2014年8月17日 半田滋さん(東京新聞 論説・編集委員)講演要旨

集団的自衛権の行使容認を閣議決定した安倍首相。7月1日の記者会見では、ウソが満載された。
安倍首相:「集団的自衛権が現行憲法で認められているのかという抽象的議論ではない。現実に起こり得る事態に現行憲法下で何をなすべきかという議論だ」
輸送艦で運ばれる日本人母子が大きく取り上げられたが、そんな母子はいない。あり得ない。1997年の日米ガイドラインにおいて、自民党中谷元議員は、邦人輸送について「最終的には断られました」と答弁している。ガイドラインでは「非戦闘員を第三国から安全な地域に退避させる必要が生じる場合には、日米両国政府は、自国の国民の退避及び現地当局との関係について各々責任を有する」とある。

安倍首相:「自衛隊がかつての湾岸戦争イラク戦争での戦闘に参加するようなことはこれからも決してない」
一方で、国会の集中審議では「ホルムズ海峡の機雷除去は検討に値する」と答弁。機雷除去は明らかに武力行使となる。また、このことは、2012年8月に出されたアーミテージレポートの中に「日本は単独でもホルムズ海峡の機雷を除去すべきだ」と書かれており、その言葉を繰り返しているにすぎない。「日米同盟は血の同盟」が持論の安倍首相、日米同盟の強化のために集団的自衛権を行使したのに米国の戦争を支援しませんとはいえない。

安倍首相:「他国を守るために日本が戦争に巻き込まれるという誤解があるが、あり得ない」

1990年代、米国が北朝鮮への攻撃を検討していた時、当時の防衛庁は「k半島事態対処計画」というものをつくり、その中では「港湾・重要防護施設の破壊、弾道ミサイル攻撃、27万人の難民」などを想定しており、「巻き込まれない論」は、政府の思考停止としか言いようがない。また、今回の記者会見でも、集団的自衛権を行使した場合の自衛隊のリスク、日本本土が攻撃されるリスクについて、全く説明していない。

安倍首相「今回の新三要件も、今までの三要件と基本的な考え方は同じ」

我が子と隣人の子の区別ができないのか。全く違うもの。ただし、内閣法制局を通った文章。元法制局長官の阪田氏は「新三要件では個別的自衛権しか行使できない」と言っている。まっとうに解釈すればそうなる。しかし、読み方によればどうにでも読める。最後は首相判断で押し切るつもりか。


■付け焼刃の安全保障政策
米軍再編の最終合意の中で、沖縄の海兵隊は実戦部隊が残る。グアム島に司令部と後方支援部隊が移動していくということが決まった。この時、沖縄のみなさんや野党は逆してほしいと、乱暴者がいて、事件・事故を引き起こしているのは実戦部隊じゃないか。実戦部隊をグアムに移してほしいということを強く求めたが、「それでは抑止力が維持できない」といって日本政府は断った。

しかし、おととしの4月に再び日米で米軍再編の中身がやりとりされた。その結果、キャンプシュアブにいる第4海兵連隊がグアムに移転することになった。抑止力が維持できないと、あれほど実戦部隊は動かせないと言っていたにもかかわらず、アメリカから「都合で中身を入れ替えますよ」と言われたとたんに、「どうぞ、どうぞ」と。抑止力ということでは何も説明できないようなことを認めている。

なんでこれだけ基地が必要なのか。ほんとうに抑止力というだけの中身が沖縄の米軍基地にはあるのか。海兵隊19000人が定数と言われているが、ほんとうに海兵隊はどのくらいの人数がいるのか。県道104号越えの訓練移転のために1年のうち9か月を沖縄をあけてしまう、第12海兵連隊、そしてグアムに移転していなくなってしまう第4海兵連隊、また1年のほとんどを船の上に乗って過ごしている第31海兵遠征隊、これが沖縄のすべての実戦部隊。これらの人たちが沖縄にいないのに、抑止力だというのはあまりにもウソではないか。こんなことを認めていてはいけない。

キャンプ座間でも、当初、米陸軍第一軍団司令部の移転は「展開可能で統合任務が可能な作戦司令部組織に近代化される」ということだったが、現実には前方司令部として専従要員はわずか3名。司令官も少将。米軍では中将以上でないと統合指揮はできない。陸自の中央即応集団司令部が座間に移転してきても、連携はとれない。当初の米軍再編最終合意と違っている。

■日米同盟と集団的自衛権 「行使容認」自体が目的

アメリカの中で「知日派」と言われているリチャード・アーミテージジョセフ・ナイといったような人たち、アメリカのシンクタンクのもとでアーミテージレポートという日本に対する安全保障政策をこのようにやりなさい、というロードマップというようなものを過去3回出している。

それが2000年、2007年、2012年。そして毎回書いてある言葉が、「集団的自衛権権の行使を禁止していることが正常な同盟関係の阻害となっている」。すなわち、日本は憲法を変えるか、憲法解釈を変えて集団的自衛権の行使を認めるようにしてほしい。そうなれば、アメリカとイギリスとの関係のように正常な同盟関係となるということを、繰り返し繰り返し日本側に突き付けてきた。

安倍首相は、7/14.15の予算委員会の集中審議の中で、「日米同盟は死活的に重要である」と言っている。アメリカから要求されたことに「ノー」と言ったら大変なことになる。だからアメリカの要求に対しては答えていかなければならない。そういう趣旨を述べた。

振り返ってみれば、アメリカはフセイン政権が、大量破壊兵器を隠し持っていると、今から考えればとんだ間違いだったのだが、そういうウソをついて始めたイラク戦争に対して、わが国政府は批判的だったドイツやフランスと異なって、イラク特別措置法という法律をつくって、600人の陸上自衛隊を2年半にわたって、イラクに送り込んでいった。

この時、2004年12月4日、小泉首相が国会で国民に述べた言葉は「日米同盟は何より重要だ」。あの時はまだ、憲法解釈の変更はなかった。したがって派遣された陸上自衛隊の隊員は、人道支援。現地で道路や橋を直したり、医療指導として現地のお医者さんたちに医療のやり方を教えたり、給水、水を提供したり、そういう活動に徹してきた。

しかしながら、7月1日をもって憲法解釈を変える。今年の12月までには日米防衛協力のための指針、日米ガイドラインを変えて、アメリカのためにもこらから日本は戦争ができるように変えていく。

そうすれば、アメリカに対して約束をしたことになる。来年の通常国会では、自衛隊法、日本の周辺でアメリカが行う戦争に、自衛隊ばかりでなく民間人を協力しなければならないとした1999年に定められた周辺事態法も大きく変わっていくだろう。

この12月に対米公約をする。その対米公約に基づいて、来年の夏までには日本が文字通り法律によって戦争ができる国になる。そういうことがほぼ決まったと言える。

安倍首相自身も、2004年に表した「この国を守る決意」という中で、「軍事同盟は血の同盟」「アメリカを日本を守るために血を流しても、日本は血を流すことがない。これで対等なパートナーシップと言えるのか」「我々の世代には重大な責務がある。日米安全保障条約を堂々たる双務性に高めていくこと」そのように述べている。

これまでの自民党政権は、日本はアメリカを守ることができない代わりに沖縄など多くの基地を提供する義務があるのだ。アメリカと対等な関係なのだ。アメリカは日本を守り、日本はアメリカにただで基地を提供している。すでに安保条約は双務性を帯びているという、自民党政権の考えを安倍首相は覆してしまった。

これで、日本はアメリカも守る。過重な基地の負担も引き続き受け入れる。こういうことを約束してしまった。要するに、安倍首相が集団的自衛権の行使を容認すること自体に目的があったからと考えざるを得ない。

2014年6月 第二回定例会 討論

 それでは、ただ今議題となっております議案第28号から議案第33号までの諸議案、並びに陳情第25号、陳情第26号について、賛成並びに反対の討論を行います。

 まず議案第28号の2014年度の一般会計補正予算について、反対の討論を行います。なお、念のため申し添えておきますが、私が所属いたします都市環境常任委員会の採決においては、私は付託されました当補正予算の所管事項について、概ね妥当なものとして賛成を致しましたが、その他の事項において、賛成しかねる点がございますので、本会議におきましては反対をするものであります。

