2008年12月定例会 賛成並びに反対討論

2008年12月議会 討論

 ただ今から、民主・市民連合を代表しまして、本定例会に上程されました諸議案並びに陳情について賛成並びに反対の立場から討論を行います。

 まず、議案第80号から85号までの一般会計補正予算、各特別会計補正予算、水道事業会計補正予算については、概ね妥当なものとして賛成をするものでありますが、その執行にあたって、何点か意見を申し述べておきたいと思います。

 具体的には事業費ごとに申し上げます。まず、新総合計画策定事業費について。この追加補正は、2011年からスタートする第4次座間市総合計画策定にあたって、支援業務をコンサルタント会社へ委託するというもので、今補正では、2010年までの債務負担行為も設定されております。この支援業務に委託については、総括質疑の際にも指摘しておりますが、改めて当局へ注意を促しておきたいことは、コンサルタント会社への過度な依存に陥ることなく、行政側の主体的な統括、つまりイニシアティブを十分に発揮していただきたいということです。

 本件のようなコンサルへの委託は、政策的・計画的・包括的な調査、業務支援となるわけですから、発注者である行政側が明確なポリシーと組織体制がなければ、「丸投げ」というそしりを受けることになりかねません。以前私は、あるコンサルタント会社の方とお話しする機会がありまして、その際に興味深い意見を聞かされたことがありました。その方は、計画策定の仕事を受注した際に困るのは、行政側がポリシーを持っていない場合、もう一つは打ち合わせをしようにも、時間がない、人手がないということで、進行管理が行き届かない場合だとおっしゃっていました。そうした場合、どうするのかと私が聞いたところ、その方は「行政の姿勢があいまいであると、コンサルはすばやく見抜く。その場合は、まあ体裁のよい計画や報告書をつくってごまかすことになりますね。」と率直に話しておりました。こうした実態は、まだまだ少なくないとのことのようですから、当局におかれましては、しっかりとした自覚を持って、臨んでいただきたいと思いますし、その方がおっしゃっていた「コンサルの力を発揮できるようにするのもしないのもひとえに行政の姿勢しだい」という言葉を肝に銘じて計画策定にあたっていただきたいと思います。

 次に、地下水汚染対策推進事業費について。これは、地下水浄化装置の設置に係る工事請負費7700万円を減額補正し、工事の執行を中止したものでありますが、改めて当局の決断を率直に評価するものであります。

 この地下水浄化装置事業が、いかに実効性がないかという点については、今年3月の予算議会において指摘をしておりますので、ここでは繰り返しませんが、当局において総括を深めていただきたいのは、水源環境税交付金による事業選定にあたっての交付対象自治体としての姿勢についてです。

 今回の地下水浄化装置の設置工事は、当初予定では2ヵ年で建設工事費だけで約1億3000万円。財源は全て県の水源環境税交付金座間市にとっては持ち出しゼロの大変有利なというか、おいしい話でありますが、問われたのは、この全額交付金を充当する事業選定のあり方だったであろうと思います。直裁に言えば、「億単位で交付される交付金に合わせて作り上げた事業」ではなかったのかという点です。補助金交付金を獲得することが目的となり、有効性のない事業、目的外の事業など、財源の確保と消化のみを目的とするような姿勢は、当局側も、そして議会側も厳しく戒めなければなりませんし、まさに自治体の矜持が問われることでしょう。

 本市にとって地下水保全対策は、改めて言うまでもなく極めて重要な施策です。だからこそ、その実効性が厳しく問われるのは当然なことですから、当局においては、今回の事態についての総括を深めていただき、有効な地下水保全対策を推進していただきたいと思います。

 次に、相武台地区総合交通対策事業費について。

 これは市道5号線改良工事に伴う用地費、補償費など9300万円を増額補正するものですが、安心して歩くことのできる歩行空間の整備を推進する事業として、その妥当性については認めるものであります。その上で何点か、意見を申し述べておきたいと思います。

 まず、本事業の具体的な整備方針について、総括質疑の際にも指摘をしましたが、整備区間の車線の問題です。延長540mのこの区間について、現状では両側各々2mの歩道、車道幅7m2車線での整備が計画されているようですが、歩行空間の整備という事業のコンセプトからするならば、歩道幅を各々2.5m又は3mとし、車道を6m又は5mの1車線とすべきだと考えるものです。その理由は、この市道5号線は、都市計画道路緑ヶ丘林間線の計画路線でもありますが、今回の整備区間の前後については、その整備方針は確立されておらず、しかも都市計画道路としての整備着手も現実性がない現状では、この部分だけを2車線とすることは、前後の関係からして返ってスムーズな車両交通を妨げる可能性があるからです。車線設定については、再考を促すものであります。

 次に、都市計画道路の整備方針について。

 先日の総括質疑に際に市長は、今後の整備方針について、本市の現状として、東西軸、南北軸の脆弱性を指摘され、東西軸としては座間南林間線、南北軸として相模原二ツ塚線、広野大塚線の整備の必要性を明らかにされました。いずれも県道整備としての採択を期待してのものですが、座間南林間線、広野大塚線については、一般的必要性だけでなく、当該地域の必要性、まちづくりの将来像からして、安易に判断すべきではないということを申し添えておきたいと思います。

