2019年第4回定例会 討論 - 森林環境譲与税、給与改定等 -

 ただ今議題となっております議案、陳情について、賛成並びに反対の討論を行います。

 

 まず、議案第65号の2019年度の一般会計補正予算について反対の討論を行います。の森林環境譲与税の歳入は、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律に基づくものでありますが、同法は、本年3月2日に衆議院で、3月27日には参議院で、日本共産党を除く全ての会派の賛成で可決されたものであります。

 

 さて、同法の趣旨は、第1条において「森林の有する公益的機能の維持増進の重要性に鑑み、市町村及び都道府県が実施する森林の整備及びその促進に関する施策の財源に充てるため」と規定されております。この趣旨については、私も賛成であります。

 

 しかし、森林環境税の賦課徴収は、個人住民税均等割りに1000円を上乗せするというものであります。これは、東日本大震災からの復興という名目で創設された復興特別税のうち、個人住民税への上乗せが10年間で期限切れになるため、今度は森林環境税の名目で、取り続けるというものであります。まさに「一度手にした税源は絶対に手放さない」ということなのでしょう。

 

 個人住民税への上乗せは、いわば均等割りですから、所得の多寡には関係なく、所得の少ない人ほど負担が重くなる逆進性が働くのは言うまでもありません。一方、企業に対する復興特別法人税は当初3年間の予定であったものが、わずか2年間で廃止されております。消費税と同様に、所得が低い人々の負担が重く、取りやすいところから取るといった、まさに現政権の徴税思想に裏打ちされたものであり、まずは徴税面から森林環境税に反対するものであります。

 

 次に、森林環境譲与税についてでありますが、こちらは、徴税した森林環境税の使途にあたるものであります。森林環境税の収入額を市町村及び都道府県に譲与するというもので、市町村へは今後6年間は全体額の8割、都道府県には2割譲与され、譲与基準は私有林人工林割が50%、林業就業者割が20%、人口割が30%となっております。また、都道府県の譲与基準も同様であります。

 

 一見すると私有林人工林割が半分を占め、森林地域を持つ市町村への配分が多くなるかのように思われますが、今年度の配分額の全国トップは横浜市、次いで浜松市大阪市となっております。つまり、林業需要の乏しい都市部地域に財源が多く譲与される一方で、林業需要が高い地方の市町村にわずかしか譲与がなされない仕組みとなってのであります。

 

 これは、森林の公的機能の維持増進という法の目的との整合性が問われることとなりますし、税負担への信頼性をも揺るがすことに繋がりかねません。よって、制度設計上も大きな欠陥を持っているということであります。

 

 また、林業需要の乏しい都市部の地方自治体を意識してか、森林環境譲与税の使途として、「木材利用の促進」が示されております。本年5月に神奈川県環境農政局が作成した「本県における森林環境譲与税の取組の考え方」において、市町村が担う事業の中の「木材利用の促進」では、「公共施設の木造化・木質化」「小・中学校の机・椅子の木造化」などが例示されております。

 

 確かに、こうした施策は魅力的ではあります。しかし、この場合の木材使用に関しては、実は地場産に限定されるものではありません。さらに、国内産に限定されるものでもありません。つまり、森林環境譲与税を使って、公共施設の木造化・木質化を外国産の木材で行ったとしても、その使途としては問題ないということになるわけであります。これで、ほんとうに法律の趣旨を活かすことになるのでしょうか。

 

 これはWTO世界貿易機関)協定の「内外無差別原則」から、国が法律で国内産に限定することはできないことなっているからであり、また、TPP協定の「政府調達」では、一般原則として「無差別待遇」が掲げられ、ローカルコンテンツ(現地調達)規制の禁止が定められているからであります。税金を使って国内の森林管理を整備し、国内産木材の供給を促進しようとしても、外国産木材の使用について禁止できないという、まさに、現政権の国内政策と対外政策との本質的な矛盾の産物であります。

 

