2017年度第1回定例会 討論

それではただ今議題となっております諸議案のうち、議案第8号の2017年度の一般会計予算に対する反対討論、議案第12号の水道事業会計予算に対する反対討論、及び陳情第11号「平成29年度からの特別徴収税額の決定・変更通知書に受給者の個人番号を記載する件についての陳情」に対する賛成討論を行います。

アベノミクスの破綻と地方財政

まず、一般会計予算についてでありますが、2017年度の座間市一般会計予算の総額は、412億6876万2千円。この予算について市長は提案説明において、次のように述べられております。

「歳入が見込めず非常に厳しい状況であるため、身の丈にあった着実かつ堅実な財政運営が必須である」

これについては、私も同感であります。日銀による国債の大量買い付けやマイナス金利の継続により、日限が供給するマネーの総額は、昨年の6月段階で400兆円を超えております。デフレ時の対応としての金融緩和は、別段驚くに値するものではありませんが、400兆円というマネー供給量は我が国の名目GDPの八割にあたり、二割程度のアメリカやユーロ諸国と比べても群を抜いております。問題は、これだけのまさに「異次元」の金融緩和を行いながら、一向にデフレ状態から脱却できす、大量のマネーの多くが株式市場に投入され、実体経済とはかけ離れた株価の「高値安定」という状況をつくり出され、多くの国民の生活実感からすればアベノミクスの「恩恵」などはどこにもないということであります。

議員の皆さん方も、新年の会合などで多くの市民のみなさんや事業者の方々とお話しする機会がおありだったと思いますが、「景気がよい」「業績がよい」とおっしゃっておられる方は何人いらしゃったでしょうか。アベノミクスは完全に失速した上、その出口を見いだせない状態です。こうしたことが、現下の地方財政、そしてわが市の財政の状況に如実に表れております。

綱渡りの予算編成

こうした経済状況の下、本市の2017年度当初予算の特徴を一言で表すならば、「綱渡りの予算編成」とでも言うべきものでありましょう。市長も提案説明の中でこう述べられております。

平成28年度予算の執行管理を徹底する中で、歳出の抑制を図り、執行残額を的確に把握した上、3月補正に計上し、その中から生み出された財源の一部を財政調整基金へ積み立てることにより、平成29年度当初予算の財源を捻出した」

おっしゃる通りなのですが、これに補足をしますと、正確には「2016年度の一般会計補正予算において、各事業の執行残額6億1565万6千円の一部というよりほほその大半と、さらに急遽、公共用地取得基金を廃止し、本来なら公共用地の取得のために積み立てておいた約1億1000万円余りの基金残高を一般財源として繰入れ、財源調整し、その結果5億2600万円余を財政調整基金に繰り入れ、基金残高を一旦は約9億9000万円ほどにしたものの、当初予算でここから8億1296万2千円を取り崩して、予算編成を行った。」というべきものであります。

さらに、その結果、財政調整基金の残高がどうなったのか、この点については市長の提案説明では触れられておりませんでしたが、今回の当初予算後の財政調整基金の残高は、わずか1億7629万9千円。一年前の2016年度当初予算成立後の同基金の残高は12億2931万9千円でしたから、わずか1年で、額にして約10億5千万円、率にして86%も大幅に減少しております。また、この財政調基金残高が1億円台まで減少したことがこれまであったのか、という質疑を企画総務常任委員会において質しましたが、当局の答弁は「初めてのことである」とのことでした。

まさに「綱渡りの予算編成」でありますが、必要なことは、なぜこうした状況に陥っているのか、その原因を分析し、財政運営のあり方を見直していくことであります。

財政調整基金の大幅減少 原因は何か

ではなぜ、財政調基金という年度間の財源調整を行う留保資金がここまで減少してきたのでしょうか。客観的にみると、二つの要因が考えられます。一つは直接的要因。もう一つは、本市の財政構造に起因する問題。

直接的要因は、2016年度に見られた法人税の大幅な減額。特定の大企業の法人市民税の減額や過去分の還付によるもので、その額は2016年度だけで約8億3000万円にのぼっており、本市のような財政規模の自治体にとっては、その「瞬間風速」による影響は大きく、これにより留保財源である当時の財政調整基金残高の大半を失うこととなりました。

