2009年第1回定例会 2008年度補正予算修正案提案説明

 それではただ今から、平成20年度座間市一般会計補正予算(第6号)の修正案について、提案者を代表して提案説明を行います。
 本修正案は、第1条第1項中の補正額「3億743万円」を「2億9243万円」に、予算総額「315億2218万6千円」を「315億718万6千円」に修正するものであります。さらに同条第2項第1表の歳入、款:県支出金、項:県補助金の補正額をマイナス248万5千円、県支出金合計を5億399万7千円とし、歳入全体の補正額を2億9243万円、歳入予算を315億718万6千円とするものであります。歳出では款:民生費、項:社会福祉費の補正額を5675万8千円とし、歳出全体の補正額を2億9243万円、歳出予算を315億718万6千円とするものであります。

 本修正案は、地域介護・福祉空間整備等施設整備事業費として市内の小規模多機能居宅介護事業所「ふれんどりぃの郷」へ、1500万円の補助金支出が行われようするものを、現時点においては凍結することを目的とするものであります。
 今回補助金支出が行われようとしている「ふれんどりぃの郷」の事業主体は有限会社ふれんどりぃでありますが、同社がすでに2006年9月に開所している小規模多機能居宅介護事業所「ふれんどりぃの家」において、職員の給与等の未払いやケアマネージャーが不在であるにもかかわらず介護報酬を請求し受け取っていたことなど、労働基準法上及び介護保険法上の法令違反が明らかになっておりますが、現時点ではその全容が解明されているとは言いがたい状況であります。
 具体的には、当局も認めているように、有限会社ふれんどりぃが運営する「ふれんどりぃの家」では、少なくとも2008年1月、2月、3月、4月、8月、9月とケアマネージャーが不在であるにもかかわらず介護報酬を受け取っております。当局は、「人員基準欠如による減算」として30%の減算、すなわち返戻を求める意向のようでありますが、問題はこのケアマネージャー不在がやむ得ない事情、あるいは突発的な事情による欠員であったのか、それとも組織的かつ意図的な人員基準欠如、すなわち介護報酬の搾取なのかという点であります。
 当局が教育福祉常任委員会に提出した「小規模多機能型居宅介護事業所の経過について」という文書では、「雇用契約もあり実際、平成19年11月、12月も勤務したことがあり、1月から入院となり4月まで入退院を繰り返し、平成20年5月から7月は勤務実態があり、本人も働く意欲があったと思われるので、事業者が意図的に行ったものとは考えていないため、上記の減算処理を行った」という見解が示されております。
 お手元に配布されております資料をご覧いただきたいと思いますが、当該の元ケアマネージャーの方は、「雇用契約書に署名・押印したことはなく、雇用契約書をもらってもいない。特に印鑑は下が長い『吉』は使用しない」。また「11月1日段階では、筒井代表とは会ったこともない」「11月中旬に初めてお会いし、12月からのパート勤務を約束。別の日に介護ベットの搬入に立ち会って欲しいといわれ立ち会った」と主張しております。こうしたことは、本年1月21日に当局がY氏から事情聴取をした際に聞かされていたにもかかわらず、一切この経過文書では示されておりません。
 この「雇用契約書」なるものは、昨年12月24日に市と県厚木保健福祉事務所が「ふれんどりぃの家」に対する実地指導の際に弁明書の提出を求め、弁明書と共に提出されたものですが、Y氏の主張が事実だとすれば私文書の偽造、実地指導に対する虚偽報告であり、極めて悪質な行為ということになります。そもそも、「11月中旬に初めて会ったにもかかわらずなぜ11月1日からの雇用契約書があるのか」。事業者側は、「雇用契約書は本人には渡していない」と主張しているようですが、「本来雇用主が従業員に対して労働条件等を明示するために交付される雇用契約書を、渡さないということがあり得るのか」等々、極めて不自然なものであります。
 また、Y氏がケアマネージャーとして「登録」された2007年11月の勤務についても、事業者側は「中旬に1回、福祉用具のカンファレンスで出勤した。よってこの月は介護支援専門員は存在している」と主張しておりますが、これをもってケアマネージャー不在ではないという主張は、ケアプラン作成という本来の業務を行っていないということを自ら明らかにしているようなものでありますし、この1日を持って11月期のケアマネ報酬を受け取るのは搾取としか言いようがありません。ちなみにこの11月1回の「出勤」とされていますが、給与は支払われておらず、A氏本人も「勤務というより、頼まれたので立ち会ったというものでしかない」と主張しております。このように疑問点が多くY氏の主張の方が極めて蓋然性が高いにもかかわらず、一方的に事業者側の主張を取り上げ、「意図的ではなかった」と判断している当局の姿勢は納得がいくものではありません。
 この他にも、資料の3Pに列記したように、人員基準違反の可能性や管理者要件の満たしていなかったこと、さらに管理者要件を満たしていないにもかかわらず市が管理者変更届けを受理していたことなど法令上の問題で究明すべきことが、山積みとなっております。
