2021年6月 一般質問

 

 

それでは、只今より一般質問を行います。

 

1.市長の政治姿勢について

 

1)小児医療費助成制度の拡充について

 

一般質問の第1点目は、市長の政治姿勢についてであります。まず、小児医療費助成制度の拡充について、市長のお考えお聞きして参りたいと思います。

 

現状、本市の小児医療費助成制度は、対象年齢は「15歳に達した日以降最初の3月31日」すなわち中学卒業までで、0歳児については所得制限がありませんが、1歳児から中学3年生までは親の所得制限がかけられています。所得制限は、2010年度以前の児童手当の基準を準用しており、具体的には次のようになっております。

 

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小児医療費助成制度 所得制限

ご覧のように扶養親族等の数が0人の場合、532万円。以下、このように定められております。一方、現在の児童手当の基準は、次のようになっております。

 

このように、現在の児童手当の基準の方がそれぞれのケースで、90万円ほど所得制限限度額より高くなっておりますが、本市ではこの基準を採用せず、2010年度以前の児童手当の基準を採用して、所得制限をかけております。より対象を絞ってきたということですね。

 

次に、小児医療費助成制度に係る経費負担の現状を見て参りますと、2021年度予算ベースでは、「中学3年まで(所得制限あり)」では、対象人口13,343人で市費負担額は4億2500万円となっております。

 

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小児医療費助成制度を拡充した場合の試算

では、この制度を拡充した場合、どうなるのか。担当する医療課の推計数値で、2021年3月31日付け人口をもとにしたものであります。

 

  • まず、対象年齢を現行のままの中学3年生までとし、所得制限を現行の児童手当の基準とすると、対象人口は934人増の14,277人。市の負担額は3000万円増の4億5,500万円となります。
  •  次に、対象年齢を現行のままの中学3年生までとし、所得制限を撤廃した場合は、対象人口は2,979人増の16322人。市負担額は8,900万円増の5億1400万円となります。
  • 次に、対象年齢を18歳まで延長し、所得制限をかけた場合は旧基準では、対象人口は2,389人増の15,732人。市負担額は4900万円増の4億7,400万円となります。
  • 次に、同じく対象年齢を18歳まで延長し、所得制限を現行児童手当の基準額に設定した場合は、対象人口は3,490人増の16,833人。市負担額は8200万円増の5億700万円となります。
  • 最後に、対象年齢を18歳まで延長し、所得制限を撤廃した場合は、対象人口は6,344人増の19,687人。市負担額は1億5800万円増の5億8300万円になるとのことであります。

 

そこで、市長にお聞きするものであります。私は安心して子どもを産み育てることができ、子どもたち一人ひとりが健やかに育つ環境づくりの一環として現行中学3年生まで、所得制限ありの本市の小児医療費助成制度の拡充が必要と考えますが、市長はどのようにお考えでしょうか。市長の見解を伺うものであります。

 

2)第5次座間市総合計画の策定について

 

次に、「市長の政治姿勢について」の2項目目として、第5次座間市総合計画の策定についてお聞きします。

 

総合計画とは、教科書的に言えば、「地方自治体が総合的かつ計画的な行政運営を行っていくための基本となる計で、どのような自治体を目指すのか、目指すべき都市像を定めたり、そのためにどのような施策を行っていくのか、あらかじめ定め、行政運営の指針とするもの」とでも定義されるものと言えるでしょう。

 

さて、本市では現在、2023年度~2028年度までの8年間を計画期間とする第5次座間市総合計画の策定作業が始まろうとしております。そこで、市長の政治姿勢を伺いたいのですが、この総合計画をどのような手法で、策定していくのか、ということであります。遠藤市長時代の第4次座間市総合計画の策定時では、市民協働の手法として、「まちづくりシンポジウム」「ざま子ども議会」「まちづくりフォーラム」「地域別懇談会」「市民討議会」「まちづくりのための市民アンケート」「総合計画審議会」などが行われました。これらの手法は、総合計画及び街づくりに対する関心を喚起し、様ざまな市民の意見を聴取するためには有効ではあると思います。

 

一方、佐藤市長は第5次座間市総合計画の策定について、「協働から一歩進めた、共に創るという共創という考え方に進化をさせ、住みやすい座間、働きやすい座間、学びやすい座間の実現に向けた政策を掲げて取り組む」といった旨の見解をすでに明らかにされておられます。

