2012年第3回定例会 討論

ただ今より、市民連合を代表して、上程されております議案について、賛成並びに反対の立場から討論を行います。

まず、議案第50号の水道事業会計決算の認定並びに資本金の額の減少及び未処分利益剰余金の処分については、反対であります。以下、その理由を述べます。

当年度、本市は平均15%の水道料金の値上げを行いました。その結果、収支状況は営業損益では1億5493万4千円の赤字。経常損益では3514万9千円の黒字。純損益では2029万8千円の黒字となり、3年ぶりに収益的収支全体で黒字となっております。この数字だけを見るならば、「値上げをしなければ今年も純損益で赤字となっていた」「値上げをしてよかった」ということになります。しかし、この黒字も一時的なものであり、当局が示した財政計画では、2014年度にさらに18%の値上げ、それでも2017年度には再び純損益で赤字となる見通しになっており、ひたすら料金値上げを繰り返さなければならないことになっております。

問題はなぜ、こうした財務体質となっているのか、という点でありますが、その原因は、水道事業会計が赤字となる構造的問題に対し、当局が有効な対応をとっていないことによるものであります。我々が重ねて指摘しているように、赤字の構造的問題は不当な県水の受水費にあります。当年度の県水受水費は、4億5838万円。神奈川県内広域水道企業団の基準単価が若干引き下げられたことにより、前年度より2489万3千円、−5.2%となっておりますが、本市水道事業の営業費用17億7447万円のうち、実に25.8%を占めるものとなっております。しかも、当年度、本市が実際に使った水量分の受水費は、約1億2300万円にすぎませんが、残りの3億3514万円は一滴の水も使っていないにもかかわらず、「基本料金」として県企業庁に支払っているわけであります。

では、もし使った水量分だけの受水費で、さらに値上げ前の旧料金で損益計算をしてみると、営業利益は約1億円の黒字。経常利益は約2億9000万円の黒字。純損益では約2億7600万円の黒字と、料金値上げをしなくとも、超優良企業会計となるわけであります。この不当な県水受水費の問題を解決しなければ、当局の見通しのとおり、当年度から2017年度まで、わずか6年間で少なくとも3度の値上げをしなければならないことになってしまうわけであります。

では、一体どうすれば良いのか。我々は、今後の座間市市営水道が選択すべき道として三つあると思っております。一つは、現在市長が選択しているものですが、余りにも過大な県水受水費をそのまま受け入れ、市民に対しては料金値上げでそのツケをまわすというやり方。二つ目は、県企業庁に対し、使った水量分の料金しか払わないとし、分水契約の適正化を行うというやり方。三つ目は、県企業庁と本市との分水契約は、公契約ではなく私契約でありますから、両者の自由意思によるものと考えられます。その際に意思が合致しないことも十分考えられますから、その場合は契約を破棄し、本市の自己水源だけで賄うというやり方。

我々は二つ目又は三つ目の選択肢を採用すべきだと考えるものであります。つまり、三つ目の選択肢である、いざとなれば自己水源だけで賄うという強い意思をもって、県企業庁との交渉に臨まなければ、契約の適正化は実現できないということであります。市長並びに当局が選択しているやり方では、残念ながら本市の水道事業の構造的な赤字問題を解決することはできません。ひたすら料金値上げを繰り返し、負担を市民に転嫁するだけであります。

以上の点から、2011年度の水道事業決算認定について、反対するものであります。

次に、本市水道事業会計の資本金の額の減少について、反対するものであります。この資本金の額の減少は、地方公営法の一部改正で、経営判断により、資本金の額を減少させることができるようになったことに伴い、本市の一般会計から水道事業会計への繰り入れ資本金2億5500万円を一般会計へ戻すものであります。法の一部改正の趣旨は、「地方公営企業の経営の自由度を高めるため」と説明されておりますから、今回の減資について、どのような経営判断によるものなのかという点を我々は質して参りましたが、市長並びに当局の答弁は、1970代後半から1980年代前半に行われた第4次拡張事業のための増資であったので、その役割を終えたというものでありました。

確かに、人口急増に対応するかつての拡張事業のための増資という役割が変わっていることは間違いありませんが、本市水道事業の施設整備は、拡張から、維持、長寿命化、耐震化という新たな課題に直面しております。特に配水管の耐震化は、現在の水道ビジョンにおいても、2017年度から2036年度までの20年間で約92kmを対象としています。これに対し、当決算年度までの5年間の進捗状況はわずか9.4km。10.2%に過ぎません。このペースで推移すれば、完了までに計画の倍以上、すなわち実施期間は50年間を要することになります。こうした状況を考えるならば、ただちに一般会計からの増資分を返納することは適切な判断だと思えません。

ご承知のとおり、水道事業会計は収益的収支と資本的収支によって構成されております。収益的収支から発生する利益は利益剰余金として、収益的費用であり現金の支出が伴わない減価償却費や資産減耗費は損益勘定留保資金として、補填財源にストックされ、資本的収支の不足額に充てられますから、資本的支出である建設改良工事費は、収益的収支の利益分に間接的に依存していると言えるわけであります。

さきほども申し上げましたが、収益的収支の赤字の構造的問題である県水受水費の問題を放置し、料金値上げによって収益的収支の利益を確保しようとする中で、さらに資本金の減資をすることについて、われわれは容認できるものではありません。よって反対をするものであります。

次に、議案第55号2012年度の一般会計補正予算について、反対の立場から討論を行います。反対の理由は、この前に述べました水道事業会計から資本金の増資分が一般会計に繰り入れられる措置が含まれているからであります。その他の補正措置についは、概ね妥当なものと思っておりましたので、残念であります。なお、念のため申し上げておきますが、私は都市環境常任委員会の審査において、本補正予算については賛成をしましたが、ご承知のとおり、各常任委員会に付託された補正予算の議案は、所管事項であります。よって都市環境常任委員会に付託された補正予算所管事項については妥当なものとして賛成をした次第でありますが、補正予算全体としては、私の所属する常任委員会の所管事項以外のところで、賛成しかねる点がありましたので、補正予算全体については反対をするものであります。

次に、議案第56号から議案第58号については、概ね妥当なものとして賛成をするものであります。

なお、議案59号「財産の取得」について我々は、土地の取得額の基礎となる鑑定評価額について、疑義がありますので、態度を留保するものであります。


以上で討論を終わります。