2022年3月 2022年度予算案等に対する討論

それでは只今議題となっております議案及び陳情について、賛成及び反対の討論を行います。

 

2021年度補正予算に賛成 懸念される有機フッ素化合物汚染の影響

 

まず、議案第4号から議案第8号までの2021年度一般会計、各特別会計、公営企業会計補正予算については、概ね妥当な措置と認め、賛成をするものでありますが、一点だけ懸念事項を申しあげておきたいと思います。それは、本市の水道事業における有機フッ素化合物の影響についてであります。

 

現在国では暫定目標値として50ナノグラム/Lが設定されておりますが、本市上下水道局が2021年度に行った調査では、本市の地下水取水井戸のうち、第3水源の原水において100ナノグラム、第3水源の地下水を受水する相模が丘配水場出口での浄水で70ナノグラムが検出され、第3水源からの取水を停止し、県水の受水量を増やすことにより対応しております。その結果、水道事業会計では本補正予算で454万6千円、2022年度当初予算では2614万6千円の受水費増となっております。このことは、受水費用のコスト増はもちろんのことですが、第3水源を主要な地下水の水源としている市内北東部地域の地下水ブレンド割合は25%まで低下しており、深刻な状況となっております。

 

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座間市ホームページより

 

地下水の有機フッ素化合物汚染は、おいしい地下水を主要水源とする本市の水道事業にとっては致命的であります。現在、この汚染の原因は特定されておりませんが、米軍基地に由来するものではないかという指摘もありますので、市長並びに当局におきましては、引き続き米軍及び防衛省に対し、情報開示と必要な対応を求めていくよう、指摘をしておきたいと思います。

 

2022年度一般会計予算に賛成 「選択と集中」の予算編成を評価する

次に、議案第9号の2022年度の一般会計予算に賛成の討論を行います。2022年度の一般会計当初予算は、430億3499万7千円と対前年度約17億円、4.2%の増となり、当初予算ベースでは過去最大の予算規模となっております。

 

1)予算編成方針について

 

本予算案の提案説明において佐藤市長は、次のような予算編成方針を示されました。

  • まず、市政運営指針に基づく予算編成を基本とすること。
  • その上で、「選択と集中」によりすべての事業を見直し、優先的にやらなければならないことを見極めること。
  • さらに、庁内組織の横断的取り組みに加え、市民・団体。企業などの協力体制を深め、市民ニーズに的確に応えていくこと。
  • またさらに、職員一人一人が市の顔であるいう自覚のもと、「限られた財源により最大の効果をあげる」予算編成に取り組むこと。

このような予算編成方針であります。

 

予算編成方針とは、文字通り、予算編成にあたっての基本的な考え方や留意事項を各部局へ通知するものでありますが、これまでの市長の予算編成方針にはなかった点が、今回示されております。それは、「選択と集中により、事業を見直し、優先順位を見極めていく」ということであります。

 

前市長の予算編成方針は、概ね「総合計画に基づく実施計画事業の着実な予算化」であり、その際に実施計画に基づく予算見積と歳入可能財源との乖離については、総額抑制という形で圧縮していく手法であったと、私は思っております。

 

一方、佐藤市長の「選択と集中」は、予算見積と歳入可能財源との乖離に対して、明確に優先順位を示し、説明責任を果たしながら、予算化するという手法であると思われます。

 

私は、かつて前市長の予算編成方針に対し、「実施計画に盛り込まれた事業であっても、財政の状況から、その優先度を再度判断し見直しを行うという、メリハリのある予算編成を行うべきである」と指摘してきたところであります。そうしたことから、佐藤市長の予算編成方針で示された「選択と集中」については、その認識を共有するものであります。

 

では、そうした予算編成方針の下で、作成された一般会計当初予算は、どのような「選択と集中」が行われたのか、またそれは妥当なものであるのかどうか、そうした観点から予算審査にあたってまいりました。

 

2)財政運営について

 

