1.はじめに
本市議会では、2008年9月改選前の議会運営委員会において、「予算・決算特別委員会」の設置についての提案がされていたが、去る10月30日の同委員会において、以下の3点が確認された。
①予算・決算審査のあり方について検討する。
②予算・決算審査にとどまらず、議会改革について、広く議論する。
③議会運営委員会において、議会閉会中の継続審議を精力的に行い、一定の結論を導き出す。
この確認に基づいて当会派で検討を重ねた結果、以下のような結論に達したものであるので、報告し、提案とする。
2.予算・決算審査のあり方について
1)「予算・決算特別委員会の設置」の提案について
・提案の趣旨は、「本市議会では、予算・決算審査において各常任委員会に分割付託をしているが、『議案一体の原則』からして、予算・決算は不可分であって分割審査すべきではない」というものからと思われる。
・確かに行政実例(1953年地方自治庁行政課長回答、1954年自治庁行政課長回答)では、「分割付託すべきものではない」とされているようである。しかし、行政実例とは、法令の適用にあたって、その法令を所管する機関が示す『解釈』であって法令そのものではなく、その解釈は司法の判断を拘束する力を一切持たないものである。一方、この問題について、判例等の司法判断の存在については、我々は承知していない。
・よって、行政実例を基にして直ちに「違法である」と判断することは、適切ではないと考える。
・しかし、だからと言って、上記の見解を持って「予算・決算特別委員会の設置」の議論を排除すべきこととは考えていない。我々のこの問題に対する着眼点は、単に「違法性の問題」ではなく、二元代表制のもとで議会機能の強化にとって、より有効な審査方法とは如何なるものか、という点である。そのためには、まずは、現状の審査方法(分割付託)について総括し、その有効性及びその課題を明確にすることから始めなければならないと考える。
2)(現状の)分割付託方式の総括
<有効性>
・予算・決算審査にあたっての全員参加。
*地方自治体の事務事業は、全て予算・決算に反映されている。故に予算・決算審査は、議会の最も重要な機能であり、議員全員の参加は不可欠だと考える。
*予算・決算特別委員会を設置する場合は、「予算の一体性」からして、補正予算も当然特別委に付託されるべきであり、そうなると常任委員会の審査案件は、主に条例審査だけとなり、常任委員会の機能低下が予想される。
・詳細審査が可能。
*事項別明細書頁毎の審査方法は、本市の財務会計システムが事業別予算となっている事とあいまって、適切な事務事業評価を可能としている。
<課題>
・総合的・一体的な審査・政策議論の面での弱さ。
*「詳細審査」の裏返しであるが、頁毎の審査によって「歳入と歳出の分離」「一般会計と特別会計の分離」や各政策分野が所管事務に分断されることにより、一体的な政策議論が低調となっている感がある。
3)我々の提案
現状の分割付託方式を総括し、その有効性と課題の検討から、以下のような方式を提案するものである。
①予算決算常任委員会の設置
・2006年6月の地方自治法の一部改正により、これまで「議員は、それぞれ一箇の常任委員会となるもの」とするとされていたものが、「議員は、少なくとも一の常任委員になるもの」となり所属制限が廃止され、議員の常任委員会への複数所属が可能となった。
・よって、座間市議会委員会条例の一部を改正し、予算決算常任委員会を設置し、従来の行政部門別の常任委員会との複数所属とする。
②予算決算常任委員会の所管事項、任期、定数
・新しく設置する予算決算常任委員会は、所管事項を「予算及びこれに関すること」「決算及びこれに関すること」とし、委員任期は4年、定数を全議員24人とする。
③予算決算常任委員会の審査方法
・詳細審査を行うため、当委員会に分科会を置き、付託された議案等について、それぞれの所管に関する部分を審査・調査を行う。
・分科会の数は、4とし、所管する部及び行政委員会は、行政部門別常任委員会と同一とする。
・分科会には、委員長、副委員長をおき、行政部門別常任委員会の委員長、副委員長を充てる。
④本会議総括質疑の廃止、代表質問制の導入
・予算決算常任委員会の設置に伴い、従来の本会議総括質疑を廃止し、代表質問制を導入する。
・代表質問は、予算審議を行う3月定例会、決算審議を行う9月定例会(または11月臨時会)とし、会派代表が行う。(無会派代表も含む)
・6月定例会、12月定例会については、代表質問なし、本会議議案質疑とする。
*本会議、予算決算常任委員会、分科会の議事の流れは、
本会議 ― 施政方針演説及び提案説明→代表質問→委員会付託)
委員会 − (提案説明省略)総括質疑→分科会付託
分科会 − 提案説明→詳細審査
委員会 − 分科会委員長報告→(締めくくり総括質疑、討論)→採決
本会議 − 常任委員会委員長報告→討論→採決
⑤提案の趣旨
・上記のような予算決算常任委員会、分科会の設置によって、予算決算審査における全員参加、詳細審査は担保することができる。
・また、予算決算常任委員会審査では、これまでの行政部門別分割付託方式での課題であった総合的・一体的な審査が可能となり、政策議論の活性化につながる。
・さらに、懸念されている「分割付託の違法性」の可能性についても、解消することができる。
・当初予算、決算審議のない6月定例会、12月定例会については、補正予算審議が予算決算常任委員会に付託されることになるが、補正予算がない場合は、6月であれば、財団、公社等の決算に関する詳細調査。12月であれば、次年度予算編成の進捗状況の調査などが考えられ、議会の機能強化を図ることができる。
3.本会議の議事運営について
①質問回数制限の撤廃について
・議論をわかりやすくするために、現行3回までの質問回数の制限を撤廃する。
②休日議会の開催
・より多くの市民の傍聴を促すために、日曜、祝日に本会議を開催する。
・例えば、開会日、閉会日を日曜にする。また一般質問2日目を日曜日とするなど。
4.議長・副議長の任期について
・慣例による1年交代を改め、地方自治法に規定どおり4年とする。
5.代表者会議、全員協議会の明文化
・現行、任意的会議である代表者会議、全員協議会について、会議規則に明記する。
・代表者会議については、緊急時の報告等に限定し、全員協議会は、定例会開催月を除き月1回定期的に開催し、市政に関する報告を受ける。(市長の定例記者会見前が適当)
6.委員会議事録の作成
7.議案配布の早期化
・現行、開会日7日前の配布を、当初予算、決算議案については、少なくとも10日前に早める。
以上。