2022年9月 一般質問(質問+答弁)

1.有機フッ素化合物汚染について

1)米軍泡消火剤に関する南関東防衛局の回答について

それでは、ただいまより一般質問を行います。一般質問の第一点目のテーマは、有機フッ素化合物汚染についてであります。まず初めに、米軍泡消火剤に関する南関東防衛局の回答について、お聞きします。

 

昨年9月の長瀬議員の一般質問、本年2月の私の一般質問での質問と答弁は以下のとおりです。

こうした経過を経て、本年7月27日南関東防衛局から米軍泡消火剤について口頭で以下のような回答されたとのことであります。

「2022年6月までに、キャンプ座間及び相模総合補給廠を含め、本州に所在する全ての陸軍の施設において、高濃度のPFOS等を含む泡消火剤の交換作業を了した」とのことですが、この回答について以下の点を伺いたいと思います。

 

まず、「高濃度のPFOS等を含む泡消火剤の交換」とありますが、交換された泡消火剤のPFOS及びPFOAの含有量はゼロなのでしょうか。それとも高濃度ではないものの含まれているのでしょうか。また、含まれているとすれば、含有率は何%なのでしょうか。明らかにしていただきたいと思います。

 

市長室長答弁

交換後の泡消火剤のPFOS等の含有量について、防衛省南関東防衛局に確認したところ、「在日米軍全体として定量可能なPFOS及びPFOAを含まない、より環境にやさしい代替製品への交換を進めているものと承知している」との回答がありました。

 

 

次に、交換前の泡消火剤は、どのように処理したのでしょうか。処理方法について明らかにしていただきたいと思います。

 

市長室長答弁

交換前の泡消火剤の処理方法について、防衛省南関東防衛局に確認したところ、「PFOSについては、日本環境管理基準において有害物質のリストに掲載され、その保管方法、廃棄手続、漏出時の対処要領が定められており、在日米軍は当該基準にしたがい有害物質の管理を適切に行っているものと承知している。」との回答がありました。

 

 

今回の回答では、過去の使用状況についての回答がありません。今年3月の私の質問では、「過去の使用状況」についてお聞きしております。使用状況、特に泡消火剤を使用した訓練の頻度や使用後の排水処理はどのようにしていたのか等々について、引き続き回答を求めるべきと考えますが、見解を伺うものであります。

 

市長室長答弁

過去の使用状況についてですが、7月27日に防衛省南関東防衛局から「2016年以降は、在日米軍保有している泡消火剤について、訓練を目的として使用しておらず、厳格に管理してきた旨の説明を受けている。」との回答がありました。訓練の頻度や使用後の排水処理方法について、あらためて確認したところ、「その他の詳細については承知していない」とのことでした。

 

 

2)地下水保全条例の活用について

 

次に、本市地下水の有機フッ素化合物汚染に対する対応として、座間市の地下水を保全する条例の活用についてお聞きします。

 

初めに、本条例制定の経過について触れておきたいと思います。今や、成立当時のことを知る議員は、この議場では私一人となってしまいましたが、大変貴重な経験でもありましたので、この際ですから、皆さん方へお伝えしておきたいと思います。

 

本条例は、1998年4月3日に座間市議会において可決・成立したものでありますが、市長提案の条例ではありません。議員提出条例であります。当時の座間市議会は定数28名でありましたが、最終的には28名の議員全員が提出者となり全会一致で可決されたものであります。

 

この全会一致での可決に至るまで、本条例をめぐる議会での議論は、前年9月から約半年間に及びました。まず、1997年第三回定例会最終日において、議員提出議案として提出されていた座間市地下水保全条例が賛成多数で可決されたものの、当時の星野市長は、市長の拒否権である「再議」を発動しました。再議においては、議会が同条例を再議決するためには、2/3以上の賛成が必要となりますが、同年10月8日の臨時会では、2/3以上の賛成を得られず、同条例は一旦、廃案となってしまいました。

 

その後、地下水保全条例に賛成した議員12名(議長・副議長を除く)は、再度「座間市地下水保全条例」を作成し、市民のみなさんとの討論会や意見交換会を開催し、1997年第四回定例会に条例案を提出しました。一方、条例制定に対する市民世論が盛り上がる中、反対した議員14名も、同定例会に「座間市の地下水を保全する条例」を提出、これ以降、この二つの条例案をめぐる議論が続くこととなったわけであります。

