2013年 第1回定例会 討論

 それではただ今議題となっております議案第1号から議案第31号について、賛成並びに反対の立場から討論を行います。

 まず、議案第1号から議案第5号までの2012年度一般会計補正予算、各特別会計補正予算、水道事業会計補正予算については、概ね妥当なものとして賛成をするものでありますが、執行にあたって意見をのべて参ります。具体的には、芹沢公園整備事業費についてであります。今補正では、2013年度予定していた用地取得を前倒しする公有財産購入費が約2億2000万円計上されておりますが、この補正措置は、国の2012年度補正予算における防災・安全交付金(社会資本整備総合交付金)の対象事業として、本市の単独負担分すなわち市債の起債額1億4780万円に対し、その70%相当分を2013年度当初予算において、地域の元気臨時交付金として交付されるというものであります。
 国の2012年度補正予算の問題については、のちほど改めて指摘をいたしますが、ここでは防災・安全交付金の交付対象事業としての事業執行に係る点について、意見を申し上げます。
 国土交通省が公表しております「平成24年国土交通省関係補正予算の概要」では、防災・安全交付金の対象事業の中に、「防災公園の整備」が示されておりますので、本市の芹沢公園整備事業が対象事業として見込まれるのは、防災公園の整備として位置付けられるということでありましょう。
 しかし、芹沢公園整備事業は、災害時の広域避難所の一つに指定されておりますが、これまでの整備にあたって特段の防災機能を付加した整備は行われていません。また、この間の社会資本整備総合交付金の活用あたって策定された都市再生整備計画(座間南東部地区)においても、整備方針の大きな柱である地域防災対策の事業には含まれておらず、「(参考)関連事業」として示されているだけであります。さらに、今回芹沢公園第4工区の整備によって広域避難所として拡充される収容可能人員は、駐車場部分の950名。現在の芹沢公園の収容可能人員が15000名ですから、わずか6%程度拡充されるだけであります。
 ここで問題となるのは、国の交付金補助金を活用する事業に対する本市の姿勢の問題。有体に言うならば、「とにかく補助メニューに合致し、交付金補助金が来るのなら財政的軽減のためだけに使うという姿勢で良いのか」ということであります。私自身は、今回の国の補正予算措置については、その政策的有効性においては大いに疑問を持つものでありますが、そうした交付金であっても、活用をするというならば、交付金の政策目標に最大限合致するような事業展開を行うべきであると考えるものであります。
 第4次座間市総合計画の施策34「公園・広場・緑地」では、重点施策として「自然環境を生かし、防災機能等を持ちえた公園、広場の整備を進めます」とありますので、芹沢公園第4工区整備事業においては、単に広域避難場所の面積が増えたということにとどまらず、防災機能の拡充について、整備方針の中にしっかりと位置付けるよう求めておくものであります。

 次に、議案第6号から議案第10号までの2013年度一般会計予算、各特別会計予算並びに水道事業会計予算について反対の立場から討論を行います。
 まず、国の2012年度補正予算並びに2013年度当初予算案と関係する事業について述べて参りますが、この場を借りて、1点訂正をしておきたいと思います。具体的には、本定例会の一般質問において私は、国の2012年度補正予算について、基礎年金の国庫負担分2.6兆円の除く緊急経済対策に係る補正予算10.3兆円に対する国債依存率について、約75%と発言致しましたが、年金特例公債2.6兆円は、緊急経済対策費には含まれておらず、正確には建設国債5.2兆円が緊急経済対策に係る国債発行であります。したがって緊急経済対策に係る経費の国債依存率は、約50%というのが正しい表現となりますので、この場を借りて訂正しておきたいと思います。

