2024年3月 一般質問その2 医療的ケア児者を対象とした日常生活用具の給付について その3 ワンストップサービスについて

医療的ケア児者を対象とした日常生活用具の給付について

 

次に、一般質問の第2点目のテーマとして、医療的ケア児者を対象とした日常生活用具の給付について、お聞きしたいと思います。

 

2022年第2回定例会の一般質問において安田議員は、災害時の電源確保について、「人口呼吸器、酸素濃縮器、吸引機など、24時間在宅で医療機器を使用している医療的ケア児者にとって、地震や台風などによって起こされる停電は命の危機に直結します」として、「在宅で人工呼吸器などの医療機器を使用している医療的ケア児者を対象に、自家発電機または外部バッテリーなどを日常生活用具の給付対象とするべきである」と質問されました。

 

これに対し福祉部長は、「人工呼吸器等の医療機器を使用している医療的ケア児者にとって、災害時の電源の確保は非常に重要な問題」との認識を示し、「本市でも、日常生活用具の給付対象として自家発電機や外部バッテリーなどを追加する検討をしてまいります」と答弁されております。

 

そしてその後、2023年4月1日に座間市障害者日常生活用具給付事業実施要領の給付項目に発電機、ポータブル電源、インバーターが追加されました。

 

しかし、対象者は「在宅で人工呼吸器を常時使用している方」となっており、電気式痰吸引機を常時使用している方は対象となっておりません。電気式痰吸引機を常時使用する方にとって、吸引機は日常的に生命・身体機能を維持する上で必要不可欠なものであります。なぜ、対象者を「在宅で人工呼吸器を常時使用している方」のみに限定したのか、説明を求めるものであります。

 

<福祉部長>

 

医療的ケア児者を対象とした日常生活用具の給付についてです。本年度から新たに追加した正弦波インバーター発電機、ポータブル電源蓄電池の支給対象を在宅で人工呼吸器を常時使用している方とした理由です。日常生活用具給付事業は、日常生活用具を必要とする障がい者、障がい児、難病患者等が対象であり、障がい者等の日常生活がより円滑に行われるための用具を給付することにより、福祉の増進に資することを目的とした事業です。

 

新たな種目を追加するにあたっては、その必要性、他の給付対象となり得る種目やその優先順位、代替性や近隣の状況などを踏まえ、検討しています。正弦波インバーター発電機、ポータブル電源蓄電池については、事業の目的からすると日常的に使用するものとは言えませんが、必要性は高いと判断し、新たに種目に加えました。対象者について、痰吸引器は手動式又は電池式の代替品がありますが、人口呼吸器については代替品がなく、生命の危機に直結することから、在宅で人工呼吸器を常時使用している方としたものです。日常生活用具の種目については、今後も必要性など勘案しながら研究して参ります。

 

 

今、部長の方からいろいろと説明がありました。日常生活用具の種目を新たに追加する場合に、代替性が他にあるかどうかだとか、近隣の状況がどうなっているのか、そうしたことを判断して今回の場合、痰吸引器については手動式等があるので見送ったというようなご答弁だったと思います。

 

それでちょっとお伺いをしたいのですが、先ほども引用しましたが、安田議員の質問の際には、「人工呼吸器、酸素濃縮器、吸引器」と明確に例示していますよね。これらの医療機器を24時間在宅で常時使用していると。それに対して当時、福祉部長は何と答えているかと言えば、「人工呼吸器等の」と、「人工呼吸器」に限定せず、「人工呼吸器等の」と、あえてここで入れていると思われるのです。この「等」の中には、電気式の痰吸引器も含まれるという理解でよろしいですか。

 

<福祉部長>

 

以前私が答弁したことの中に「等」が入っていたということについてですが、検討の段階においては、様々な人工呼吸器以外のものについても検討した結果ということであります。

 

 

もちろんそうでしょうね。含まれていて検討したと。では、なぜ検討の結果、この痰吸引器は対象から外されたのですか。

 

<福祉部長>

 

大前提として、日常的に使用しているものという中で、昨今の災害等における報道等を加味して、今回発電機等の検討をしました。その中で、さきほども言いましたが、代替性とか、そういったことを様々な検討の結果、ということになります。

 

 

今、日常的にという話なのですが、確かにこれは災害時などでの非常用電源としての取扱いですよね。でも一方で、電気式痰吸引器って、日常生活用具の給付対象になっていませんか。

 

<福祉部長>

 

項目に入っていると思います。

 

 

なってますよね。ということは日常的に必要なのですよ。それが災害時に電源が必要になってくるというのは、人工呼吸器を使われている方はもちろんそうでしょう。電気式の痰吸引器も日常生活用具として認めているわけでしょ。その電源がなくなった場合どうするのか、という話も安田議員もされているのだと思うのですね。私もそう思います。