 

特に、1998年第一回定例会では、二つの条例をめぐる議論は、傍聴者が見守る中で連日深夜まで及び、付託常任委員会であった建設水道常任委員会と、任意組織として立ち上げられた「条例検討委員会」における条文ごとの議論は16日間、100時間を超え、会期は年度をまたいで延長され、1998年4月3日に全会一致で可決となったわけであります。まさに、民主主義のお手本のような徹底した議論の末、誕生した条例と言うことができると思います。そして、こうした議会での議論の後押しとなったのは、やはり、座間の地下水を守りたい、また、地下水を使った水道事業を続けてもらいたい、という多くの市民の声であったと思います。

 

さて、こうした経過を経て成立した本条例は、大きく三つの特徴を持っております。

それは、一つ目には、本市の地下水を質的な面で保全する第2章の「地下水の汚染防止及び浄化」、二つ目には量的な面で保全する第3章「地下水の採取」、三つ目には、地下水の持続可能性を担保する第4章「地下水の涵養及び水源の保護」という、三つの特徴を持つ総合的な地下水保全の条例となっております。

 

そこで、今回の質問では、現状の有機フッ素化合物汚染に対する本市の対応一つとして、本条例の活用に関して、議論をして参りたいと思います。

 

条例第7条では、有害物質を使用する事業場に対し、報告の義務を定めております。

条例第8条は、届出事項の変更を定めたものであります。

条例第9条は、有害物質の保有数量の報告義務を定めております。

条例第10条は、有害物質の使用量の削減及び変更に関する努力義務を定めたものであります。

条例第11条は、汚染の未然防止のための行政指導と水質保全のための調査を市長に課し、有害物質を保有している事業者に対しては汚染防止のための厳格な管理を定めております。

条例第12条は、汚染が発生した場合の調査、浄化等の措置を定めたものであります。

条例第13条は、事業者に対し、有害物質の使用を廃止した場合の届出義務を定めたものであります。

 

しかし、これらの汚染防止及び浄化に関する規定の対象となる有害物質については、「水質汚濁防止法施行令第2条に定めるもの」とされているため、現状では有機フッ素化合物は対象となっておりません。

つまり、せっかく地下水の汚染防止や浄化を定めた条例がありながら、現下の有機フッ素化合物汚染対策にあたって、条例を適用できないという状況にあるわけであります。

 

よって、本条例で定める有害物質に、有機フッ素化合物を加え、条例改正を行い、地下水の汚染防止及び浄化の実効性を高めるべきと考えますが、当局の見解を伺いたいと思います。

 

環境部長答弁

座間市の地下水を保全する条例の活用についてご質問をいただきました。この条例は、地下水が市民共有の貴重な資源であることに鑑み、その保全を図ることにより、市民生活に必要な水を確保し、もって市民の健康で文化的な生活に寄与することを目的に制定されたものです。また、第3条では、市の責務として、地下水の保全に係る必要な措置を講じるよう努めることが規定されています。

 

議員ご指摘のとおり、本条例の中で有機フッ素化合物を保有している事業所に届出義務を課すこと及びその事業所への管理状況の報告を義務付け、適切な管理を求めることにより、地下水の保全の実効性を高めることは、効果的な方策であると考えております。

 

一方で、有害物質と有機フッ素化合物は、法律に基づく使用制限等、位置づけが異なることから、市民並びに事業者の混乱も懸念されるなど課題を整理する必要があります。そのため、今後地下水採取委員会等、有識者の意見を参考にしながら研究を進めて参ります。

 

 

3)国への照会、要望について

 

次に、有機フッ素化合物汚染に関する国への照会、要望についてお聞きします。

 

本年7月27日の南関東防衛局からの回答は、電話で口頭によるものとのことであります。おそらく、座間市当局からの照会についても、口頭で行われたものと思われますが、こうした重要な照会事項に関しては、行政事務の基本である「文書主義」のもと、文書による照会及び回答を求めるべきではないでしょうか。当局の見解を伺うものであります。