まず、財政運営全般についてでありますが、2022年度一般会計当初予算において財政調整基金から16億7870万7千円を取り崩し、歳入予算に繰入れたことについて、今定例会における議論では、「ほんとうに適切なのか。綱渡りのような財政運営ではないか」というご意見がありました。

 

確かに、16億7千万円余の繰入は、近年では最大の額であります。ご承知のとおり、財政調整基金は年度間の財源調整機能がその主な役割ですから、単に繰入額が多い少ないということのみならず、繰入後の残高が適正に確保されているかどうかが、大事な点であります。新年度では、約16億7千万円の繰入後、残高は約20億円が確保されております。

 

では、過去5年間の当初予算時の財政調整基金の繰入額及び繰入後の残高はどうだったのか、見て参りますと、

 

  • 2021年度:15億5082万1千円繰入 残高 約6億6000万円
  • 2020年度:5億1180万8千円繰入 残高 約10億円
  • 2019年度:11億9026万2千円繰入 残高 約6億5000万円
  • 2018年度:10億5990万7千円繰入 残高 約11億1000万円
  • 2017年度:8億1296万2千円繰入 残高 約1億7000万円

 

となっており、当初予算時の繰入後の残高としては、今回が最も多い約20億円が確保されております。ちなみに、遠藤市長時代の2017年度では、予算成立後の財調残高はわずか1億7000万円。この時に私は「綱渡りの財政運営」と指摘致しましたが、今回のように残高を20億円確保しながら、これを「綱渡り」と評するのはあまりにも無理があると思う次第であります。私は、概ね適正な財政運営であると認めるものであります。

 

3)「佐藤カラー」は発揮されているか

 

次に、具体的な事業について見て参りたいと思います。昨年の3月議会において私は、佐藤市長にとって初めての予算編成となった2021年度当初予算について、遠藤市政から佐藤市政へと変わったにもかかわらず、予算編成上は遠藤市政時代から大きな変化がないことを指摘し、現在、地方自治体の独自の裁量的範囲は狭められているが、例えわずかな裁量権であっても、それを行使し、きらりと光る佐藤カラーによる予算編成を来年度以降、期待したい。という趣旨の討論を行いました。

 

①(都市計画分野)ペデストリアンデッキ建設計画の見直しについて

 

 では、2022年度予算における「佐藤カラー」と呼ぶべきものは何か、ということになりますが、まず、都市計画分野では、小田急相模原駅前西地区再開発事業に関係する事業である歩行者用上空横断施設=ペデストリアンデッキ建設計画の凍結があげられると思います。

 

本事業は、座間市側の小田急相模原駅前西地区再開発事業で建設された商業・公益棟と相模原市側の再開発施設とを上空で横断する歩行者用通路を建設する予定であったものですが、佐藤市長は事業の凍結の理由として次のように説明されました。

 

 

  • 事業費を約2億8000万円と見込んでいたが、事業実施に向け新たに積算したところ、約6億円となることがわかった。
  • 本市では学校施設などの公共施設の建て替えや大規模改修の時期を迎え、多額の費用が必要となる。
  • こうしたことから、現段階での優先順位を総合的に判断した結果、ペデストリアンデッキ建設を一時凍結することとした。

 

ということであります。

 

私は、これまで重ねて本事業の中止を求めておりましたので、「一時凍結」という判断については、「中止ではないのか」と、残念な気も致しますが、概ね理解をするものであります。

 

その上で、今回市長が本事業を凍結した理由に関して、私の意見を申し上げておきます。本市の市政運営指針実施計画(2022年度~2024年度)において、今後3年間で公共施設に係る工事を要する事業は、19事業、総事業費は78億6258万1千円と見込まれております。このうち、学校施設関係では小学校施設整備事業が24億569万8千円、中学校施設整備事業が13億7599万8千円で、合計では37億8169万6千円にも上り、単純平均でも毎年約12億円余の事業費が必要となる計算になります。

 

この数字がいかに大きいのかということは、過去5か年の小中学校施設整備事業費と比較してみますと明らかとなります。

 