 

この「協働から一歩進めた、共に創るという共創」という考え方からすれば、今回の総合計画策定にあたっては、単に原案に対して広く市民意見を聴取するということにとどまらず、案の策定段階からの市民参加(ワークショップなど)を追求すべきではないかと考えますが、市長の見解を伺いたいと思います。

 

3)座間市パート―ナーシップ条例の制定について

 

次に、「市長の政治姿勢について」の3項目目として、座間市パートナーシップ条例の制定について、市長のお考えをお聞きしたいと思います。

 

ご承知のとおり、パートナーシップ制度とは、同性のカップルを「婚姻に準ずる関係」と公認し、お互いをパートナーと定義する制度で、法律上の婚姻関係ではありませんが、「婚姻に準ずる関係」として公的に認める制度であります。

 

LGBTQの支援団体である同性パートナーシップ・ネットによると現在、パートナーシップ制度を導入している地方自治体は大阪、茨城、群馬の3府県のほか、102区市町を数え、全国の人口カバー率は4割近くに上っております。神奈川県内では、横浜市横須賀市小田原市・逗子市・相模原市鎌倉市川崎市葉山町(制定年月日順)で同制度が導入されております。

 

制度上の根拠としては、全国で初めて制度を導入した東京都渋谷区は、「条例」を制定しておりますが、その他は地方自治体の内部的規範である「要綱」を根拠として制度を運用しているようであります。

 

性的少数者が差別されることなく、多様性と個人の尊厳を大切にする地域社会を形成していくためにも、本市においてもパートナーシップ条例の制定、あるいはパートナーシップ制度を導入すべきと考えますが、市長の見解を伺いたいと思います。

 

2.個人情報保護条例について

 

次に、一般質問の第二点目として、個人情報保護条例についてお聞きします。

 

本年5月12日、デジタル改革関連法と呼ばれる6法案が参議院本会議で採決され、自民・公明の与党のほか日本維新の会などの賛成多数で可決、成立しました。

 

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デジタル改革関連法

 

デジタル改革関連法は6つの法律を束ねたもので、

  • 「デジタル社会形成基本法」はデジタル改革に取り組む基本理念を定めるというもの。
  • 「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」は個人情報保護法など関連法を統合するほか、行政手続きで押印を廃止しデジタル化しやすくするため関係する多数の法律を改正するというもの。
  • 「公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律」と「預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律」は給付金支給などに活用できるようマイナンバーと預貯金口座をひも付けできるようにするというもの。
  • 自治体システム標準化法」は2025年度の目標期限を想定し、地方自治体のシステム標準化と政府クラウドへ移行するというもの。

で、あります。どれも、ツッコミどころが満載の法律なのですが、今回は地方自治体の個人情報保護行政に大きな影響を与える可能性のある「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」の中にある個人情報保護法の改正について、取り上げてみたいと思います。

 

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デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律

「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」は、63の関連法の一括改正となっておりますが、この中で「個人情報保護制度の見直し」として、個人情報保護法行政機関個人情報保護法独立行政法人個人情報保護法の3本の法律を一本にまとめ、さらにこれまでは適用されてこなかった地方自治体も対象とするという内容になっております。

 

ご承知の方も多いかもしれませんが、個人情報保護やここでは取り上げませんが情報公開に係る制度上の整備は、地方自治体が先行し条例制定が進んだ中、後から国が法整備を行うという経過をたどってきました。故に、これまで個人情報に係る三つの法律については、地方自治体は対象ではなく、独自に条例によって規定してきたわけであります。

 

ところが今回の法改正により、各地方自治体の個人情報保護条例が、国の法律に一元化されることにより、個人情報保護に関する規制内容について齟齬が生じてきます。はっきり言えば、国の法律に一元化されることにより、地方自治体の個人情報保護の「規制緩和」が行われるのではないか、という懸念が生じてくるわけであります。今回私が提示いたしましたのは、大きく4点です。

 

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地方自治体の個人情報保護条例が、国の法律に一元化

 

こうした点を本市の個人情報保護条例(以後、市条例と呼びますが)、比較してみたいと思います。

 