 

市長室長答弁

防衛省南関東防衛局への照会は、文書で行い、文書による回答を求めるべきではないか、についてですが、こちらにつきましてはその時々の状況や内容に応じ対応してまいります。

 

 

次に、国への要望についてです。本年6月に議員へ配布された「令和5年度 国の施策・制度・予算に関する要望書」には、有機フッ素化合物に関する要望の記載がありません。それはなぜなのでしょうか。まずは説明を求めるものであります。

 

国に対しては、有機フッ素化合物汚染の原因究明と対策を講じること、また、PFOS及びPFOAなどの有機フッ素化合物については、水質汚濁防止法で定める有害物質に指定されておりませんし、水道法で定める水質基準項目にも指定されておりません。

ご覧のように水道法において、水質管理において留意する必要がある「水道管理目標設定項目」となっているのが現状です。よって、水質汚濁法で定める環境基準及び水道法で定める水質基準を設定し、規制物質とすること等々を要望すべきと考えますが、市長の見解を伺うものであります。

 

市長答弁

令和5年度国の施策・制度・予算に関する要望書で、有機フッ素化合物の記載がない理由についてですが、当時神奈川県の調査により、市内において暫定目標値を超える有機フッ素化合物が数か所で検出されておりましたが、分布状況を評価するための情報量が乏しく、また、本年度に市独自で行う地下水及び河川水の有機フッ素化合物に関する調査の結果を踏まえたうえで、要望事項を検討する必要があるものと判断したことによるものです。

 

環境基準及び水質基準を設定し、規制物質とすること等を要望することですが、本年度の状況を見極めた上で、国や県への要望について考えて参ります。

 

 

2.第五次座間市総合計画(ざま未来プラン)について

 

次に、一般質問の第二点目のテーマとして、第五次座間市総合計画(ざま未来プラン)についてお聞きして参ります。

 

1)ざま未来プラン原案について

 

まず、ざま未来プラン原案についてお聞きします。この第5次座間市総合計画の策定にあたっては、本年6月の一般質問や総合計画特別委員会において、素案について、私も率直な意見を申し上げ、市長や当局と議論を行って参りました。そして、その後、8月8日に第5次座間市総合計画(ざま未来プラン)基本構想原案が公表されております。

 

この原案については、素案に対する市民の声や総合計画審議会における議論、さらに議会における議論が反映されているものと思われますが、まずは、原案について、素案からの主な変更点について、変更に至った理由も含めて市長の説明を求めるものであります。

 

市長答弁

素案からの主な変更点についてご答弁させていただきます。まず、「まちづくりの方向性」に「輝く未来戦略」を追加させていただきました。これは今後の座間市らしさを示していく部分として、分野横断的かつ戦略的な取組みとして経営資源を優先的に配分して推進していく取組みです。また、打ち出した三つの戦略は、めざすまちの姿である「人が輝く、街が輝く、未来へつなぐ」と連動しています。なお、具体的な取組みは実施計画でお示ししていきたいと考えております。

 

次に政策について、政策7を「行財政運営」から「持続可能な行財政運営」に改めました。また、市民の声について、文書として標記するのではなく、話し言葉をイメージして、かつ現在と未来にわけて変化した状態が伝わるような構成に改めました。

 

次に施策の数を31から32にし、一部名称を変更しました。具体的には「要介護者等の自立支援」を「介護保険」に、「市有財産の有効活用」を「ファシリティマネージメントの推進」にそれぞれ変更するとともに、「文化スポーツ」を「スポーツ」と「生涯学習・文化芸術」の2施策に分割しました。

 

次にそれぞれの「施策の方向性」と「まちづくり指標」について、見直しをしました。

 

最後に計画書前半部分の内容を見直して、あらたに「まちづくりの課題」として章立てするなど、全体の構成などを整理しました。

 

これらは、いずれも素案に対していただいた様々なご意見を踏まえ、庁内で再検討したことによるものです。

 

 

2)組織機構改革及び職員定数に関する基本的な考え方について

 

