2023年9月 討論

それでは、只今議題となっております議案及び陳情について、賛成並びに反対の討論を行います。

 

2022年度一般会計決算について

 

まず、議案59号の2022年度の一般会計決算の認定についてでありますが、概ね適切な予算執行であったと認め、認定すべきものであると考えます。以下、その理由を申し上げます。

 

当該年度の予算について佐藤市長は、次のような予算編成方針を示されておられました。「市政運営方針に基づく予算編成を基本とすること。その上で、選択と集中により全ての事業を見直し、優先的にやらなければならないことを見極めること。さらに、庁内組織の横断的取組に加え、市民、団体、企業などの協力体制を深め、市民ニーズに的確に応えていくこと。また、さらに、職員一人一人が市の顔であるという自覚の下、限られた財源により最大の効果を上げる予算編成に取り組むこと」でありました。

 

今回の決算では、こうした予算編成方針に基づいて成立した2022年度一般会計予算が、その執行を通じて、行政目的を達成することができたのかどうか、という観点から、決算審査にあたって参りましたが、特に、佐藤市長が、前市長の手法とは異なる、「選択と集中」による事業見直しと「優先順位の見極め」を行ったとされる事業を中心にその評価を述べて参りたいと思います。

 

まず、予算編成の段階で、小田急相模原駅前西地区再開発事業で建設された、商業公益棟と相模原市側の再開発施設とを上空で横断する歩行車用通路(ペデストリアンデッキ)について、事業を凍結し、建設事業費を計上しなかったことについては、適切な選択・判断であったと評価をするものであります。

 

次に、学校教育分野についてでありますが、小学校施設整備事業及び中学校施設整備事業について、当該年度末補正で小・中合わせて約6.5.億円を追加し、当該決算年度の事業予算額を約9、7億円と、過去10年間では最大規模としたこと、さらに本市が誇るべき自校方式での小学校給食室全てにエアコンを設置したことについては、児童・生徒の学びを保障する学校教育環境の改善にむけ適切な選択・判断であったと評価するものであります。

 

次に、子ども子育て支援分野についてでありますが、当該決算年度、小児医療費無料化における所得制限撤廃に向けたシステム改修を行い、さらに神奈川県の同制度における対象年齢の引き上げを受けて、2023年度では18歳までの無料化、所得制限撤廃へと施策を拡充したことについては、適切な選択・判断であったと評価するものであります。

 

保育園関係では、老朽化した公立保育園の建て替え・規模拡大を図る手段としての民営化で、緑ヶ丘保育園が緑ヶ丘もえぎ保育園として、当初の計画から約10年遅れて、当該年度にスタートし、定員規模は60人から90人へ拡大されました。しかし、3歳未満児の定員を緑ヶ丘もえぎ保育園の開設で28人、相武台地区での小規模保育施設の開設で19人、合計47人としたにもかかわらず、2023年度4月1日付の本市の保育所待機児童数は50人と前年度と変わらず、4年連続神奈川県内ワースト1位という不名誉な結果となってしましました。この点については、評価することはできません。

 

この主な要因は、前市長時代に10年間にわたって、公立保育園の建て替え・規模拡大の方針が実現されることなく放置されたことにより、需要に対し供給力が決定的に不足する事態に陥っていることによるものですが、市長及び当局におかれては、現行保育園整備計画の抜本的見直しを含め、対応するよう求めておくものであります。

 

次に、原油価格・物価高騰対策についてでありますが、当該年度7月臨時会において、市民生活支援として、プレミアム付商品券事業(約2.5億円)と水道料金20%減免に係る一般会計から水道事業会計への繰り入れ(約1.9億円)については、適切な対応であったとして評価をするものであります。

 

次に、ふるさと納税返礼品事業についてでありますが、私自身は、ふるさと納税制度は廃止すべきということが基本的な立場でありますが、現に制度として存在し、流出額が本市への寄附額を大幅に上回っている現状からすれば、何らかの対応策は必要であり、その一つの手段として、さらに地域産業の振興の一助として返礼品事業を行うことについては、一定の理解をするものである、との考えであります。

 