もう一つの財政構造に起因する問題とは、投資的経費と標準財政規模(経常一般財源)とのバランスの問題であります。ご承知のとおり、教科書的に言えば投資的経費とは「公共施設の建設や用地購入など社会資本の形成に資する経費」で、予算参考資料の説明では普通建設事業費として区分されるものであります。一方、標準財政規模とは「国庫補助金や市債などの特定財源を除いた、市税や地方交付税など通常経常的に収入される一般財源の額」で、ある意味で地方自治体の「自力」を表すものと言えます。

具体的に見ていくならば、投資的経費は市長の2期目がスタートした2012年決算では12億4527万円であったものが、2015年度決算では、34億3858万4千円。2016年度3月補正段階では37億8045万8千円。2017年度当初予算では36億8497万円とこの5年間で3倍以上に増加しております。一方、標準財政規模は2012年度が227億1850万2千円であったものが、2015年度決算では231億1499万1千円。2016年度3月補正段階では235億2190万3千円とこの5年間でわずか3.5%、約8億円ほどしか伸びておりません。

つまり、自治体の基礎体力である標準財政規模はほとんど変わらないにもかかわらず、投資的経費は3倍となっているわけであります。このバランスに注意を払わなければ、財政上の更なる困難を抱えてしまうことになります。

実施計画事業の見直しを

市長は、今定例会の中で「総合計画に沿った事業実施、これを公約として示し、それを身の丈に合った形でなしていきたいということを申し上げております。この総合計画自体が私は座間にとっての身の丈だというふうに思っています」と述べられておりますが、ご承知のとおり、総合計画は分野別の政策目標とそれに基づく施策の重点及び方向性を示したものであり、そのもとでの事業及び予算については具体的には示されておりません。事業及び予算は、行政裁量で策定される実施計画と予算案によって具体化されるわけですから、事業実施にあたっての予算化は、当然ながら財政状況を考慮にいれながら、進めなくてはなりません。要は何を言いたいかと言えば、実施計画に盛り込まれた事業であっても、財政の状況から、その優先度を再度判断し、見直しを行うべきであるということであります。

私は、現下の財政状況の中では、実施計画事業であったとしても、特に投資的経費については、その資源配分について見直しを行い、必要最低限に抑え、市民の暮らし、健康、福祉、教育に重点的、優先的に資源配分、すなわち「人への投資」へ限られた財源を振り向けていくべきだと主張するものであります。

それでは、こうした観点から、2017年度当初予算に盛り込まれた事業費のうち問題がある主な事業について指摘し、反対理由の説明としていきたいと思います。

耐震性が疑問視される「総合防災備蓄倉庫」

まず、市長室所管の総合防災備蓄倉庫等整備事業費についてであります。本事業の審査にあたって私は大きく三つの観点から、当局と議論を進めて参りました。一つは、総合防災備蓄倉庫へ改築される現消防庁舎の耐震性能の問題。二つ目は、現消防庁舎南側法面が土砂災害警戒区域に指定されていることから、それに対する対応策の問題。三つ目は、防災備蓄品の集中管理と分散管理の問題であります。

このうち、二つ目の土砂災害警戒区域に対する対応は、今後市道30号線道路改良事業において、法面全体にわたって擁壁工事を行う予定であるとのことから、その対応については適切なものであると判断しました。また、三つ目については集中管理方式により、有事の際にこの防災拠点がダメージを受けた場合のリスクを懸念しておりましたが、避難所等での備蓄と総合防災倉庫での備蓄とを組み合わせた方式であることがわかりましたので、適切なものあると判断しました。

しかし、一つ目の耐震性能については、今回の議論では、その懸念は解消することができませんでした。現消防庁舎は、1972年に建設されたものですでに45年が経過しております。1998年に耐震補強工事を行っているものの、耐震性能を示す指標であるIS値は0.88となっております。IS値について耐震改修促進法の告示では、一般建物については0.6、病院、学校、庁舎などの防災拠点となる建物については重要度に応じてその1.25倍〜1.5倍、すなわち0.75〜0.9以上が必要とされています。この基準からすると、最重要度の建物の基準0.9には達しておらず、さらにIS値を算出する指標の中には「経年指標」も含まれております。耐震補強工事から20年近くが経過しておりますから、再度耐震診断を行い、必要とあらば改築工事と合わせて耐震補強も行うべきだと考えます。

