(パスチャライズド殺菌)製法によるビン容器の牛乳にすることを求める陳情
  • 陳情第74号 脱原発、脱炭素と再生可能エネルギー転換の加速を求める意見書の提出を求める陳情

以上、11件の陳情すべてについて、その趣旨に概ね賛同し、採択すべきものと考えるものであります。

 

11件の陳情のうち、インボイス制度に関わる2件の陳情は、その時期を逸しておりますが、これは陳情者の責任ではなく、本市議会側の都合により、今回の採決となったものでありますので、その趣旨を酌み、賛成をするものであります。

 

以上、只今議題となっております議案及び陳情について、賛成並びに反対の討論を行いました。議員のみなさんのご賛同をよびかけ、討論を終わります。

 

 

 

 

2023年11月30日 一般質問 有機フッ素化合物汚染について 市立図書館の今後について

有機フッ素化合物汚染について

 

以下、有機フッ素化合物については、PFASを申し上げます。本市議会では、2022年9月28日の本会議で、PFAS汚染に関する国への意見書を採択しております。この意見書の要望事項には、米軍基地キャンプ座間におけるPFASの過去の使用状況、訓練の頻度及び排水処理方法等などを公表するよう求めております。

 

これは、地下水の流動速度が極めて遅いことから、過去のキャンプ座間における泡消火剤の使用が、本市の地下水のPFAS濃度に影響を与えているのかどうかを確認をするためであります。私の過去の一般質問においても、このことを質して参りましたが、当局の答弁は、「南関東防衛局に確認してみる」とのことでありました。さて、南関東防衛局から回答はあったのでしょうか。あったとすれば、その内容を明らかにしていただきたいと思います。

 

次に、キャンプ座間においてPFOS、PFOAを含む泡消火剤から交換された代替製品についてお聞きします。

 

 

本年11月14日付け東京新聞1面では、「横田基地 今年1月にも漏出」という見出しで、「有機フッ素化合物を含む泡消火剤約760リットルが今年1月、米軍横田基地で漏出していたことが政府関係者への取材で分かった」とあり、「回収された汚染水のPFAS濃度を調べたところ、PFOSとPFOAの合計値で、最も高くて1リットルあたり264万ナノグラムで、地下水や河川水の国内暫定指針値の5万3千倍だった。」と報じられております。

 

 

また、同じく11月14日付け東京新聞23面では、「米軍横田基地内で今年1月に漏出した泡消火剤は、(中略)代替品として導入が進められてきたものだった。」「米軍は代替品について『PFOSとPFOAは含まれていない』と説明してきたが、今回の事故で汚染は解消できていない可能性が出てきた」とあります。

 

 

米軍基地の泡消火剤は、PFOS、PFOAを含まない代替品に交換されたと防衛省は説明してきましたが、「実際はPFASとPFOAを使用しつづけている。」と、今回の事故を受け、政府関係者はそう実情を打ち明けた」と報じられております。また、在日米軍の代替品は、「AFFF-C6」であることも報じられております。

 

そこで、お聞きするものでありますが、キャンプ座間において代替製品として交換されたものは、「AFFF-C6」なのか、製品名を明らかにしていただきたいと思います。

 

<総合政策部長>

 

まず、キャンプ座間における有機フッ素化合物を含む泡消火薬剤の過去の使用状況(訓練の頻度及び排水処理方法等)についてです。キャンプ座間における泡消火薬剤の使用状況については、防衛省南関東防衛局から「在日米陸軍施設区域における消火訓練については、部隊の消火能力を維持・向上する観点から、米側が定期的に実施していたと承知しておりますが、米側からは2016年以降は訓練を目的として使用しておらず、これらを厳格に管理している旨の説明を受けているところです。」との回答をいただいております。

 

 その後、引き続き防衛省南関東防衛局に、キャンプ座間における2015年以前の泡消火薬剤の過去の使用状況について確認したところ、「米側からは、キャンプ座間には水成膜泡消火薬剤を用いた訓練を行っていた消火訓練場はなく、2015年以前においてもPFOS等を含有する水成膜泡消火薬剤を訓練で使用したことはないとの説明を受けています。」との回答をいただいております。