 それでは、その理由を申し上げて参ります。当補正予算は、歳入歳出予算の総額に歳入歳出それぞれ4103万8千円を追加し、歳入歳出予算の総額を381億5577万1千円とするものでありますが、そのうち総務費、総務管理費、渉外費の中に、基地返還跡地利用促進事業費845万4千円が含まれております。

 本事業費は、本市が2012年1月に策定しました「改訂キャンプ座間チャペル・ヒル住宅地区返還跡地利用構想」の土地利用方針に基づき、5.4haの返還予定地のうち、1.5haの国有地を財務省より座間市が賃貸借し、さらに民間病院事業者へ転貸をする際に、その賃料を座間市が負担するものとして、当年10月から来年3月までの使用料及び賃借料として543万9千円。さらに、当該国有地が、日米合同委員会における正式返還に至っていないため、その間、日米共同使用として工事を着手する際に、在日米陸軍工兵隊日本技術本部に施工監理業務の負担金として300万円を支出するものであります。

 この事業費の補正措置については、病院誘致に係る単体の事業費補正と考えるならば、財務省の土地鑑定評価の結果が公表されていないことや米軍の施工監理業務負担金の算定根拠が明らかではないことなど、妥当性を検証しえない点があるものの、相場観からすれば、率直に言って特に大きな問題はないと思う次第であります。

 しかし、今回の補正措置は、「改訂キャンプ座間チャペル・ヒル住宅地区返還跡地利用構想」に基づく、キャンプ座間部分的返還地の具体的な跡地利用に係る実質上最初の予算措置となりますので、改めてこの間の経緯を振り返り、この「構想」の是非について検証し、妥当性を判断しなければならないと思うところであります。

米軍基地=キャンプ座間の基地強化に反対した座間市、市議会、市民

 それではまず、このキャンプ座間部分的返還に至る経緯について、振り返ってみたいと思います。事の発端は、今から約10年前、当時のブッシュ米大統領は、地球的規模での米軍の態勢見直し、すなわち米軍再編を始めるとの声明を2003年11月に打ち出しました。

 これを受けて、2004年3月2日、座間市相模原市、神奈川県は、外務省に対し、「キャンプ座間の基地強化は容認できない」との要請を行い、同年3月24日には座間市議会は「米陸軍第一軍団司令部のキャンプ座間への移転に強く反対する意見書」を採択しております。なお、その後本市議会は、2007年までに合計11回、米・日新司令部のキャンプ座間への移転反対と基地の恒久化解消の意見書、決議を採択しております。さらに同年11月16日には「キャンプ座間米陸軍第一軍団司令部移転等に伴う基地強化に反対する座間市連絡協議会」(以下 市連協)を結成、その設立趣意書では、「市・議会・市民が一体となり、日本政府に対し早急に的確な情報提供を求めるとともに、第一軍団司令部等のキャンプ座間への移転について反対の意思を表明し運動を興すため」とその目的が記されております。市連協は、その後2006年4月より基地強化に反対する署名運動を展開し、約6万筆の署名を外務大臣と当時の防衛庁長官あてに提出をしました。

 しかし、それ以降、本市を含む地元自治体には日本政府から、正式な情報提供も、意向聴取も全く行われないまま2005年10月29日、日米安全保障委員会(2+2)において、在日米軍再編の中間報告が合意され、本市に関係するところでは、米陸軍第一軍団司令部(UEx)と陸上自衛隊中央即応集団司令部の移転が示されていたわけであります。

 これに対し、本市では市連協によって2005年11月18日には、「キャンプ座間の基地強化・恒久化に反対する市民大集会」、翌年3月11日には「キャンプ座間の基地強化・恒久化に反対する3.11市民大集会」が開催され、市・議会・市民一体となった反対運動が取り組まれ、国に対しては、基地強化反対の意思と基地恒久化解消に向けた具体的方策を示すよう求めていったわけであります。

政府の「兵糧攻め」と既成事実化
 しかし、当時の小泉政権は、こうした地元自治体の意思を顧みることなく、2006年5月2日には米軍再編最終報告に合意、これ以降、日本政府は、座間市が求めていた基地恒久化解消策を示すことなく、2007年には、第一次安倍政権は米軍再編に対し賛成する自治体には交付するが、反対する自治体へは交付しないという国の補助金による基地所在市町村へのコントロールを意図した「再編交付金」を含む「駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法」を成立させました。そして、本市をはじめ、沖縄県名護市や山口県岩国市など、米軍再編に反対する自治体に対して、くしくも当時の星野勝司座間市長が「兵糧攻め」とおっしゃったように、露骨な補助金を通じた圧力をかけてきたわけであります。 また、一方で2007年12月には、キャンプ座間内に米陸軍第一軍団前方司令部が発足し、米軍再編を既成事実化する動きを強めて参りました。

防衛省「反対の旗をおろせ!」

 こうした、補助金を通じた基地所在市町村への圧力と米軍再編計画の既成事実化を先行した上で、防衛省は2008年7月28日市連協に対して「貴会が求めるキャンプ座間の恒久化解消への方策について」という回答文を提示、その中で「防衛省座間市に対し、誠実に履行すると約したキャンプ座間の基地縮小など、座間市及び同市市民の負担軽減策等を責任を持って履行するため、防衛省座間市は、継続的、定期的に両者が協議を行う場を設置することに合意し、ここに確認する」と記された確認書への同意を求めてきたわけであります。

 その際に、防衛省は、市連協の会長でもあった当時の星野勝司座間市長に対し、「市連協は米軍再編に反対する会である。また、庁舎前の『反対』の横断幕もその関連。この二つがそのままであったら、確認書の締結はむずかしい」と、本市並びに反対運動組織であった市連協に対し、文字通り「反対」の旗を降ろすように露骨な圧力をかけてきたのでありました。

 それに対し、市連協会長であった星野勝司前座間市長は、7月28日午後2時に南関東防衛局長が来庁し、回答を提示した直後、すなわちその日の夕方に市連協役員会、夜に市連協臨時総会を招集、市連協臨時総会では、この確認書の締結にあたって防衛省側が提示してきた市連協の解散と「米陸軍第一軍団司令部等の移転反対」の懸垂幕の撤去について、意見が大きく分かれる中、なぜかあらかじめ用意されていた市連協解散の動議文が読み上げられ、採決を強行。その結果、市連協解散が即日決められてしまったわけであります。

 そして、約6万人もの反対署名のご協力を市民に頂きながら、その市民へは何の説明も議論もないまま、同年8月8日には、座間市長と防衛省地方協力局長、南関東防衛局長との確認書が調印されました。
ところが、不思議なことに、文字通り「米陸軍第一軍団司令部等の移転反対」という懸垂幕は降ろされたもの、当時の座間市側の公式な見解及び文書では、「移転を容認した」という文言は一切ありません。まさに、玉虫色の「決着」のシナリオが市民不在の中で、演じられたということであります。

基地強化には反対しない遠藤市長

 その後、同年9月には、市長選挙、市議会議員選挙が行われ、前星野市長に代わって、現在の遠藤市長が就任されました。遠藤市長の基地問題に対するスタンスは、就任直後の市長の施政方針に対する私の質疑への答弁において示されております。

 まず、本市が市是としてきた「基地の恒久化解消」について市長は、「私としてもこの大原則を堅持し、それを尊重・継続していく」としていますが、基地機能の強化に対する態度では「厳しい反対運動してきた中でも厳然と基地機能は強化された」として、「負担軽減を粘り強く交渉していきたい」と述べるにとどまり、基地強化に対する反対姿勢については明確にしておりません。こうした姿勢が、その後のキャンプ座間5.4ha追加的返還に伴う土地利用方針に反映してきていると言わざるを得えないのであります。

「アメとムチ」 部分的返還と自衛隊宿舎

 遠藤市長が就任した翌年である2009年10月28日、キャンプ座間に関する協議会第4回幹事会において南関東防衛局より「チャペル・ヒル住宅地区返還候補地」5.4haと返還予定地内に自衛隊宿舎を建設する計画が示されました。