 さて、本市の2013年度当初予算案では、国の補正予算関連で「地域の元気臨時交付金」1億346万円が計上されております。この地域の元気臨時交付金は、国の2012年度補正予算に係る公共事業の地方負担分の70%〜90%を、同交付金として地方自治体に交付するというものでありますが、充当事業は「地方債を財源とする事業に限る」とされております。
 この点については、次のような問題を指摘せざるを得ません。一つは、公共事業の地方負担分の補てんを一般財源として交付するのではなく、地方債を財源とする公共事業に限定するわけですから、かつて自民党が野党時代に主張していたように、「使い勝手が悪く、地方の実情にそぐわない」ものであるということ。
 2つ目は、この交付金は、「地域経済活性化、雇用創出」が政策目標となっているようでありますが、本市の充当事業を見ても、小中学校施設整備事業、市道13号線道路施設改修事業、北部地区総合交通対策事業費と、この交付金があろうがなかろうが、本市の当初予算に計上される事業であります。つまり、この交付金により財源構成が変化し、市単独負担分が軽減されるという効果はあったとしても、交付金の本来の政策目標である地域経済活性化や雇用創出には、なんら効果をあげるものではないということであります。
 このように、今回の国の補正予算は、地方自治体の自立性、裁量性の拡大という地方分権改革の流れに逆行し、かつ政府自らが掲げていている「緊急経済対策」という政策目標を実現するための効果についても、大いに疑問があるものと言わざるを得ません。本来なら、補正予算という性格、すなわち一時的・追加的予算措置である点からすれば、使途の制限をつけない地方の一般財源として交付し、その効果や妥当性は、地方議会や住民が検証するという「分権的緊急経済対策」が求められていたはずです。こうしたことが、民主党政権においても、自・公政権においても実現することができないという点にこそ、この国の政治の最大の問題があると考えるものでありますが、この点については、市長も同意されるところだと思いますので、地方の首長の一人として、、地方分権改革、税源移譲について政府に対し、強く申し入れるよう求めておくものであります。

 次に、政府の政策展開との関係で、もう1点、地方公務員給与に対する削減圧力について述べておきたいと思います。今定例会において市長は、政府が、地方公務員の給与を国家公務員と同様に平均7.8%削減を求めていることについて、次のように述べられました。
 ①国家公務員の平均7.8%の給与削減は、東日本大震災の復興財源の一部とするため、2ヵ年に限り削減するというものであり、地方とは何ら関係がないこと。②本来、地方公務員の給与は地方が独自に決めることが原則であること。③地方交付税は、地方固有の財源であるべきだが、これの算定に対して7.8%の給与削減額をあらかじめ減額するのは、「兵糧攻め」のようなもので、筋が違うということ。
④四デフレ脱却、2%のインフレ目標を掲げ、消費水準を上げようという時に、また民間企業に対しても賃上げを求めている時に、全体の消費水準を落とす地方公務員の給与削減は、整合性がとれていないということ。
 以上の点は、全く持って市長のおっしゃるとおりであり、私もこの見解に基本的に同意するものでありますが、その中でも私が特に強調しておきたいことは、地方自治体の自主性、自立性であります。ご承知のとおり地方公務員の給与は、地方公務員法第24条第6項において「職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める」と規定されておりますように、地方自治体が自主的に定めるもの、つまり、自治によって決せられるものであり、けっして中央政府からの同調圧力によって、決められるものであってはなりません。
 中央政府は、本年7月以降、地方交付税基準財政需要額の算定について、各経費の算定基準となる単位費用に含まれる人件費を削減し、地方自治体が国家公務員と同様に給与削減を行わない場合は、地方交付税を削減するという、日本の地方自治制度に汚点を残すような暴挙を行おうとしております。
 市長におかれましては、まさか、6月議会などにおいて、給与費削減の補正予算が計上されることはないと思いますが、ぜひ地方自治体の首長としての矜持をもって、不当な圧力に抗するよう求めるものであります。

 それでは次いて、本市の2013年度一般会計当初予算案について、反対をする理由を述べて参ります。まず、本市の将来を左右する重要な政策展開として、大きく二つほどその問題について指摘して参りたいと思います。