 

次に、キャンプ座間において代替製品として交換された泡消火薬剤は、AFFF-C6という製品名なのか、ということについてです。

 

本年11月14日付け東京新聞の報道を受け、市としても防衛省南関東防衛局に報道された事案の事実確認をしたところ、「現在、米側が交換した後の泡消火薬剤の製品を含め、報道された事案の事実関係について、米側に確認中です。」との回答をいただいております。

 

前述と合わせて、キャンプ座間において代替製品として交換された物の製品名、キャンプ座間も横田基地と本報道にあったような同様の泡消火薬剤を保有しているのか、キャンプ座間が保有している泡消火薬剤については、PFOS,及びPFOAが含まれているのかを確認したところ、「各在日米軍施設区域において、米側が交換した泡消火薬剤の製品については、施設区域によって異なることから、網羅的に承知しておりませんが、いずれにせよ、米側からはキャンプ座間を含む神奈川県内の米軍施設区域においては、原料にPFOSやPFOAを含まない泡消火薬剤への交換を完了した、との説明を受けております。」との回答をいただいており、さらに「その上で米側は、2024年9月までにキャンプ座間を含むすべての米軍施設区域において、原料にPFASを含まない非フッ素の泡消火薬剤への交換、または水消火設備へ移行する予定であると承知しています。」との回答をいただいております。

 

以下、一問一答方式による再質問と答弁

 

南関東防衛局の回答からすると、最初の回答は、消火訓練は定期的に行われていたけれども、PFOS、PFOAを含む泡消火剤は、2016年以降は使用していないという話だったのですよね。これは昨年12月議会の時の答弁でしたら、私も承知しています。だから、過去はどうだったのかということをお聞きしたら、2015年以前はキャンプ座間では泡消火剤を使った消火訓練は行われていなかったということですよね。

 

では、お聞きしますが、消火訓練には使っていないが、保有はしていたと。過去も保有していたし、今も保有していると。そういう理解でよろしいのでしょうか。

 

<総合政策部長>

 

泡消火薬剤の保有状況については、防衛省南関東防衛局から「米側からはキャンプ座間を含む神奈川県内の米軍施設区域において、原料にPFOSやPFOAを含まない泡消火薬剤の交換が完了したとの説明を受けております」との回答をいただいているところではありますが、当該泡消火薬剤の保有状況等については改めて、防衛省南関東防衛局へ確認して参ります。

 

さきほどの話ですと、訓練には使用していないとのことですが、実際の火事で使用した履歴はどうでしょう。

 

<総合政策部長>

 

訓練以外での火災ということで、火災が発生した場合の状況については、防衛省南関東防衛局からは「米側からは実火災への対応において、これまでに水成膜泡消火薬剤を使用したという認識はなく、記録もないとの説明を受けています」との回答をいただいております。

 

わかりました。だとすれば、実火災においても使用した履歴はないということですが、キャンプ座間という区域に限らず、米軍相模補給廠、あそこはキャンプ座間の管理本部が担当してますよね。私の記憶では2015年ぐらいに爆発事故があって、一晩中燃え続けるということがありましたが、その際にも泡消火剤は使用されていなかったのか。あそこは相模野台地の地下水の上流部分にあたるので、それも是非確認していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

 

<総合政策部長>

 

この火災の対応、そして消火薬剤の使用等の状況については、市としては承知をしておりませんので、今後防衛省南関東防衛局に確認をして参ります。

 

次に、横田基地の件ですが、防衛省としても事実関係を米軍に確認中であるという話でした。そのうえで同じ製品かということについては、「施設区域によって異なる」というお話でしたが、

 

 

東京新聞によると、代替品の「AFFF-G6」については「本紙が米軍の文書から製品説明を見ると、PFOSとPFOAがそれぞれ1リットルあたり最大80万ナノグラム含まれていると記されていた」というなのですよね。実はこれ、米軍が公表しているんですよ。AFFF-C6については。米軍側のサイトを検索するとPFOS、PFOAの含有量はちゃんと出ているんですよね。このこと自身は間違いないと思いますが、この製品かどうかということが焦点となります。ほんとうにPFOS、PFOAを含まないものに交換したのかどうか、ということになってくるので、ぜひ確認をしていただきたいと思います。お願いします。