 この追加的返還地の土地利用について、返還地全体を座間市が利活用すべきか、自衛隊宿舎の建設を前提としてその他の土地を座間市が利活用するのか、この点が最大の論点であったわけですが、遠藤市長はすでに翌年2010年第一回定例会において「自衛隊宿舎を認めつつ、建設地や規模が確定していないので、極力抑えた形で市民にとっても有効活用できるようなレイアウトをお願いをしたい」と、早々と座間市の全面利活用をあきらめ、防衛省の意向どおりに自衛隊宿舎の建設を容認する姿勢を明らかにしました。

基地跡地はすべて座間市民のために

 当時私は、自衛隊宿舎は、駐屯する陸自中央即応集団司令部並びに陸自第4施設群の関連施設であり、キャンプ座間の基地強化につながり、市是(基地の恒久化解消)に反すること。国家公務員宿舎の整理・廃止が緊要の課題となっている中で、行政改革に逆行し、貴重な国税の浪費にあたること。以上の点から、返還地への自衛隊宿舎の建設に反対し、返還地全体を座間市が利活用しうる跡地利用計画を策定すべきであるということを主張しておりました。

 さらに、そのための具体案として、高座清掃施設組合の焼却施設並びに付帯施設を、返還予定地に移転することを市長にも提案しました。

 その理由は、第一には高座清掃施設組合の中間処理施設は、長年にわたって海老名市本郷地区に多大な負担をかけてきたこと。焼却炉の更新が必要とされる中で、高座清掃施設組合を構成する本市もその負担を分かち合うべきだということ。第二には、国有財産法第22条において、国有財産普通財産の無償貸付の対象として「ごみ処理施設」「し尿処理施設」が挙げられており、国に対し返還地の無償貸し付けを求めていく説得力ある理由となること。第三には、焼却施設などの処理施設と合わせて付帯施設を移転することになれば、温水プールや浴場施設など、本市において未整備であり、かつ将来にわたっても整備が見込めない市民のためのインフラを整備することができること。第四に、施設建設費、維持管理費は、一部事務組合である高座清掃施設組合の分担金により賄われるため、本市にとって財政的マイナスはないこと。以上のような点でありました。

自衛隊宿舎ありき」の跡地利用計画

 しかし、市長並びに当局は、こうした跡地利用計画について、市民説明会やパブリックコメントなど市民からの意見聴取は行わず、唯一とられた市民参加の手法は、座間市基地返還促進委員会への諮問のみ。しかもその基地返還促進委員会の審議は、結論が出るまでは全て非公開とし、さらに、返還跡地の全面活用か、自衛隊宿舎建設を前提とした土地利用とするのかという議論をいきなり第1回目の会議において行い、その際には国有財産法財務省の土地処分条件等などの基本的な資料を提示することなく、「自衛隊宿舎ありき」という「結論」へと誘導していったわけであります。

 そして、こうした当局の露骨な誘導と下書きをもとに、2010年11月には座間市基地返還促進委員会からの答申、これを受けて市長は、12月には自衛隊宿舎ゾーン、病院誘致ゾーン、公園ゾーンからなる「キャンプ座間チャペル・ヒル住宅地区返還跡地利用構想」を決定、さらに、2012年1月には、これに新消防庁舎の建設を加えた「改訂キャンプ座間チャペル・ヒル住宅地区返還跡地利用構想」を決定したわけであります。

変質した座間市の基本姿勢

 こうした経過を総括するならば、本市の基地対策の基本姿勢並びにキャンプ座間部分的返還地の現行の土地利用計画となった最大のターニングポイントは、2008年7月28日。座間市が基地強化に反対する旗を降ろした日であります。これ以降、それまで堅持してきたキャンプ座間の基地強化に反対という基本姿勢、具体的には米軍再編に伴う米・日両司令部のキャンプ座間移転に反対する姿勢を転換し、これらを実質上容認し、防衛省の認める範囲内での負担軽減、すなわち再編交付金や特定防衛施設周辺整備交付金などの自治体をコントロールするカネに依存し、自衛隊宿舎以外の土地利用において便宜をはかってもらうという、防衛省依存の基地対策へ本市の基本姿勢が変質したと言わざるを得ません。

 こうしたことは、原発立地自治体が、国策の名の下に、補助金交付金漬けとされ、地方自治体としての自主性も喪失し、一旦、過酷事故が起これば、満足な補償や生活再建のための十分な支援な受けられず、まるで「平成の棄民政策」の如く切り捨てられていく現状と、座間市の将来がオーバーラップして参ります。

 以上のような点から、今回、キャンプ座間部分的返還地の跡地利用の実質上最初の予算措置が含まれる本補正措置に反対することを表明するものであり、本市の基地対策が「歌を忘れたカナリヤ」のようにならないためにも、多くの議員が賛同されることを訴えるものであります。

 次に、議案第29号から議案第33号までの、条例の一部改正並びに道路認定については、議案第30号を除けば、概ね妥当なものとして賛成するものであります。

なぜか外されたパチンコ屋、ゲーセンの建築制限

 議案第30号については、以下の理由で反対をするものであります。本議案は、座間市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正し、小田急相模原駅北口周辺地区の建築物の建築制限を変更しようとするものでありますが、今回新たに「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」いわゆる風営法の第2条第1項第1号から6号までに掲げる風俗営業又は同条第6項各号に掲げる店舗型性風俗特殊営業の用に供する建築物の建築を制限することが盛り込まれました。

 しかし、風営法第2条第1項に規定される風俗営業とは、1号から6号までに規定されているものだけではありません。7号では「まあじゃん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」、8号では「スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるものを備える店舗 その他これに類する区画された施設において当該遊技設備により客に遊技させる営業」が規定されております。
ところが、今回の改正では、この風営法第第2条第1項の7号、8号に規定される営業、具体的にはパチンコ屋やゲームセンター等は、建築制限が除外され、同地区計画区域内や、今後実施される再開発事業区域内においてもその営業は排除されないこととなります。

 この点について当局は、議案の審議において「市街地再開発事業に参加していない既存建築物につきましては、不適合にならないようにした」と説明をされました。確かに、同地区計画区域内には、再開発事業に参加していない地権者も含まれており、パチンコ屋やゲームセンターが営業されておりましたが、たとえ、同地区計画内の建築制限にパチンコ屋やゲームセンター等が加えられたとしても、それらは「既存不適合」として、その営業権は担保されることになり、営業を再開することも可能であります。しかし、今回のように地区計画内の建築制限からパチンコ屋やゲームセンターを外したことにより、これらの営業は再開発事業区域内でも可能となってしまいます。

 当局は、この市街地再開発事業について、「高度利用と都市機能の更新を図り、安全・安心のまちづくりを実現するために、その公益性は高い」と説明をされてこられましたが、風営法第2条第1項の7号.8号の営業に関しては建築制限を適用しないという今回の改正案は、当局が自ら説明した事業の公益性に相反するものではないかと思う次第であります。よって、本条例の一部改正には反対をするものであります。

 次に、陳情第25号「地球社会建設決議に関する陳情」と陳情第26号「『手話言語法(仮称)』制定を求める意見書の提出を求める陳情」についてでありますが、陳情第25号については、これまでと同様の理由により反対をするものであります。陳情第26号については、陳情の趣旨に賛同し、賛成をするものであります。

 以上で、議題となっております議案、陳情について、賛成及び反対の討論を終わります。

 

 

2014年3月 第一回定例会 討論

 それではただ今上程されております議案・陳情について、賛成並びに反対の立場から討論を行います。

減収補てん債の起債は妥当だったのか

 まず議案第1号から議案第6号までの、2013年度の一般会計補正予算、各特別会計補正予算並びに水道事業会計補正予算については、概ね妥当な措置として賛成をするものでありますが、1点だけ指摘をしておきたいと思います。具体的には2013年度の一般会計補正予算に計上されております5400万円の「減収補てん債」についてであります。