小・中学校合わせた施設整備事業費 決算ベースで、

  • 2020年度(R2) 1億4580万1900円
  • 2019年度(R元) 1億670万7808円
  • 2018年度(H30) 2億4576万5979円
  • 2017年度(H29) 5億1979万940円
  • 2016年度(H28) 6億9360万4397円

 

このように、2016年度は過去10年間で最大の約7億円弱となっておりますが、ここ2~3年は、1億~2億円の規模に抑えられておりました。それが毎年10億円を超える事業費が必要となるわけであります。一方、実施計画で示されております財政計画の歳入では、各年度ともほぼ変わらない約410億円程度となっておりますから、歳入規模が拡大する見込みはありません。となると、市長がおっしゃるとおり、選択と集中により、事業を見直し、優先順位を見極めていくことが必要であります。

 

2020年3月に策定されました座間市公共施設再整備計画では、学校教育施設については、計画期間の10年間にわたって、現施設を維持するとされております。そして、この方針が確定した後に、施設維持に必要な費用を積算したところ、3年間で約37億円という数字がはじき出されたとのことであります。これは、現在の小学校11校、中学校6校の17校体制を維持し、児童・生徒に適切な学習環境を保障するためのものであり、必要不可欠なものであります。

 

一方、ペデストリアンデッキは、1日あたりの通行量予測は平日でわずか803人、休日で923人しかありません。相模原市が行った2020年度の通行量調査では、小田急相模原駅周辺の1日歩行者通行量は平日で30,827人、休日で28,473人ですから、小田急相模原駅周辺の1日通行量のうち、平日で2.6%、休日で3.2%しか利用されない施設に、6億円もの市費を投入することになります。よって、優先順位からして事業を見直すのは当然のことであります。

 

以上のことから、ペデストリアンデッキの事業の一時凍結は、「中止」ではない点が、はなはだ不本意ではありますが、妥当な選択であると認めるものであります。

 

②(地域産業振興分野)ふるさと納税返礼品事業について

 

次に、当初予算における「佐藤カラー」の二点目として、地域産業振興分野における「ふるさと納税返礼品事業」について、私の考えを申し上げたいと思います。

 

本市では、これまで「ふるさと納税」制度を通じてご寄付をいただいた方々に対する返礼品事業を行っておりませんでした。その結果、2021年度で言えば、2022年1月段階となりますが、本市への寄付額は169万7千円であるのに対し、他市への流出額は1億9500万円と、大幅な流出増となっております。

 

 これは、前市長の政治姿勢に由来するものでありますが、この「ふるさと納税」制度及び返礼品事業に対する前市長の考え方は、「ふるさと納税制度は良いが、返礼品はふるさと納税の趣旨に反する」ということでありました。

 

一方、私の考え方は、「ふるさと納税」制度自身が間違っているというと思っております。なぜかと言えば、本来は国から地方への税源移譲が必要であるにもかかわらず、それを行わず、地方自治体同士の財源の取り合い合戦のような状況を招いているからであります。しかし、現に制度としてあり、流出額が本市への寄付額を大幅に上回っている状況からすれば、なんらかの対応策は必要であり、その一つの手段として、さらに地域産業の振興の一助として、返礼品事業を行うことについては、一定の理解をするものであります。

 

③(子育て支援分野)小児医療費無料化の拡充

 

次に、「佐藤カラー」の第3点目として、子育て支援分野における小児医療費無料化における所得制限撤廃に向けたシステム改修についてでありますが、佐藤市長が選挙公約で掲げた「小児医療費助成制度の所得制限の撤廃、18歳まで無料化の拡大」に向け、その第一歩として評価をするものであります。私は、18歳までの医療費無料化と所得制限の撤廃を段階的に実施するならば、まずは年齢制限を引き上げ、そののちに所得制限を撤廃する方がよいと思っておりますが、目標に対してどのようなルートでそこに辿りつくのかという違いにすぎませんから、概ね妥当な措置と認めるものでありますし、子育て支援にとってきわめて優先順位の高い事業と言えますので、2023年度以降の確実な実施を求めておくものであります。