 

市立図書館の今後について

 

「市立図書館の今後」についてお聞きします。端的に伺いたいと思います。市立図書館は、公共施設再整備計画において「後期」2027年度~2029年度、R9年~11年に大規模改修を行うこととなっております。しかし、私は、この際、大規模改修ではなく建替えを行い、郷土博物館、公文書館を併設する複合施設としてはどうかと考えるものでありますが、見解を伺うものであります。

 

<教育部長>

 

市立図書館の大規模改修、議員からは建て替えも言及いただきましたが、その際に郷土博物館、公文書館を併設する複合施設とすることについての見解です。議員からは図書館と郷土博物館等を併設した施設について、お考えをお示しいただきました。現行の座間市公共施設再整備計画では図書館の大規模改修について、「適切な維持管理により長寿命化をはかる」とされていることから、現状、複合化及び建て替えを検討するまでには至っておりません。

 

しかし、郷土博物館については、これまで座間市郷土資料館整備事業検討委員会で議論を重ねていただき、令和3年3月に郷土博物館整備に係る提言としてまとめていただきました。また、この提言とともに、令和4年2月には市教育委員会の郷土博物館の考え方を取りまとめた「郷土博物館整備に係る意見」を市長に手交したところです。また、公文書館は、現在のところ検討するまでには至っておりませんが、議員のお考えも参考に研究して参りたいと思います。

 

図書館については、今のところ大規模改修ということで、まだ建て替えあるいは複合施設化ということについては考えていけないけれど、検討したいという旨の答弁だったと思います。もし、図書館と郷土博物館等を複合化するのだったら、そんなに時間はないと思います。

 

公共施設再整備計画の後期の予定ですから、この1~2年のうちにそういう判断をするとすれば決断をしなければならない話だと思います。もし、大規模改修を行ってしまうと、複合化はしばらくないですよね。大規模改修をやった後に建て替えるということはできませんから。だから、今の時期にしっかりと検討して複合化についえ考えてもらいたいのです。

 

私は、図書館と郷土博物館との併設は、様々な利点があると思っています。まず、子どもたち、まあ、子どもたちに限りませんが、「調べ学習」というところで郷土博物館と図書館との機能を一体的に活用できるということです。あと立地条件です。曲がりなりにも市役所にコミュニティバスは全て集中するわけですから。あるいは市役所の地下駐車場もありますし。ということからすれば、一番市内の中でアクセスしやすいのではないかと思います。あとは、図書館をあのまま大規模改修するよりもリニューアルをして、私のイメージで恐縮なのですが、もうちょっと明るい雰囲気にしていくというのも大事ではないか思います。以上の点から、複合化をして建て替えをすべきと考えますが、改めて市長に見解を、いかがですか。

 

<市長>

 

郷土博物館についての私の見解を改めて問われました。郷土博物館は本市の郷土史、座間の文化・伝統を市民のみなさんと共有し、シビックプライドを醸成するために、大変必要な施設だと認識しております。議員が今回ご提案をいただいたとおり、設置にあたりましては他の機能との複合化も有効であるという認識を持っております。例えば、議員からもご提案をいただいた図書館などは、郷土博物館との相性が良いと考えております。現在、教育委員会で検討していただいております「ざま魅力ある学校づくり方針」も踏まえ、全体の公共施設再整備計画を見直す中で、設置場所も含めて検討していきたいと考えております。

 

こうしたことから、郷土博物館設置の検討には一定の時間がかかることが見込まれると考えておりますので、それまでの間は本市の歴史資料のデジタル化と公開、市内施設での企画展示などにより、市民の皆様に本市の歴史や文化・伝統等を知っていただくことで郷土愛の醸成、シビックプライドの醸成に努めて参りたいと考えております。

 

ぜひ、しっかりと検討していただきたいと思いますし、図書館との複合化をしようと思ったら、チャンスはこの時期しかないと思います。よろしくお願いします。

2023年11月30日 一般質問 都市計画道路座間南林間線はほんとうに必要が事業か

一問目の質問と答弁

 