当該年度の決算において、本市の個人市民税の流出額は約2億6000万円。本市のような地方交付税の交付団体の場合は、このうち75%が基準財政収入額から控除されますから、純流出額は7000万円程度と見込まれます。一方、当該年度の寄付額は約4300万円、ここから返礼品に係る経費約1900万円と差し引くと、約2400万円となります。当該年度は10月からふるさと納税返礼品事業が開始されましたので、年換算として単純に2倍した場合でも約5800万円で、純流出額約7000万円に対し、約1200万円のマイナスとなる計算となります。おそらく、プラスマイナスの分岐点は、寄付額1億5000万円程度からと思われます。ふるさと納税返礼品事業は、それを行わないとしていた前市長の方針からの転換になりますが、個人市民税の流出対策として、一定の効果を発揮するものではないかと思われますので、今後の動向を注目していきたいと思います。

 

以上、「選択と集中」による事業見直しと「優先順位の見極め」を行ったとされる事業を中心にその評価を述べて参りましたが、一方で、事業執行上の問題が多い事業についても、二点ほど指摘しておきたいと思います。

 

まず一つは、当該年度オープンしたスカイグリーンパークパークゴルフ場についてであります。パークゴルフ場の利用実績は、2022年度では2022年7月~2023年3月までの9か月で2,320人(月平均257.8人)、2023年度では2023年4月~6月までの3ヶ月で780人(月平均260人)となっており、2022年7月~2023年6月までの1年間では3,100人(月平均258.3人)となっております。

 

一方、当局の年間利用想定者数は、2021年第4回定例会段階では、21,450人(月平均1,787.5人)。この利用者想定からすると、実績は見込みの14.5%となります。2022年第1回定例会では予算計上の根拠として2022年7月~2023年3月までの9か月で、9,000人(月平均1,000人)に下方修正しており、これを年間換算すると12,000人ですから、実績は見込みの25.8%ということになります。

 

いずれにせよ、年間利用想定者数と実績では、大きな乖離が生じており、どれだけ施設のニーズがあったのか、需要予測が間違っていたのではないかと思う次第であります。スカイグリーンパークは、遠藤前市長時代に計画され、2017年度実施設計段階の総事業費の見込みは、4億9000万円程度だったものが、最終的には9億6400万円と、倍近くまで膨れ上がりました。これだけ多額の公金を投入しながら、パークゴルフ場の利用実績がこの程度ならば、「公金の無駄遣い」との、そしりを受けても仕方ないでしょう。

 

また、決算審査を通じて明らかとなったことは、パークゴルフ場の年間維持管理経費が示されていないことであります。2022年度決算では、「スカイグリーンパーク大阪台公園管理委託料」として、3067万9千円が執行されておりますが、このうち、パークゴルフ場に係る維持管理経費は「お示しできない」との答弁でありました。では、使用料算定時には、年間維持管理経費をいくらと見込んだのかということに対しては、1640万円との答弁がありました。しかし、この数字も信ぴょう性が乏しいものでありますが、仮に1640万円であったとしても、当該決算年度の経費回収率は、5.0%程度しかありません。また、この数字も実際の年間維持管理経費によるものではありませんので、検証のしようがなく、公園管理事務の適正に欠くものと考えます。

 

このような状況の中で、当局は利用促進を図るとしておりますが、経費回収率が5%程度であるならば、広く市民等の利用に供するためには、使用料を無料とした方が効果的ではないかと思う次第でありますので、是非とも検討していただきたいと思います。

 

次に、都市計画道路座間南林間線についてでありますが、今定例会において初めて事業費の概算が示され、その額は80億円にものぼることが明らかとなりました。このうち、小田急線との立体交差部分(アンダーパス)については、これまでの答弁では「約27億円」という数字が示されておりましたが、それを大きく上回る50億円とのことであります。80億円という事業規模は、本市にとっては市役所、文化会館、市民体育館の整備、いわゆる核づくり事業以来の巨費を投ずる事業となり、道路整備事業費では過去最大になると思われます。

 

今後の少子高齢化の進行と人口減少時代の到来の中で、現在、10年間の計画で公共施設再整備計画に基づく再編が進められ、それに対しても多額の経費が必要となっておりますが、現計画の次の10年間では、学校施設の建て替えや再配置に本格的に取り組まなければならなくなります。そうした中で、80億円を超える道路整備を行うことが本当に必要なのか、本市財政はそれに耐え得ることができるのか、また、市民の理解を得ることができるのか、等々といった点について、真剣に検討をしなければならないと思います。市長並びに当局においては、こうした点を、一旦立ち止まって熟考されるよう求めておくものであります。

 