まず、市条例第7条(取り扱いの制限)では「実施機関は、要配慮個人情報のうち、次に掲げる事項に関する取扱ってはならない」として「人種、信条、社会的身分、犯罪の経歴」を列挙しております。一方、これまでの行政機関個人情報保護法では、要配慮個人情報は定義をしているものの、収集にあたっての制限は特に設けていません。改正個人情報保護法は、行政機関個人情報保護法の規定にあわせているので、地方自治体はセンシティブ情報(要配慮個人情報)について、原則収集禁止ではなくなることになります。

 

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要配慮個人情報の収集禁止

 

次に、市条例第9条第2項(収集の制限)では、「実施機関は、個人情報を収集するときは、本人から収集しなければならない」とし、「ただし」として、非該当事例を限定的に列挙しております。一方、これまでの行政機関個人情報保護法は本人収集の原則がなく、収集方法に制約がありません。これも、地方自治体に適用されることとなります。

 

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直接収集の原則

 

次に、座間市個人情報保護審査会についてであります。先に述べました市条例第7条(取り扱いの制限)や第9条(収集の制限)をはじめ、本市の条例の中には、「審査会の意見を聞かなければならない」と定められた条文が多数あります。文書法制課に調べてもらったところ、条例上7つ、施行規則上2つ審査会の意見を聴くことが定められているとのことであります。しかし、改正個人情報保護法は第129条で「個人情報の適正な取り扱いを確保するため専門的な知見に基づく意見を聞くことが特に必要であると認めるときは、審議会その他の合議制機関に諮問することができる」と定めておりますが、これまでのように本人からの直接収集しない場合や、センシティブ情報を収集する場合、あるいは目的外での利用・外部提供など制限を例外的に行う場合など、個別事案の判断に際しての諮問が義務付けられておりませんので、審議会の審議内容が大幅に変わる可能性があります。

 

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個人情報保護審査会

次に、こうしたこと以外にも、開示請求などに対する決定期限(市条例15日以内、法30以内)、訂正請求・利用停止請求が自己情報の開示請求を行ったものに限定されること、開示請求に際して手数料が徴収されること、議会には適用されないこと、等々数多くの違いが生じてくることとなります。

 

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その他の違い

以上、改正個人情報保護法座間市個人情報保護条例との違いを述べて参りましたが、私は、今回の法改正は地方自治体の個人情報保護の極めて原則的な規定を緩和する内容であると、考える次第です。そこでお聞きするものでありますが、本市では、改正個人情報保護法地方自治体へも適用されることとなったことを受け、本市の個人情報保護条例はどうするのでしょうか。条例を廃止するのか、法に合わせて条例を改正するのか。現行の規定を維持するのか。市当局の認識と見解を伺いたいと思います。

 

3.新型コロナウィルスワクチンについて

 次に、一般質問の第3点目として、新型コロナウィルスワクチンについて、お聞きします。

 

65歳以上の方々への新型コロナウィルスワクチン接種の申し込みが開始されてから、議員の皆様におかれましても、市民の皆さんから多数のお問い合わせや苦情などを聞かれていることと思います。私の方にも、ほんとうに多くの声が寄せられました。

 

そこで、今回の質問では、この新型コロナウィルスワクチン接種に係る一連のことについて、改めて市当局の説明を求めるものであります。なお、説明にあたっては、以下の項目を交えて説明いただけるよう、お願い致します。

  • 65歳以上の方の数(接種券の発送数)、4月下旬段階(首相記者会見後)の本市の7月末までの集団接種、個別接種、施設接種の見込み数。5月28日発表の追加分の見込み数。
  • これまでの医師会との協議経過と現状。
  • 集団接種におけるlineによる申し込み数と電話による申し込み数。
  • 「電話がつながらない」問題=高齢者に多いデジタルデバイド情報格差)に関する対応の総括 

 

次に、今回のワクチン接種申し込みに係る「混乱」の一つには、4月23日菅首相会見において唐突に「65歳以上の7月末接種完了」が打ち出され、「完了困難」と回答した地方自治体に対して、なりふりかまわぬ「電話攻勢」がかけられたと、報じられております。報道では、ワクチンの所管省庁ではない総務省地方交付税課や地元国会議員からの「電話」による「要請」があったとされていますが、本市ではどうだったのでしょうか、もし、あったとすれば市長または当局はどのような対応・回答をされたのか、この際ですので、お聞きするものであります。

 

以上、6項目にわたって質問致しました。明快な答弁を求め、一旦降壇いたします。