次に、都市計画道路座間南林間線についてお聞きして参ります。

 

本年9月の私の一般質問において当局は、総事業費の概算は約80億円、事業期間は約10年間、このうち小田急線との交差は立体交差(アンダーパス)で概算事業費は約50億円であることなどを明らかにしました。道路整備事業としては、座間市始まって以来とでも言うべき、巨額の事業費が見込まれる本事業について、前回の質問に引き続き、質して参りたいと思います。

 

まず、本事業の政策効果について伺います。座間南林間線の整備の必要性についてこれまで当局は、圏央道厚木スマートインターへのアクセス道路であり、本市の東西を結ぶ重要な幹線道路であること。立体交差により予想される交通渋滞を緩和し、歩行者の安全が確保され、地域への影響が少ないこと。本市の地域産業の発展に大きく寄与し、災害時の緊急輸送道路としての役割があることなどを上げておりましたが、同路線の整備による効果は、こうしたことと理解してよろしいのでしょうか。お聞きしておきます。

 

あわせて、政策効果の2番目として、費用便益分析についてお聞きします。2022年度に本市が行った「座間南林間線費用対効果検討等業務委託」について、その結果の概要を明らかにしていただきたいと思います。

 

次に、本事業に係る財政負担についてお聞きします。さきほども述べましたが、「総事業費の概算は約80億円、事業期間は約10年」とのことでありますが、各年度の事業費見込みを明らかにしていただきたいと思います。このうち、小田急線との立体交差部分については「50億円程度」とのことですが、その期間について明らかにしていただきたいと思います。

 

次に、事業スケジュールについてお聞きします。まずは、事業スケジュールの概要について、説明を求めるものであります。合わせて、県施工部分の事業スケジュールの概要及び事業費の概算について、説明を求めるものであります。

 

次に、本事業に対する市民意見の聴取についてお聞きします。事業認可取得にあたって、「本事業についてパブリックコメント等市民意見の聴取を行う意向はあるのでしょうか。」と、お聞きする予定にしておりましたが、昨日の熊切議員の質問に対して、「パブリックについては実施の予定はない。事業認可取得後に地権者及び近隣住民向けの説明会を実施する予定」との答弁がありました。

 

昨日の答弁にもありましたが、確かに都市計画変更手続きにおいては、法律上、公聴会や意見書の提出など市民参加手続きが定められております。また、この際には、本市の市民参加条例に基づくパブリックコメントも実施されております。しかし、この段階では、都市計画変更決定前までに総事業費の概算を明らかにするとしていたにもかかわらず、明らかにはされませんでした。ならば、本市の道路整備事業では過去最大となる事業費が見込まれる本事業について、しっかりと市民意見を聴取すべきではないでしょうか、見解を伺うものであります。

 

<都市部長>

 

まず、座間南林間線の政策効果につきましては、議員おっしゃるとおりの効果があると認識しております。

 

次に、令和4年度に行った座間南林間線費用対効果検討等業務委託の結果の概要についてですが、本事業の費用対効果を国が定める費用便益分析マニュアルを用いて計算すると、便益は約200億円と算出されました。また、事業費を60億円、80億円、100億円の3パターンの費用便益分析を行った結果、費用便益比が60億円の場合は5.7,80億円の場合は4.3、100億円の場合は3.5と算出され、便益の現在価値の合計を費用の現在価値で割った費用便益比が1.0以上であれば事業効果があると言えますので、どのパターンにおいても効果がある結果となりました。

 

次に、各年度の事業費見込みについてですが、事業認可取得に向け作成している計画の段階なので確定額ではありませんが、いずれもおおよその額で、認可後の2ヶ年年度は8億円、その後の4ヶ年度は54億円、以降は16億円と見込んでおります。

 

次に、小田急小田原線との立体交差部の工事期間についてですが、まだ詳細な施工計画ではない状況ですが、小田急電鉄株式会社からはおよそ4年と伺っております。

 

