2015年第4回定例会 討論

 それでは、ただ今議題となっております諸議案について、賛成及び反対の討論を行います。

 まず、議案第81号から議案第86号までの、一般会計、各特別会計、水道事業会計の補正予算について、賛成の討論を行います。これらの補正予算議案については、概ね妥当なものであるとして賛成をするものでありますが、いくつかの事業については問題、課題を指摘をして参りたいと思います。

国から借りている土地の地中埋設物の除去費用は、市が負担しなければならないのか?!
 いずれも一般会計補正予算に含まれるものでありますが、一つ目は、基地返還利用促進事業費についてであります。
 本事業費の補正措置は、キャンプ座間チャペルヒル住宅地区返還予定地で進められている誘致病院の建設工事において、地中埋設物が出現し、建設工事の障害となったため、国有提供財産の一時使用許可の条件に基づき、費用の補償を追加する予算措置となっております。
 具体的には、病院建設予定地の四か所からコンクリートガラ等が出現し、この地中埋設物の除去のために、1198万8千円を支出するものでありますが、今定例会における審議にあたって疑問に思ったことは、なぜ、当該土地の所有者ではない本市がこの費用を負担しなければならないのかという点でありました。これに対し、当局は、提供国有財産一時使用許可書第8条「使用のために支出する経費はすべて使用者の負担とする」となっていることから、国では負担することができないということであり、かつ病院事業者には瑕疵はないので、本市が除去費用を負担することとなったとの見解が示されました。

 ご承知のとおり当該土地は、米軍基地であるキャンプ座間の部分的返還地予定地であります。正式返還後は国有財産を管理する財務省から本市が有償で賃貸借を行い、更に本市が病院事業者へ無償で転貸することとなっており、正式返還前である現在は、在日合衆国軍隊の用に供する国有財産の一時使用という形で、病院事業者による病院建設が進められてところであります。
 当局が示したように、提供国有財産一時使用許可書の第8条(経費の負担等)では、「使用財産の維持保持、現状変更及び使用のために支出する経費は、すべて使用者の負担とする」とする条件が明記されており、本市がこれを認めて許可を受けた以上、貸し手責任を求めることはできないということは不本意ながら認めざるを得ません。

 しかし、これが、正式返還後であったならば、地中埋設物の除去費用の負担は、どうなっていたでしょうか。通常、土地の売買や賃貸借において、特約事項等がないかぎり地中埋設物が出現した場合、瑕疵担保責任が売り手又は貸し手に発生することとなり、今回の場合なら、本市は国・財務省へ除去費用を請求できるのではないかと思う次第であります。

 今後、座間市ではこの部分返還予定地へ消防新庁舎や公園建設が計画されております。これらは正式返還後となるでしょうが、これらの土地は、無償譲渡ではなく有償譲渡とされておりますので、今後の課題として、土地の譲渡にあたっては瑕疵担保責任がまっとうされるよう、国・財務省との交渉にあたることを求めておくものであります。

なんともいい加減な国の地方創生交付金

 次に、健康センター管理運営事業費の増額補正についてでありますが、この増額補正の内容は、国の地方創生先行型交付金(上乗せ交付分)500万円を活用して、健康測定機器等を購入し、市立健康センターに健康寿命延伸に向けた「健康状態見える化コーナー」を設置するというものであります。

 本市が行うこの事業内容については、異論はありませんので賛成をするものでありますが、国の地方創生関連の交付金のあり方としては大きな問題を含んでいると指摘せざるを得ません。

 それは、交付対象事業としての妥当性の問題です。内閣府が所管するこの交付金の正式名称は、地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金(地方創生先行型)と呼ばれるものでありますが、その制度要綱によると、「観光、都市農村交流等の特定の分野に関し、広域にわたる複数の地方公共団体が、適切に連携して同一事業を実施するものであること」という交付基準が、今回、本市を含む県央5市1町1村が交付対象となった理由とのことであります。

 しかし、「観光、都市農村交流」と例示されている事業と本事業は全く関係がありません。おそらく、「都市農村交流等」の「等」に無理やり本事業を当てはめたと考えられますが、本来想定されている事業とはかけ離れた「解釈」としか言いようがありません。

 また、地方創生先行型上乗せ交付は、「他の地方公共団体において参考となる先駆性を基準として評価を行い、選定する」と制度要綱では示されております。では、本市を含む県央5市1町1村が交付対象となった「先駆性」とは、一体何かということに突き当たらざるを得ません。先の交付基準の文脈からすれば、「広域連携による同一事業の実施」が評価対象ということであろうと思われますが、今定例会の審議・審査において明らかになったように、事業実施にあたっての「広域連携」の中身は、5市1町1村が同一の事業を行うことぐらいしかなく、その他は明らかではありません。故に、、事業自体には広域連携の必要性はなく、あえて言うならば交付金を獲得するために広域連携が必要であったしか言いようがないものであります。

