2024年3月 一般質問その1 国民健康保険税の改定及び社会保険料の負担について

一般質問の第1点目のテーマは、「国民健康保険税の改定及び社会保険料の負担について」であります。まず、先日の総括質疑に引き続き今回の国民健康保険税の改定、値上げについてお聞きして参ります。

 

一回目の質問と答弁

1)国民健康保険税の改定について

 

 

これは、先日の総括質疑の際にお示ししたモデルケース(2人加入で一人が45歳所得300万円、一人が38歳所得40万円)の場合の、保険税の値上げの推移です。ご覧のとおり、今回の値上げでは。現行37万6900円の年間保険税が42万6500円、額にして4万9600円、率にして13.2%の増となり、2013年度対比では、額にして14万4300円、率にして51.1%の増と大幅な値上げとなります。今回は神奈川県が示す標準料率への統一は見送られましたが、もし標準料率と同じなれば、年間46万7600円まで引き上げられることなります。

 

次に、単身者世帯について見ていきたいと思います。

 

 

これは、40歳以上の1人世帯で、値上げ後の保険税額を所得階層ごとに並べたものです。ご覧のとおり所得900万円までは所得に応じて保険税が上がるという累進性が機能しておりますが、所得1000万円以上になると、保険税限度額が106万円であるため、いくら所得が多くとも、累進性は機能しなくなります。

 

 

一方、所得に対する保険税額の割合(負担率)で見て参りますと、この40歳以上の1人世帯では、所得100万円の層が15.02%と最も高く、次が所得82万円の層で13.7%となります。

 

 

これは、40歳以上の4人家族で所得に対する保険税額の割合を示したものですが、ご覧のように所得60万円の層が22.68%で最も高く、次が所得82万円の層で19.8%となっております。しかも、共に均等割が法定減免で5割軽減となった上での話であります。

 

 

次に、現行保険税から何%の改定率となるのかということを見て参りたいと思います。これは40歳以上の4人家族で、所得階層毎に並べたものですが、所得60万円の層が14.08%と最も高くなっております。

 

総じて、所得が低いほど、所得に対する保険税額の割合が高く、改定率(値上げ率)も高くなっております。そこで、お聞きするものでありますが、なぜこうした状況になるのでしょうか。理由の説明と見解を求めるものであります。

 

このように、国民健康保険税はこの11年間で5回も値上げが繰り返され、特に低所得者にとって思い負担となっておりますが、では、保険税を支払う側の負担能力、すなわち懐具合はどうなっているのか見ていきますと、

 

 

これは、実質賃金指数に関する比較ですが、ご覧のとおり、いわゆる「先進国」と呼ばれる国々の中では、唯一日本だけがマイナスとなっております。

 

 

次に、所得の中央値についてですが、1997年から2022年までの25年間で、117万円低下しております。

 

このように、実質賃金も所得の中央値も落ち込む一方で、国民健康保険介護保険後期高齢者医療制度などの公的社会保障に関わる負担は、一貫して増え続けているわけであります。

 

さて、話を戻しまして国民健康保険事業についてですが、法改正により2018年度から都道府県が国民健康保険事業の財政運営の責任主体となり、統一的な運営方針を定め、市町村が行う事務の標準化がすすめられてきました。神奈川県では、2036年度を保険料水準完全統一の目標とし、2027年度には納付金ベースでの統一、2033年には県が保険料を決定する準統一とする方針を示しております。

 

本市の今回の改定では、県が示す標準税率と現行税率との差額の1/2を埋める値上げとしておりますが、今後標準税率と同額水準まで引き上げるとすれば、国民健康保険被保険者の更なる負担増となります。しかし、こうした負担増は、被保険者の担税力を超えるものであり、制度上の抜本的な改革が求められると思われますが、市として国に対してどのような制度改革を求めていくのか、総括質疑でも質しましたが、改めて見解を伺いたいと思います。

 

2)後期高齢者医療制度保険料及び介護保険料について

 

次に、後期高齢者医療制度保険料及び介護保険料について、お聞きして参ります。

 

 

夫婦2人世帯、共に75歳以上、夫の年金収入174万7980円(2021年度厚生年金平均額)、妻の年金収入79万5000円(基礎年金)をモデルケースとして設定した場合、後期高齢者医療制度の年間保険料は、制度発足時の2008年度は4万7970円。それが2022年度では6万2230円と額にして1万4260円、率にして29.73%の増となっております。