次に、本市施工部分の事業スケジュールの概要についてですが、はじめに西側の鉄道交差部とその周辺から工事を着手し、東側の市道17号線の座間市役所北側交差点方向に工事を進めていく計画です。県施工区間については、座間1丁目の県道46号(相模原茅ヶ崎線)から、入谷西2丁目の県道51号(町田厚木線)の約0.7㎞について、令和3年度に事業認可を取得し、令和12年度を目標に事業を推進し、現在鋭意用地交渉を進めていると伺っております。また、事業費の概算については、約27億円となっております。

 

最後に、事業に対する市民意見の聴取についてですが、都市計画事業は都市計画法で、市民の意見を反映させる手続きが定まっていることから、同法の規定を順守します。よって、本事業に係るパブリックコメントの実施予定はございません。市民参加の方法としては、事業認可取得後に地権者や近隣住民に対して事業説明会を実施します。

 

 

以下、一問一答方式による再質問と答弁

 

「渋滞緩和」について

 

政策効果について、これまで当局が示してきたことをいくつか例示しました。これは、私が言っているわけではなく、これまで当局の方で、道路整備がなぜ必要なのか、ということであげてきたものです。その中で今回特に取り上げたいのは、「交通渋滞の緩和」です。南林間線が整備されることによって、ほんとうに現状の交通渋滞の解消につながるのか、ということについてお聞きしたいと思います。

 

 

これは、座間南林間線と市道15号線との交差点、北向庚辰堂交差点の朝の風景で、先週か先々週だったと思います。ご覧の通り、この渋滞は市役所北側交差点までしっかりつながっております。市長も庁舎に行く前によくご覧になっていると思いますが、こういう状態になっております。

 

 

これは、15号線の方ですね。この奥が座間総合高校です。これは右折レーンがないということで、こうした渋滞になっています。

 

さっきの北向庚辰堂交差点の方は、信号がすぐ、確か市道16号線でしたっけ、これとの交差点まで距離が少ないということで渋滞して、これを超えると渋滞がない場合が多いですね。

 

こうした市内の状況で、座間南林間線が整備されればこの渋滞の解消につながりますか。

 

 

もう一つこれは、座間南林間線の座架依橋に向かうところですね。これも朝の渋滞風景なのですが、跨線橋あたりからほぼつながっています。圏央道へのアクセス道路と言われていますが、私も圏央道にのるために朝ここを使ったことがありますが、ひじょうにアクセスは悪いですね。

 

 

これはなぜかと言えば、国道129号線に側道であがる所が一車線しかないですよね。厚木方面に行く車は、どんどん行くわけですけども、これがあるために、

 

 

こうした渋滞になってしまうわけです。

 

これも解決しますか。今、例示したような渋滞解消につながるのかということについて、見解を求めておくものです。

 

<都市部長>

 

総じてなのですが、座間は本来整備しなければならない幹線となる道路が著しく遅れている部分がございますので、南林間一本を整備したからと言って、すべての渋滞が解消できるということをお約束することはできません。南林間線の整備に合わせて次の広野大塚線、さらに二ツ塚線の整備を進めていくことによって、最終的に座間市の交通状態は改善するものと認識しております。

 

ということなのですよね。だから、課題はいくつもあって、ではどういう風に手をつけていくのか、財政的な資源をどう投入するか、ということになると思います。

 

今回、吉田議員が、市道13号線及び10号線でしたっけ、その話がありましたし、前回は二ツ塚線の話がありました。あれって、両方とも南北方向の交通の話ですよね。東西方向の話からすると、南林間線と小田急線の立体交差が予定されている踏切りなのですが、今私は毎日の定点観測のように、必ず通るようにしているのですよ。どのくらいの渋滞の長さになっているか。先ほどの北向庚辰堂前、座架依橋のところと比べるとはるかに渋滞は少ないですよ。

 

ほんとうに渋滞解消につながるのか、ということと、吉田議員もおっしゃっていた東西方向の幹線に力を入れるべきなのか、南北方向のスムーズな流れなのか。吉田議員へ相談があたということなのですが、私もねえ、意見を頂いたのですよ。東原の4丁目付近の方々から。休日になると外に出られないというのですよ。どうしようない南北方向の渋滞によって。

 