 一つは、キャンプ座間部分的返還地の利用方針とそれに係る関係経費の支出についてであります。これまでも、基地の整理縮小・返還、基地の恒久化解消という本市の市是と部分的返還地跡地利用構想との不整合、利用構想策定に至るデュープロセスの問題や防衛省地方自治体をコントロールする手段となっている再編交付金、特定防衛施設周辺整備交付金の問題、さらには建設費用が億単位で割高となる消防庁舎の返還地への建設の問題などについて指摘をして参りましたが、今回は、特に都市計画との関係で指摘をしておきます。
 当初予算案では、基地返還跡地利用促進事業費として、基地返還跡地道路施設等基本計画策定業務委託料が計上され、部分的返還地に関して、都市計画法に基づく地区計画の策定が行われようとしております。ご承知のとおり、米軍基地であるキャンプ座間は、都市計画上市街化調整区域となっておりますが、その理由は、米軍基地であるが故に我が国並びに本市の行政権限が及ばないことによるものであります。一方、今回予定されている部分的返還地の跡地利用構想では、自衛隊宿舎、病院、消防庁舎、都市公園など、明らかに都市的土地利用が想定されているにもかかわらず、市街化調整区域の線引きはそのままとして、地区計画によってこうした土地利用を位置付けようとしているわけであります。
 このことについて市長は、私の一般質問に対して「市街化区域と調整区域とのバランスからすると慎重にならざるを得ない」という旨の答弁をされておりますが、率直に言って根拠に乏しいものと言わざるを得ません。なぜならば、市長が仰っていたバランスとは、自然的な土地利用と都市的土地利用のバランスということのはずですが、実態上、土地利用の形態が都市的利用のところを市街化調整区域として残したとしても、自然的な土地利用の割合が増えるわけではありません。ならば、実態に合わせて線引きを変更するのが当たり前ではないでしょうか。
 そこで、思い起こしていただきたいのは、本市が基地返還を求める根拠としてきた点についてです。それは、第1次から第4次にわたる本市の総合計画の中で示されているように、米軍基地並びに共同使用している自衛隊基地が、都市計画上の阻害要因となっていることをであります。こうした点からするならば、返還地について、都市計画上、市街化区域として位置付け、まちづくりを進める中で、恒久化解消、全面返還へとつながる取組を精力的に行っていくべきだということを求めておきたいと思います。

 次に、本市の将来の左右する重要な政策展開の二つ目として、日産座間カレスト地区再開発計画の問題について指摘しておきたいと思います。当初予算案では、都市部所管事業として南東部地区総合交通対策事業費の市道38号線鑑定手数料が計上されておりますが、問題点は、市道38号線の整備方針というよりも、基地問題と同様に、都市計画事務の執行並びに本市の街づくりの将来ビジョンに係る問題についてであります。
 この再開発計画の最大の問題点は、再開発地区に大規模商業施設が立地することによる、周辺交通の悪影響、特に県道50号座間大和線の渋滞問題であります。事業者が行った現況交通量調査においても、現状休日最大480m、平日最大180mの渋滞が発生しているにもかかわらず、大規模商業施設開店後、信号現示の調整だけによって、渋滞が発生しないとする当局の見解には、率直に言って驚きを禁じえません。
 また、事業者側の周辺交通への影響評価では、「現況交通量として、渋滞長は考慮しない」と明記されており、現状の渋滞長を計算に入れずに「交通処理は可能」とする見解も同様であります。
 当局は、今回の事業者による現況交通量調査と影響評価について、国土交通省の大規模開発地区関連交通計画マニュアルに則して実施されているとして現状での市独自の交通量調査や影響評価について、行う意向がない旨を明らかにしましたが、事業者提案制度に基づく再開発計画といえども、同マニュアルの趣旨、すなわち「開発に伴う交通上の影響が、現状の交通流動に与えないために、どのような施設整備が必要であるか明らかにする」こと。さらに「関連交通計画が不適切な場合には、関連交通計画の見直しまたは開発事業者との調整による開発計画の見直しを行った上で、再度評価を行う」といった点からすれば、市独自の調査と影響評価は不可欠と考えるものであります。
 都市計画法に基づく地区計画の決定権者は、座間市であります。ここでもまた、地方自治体の矜持が問われることになります。当局は、近々都市計画決定を行うとのことでありますが、性急な都市計画決定は禍根を残すことになりかねません。特に県道51号線座間大和線の渋滞問題は、単に当該道路交通の影響にとどまらず、市内交通全体への影響並びに生活道路への侵入など、市民生活に与える影響が大きいと考えられますので、詳細な影響評価の上、手続きを進めること、あるいは必要な計画の見直しを事業者に求めるよう、指摘しておくものであります。