 

 

次に介護保険料についてですが、制度発足時の2000年度7万6910円。それが2021年度13万7280円と額にして6万370円、率にして78.49%の増となっております。

 

 

後期高齢者医療制度保険料と介護保険料の合算では、2008年度14万470円。それが2022年度には19万9510円と額にして5万9040円、率にして42.03%の増となっております。

 

ではなぜ、こうした負担増が続いているのか、ということでありますが、その要因は、後期高齢者医療制度介護保険制度の財源構成に起因するものであります。

 

 

これは、後期高齢者医療制度の財源構成と2022年度の決算速報値による財政規模を表したものであります。負担割合は、保険料50%、公費50%。保険料のうち75歳以上の被保険者の保険料が医療給付費等の10%、健康保険や国民健康保険の被保険者からの支援金が40%。公費では、国が33%、都道府県が8%、市町村が8%となっております。なお、ここには被保険者の窓口負担分(1割~3割)がありませんが、これを加えたものが総費用となります。

 

 

次に、これは介護保険制度の財源構成と2022年度予算ベースによる財政規模を表したものであります。負担割合は、後期高齢者と同様に保険料50%、公費50%。保険料のうち65歳以上の第1号被保険者の保険料が23%、40歳から64歳までの第2号被保険者の保険料が27%。公費は国が20%+5%で25%、都道府県が12.5%、市町村が12.5%となっております。また、これにサービス利用者の利用料(原則1割~3割)を加えたものが総費用となります。

 

以上のように後期高齢者医療制度介護保険制度の財源構成が公費分50%保険料分50%と明確に区分されているため、高齢化の進行により、給付総額が拡大していくことになりますから、給付の伸びに応じて、保険料もまた利用料も、確実に比例して増加することになるわけであります。

 

しかし、高齢者世帯は現役世代と異なり、年金生活の方にとっては年金収入が増えることはなりません。(厳密に言えば、年金受給額の平均は直近5年間では減少している) こうした中で、保険料の負担増は確実に消費支出の減に直結するとともに、場合によっては生活が成り立たなくなる場合もあります。

 

今後、中長期的に見ても団塊世代が75歳以上となることから、後期高齢者医療給付費及び介護給付費は増加することが確実であり、それに伴い各々の保険料や自己負担額は増加することとなりますが、こうした高齢者世帯の負担増をどのように見ているのか、見解を伺うとともに、国に対してどのような制度改革を求めて行くのか、見解を伺いたいと思います。

 

<健康部長>

 

初めに国民健康保険税の改定について、所得が低いほど所得に対する保険税額の割合が高く、改定率も高くなっている理由ですが、低所得者世帯に対する軽減制度が適用されない境目の所得階層の負担割合が高いこと、また、軽減制度が適用されたとしても、応益分の均等割及び平等割は、被保険者に等しく賦課されるため、世帯員数が多ければその分の均等割額が賦課されることから、保険税額の割合が高くなっているものと考えます。

 

一方で、賦課総額構成の割合のうち、応能分である所得割を高くした場合は、低所得者の加入割合が高いため、十分な国民健康保険税の歳入を確保することは困難です。このため、国民健康保険制度を維持するためには、応益割についても一定程度の割合で賦課する必要があると考えます。

 

次に、国に対してどのような制度改革を求めていくのかということについてですが、国民健康保険は、他の医療保険制度と比べ、高齢者や低所得者の加入割合が高いという構造的な問題を抱えていることから、国民健康保険財政基盤の更なる強化が求められています。

 

持続可能な国民健康保険制度となるよう、被保険者の保険税の負担増が起きている現状を踏まえ、財政支援のさらなる拡充として国庫負担割合の引上げを国へ、また県の定める標準保険料率が更なる被保険者の負担増とならない率とするよう県へ求めて参ります。

 

次に、後期高齢者医療保険料負担が増となることへの見解ですが、団塊の世代後期高齢者医療制度へ移行し、今後の後期高齢者の医療費は一層増加していく見込みであると、運営主体である神奈川県後期高齢者医療広域連合からも示されています。制度全体にかかる費用が大きくなることで被保険者への負担が大きくなることは、後期高齢者医療制度の構造上の問題と捉えています。

 