 

④(広報分野)ホームページのリニューアルについて

次に、「佐藤カラー」の第4点目として、広報分野における市ホームページのリニューアルについてですが、本市では9年ぶりのリニューアルとなります。世代を超えてインターネット利用者が拡大する中で、市政情報の提供手段として市ホームページの果たす役割は大変大きくなっております。

 

市民が必要とする市政情報に、速く、的確にアクセスできるというアクセシビリティと誰もが使いやすいというユーザビリティを主眼においたリニューアルとのことですが、「開かれた市政」「透明性ある情報提供」を標ぼうされる佐藤市長らしい適正な予算措置であると認めるものであります。

 

⑤(公園整備分野)相模が丘地区公園管理棟について

 

次に、「佐藤カラー」の第5点目として、公園整備分野における相模が丘地区公園管理棟建設に向けた用地購入と設置についてですが、本市の景観重要公共施設の一つに指定されている相模が丘仲よし小道を始め、相模が丘地区の公園・広場の管理・運営の拠点となるとのことであります。私は、都市公園の多様な管理運営手法という点では、地域にお住まいの住民の方々を中心とするNPO法人や市民活動団体によることが、何よりも重要なことと思います。そのような点から、今回の予算措置は適正かつ必要なものと認めるものであります。

 

以上、5点にわたって具体的に例示して参りましたが、今回の予算編成では確実に「佐藤カラー」とでもよぶべき、施策展開が見られ、かつ、その内容においても、概ね妥当なものと認められることから、総合的に判断して賛成をするものであります。

 

4)課題は何か

 

一方で、課題と思われる点もありますので、この際ですから指摘をしておきたいと思います。

 

①一部公共施設駐車場の有料化について

 

まず、一部公共施設駐車場の有料化についてであります。今年4月に基地返還地に開園されるスカイグリーンパーク駐車場と市民体育館駐車場が、本市では初めての有料駐車場となります。当該駐車場の有料化の目的について当局は、「座間総合病院や消防本部など周辺施設に配慮が必要なこと、また、市民体育館駐車場の利用実態に鑑み」と説明されております。要は、隣接する座間総合病院の駐車場が有料駐車場となっており、本市の駐車場が無料だとすると目的外利用が増え、本来の施設利用者が駐車場を利用できなくなる可能性があるということであります。

 

この理由については、私は一定の合理性があると思います。しかし、本市駐車場の料金設定と隣接する座間総合病院駐車場の料金設定は違っております。具体的には本市駐車場の料金設定は、30分まで無料、2時間まで200円、その後1時間ごとに100円がプラスとなり、1日最大600円まで、となっておりますが、座間総合病院の駐車場は、外来患者は5時間まで200円、お見舞い・面会者は1時間200円、そしてそれ以外は1時間660円となっております。これは、病院利用者の駐車場料金を低く抑え、目的外利用には料金を高くするという設定です。これに対し、本市駐車場は施設利用者も目的外利用者も同一の料金となりますので、当局が有料化の理由とする「目的外利用の抑制」という点からすれば、その効果が疑問視されるわけであります。

 

よって当局においては、今後の利用実態に基づき、公園や体育館利用者の料金を低く抑える一方で目的外利用者の料金を高く設定し、本来の公共施設利用者のための駐車場として機能させるよう、見直しを行うことを求めておくものであります。

 

さらに、本市のその他の公共施設駐車場に関しても、申し上げておきたいと思います、私は、今回の議会審議において当局が「受益者負担の原則」なるものを理由としなかった点については、一定の評価をするものであります。

 

