取調べの全面的可視化を求める意見書

取調べの全面可視化を求める意見書

 わが国の刑事司法制度においては、捜査段階における被疑者の取調べは、弁護士の立会いを排除し、外部からの連絡を遮断された密室で行われている。そのため、これまで違法・不当な取調べが繰り返され、自白調書の作成過程を検証できない自白によって、残念ながら多くの冤罪が生み出されてきた。
 最近でも、無実の者が自白の強要により有罪判決を受け、刑に服していたことが明らかになった富山事件、6人もの人々が違法・不当な取調べに耐えかねて虚偽の自白をしていたことが無罪判決で認定された鹿児島・志布志事件、自白の強要で有罪判決を受け服役中であったが、DNA再鑑定により無実が明らかとなり釈放された足利事件と、密室での取調べに依存したわが国の刑事手続きにおいて自白の任意性、信用性が確保できていないことは明らかである。
 国際的にも、密室取調べの弊害に対する反省から、今や欧米諸国のみならず韓国、台湾などアジアの国においても、取調べの可視化が実施されている。さらに、本年から実施される裁判員制度では、市民にわかりやすい審理が求められている。取調べの全過程の録画が認められれば、取調べの様子を事後に検証することが容易になり、裁判員も判断しやすくなり、冤罪事件を防ぐことにもつながる。
 よって本市議会は、裁判員制度の実施にあたって、速やかに、取調べの全過程を録画・録音する取調べの可視化に関する立法措置を講じるよう求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

内閣総理大臣
総務大臣
法務大臣
衆議院議長   あて
参議院議長