2009年第1回定例会 2008年度補正予算質疑(定額給付金事務経費)

今補正は、国の第二次補正予算に盛り込まれた定額給付金の支給について、その事務経費を補正するものでありますが、ご承知のとおりこの定額給付金について、国民の賛否はいろいろあるようですが、私の知る限り、各種の世論調査では、おしなべて「反対」が70%〜80%。賛成は、麻生首相の支持率よりは少しばかり高いようですが、概ね国民の声は「反対」というのが世論のようであります。こんなにも国民から不評を買っている施策をなぜ政府並びに自・公連立与党はごり押しするのか、理解に苦しむところですが、今回の座間市一般会計補正予算(第5号)で、事務経費だけを先行して、議案提出された当局の姿勢についても、同様に理解に苦しむところであります。

 ご承知のとおり、定額給付金の支給を盛り込んだ国の第2次補正予算は、すでに国会で成立しております。しかし、その財源の支出を定めた関連法案は、未だ国会で審議中であり、現状では財源の根拠は何もないわけです。私は、財政民主主義、総計予算主義という財政の基本中の基本からして、理解不能、尋常ならざる議案提出と思いますが、まずは、なぜこの時期に議案提出に踏み切ったのか、市長の見解を求めるものであります。

 次に、定額給付金の政策目的についてお聞きします。この定額給付金の目的では、当初麻生首相は、「生活支援のため」と言われていたように記憶しております。ですから、昨年秋、与謝野経済財政政策担当大臣、兼財務大臣、兼金融担当大臣から「生活支援なら所得制限が必要」という極めてまっとうな指摘をされると麻生首相は、「所得制限の設定」を公言し、所得制限は「年間所得1800万円以下の人々」とした上で、「高額所得者がもらうのは、さもしい」とまで発言されておりますが、その所得制限を設けるかどうかは「市町村にまかせる」と丸投げしました。ところが、今年に入ってからは、「高額所得者ももらって、消費喚起のために使ってほしい」と見解が一変し、今度は「景気対策」が主目的かのように喧伝されております。

 一方、遠藤市長は、昨年の議会で、この定額給付金について「景気対策としての効果はさほどないのではないか」「生活支援という点からは一定の効果はあるだろう」という趣旨の答弁をされております。そこで、市長に再びお聞きするものですが、定額給付金の政策目的について、現状ではどのようにお考えなのかお聞きするものであります。また、仮に定額給付金関連法案が成立し、支給手続きが開始される場合、本市においては所得制限を設定するのかどうか、お考えをお聞きするものであります。

 次に、この事務の性格についてお聞きします。現行地方自治法では、国・都道府県・市町村はあくまでも対等な関係であると定められており、国の都道府県及び市町村に対する関与、または都道府県の市町村に対する関与についてはできるだけ排除をされていることはご承知のとおりであります。地方自治法上、市町村の事務は自治事務法定受託事務の二つ。

 自治事務地方自治法第2条8項で、「『自治事務』とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいう。」と規定されております。

 一方、法定受託事務地方自治法第2条9項で「この法律において『法定受託事務』とは、次に掲げる事務をいう。 (1) 法律又はこれに基づく政令により都道府県、市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下『第1号法定受託事務』という。)(2) 法律又はこれに基づく政令により市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、都道府県が本来果たすべき役割に係るものであつて、都道府県においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下『第2号法定受託事務』という。)と規定されております。

 今回の定額給付金支給事業は、国が事業規模、基準等すべてにわたって自ら決定し、市町村にその事務を行わせようとするものですから、素直に考えるならば、法定受託事務の「第1号法定受託事務」、すなわち「国が本来果たすべき役割に係るものであって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれにもとづく政令に特に定めるもの」であるはずですが、この定額給付金支給事務の性格は、法定受託事務なのか、それとも、地方公共団体地方自治の本旨に基づいて自らの判断と責任で行う自治事務なのか、お示しいただきたいと思います。

 次に、定額給付金事務経費の執行について、具体的な点で何点か質疑してまいります。残念ながら、先日の議会運営委員会において委員会付託が省略されてしまいましたので、若干細部にわたる質疑になろうかと思いますが、ご容赦ください。

 総務省が示した定額給付金給付事業の概要によれば、給付対象者は、基準日(2009年2月1日)において、住民基本台帳に記録されている者、外国人登録原票に登録されている者として、申請者・受給者は給付対象者の属する世帯主(外国人については各給付対象者)となっております。

