2011年9月 一般質問

 福島第一原発の水蒸気爆発により、大量の放射性物質が放出されました。本年8月23日衆議院科学技術・イノベーション推進特別委員会に提出された政府資料(細野豪志原発担当相)によると、福島第1原発から放出されたセシウム137は1万5000テラベクレル(テラは1兆)であったということが明らかにされました。広島型原爆は89テラベクレルだったとのことですから、福島原発は広島型原爆168.5個分ということになります。また、ヨウ素131では福島が16万テラベクレル、原爆が6万3000テラベクレルで約2.5倍。ストロンチウム90は、福島が140テラベクレル、原爆が58テラベクレルで約2.4倍となっております。事故直後東日本各地の水道水から検出されたヨウ素131の半減期は約8日と短いのですが、セシウム137は約30年、ストロンチウムは約29年でその影響が長く残ることになります。

 また、8月25日独立行政法人国立環境研究所地域環境センターは、福島第一原発から放出された放射性物質の大気中の挙動を明らかにするシュミレーションを発表しました。それによると、「放射性物質の影響は福島県以外に、宮城県山形県岩手県、関東1都6県、静岡県山梨県、長野県、新潟県など広域に及んでいる」ことや、ヨウ素131の積算沈着量は大気濃度と同様に福島第一原発を中心に放射状に分布していたが、それに対してセシウム137の積算沈着量は、大気濃度と異なりホットスポット的に分布すると推計された」と発表されております。すなわち、こうしたことからするならば、本市を含むこれらの地域は、否応なしに少なくとも今後数十年間にわたって、低線量被曝の危険性と向き合わなければならないことになります。なんとも大変なことをしでかしてくれたものであります。

 そこでまず市長にお聞きするものでありますが、こうした状況の中で、本市の放射線対策の基本的な認識及びその対応方(基本方針)について、明らかにしていただきたいと思います。

 次に、具体的な放射線対策についてお聞きして参ります。本市では7月以降、空間放射線量の測定を開始しました。座間市環境放射線測定実施要綱において「市民から要望の多い幼児や児童生徒への影響を考慮して、市立保育園9園、市立小学校11校、市立中学校6校及び相模川グランド他4箇所のスポーツ施設、合計31箇所で測定を実施する」としております。しかし、要綱で述べられているように「幼児や児童生徒への影響を考慮」するならば、現状の測定箇所で十分でしょうか。民間の保育園、幼稚園、公園、子ども広場なども対象施設として加えるべきではないではないかと思いますが、見解を伺います。また、さきほど述べました国立環境研究所の報告においても、セシウム131は「ホットスポット的に分布する」ということからするならば、測定地点は現在のようなグランド中央部だけではなく、砂場や雨どい周辺など、リスキーと思われる地点でかつ子どもたちが行動しうる地点を加えるべきだと考えものですが、見解を求めるものであります。さらに、測定器について、現在の簡易測定器から、より精度が高いとされるエネルギー保障型シンチレーションサーベイメータによる測定を行うべきだと考えますが、見解を求めるものであります。

 次に、低線量被曝に対する対応策について、お聞きして参ります。本市が行ったの空間放射線量の測定では、7月の最大値は0.15マイクロシーベルト/毎時、8月は0.17マイクロシーベルト/毎時となっております。この数値を単純計算で年換算しますと、それぞれ年1.31ミリシーベルトと年1.49ミリシーベルトとなります。ご承知のとおり国際放射線防護委員会(ICRP)の基準でも、また国内法である「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」においても、一般人の年間被曝線量は1ミリシーベルト以下でありますから、それを超えることになってしまいます。もちろん、毎時換算の空間放射線量から正確に年間被曝線量を導き出すことはできませんが、相対比較として線量の多少は明らかになります。本来なら、政府は福島県以外の児童・生徒についても、さらに乳幼児についても、内部被曝を含めて年間被曝線量を1ミリシーベルト以下に抑えるための線量管理と除染対策を講じるべきだと考えますが、見解を伺うものであります。
また、現状で政府の放射線対策が不十分だからと言って、現状を放置しておくことはできないと思います。放射線防護について、本市独自の基準を設定し、基準値を超える場合は土や砂の入れ替えや草刈などの除染対策を行なうべきではないかと思いますが、見解を伺うものであります。

