2009年7月臨時会 質疑要旨

 今回の補正予算は、国の補正予算の成立に伴って、本市においても補正予算措置が講じられるものであります。 ご承知のとおり、今回の国の補正予算は「経済危機対策」と称され、総額は約14兆円。これによって、当初予算と補正予算を合計した補正後予算は、総額102兆円を超え、史上最大の財政支出となり、麻生首相はこの補正予算によって「2009年度の実質国内総生産を1.9%程度押し上げる」とし、「雇用対策、健康長寿・子育てや、未来への投資して低炭素革命に積極的に取り組む」と述べられております。

 最近ネット上の自民党のコマーシャルで「私たちがしたいのは、実行。論より実行、自民党」というのがありますが、麻生首相としてはこうした史上最大規模規模の景気対策を実行したと胸を張って総選挙にのぞんでおられることでしょう。

 確かに、経済が危機的状況の中で、国が財政支出を拡大して需要を喚起し、景気回復策をとることは、政策手段としては極めてオーソドックスなやり方ですし、理解もできます。しかし問題は、そのなかみ。総額14兆円もの財政支出が、景気回復の即効性においても、あるいは将来の日本の改革につながるような施策として展開されるのかどうかということです。

 今回の国の補正予算には、次のような特徴があると思います。
1)多くの事業が一時的・臨時的なものであり、恒久的な制度改革を伴うものではない

2)財源は、そのほとんどが赤字国債=借金で賄われている。ムダな事業や非効率な制度にメスが入れられず、逆にそれを温存するかのように多くの天下り法人に税金=公的資金流入していること。

3)財政規律上の問題のある予算であること。
46の基金に4兆7千億円が計上され、その内30基金3兆5千億円は新規に創設されたもので、その資金の流入先の多くが独立行政法人など天下り団体。つまり、基金として予算を計上しておけば、数年間は予算を使い続けることができる。(財政法第14条「歳入歳出は、すべて、これを予算に編入しなければならない。」財政法第29条の補正予算の原則「特に緊要となった経費の支出」にはあたらない。)

4)効果が疑問視されるものが多々ある。
*子育て応援手当て(1人 年間3万6千円、1年間のみ)
*「低炭素革命」と称して、ほぼ全てのガソリン車が対象となった自動車減税、補助
*何をするのか、さっぱりわからない「アニメの殿堂」などなど。

 総じて、景気に対する即効性も乏しく、将来に向けての改革も、天下り・利権構造を温存したもの。結局残るのは、選挙のためのバラマキ補正予算としか言いようがありませんが、市長は、この総額14兆円にのぼる国の補正予算について、どのように評価をしているのでしょうか。まず、その所見をお聞きいたします。


 次に、議案第49号の座間市一般会計補正予算について具体的にお聞きして参ります。

 今回の補正予算の規模は、5181万9000円。歳入の内訳は、全て国の補助金で「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」が1260万5000円。「女性特有のがん検診推進事業補助金」が3921万4000円となっており、歳出は、新型インフルエンザ対策として感染症予防事業費・救急活動事業費とがん検診事業費となっております。

 一方、今回新型インフルエンザ対策関係経費に充当された「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」の本市への配分額は、総額2億8682万5000円。今回の補正で措置されたのは1260万5000円ですから、率にしてわずか4.4%の事業化、残額は2億7422万が事業化されていないことになります。

また、今補正では予算措置されておりませんが、「緊急雇用促進事業臨時特例基金市町村補助金」は、国の2009年度補正予算によって配分額が追加され、合計1億4900万円になっております。これについては、6月定例会の補正予算で、収納向上対策事業、図書館フロアワーク事業が事業化されておりますが、その額は、412万4000円。これも率にしてわずか2.8%の事業化、残額は1億4487万6000円が事業化されておりません。

 さらに、2008年度の国の第1次補正で措置された「ふるさと雇用再生特別基金市町村補助金」にいたっては、配分額5900万円に対し、今補正でも全く事業化されず、実績0が続いております。

 そこで、お聞きするものですが、「地域活性化・経済危機対策」にしても、「緊急雇用」にしても、「ふるさと雇用」にしても、各々の交付金補助金の本来の趣旨からすれば、現下の経済情勢、雇用情勢において、速やかな対応が求められるものでしょうが、なぜ事業化が行われていないのか、その原因について、さらに今後の対応について説明を求めるものであります。


 次に、「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」と「緊急雇用促進事業臨時特例交付金」「ふるさと雇用再生特別基金市町村補助金」の本市における事業選定にあたっての選定基準についてお聞きします。