以上、2022年度の一般会計決算について、評価点及び問題点の指摘を致しましたが、総合的に判断し、認定すべきものとして賛成するものであります。

 

2022年度国民健康保険事業特別会計決算について

 

次に、議案第60号、2022年度の国民健康保険事業特別会計の決算の認定について、反対の討論を行います。

 

当該決算年度、国民健康保険税の歳入は、当初予算で見込んでいた27億6620万9千円を下回り、26億8805万2千円となり、歳入欠陥は7815万7千円に及びました。2022年度は、国民健康保険税の改定、すなわち値上げが行われ、2021年度当初予算対比で1億6895万3千円の増収を見込んだものの、実際の増収分は9,079万6千円にとどまったということであります。

 

これは、2022年度当初予算において現年分の収納率を92.4%と見込んでいたものが、当該決算では90.2%と2ポイント以上見込みより低下したことによるもので、保険税を値上げしたものの、結局、見込んだ増収分を確保できなかったということになります。

 

当該年度の保険税の値上げに際して私は、「国や県の方針に従って事務を遂行するという点だけから見れば、保険税の値上げは確かに当然ということになるだろうが、被保険者の負担増という点に着目をするならば、明らかに担税力を超えるような負担になっていると言わざるを得ない」と指摘しておりましたが、決算結果はそのことを裏付けるようなものとなったわけであります。

 

本市の2022年度の国民健康保険所得階層別加入者の状況を見ると、所得なしが36.76%、100万円以下が25.65%、100万超~300万円以下が27.95%で、所得300万円以下が90.38%を占めており、所得300万円以上は9.62%であります。これは、国民健康保険事業の構造的な問題であります。共済保険や企業健保では、保険料の半分を事業者側が負担するため、国保加入者と比べると、同じ所得であっても、保険料は約2倍も国保加入者のほうが高くなっております。国保加入者の約90%が所得300万円以下である現状において、保険料水準を統一するというならば、これ以上の国保加入者の負担増を求めるのではなく、国保加入者の保険料と健康保険加入者の保険料水準こそ統一をすべきであり、そのために国は、大胆に国保事業に国費を投入すべきであると訴え、決算認定に反対するものであります。

 

2022年度介護保険事業特別会計について

 

次に、議案第61号、2022年度の介護保険事業特別会計の決算の認定について、反対の討論を行います。以下、その理由を申し上げます。

 

介護保険制度は、財政構造上、国、県、市及び被保険者の負担割合が法律で定められているため、高齢者人口が増え、給付費が増えれば自動的にそれぞれの負担割合に応じて負担が増えるという、言わば保険料、利用料の自動値上げシステムとでも言うべきものであります。超高齢化社会を迎える中で、このような財政構造では、介護保険法第一条に掲げる「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができる」ようなサービス提供は、困難になりつつあります。

 

市町村における給付量が増えれば、反射的に保険料と利用料に反映されることになりますから、被保険者の負担は増加することになります。また、国・県・市の公費負担も増えますから、どうしても総じて給付抑制の衝動が働くこととなるわけであります。一方、低賃金など劣悪な労働条件のもとにある介護従事者の賃上げを行おうとすれば、介護報酬の引き上げが不可欠でありますが、介護報酬を引き上げれば、これもまた保険料の引き上げにつながりますので、結局、抜本的な改善が図られない構造となっております。

 

こうした状況を打開し、要介護者が尊厳ある日常生活をおくることができ、介護従事者の労働条件を改善するためには、現在の財源構成を見直し、国費負担率を大幅に引き上げ、被保険者の負担割合を引き下げることが必要だと考えるものであります。以上のことから、介護保険事業特別会計の決算認定について、反対するものであります。

 

その他の特別会計企業会計決算について

 

次に、その他の特別会計及び企業会計についてでありますが、議案第62号後期高齢者医療保険事業特別会計決算及び議案第64号公共下水道事業会計決算については反対し、議案第63号水道事業会計決算については賛成をするものでありますが、おのおのの反対理由及び賛成理由は、これまでも述べてきておりますので、割愛致します。

 

ただ、公共下水道事業会計決算については、1点だけ指摘事項を申し上げておきたいと思います。

 

当該決算年度から、市街化調整区域の公共下水道整備が始まりましたが、当該年度対象戸数は14件を見込んだものの、接続件数は6件で、事業費も450万円程度とのことであります。2022年度、2023年度は、下水道管の布設を伴わない市街化区域に隣接したところを対象とし、2024年度以降は市街化区域から離れた地域の面的整備に着手するとのことでありますが、現状では市街化調整区域で公共下水道への接続を希望する方々は、当初見込み約600戸に対し、半分程度とのことであります。