次に、第5次座間市総合計画策定に伴う組織機構改革及び職員定数に関する市長の基本的な考え方について、お聞きします。新たな総合計画の政策・施策体系に即し、事業執行に必要な組織体制を整備することは、すでに第五次座間市総合計画策定方針などで示されておりますが、座間市行政組織条例の改正等の議会への提案は、本年第四回定例会となるのでしょうか、伺うものであります。

 

市長答弁

座間市行政組織条例の改正等の議案につきましては、本年第四回定例会に提案をする予定でございます。

 

 

また、次期総合計画の推進に必要な組織体制を整備する上で、適正な職員定数については、どのようにお考えなのでしょうか。職員定数条例の改正を本年第四回定例会に提案される意向なのでしょうか。市長の見解を伺うものであります。

 

市長答弁

ざま未来プランの推進に必要な組織体制を整備する上での職員定数に関する考え、及び職員定数条例の改正につきましては、現在、新たな体系に基づく組織体制を検討している段階であり、その中で定数についても精査をして参りたいと考えております。

 

 

3)施策28基地政策について

 

次に、前回の一般質問では、時間の制約上、議論を深めることができなかった総合計画における基地施策について、引き続きお聞きしたいと思います。

前回の一般質問において私は、本市が基地対策に取り組む理由として、第三次座間市総合計画では、米軍基地が「まちづくりの大きな障がい」となっているとの記述され、第4次座間市総合計画では「まちづくりの阻害要因」となっていることが記述されていたにもかかわらず、第5次座間市総合計画ではこうした記述がないことを質しました。

 

これに対する企画財政部長の答弁は、「素案でお示ししている施策ごとの記載は、前総合計画における現状と課題ではなく、それぞれの施策の必要性をお示しした内容としています。」とのことでありました。「現状と課題」と「施策の必要性」との違いだということなのですが、「現状と課題」と「施策の必要性」はどう違うのか、私にはさっぱりわかりません。

 

一方、今回の基地政策の冒頭の記述では、「基地は外交、防衛に関わる事項であり、日米両国間で適切な対応を行うものであると捉えています」とあります。さて、この記述は「施策の必要性を示した」ものなのでしょうか、見解を伺いたいと思います。また、第3次や第4次の総合計画にはなかった、このような記述を新たに加えたことについて、その理由の説明を求めるものであります。

 

市長室長答弁

これは、第五次座間市総合計画策定に当たり、市民によりわかりやすい記述にしたもので、市民の負担を軽減するための行動の必要性を述べる上で前段となる説明を付け加えたものです。

 

 

3.(仮称)座間市個人情報保護法施行等条例について

 

次に、一般質問の第三点目のテーマとして、(仮称)座間市個人情報保護法施行等条例について、お聞きして参ります。

 

1)法と施行条例の運用にあたっての基本的な考え方について

 

まず、新個人情報保護法とその施行条例である本条例の運用について基本的な考え方をお聞きします。

 

昨年5月に新個人情報保護法が成立したことに伴い、個人情報の取扱いや開示請求等の手続き等座間市個人情報保護条例に規定されていた措置は、法の規定に基づくこととなりました。よって本条例は、法で委任されている事項等を定める施行条例となるとのことであります。

 

こうした中で、これまで本市が本市の個人情報保護条例において保ってきた個人情報保護の水準を、可能な最大限堅持して、法と条例を運用することが肝要と考えますが、まずは、当局の基本的な考え方を伺いたいと思います。

 

総務部長答弁

個人情報の保護に関する法律、以下改正法といいますが、個人情報保護の水準を最大限堅持することについてですが、改正法の規定に基づいた運用となることを前提として、引き続きこれまで本市が運用してきた個人情報保護の水準を維持していきたいと考えております。

 

 

2)具体的な運用について

 

次に、具体的な運用についてお聞きして参ります。まず、法第二条第3項において定義されております「要配慮個人情報」についてお聞きします。

「要配慮個人情報」は、「本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報をいう。」と定義されておりますが、この定義に基づいた措置は何も規定されておりません。その理由について説明を求めるものであります。現行の座間市個人情報保護条例において「要配慮個人情報」は、原則収集禁止となっておりますが、今後はどのような運用を行うのでしょうか、見解を伺うものであります。

 