 具体的には、座間南林間線は、当面相武台バイパスまでの整備ということになるのでしょうが、これは鈴鹿・長宿街並み環境事業の対象地域を完全に分断することになります。長年にわたりかつ多くの整備費用を費やし、すばらしい景観を保持してきた街並み環境事業を台無しにするような都計道あるいは県道整備は、慎重に対応すべきです。

 さらに、広野大塚線は、本市のいわば2大農業地域の一つである中丸地区の農振・農用地域のど真ん中を走ることになり、これもまたこの地域を分断することになります。すなわち、この地域を農地として保全するのか、開発を促進する地域とするのか、この地域の土地利用方針の確定がまず第一であり、道路整備が既成事実化し、土地利用が後追い的に位置づけられるという事態にならぬよう、注意を促すものであります。

 次に、議案第89号から95号までの指定管理者の指定について、一括して反対の立場から討論を進めて参ります。すでにご承知のとおり、我々は指定管理者の指定手続き条例の改正を提案して参りました。具体的には、条例に公募規定、兼業禁止規定、協定事項の明記についてでありますが、今定例会での議論においても、我々が指摘する点について、依然として説得力ある答弁は返ってきておりません。

 まず、公募の原則についてですが、市長並びに当局は、「指針では公募が原則となっている」と答弁されています。確かに「公の施設の指定管理者制度に関する指針」では、「以下に掲げる場合を除き、原則として複数の事業者から指定管理者を選定するものとする」として、原則公募の規定があり、除外規定としては、1)現在の管理者以外に管理運営を担い得る団体が存在しない場合。2)地域活動の拠点となる施設のうち、自治会などの地域団体による管理で、より効果が得られると判断する場合。3)その他、管理者を特定する合理的な理由がある場合 の三つが定められております。

 実は、この指針は、昨年11月13日に改訂され、従来は、「市の直営による管理方法」「公募によらず指定管理者制度を適用する管理方法」「公募により指定管理者制度を適用する管理方法」の三つに分類されていたものが、「市の直営による管理」と「指定管理者制度による管理」の二つに整理され、かつ指定管理者については原則公募を明らかにした上で、適用除外項目を列記するという表記に改訂されております。

 このことは、実質的には我々の主張が取り入れられた形で、指針の改訂が行われているわけですから、それはそれで評価はするものではありますが、問題は、ではなぜ条例に明記されなかったのか、という点であります。

 さきほど「実は」と述べましたが、私はこの改訂についてつい最近まで知りませんでした。この議場にいる議員の方々は、一体どのくらいの方がご存知だったのでしょうか。当たり前の話ですが、指針とは、要綱と同様に法的拘束力を持たない、行政の内部的方針を定めたもので、もちろん議会の議決も必要ありません。故に今回のように、議会が議論され、しかも重要な規範でも、その改訂が、いつ、どのように行われたのかということも内部的に処理されてしまうわけです。

 さらに、行政手続法ならびに行政手続条例の制定以降、行政運営における公正の確保と透明性の向上が重要視される中、なぜ指定管理者の公募規定が、条例化されず、行政の内部的な方針である「指針」によって処理されるのか、理解に苦しむところでありますし、今議会でも「なぜ条例化しないのか」という我々の質問に対する答えは、結局ありませんでした。

 指定管理者における公募原則は、競争性の発揮による住民サービスの向上と経費の削減という制度の根幹に関わる問題であり、当然ながら条例によって担保されるべき事項だと考えるものであります。よって市長並びに当局においては、公募原則の条例化について、早急に改善されるよう求めておくものであります。

 次に、この指針に基づいて行われた今回の指定管理者の指定ですが、前回同様8施設すべてにおいて公募は行われず、特命指定となっております。そして、特命理由は、さがみ野自転車駐車場と市民健康センターが「現在の管理者以外に管理運営を担いえる団体が存在しない」という理由。コミセンが「地域活動の拠点となる施設のうち、自治会など地域団体による管理で、より効果が得られると判断される」という理由。生きがいセンター、総合福祉センター、市民文化会館、市民体育館が「管理者を特定する合理的理由がある」ということになっています。

 その中でも特に、特命指定の理由について、「合理的理由がある」とされている市民文化会館、市民体育館について、「財団の設置目的が施設の設置目的と重なる」「事業実績がある」などという評価は、率直に言って理解に苦しむものであります。そもそも文化会館・体育館の管理・運営委託のためにつくられた市100%出資の財団ですから、「財団の設置目的が施設の設置目的と重なる」のは当たり前としか言いようがありませんし、実績があるのも当然でしょう。これが「特定する合理的理由」とはとても考えられません。

逆にこうした、設置目的とりっぱな実績を持っているならば、公募により、競争にさらされても、十分に太刀打ちできる能力を有していると言えるでしょうし、新規参入を排除する理由にはならないはずです。

 我々は、スポーツ・文化財団などの、市の外郭団体・出資団体が、指定管理者の能力を有しないと言っているわけではありません。有力な候補団体だと思っています。だからこそ、複数事業者との競争によって、そのことを検証すべきだと主張しているわけです。

 以上、公募原則を中心に論じて参りましたが、この他にも、兼業禁止、協定書の明記についても、なぜ条例に明記されないのか、今回も説得力回答は得られておりません。よって、こうした状況の中での指定管理者の指定は、その妥当性・有効性を検証しえず、我々は反対をするものであります。

 最後に、上程されております陳情第1号から陳情第8号まで、全てその趣旨に賛同し、賛成をすることを明らかにするものであります。

 以上で、賛成並びに反対討論を終わります。