また、国に対してどのような制度改革を求めていくのかについてですが、国が進めている医療保険制度改革は、後期高齢者の生活に大きな影響を及ぼすことから、被保険者の負担能力に応じた適切な制度とすること、また、国による財政支援を確実に実施することを求めて参ります。

 

 

<福祉部長>

 

初めに介護保険料についてお答えします。第9期介護保険事業計画の期間中に団塊の世代が全員75歳以上となることから、要介護高齢者が増加する一方、生産年齢人口が減少することが見込まれています。そのため、議員がおっしゃるとおり、介護給付費は増加し、保険料負担も負担増となることが見込まれています。介護保険制度を維持していくためには、国において持続可能な制度設計を行う必要があるものと捉えています。

 

そのため本市から国への働きかけとして、介護給付費負担金は国庫負担25%のうち、全国平均5%となるよう財政調整交付金を配分しているが、これを別枠として確保し、国庫負担25%を全保険者に交付すること、介護保険に係る人件費、事務費等が多大な財政負担となっていることから、市町村の財政負担が過重とならないよう、十分な財政措置を講じること、を国に働きかけでおります。加えて本年度の県を通じて、国の国庫負担割合の増を働きかけるよう要望しました。

 

 

以下、一問一答方式による再質問と答弁

 

まず、国民健康保険税の改定についてですが、私が壇上で、具体的な数字を基にして、所得が低いほど所得に対する負担率が高い、さらに今回の値上げの率、改定率でも所得が低いほど高いということを指摘し、なぜこうした状況になるのかということをお聞きし、部長の答弁がありました。

 

これは良い悪い別にして、事実としてそうだと思います。応益割と言われる均等割だとか平等割ですね。これは所得に関係なく課税されるわけですが、これの割合が座間市国保の場合、まあ、全国的にもその割合が非常に大きいということですよね。

 

一方で応能割を増やそうとしても、応能力のある人たちが加入者の中にいるのか、ということですよね。座間市の直近の数値で、世帯単位になりますが、所得なしが36.76%、所得100万円以下が62.4%、所得300万円以下で90.38%と、所得300万円以下で9割、その中には所得なしが36.76%という状況です。こうした中で、所得割の少しばかり増やしたとしても、それによって十分な歳入を確保することは困難だ、という答弁だったと思います。

 

確かにそのとおりなのですが、なぜそうなるのかという点ではもう一つの要素があると思います。

 

 

これは改定後の改定率ですが、所得1000万円以上の層の限度額の問題なのですね。分岐点はおそらく所得900万円台のところにあると思いますが、間違いなく1000万円以上で言えば、保険税が増えない。いくら所得が多くても。1000万円以上は、みな改定率1.92%とあるのは、今回の改正による課税限度額の引き上げ分が1.92%だったということです。

 

現在国保税の限度額が106万円に設定されているために、どういう現象が生まれるかと言えば、所得割というのは所得に対して6.8%を掛けますよね。それによって所得割額を算出する。例えば2000万円の所得がある人に、本来の所得割の税率である6.8%を掛けた場合の保険税額は141万3360円になります。実際は106万円ですから、この場合は所得割の率というのは、4.99%なのですよ。条例上は6.8%と書いてあるのですよ。けれど4.99%ですんでいるという話なのです。額にして35万3360円、率にして25%、減額されていると言っても過言ではないということです。

 

私は、これも国民健康保険事業の構造的な問題ではないかと思っています。ここで、お伺いしたいのですが、本市の所得1000万円以上の被保険者数とその構成比率、及び所得2000万円以上の被保険者数とその構成比率。細かな数字なので事前に通告しておりますが、いかがでしょう。

 

<健康部長>

 

令和5年3月31日時点における令和4年中に加入した被保険者数の合計ですと、所得1000万円超で2000万円未満の被保険者数は342人、割合にして1.14%。所得2000万円以上の被保険者数は117人、割合にして0.39%でございます。

 

 

2000万円以上の被保険者が117人ということですよね。事前に担当からその数字をお聞きしておりましたが、試算してみました。117人全員が2000万円の所得だと仮定し、本来の所得割6.8%を課税した場合の保険税額の増額分は4134万円。1000万円から徐々に上限額を上回ることになりますから、保険税の上限額を150万円まで引き上げた場合、少なくとも本市においては、おそらく5000万円以上の増収になると思いますが、課税限度額の引き上げについて、当局の見解を伺っておきたいと思います。

 

<健康部長>

 

