2023年12月 討論

それでは只今議題となっております議案及び陳情について、賛成並びに反対の討論を行います。

 

まず、議案第84号から89号までの一般会計、特別会計及び企業会計補正予算については、概ね適切な措置であると認め、賛成をするものであります。

 

職員定数条例の改正について

 

次に、議案第90号座間市職員定数条例の一部を改正する条例について、賛成の討論を行います。

 

本条例改正案は、本市の職員定数を現行903人から961人へと改めるものであります。その内訳は、市長の事務部局の職員定数を562人から609人とし、監査委員事務局の職員定数を4人から6人とし、教育委員会の職員定数を96人から99人とし、消防職員の定数を179人から185人とするものであります。その他の議会事務局職員、行政委員会事務局職員、上下水道局職員の定数については現状のままとなっております。

 

また、条例改正案とともに2024年度から2027年度までの定員管理計画(案)が参考資料として提出され、定員管理に関わる方針と定員上限数の目標値が示されております。

 

市長及び当局は、本条例案及び定員管理計画(案)の提出にあたって「持続可能な市政運営の実現を目指す」として、以下の4点を基本的な方針として示されました。まず第一には、第5次座間市総合計画である「ざま未来プランの着実な推進。」次に「社会情勢等の変化に柔軟かつ迅速な対応を可能とする職員体制の構築。」次に「定年年齢の段階的引き上げへの対応と将来を見据えた職員年齢構成の平準化。」そして、「本市の自治体規模に即した職員数の確保」であります。では、この4項目に即して、私の意見を申し上げて参ります。

 

ざま未来プランの着実な推進について

まず、「ざま未来プランの着実な推進」についてありますが、昨年12月、第5次座間市総合計画基本構想と行政組織条例の改正、いわゆる組織機構改革が本市議会において議決され、本年4月よりすでにスタートしております。本市の総合計画は、第4次総合計画以降、政策・施策体系と組織を連動させることをコンセプトにしておりますので、本来ならば、総合計画と組織機構改革に合わせて定数及び定員管理を定めるべきでありましたが、今回提案され、これにより、ざま未来プランの政策・施策体系と、それを実現するための組織編成と必要な人員体制が出そろったことについては、1年遅れとはいえ適切な対応であると認めるものであります。

 

社会情勢等の変化に柔軟かつ迅速な対応を可能とする職員体制の構築

 

次に、「社会情勢等の変化に柔軟かつ迅速な対応を可能とする職員体制の構築」についてありますが、30年間に及ぶデフレ不況の深刻化に加え、原材料やエネルギー資源等の輸入に関わるコストプッシュインフレの中、国による度重なる「経済対策」の名のもとでの給付金事業などが現在も継続しており、また今後も予想されることから、地方自治体としては対応せざるを得ません。

 

また、当局は「デジタル化の過渡期」という表現をとっておられますが、確かに言い得て妙であり、デジタルとアナログを併用せざるを得ない現状の中、自治体事務が効率化して面もあれば、かえって事務量が増えている面もあるという極めて不透明な状況の中でも、住民サービスを低下させることなく事務を遂行しなければなりません。

 

こうしたことを勘案し、「柔軟かつ迅速な対応を可能とする人員体制」のために職員定数及び定員を必要最低限度増やすことは、適切な判断だと認めるものであります。

 

定年年齢の段階的引き上げへの対応と将来を見据えた職員年齢構成の平準化

 

次に、定年年齢の段階的引き上げへの対応と将来を見据えた職員年齢構成の平準化についてでありますが、地方公務員法の改正により、2023年度から、地方公務員の定年がこれまでの60歳から、2年ごとに1歳づつ引き上げられ、10年間かけて65歳まで引き上げられることとなりました。これにより、定年退職者は2年に一度しか生じないことから、退職者数補充の観点から新規採用する場合、年度毎の新規採用者にばらつきが生じることとなります。よって、これを回避し、年齢構成の偏りを抑制する観点から、複数年度間で新規採用者数を平準化する必要があります。

 