 それでは続いて、一般会計当初予算案におけるいくつか事業について、予算執行上の問題点について指摘をして参ります。
 まず、市民部所管の自治会活動助成事業費について。新年度、座間市自治会総連合に対する連合構成自治会総括事業補助金が346万1700円増額され、2347万7千円が計上されております。額の内容は、事務局人件費191万9670円、自治会回覧に係る委託費122万7330円、バス研修旅行の経費31万1700円というものであります。今回は特にこの増額の妥当性については詳しく論じませんが、こうした市自治会総連合への補助金の実績報告が提出されていない問題について指摘しておきたいと思います。
 経過を追って参りますと、私はかつて、当時の座間市自治会連絡協議会への補助金支出について、座間市地域自治振興事業補助金交付要綱では、補助金の対象費目が「防犯、防災、環境美化及び組織強化」に特定されているにもかかわらず、自連協からの実績報告書では、補助金が対象費目に使われているかどうかわからず、補助金の効果を検証できないこと。さらに、自連協加盟の単位自治会、当時は195自治会でしたが、そのうち69自治会は、収支報告すら自連協に提出されていないこと。また収支報告が提出された126自治会においては、自治会館などの修繕積立が特別会計化されていない自治会が数多く、繰越金の総額は、9300万円にのぼり、その当時の自治会への補助金740万円をはるかに上回ることを指摘しておりました。
 これに対し、自連協から組織改編より、座間市自治会総連合会となった市自連は、現在統一的な会計フォーマットを作成し、収支報告の徹底化、会計の明瞭化を進めていると聞き及んでおりますが、一方で補助金を支出する座間市の方は、座間市地域自治振興事業補助金交付要綱を改定し、補助対象経費を「公益的活動に要する経費」と大幅に拡大し、実績報告書の提出は「省略するものとする」としております。
 要は、私が、補助金支出の妥当性並びに効果を検証することができるようにと求めたところ、対象経費の特定をやめ、実績報告書の提出も廃止してしまったということであります。
 本市の全ての団体補助、事業補助のあり方を規定している座間市補助金等の交付に関する規則では、第18条(実績報告)において「補助事業者等は、補助事業が完了したときは、補助事業等実績報告書に次に掲げる書類を添えて、市長に報告しなければならない」としております。確かに同条第3項では、「市長がその必要がないと認めるときは、その実績の確認により補助事業等実績報告書等の提出を省略することができる」という規定がありますが、市民レクレーション振興事業を含めれば3000万円を超える税金の支出に対して、実績報告書の提出を一切求めないというのは、予算執行上、不適切と言わざるを得ません。直ちに改めるよう求めておくものであります。

 次に、教育委員会所管の小中学校普通教室等空調整備事業費について。 この事業の問題点は、第4次座間市総合計画にも掲げられていなかった事業が、米軍再編交付金とのからみで突如事業化され、さらに教育委員会事務局の経費計算の誤りで、どんどん事業費だけが膨れあがっていくという、堅実さが売り物の行政官僚らしからぬ、事業展開であるという点です。
 昨年12月議会の討論において、私は自らの試算を基にして、本事業の総事業費は、12億8000万円程度になるのではと申し上げましたが、今回の予算審査で明らかになった総事業費の見込みは、私の試算を2億円以上も上回る15億1200万円。特に違いが大きかったのは、リース料で、全校設置した段階のリース料を私は年間約6000万円とみておりましたが、当局の試算では9800万円。ほぼ1億円となるリース料を毎年払い続けなくてはならないことになるわけであります。
 一方でこのエアコン設置事業によって、その進捗が心配されるのが、本来総合計画の教育環境整備の重点施策として掲げられていた、校舎等の計画的施設整備や太陽光発電などの学校エコ化の取り組みであります。小学校施設整備事業費については、実施計画では2013年度1億9117万6千円が計上されていたものが、当初予算案では6447万9千円が減額され、1億2000万円程度となり、その結果、相模が丘小の屋上防水工事や中原小の屋内運動場屋根防水工事などが次年度以降に先送りされております。
 また、太陽光発電施設については、当初予算で、入谷小学校蓄電設備設置工事が計上され、リチウムイオン電池設備の設置とソーラーパネルを屋上に移設することとなっておりますが、ソーラーパネル設置時にあれほど屋根に設置すべきという議会からも意見があったにもかわらず、「設備の重さに屋根が耐えられない」として地上に設置しておきながら、今度は「周辺環境の変化により」として工事費をかけて屋上に移設するという今回の措置は、まさに朝令暮改もはなはだしいと言わざるを得ません。
 さらに、今回の予算審査で今後の太陽光発電設備の設置については、まったくメドが立っていない状況であることが明らかになっており、総合計画の教育環境における重点施策である学校エコ化の取り組みは、いつのまにか中学校1校、小学校1校における校庭のごく一部を芝生化する事業に収れんされそうな気配であります。
 おそらく、小中学校エアコン設置事業費の総額15億1200万円の半分以下の経費で、本市の全ての小中学校の校舎の屋根にソーラーパネルを設置し、蓄電池を備えることが可能だったと思いますし、学校施設は災害時に避難所となるわけですから、防災上もはるかに有効であった思います。
 よって、教育環境整備の優先順位からしても、さらに防災・減災力の強化という観点からしても、この小中学校エアコン設置事業の予算執行は承認することができません。

