2011年度座間市水道事業会計決算に関する質疑メモ

1)当年度の施設、業務の状況について
(ア)施設の利用状況について
「水道施設の利用状況の良否、効率性を総合的に判断する指標として、一般的には施設利用率が用いられる。施設利用率は、最大稼働率と負荷率とに分解され、3つの指標を併せて比較検討し、適切な施設規模かどうか判断する必要があるとされている」(監査意見書)

では、3つの指標はどのように導きだされるか。

・施設利用率=(1日平均配水量÷1日配水能力)×100
・最大稼働率=(その年度の1日最大配水量÷1日配水能力)×100
・負荷率=(1日平均配水量÷その年度の1日最大配水量)×100

実績はどうか。

施設利用率 80.3%(+6.7)
最大稼働率 93.6%(+11.1)
負荷率   85.8%(−3.5)

「同規模事業の平均数値と比較すると、当市の水道施設規模は給水人口に照らしても適切であり、かつ当年度は1日配水能力の引き下げにより前年度より効率性が若干高まったことになる」(監査意見書)

「効率性は高まった」のか?
・この要因は、施設利用率、最大稼働率の分母である「1日配水能力」が、当年度3月の厚生労働省事業変更認可において、1日配水能力52.630㎥/日から46.690㎥に変更されたことによるもの。当然ながら、分子に大きな変化がなく、分母が少なくなれば、率は上がる。

施設規模、能力に変化はあったのか?
・ここで疑問となるのは、1日配水能力の減少変更は、本市の水道施設が減少した、あるいは能力が低下したことによるものなのかと言えば、そうではない。

質疑その1
これで、適正な施設利用率、最大稼働率を示していると言えるのだろうか。実態を反映しているのか。見解を求める。

(イ)給水実績について
給水人口は増加しているものの、年間配水量、年間給水量、年間有収水量は減少している。

質疑その2
この原因について、当局は「夏場の天候が記録的な猛暑であった前年度より暑くなかったことと、電力不足によるもの」と説明されているが、当年度の10月〜実施された料金値上げの影響はないのか、改めて見解を求める。

2)当年度の収支状況について
営業損益 △1億5493万4千円
経常損益  3514万9千円
純損益   2029万8千円

営業損益の赤字、経常損益の黒字、3年ぶりの純損益での黒字を計上。一方、当年度10月〜の料金値上げによる増収分は約8千万円。

この収益的収支の状況だけを見るならば、15%の料金値上げでかろうじて、純損益で黒字に転じ、値上げがなければ、純損益でも赤字が続いていた。「値上げをしてよかった」ということになる。

しかし、本市水道事業の赤字の構造的問題は県水受水費にある。

当年度の県水受水費は、4億5838万円 △2489万3千円(△5.2%)営業費用の約25%を占めている。
一方、当年度本市が実際に使った分の県水受水費は、約1億2300万円。故に、4億5838万−1億2300万円=3億3514万円は、使ってもいないのに受水費として払っている。

使った分だけの県水受水費で、損益計算(旧料金で)をしてみると、
営業収益 約15億4000万円
営業費用 約14億3900万円

営業利益 約1億円
経常利益 約2億9000万円
純利益  約2億7600万円

料金値上げをしなくとも、全くの健全会計となる。
では、どうすべきか、選択肢は3つ。
①県水受水費を認め、値上げを続ける。
②県水受水費を使った分しか払わない。
③すべて自己水源だけでまかなう。

質疑その3
水道管理者である市長は、どのような選択をするのか、見解を伺いたい。

3)資本金の額の減少について
地方公営企業法の一部改正
①法定積立金(減債、利益)の積立義務の廃止
②条例又は議決により利益および資本剰余金を処分することができる。
経営判断により、資本金の額を減少させることができる。

質疑その4
法の一部改正の趣旨は、「地方公営企業の経営の自由度を高める」と説明されているが、今回の減資について、どのような経営判断によるものなのか、また、その影響について説明を求める。