市民サービスということを考えて道路インフラを整備するならば、私はそっちの方向ではないかなと思うのですが。これは、私の意見です。皆さん方は、それはそのままでも良いとは思いたくないので、喫緊の道路整備の課題は東西方向なのか、南北方向なのか、しっかりと判断しなければならないと思います。

 

あと渋滞のことで聞いておきたいのは、現状の渋滞の長さ、例えば踏切部分の現状の渋滞の長さについては、調査をし、開通後これは解消されるというような予測は出しているのですか。

 

<都市部長>

 

費用対効果の検討委託の中で、そのような調査はしておりません。

 

 

してないということですよね。例えば、イオンが建設されるときに、道路の渋滞の長さがどれくらいで、改良工事を行うことによってどのくらい解消するのかということを出してましたよね。南林間全体から言えば、おそらく北向庚辰堂交差点の渋滞は解決しないと思いますし、座架依橋のところも解決しないと思うのですが、現状の南林間の渋滞と開通後どうなるのかということの予想を示すべきではありませんか。

 

<都市部長>

 

貴重なご意見として受け止めさせていただきます。

 

「貴重なご意見」ということに留めるのではなく、しっかりとやってもらわないと。政策効果で「渋滞解消」って謳っているのでしょ。だとすれば、それが実現するのだということをちゃんと示さなければいけないと思いますが、いかがですか。

 

<都市部長>

 

渋滞解消する効果を示して行かなければならないということについては、議員ご指摘のとおりだと思います。それに向けての準備を進めたいと思います。今、数値を持ち合わせておりませんので、お示しできませんが、お示しできるようがんばっていきたいと思います。

 

便益は経済効果ではない

 

ぜひ、そういう風に取り組んでいただいて、示せるようにしていただきたいと思います。次に費用対効果の業務委託で、費用便益分析を行ったところ200億円という数字が、先ほど示されました。私も報告書を拝見しましたが、事業費が60億円の場合、80億円の場合、100億円の場合の3パターンでB/C、費用に対して便益がどのくらいとなるのか、ということを拝見しました。

 

ただ、恐縮なのですが、自民党・いさまだより」を拝見しますと、「この分析では小田急小田原線と立体交差をし、全線を使用開始した場合、およそ200億円の経済効果があると示されました」と書いてあるのですが、この200億円というのは経済効果ですか。

 

<都市部長>

 

この200億円で積み上げている費用(ママ、おそらく「便益」)につきましては、車の走行時間の短縮による効果、その短縮により車の維持費等が減少する効果、交通事故が減ることによる効果、この3点の合算となっております。

 

この場合の200億円の便益というのは、期間から言えば50年間ですよね。50年間で総費用と総便益を計算すると、その中で一定の社会的割引率がありますから、現在価値に転換するといくらになるのかということを計算したという話ですよね。便益の計算については、今おっしゃったとおり、便益とは何かといえば、「走行時間の短縮」「走行費用の短縮」「交通事故の減少」、この3項目だけですよね。マニュアルの中では、この3項目を、例えば普通自動車ならいくら、走行時間短縮の係数があって、その係数をかけただけであって、経済効果ではないですよね。

 

経済効果という場合は、直接効果だとか、間接効果だとか、波及効果だとか、主にGDPに寄与するか、所得が増えるだとか、売り上げが増えるだとか、という話ですから、200億円が経済効果であるというのは違うと思うのですが、そういう理解でよろしいですか。

 

<都市部長>

 

さきほどの私の答弁のとおりです。

 

はっきり言えば、経済効果と費用便益分析における計算では、全く違うものであると。係数をいくつに設定するかによって全然変わってきますからね。それについて詳しくやるつもりはないのですが、ただ、市民のみなさんに説明をする際に、まあ当局はそう言っているわけではないと思いますが、経済効果ではありませんと。3つの項目で時間あたりいくらと、お金で換算したらこれくらいになりますと。実際になるかどうかわからないのですよ。その点を十分に気を付けていただきたいと思います。

 

財政負担は可能か

 

次に財政負担についてお聞きして参ります。まず、事業費の見込みについてなのですが、大雑把にさきほどお話がありました。

 