 この減収補てん債は、地方財政法第5条ただし書の規定により、市民税法人税割及び利子割交付金について、当該年度の普通交付税の算定に用いる基準財政収入額の算定基礎となった収入見込み額が、実際の税収額を下回る場合に、その減収分について起債措置が認められるものであります。2007年には従来、建設事業の一般財源相当分に対する補てんに限られていたものが、法改正により、「当分の間」建設事業費以外の経費にも充てられることができるという特例措置が認められ、本市でも特例措置による減収補てん債を2007年度には4億円、2009年度には4億8000万円起債しております。

 今回の減収補てん債の起債は、前回とは違い特例措置ではなく、法第5条ただし書の規定に基づくもの、すなわち建設事業の一般財源の不足分に充てるものであり、起債額も5400万円と前回と比べると大幅に少ないものであります。であるならば、減収補てん債の起債ではなく、年度間の財源調整機能を持つ財政調整基金を取り崩し、対応すべきではなかったのではないでしょうか。

 減収補てん債を起債した場合、後年度、元利償還金の75%が地方交付税基準財政需要額に算入され、起債しない場合は翌年度の普通交付税の算定において精算されることとなり、その場合の算定率も75%となりますが、厳密に言えば、起債した場合は交付税参入されない25%分の利払いが、本市財政にとってはマイナスとなります。2013年度補正予算段階での財政調整基金残高12億7800万円からすれば、十分に補てん財源は確保しえたと思いますので、安易な減収補てん債の起債については注意を促すものであります。

 次に、議案第7号から議案第12号までの2014年度の一般会計予算、並びに各特別会計予算、水道事業会計予算について、反対の立場から討論を行います。

依存財源の大幅な伸び
2014年度座間市当初予算の特徴

 まず、本市の2014年度一般会計当初予算の特徴を概括すれば、予算総額381億1473万3千円は当初予算としては史上最大。歳入歳出予算総額は前年度比5.9%、額にして21億円の伸びとなっております。前年度との歳入構造の変化をみると、額で最大の伸びとなったのは国庫支出金で7億6668万円の増、次いで地方債の2億9138万円の増、次いで地方交付税の2億3240万円の増、次いで市民税の1億7248万円の増、となっております。

 この最大の伸びとなった国庫支出金の7億6668万円の増について、これをさらに分解していくと、前年度比で大幅な増となったのは民生費国庫補助金の5億2313万1千円の増と土木費国庫補助金の3億925万1千円の増。このうち民生費国庫補助金については、消費税増税に伴い当該年度限り給付される臨時福祉給付金と子育て世帯臨時特例給付金の事業費と事務費5億146万2千円で、これが増加の主な要因になっていることは明らかであり、これを除けば、ほぼ社会保障関連施策の自然増によるものと説明することができます。一方、土木費国庫補助金の3億925万1千円の増は、国の2014年度予算の特徴、すなわち公共事業重視という先祖がえりによって95兆8千億円という史上最大規模となった国予算に起因するものであると言えます。

 次に、歳出構造を見ていきますと、性質別歳出では一番の伸びを示したのは投資的経費で、前年度比約60%増、額にして11億4516万円の増となっており、次いで補助費等の4億6016万円の増、物件費の3億5670万円の増となっております。投資的経費の大幅増は、歳入のところで述べた土木費国庫補助金の増と市債の増並びに小中学校のエアコン設置事業に対応するものであります。補助費等の約4.6億円の増は、臨時福祉給付金と子育て世帯臨時特例給付金の増、物件費の約3.5億円の増は、保育、マイナンバー、財務会計システムの更新等のシステム改修費と小中学校のエアコンリース代の増によるものであります。

 また、目的別歳出では、民生費が10億8589万円の増、次いで土木費が7億9912万円の増、次いで教育費が4億2485万円の増となっており、当たり前の話ですが性質別歳出の特徴と同じ理由によるものであります。

 以上これらを総括すると、歳入においては、市民税などの自主財源の伸びに比べて、国庫支出金や市債などの依存財源の伸びが、大きく上回っているということ。歳出においては、投資的経費、補助費等、物件費が大きく増加し、事業ベースでは、臨時的一時的な施策である臨時福祉給付金と子育て世帯臨時特例給付金の他、建設事業である道路、公園等の整備事業、小中学校エアコン設置事業等が、増加分の特徴的施策となっていること。以上が、2014年度当初予算の主な外形的な特徴であると言えます。

 それでは、続いてこうした外形的な特徴を持つ2014年度座間市当初予算について、私の反対理由を申し上げて参りたいと思います。

消費税増税反対!効果のない「給付金」に反対!

 まず、本年4月1日から行われます消費税増税に係る施策、すなわち臨時福祉給付金と子育て世帯臨時特例給付金についてであります。

 両給付金は、昨年12月5日に閣議決定された「好循環実現のための経済対策」により、消費税率引き上げ時の低所得者対策等として、簡素な給付措置が盛り込まれたことによるものであります。具体的には、臨時福祉給付金は世帯全員住民税非課税の世帯に対して、1人あたり1万円(公的年金受給者、児童扶養手当等のも1人あたり1万円を2014年中に1度きり、支給するものであり、臨時福祉給付金の受給世帯は重複支給はされない設計となっております。

 厚生労働省は、「消費税引き上げに際し、低所得者に与える影響に鑑み、適切な配慮を行うため」とその目的を説明しておりますが、1回きりの、しかもわずか1万円の給付金が、低所得者を直撃する消費税増税による負担増を緩和することができるのでしょうか。当然ながらあり得ない話であります。

 また、この両給付金は、本市においては事業費ベースで合計4億1804万円に対し、その事務費は8342万2千円。支給対象者の見込みが約3万6千人ですから、一人あたり1万円の給付のために約2300円の事務費を支出する計算となります。事業費、事務費とも国の全額補助によるものではありますが、極めて非効率、かつ政策効果のない給付としか言いようがありませんので反対をするものであります。

 また、消費税増税による地方自治体財政の影響についても論じざるを得ません。歳入においては一度国庫に入った後に地方自治体へ再配分される地方消費税交付金は新年度1億3000万円の増収となっておりますが、これは8%への増税の初年度ということで、見込まれる増収分の満額が計上されているわけではありません。予想される1年間の増収分は2013年度予算対比で1億9552万9千円の増。一方、新年度歳出における消費税影響額は2億1080万円増の5億6226万円。つまり、消費税増税による地方自治体の増収分と歳出における負担増は、わずかですが負担増の方が上回ることになり、地方自治体にとっては財政的にメリットはありません。さらに、消費増税後に予想される景気後退によって市民の所得が減少すれば、市民税の減収へとつながり、市民生活にとっても、地方自治体にとっても何も良いことはありません。改めて、消費税増税並びに関連する施策について反対をするものであります。

 次に、新年度予算において前年度比61%、額にして約11億4500万円と大幅増にとなり総額30億1900万円となった投資的経費について論じて参ります。このうち、小学校、中学校普通教室等空調整備事業、南東部総合交通対策事業、小田急相模原駅西地区市街地再開発事業について、問題点を指摘して参ります。

二重投資になりかねない
小・中学校エアコン設置事業

 まず、小・中学校普通教室等空調整備事業費についてですが、今回の当初予算案の最大の特徴である投資的経費前年度比60%増の中で、約6億6千万円と事業費ベースで最大の額となるのが同事業であります。この事業の優先性や妥当性の問題については、すでに繰り返し指摘してきたところであり、この場で繰り返しはしませんが、今回は二点に絞って指摘をしておきたいと思います。

 まず第一には、今回のエアコン設置事業により学校によっては老朽化した校舎に配管工事を行うことになり、今後校舎等の建て替えが必要となった場合、二重投資になりかねないという点であります。
本市では、公共施設白書を作成し、2013年度中には公共施設利活用指針案の策定がされ、新年度から市民意見の集約と公共施設利活用指針が策定されこととなっております。公共施設白書にあるとおり、今後、建て替えや長寿命化が必要とされる対象施設の床面積からするならば、その約半分は学校教育施設であります。市長自身も当初、エアコン設置事業は、学校教育施設の建て替え・更新に伴ってと述べられていましたが、今回の全校設置により、行政計画上は極めてチグハグなものとなり、貴重な財源のロスが生まれることが予想されます。