しなしながら今定例会の予算審査における当局の答弁は、耐震診断については「費用対効果の点からどうか」「防災備蓄倉庫は常時人がいるわけではない」という理由で行わないというものでありました。東日本大震災の教訓からしても、災害においては「最悪の事態」を想定した対応が必要だと思われます。よって、新年度当初予算においては、耐震診断も含めた予算措置を行うべきであり、本事業費については認めることはできません。

小田急相模原駅前西地区再開発 公益性が少ないペデストリアンデッキ

次に、都市部所管の小田急相模原駅前西地区市街地再開発事業費についてであります。本事業については、新年度当初予算において3億4192万8千円が措置されておりますが、事業の全体を概括すれば、2014年度から2019年度までの6か年の総事業費の見込みは19億3194万4千円で、市街地再開発事業に対する補助金、保留床を市が取得する経費、及び上空横断施設(いわゆるペデストリアンデッキ)の建設費が主な内容となっております。

本事業の問題点は、再開発事業への補助にとどまらず、保留床の取得に約7億3000円、デッキの建設に約3億円、合計10億円以上の経費をかけることであります。以前当局は、本再開発事業の採算性について「保留床の取得予定者として、参加組合員予定事業者が選定されることから採算性は支障がない」と明言して事業を再スタートさせたわけですが、結果的には商業棟の75%を市が公共床として取得せざるを得なくなり、都市計画の変更決定の際には、設置が未定であったペデストリアンデッキの建設が加わり、事業費を押し上げることになったわけであります。現時点において、保留床の取得が前提として事業フレームが成り立っている以上、市が保留床の買い取りを放棄することは現実的ではない面もありますが、最低限、デッキの建設は断念すべきであります。

当局はデッキの公益性について「相模原市の再開発ビルとの往来ができ、回遊性が確保できる」ということを理由としておりますが、商業棟の店舗はほぼ一階のみで、デッキが接続される3階には店舗はありません。何のための「回遊性」なのでしょうか。どちらかと言えば高層マンション居住者の利便性が確保されるだけのものではないでしょうか。そうした点から、デッキの公益性は少なく、たとえなくても再開発事業に特段の支障はないものと思われますので、デッキ建設の実施設計委託料が措置されている本事業費を認めることはできません。

投資的経費を大幅に押し上げる都市計画道路座間南林間線の整備

次に、同じく都市部所管の座間南林間線道路改良事業費についてであります。都市計画道路座間南林間線の整備方針の政策的な問題点については、この壇上において重ねて指摘しているところでありますので、繰り返しは致しませんが、今後の投資的経費を大幅に押し上げる要素となることからしても、整備方針の見直しが必要だと思います。当局の見通しとしては、2019年度頃に都市計画の変更決定を行い、その後用地買収を行うとのことでありますが、当局の試算でも踏切立体交差だけでも事業費は27億円。用地買収と工事を含めると40億〜50億の大規模事業となります。もちろん、単年度ですべて行えるものではありませんが、本市の財政の基礎体力からして、この莫大は事業費負担は可能なのでしょうか。もし、そのまま突き進むことになれば、財政上、他の分野にそのしわ寄せが生じることとなります。今一度、立ち止まって考えなおすべきであります。

本市のインフラ整備の重点としては、こうした大規模な都市計画道路の整備を優先するのではなく、生活道路のバリアフリー化など「高齢者も子どもたちも安心して歩くこと出来る歩行空間」の整備に重点的な資源配分を行うべきであります。投資的経費を本市の財政の身の丈にあったものとし、超少子高齢化社会の到来の中で、健康、福祉、教育など、あるいは地域の商業、中小企業など地域のコミュニティの中で、懸命に働く人々、すなわち「人への投資」に力を入れるべきであります。こうした点から、今後の投資的経費を大幅に押し上げる座間南林間線道路改良事業費を認めることはできません。

以上をもって、2017年度の座間市一般会計予算に対する反対討論と致します。

上下水道庁舎 当局はPPP(官民連携)方式・リース方式の利点をどう説明していたのか

次に、議案第12号の2017年度の水道事業会計予算に対する反対する討論を行います。ここでは、PPP(官民連携)方式で行われる上下水道局局庁舎の建設、維持管理について、今回の予算審議において明らかとなった問題点を指摘をして参りたいと思います。