 また、政府が定めた「まち・ひと・しごと総合戦略」における政策5原則では、「結果重視」が掲げられ、「具体的な数値目標を設置し、効果検証と改善を実施する」とありますが、本交付金の申請にあたって提出された実施計画書の重要業績評価書(KPI)の指標値は、5市1町1村の全てが、「平成28年3月まで健康測定機器等を購入設置し、未病センターとしての運営体制や機能を確保し、神奈川県からの認証を受ける」としか記述されておりません。果たしてこれが具体的な数値目標となるのでしょうか。また、これでどうやって効果を検証を行うのでしょうか。

 以上述べて参りましたように、率直に言って、こうした交付金のあり方については、「問題あり」と指摘せざるを得ません。今回の場合、交付金の交付申請にあたって本市がイニシアティブをとったわけではなく、他市と同一歩調をとったにすぎませんが、今後、本市が地方創生関連の交付金の活用を行うならば、適正・的確な対応をするよう求めておくものであります。

 さらに、申し添えておくならば、こうした中央官庁による縦割りの政策意図も不明確な交付金ではなく、地方創生関連の予算は全て地方交付税の増額若しくは使途を制限しない一括交付金として地方自治体に交付し、その検証は地方の自治に任せるといった地方分権の観点からすれば極めて原則的な要求を、本市が国に対して強く求めるいくことを願うものであります。

条例制定・条例の一部改正議案について

 次に、議案第87号「座間市行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例」について、反対の討論を行います。

 この条例は、名称にも示されているように、いわゆるマイナンバー法の公布に伴い、個人番号の利用及び特定個人情報の提供について定めるものでありますが、私は、すでに明らかにしているようにマイナンバー法そのものに反対する立場から、条例制定に反対するものであります。

 次に、議案第88号「座間市消費生活センター条例」については、必要な条例制定であることを認め、賛成するものであります。

 次に、議案第89号「座間市行政組織条例の一部を改正する条例」について、反対の討論を行います。今回の組織機構見直しの基本方針について当局は、「今年度に実施された第四次座間市総合計画の中間見直しにおいて、追加及び変更された三つの方針に対応する組織にすること。次に。平成28年度に公共下水道事業が公営企業法の全部適用し、地方公営会計基準を適用するため、公営企業管理者の設置を含め、それに対応する組織機構とすること」の大きく二つの理由を示されました。

 私の判断は、後者の公共下水道事業の公営企業法の全部適用にあたっての措置は、概ね妥当なものと思いますが、第四次座間市総合計画の中間見直しに対応する組織機構の見直しは、総合計画の見直し内容が不十分であることから、賛成することはできません。

 具体的に申し上げますと、今回の総合計画の中間見直しにおいて、子ども・子育ての分野は、新制度施行に伴い、見直しの基本方針のひとつに掲げられ、組織上も施策を統一的に推進するため、新たに子ども未来部が創設されようとしております。しかし、一方で第四次総合計画策定以降に新たに国の方針となった高齢者介護分野における地域包括ケアシステムについては、施策上も追加されておらず、組織上も旧来どおり、介護保険は健康部介護保険課、高齢者福祉は福祉部福祉長寿課となっていることであります。

 介護保険と高齢者福祉が健康部と福祉部に分かれていることの問題については、第4次総合計画策定時より、指摘をしてきているところでありますが、子ども・子育て支援と同様に、総合的な施策展開とその体制整備が求められている地域包括ケアシステムについて、総合計画の施策上の見直し及び組織上の見直しを行わなかったことについては、認められるものではありません。よって、議案第89号に反対するものであります。

 次に、議案第90号「座間市付属機関の設置に関する条例等の一部を改正する条例」並びに議案第91号「座間市非常勤特別職員の報酬等に関する条例の一部を改正する条例」について、反対の討論を行います。 この二つの条例の一部改正は、いじめ防止対策推進法に基づく調査機関の設置と水道事業審議会及び公共下水道事業審議会を廃止し、新たに公営企業審議会を設置することなどを主な内容とするものでありますが、以下の理由で反対するものです。

 座間市公営企業審議会の設置目的については、「上下水道事業の合理的かつ健全な運営を図るために管理者の諮問に応じ調査審議し、その結果を報告し、又は意見を建議する」とし、水道事業、公共下水道事業に共通する事項について、「一体的な審議」「審議の視点の統一」「審議の円滑化」が図れる」と説明をしておりますが、今定例会の審議において、一体的な審議等の必要性について説得力ある説明は結局示されませんでした。

 水道事業と下水道事業は、それぞれ別々の料金体系と別々の長期ビジョン及び財政計画を定めており、それぞれ独自の視点と審議が必要であると考えることから、公営企業審議会の設置に反対をするものであります。

 なお、いじめ防止対策推進法に基づく調査機関の設置については、「学校課題」という名称に関しては、適切なものではないと思われますが、設置目的等については異論はありませんので認めるものであります。しかし、議案提出が公営企業審議会設置と一体となって提案されておりますので、議案第90号及び議案第91号について反対をするものであります。