本条例改正案とともに示された定員管理計画(案)では、新規採用者数は2024年度28人、2025年度28人と同数になっているものの、2026年度47人、2027年7人と偏りが生じております。これは、市長の事務部局が定数609に対し定員管理上の実人員が2027年度609人と、定数と定員との差がゼロとなっていることによるものと思われ、市長の事務部局の定数はもう少し余裕を見て設定することが適切であると考えますが、ギリギリとはいえ、定年年齢の引き上げへの対応と将来を見据えた職員年齢構成の平準化について、最低限対応されているものと認めることができます。

 

本市の自治体規模に即した職員数の確保

 

次に、「本市の自治体規模に即した職員数の確保」についてでありますが、定員管理計画(案)において示されているとおり、人口1万人あたりの職員数は、政令市を除く県内16市中最低の62.26人、トップの小田原市117.94人と比べると約2倍の開きがあり、普通会計における人口1万人あたりの職員数においても、16市中15位となっております。

 

一方、2021年度県内市町村の決算状況では、福祉費の平均構成比率は38.1%であるのに対し、本市は47.4%と10ポイント近くも高く、県内他市と比べ福祉サービスの需要が多いことがわかります。にもかかわらず職員数は最低レベルであり、現に本市の生活保護ケースワーカーの数は、法定の標準数から7人下回っており、近年この傾向が常態化しております。

 

また全国レベルの比較においても、総務省が実施する「地方公共団体定員管理調査」によると、本市の普通会計職員数は、他の類似団体と比較して単純値で61人、修正値で96人下回っており、本市の自治体規模に即した適正な職員数が確保されていないことが確認でき、今回の定数増の妥当性を認めるものであります。

 

以上、当局が示した4つの方針について、私の意見を申し上げて参りましたが、定数増の必要性については、これに加えて2点、申し上げておきたいと思います。

 

常勤職員と非常勤職員の適正配置

 

一つは、常勤職員と非常勤職員の適正配置の問題であります。本市においては、本来常勤職員を配置しなければならないところに、会計年度任用職員のフルタイマーなどを充てることにより補っている状態があります。会計年度任用職員は、任用期間は一会計年度限りで、常勤職員が行うべき事務の補佐や臨時的業務を担任することが本来の制度上の趣旨であるにもかからず、常勤職員の代替として恒常的に配置されることは、極めて不正常な状態であるといえ、早急な改善が求められるところであります。

 

ワーク・ライフ・バランス

 

二つ目は、ワーク・ライフ・バランスの問題であります。国の時間外勤務の上限は1か月45時間、年間360時間となっておりますが、本市においては、2022年度年間360時間を超える時間外勤務が行われた部署が10係もあり、そのうち500時間を超える部署としては、機構改革前の名称となりますが、総務部文書法制課情報公開係が701.75時間、総務部文書法制課法制係が634.92時間、教育部学校教育課保健給食係が537.38時間、福祉部生活援護課自立サポート担当が526.88時間となっております。こうした状況を改善するためにも職員定数の増は不可欠であります。

 

また、現在のように各部署において人員がひっ迫する状況では、育児休業を必要とする職員が取得しづらい状況と、残る職員に過重な負担がかかることなどを考えれば、子育て支援政策を積極的に推進すべき地方公共団体の職場環境として、ふさわしくない状態が続くことになります。また、こうした状態は、ワーク・ライフ・バランスに配慮した職場環境とは言い難く、離職者の増加や、新規採用者予定者から忌避され、人材確保がさらに困難となることが懸念されるものであります。

 

以上、市長及び当局から示された提案理由に対する私の意見を申し上げて参りましたが、今回の職員定数条例の一部改正は、必要性はもちろんのこと、事態の緊急性及び定員管理の合理性、いずれにおいても妥当な提案であると認め、賛成をするものであります。

 

企画総務常任委員会における改正案否決に対して

 

次に、本条例改正案が付託された企画総務常任委員会において、否決となったことについて、私の意見を申し上げます。

 