 第二には、財源措置の問題であります。今回の小・中学校合わせての事業費総額は、約6億6000万円、このうち米軍再編交付金基金から1億8000万円が充当され、残りの約4億8000万円は一般財源から充当されることとなりますが、このうち約1億5000万円は、例の「別の預金通帳で管理」してたとされる2013年度職員人件費の削減分であります。昨年9月、この人件費削減に係る条例改正の審議にあたって企画財政部長は、「今回の人件費である給料削減分につきましては、財政調整基金へ積み立てをさせていただき、平成26年度以降、防災・減災事業、地域の活性化事業等の緊急課題事業へ充当し、有効に活用してまいりたい」と答弁されておられました。ところが、減災・防災事業や地域活性化事業に充てられることなく、今回のエアコン設置事業に充当されようとしております。これはいったいどういうことなのかと思わざるを得ません。もちろん、この職員の人件費削減分は、財政調整基金の中で別の通帳で管理されているとはいえ、法的には特定財源ではなく一般財源ですから、エアコン設置事業の一般財源充当分としても、問題はないでしょう。しかし、曲がりなりにも議会の場で特定財源と同等の扱いをし、その使途を特定していたわけですから、別の用途に財源措置するのは、道義上いかがなものかと言わざるを得ません。

 以上の点から、小・中学校普通教室等空調整備事業に反対するものであります。

日産自動車株式会社と座間市の都市計画

 次に、南東部総合交通対策事業についてですが、新年度約5億4000万円の事業費が計上されております。主な内容は、市道38号線道路改良に伴う工事費、土地購入費、補償金と小松原交差点の交差点改良に向けた調査委託料などであります。

 これらの事業は、日産カレスト地区再開発計画により大規模商業施設が立地することとなるため、その周辺交通対策としての事業でありますが、この再開発計画を前提として考えるならば、これらの事業は、「必要な事業」ということになるでしょう。しかし問題は、「なぜこうした事業」を優先的にやらざるを得なくなったのかという点にあります。

 座間市は昨年5月、座間市都市計画審議会の答申を受け、「広野台二丁目地区地区計画」と「座間市都市マスタープラン運用方針 地域別構想・地域別都市づくりの方針『広野台地域』」を決定しました。この二つの「決定」は、日産自動車株式会社が提案した「都市計画提案書」、すなわち日産カレスト地区再開発計画に合わせて、都市計画の基本方針を変更したことになります。

 日産自動車株式会社から提案された「都市計画提案書」は、都市計画法第21条の2の「都市計画の決定等の提案」、すなわち一定規模の土地の所有者が地方自治体に対して「都市計画の決定又は変更を提案することができる」という規定に基づいて、行われたものでありますが、この計画提案については、同じく同法第21条の2第3項において、「当該計画提案に係る都市計画の素案の内容が、第十三条その他の法令の規定に基づく都市計画に関する基準に適合するものであること」とされています。

 つまり、一定の要件を満たした土地所有者が都市計画の決定又は変更を提案することはできるが、それは「都市計画に関する基準」、すなわち市の基本方針である都市マスタープランに則したものでなければならないということであります。

 では、本市の都市マスタープランにおける土地利用方針はどうであったのかと言えば、、当該都市計画提案が行われた工業専用地域は、「工業地としての機能の維持・向上を図る」となっておりました。
ところが、座間市は民間事業者からの大規模商業施設の立地を主な内容とする都市計画提案に対し、都市計画法第18条の2で規定されている「市町村の都市計画に関する基本方針」である都市マスタープランに則して判断するのでなく、逆に民間事業者から提出された都市計画提案に則して都市マスタープラン自身を変更・修正し、しかも、都市マスタープランの変更・修正は、そのことを明示的に行うのではなく、「都市マスタープラン運用方針」のなるものの「追加」として行うという手法をとったわけであります。私は、こうした都市計画の基本方針をなし崩し的に、変更するやり方には与することはできません。そして、このような都市計画上の「後追い」、「追認」については、大きな問題として指摘せざるを得ません。

 もちろん、土地所有者である日産自動車株式会社からすれば、企業利益のために遊休化した土地を処分あるいは有効活用し、収益を生み出さない遊休地を最小限に抑えたいという企業論理が働くことは理解できないものではありません。しかし、だからと言って民間事業者の企業論理に市の都市計画を適合させなければならないというわけではありません。問題はこの企業論理と市の都市計画が相反する場合、この矛盾をどのように止揚するのかが行政に問われているのだと思います。

 翻って、この10年間の当該事業者の土地の処分と本市の対応を思い起こしていただきたい。確かに、当該事業者が歴史的にも現在的にも本市におけるプレゼンスがあまりにも大きいことに起因するものでありますが、この10年間当該事業者の土地の処分は、本市に様々な影響を与えております。まず、当該事業者の社有地に隣接する市街化調整区域内にあった社員寮跡地は、工業団地として造成され、一方、国道246号線に隣接する準工業地域部分は大型商業施設が立地。その結果、都市化が抑制されるべき市街化調整区域において工業的利用が進み、工業的利用の利便を図るべき準工業地域が商業的利用となるという全く持ってチグハグな土地利用が進みました。

 また、工業専用地域内の土地の処分では、大型物流倉庫が立地。その結果、準工業地域内の大型商業施設の立地をあいまって、市道13号線の道路改良事業を優先的に行わざるを得なくなり、その事業費は事務的経費を除いて約4億円に及んでいます。

 さらに、今回の工業専用地域部分の再開発にために、急遽行うこととなった市道38号線の道路改良事業では、当局の試算によると事業費の見込みは約16億円にものぼり、小松原交差点の改良工事を含めると、今回の再開発にあたって約20億円近くの税金を新たに投入することになるわけであります。

 その結果、当該事業者の土地の処分、土地利用の変更による本市財政の投入量は、少なくとも25億円〜30億円にものぼることとなり、道路施設というインフラ整備の優先順位が、一事業者の土地の処分及び土地利用形態の変更によって、左右されているのが現実であります。

 もちろん、このことは先ほど述べましたように、当該事業者の本市におけるプレゼンスが、いかに大きいのかということを示しているものでありますが、では、だからこそ事業者側の社会的責任、あるいは社会的貢献は適切かつ十分に果されているのか、という点に突き当たらざるを得えないのであります。社会的影響が大きいからこそ、資本の論理にだけにとどまらず、地方自治体の都市計画や市民生活への影響を十分に考慮にいれた企業活動が求められると思う次第であります。

 今後、当該事業者の工業専用地域における土地の処分や土地利用形態の変更は続くことが予想されますので、当局並びに事業者に対して注意を促すものであります。

商業再生につながるのか?!小田急相模原駅前再開発

 次に、小田急相模原駅西地区市街地再開発事業についてですが、当初予算では5329万7千円の予算が計上されております。都市計画決定から20年以上、ここ10年間は事業がほぼ凍結状態であった小田急相模原駅西口市街地再開発事業が、再び動き始めたことになりますが、現在の案では、20階建て140戸のマンションとなる住居部分と5階建ての商業・業務ビル。この二つのビルをを回廊で結び、さらに道路を挟んだ小田急相模原駅の再開発ビル(相模原市)とペデストリアンデッキ(立体的遊歩道)で結ぶという計画となっております。

 再開発事業の採算性について当局は「住宅系の再開発であり、駅前直近の住宅需要は高く、採算性に問題はない」としていますが、どうでしょうか。確かに、マンション部分についてはそうかもしれませんが、商業・業務部分の保留床については、その採算性は甚だ疑問であります。

 また、多額の補助金を支出する公益性について当局は「高度利用と都市機能の更新をはかり、老朽木造の密集した市街地の解消や、歩行空間の確保など安心・安全の街づくりとしての公益性は高い」と説明しておりますが、安心・安全面は確かにそうかもしれませんが、その結果、人の賑わいはパチンコやファーストフード店だけとなる可能性が高く、商業振興としての期待は持てないのが実情でありますす。よって、本再開発計画に反対するとともに、ペデストリアンデッキについては、現在検討中とのことでありますので、再度精査し、見直しを行うよう求めておくものであります。