 次に、議案第93号座間市特別会計条例の一部を改正する条例、議案第94号座間市水道事業の設置に関する条例の一部を改正する条例、議案第95号座間市水道事業給水条例の一部を改正する条例に、賛成の討論を行います。 これらの議案は、公共下水道事業の公営企業法の全部適用にあたって、条例の一部改正を行うものでありますが、概ね妥当なものとして賛成をするものであります。

指定管理者の指定について
 次に、議案第96号「座間市立もくせい園の指定管理者について」、賛成の討論を行います。2003年9月に地方自治法の一部改正により施行されました指定管理者制度でありますが、法施行から12年が経過する中で、今回初めて、本市では公募による指定管理者の選定が行われました。制度の趣旨からすれば、公募指定が原則であるにもかかわらず、長期間にわたって本市が実施してこなかったことは残念でありましたが、今回遅ればせながらとはいえ、公募を実施したことについては率直に評価をするものであります。

 庁内組織である指定管理者選定委員会において、担当課である障害福祉課は、「本市の公の施設の指定管理者制度に関する指針に基づき、市民への説明責任から公募により公明・公正に事業者を選定することとした」と公募選定の理由を説明しておりますが、極めて適切な説明であり、高く評価するものであります。今後は、他の公共施設においても、同様の観点から公募選定を行うよう求めておくものであります。

道路認定議案について

 次に、議案第97号から104号までの道路の路線認定議案並びに議案第105号の道路の路線変更議案については、妥当なものとして賛成をするものであります。

陳情について

 次に、陳情第42号「外国人の扶養控除制度の見直しを求める意見書の採択を求める陳情」について反対の討論を行います。

 同陳情では、「陳情の趣旨」において、「児童手当と同様に国外扶養親族の原則廃止など、扶養控除制度の抜本的な見直しを求める意見書の採択を求める」と記述されておりますが、「国外扶養親族の原則廃止」とは一体どういう意味なのでしょうか。扶養親族という言葉は、「扶養する対象となる親族」を意味するものであり、制度ではありませんから親族関係を「廃止」することは不可能であります。 よって、まず、不可能なことを意見書として提出することには、反対であります。

 次にこのことは、陳情の理由で述べられている文脈から、「所得税及び個人住民税の扶養控除において、外国に居住する扶養親族は税法上の扶養親族とみなさないものとする」ということではないかと類推されますが、とりあえず、この理解で私の意見を申し上げます。

 陳情者は、「会計検査院の調査によると」として、納税者一人あたりの控除対象扶養親族の人数が、国内扶養者に比べ国外扶養者が多いことや控除対象扶養親族の要件を満たしているどうか確認不十分であることを指摘しております。確かに、会計検査院が作成した2015年度決算検査報告の中には、「日本国外に居住する控除対象扶養親族に係わる扶養控除の適用状況等について」という報告がされております。しかし、この報告書の結論部分である「本院の所見」では、

・近年、我が国においては国際化の進展に伴い、外国人労働者や国際結婚等が増加しており、これにより国外扶養者が増加するなど、扶養控除制度創設当時と大きく社会情勢が変化している。

・ついては、このような社会情勢の変化及び本院の検査によって明らかになった状況を踏まえて、今後、財務省において、国外扶養親族に係る扶養控除制度の在り方について、引き続き、様々な視点から有効性及び公平性を高めるよう検討を行っていくことが肝要である。

 とあるように、海外に居住する扶養親族を控除対象から外すことを求めているのではなく、制度の有効性及び公平性の観点から改善を求めているものであります。また、この会計検査院の指摘を受けて財務省は、2015年度の所得税法の改正にあたって、確定申告書の提出の際等に書類の添付等の義務付けを行っております。

 以上、会計検査院の指摘を受け、財務省により適切な措置が取られていることから、本陳情の採択には反対をするものであります。

 次に、陳情第44号「安全・安心の医療・介護の実現と夜勤改善・大幅増員について国への意見書提出を求める陳情」、陳情第46号「国に私学助成の拡充を求める意見書の提出を求める陳情」、陳情第47号「神奈川県に私学助成の拡充を求める意見書の提出を求める陳情」については、陳情の趣旨及び陳情理由に賛同し、賛成をするものであります。

 次に、陳情第48号「沖縄県の米軍普天間飛行場代替施設建設の早期実現、沖縄米軍基地の整理縮小及び負担軽減を求める意見書の採択を求める陳情」と陳情第49号「地方自治の堅持・尊重についての陳情」についてでありますが、沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設を進めようとする陳情第48号に反対し、沖縄県民の民意を尊重し、辺野古への米軍新基地建設計画を白紙に戻すことを求めた陳情第49号に賛成するものであります。

 ただし、陳情第48号の陳情理由にある「在日米軍専用施設の74%が沖縄県に集中しており、基地の整理縮小を全国の自治体で議論していただきたい」との訴えについては、深く、賛同をするものであります。
 
 以上、ただ今議題となっております諸議案について、賛成並びに反対の討論を行いました。議員の皆様のご賛同を呼びかけ、討論を終わります。