 

私は、もともと市街化調整区域の下水処理については、公共下水道ではなく、合併浄化槽への補助方式を採用すべきであるという考えでありましたが、半分ほどの接続率では、当初想定していた以上に、市街化調整区域の公共下水道1戸あたり整備コストは益々上昇することとなるでしょう。未接続の理由は、様々でありましょうが、最大は公共下水道接続に係る費用面であると推察されます。であるならば、市街化調整区域の下水処理について、公共下水道のみならず、合併浄化槽への補助制度も合わせて検討すべきではないかと思う次第であります。以上、申し添えておくものであります。

 

2023年度補正予算について

 

次に、議案第65号から議案第68号までの2023年度一般会計及び特別会計補正予算についてでありますが、概ね妥当な措置であると認め、賛成をするものであります。

 

条例の一部改正等について

 

次に、議案第69号から議案第74号までの条例改正及び工事請負契約の締結及び財産の無償貸付けについてでありますが、議案第69号座間市長期継続契約を締結することができる契約を定める条例の一部を改正する条例、議案第70号座間市保育所設置条例の一部を改正する条例、議案第72号座間市火災予防条例の一部を改正する条例、議案第73号工事請負契約について、議案第74号財産の無償貸付けについての議案は、概ね妥当な措置として、賛成をするものであります。

 

議案第71号座間市立スポーツ施設条例の一部を改正する条例については、以下の理由により反対をするものであります。

 

本案は、2019年より利用を停止していた市立栗原プールの廃止に伴う条例改正であります。当局は廃止の理由として「施設の老朽化が著しいことから」としております。確かに施設の老朽化は進んでいると思われますが、要は、市として栗原プールの改修又は修繕を行わないと判断したことによるものでしょう。ちなみに、修繕を行った場合の経費については、1800万円程度とのことであります。問題は、栗原プールを1800万円の経費をかけて修繕するのかどうか、ということにとどまらず、現在11箇所に設置されている市立プールを今後どうしていくのか、ということに関わっていると思われます。

 

本市の市立プールは、概ね小学校に隣接しているものの、学校施設としてではなく、社会体育施設として学校授業のみならず、一般利用にも供しております。当該決算年度、利用停止となっている栗原プールを除いた10箇所の市立プールの入場者数は、25,955人。そのうち、学校授業での利用は10,455人、一般利用は15,510人となっており、学校授業の約1.5倍の一般利用となっており、主に子供たちだと思われますが、多くの人々が利用されております。しかも年間約15000人と言っても、利用期間は夏休み期間中のみですから、年間を通してわずか3000人ほどのパークゴルフ場よりはるかに活用されているわけです。

 

現在、市立プールの今後の在り方については、市立プールを所管する健康部とプール授業を所管する教育委員会との間で、検討が進められていると思われますが、その結論が出る前に、栗原プールを廃止するのは妥当ではないと考えますので、本条例改正案に反対をするものであります。

 

次に、議案第75号から議案第79号までの指定管理者の指定及び市道の認定及び廃止については、概ね妥当なものとして、賛成をするものであります。

 

2023年度一般会計補正予算(追加分)について

 

次に、議案第80号、2023年度の一般会計補正予算(第8号)について、反対の討論を行います。

 

補正予算は、座間南林間線道路改良事業費のうち、小田急線立体交差部に係る鉄道施設に関する設計業務の負担金6千万円を減額補正し、同設計業務の前に、市が行うことが必要とされる調査業務について、新たに2024年度まで7386万の債務負担行為を設定するというものであります。

 

今回の補正予算には、大きく二つの問題があると考えます。ひとつは、事務執行の問題であります。今年度、小田急線立体交差部に係る鉄道施設に関する設計業務を小田急側に行ってもらうための負担金が減額するのは、設計の前に本市が行うべき調査業務があったにもかかわらず、それを行わず予算計上していたという問題であります。

 