課税限度額を引き上げることにつきましては、高所得層により多く負担していただくことで、中間所得層の被保険者には配慮したものとなりますが、国が被用者保険のルールとのバランスを考慮して定めております。今後の国の動向を注視しつつ、研究して参る必要があるものと考えております。

 

今の話ですが、課税限度額を引き上げれば中間所得層に配慮したものになるけれども・・・、というお話でしたよね。課税限度額を上げれば高額所得者により多く負担してもらい、中間層に配慮することになると。けれども、とお話されたのですが、でも、逆に言うと今の現状というのは高額所得者の負担軽減されている分が中間所得層に転嫁されていると言えるじゃないですか。論理的にはそうなりますよね。

 

そのことについて、あえてこれ以上言いませんが、私が知り得る限りでもこの間、限度額は何回も引き上げられていますよね。今の国保の実情からすれば、限度額を上げることが根本的な解決になるとは思っておりません。ただし、限度額を150万円まで引き上げれば、少なくとも今の国保財政で5000万円以上の増収になるという話なので、ぜひその点を含めて、国に対して要望をしていただきたいと思います。

 

次に、国に対してどういうことを求めていくのかということですが、国庫の負担割合の増を求めていくというお話で、それはそれで是非ともやっていただきたいと思います。

 

ところで、という話ですが、今国会に提出をされているんでしょうかねえ、いわゆる異次元の少子化対策と言って、子育て支援策の財源3兆6千億円、このうち1兆1000億円に関しては公的医療保険に合わせて徴収するということを政府は方針としています。新聞報道によると、一人当たり月500円という話があったり、保険の種類によっては一人当たり月1000円になったりと、そんな話が出ています。もし500円だとすれば年間6000円の値上げです。1000円だとすれば年間1万2000円の値上げになりますよね。これについて、何か国の方から説明がありましたか。

 

<健康部長>

 

議員が言及された子ども子育ての支援の関係についてですけども、今現在、正式な通知が来ておりませんので、具体的な内容については把握しておりません。

 

 

間違いなく、年間6000円から1万2000円、まだ確定はしておりませんが、今後標準料率まで国保税を上げると言っていますけど、それにプラスしてこの子育て支援金が加わってくるわけですよね。

 

これも、ちなみにお聞きしておきたいのですが、先ほどお示しした2人世帯で、所得300万円と所得40万円、片方のみ介護分が発生する場合の保険税額が42万6500円ですよね。同じモデルケースで本市の職員だった場合、健康保険の自己負担額はいくらになりますか。

 

<健康部長>

 

共済組合関係を所管している課に参考として確認しております。同じ45歳、所得300万円で標準報酬を想定して、介護分ありで掛金を算出した場合は22万円余となるとのことです。

 

 

国保の半分ですよね。皆さん方は。まあ。別にそれが悪いということを言っているわけじゃなくて、当たり前ですよね。被用者保険ですから事業者負担が入っているわけです。でも国保の場合は、事業者負担がないので、負担水準は倍。同じ所得であっても倍の保険税を負担していることになるわけです。

 

私自身は、国に求めていくならば、水準をどう統一していくかということに関して、今は国保の中で標準料率にいかに近づけていくのかという話をしていますが、統一すべきは保険料負担の統一じゃないですか。被用者保険の人と国保の人と同じ所得であっても、国保の人は2倍払っているということ、ここを是正する。保険料の水準を統一することが一番必要なことではないかと思いますが、見解はいかがですか。

 

<健康部長>

 

保険料の統一ということで、ご質問いただきましたが、保険料の統一ということになりますと、医療保険制度の大変大きな改革になりますので、議員のご意見として受け止めをさせていただきます。

 

 

 

これは、厚労省の2022年度決算速報値を基にした医療経済実態調査なのですけれども、国民健康保険の全国的な給付総額は、8兆6244億円。そのうち国がいくら負担しているのか。3兆384億円。都道府県の負担金は1兆402億円。市町村の負担金は5938億円。保険料が2兆2479億円。こういう形になっています。

 

これを見ると保険料が約2兆2000億円ですから、先ほど言ったように被用者保険と統一するならば半額でしょ。半額の1兆1000億円分を上の国庫負担の約3兆円に加えると、国庫負担が約4兆1000億円になって、保険料が約1兆1000億円になりますよね。それによって保険料水準は統一することが可能だと思います。

 