 次に、本市における森林環境譲与税の運用についてであります。森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律第34条(森林環境譲与税の使途)では、「市町村は、譲与を受けた森林環境譲与税の総額を次に掲げる施策に要する費用に充てなければならない」とし「森林の整備に関する施策」「森林の整備を担うべき人材の育成及び確保、森林の有する公的機能に関する普及啓発、木材の利用の促進その他の森林の整備の促進に関する施策」などが列記されております。


 この条文を見る限り、「充てなければならない」という義務規定がなされていることからすれば、使途が制限される特定財源かと思いきや、当局の説明によると、森林環境譲与税は、使途の制限のない一般財源として歳入されるということであります。

 

 では、どういうことが起こり得るかと言えば、例えば予算段階で、森林環境譲与税を500万円歳入で計上し、事業予算を500万円歳出で計上したとして、事業執行後の決算の段階で実際の支出額が400万円であった場合、残りの100万円は補助金ではないので国庫に返還することになりませんから、他の一般歳出とまぎれてしまい、結果として別の使途に充てられることになる可能性があるということであります。

 

 これを防ぐためにはどうすれば良いのかと言えば、基金を造成すべきであります。国庫から歳入した森林環境譲与税を基金に繰り入れ、事業予算に合わせて取り崩し、執行残が生じた場合は基金へ返納する、こうすれば明確に使途を特定できますし、事業予算が余った場合も、次年度以降に活用することができます。


 しかし、本市では、今回の補正予算の提出にあたって、森林環境譲与税に係る基金を設置する基金条例の改正案は提出されておりません。私自身は本法律自身に反対の立場ではありますが、これでは、法律の趣旨に沿った交付金の運用が担保されていないと考える次第であります。 

 

 以上のような点から、本補正予算について反対するものであります。

 

 次に、議案第71号からの議案73号までの給与報酬関連の条例の一部改正について賛成並びに反対の討論を行います。まず、私の議案に対する態度を申し上げますと、議案第73号に賛成、議案第71号、第72号に反対をするものであります。

 

 これらの議案は、国の人事院勧告に準拠し、一般職職員の給与及び期末勤勉手当、市長などの常勤特別職職員と非常勤特別職である市議会議員の期末手当の支給額を改正する条例であります。

 

 一般職職員の給与及び期末勤勉手当にかかわる条例改正並びに予算措置に関しては、人事院勧告に準拠するという観点から、妥当なものとして賛成をするものであります。

 

 一方、常勤特別職職や市議会議員の期末手当の引き上げについては認めることができません。なぜならば、毎年指摘しておるところでありますが、人事院勧告は引き上げ分を勤勉手当に配分としており、勤勉手当のない常勤特別職や市議会議員の期末手当を引き上げることは勧告の内容に反し、人事院勧告に準拠するとは言えないと思うからであります。したがって、もし人事院勧告に準拠しないというならば、座間市特別職報酬等審議会に諮問し、その答申に沿って措置されるべきものであると考えます。 

 

 よって、常勤特別職及び市議会議員の期末手当の引き上げにかかわる条例改正に反対するものであります。

 

 次に、議案第74号「財産の取得について」、議案第75号「市道の路線の認定及び変更について」ですが、妥当なものとして賛成をするものであります。

 

 次に、陳情についてであります。ただ今議題となっております陳情第50号「介護施設の人員配置基準の引き上げを求める意見書の提出を求める陳情」、陳情第51号「安全・安心の医療・介護の実現のため夜勤改善と大幅増員を求める陳情」、陳情第52号「国に私学助成の拡充を求める意見書の提出を求める陳情」、陳情第53号「神奈川県に私学助成の拡充を求める意見書の提出を求める陳情」、陳情第54号「婚外子差別撤廃のための戸籍法改正を求める意見書を国に提出することを求める陳情」についてでありますが、これら全ての陳情について、その趣旨に賛同し、採択すべきと考えるものであります。


 以上で、私の討論を終わります。