 次に、内部被曝の問題についてお聞きして参ります。成長期の子どもたちにとって、放射性物質を体内に取り込んでしまう内部被曝は最大限回避すべきことです。先日、政府の暫定規制値を超える放射性物質が検出された牛肉が、本市の学校給食に使用されていた可能性が高いことが明らかになりました。まず、今回の事態について改めて説明を求めるとともに、教育長の所見を求めるものであります。

 子どもたちの食の安全を考えるならば、市の施策として小学校、保育園の給食食材の産地公表、放射性物質濃度の測定を行なうべきだと考えるものですが、見解を求めるものであります。

 次に一般質問の2番目のテーマであります再生可能エネルギーの普及について、議論を進めて参ります。2011年8月26日、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(いわゆる「再生可能エネルギー法」)が成立し、日本で自然エネルギーを大きく普及させるカギとなる「固定価格買取制度」が導入されることが決まりました。しかし、法施行にあたって住宅用太陽光発電については、全量買取ではなく、余剰買取となる可能性が高くなっております。再生可能エネルギーへのシフトを本格化させていくためには、様々な電源による電力供給の可能性を追求していくことが必要ですが、その中でも太陽光発電は、有力な自然エネルギー源と言えるでしょう。現在、住宅用太陽光発電の1kwあたりの平均設備価格は低下傾向にありますが、3.3KW〜3.5KWという平均的規模の設備でも現時点で200万円程度の初期費用負担が必要であり、これが普及促進にとって大きな壁となっていることは間違いありません。今後の住宅用太陽光発電の電力買取制度の詳細は確定しておりませんが、可能性が高いとされる余剰買取、売電価格42円、買取期間10年で投資回収が可能かどうか試算してみました。

 住宅用太陽光発電設備の能力は3.3KWとし、設備価格はKWあたり60万円で計算すると、初期費用の総額は198万円。これに対して現行の補助制度は、国・県・市合わせて25万6400円ですから、これを差し引くと初期費用負担は、172万3600円となります。一方発電量は、平均的日射量を12%として、3.3KW×24時間×365×12%で、年間発電量は3469KWhとなります。このうち余剰電力として売電する分を6割、家庭での使用電力を4割とすると、売電収入は年間は8万7419円、電気代の節約分は年間3万3302円となり、売電収入と電気代節約分を合わせた年間の経済的メリットは、年間12万721円、10年間では120万7210円となります。補助金額を差し引いた初期費用負担額172万3600円から経済的メリット120万7210円を差し引くと残額が51万6390円となります。つまり、現状の制度では、初期費用負担額172万3600円をキャッシュで支払うことが出来る人でも、10年間ではトータル51万6390円のマイナスとなり、さらにローンで初期費用を賄う人はこれにさらに金利負担分がプラスされることになるわけです。

 これでは普及促進にはなりません。逆に言えば、10年間の売電収入と電気料金の節約分で、初期投資が回収されるならば、飛躍的に普及が進むことが見込めるわけです。そして、この課題が解決される条件としては、太陽光発電設備の価格が低下すること。売電価格が上がること。補助金額が上がることが考えられます。このうち、発電設備価格や売電価格に対して地方自治体は、直接関与することはできません。よって地方自治体として取り得る方策としては、補助金額の増額という手法で普及促進を図ることが求められていると考えるものでありますが、いかがでしょうか。見解を求めるものであります。