企画総務常任委員会の質疑を聞いておりましても、率直に言って、一体何をもって反対しているのか、何が問題なのか、わかりづらいものがありましたが、「DXが進めば」だとか、「機構改革の検証がされていない」だとか、「市民に説明することができない」だとか、極めて抽象的かつ的外れな理由により、本市職員に、現状維持の人員体制を押し付けることは、極めて無責任な態度であると言わざるを得ません。

 

本会議で否決された場合、どのような弊害が生じるか

 

では、仮に本条例案が否決された場合、どのような弊害が生じるのか、という点について述べて参ります。

 

まず、定年年齢延長分の増員を無視するわけですから、今後10年間で2年に一度発生する定年退職のタイミングでしか新規採用を行うことはできず、新規採用者の計画的採用は困難となり、採用数の平準化や年齢構成のバランスが崩れることとなってしまいます。

 

また、先ほども述べましたように、本来常勤職員を配置すべきところに会計年度任用職員等を充てている実態は改善されることはなく、国の基準をはるかに上回る時間外勤務の実態も改善されることはなくなり、必要な育児休業の抑制など、ワーク・ライフ・バランスに配慮した職場環境の改善は期待することができなくなります。

 

またこの他にも、障がい者雇用率を達成するために、常勤職としての採用が困難になることや、近年数多くみられる政府施策による突発的な対応に迫られた際に、当該業務を担任する職員やその所属元に対する負荷が見込まれ、事務の遂行に支障をきたすことが想定されます。

 

以上のように、本条例案が仮に否決となった場合の悪影響は計り知れません。今回の定数増は、職員課が各部署からの入念な聞き取りを行い、その上で各部署から出された必要数を相当絞り込んだものと、推察されるものであります。にもかかわらず、なぜここまでかたくなに認めようとしないのか、私には理解できない次第であります。

 

DX(デジタルトンラスフォーメイション)は「魔法の杖」ではない

 

次に、定数増に反対する意見のよりどころをなっているではないかと思われる「DX」について、この際ですから、私の意見を申し上げておきたいと思います。それは、DX(=デジタルトランスフォーメンション)より定数増は必要ない」という意見についてです。この主張は、デジタル化に対する過剰な「期待」あるいは「願望」をもとに、DXをまるで人員削減の「魔法の杖」のごとく捉えるものであります。

 

これに対し当局の定員管理計画(案)では、「時代の過渡期を踏まえたデジタル化の取組」という認識が示されております。これは、現状において、行政事務のデジタル化を進めることにより、確かに業務の効率化が図られる面もあれば、一方で、デジタル技術を利用できる者とできない者の格差を解消するためのデジタルデバイト対策が必要とされたり、デジタルとアナログの併用によってかえって事務量が増大する面もあることを、正確に捉えようとする姿勢であり、私も同意するものであります。

 

マイナ保険証の失敗

 

一番わかりやすい例が、マイナ保険証であります。政府は、健康保険証のデジタル化を極めて拙速に推し進め、来年秋に従来型(紙)保険証の廃止方針を撤回しておりませんが、その結果はどうなっているのでしょうか。

 

現状で確認できるだけでも、

  • 最大1年間有効となる現行の紙保険証
  • 健康保険証の利用登録を行っているマイナンバーカード
  • アンドロイドスマートフォンに、マイナ保険証を搭載したもの
  • 暗証番号の設定が不要なマイナンバーカード
  • マイナ保険証を保有していない人へ発行される資格確認書
  • マイナ保険証を保有している人へ発行される資格情報のお知らせ

と、6種類もの保険資格を確認するためのものが乱立することとなります。そして、これら全てに渡って地方自治体の事務に加わってくることになるわけであります。

 

一体何をやっているのか、と思わざるを得ませんが、医療の現場における混乱は必至であり、地方自治体にとっては事務量も経費も増大することとなります。これは、一定期間にわたるデジタルとアナログの併用期間、「過渡期」が必要となってくることを無視し、性急にことを進めようとした政府の政策及びマネージメントの失敗によるものであります。

 