二つ目は、事業認可取得を急ぐあまり、工事費の総額に大きな影響を与える可能性のある調査と設計業務が終了する前に、事業認可手続きに入ろうとしていることであります。もともと、2023年度当初予算の審議にあたって当局は、小田急線立体交差部に係る鉄道施設に関する設計業務は、「事業認可取得にむけたもの」としていました。また、今定例会の本会議質疑においても「これにより、かなり精度の高い総事業費の算出ができる」ということを明らかにしておりますが、それを2025年度まで延期したにもかかわらず、2026年度以降に事業認可取得の手続きに入るのではなく、極めて荒っぽい概算額80億円という数字で手続きに入ろうとしております。

 

当初、当局が「精度の高い総事業費の算出」を考えていたことは、行政事務としては、当たり前と言えるでしょう。しかし、80億円なのか、90億円なのか、はたまた100億円を超えるのか、やってみなければわからないが、とにかく事業認可だけは取得してしまえ、という手法は、極めて無責任な事務執行と言わざるを得ません。よって、本補正予算には反対するものであります。

 

請願・陳情について

 

次に、請願・陳情についてでありますが、只今議題となっております洗顔・陳情のうち、請願第4号「国による義務教育財源の保障、教育の機会均等と水準の維持・向上並びに行き届いた教育の実現を求める請願」、陳情第50号「重度障害者の医療費助成についての陳情 」、陳情第59号「令和6年度における重度障害者医療費助成制度の継続についての陳情」、陳情第60号「令和6年度における透析患者の通院への助成についての陳情」、陳情第61号「現行(紙)の健康保険証の存続を求める陳情」、陳情第63号「国民軽視の安全保障関連3文書の閣議決定は民主主義を破壊するもので、安全保障政策の変更について国民的議論を求める意見書の提出を求める陳情」、陳情第64号「座間市の正規保育士採用年齢要件を拡大することを求める陳情」、陳情第65号「小学校給食の無償化を求める陳情」、陳情第66号「中学校給食の実施を求める陳情」については、各々の陳情趣旨に賛同し、採択すべきものと考え、賛成をするものであります。

 

陳情第58号及び陳情第62号については、採択すべきではないと考え、反対をするものでありますが、以下、理由を申し上げます。

 

まず陳情第58号「国に対し、厚木基地の住宅防音工事補助対象区域に係る再告示に際して問題解決を求める意見書の提出を求める陳情」についてでありますが、本陳情は、防衛省が現在進めている防音工事の補助対象区域の見直しに対し、80W及び75W区域内に存在する逆転現象の解消策を示すことと、区域見直しにあたって、関係住民への説明と理解を得るよう求めております。

 

このうち、前者の要望については、私も同意するものでありますが、後者については、防衛省が進めている区域見直しが前提となっておりますので、認めることはできません。極めて不思議なことは、陳情理由においては「このままでは、騒音が減少傾向にあるという単純な理由だけで、指定再告示方式による区域見直しにより、現在の補助対象区域が大幅に縮小され、それにあわせ、たなざらし状態となっている告示後住宅が根こそぎ切り捨てられるおそれさえ生じてきている」と区域見直しに大きな懸念又は反対の意思を表明しているにもかかわらず、陳情趣旨では区域見直しを肯定していることであります。陳情理由の文脈からすれば、逆転現象の解消を求め、それまでは区域見直しを延期又は中止すべきと、するならば理解できるのですが、陳情趣旨と陳情理由には明らかな齟齬が見られ、結果として、防衛省が進める区域見直しを容認する形となっておりますので、反対をするものであります。

 

次に、陳情第62号「政党機関紙の庁舎内勧誘行為の自粛と調査を求める陳情」についてでありますが、本陳情は、市に対して、執務室内に許可なく立ち入り、政党機関紙の勧誘・配達・集金が行われないようにすることや、職員が購読をする場合は自宅を配達先とする旨職員に通達すること、また、勧誘に際に心理的圧迫を感じたりしたという実態がないのかなどを調査することを求めております。

 

この種のことについては、直近では2020年12月議会の一般質問において荻原議員より質問がされておりますが、当時の森山総務部長より「機関紙の購読は本人の自由意志に基づくものであり、配布や集金についても、執務室に入ることなく、昼休みに対応しているものと認識しております」との答弁がありますので、陳情者が主張するような問題は生じていないと思われます。

 

私は、法令上の違反行為がないにもかかわらず、政治的自由を制限するようなことは厳に慎むべきであると考えます。よって、本陳情は採択すべきではないと考え、反対をするものであります。

 

以上、只今議題となっております議案及び請願・陳情について、賛成並びに反対の討論を行いました。議員各位のご賛同を求め、討論を終わります。