まず、今回上下水道局庁舎の建設、維持管理をPPP方式リース方式で行うこととした理由について当局は、次のように説明されておりました。

「資金調達、設計、建設、施設の維持管理等を民間事業者に一括発注することにより、従来の公設公営発注方式と比較して事業費の削減、事業推進の効率性などが望める」

「PPP事業方式により財政負担額を軽減する手段の一つとして、上下水道局庁舎に商業施設を併設し、賃貸借料を収入として見込み、上下水道局がリース会社に支払う費用負担を軽減する考えである」

と、これまでの議会の答弁で述べられておりました。

公設公営方式の安い

昨年6月議会段階の試算では、上下水道局が負担する費用すなわち20年間のリース料総額は2億4900万円(年間1245万円)であったものが、本年2月に行われた大和リースとの契約においては、5億2254万円と2倍以上に膨らんでおります。

これについて当局は本定例会において、この昨年6月議会の答弁以降、昨年8月、債務負担行為の設定にあたり再試算をしたところ、公設公営の場合は5億5922万9千円、リース方式の場合は5億2260万6千円となり、比較すると公設公営方式方式に比べリース方式の方が3662万3千円安くなる」と答弁されました。

ところが、当局が公設公営の場合の費用負担額として持ち出してきた5億5922万9千円は、建築費や維持管理費などの支出の総額であり、お客様センター賃料や商業施設賃料は差し引かれておりません。このことを予算決算常任委員会都市環境分科会において問いただしたところ、当局は公設公営の場合のお客様センター賃料は5966万4千円、商業施設賃料は6079万4千円と試算していたことを明らかにしました。

要するに当局は、自ら公設公営の場合の賃料を収入として試算しておきながら、リース方式との比較においては、それを差し引かずに比較をするという、全く持って、不可解かつ非合理的な態度をとっているわけであります。故に、当局が自ら試算された公設公営の場合の費用負担額は、支出から収入を差し引くと4億3877万1千円で、リース方式より約8300万円ほど、公設公営の方が安くなるというのが、妥当な比較であります。当局の「比較」は、リース方式の方が「安い」ということ演出するための、極めて作為的なものとしかいいようがありません。

リース料の総額(20年間)は5億2260万6千円だけではない

さらに、上下水道局が支払う20年間のリース料総額は、5億2260万6千円となっておりますが、費用負担はこれだけではありません。先ほども紹介したとおり、当局は「資金調達、設計、建設、施設の維持管理等を民間事業者に一括発注することにより、従来の公設公営発注方式と比較して事業費の削減、事業推進の効率性などが望める」とおっしゃられておりましたが、今回の契約では維持管理費のすべてをリース会社が負担するわけではありません。

今回の事業者公募にあたっては、昨年8月に事業者公募を行ったものの応募者がなく、11月に再度公募を行い、大和リース株式会社1社のみが応募しておりますが、上下水道局が事業者に求める要求水準書では、8月と11月を比べると求める水準は事業者側にとって有利な内容へ緩和されております。8月段階では事業者が行うものとされていた「建物内部の清掃業務」「害虫駆除業務」「廃棄物処理業務」が11月では削除されており、この費用は当然上下水道局の負担となります。

また、法定点検・定期点検によって発見された不具合に対する事業者の対応は、8月段階では「対応する」であったものが、11月では「報告する」に変更されております。「報告」後の対応は定められておりませんから、上下水道局と大和リース株式会社との「協議」によるものと思われますが、その結果上下水道局側の負担が生じる可能性があります。

さらに、大和リース株式会社との契約書では、第4条(賃貸借料及び支払方法)の12項では「前項のお客様センター事業者が変更された場合には、乙(大和リース)が提案書にて提示した費用を基に市と協議して賃貸借料を決定するものとするが、決定した賃料を下回る場合には甲(上下水道局)の費用において支払うものとする。」と定められております。これは、市から委託されたお客様センターの事業者が賃料を支払えない場合は、不足分を上下水道局が支払うことを定めたものであり、いわば上下水道局が債務保証する形となっております。