これは事前に都市部の方から、丸める前の数字をいただいておりました。もちろん、これは概算の見込みですから、実際の額はまだ確定をしていないものです。まず初めの2年間で8億円、アンダーパスの工事については4年間で54億円、残りについては4年間で16億円になってくると、という話ですよね。この表を見ていくと、第5次座間市総合計画が2030年度までの計画ですよね。公共施設再整備計画が2029年度までと。そのちょうど後期のところにアンダーパスの工事がぶつかるわけなのですよ。

 

では、後期のところで何が予定されているか言えば、中後期で一番大きいのは、この市庁舎の大規模改修ですよね。それから、ふれあい会館の大規模改修、市民体育館の大規模改修、市民健康センターの大規模改修、さきほど出ました図書館の大規模改修、そして小学校施設整備や夜間照明とかいろいろ出てきますが、ここから事業費を推計することはできませんが、市庁舎なんて10億円単位の規模ですよね。億の一桁で済む話ではないと思いますし、何十億単位でこれらの予定が入ってくることになると思います。

 

財政運営上、どうなのか、財政担当の財務部長、財政負担は可能かどうか見解を伺いたいと思います。

 

<市長>

 

この南林間線の事業を含めた事業実施に伴う財政的な見解について、財務部の方にお尋ねをいただきましたが、私の方から答弁をさせていただきたいと思います。この座間南林間線事業を含めた事業実施にあたりましては、市全体の事業のバランス、財政状況、そして費用対効果等も含めて全体的に勘案をしていく所存でございます。

 

それは、前々からおっしゃっておられることなので、こう言っちゃ失礼ですけれど、そうやるのが当たり前という話なのですよ。総合計画や公共施設再整備計画と合わせていくと、こういう形になるという話なのです。

 

昨日の熊切議員の質問の中で、「一般財源を投入するのは少ないのだ」という話をされました。例えば国庫補助が、熊切議員がおっしゃったのは30%~50%ぐらい、残りに関しては、その90%は市債で賄うことができるので、市単独財源は極めて少なくて済むという話なのです。私が聞き及んでいるのは、都市計画事業の場合国庫補助は55%ということなのですが、アンダーパスの部分も適用されるという理解でよろしいのですか。

 

<都市部長>

 

立体交差部においては、その補助率が見込めるものと考えております。

 

ということは、他の部分では見込めないところがあるということですか。

 

<都市部長>

 

今、概算しか出しておりませんので、その中でどの事業が充てられるのかということを評価しろと言われても、なかなか厳しいものがございます。他の部分については充てられない可能性があるということは、我々としても考えております。

 

 

確かに、国庫補助を除いた分の90%は起債の可能性はあります。でも、この場合の償還期間はどのくらいですか。

 

<財務部長>

 

一般的には10年となっております。

 

比較的短いですよね。建物系の市債償還と比べて10年ですから、それぞれ事業費は分割されていますけれど、起債をすれば次の年から元利償還金の返済が始まるわけですよね。少なくとも元金の1/10は返さなければいけないし、それに利払いが上乗せされるということになるわけです。

 

各年度の毎の事業費のうちから起債する場合、各年度の償還額がどうなるかということですが、おそらく最初は良いのですよ。だんだん溜まってきますよね。間違いなく。前の年の分の償還が始まる、また次の年の分の償還が始まる、アンダーパスの工事の終わりの頃には億単位にはなると思われます。その時に、ほんとうに公共施設再整備計画などが全うできるのかということなのですが、その点について改めて伺いたいと思います。公共施設再整備計画で今掲げているものは、しっかりと全うできますか。

 

<市長>

 

今、「ざま魅力ある学校づくり方針」を策定しているところでございますので、そういったものを踏まえて全体の公共施設再整備計画を見直していきたいと思っております。それを含めて座間南林間線の事業もどのように財政計画をしていけばよいのか、改めて確認ができると思っております。

 

わかりました。事業スケジュールとの関係で、どういう風に判断ができるのか、バランスを考えてとおっしゃっていますが、どちらか選択ができる状態でなければ、できないですよね。この後の事業スケジュールのところでやりたいと思います。

 

一点だけ確認しておきたいのですが、54億円と見込まれているアンダーパスの工事については、本市の施工ではなく、小田急の方の施工ということで理解してよろしいですか。

 