再生可能エネルギーの普及目標値なき計画に異議あり

 次に、環境施策について、指摘をして参ります。座間市では、現在環境基本計画の策定中でありますが、その素案では、「本市では、公共施設への太陽光発電設備の設置を進めていくとともに、市域における再生可能エネルギーの利活用を積極的に進めます」とあり、市の役割としては「公共施設への再生可能エネルギーの導入に努めます」「再生可能エネルギー関連設備などの導入に対し助成します」となっています。

 すでに座間市は、同計画が策定される前から、スマートハウス関連設備設置助成事業、住宅用給電システム導入助成事業、電気自動車購入助成事業などに取り組んできており、これらの事業は、再エネ・省エネ・蓄エネの観点から大いに評価に値する取り組みであります。さらに、今年度中には、「再生可能エネルギーの推進」をかかげた環境基本計画ができあがるわけですから、これらの事業は予算上も拡充されるものと思っておりました。

 ところが、2014年度当初予算では、これら三つの事業は、総額1840万円から1108万8千円と、額にして731万2千円、率にして約40%の減となっております。さらに、環境基本計画素案では、この再エネ施策については、なぜか「目標値」は設定されていません。また、座間市が一貫して目標値を設定し取り組んできた「市内公共施設における温室効果ガス(CO²)削減率も目標値が消えています。

 当局は、「目標値を設定しなかったのは、財源をにらみながら施策を行わなければならないので」としておりますが、これでは何のための環境基本計画かと言わざるを得ません。基本計画を定め、それに基づいて施策を確定し、財源を確保するというのが本来の姿ではないでしょうか。もちろん、財源問題が重要ではないということではありません。しかし、環境分野における財源=財政の資源配分の優先順位をどうするのか、ということの判断基準のためにも、目標値を明記した環境基本計画=マスタープランを策定し、行政計画と施策、財源の関係を明らかにすることが必要だと思います。環境基本計画の策定にあたっては、目標値を明記し、その上で施策、財源を示されるよう、改めて求めておくものであります。

市街化調整区域の汚水処理合併浄化槽の補助制度を

 それは、市街化調整区域の汚水処理の問題です。今定例会における審議において次のことが明らかになりました。

 2011年度の事業認可申請において、市街化調整区域の公共下水道整備は、認められなかったこと。今後10年間の下水道建設事業の重点は、雨水整備、耐震化、管路更新であり、市街化調整区域の公共下水道整備には着手できないこと。であります。

 当局は、こうした状況の中でも市街化調整区域の汚水処理は、公共下水道を整備していきたい」との一点張りでありますが、当局の願望でも、着手まで10年間、さらに完成まで20年間と、長期にわたり市外調整区域の汚水処理整備を放置することになります。市街化調整区域の環境保全のためにも、施策の現実性、経済合理性からしても合併浄化槽への補助制度を早急に開始するよう、再度強く求めておくものであります。

 次に、議案第13号から議案17号までの条例案及び条例の一部改正案については、概ね妥当なものとして賛成をするものであります。

 次に、議案第18号「高座清掃施設組合規約の変更に関する協議について」ですが、今回の規約の変更は、高座清掃施設組合の共同処理する事務に都市公園の設置及び管理運営を新たに加えるものであります。しかし、現状では公園建設にあたっての基本構想や基本計画は何も示されておりません。建設事業費は、極めて大ざっぱに約27億円が見込まれることはしておりますが、維持経費については何も示されておりません。こうした状況で規約の変更だけを先行することには賛成できませんので、反対をするものであります。

 次に、議案第19号から議案第24号までの道路認定議案については、妥当なものとして賛成をするものであります。

 次に、陳情第15号「平成26年度における障害児者・透析者を含む移動困難者に対する通院支援についての陳情」、陳情第24号「神奈川県に対し公契約条例を制定するよう意見書の提出を求める陳情」については、陳情の趣旨に賛同し、賛成をするものであります。

 特に、陳情第15号については、本市の福祉タクシー等事業の給付額は、2010年度に年間3万円から1万2000円に大幅に引き下げられたままであり、この給付額は、県央8市の中でも最低レベル、他市の半分以下の水準でありますので、早急な改善を合わせて求めるものであります。

以上で、上程されております議案並びに陳情に対する討論を終わります。

 

2013年9月 第3回定例会 討論

 ただいまより、上程されております議案、陳情について、賛成並びに反対の立場を明らかにして討論を行います。まず、議案第41号から議案第46号までの2012年度一般会計決算、各特別会計決算、水道事業会計決算の認定については、反対の立場から討論を行います。以下、反対理由並びに指摘事項を申し上げて参ります。

市長の財政分析はまちがっている

 2012年度の一般会計決算における収支状況は、歳入歳出予算現額370億5744万8千円に対し、実質単年度収支は前年度の7238万円から300.7%増の2億9004万6千円の黒字、留保財源である財政調整基金の年度末残高は8億4203万2千円となり、今決算で生じた剰余金を全て財政調整基金に積み立てたとすれば、基金残高は約11億円余となり、ここ数年間では最大の留保財源を有することになりました。

 このことは、一見すれば単年度収支において、黒字幅を伸ばし、留保財源を増やしたわけですから、外形的な財政運営上は評価に値するものでありましょうが、単年度総計予算主義のもと編成される地方自治体決算の本質からすれば、こうした財政運営がどのような政策的な有効性を発揮し、市民満足度を高めたのか、という点から検証されるべきものであると考えます。

 今決算の総括的な評価について市長は次のように述べられました。

  • 予算編成の途上で緊急財政対策本部を設置し、危機的意識をもって対応した。
  • 全庁あげて、財政状況の共有化をはかり、知恵をしぼり、工夫をこらして対応することについて意思統一ができた。
  • 「勇気をもって不用額を残す」のことの徹底についても、しっかりと指示した。
  • こうした一連の取り組みの成果が、実質単年度収支3か年連続の黒字につながった。
  • また、一般会計から特別会計への繰出金を国保会計では約4億2400万円、下水道会計では約1億900万円と大幅に減することでき、これも一般会計における実質単年度収支の黒字につながった。

 この市長の見解は、去る8月30日、本会議における上沢議員の総括質疑に対する答弁として述べられたものでありますが、事実認識においても、また政策的評価においても、明らかに間違っております。

 緊急財政対策本部を設置したことも、全庁あげて財政状況の共有化をはかったことも、不用額を残すことも、よかったことでしょう。しかし、これらの取り組みが実質単年度収支の黒字につながったと結論づけることは、あまりにも乱暴というより、事実認識として間違っております。先日の私の一般質問の際にも指摘しましたが、職員の経費節減努力による不用額は、私の試算では年間約3500万円程度です。

 また、一般会計から特別会計への繰出金の減については、確かに前年度決算対比では減となっておりますが、これはこの年度内の予算執行によって減額されたものではなく、逆に国保会計では保険料の歳入を滞納繰越分30%の収納率で予算計上していたものの、実際は約12%。その結果、一般会計から国保会計への繰出金は、約2.5億円の増額補正を行っております。市長の発言は、一般会計から特別会計への繰出金の減という政策的効果を強調したいあまりなのでしょうが、誤った事実認識となっていることを指摘せざるを得ません。

 では、当該年度決算において、財政調整基金積立金および決算剰余金合わせて約11億円の留保財源を有するようになった主な要因は何かということでありますが、概括すれば以下のような点となります。

 一つには、市民税が当初予算比で約2億円の増、固定資産税が当初予算比で約2.1億円の増、合わせて4.1億円の増となったこと。二つ目には、水道事業会計から出資金の返納が約2.5億円あったこと。三つ目には、入札執行残が約0.6億円あったこと。これら合計7.2億円が、約11億円の留保財源の主な要因であり、このうち本市の政策的対応によって生み出されたのは、約2.5億円の水道事業からの出資金の返納だけであります。(この出資金の返納の政策的な是非については、後ほど述べて参ります)