 

さきほど代替性という話がありました。安田議員は確か、モニターに写真も写されましたよね。医療的ケア者のお宅の写真を。あの方は、人工呼吸器ではないですよね。私も承知しております。日常的に使っているのは痰吸引器なのですよ。部長に改めてお伺いしますが、安田議員が紹介されたような重度障がい者が、災害時に手動式の痰吸引器を使用することは可能だと思っておられますか。

 

<福祉部長>

 

具体的に可能かどうか、という判断は私には今できませんけれども、様々の検討を踏まえた結果、今回は人工呼吸器という結論に至ったという担当課の結論については、尊重したいと考えております。

 

 

痰吸引は大変ですよね。私の義理の母親はALSだったのですよ。最後は病院の方で亡くなったのですが、それまでは在宅でした。人工呼吸器をつけることの選択を拒否したのですよ。そういう方々は日常的に痰吸引が必要ですよね。私よりも実の子どもであったつれあいが、痰吸引をやっていましたけれど、なかなか大変ですよ。電動であっても。家族がやる場合。しかも、安田さんが紹介した重度の障がい者は、障がい特性から常に体を大きく振るのですよ。さらに環境が災害時は、大きく変わりますよね。そんな中で手動式をやれってことなのか、という話です。再度お聞きしますが、そういう障がい特性を持つ障がい者が、災害時に手動式の痰吸引器の使用が可能だと思いますか。

 

<福祉部長>

 

さきほどの答弁のとおり、それに関しては申し訳ありませんが、判断はできません。今回、人工呼吸器を使用の方ということで決定をし、令和5年度から種目に加えましたが、これについては今後、様々の要望等ありますので、検討を続けていきたいと思いますが、今回は担当として様々な検討を行った結果について尊重したいと、私は考えております。

 

 

今年1月1日に能登半島地震が起こりましたよね。直接災害を通じて亡くなられる方、さらに災害関連死の問題が懸念されます。適切な医療や介護が供給されないために、その他の要因も災害関連死の場合ありますけれども、この能登半島地震においても災害関連死が増えるのではないかということを非常に懸念しております。

 

もう一度言っておきますけれども、災害時に停電になった時に、日常的に電気式の痰吸引器を使用している者からすれば、その電源が喪失した場合は、命に係わる問題です。ですから、その点を考えていただき、日常生活と生命を維持するために、電気式の痰吸引器や酸素濃縮器を常時使用している方を対象に加えていただきたいと思います。

 

ワンストップサービスについて

 

次に、一般質問の第3点目のテーマとして、ワンストップサービスについてお聞きするものであります。

 

死亡後の遺族の手続きをワンストップで行う「おくやみコーナー」の設置について、2022年第4回定例会の一般質問において、当時の市民部長は「おくやみコーナーの設置についてですが、死亡に伴う多くの手続は、ご遺族にとって精神的にも大変な負担であり、本市としてもその必要性は認識しております。導入に当たっては、コーナーの設置場所や運用するシステム、人員配置等の検討課題も多くありますので、先行している自治体の運用状況などの情報収集を進めるとともに、関連する部署で協議し、本市の状況に合った支援ができるよう、来年度以降の開設に向けて検討してまいります」と答弁されております。

 

では、検討の結果はどのようになったのでしょうか。「おくやみコーナー」の設置に関する検討結果及び実施方法等について、説明を求めるものであります。

 

<総合政策部長>

 

ワンストップサービスに関する「おくやみ窓口」の設置について、検討結果及び実施方法等をお答えします。他自治体の事例も参考にしながら、本市のめざすスマート窓口の方向性に合わせて検討した結果、コーナーのように特別な場所を設けずに可能な限り手続きの負担を軽減する方法で実施することとしました。

 

具体的な実施方法は、市公式アカウント等でご遺族に来庁日を予約いただき、来庁時には手続き一覧及び氏名等が記載された申請書類をお渡しすることで、手続きの必要な窓口を探す時間の短縮、記入に要する手間が省けるなど手続きの負担軽減を図るものです。

 

なお、本年2月に試行期間を設け、運用面を検証したところ、実施可能と判断したため、3月から本運用で開始したところです。

 

 

これは特別に場所を設けるものではないと。LINE又は電話で予約をして、市民広聴課が必要な手続きについて関係各課に照会をし、申請書などの取りまとめを行い、来庁者は手続きの一覧表に従って、各担当窓口に行ってもらうという流れですよね。

 