ぜひ、こうしたことも含めて要望していただきたい。数字上は可能なのですよ。ただ、先ほどの答弁で「医療制度の大きな改革であり、ご意見として受け止めます」という話でしたが、とてもそんなこと国には言えないという雰囲気がにじみ出ていますが、ほんとうに国保被保険者のことを考えるならば、このぐらいの抜本的な改革をしっかりと国に要望していただきたいと思います。

 

次に、後期高齢者医療制度保険料及び介護保険料についてですが、75歳以上の方からすれば、後期高齢者医療保険料も介護保険料も同じように払わなければならないものですが、市の部署で言えば、健康部と福祉部ということで、それぞれ答弁がありました。

 

両制度とも今後の見込みからすれば、事業費が膨らむことは間違いない。すると被保険者の保険料負担や利用料負担が増えることは間違いないということでありましたが、介護保険について具体的にお伺いしたいと思います。

 

介護保険制度では、要介護ごとにサービス量の上限額、支給限度額が定められておりますが、本市の場合、支給限度額に対する利用率はどのくらいになっていますか。

 

<福祉部長>

 

本市の利用限度額に対する利用率については、そういった数値をとっておりませんので、お答えできません。

 

 

これについては、私は記憶しているのですが、介護保険制度が始まった頃に議会の議論の中で当局側からしっかり答えられたのです。統計をとっていないというのが、不可思議なのです。

 

 

これは、神奈川県介護支援専門員協会の制度改正調査研究委員会の調査報告書からの引用です。要介護ごとに支給限度額が並んでいます。それに対する県平均の利用率が分かりました。要介護1については支給限度額167,650円に対し利用率は39.3%。要介護2が197,050円に対し44.8%。要介護3が270,480円に対し52.1%。要介護4が309,380円に対し53.5%。要介護5が362,170円に対し66.0%。こういう状況です。これについて、支給限度額まで使われていないことについて当局としては、どのようにお考えになりますか。

 

<福祉部長>

 

その理由については、様々な要因があるかと思いますが、ケアのプランニングをする段階で、その家庭の状況やお体の状況を踏まえてケアプランを作成しておりますので、その結果であると捉えています。

 

 

適正なケアプランによって、という話でしょうけれど。そりゃあ、ケアプランとしては適正だと思いますが、ケアプランを作成する上でも、ケアマネージャーの頭の中に何があるかと言えば、そのご家庭の負担能力の問題も出てきますよね。また、家族介護ということもあるかもしれません。でも家族介護というのは、私は論外だと思っています。元々制度自身が家族介護から介護の社会化ということで始まったものですから、家族介護を前提におくというのは間違っていると思います。

 

私は、こうしたことからも利用料や保険料の負担というのが大きな影響を及ぼしているのではないかと思いますが、その点はいかがですか。

 

<福祉部長>

 

介護保険料やサービスの利用料、自己負担額等も影響しているものとは思います。

 

 

先ほどのモデルケース、75歳以上で年金収入が厚生年金の平均額、妻が年金収入が79万5000円の基礎年金分だけという場合ですが、この世帯で一人が特養老人ホームに入所した場合、利用料は月額いくらとなりますか。

 

<福祉部長>

 

施設によって総額の利用料は変わってくると思いますが、自己負担額の部分で言えば、2万3000円程度と聞いています。それに食費や雑費が含まれるというふうに聞いています。

 

 

 

厚労省のホームページに目安が出ています。要介護5の人が多床室を利用した場合、サービス利用料としては2万5200円ですが、いわゆるホテルコストと呼ばれる居住費や食費が加わりますよね。それに日常生活費を加えて多床室で10万4200円。

 

 

ユニット型個室の場合は、14万1430円。今や、高額所得者でないと特養老人ホームには入れないのではないかという感じです。

 

 

一方で、これは厚労省社会保障審議会の資料です。75歳以上の夫婦2人世帯の年収別モデルです。年265万円、月21万円というのは先ほどのケースとほぼ変わらないです。先ほどのケースは月22万円の計算ですね。

 

これどうもおかしいのは、住居費が年間18万円しか計算されていません。月1.5万円ですから。ということは持ち家ということなのでしょう。もし、月5万のアパートに暮らしていたとすれば年間60万円、7万だとすると84万円。全く違ってきますよね。さらに保健医療費が年15万円、月1.25万円なのですよ。これもおそらく介護を受けていないことを想定しての保健医療費じゃないかと思われるわけです。これが年収モデルとして介護保険の改定にあたっての出されている資料なのですね。これが適切なのかどうかわかりませんが。