こうしたことから、デジタル化を「魔法の杖」の如く捉え、地方自治体の業務及び人員削減に単純に直結すると誤解するのは、極めて短絡的であるということを指摘しておきたいと思います。

 

以上、本条例改正案に賛成する理由と、私の意見を申し上げて参りましたが、賢明なる議員諸氏の皆様のご賛同を、心からお願いするものであります。

 

給与、報酬、期末手当等に関する条例改正について

 

次に、議案第91号から94号までの給与、報酬、期末手当等に関する条例改正についてでありますが、議案第92号の監査委員のうち識見ある者の報酬を引き上げるための条例改正及び議案第94号の一般職職員等の給与引き上げ等の改正については、適切な措置であると認め賛成するものであります。

 

一方、議案第91号及び議案第93号の市議会議員と市長ら常勤特別職の期末手当の引き上げを定めた条例改正については、反対をするものであります。以下、理由を申し上げて参ります。

 

両条例改正案は、市議会議員、市長、副市長、教育長、公営企業管理者の期末手当の支給割合を年間で0.1か月分引上げるものでありますが、毎回指摘をしているところでありますが、人事院勧告の引上げ分は、期末手当が0.05か月、勤勉手当が0.05か月となっております。勤勉手当のない常勤特別職や市議会議員の期末手当を人事院勧告に準拠して引き上げるとすれば、0.05か月引き上げるというならばまだ理解できますが、0.1か月分となると人事院勧告に準拠しているとは言い難く、引上げの根拠が失われてしまうからであります。

 

今定例会の定数条例の審査において、たびたびお聞きしたフレーズで恐縮ではありますが、「明確な根拠なき引き上げは、市民感情として中々受け入れられるものではない」と思う次第であります。

 

その他の条例等について

 

次に、議案第95号の市税条例の改正については、森林環境税そのものに反対の立場から、条例改正に反対をするものであります。

 

 次に、議案第96号から97号までの、国民健康保険税条例の改正、和解及び損害賠償の額を定めることについてと、市道の路線の認定及び変更については、概ね妥当な措置であると認め、賛成をするものであります。

 

陳情すべてに賛成

 

次に、只今議題となっております陳情についてでありますが、

  • 陳情第52号 学校施設整備促進及び小田急相模原駅前歩行者用デッキ(ペデストリアンデッキ)建設中止を求める要望に関する陳情
  • 陳情第55号 国に対し、適格請求書等保存方式(インボイス制度)の延期、見直しを求める意見書を提出することを求める陳情
  • 陳情第56号 公園のトイレ照明について改善を求める陳情
  • 陳情第67号 国に対し、インボイス制度の実施延期を求める意見書の提出を求める陳情
  • 陳情第68号 最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求める意見書の提出を求める陳情
  • 陳情第69号 安全・安心の医療・介護実現のため、人員増と処遇改善を求める陳情
  • 陳情第70号 介護保険制度の改善及び介護従事者の処遇改善を求める陳情
  • 陳情第71号 国民の命と健康を守るため、政府の責任で医療・介護施設への支援を拡充し、全てのケア労働者の賃上げや人員増を求める意見書の提出を求める陳情
  • 陳情第72号 健康保険証廃止の中止を求める陳情
  • 陳情第73号 学校給食において、極力栄養素を壊さない殺菌(パスチャライズド殺菌)製法によるビン容器の牛乳にすることを求める陳情
  • 陳情第74号 脱原発、脱炭素と再生可能エネルギー転換の加速を求める意見書の提出を求める陳情

以上、11件の陳情すべてについて、その趣旨に概ね賛同し、採択すべきものと考えるものであります。

 

11件の陳情のうち、インボイス制度に関わる2件の陳情は、その時期を逸しておりますが、これは陳情者の責任ではなく、本市議会側の都合により、今回の採決となったものでありますので、その趣旨を酌み、賛成をするものであります。

 

以上、只今議題となっております議案及び陳情について、賛成並びに反対の討論を行いました。議員のみなさんのご賛同をよびかけ、討論を終わります。