<都市部長>

 

施工という意味が図りかねるのですが、工事につきましては小田急にお願いする形になりまして、その費用を座間市が負担する形になります。

 

そういう意味です。つまり、市の方が施工するのではなく、負担金を小田急の側に出すということですよね。さっきの話からするとアンダーパス工事は54億円ですから、総事業費見込み78億円に対して54億円ということですよね。これは、鉄道敷なので専門的な技術ということで、今まで踏切改良工事などもそうでしたが、小田急関連の会社がやることになって、負担金を支払うということですよね。そうなると、この54億円というのは、ほとんど地元の業者に落ちないですよね。そういうことでよろしいですか。

 

<都市部長>

 

今の段階で、詳細が決まってない段階では、なかなかお答えしづらいご質問をいただきましたけれども、JV等を組むことができるかどうか、今後検討していく形になろうかと思います。

 

さっきの経済効果という場合の一次効果というのは、これなのですよ。公共事業によって地元の業者が受注したり、それによって売り上げが上がる、雇用が伸びる、これが直接効果と呼ばれる経済効果ですよ。それがほとんど見込めないということですね。まあ、構造上、仕方ないのですよ。だから、そこら辺のことも含めて政策的どう判断するのかということが問われているんだということを申し上げておきたいと思います。

 

なぜ、アンダーパス工事から始めることに変更されたのか

 

次に、事業スケジュールについてですが、費用対効果の報告書では、1期工事と2期工事で20年間で事業を行うという話ですよね。1期工事は市役所北側交差点から変則五差路まで、次の10年でアンダーパスということなのですが、これが変更されたということについて、答弁がありましたけれども、もう一度お願いします。

 

<都市部長>

 

費用対効果の委託の中では、議員ご指摘のとおり、10年、10年の20年間という形で事業期間を見込んでおりましたけれども、事業認可を取得するにあたって県の都市計画課と協議している中で、事業認可を二つに分けることは、各事業認可が効果を発揮することができないという指摘がありましたので、全体を一本、そして通常事業認可は5年~7年程度が一般的ではありますので、座間市の状況を見て10年程度ということでまとめて事業認可を取る方向で協議を進めているところです。

 

さきほどの話につながってくるのですが、まだ、報告書に出ている1期工事と2期工事を分けて、市役所北側交差点から工事を始めるというのだったら、判断が途中でできるのですよ。でも今回の場合、まずはアンダーパスをやるということになると、もう選択肢がなくなるのですよ。アンダーパスをやったら、あとまでずっとつなげなければならないということですよね。市役所北側交差点からやってくると、どの時期に、次の10年のスパンを置くのかということが、状況を見ながら判断することができるわけです。

 

市長がおっしゃっているような、市政の全体の財政バランスを勘案するならば、市役所北側交差点からやるというのが一番よいし、その上で全体状況をみて進めるというならば、まだわかるのですよ。私自身は、この道路そのものが必要ないと思っていますが、もしやるとすれば、そうしたいろんな選択肢が取れるような形にすべきだと思うのですが、いあかがですか。

 

<都市部長>

 

選択肢が増えるということでは議員のご指摘のとおりかと思っております。ただ、この事業は座間市単独で進めているわけではなく、神奈川県と協力しながら進めております。51号線を境に神奈川県と座間市で分けているわけですから、神奈川県の施工タイミングに合わせなければならないということから、今は立体交差部を先に進めなければならないと考えております。

 

ということは、アンダーパスを先行するということで、そこに突入してしまうことを意味するわけですよ。県との関係の中で言えば、高い事業費の問題、県は27億円の負担でやるわけですが、もう少し座間市の負担とのバランスから考えれば、やりようがあるんじゃないかという気はします。座間市がしっかりと決意をもって、県と、この財政負担についてやれるのかやれないのかということも含めて意見を述べるべきだと思いますが、いかがですか。

 

<市長>

 

これまでも県や国の方には、この事業について市として意見を申し上げておりますが、さらに意見等を申し上げていきたいと思います。

 

(ここで時間切れをなり、「市民意見の聴取」については再質問ができませんでした。)