 また、今回当局は、3月13日の教育福祉常任委員会において、今回の補助金支出の対象となっている小規模多機能型居宅介護事業所「ふれんどりぃの郷」に対して、補助金交付要件を満たしているかどうか実地指導を行うとして、3月18日実地指導、3月23日の教育福祉常任委員会協議会において、その報告が行われました。
 市側は、実地指導の結果について「概ね適切な処理」と結論付けていますが、はからずもこの事業所においても明らかな人員基準違反が明らかになっております。
 市の報告書によると、1.人員に関する基準 1-3.介護支援専門員について「平成20年5月27日に介護支援専門員資格を有し、厚生労働大臣の定める研修のうち、認知症介護実践者研修を平成21年2月19日に修了し、小規模多機能型サービス等計画作成担当研修を、今後、受講するよう指導した」とあります。
 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(厚生労働省令第34号)では、小規模居宅介護事業所の介護支援専門員は、厚生労働大臣が定める研修を修了していなければならないという規定があります。しかしながら「ふれんどりぃの郷」の介護支援専門員は、昨年10月1日の開所以降、現在に至っても修了しておらず、明らかに人員基準違反にあたります。
 また同基準では、介護支援専門員の基準未満配置について「計画作成を行う介護支援専門員が必要な研修を修了していない場合は、基準を満たさなくなった翌々月から基準未満の配置が解消されるに至った月まで利用者等の全員について70/100に減算すること」とありますので、本来ならこれが適用されることになるはずですが、当局の実地指導では、「今後受講するよう指導した」とあるだけで、基準違反に対する認識も、減算措置に関することも一切触れられておりません。そもそも、市が申請を受けて指定決定を行う際に、この事実を承知していたのでしょうか。承知しながら指定決定を行っていたとすれば、市の指定事務に瑕疵があったということにとどまらず、事業所指定という行政処分の有効性すら問われることになります。
 また、同基準第85条第1項で設置が義務付けられている「運営推進会議」についても、「運営推進会議は早急に委員を選任し開催するよう指示した」とありますが、2006年3月31日付けの厚生労働省通知では、「この運営推進会議は、事業所の指定申請時には、すでに設置されているか、確実な設置が見込まれることが必要となるものである」と示されており、2ヶ月に1回以上の開催が義務付けられているにもかかわらず、すでに開所から5ヶ月が経過しようとしている中で、委員の選任すら行われていない事態は、指定基準違反といわざるを得ません。
 こうしたことも含めて、「ふれんどりぃの郷」に係る市の指定手続きの問題は深刻であります。
 先の一般質問でも指摘をしましたが、有限会社ふれんどりぃの代表者が市へ指定地域密着型サービス事業所の指定申請書を提出したのは、開所後の10月14日であるにもかかわらず担当職員は、申請日の日付を10月1日に改ざんしております。さらに座間市長名で指定通知書を交付したのは、10月31日であるにもかかわらず、指定通知書に記載されている指定年月日は、10月1日、つまり遡及して指定通知書を交付していることになります。
 介護保険法に基づく地域密着型サービス事業者の指定は、行政の公権力の行使、すなわち行政処分に当たります。その指定にあたって、申請書の日付を改ざんし、さらに指定決定日から約1ヵ月前を指定年月日した当局の指定手続きには瑕疵があり、その有効性も疑われるものであります。
 以上、小規模多機能型居宅介護事業所「ふれんどりぃの家」「ふれんどりぃの郷」における介護保険法上の基準違反と指定権者である座間市の指定事務のずさんさについて明らかにしてまいりましたが、こうした状況の中で、補助金=税金の支出を認めることはできません。これが我々が修正案を提出した最大の理由であります。
 去る3月23日、有限会社ふれんどりぃスタッフ一同並びに家族会一同名での要望書が議長宛に提出され、私も拝見いたしました。スタッフのみなさんが自らの職場と介護に対して熱い情熱をお持ちであること、また家族の方々が、事業所に対して大きな信頼をされていることがわかりました。
 しかし、そうした熱い情熱と信頼の一方で、その事業所に数々の法令違反や基準違反が見受けられるのは、残念でなりません。また、そうした事業所に対し、厳正かつ的確に指導すべき座間市の事務執行に数々の瑕疵があることもまた残念でなりません。だからこそ、まずは法令違反、規準違反の現実に向き合い、監査を行い、問題の所在、責任を明らかにすべきだと思います。そのことを抜きにした補助金執行は、納税者、そして介護保険料を納めている市民への説明責任を果たすことになりません。我々は、事業所側も市側も適正化をはかり、その上で補助金を支出することに何の異論もありません。最後にそのことを申し添えておきます。
 議員の皆様方におかれましては、よろしくご審議いただき、修正案にご賛同いただきますよう、お願い申し上げまして、提案説明を終わります。