 この三つの交付金補助金の本市への配分額の総額は、4億9482万5000円となります。確かに一般会計予算額が約300億円強の本市にとって、約5億円の歳入は魅力的なものではありますが、しかし、これらは使途が制限されない一般財源ではありません。様々な交付条件が付けられ、しかも単年度あるいは3ヵ年という期間限定のものであり、いわば、まさにカンフル剤であります。

 つまり、カンフル剤であるがために、常用することはできません。一時的・臨時的なものとならざるを得ません。故に事業選定にあたっては、新規事業を立ち上げる場合、恒久的な事業展開を考えるならば、補助金交付金の期限後は、市の単独事業として行う覚悟と財政的見通しが必要になってきます。一方、臨時的・一時的な支出として、事業選定をする場合は、とにかく交付金補助金の交付要件を満たすものであれば、どんなことでもかき集めてという感覚で、必要性・効果性の検証がおざなりになることが懸念されます。

 そこで、お聞きするものですが、総額約5億円にのぼる国の臨時的な補助金交付金について、本市の基本的なポリシーは、確立されているのかどうか?事業選定にあたっての明確な基準は設定されているのかどうか?具体的に明らかにしていただきたいと思います。


 次に、がん検診推進事業費の増額補正について、お聞きして参ります。今回の補正は、「女性特有のがん検診推進事業補助金」という形で国の補助金を100%充当し、特定年齢に達した女性に対して、子宮頸がん、乳がんに関する検診手帳と検診費用が無料となるがん検診無料クーポン券を送付し、受診促進とその啓発を図るとされております。

 本市においても、受診率は2008年度子宮頸がん3.9%、乳がん3%という低い率になっておりますから、こうした施策を実施することは必要なことでしょう。しかし、問題は、これもまたそうですが、現状では国の全額補助は2009年度の単年度のみになっていることです。

ご承知のとおり、「特定年齢に達した女性」ということで、子宮頸がんの場合は、20歳、25歳、30歳、35歳、40歳。乳がんの場合は、40歳、45歳、50歳、55歳、60歳に限定されており、その他の方々は、自己負担が発生することになります。このクーポン券の配布による特定年齢の受診の無料化が制度として、つまり今後も継続して実施されるならば、不平等感は解消されるでしょうが、もし国庫補助100%が今年度のみで、来年度からはなくなるとすれば、今年度当該年齢の方々だけの受益となってしまいます。

 そこでお聞きするものですが、全額国庫補助が今年度のみで、来年度以降廃止、あるいは縮小された場合、本市ではどのような対応をされるのでしょうか?国の補助金の廃止あるいは縮小に伴って、受診無料化を廃止するのか?それとも市の単独事業として受診無料化を維持するのか?その所見を求めるものであります。


 次に、今補正では予算措置が行われておりませんが、国の補正予算で盛り込まれた地方自治体関連のメニューについて、本市の対応をお聞きして参ります。

 まず、国の補正予算、経済対策関係経費として8項目が示されておりますが、その一つに「地方自治体への配慮」として、2兆3790億円が計上され、その内訳は、本市の今補正でも一部歳入されております「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」1兆円の他に、「地域活性化公共投資臨時交付金」1兆3790億円計上されております。この「地域活性化公共投資臨時交付金」は、「経済対策における公共事業等の追加に伴う地方負担の軽減を図り、地方公共団体における公共投資を円滑に実施するために必要な経費」と説明されております。

 この「地域活性化公共投資臨時交付金」について、本市ではその活用を考えているのか?交付要件等はどうなっているのか?説明を求めるものです。


 次に、国の経済対策関係経費8項目のうち、「健康・子育て」として、子育て応援特別手当関係経費が1254億4300万円計上されております。これは、財務省の説明文書を引用すると「臨時異例の措置である子育て応援特別手当を、21年度に限り、第一子まで拡大して実施するために必要な経費である」とのことですが、この子育て応援特別手当支給事業について、今回もまた自治事務としての取り扱いなのかどうか承知しておりませんが、本市はどのように対応しようとしているのでしょうか?お聞きしておくものです。


 また同じく「健康長寿・子育て」の分野では、「介護職員処遇改善等対策費」が4773億3800万円、「介護基盤緊急整備等対策費」が2494億7100万円計上されております。「処遇改善」については、介護職員の賃金改善を目的としたもので、都道府県から各事業所への交付となり、市町村は関与しないようでありますが、スプリンクラーの設置助成を行う「介護基盤緊急整備」について、小規模多機能型介護事業所に関しては指定権者である市町村が助成主体となっております。本市における対応についてお聞きしておくものです。

 以上で、一回目の質疑を終わります。