地方自治体の事務を定めた地方自治法には、「受益者負担の原則」なるものは示されておりませんし、その他の法令においてもありません。法令上の規定がないことは、過去の当局の答弁でも認めております。では、地方自治法ではどのように規定されているか申しますと、地方自治法第225条、使用料では、「公の施設の利用につき使用料を徴収することができる」と、いわゆるできる規定で定められております。つまり、「できる」規定ですから、公の施設の利用につき使用料を徴収するのかどうかは、おのおのの地方自治体の政策的判断によるものだと解されます。

 

政策的判断だとすれば、使用料を徴収する場合は、なぜ使用料を徴収するのかという理由の合理性と説明責任が不可欠であり、「受益者負担の原則」といった法令に規定されていない「魔法の言葉」に頼って、使用料を徴収するのは地方自治法の趣旨に反すると言わざるを得ません。

 

よって、今後その他の公共施設駐車場の有料化を検討するというならば、個々の具体的な状況を分析し、施設利用者の利便性を最大限追求しながら、合理的説明が可能となるよう、求めておくものであります。

 

都市計画道路座間南林間線について

 

次に、本予算案におけるもう一つの課題は、都市計画道路座間南林間線の整備に係る経費についてであります。みなさんご承知のとおり、私はこの道路整備については、かねがね見直しをすべきことを申し上げて参りましたし、現在においても変わりません。

 

私が特に問題にしてきたことは、財政的負担の問題であります。しかも、昨年当該都市計画道路の都市計画の変更決定が行われましたが、現時点において総事業費が一体いくらとなるのかも明らかになっておりません。昨年12月議会において当局は、「おそらく50億円を下らない」という認識を示されましたが、仮に50億円だとしてもその事業規模は、本市にとっては市役所、文化会館、市民体育館の整備、いわゆる核づくり事業以来の巨費を投じる事業となります。今後の少子高齢化の進行と人口減少時代の到来の中で、現在10年間の計画で公共施設再整備計画に基づく再編が進められ、それに対しても多額の経費が必要となっておりますが、現計画の次の10年間では、学校施設の建て替えや再配置に本格的取り組まなければならなくなります。そうした中で、50億円を超える道路整備を行うことがほんとうに必要なのか、本市財政はそれに耐えうるのか、という点を真剣に検討しなければならないと思います。

 

よって、市長並びに当局においては、そうした当該都市計画道路に係る財政負担について、長期的な見通しのもと、真剣な検討を行うよう求めておくものであります。

 

以上、2022年度の当初予算について、評価すべき点と課題について述べて参りました。他にも様々な課題はありますが、事業の選択と集中、市民にとって何を優先すべきか、という観点から編制された本予算案について、総合的判断から賛成をするものであります。

 

2022年度国民健康保険事業会計及び国民健康保険税条例の改正に反対

次に、議案第10号の国民健康保険事業特別会計予算及び議案19号の国民健康保険税条例の一部を改正する条例に反対の討論を行います。

 

今回の改定では、所得割、均等割、平等割のうち、平等割の一部で値下げが行われますが、保険税の総額見込みでは約1億6000万円の値上げとなる内容となっております。

 

この保険税値上げの理由について当局は、「決算補てん目的の法定外繰入金の解消をめざし、2026年度までに県が示す標準保険税率に統一する」ためとしております。保険料水準の統一と法定外繰入金の解消という、国や県の方針に従って事務を遂行するという点からだけ見れば、保険税の値上げは当然ということになるでしょう。

 

しかし、保険税値上げによる被保険者の負担増という点に着目するならば、明らかに担税力を超えるような負担になっていると言わざるを得ません。今回の保険税値上げ後の所得階層別の保険税額シュミレーションでは、例えば40歳以上の一人世帯では、所得に対する税額の割合は年間所得100万円の人の負担率が最も多く、所得の13.4%、年間税額で13万4250円となります。

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また、40歳以上の4人世帯では、年間所得60万円の世帯の負担率は、なんと19.9%、年間税額で11万9400円と、所得の約2割が保険税で消えることになります。

 

