2011年11月 補正予算質疑(子ども手当)

それではただ今より、議案第75号「専決処分の承認」2011年度座間市一般会計補正予算(第5号)について、質疑を行ないます。本補正予算は、提案理由で述べられているように、「平成23年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法」が、10月1日より施行されたことに伴い、子ども手当支給に係るシステム改修が必要となったことによるものであります。この子ども手当に関する特別措置法が、国会において議決されるまでの政治過程を振り返って見るならば、その原点は、本年8月4日に民主党自民党公明党の3党で「子どもに対する手当の制度のあり方について」が合意されたこと、いわゆる「3党合意」によるものであります。

では、3党合意に基づく「子どもに対する手当の制度のあり方」の主な内容とは一体どういうものか見てみますと、支給額は、0歳〜3歳未満は、月額15000円。3歳から小学校修了前は、第1子、第2子が月額10000円。第3子以降は月額15000円。中学生は月額10000円。財源の経費負担は、旧児童手当部分は児童手当と同額の負担割合。それ以外の経費は全額国庫負担(公務員は所属庁が負担)。割合。それ以外の経費は全額国庫負担(公務員は所属庁が負担)。2012年度6月分以降は、所得制限をおこない、その基準は年収960万円程度とする。 支給要件として、国内居住要件。児童養護施設入所児童に関する施設設置者への支給。本人同意による保育料、学校給食費等の手当からの徴収。などとなっております。

この3党合意について、自民党公明党側は、「子ども手当の廃止、児童手当の復活」と主張し、民主党側は「恒久的な子ども手当」「理念は変わっていない」としておりますが、冷静に見れば、民主党が掲げていた子ども手当の理念は投げ捨てられ、制度設計上はかつての児童手当の「拡充」程度にすぎないことは明らかであります。そこでまず、市長にお聞きするものでありますが、市長はこの3党合意に基づく制度変更について、どのような評価をされているのでしょうか。その所見をお聞きするものであります。

次に、この3党合意が、子育て世帯にどのような影響をもたらすのかという点から質疑を進めて参ります。今回の制度改訂による最大の影響は、支給額の削減とすでに実施されている税制改訂による子育て世帯の家計へのマイナス効果であります。ご承知のとおり、2011年度から所得税において、16歳未満の扶養親族に係る扶養控除(年少扶養控除)33万円が廃止されると共に、16歳以上19歳未満の特定扶養親族に係る扶養控除(特定扶養控除)の上乗せ分12万円が廃止されております。また、地方税である市・県民税では2012年度以降の同様に年少扶養控除と特定扶養控除の上乗せ分が廃止されることになっております。

私は、昨年9月議会において、次のように指摘しておりました。本年9月分までの一律月額13000円の支給額では、所得税、市・県民税の年少扶養控除廃止によって、児童手当制度の時よりも家計にとってマイナスとなる層が出てくること。これを解消するためには子ども手当民主党マニフェストどおり、月額26000円に引き上げること。そうすることによって始めて、低所得者が除外される旧来の税控除方式から給付方式に改め、「子育ての経済的負担を軽減し、安心して出産し、子どもが育てられる社会をつくる」という政策目標に合致したものとなること。さらに最悪の事態は、所得税、住民税の扶養控除は廃止されるにもかかわらず、支給額が月額13000円にとどまることである。

以上のようなことを指摘しておりました。しかし、事態はもっとひどくなる可能性が出てきております。支給額が3歳未満児と3歳以上の小学校修了前の第3子以降は、月額15000円となったものの、その他はすべて月額10000円となりますから、扶養控除の廃止によって、間違いなく家計にとってマイナス効果となる世帯が増えることになるわけです。

そこでお聞きするものですが、すでに本年所得税の年少扶養控除が廃止されておりますが、家計上のマイナス効果に対し、なんらかの措置はされるのかどうか。

また、来年度以降、所得制限を設けることにより3党合意では、「所得制限世帯における所得税及び住民税の扶養控除の廃止による減収に対する必要な税制上、財政上の措置を検討し、平成24年度から所要の措置を講じるものとする」とありますが、文面から見る限り、あくまでも「所得制限世帯」すなわち年収960万円以上の層に対する措置であり、所得制限以下の中堅層で「差し引き増税」となる世帯への対応はどうなるのか、お聞きするものであります。

次に、所得制限についてお聞きします。3党合意では、所得制限の基準は「年収960万円程度」としか書かれておりません。ではこの「年収」とは一体誰の年収なのかということがわかりません。児童手当の時は、夫婦のうち収入の高い方に所得制限をかけていました。このやり方を踏襲するならば当たり前の話ですが、夫が年収960万円、妻専業主婦の場合は、所得制限の対象となり支給を受けることはできませんが、夫婦共稼ぎそれぞれ年収900万円の場合は合計年収が1800万円であったとしても支給をうけることができ、家計の合算年収においては、2倍の差があっても年収の高い方が支給されるという逆転現象が生まれてしまいます。子ども手当では所得制限はありませんでしたから、こうした問題は解消されていましたが、来年度からの所得制限では誰の所得が対象となるのか、お示しをいただきたいと思います。また、児童手当の時は、所得制限は被用者、非被用者では基準に違いがあり、市町村の事務も大変煩雑でありましたが、来年度以降の所得制限ではどうなるのでしょうか。お示しをいただきたいと思います。

次に、今回の制度改訂が地方自治体の事務に与える影響についてお聞きして参ります。今回の特別措置法では、2011年10月からの手当ての受給にあたって、支給要件に該当する全ての人から認定請求を提出してもらうことになります。この認定請求、認定、通知に至る市町村の事務について、説明を求めるものであります。 また、手続き事務にかかわる人員体制、経費について説明を求めるものであります。

次に、今回のシステム改修の主な内容は、支給額が一律13000円だったものが、15000円と10000円に分かれることによるものと3歳以上小学校修了前までの第3子以降の加算分ということですが、来年度所得制限が設けられた場合、再びシステム改修が必要となります。来年度以降のシステム改修、さらに現況届け等の事務手続きについて説明を求めるものであります。

次に3党合意に示されている、保育料や給食費について手当から特別徴収することができるという点についてお聞きして参ります。2011年10月からの手当制度に係る特別措置法では、本人同意を前提として子ども手当から、保育園の保育料や学校給食費を特別徴収することができるという規定が設けられております。 この仕組みについては、省令で細目が規定されるようですが、まずどのようなものが対象となるのか、明らかにしていただきたいと思います。さらに、本市における対応について、どのように考えているのか合わせて明らかにしていただきたいと思います。また、この特別徴収について、保育園の保育料は、公会計で処理されておりますが、学校給食費や修学旅行費は、本市では私会計で処理されております。学校給食費等、私会計で処理されているものについても特別徴収の対象となるのか、お聞きするものであります。

次に本年度当初予算に計上されておりました県支出金・子育て支援事業市町村交付金2億3600万円についてお聞きして参ります。当初予算編成時に当時の松沢県知事は、子ども手当の県負担分の支出を拒否し、子ども手当の県負担分と同額をこの子育て支援事業市町村交付金として交付するとしておりました。その際には、県の具体的な交付要綱等は明らかになっておらず、本市では主に子育て関連の既存事業へ充当されていたと思いますが、その後この県交付金の取り扱いはどのようになったのでしょうか。説明を求めるものであります。また、松沢前知事は子ども手当の県負担分について、拒否をされておられましたが、知事も代わられました。今回の制度改訂にあたって、支給額の県負担分について、現在県はどのような対応をしようとしているのか、お示しいただきたいと思います。