 以上、まずは本決算を総括するにあたって、その前提条件となる事実認識の誤りについて指摘して参りましたが、次に、こうした留保財源を生み出したこととの関係で、当該年度の政策展開の是非について論じて参りたいと思います。

黒字のほんとうの要因は子育て世帯への増税

 11億円の留保財源のうち、個人市民税は当初予算対比で約2.1億円、前年度決算対比で約3.1億円の増収となっております。この増収の要因は、市民の所得が増え、それに伴い税収が増えたものとは言い難いものであります。

 ではなぜ個人市民税の税収が増えたのか、その答えは子育て世帯への増税によるものであります。市民税の課税対象額は前年度所得から計算されますが、2011年より所得税において16歳未満の扶養親族にかかわる扶養控除、年少扶養控除33万円が廃止されるとともに、16歳以上19歳未満への特定扶養親族にかかわる扶養控除、特定扶養控除の上乗せ分12万円が廃止をされました。よって、当該決算年度より、子育て世帯への増税が行われ、本市における影響額は約2億4000万円の増収と当局は推定されておりましたが、決算数値を見てみるならば、市民税増収の要因は、ほぼこのことによって説明できます。

 一方子ども手当支給事業は、総事業費では前年度が24億8673万9千円であったものが、当該年度は21億7627万3千円とマイナス3億1046万6千円となりました。このように、扶養控除は廃止され、子ども手当が減額されたために、子育て世帯の中には、家計上差引マイナスとなる世帯が生まれたり、これまで非課税であった世帯が課税世帯となるという事態が生じております。

 もちろん、この子ども手当支給事業は、国からの法定受託事務であり、政府のでたらめな政策展開によるものではありますが、増収となった地方自治体が、その増収分をどのように活用するかは、すぐれて地方自治体の裁量の問題であります。

 では、本市においてはどうだったのでしょうか。今回の子育て増税は、いわば本来なら家計において消費されるはずのお金が、家計から地方自治体へ移転したものであり、そうした制度変更の経過からするならば、この増収分は政策的には新たな子育て支援策に充当されるのが適切な予算執行と言えるでしょう。しかし、本市においては、本会議における市長答弁のとおり、当該年度子育て支援策で充実がはかられたものはありません。それどころか、児童福祉費においては、前年度決算対比で−8.7%、額にして約5億円が減額されております。

 子育て世帯は増税、一方市は、近年にない留保財源を確保するという事態は、けっして納税者の理解を得ることはできないと思いますし、予算執行の的確性に欠けるものであると言わざるを得ません。

次に、いくつかの事業について、予算執行上、妥当性に欠けると思われるものについて申し上げます。

自治体会計においてコストに減価償却費を含めるのは妥当か

 まず、特定政策推進室所管の公共施設利活用指針策定事業について。当該決算年度、本市の公共施設の現状と将来課題をまとめた「座間市公共施設白書」が作成されました。同白書は、公共施設のうち、建物系施設の現状の維持管理コストと将来的な施設更新の係る費用の推計を明らかにしたものであり、私自身も本事業の必要性は大いに認めるところではありますが、維持管理コストの試算について疑義があります。

 同白書では、維持管理コストを「フルコスト」として、減価償却費を加えております。ご承知のとおり減価償却費とは、資産が時間的経過によって生じる負債の価値の減少分を見積もり、費用として計上するものであります。企業会計上は、当たり前のコスト計算ではありますが、地方自治体の会計は、総計予算主義に基づく単式簿記で表現されることが、法的にも規定されております。企業会計上は、費用計上された減価償却費は実際の支出を伴わないものでありますから、実際は固定資産へ投下した資本の回収という役割と持ち、留保資金として蓄積されることになります。

 ところが、今回のように地方自治体の維持管理コストに減価償却費を計上した場合、費用には計上されながら、一方自治体会計では資金的には留保されないという、矛盾に突き当たることになり、結果としては不正確な維持管理コストとなるわけであります。さらに言えば、現行の自治体会計の基準からするならば、明らかに過大な維持管理経費の計上となります。

 今回作成された白書では、こうした企業会計地方自治体会計の違いについての説明はありません。これでは、市民への説明責任を果たしているとは言えませんし、誤った情報発信になりかねません。さらに、同白書は今後の公共施設利活用指針という、行政の内部的指針作成の前提条件となるものでありますので、その正確性が要求されるものであることは言を俟ちません。よって、改善を求め、指摘をしておくものであります。

誘致病院への財政的支援策は妥当か

 次に、健康部所管の病院誘致推進事業費について。当該決算年度では、任意の協議会である病院誘致協議会が設置され、決算付属資料の「主要事業及び重点事業」では、「病院を誘致するための協議、検討を行った」と記述されております。

 本市における病院誘致推進事業は、本年4月に病院公募要領が公表され、応募期間を経て、去る8月20日に事業者が決定をされ、近く病院事業者と本市との契約行為である覚書の締結が行われるようであります。この事業者決定から覚書締結に至る期間において、事業者公募に係る情報公開が一切非公開となっていることについては、一般質問においてその判断の不当性について、指摘をしたところでありますが、当該決算年度に係る点では、病院誘致協議会において検討された誘致病院の支援策について、指摘をしておくものであります。

 誘致病院の公募にあたって、公募要領の内容はこの病院誘致協議会において検討されたと当局は説明されております。この公募要領に、誘致病院への支援措置として用地の予定年間賃料について、契約時から10年間は支払を免除し、以後は協議の上決める」。また、「広域二次救急医療体制(内科・外科・小児科)のバックアップとしての自主的な取組に対し一定の金額を措置する」とありますが、このことは公募開始前には議会へは報告されおりません。公募から事業者決定至る手続きでは、先ほども述べましたように覚書締結までは、情報も非公開ですから、決定された事業者の適否を議会側は判断することもできません。にもかかわらず、一旦座間市が覚書を締結するならば、当然ながら契約行為でありますから、市側はこの支援措置を誠実に実行する義務を負うわけであります。しかも、現時点において、その支援措置の総額が一体いくらになるかもわからない状態においてであります。

 今回の誘致病院に係る公募と類似した契約行為として、公募型プロポーザル方式による契約があります。この場合、公募、事業者選定、契約、事業実施が複数年度にまたがるため、座間市契約検査課が作成した「プロポーザル方式の実施に関するガイドライン」では、「当該委託に係る予算の議決が得られなかったときは、契約事務手続きを行わない、なお、この場合において市はいかなる責めも負わない」ということを実施要領に明記するよう求めております。では、今回の誘致病院の公募要領では、そのことが明記されているかと言えば、それもありません。

 本市においては、似たような事例がこれまでもありました。それは、現在座間市の水道事業会計を圧迫している宮が瀬系県水の受水費の根拠とされている、神奈川県企業庁座間市との基本協定書であります。

 この基本協定書は、宮が瀬系県水の分水量を日量3万7300tとすることを定めたものでありますが、市当局はこの基本協定を根拠として、実際は3万7300tの全てを使用していないにもかかわらず、その基本料金を払い続けております。この時も、基本協定の締結の事実は、締結時には議会には報告されず、正式に報告されたのは締結から2年後、しかも、当時の本多市長は「使った分だけ使用料を払う」という議会答弁をしておりました。それがどうでしょう。現在では、毎年3億円以上、使ってもいない水の受水費を払い続け、その負担は、水道料金として市民に転嫁されているわけであります。当時も、基本協定締結時には、宮が瀬系県水の受水費は確定しておらず、将来、どのくらいの負担となるのか明らかにされないまま、市長の行政裁量として、協定が締結されていたわけであります。

 当局は、この苦い経験から何を学んだのでしょうか。市長は、今定例会で、次にように答弁されております。

 --「賃料について、私は方針を変えたつもりはない」

    • 「昨年の12月議会の時点では、具体的な支援策が決まっていなかったので、原則論として使用者が賃料を支払うという答弁をした」
    • 「この間に、座間市病院誘致協議会において、高度な知見を有する専門家のご意見として、10年間の賃料の肩代わりをもとより、その先も、という意見をいただいた」
    • 「協議会の意見を尊重すべきであるという判断から、支援策として公募要領を作成し、3月末の協議会で委員全員の賛同をいただき決定した」 