総務部長答弁

個人情報取扱事業者に対しては、要配慮個人情報の取得制限が規定されていること、また、行政機関に対しては個人情報ファイルの保有前に個人情報保護委員会へ通知する事項として、「記録情報に要配慮個人情報が含まれるときはその旨」と規定されております。

 

そして、個人情報保護委員会事務局が公表している個人情報の保護に関する法律についてのQ&A(行政機関等編)、以下国のQ&Aといいますが、これには改正法では、行政機関等における要配慮個人情報の取得について特別の規定を設けていませんが、行政機関等において、取り扱う個人情報全般について、その保有は法令の定める所掌事務又は業務の遂行に必要な場合に限定することとし、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を保有してはならないこととしている、他、不適正な利用の禁止、適正な取得等の定めており、要配慮個人情報の取扱いにあたっても、これらの規定を順守する必要があると、示されており、これまでの個人情報保護条例に基づいた個人情報の取扱いと同水準の保護を図ることができることから、要配慮個人情報については、不当な差別や偏見、その他の不利益が生じないように、その取扱いに特に配慮を要するものとして、慎重に取り扱う考えでございます。

 

 

次に、法第六十一条の「個人情報の保有の制限等」についてお聞きします。

法第六十一条(個人情報の保有の制限等)第1項では、「行政機関等は、個人情報を保有するに当たっては、法令の定める所掌事務又は業務を遂行するために必要な場合に限り、かつ、その利用目的をできる限り特定しなければならない」とありますが、「できる限り特定」とはどのように解釈すべきなのでしょうか。原則「特定」ではあるが、例外があり得るということなのでしょうか。説明を求めるものであります。現行の座間市個人情報保護条例においては、「あらかじめ個人情報を取扱う目的を明確にし」となっておりますが、今後の本市の運用について、見解を伺うものであります。

 

総務部長答弁

利用目的をできる限り特定する運用についてですが、個人情報保護委員会事務局が公表している個人情報の保護に関する法律についての事務対応ガイド(行政機関等編)、以下、国の事務対応ガイドといいますが、これにはその利用目的をできる限り特定するとは、個人情報がどのような事務又は業務の用に供され、どのような目的に使われるかをできるだけ具体的個別的に特定することを求める趣旨であり、利用目的の特定の程度を行政機関の恣意的判断に委ねるものではない、と示されております。

 

このことから、例外的な取扱いを想定するものではなく、これまでの個人情報保護条例に基づく運用と同様に、利用の目的を明確にして、その利用目的に沿って適切に取り扱う必要があると考えております。

 

 

一方、同条第3項では、「行政機関等は、利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない。」とありますが、これは第1項との関係でどのように理解すればよいのでしょうか。「利用目的はできるかぎり特定されなければならないが、合理的な範囲内では利用目的は変更しても構わない」ということなのでしょうか。説明を求めるものであります。現行の座間市個人情報保護条例においては、「取扱目的以外の目的のために利用、提供してはならない」としておりますが、今後の本市の運用について見解を伺いものであります。

 

総務部長答弁

利用目的の変更についてですが、先ほど答弁したとおり、改正法第六十一条第1項の利用目的の特定については、利用目的の特定の程度を行政機関等の恣意的判断に委ねるものではないと国から示されているため、改正法第六十一条第3項は、利用目的の特定を前提として変更する際の手続きを示したものと考えられます。

 

また、国の事務対応ガイドには、「新たな行政サービスの展開に対応する必要性等から、利用目的を変更せざるを得ない場合が生じることは、一般に想定し得るところであり、行政機関等の事務及び事務の適正かつ円滑な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護するという法の目的に照らせば、利用目的に一定の柔軟性を持たせることが適当である。しかしながら、一旦特定された利用目的が無限に変更されることになれば、利用目的を特定した実質的意味は失われる。」と示されております。

 

このことから、利用目的を変更する際には、変更前の利用目的と関連性やその合理性を慎重かつ適切に判断する必要があり、本市も同様の運用と考えております。

 

 

次に、法第六十二条の「利用目的の明示」についてお聞きします。

同条では、「行政機関等は、本人から直接書面(電磁的記録を含む。)に記録された当該本人の個人情報を取得するときは、次に掲げる場合を除き、あらかじめ、本人に対し、その利用目的を明示しなければならない。」とあり、この後に4項目の除外規定が限定列挙されております。