 申請及び給付の方法については、1)郵送申請方式 2)窓口申請方式 3)窓口現金受領方式として、原則として1)の郵送申請方式と2)の窓口申請方式の組み合わせとして実施し、3)の窓口現金受領方式については、1)及び2)によりがたい場合とされております。

 そこでまずお聞きしたいのは、すでに総務大臣もその対応について配慮する意向を示しておりますが、本来最も生活支援が必要なホームレスの人やDV被害者の人など住民登録をされていないことが想定される人々が受給対象者となり得るのかという点です。基準日が本年2月1日ですから、すでに基準日は過ぎております。特例措置や経過措置を講じるならば、どのような内容なのか、あるいはどのように周知するのか、お示しいただきたいと思います。

 次に、給付対象者への申請書類の送付についてですが、総務省定額給付金室が本年2月10日付けで示した「定額給付金給付事業Q&A(その4)」では、1)市町村から送付した定額給付金申請書に 2)世帯主の氏名、住所、電話、印鑑を押し(署名の場合は印鑑は不要としている) 3)その申請書に定額給付金受け取り口座を書き 4)その銀行受け取り口座のコピー 5)本人確認のための書類のコピー 以上の添付を原則形で要求しております。ただし、水道料、税等の引き落とし又は払い込みに現に使用している口座であって、申請・受給者の名義である場合は通帳のコピーを添付する必要がないことになっております。その代わり、その場合は「申請・受給者の口座の確認について、水道局、税部局等に照会を行うことを承諾します」とあります。

 つまり、この場合、市の定額給付金担当課は、一人一人、受け取り口座が水道料や税の支払いのために使われているかどうか確認をしなければならなくなり、大変面倒な仕事が増えることになります。担当課が違いますから、基本的には個人情報のオンライン結合は禁止、故に個人情報保護審査会へ諮る必要がありますし、確認作業、そのものが大変な負担となり、確実性を要求すればするほど、迅速性に欠け、経費がかかるというジレンマに陥ることになります。

 そこでお聞きするものですが、本市の場合、定額給付金受け取り口座のコピーを省略する方式をとるのかどうか?取る場合は、個人情報の取り扱いについて審査会へ諮るのか?また、この確認作業について、どのように見通しているのか?予想事務処理量、人員について、お示しいただきたいと思います。

 次に、申請者の銀行受け取り口座についてですが、指定された銀行口座が世帯主の氏名でない場合は、どうするかという点です。総務省は、定額給付金の法的性格について、「法律関係は、民法上の贈与契約である」という見解を示しております。贈与契約である以上、「契約自由」の原則で、世帯主が、自己名義以外の口座に送金要請があっても、有効のはずです。この場合の想定としては、世帯主の口座が差し押さえられている場合や送金されると銀行債務と相殺される場合が考えられますが、総務省のQ&Aでは、「指定の金融機関口座は、申請・受給者の名義に限る」と限定されております。本市では、申請者が自己名義以外の口座への送金要請をした場合、どう対応するのか、その所見を求めるものであります。

 次に、申請書の郵送方法についてです。定額給付金について、すでに懸念されているのが、オレオレ詐欺、成りすまし等による搾取などの犯罪行為です。悪い意味で想定されるのは、市から申請書が送付される時期における郵便物の抜き取りによる成りすまし申請。それを最大限排除するためには、申請書の郵送を簡易書留にすることが考えられますが、今回の事務経費では、普通郵便、簡易書留、どちらの方法で予算計上されているのでしょうか。明らかにしていただきたいと思います。また、普通郵便の場合、本人外の抜き取り等についてはどのように対処するのか、明らかにしていただきたいと思います。



 次に、申請行為を自らできないことが考えられる方についてお聞きします。想定されるのは、高齢者や障がい者などの方で、施設入所、病院に入院されている方々です。代理人申請は認められるのか、認められる場合は、定額給付金申請書に代理請求の書式要件がそろっていること、委任状の持参などが考えられますが、どのような手続きになるのでしょうか?お聞きするものであります。

 以上、若干細部にわたっての質疑になりましたが、委員会付託されなかった以上、事務経費支出の妥当性を検証する上でも、各々具体的かつ明確にお示しいただきたいと思います。