 

年収ベースで年265万円、月21万円。その家庭で一人が要介護状態となって、特別養護老人ホームに入ることになると、年間利用料はユニット型で168万円になのですよ。しかもこの世帯の場合は、補足給付という低所得者に対する減免が適用されません。課税世帯ですから、丸ごと168万円です。ということは年収265万円に対して一人が特養老人ホームに入所した場合、収入の約6割が自己負担額に消えていくことになります。こうした状況についてどう思われますか。

 

<福祉部長>

 

介護サービスの利用につきましては、様々な課題があるとは捉えております。また、先ほど議員の方からも言われたように、本人の負担がどんどん増えていく状況。一方でそうしたことをしないと、介護保険サービスそのものが市として維持ができないということについては、大変懸念をしております。

 

その上で、どういった形でこれからの、直近で言えば次年度からの第9期の事業計画において、どういう負担をいただき、財政措置を要望していくか、検討した上で、今できることで維持をしていく計画を立て、今後やっていこうと決めたところです。ただ、高齢者はどんどん増えますので、未来を担う子どもにお金を使うということもあるけれども、高齢者、障がい者もバランスよくしっかり財源措置をいただきたいなと思っています。

 

 

私は、市の当局を責めているわけではありません。こうした現状の中で、地方自治体で解決できるかと言えば、解決できないじゃないですかという話なのです。制度の抜本的な改革が必要だと思うのです。高齢者にとってみれば、保険料や利用料の負担がサービス利用の抑制効果に働く、あるいは生活がままならなくなる、非消費部門の支出がどんどん増える、ということがあります。一方で、介護の現場で働いている人たちの処遇を見ると、よく言われることですが、全産業平均と100万円以上の差額があると。今回の改定では、多少、処遇改善が措置されていますが、足りないですよね。介護従事者にしっかりとした労働条件を確保しようとすれば、介護費用は上がりますよね。当然保険料は上がってしまう。天秤のような状態になっているわけですよ。この構造自身を変えない限り、両方とも不幸なのですよ。

 

先日長瀬議員もおっしゃっておられましたけれども、在宅介護の中心となるホームヘルパーでは、ついに年間の離職者が入職者を上回ったのですよね。しかし、訪問介護は基本報酬がマイナス改定となっている。一体何をやっているんだ、というのは私の率直な気持ちです。

 

 

これは、先ほどもお示ししましたが、介護保険の財源構成と規模です。先ほどの福祉部長の答弁では、調整交付金の5%のところは別枠にして、25%国庫負担は確実に交付してほしいということでしたが、それはあまりにも過少な要望ですよ。

 

これも公費負担を75%まで引き上げるべきですよ。国の負担が今25%になっているものを50%へ、介護保険財政の半分は国が責任を持つ、都道府県や市町村の負担はそのまま、そうすると第1号被保険者と第2号被保険者は保険料が半額となる。そうすることよって、国保の第2号被保険者の保険料も減額になっていく、ということになります。ぜひ、そうした大胆な国費投入、私からすれば、具体的には50%の国庫負担、これをしっかり国に求めていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

 

<福祉部長>

 

先ほど健康部長からもお話がありましたが、介護保険制度についても抜本的な改革をお願いしたいところではございますが、大きな改革を市から声をあげても、なかなか実現をしないところではありますが、実現可能なところから、改革をしていただける部分があると思いながら、求めていきたいと思います。

 

 

さきほどの要望項目の中で、国の交付金をしっかりと25%基本交付金として確保してほしいという話と、人件費等の財政な負担を財政措置してほしい、ということでありましたが、もう少し視点を被保険者に移してほしいと思います。被保険者の保険料とか利用料とかが軽減をされる、そうしたことに視点を移していただきたい。現実には、この介護保険後期高齢者医療制度に関する法律では、市町村の裁量的余地はほとんどありません。制度上そのように設計されていますよね。昔の国保では、保険料を抑えるために一般財源を投入することができましたけれど、介護と後期高齢者については、法律で禁止されていますよね。

 

市町村の裁量権が非常に少ない中ですけれど、だからこそ、しっかりと国に要望していただく、そのためには被保険者の立場に立って、要望していただきたいということを申し上げて質問を終わりたいと思います。