 

「本人から直接書面(電磁的記録を含む。)に記録された当該本人の個人情報を取得するときは」と限定的な記述となっておりますが、これは「本人から直接書面に記録された当該本人の個人情報を取得しない場合」があり得るという想定なのでしょうか、またその場合は、本人への利用目的の明示は必要ないということなのでしょうか。説明を求めるものであります。現行の座間市個人情報保護条例においては、個人情報の本人からの直接収集と取扱目的の明示が定められておりますが、今後の本市の運用について見解を伺うものであります。

 

総務部長答弁

改正法第62条で規定されております本人から直接書面に記録された当該個人情報を取得する時は、国の事務対応ガイドでは、「申請書やアンケート調査票等、本人が書面に記載等することで提出するものは、多くが保有個人情報として保有され、その後の行政機関等における事務や事業の運営の基礎資料として利用されることになると考えられることから、本人から直接書面に記載された当該本人の個人情報を取得する場合は、特に利用目的を明示することを定めたものである。」と示されておりますので、本人から直接書面に記録された当該個人情報を取得しない場合を想定している規定ではないと考えられます。

 

また、本人への利用目的の明示について、国の事務対応ガイドでは「行政機関等に対して、一方的に個人情報を、その内容に含む書面が送りつけられて来たような場合には、そもそもあらかじめ利用目的を明示することが不可能であり、そのような場合についてまで、あらかじめ利用目的を明示しなければならない義務を課すものではない。」と示されております。

 

このことから、あらかじめ本人への利用目的の明示が不可能である場合には、利用目的を明示する同条の規定は受けませんが、改正法のもとで丁寧に運用する考えです。

 

 

次に、必要がなくなった個人情報の取扱いについて、お聞きします。

法第二十二条(データ内容の正確性の確保等)では、民間事業者に対しては「個人情報取扱事業者は、利用目的の達成に必要な範囲内において、個人データを正確かつ最新の内容に保つとともに、利用する必要がなくなったときは、当該個人データを遅滞なく消去するよう努めなければならない。」と定めておりますが、法第六十五条(正確性の確保)では、「行政機関の長等は、利用目的の達成に必要な範囲内で、保有個人情報が過去又は現在の事実と合致するよう努めなければならない。」として、行政機関等については、「利用する必要がなくなった場合のデータ消去」等が定められておりません。理由について説明を求めるものであります。現行の座間市個人情報保護条例においては、「必要がなくなった個人情報は、確実に、かつ、速やかに廃棄又は消去しなければならない」との定めがありますが、今後の本市の運用について見解を伺うものであります。

 

総務部長答弁

国のQ&Aでは、法においては個人情報の保有は、法令(条例を含む)の定める所掌事務又は業務の遂行に必要な場合に限るとされており、また、利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を保有してはならないこととされています。

 

不用な個人情報の消去に係る規定を法施行条例で設けた場合には、法の規律と実質的に同様の内容を規律することになることから、このような規定を法施行条例で設けることは認められませんと、示されております。

 

このことから不要な個人情報の消去については、改正法の規律に含まれると考えられ、現在の運用と同様に個人情報を適切に取り扱う必要があると考えます。

 

 

最後に、(仮称)座間市個人情報保護法施行等条例における「匿名加工情報」の取扱についてお聞きします。

 

個人情報保護法施行等条例骨子(案)では、行政機関等匿名加工情報提供制度について規定しないとしておりますが、その理由について説明を求めるものであります。

 

総務部長答弁

法改正により、都道府県及び政令指定都市での導入が義務付けられましたが、当分の間はその他の地方公共団体等への導入は任意とされております。匿名加工情報の加工度合について、一律の基準がなく、人口規模、情報の性質等、個別具体に勘案する必要がありながら、地方公共団体等の運用実績が乏しく、同制度に対する技術的な対応能力が十分でないことから、本市においては施行日時点での導入を見送り、他自治体の動向を注視していきたいと考えております。

 

 

以上、17項目について質問致しました。明快な答弁を求め、一旦降壇致します。