 以上まことに簡単ではありますが、2013年度一般会計当初予算に反対する理由の説明をいたしました。

 それでは続いて、座間市国民健康保険事業特別会計並びに座間市国民健康保険税条例の一部を改正する条例に反対する立場から討論を行います。
 この国民健康保険税の値上げについては、すでに一般質問においても、健康福祉常任委員会の委員外発言においても、私の基本的な考え方について述べておりますので、簡潔に理由を申し上げます。

 それは、現時点においては、値上げの必要がないからであります。

 これだけではなんですから、もう少し理由を申し上げますと、今回の保険税値上げの前提として昨年示された「座間市国民健康保険事業財政健全化計画」について、私区は国民健康保険事業の現状と課題で述べられている点については、基本的には同意するものであります。しかし、同意できない点は、今後の収支見通しと税率の見直しという方針であります。
 それは私の一般質問においても指摘をしましたが、財政健全化計画の収支見通しと今回の税率改定の基礎となっている財政計画では、その前提条件となる伸び率の数値に大きな差異があることです。さらに、私が独自に試算した過去3年間の各予算費目における平均伸び率ともに大きな差異があります。ご承知のとおり本市の国保特別会計の予算規模は、140億円を超える規模となっておりますし、主な費目の規模は数十億円にのぼるわけですから、1%の違いで数千万円の違いとなります。ですから、収支の見通しを立てる際に、この前提条件となる数値をどのように入れ込むのか、という点で大きく違ってくるわけであります。
 ここまで申し上げましたので、少し細かく数字を例示すれば、当局が今回の値上げにあたって試算した財政計画では、国庫支出金の伸びは2.3%、過去3年間の平均値では6.2%で、3.9ポイントの違いがありますが、これは額にして約1億円となります。また、前期高齢者交付金の伸び率は、当局試算が5.0%、過去3年間の平均が15.0%ですから、10ポイントもの違いがあり、これは額にして約2億2000万円となります。今回の税率改定の効果額は、約1億8000万円程度でありますので、これだけでも歳入の前提条件が変わってくるわけであります。
 当局は、国民健康保険財政は年ごとに変動が大きいので、直近の、すなわち2012年度決算見込みを基礎に伸び率を定めたと答弁されておりますが、ではなぜ年ごとの変動が大きいにもかからず、直近の伸び率を採用するのかという点は理解に苦しむ次第です。変動が大きいからこそ、平均値をとって、伸び率を見込むのがふつうではないかと思う次第であります。これは収支見通しをたてる際の極めて技術的な問題であり、政策妥当性以前の問題であります。値上げを前提とした数字上の作為があったのではないかと指摘せざるを得ません。

 また、2012年度担当職員のみなさんのご努力で、収納率を向上させ現年分で約2400万円、滞納繰越分で約7500万円、合計9900万円とほぼ1億円もの税収増がはかられております。もし、この努力がさらに目標値である現年分90%、滞納繰越分30%まで引き上げることができれば、その影響額だけで、値上げ分の1億8000万円を飲み込んでしまうことが今回の予算試算で明らかになりました。
 昨年度、滞納繰越分30%という目標は過大ではないかという意見に対して当局は、「大きな目標に向かって取り組むことが必要なんです」とおっしゃっておられました。ならば、それを達成すれば、値上げの必要性もなくなってしまうにもかかわらず、なぜその大きな目標をたった1年で放棄してしまうのでしょうか。しかも着実に今年度成果を上げているにもかかわらずということであります。

 以上の点から、現時点においては値上げの必要性はないものとして、国保特別会計並びに関係条例の一部改正に反対するものであります。

 最後に、公共下水道事業特別会計について、一点だけ指摘しておきたいと思います。それは、新年度初めて起債される資本費平準化債についてであります。一般質問において資本費平準化債を起債した場合の地方交付税の減額分と起債しない場合の一般会計からの繰り出し金の増加分について質問いたしましたが、明らかになったことは起債した場合の方が、地方交付税の減額分を差し引いたとしても約2億7000万円程度、財政的には有利であるということであります。
 しからば、なぜ資本費平準化債を下水道料金の値上げ前に、起債しなかったのかという点であります。下水道料金の値上げは2011年度から実施されておりますが、当局の見込みでは年間効果額は約1億3000万円ですから、これもまた起債による効果額が値上げ分を飲み込んでしまうではありませんか。行政の事務執行としては、適格性に欠けると言わざるを得ませんし、猛省を促すものであります。

 以上で、討論を終わります。