 次に、住宅用太陽光発電に対する補助金の財源について、お聞きして参ります。本定例会に提案されております補正予算では、新たに「低炭素社会推進基金」の造成が計上されております。この基金について、先日の総括質疑において市長は、市内の電気自動車用リチウムイオン電池製造メーカーから、「電気自動車の購入補助金に充ててほしい」との依頼で1000万円の寄付があり、当該メーカーのリチウムイオン電池が搭載されている電気自動車の場合に限って30万円の補助金を上乗せすることになったという旨の説明がありました。市内の法人が、低炭素社会の実現に役立ててほしいとのことで所在する地方自治体へ寄付をされたこと自身は、賞賛されうる尊い行為だと思います。しかし、その目的が、自社製品が搭載された電気自動車への補助金の上乗せにあり、寄付金を受けた自治体側も唯々諾々と、特定メーカーのEV車を購入するものへ補助金を上乗せするというのは、率直に言って公金の支出としては妥当性に欠けるのではないかと思う次第であります。

 先日、竹市議員の総括質疑に対して市長は、「寄付をした事業者から自社が 開発・製造したリチウムイオン電池を使用したEV車に支援していただきたい」という依頼があった旨、答弁されておりますが、「市内事業所において生産されたリチウムイオン電池を搭載する電気自動車の場合は、30万円を加算する」という具体的措置は、事業者側のこの意向を受けての判断と理解して良いのか、改めてお聞きするものであります。

 さらに、本定例会に提案されております「座間市基金条例の一部を改正する条例」では、「座間市低炭素社会推進基金」は「低炭素社会を実現するための事業の費用に充当」とされております。この充当目的からすれば、この基金を住宅用太陽光発電設備など再生可能エネルギーの導入促進を図る補助事業に充当することも可能ではないかと思いますが、見解を求めるものであります。

 次に、一般質問の3番目のテーマとして福祉について、その中でも障がい者福祉について、議論を進めて参ります。

 今年度から、「障害福祉サービス等地域拠点事業所配置事業」として神奈川県と大和市、海老名市、綾瀬市座間市の4市共同で、「短期入所拠点事業配置事業」が、市内の社会福祉法人アガペセンターで行なわれることになりました。重度障がい者へのサービス資源が慢性的に不足している中で、新規事業として開始されたことについては評価をするものでありますが、対象者は「重度障害者等」となっているものの、「原則として障がい者」のためのサービスであり、「障がい児」は対象となっていません。昨年段階で、当局は「医療行為を必要とする障がい児も含めて、利用は可能である」という旨を当時の保健福祉常任委員会で答弁されておられましたが、医療行為を必要とする障がい児だけでなく、「重度障がい児」は原則として利用できないという現状について、説明を求めるものであります。

 また、医療行為を必要とする重度障がい者の短期入所(ショートスティ)は、毎週火曜日から水曜日の1泊2日のみとなっています。これは「障害特性により支援が困難な者や緊急的な支援が必要な者に24時間、365日対応できるようにする」という事業目的からすれば、大きくかけ離れていると言わざるを得ません。当局の説明を求めるものであります。

 また、これまでアガペセンターは、独自事業として6床の短期入所事業を行なっております。その際に重度障がい者に対して「対応できない」という理由で、契約を拒否されてきた事例もあるようですが、今後はこの「拠点事業」によって、県及び4市から年間約1450万円の補助金及び委託金を受け、体制が整備されることになりましたので、今後は「対応できない」という理由での契約拒否は、なくなろうかと思います。しかし、一方でこれまでアガペが独自事業として行なってきた短期入所6床にプラスして受け入れ人員が増やされたわけではないようであります。年間約1450万円の補助金、委託金を受けた上でも、短期入所のベット数はこれまでと変わらない6床。これまでの短期入所利用者に加え、4市の重度障害者が新たにこの6床を利用することになれば、対象者の範囲は広がったとはいえ、サービス供給量の増加につながったとは言いがたいのではないかと思います。この点について、当局の見解並びに対応方についてお聞きするものであります。

 次に、所管上は健康部の所管事項となりますが、精神障がい者への医療費助成について、お聞きして参ります。昨年9月の第三回定例会において、「重度障害者医療費助成制度に関する陳情」が採択されました。しかし、精神障がい者への医療費助成について、議会の意思は他の障害と同様に措置すべきだということになりましたが、残念ながら今年度の予算には計上されませんでした。改めて来年度予算に向けての考え方について、お聞きするものであります。

以上。