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このように法定減免の対象者やわずかに減免とはならない低所得ほど所得に占める保険税の負担が非常に重くなっており、その負担能力。担税力を超えるものとなっております。また、20年を超えるデフレ不況から抜け出すことができない我が国において、低所得者可処分所得を減することは、個人消費を後退させ、さらなるデフレの進行を促進することにもなります。

 

本市の国民健康保険の所得階層別加入者の状況を見ると、「所得なし」が35.17%、所得100万円以下が26.93%で、合わせて所得300万円以下が90.84%を占めており、所得300万円以上は、わずか9.16%であります。

 

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これは、国民健康保険事業の構造的な問題であります。共済保険や企業健保では保険料の半分を事業者側が負担するため、国保加入者と比べると同じ所得であっても保険料は約2倍も国保加入者の方が高くなっております。国保加入者の約90%が所得300万円以下である現状において、保険料水準を統一するというならば、これ以上の国保加入者の負担増を求めるのではなく、国は大胆に国費を投入し、国保加入者の保険料と健康保険加入者の保険料水準に統一すべきであります。

 

以上の点から、国民健康保険事業特別会計及び国民健康保険税条例の一部を改正する条例に反対するとともに、市長並びに当局におきましては、国民健康保険事業を、将来にわたって持続可能な制度へと抜本的に改革することを国に求めていくよう、声を上げていただきたいと思います。

 

次に、議案第11号の介護保険事業特別会計予算、議案第12号の後期高齢者医療保険事業特別会計予算及び議案第14号の公共下水道事業会計予算については反対、議案第13号の水道事業会計予算については賛成をするものでありますが、おのおのの反対理由、賛成理由は昨年の予算討論と同じでありますので、今回は割愛致します。

 

「選択的夫婦別姓制度の法制化に向けた議論を求める意見書が掲載されているホームページの公開を非公開にするように要望することを求める陳情」に反対

 

次に、陳情第25号「選択的夫婦別姓制度の法制化に向けた議論を求める意見書が掲載されているホームページの公開を非公開にするように要望することを求める陳情」について反対の討論を行います。

 

本陳情は、本市議会が昨年9月27日の本会議において可決した同意見書について、文中に引用された内閣府世論調査結果の数字に重大な誤りがあるため、本市議会の意見書がリンクされている民間団体のホームページのリンクを削除するよう要望することを求めるものとなっております。

 

陳情者が、本市議会の意見書で重大な誤りがあるとしていることは、「平成30年2月に内閣府が公表した世論調査において、夫婦同姓も夫婦別姓も選べる選択的夫婦別氏(姓)制度の導入に賛成または容認すると答えた国民は66.9%であり、反対の29.3%を大きく上回ったことが明らかになった」という部分であります。

 

では、内閣府世論調査の結果はどのようなものであったのかと言えば、

 

①婚姻をする以上、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきであり、現在の法律を改める必要なない」=29.3% 

 

②「夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望している場合には、夫婦がそれぞれ婚姻前の名字(姓)を名乗ることができるように法律を改めてもかまわない」=42.59%

 

③「夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望していても、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだが、婚姻によって名字(姓)を改めた人が婚姻前の名字(姓)を通称としてどこでも使えるように法律を改めることについては、かまわない」=24.4%  

 

となっております。①は法改正の必要はないということになります。②は選択的夫婦別姓のための法改正に賛成 ③は、戸籍上は夫婦同姓であるべきだが、婚姻前の名字をどこでも使えるための法改正に賛成とのことになります。③については、「旧姓」を「どこでも使えるように法改正」とありますから、行政手続きをはじめ社会生活全般において、旧姓を使えるようにするための法改正です。よって、実質上選択的夫婦別姓制度に対する「容認」と解されるのは、当然のことであります。

 

以上のことから、陳情者がいう「本市議会の意見書に重大な誤りがある」という点は到底認められません。よって、本陳情は不採択と決すべきと考えます。

 

以上、2022年度の一般会計、特別会計及び企業会計と、陳情について賛成及び反対の討論を行いました。議員の皆様方のご賛同をお願いし、討論を終わります。