以上の点から、上下水道局の負担はリース料の総額5億2254万円にとどまるものではありません。確実にこの額に加えて費用負担が生じることとなり、その額は上下水道局が作為的に示した公設公営の場合の費用負担額5億5922万9千円をも上回ることになるでしょう。これでは、民間活力を導入した方が、事業費の負担は軽くなるという話は一体どこへ行ってしまったのか、と言わざるを得ません。

民間活力の導入による庁舎建設 妥当性はない

今回のこうした「民間活力の導入」による上下水道庁舎の建設、維持管理については、コスト比較の妥当性の問題、準備事務における当局の説明責任の問題、さらにこうしたずさんな試算のもととなったアドバイザー契約及び導入可能性調査を行ったコンサルタント会社への委託費支出の妥当性の問題などから、新年度予算において措置されているリース料の支払いは認めがたく、反対をするものであります。

今後の公共施設再整備 しっかりとした検証を

なお、現在本市においては「公共施設再整備計画基本方針」が策定されようとしております。示されている素案では、「民間活力の導入」として「民間企業等のもつ多様な知識、ノウハウの活用等、より効率的な管理運営に資する方策を積極的に取り入れます」とし、さらに「施設の所有権を民間に移譲することについても、費用抑制につながるのであれば、中長期的な視点から選択肢の一つとします」と記されており、アンケート調査では市は公民館や文化センター、図書館などについて「民間活力の導入による効率的な事業運営」を例示しております。

今後、公共施設再整備計画が策定されることと思いますが、本来なら今回の上下水道庁舎建設における「民間活力の導入」は、その最初の事例として、「成功例」をつくりたいという衝動が、官民コスト比較における客観性を欠いたものとしたように、私には思われます。市長はじめ当局におかれましても、議員諸氏におかれましても、今後の官民連携事業においては、しっかりとした検証が必要であるということを最後に申し添えておきたいと思います。

必要のないマイナンバーの記載はやめるべき

次に、陳情第11号「平成29年度からの特別徴収税額の決定・変更通知書に受給者の個人番号を記載する件についての陳情」に対し、賛成討論を行います。 本陳情は、「給与所得者等による市町村民税・道府県民税特別徴収額の決定・変更通知書に受給者の個人番号を記載しないこと」等を求めたものであります。

これは、本市の行政事務に置き換えてみますと、市が市民税・県民税の特別徴収額(いわゆる給料からの天引き額)を事業者へ送付する際に、特別徴収を受ける従業員の個人番号を記載する欄が設けられ、その記入については、「記入してくださいよ」という助言が国からあったということであります。

法令上からすれば、個人番号の記載欄は、総務省令である「地方税法施行規則の一部を改正する省令」の中の「様式」として定められているものであり、記入に関しては地方自治法第245条の4に基づく「技術的助言」に過ぎません。なお、省令は、法律の委任がなければ、罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができないこととなっております。故に記入にあたっては省令ではなく、「技術的助言」という形をとっているわけであります。当たり前の話ですが、「技術的助言」ですから、それに従うのか従わないのかは、地方自治体の独自の判断によるものでありますので、自治体によっては自らの判断で個人番号を記載しないことを決めている自治体もあります。しかし、残念ながら本市も含めて多くの自治体が国の「助言」に、ひたすら従う姿勢を見せている中で、個人情報保護の観点から、その対応をあらためるよう求める陳情であると理解致しました。

市から税額の決定の通知を受けた事業者が、住民税のいわゆる天引きに係わる事務を行うに当たって、個人番号は一切必要はありません。このことは、市当局の答弁でも改めて明らかになりました。また、必要がないにもかかわらず個人番号を記載することは、特別徴収を行う全ての事業者に送付されるわけですから、個人番号の漏えい、流出のリスクが生じてきます。さらに、勤務先に個人番号の提供を拒否した従業員からすれば、本人の承諾なしに、個人番号が事業者へ知らさせることとなります。

これは、個人情報の自己コントロール権を侵害するものでありますので同陳情に賛成するとともに、当局においては、特別徴収額の税額決定等に通知にあたっては、必要のない個人番号を記載しないよう求めるものであります。

以上、私の意見を申し上げながら、討論を行って参りました。賢明なる議員諸氏におかれましては、是非ともご賛同いただきますよう、お願いを申し上げ、討論を終わります。