ワンストップサービスかと言えば、そうではないですよね。私が率直に感じたのは、「ちょっと円滑なたらい回し」と思ったのですが、なぜ、ワンストップサービスを採用しなかったのですか。

 

<総合政策部長>

 

今回2月に試行を開始するにあたって、事前に関係各課と協議をする中で、おくやみコーナーにすべての仕組みを集約していくのは、該当する手続きが多岐にわたりますので、事務フローが煩雑になること、対象手続きの職員をおくやみコーナーに向かわせることをしても担当外の事案が出てきたり、いわゆる手戻りが発生する可能性があることから、検討の結果、所管課で相談を含めて対応する方がよいという判断をしました。

 

 

今のお話で言うと、手続きが多岐にわたるということと突発的に派生的な手続き等も発生してくるという話なのですが、おととしの12月に、私は一般質問は結局しなかったのですが、私の経験をしゃべらせていただきました。私の母親が九州の実家で亡くなったとき、そのおくやみコーナーの手続きだったのですが、極めてスムーズに進んだのですね。おくやみコーナーで手続きを申し出て、そこに座っていれば関係各課が書類を持ってやって来て、書類の記入についてもスムーズに進みましたし、派生的な手続きが発生するということもありませんでした。

 

利便性がどちらが良いかと言えば、ワンストップサービスの方ですよね。来庁される方々にとってみれば。今の話だと皆さん方の立場からすると、そっちの方がスムーズだというふうに聞こえてくるわけであります。

 

関連でお伺いしたいのですが、今回の予算資料の説明の中にスマート窓口ってありましたよね。スマート窓口を開設すると。そのスマート窓口の考え方と今回のおくやみコーナーのシステムと同一のシステムにしたということですか。

 

<総合政策部長>

 

窓口を一本化するというのは、市民にとっては利便性が高まると理解するものですが、検討の中で、事務の洗い出しをさせていただきまして、おくやみコーナーについては職員が出向くという方法をとらず、他機関へのご案内も含めて、手続きの漏れをより防止できるのではないかと判断から、そのようにさせていただいております。

 

 

今、お聞きしたのは、今回の遺族の方の手続きのシステムについてスマート窓口と同じシステムなのかということ。スマート窓口というのはワンストップではなく、流れを便利にしていくと言うか。例えば、病院に行くと、まず総合受付で保険証を出して受付を行い、それから各診療科に行く、あるいは検査に行く、診療を受ける、最後に窓口に帰って来て支払いを行う、こういうイメージで捉えているのですよ。言ってみれば、ワンストップは職員が動くのですよ。スマート窓口はお客さんが動くのですよ。というふうに私は理解していますが、今回の遺族の方の手続きはスマート窓口との統一で、そういうふうにしたのかというのが私の質問です。

 

<総合政策部長>

 

スマート窓口については、スマート窓口の定義的なものは、まだしっかりとできているわけではありませんが、今定例会の総括質疑において須崎議員に答弁させていただいたように、市民等が来庁時に窓口で長時間待たされたり、迷ったり、何度も手続きをすることなくサービスが受けられるということを基本的な考え方としております。今後は更なる検討を進めて参ります。

 

 

スマート窓口の方向性が定まっていないので、なかなか答えづらいということで、そういう答弁になるのかもしれません。まあ、話を戻しますと、ワンストップサービスなのか、人の流れを便利にしていく方法なのか、ということです。遺族の方の手続きは、人によって違うのは確かでしょう。しかし、ほぼ定型化されていますよね。私が行った自治体での手続きもそうでしたけれども、一覧表でほぼ定型化されています。市民の利便性からも、また職員の事務においてもワンストップサービスは可能なのではないか思います。

 

もちろん、流れを便利にすることで市民の方の利便性を確保しようとしたことについては、もちろん評価しますよ。その上でもう一度、ワンストップサービスが可能なのかどうか、再度検討していただきたいと思いますが、いかがですか。

 

<総合政策部長>

 

今、議員のおっしゃったことも私も理解するものです。ワンストップサービスを否定するものではありません。利便性については確かにサービスの向上につながっていくと思います。ただ、いろいろなことを総合的に考えた時に、すべてが整った段階でスタートするとなると相当な時間が要してしまいますので、我々としては、令和5年度中には実施したいという考えもありましたので、まずはスモールスタートということで始めたわけで、今後、市民サービスの向上と合わせて、ワンストップサービスについては引き続き検討してまいります。

 

 

スモールスタートという話ですが、私は取り組んだことは評価しているのですよ。ただ考え方の問題として、お客さんの方が動くのか、職員が動くのか、で言えば、利便性から言えばワンストップの方ではないかと思いますので、実施をしながら再検討していただければと思います。