 
ということでありました。

 ところで、この病院誘致協議会は、市長の諮問に対して答申する付属機関ではなく、あくまでも任意の協議会であり、座間市病院誘致協議会設置要綱では、市長への答申はもちろん、意見具申についても、何も規定されておりません。設置目的としては、第1条において「地域医療の大きな基盤となる病院を誘致するに当たり、専門的立場から意見を交換し、その円滑な推進を図る」としか書かれておりません。

 市長の付属機関でもない任意の協議会の意見は尊重し、最終的には委員全員の賛同まで得て、長期にわたる財政支出を伴う支援策を決定しておきながら、民意を代表し、議決機関である議会へは事後報告というのは、いかがなものでありましょうか。

 通常長期にわたる契約については、本市では債務負担行為の設定として、議会の議決事項となっておりますが、本件の支援策に関しては、補助金としての支出となることでしょうから、債務負担行為は設定されることはないでしょう。しかし、長期にわたる財政的支出をあらかじめ確定すると言った点では、債務負担行為と実質的には同等であります。

 そうした点から、当該年度、さらに今年度、病院誘致に係る行政事務の執行としては、適正に欠けるものであると言わざるを得ません。

コンビニ交付の費用対効果は?

 次に、市民部所管の住民票等コンビニ交付事業費についてですが、当該決算年度、コンビニ交付の住民票、印鑑証明の発行件数は、2522枚。2011年度の1468枚に比べて1054枚増えておりますが、相変わらず一枚あたりの発行経費は、窓口交付や自動交付機交付と比べて依然として大きく割高となっております。当該決算年度、コンビニ交付の一枚あたりの発行経費は、2717円。これに対し窓口交付は、480円。自動交付機が286円ですから、自動交付機と比べても10倍近い経費となっており、初期投資額を含めた一件あたりの経費では、2万6641円と比べようがないほどであり、相変わらず本事業の費用対効果からして適切な予算執行とは言えません。

 また、今決算審査では、このコンビニ交付事業を含めた本市の住民基本台帳ネットワークシステムの保守・管理に係る委託のほとんどが富士通(株)1社による随意契約によるものであることが明らかになりました。具体的には本市の戸籍住民課が所管する委託・リース31件中富士通(株)との契約は、20件。その他11件中、リース契約はリース会社であったとしても富士通(株)製品のものは、6件となっており、これら富士通関係の委託料の総額は、戸籍住民課だけでも約1億3000万円に上っております。

 確かに、住民基本台帳ネットワークシステム導入時に富士通との契約になったことが、その後の保守点検も含めて全て同社に随意契約で委託せざるを得ない状況になったようでありますが、率直に言って、現状ではその妥当性は検証しがたいものとなっております。現在、他の自治体においては、システム設計を職員自身がおこない、オープンソース・ソフトウエアを採用することでコストを削減し、同時に地元のIT関連企業と連携するという手法がとられているところもあります。これは、戸籍住民課にとどまることではありませんが、全庁的にもシステム構築や改修に伴う物件費は、年々増加化しておりますので、ぜひ研究・検討を進めるよう求めておくものであります。

放射性物質災害対策計画は、3.11以降どう変わったのか

 次に、同じく市民部所管の地域防災計画修正事業費について。当該決算年度、地域防災計画の修正が行われました。今回の修正は、東日本大震災の教訓を踏まえ、本市の地域防災をより充実させていくためのものと思われます。

 ところが、地域防災計画において定められている「放射性物質災害対策計画」は、東日本大震災東京電力福島第一原発の過酷事故を経験しながら、3.11前とほとんど変わっていません。わずかに加筆された内容は、以下のようなものです。

 -市民の健康被害の可能性が生じた場合は、国などに事実関係の公表と対策を求める。
 -飲料水や食品に対する放射性物質のモニタリング検査を実施しなければならない事態が生じた場合は、国などに事実関係の公表と、対策の説明と早期実施を求める。
 -市民の健康管理において、長期のモニタリング検査が必要とされた場合は、国に経年的に実施することを要求する。

 この3項目が加筆されたのみであります。市民の健康被害や飲料水や食品の検査が必要とされたとしても、市自らは何も行わず、国の説明と対策を求めるだけとしか記述されておりません。

 一方、お隣の相模原市の「原子力事故災害対策」では、基本方針として、「東日本大震災における原子力災害では放射性物質が広範囲に拡散し、住民生活や産業に甚大な被害をもたらしたことを踏まえ、市外周辺に立地する原子力発電所原子力事業所の事故により放射性物質若しくは放射線の影響が広範囲に及び、原子力緊急事態に伴う屋内退避若しくは避難が必要となった場合、又はそのおそれがある場合を想定して災害応急対策を定める」と、市自らの基本姿勢を明らかにした上で、モニタリング、健康被害の防止策、避難誘導、飲料水・飲食物の摂取制限など具体的な対応策を規定しております。この違いは一体何なのでしょうか。原子力災害に対する認識の違い、そして放射能対策に関する現状の対応の違いが、如実に示される結果となっております。

 速やかに、本市の放射性物質災害対策計画を修正するよう求めるとともに、現行の計画においても示されている以下の事項について確実に実施されるよう求めるものであります。

 -1.市民に対し、放射性物質に関する以下に掲げる知識の普及・啓発に努める。

   -放射性物質及び放射線の特性に関すること
   -放射線による健康被害への影響及び放射線防護に関すること
   -緊急時に市民等がとるべき行動及び留意事項に関すること。
   -その他必要と認める事項

 -2.放射能観測の実施

 -3.放射線測定体制の強化

 以上の点は、現行計画においても規定されており、教育市民常任委員会において、当局は「今後取り組んでまいります」と答弁されておりますので、精力的かつ確実に取り組まれることを求めておくものであります。

小中学校へのエアコン設置は優先順位が高いのか

 次に、教育部所管の小学校普通教室等空調整備事業並びに中学校普通教室等空調整備事業について。本事業は、当該決算年度より4か年をかけて、市内の全小中学校の普通教室等に空調設備=エアコンを設置しようとするものであり、2012度では、小学校3校、中学校3校の基本設計、実施設計が行われております。本事業は、当該決算年度より開始された事業でありますが、ここで、小中学校へのエアコン設置に関する経過を振り返ってみたいと思います。

 今から3年前の2010年12月議会において市長は、共産党の柏木議員の質問に対して、次のように答弁されておりました。

 -「冷房が欲しいという声も私も認識しており、健康面での配慮というものも考えていかなければならない課題と認識している」
 -「しかし、一方において学校施設整備の一連の大きな課題、特に昭和40年代に建築した校舎の建て替えや、実施計画にすでに盛り込んでいるものや、それ以降の分、また市の公共施設の今後の整備・維持のあり方など、総合的に判断していくべきである。」
 -「そうしたことから、夏休み中に出勤する教職員の健康管理を配慮し、まず職員室へのエアコン設置を考え、さらにその次のステップとして考えていきたい。総合的に勘案すると、校舎等の建て替えの中で整備していきたい」
 
と、述べられておりました。要は、「施策としての有効性は認めるが、老朽化した校舎の建て替えなどの今後の施設整備やすでに実施計画として予定されている施設整備などを総合的に考えれば、現状では難しく、当面職員室へのエアコン設置をおこない、将来的に校舎の建て替えに伴って、教室への整備を行う」ということでありました。私は、その時点においても、そして現状においても、当時の市長の認識及び方針には完全に同意するものであります。

 しかし、市長のこの答弁から2か月後の2011年第1回定例会において、小中学校へのエアコン設置にあたって米軍再編交付金を活用することが可能となったとして、予算に計上し、この時点では工事費込で年間8457万2千円、7年間で総額5億9270万4千円という経費見通しを示されておられました。

 ところが、2011年度、この予算執行は行われませんでした。当局は、予算の未執行について「東日本大震災原発事故による電力事情によるもの」とその理由を説明しておりましたが、実際にはエアコンの設置にあたって、各校の受変電施設の更新工事が必要であったにもかかわらず、2011年度予算ではそれを計上していなかったという事務上のミスにより、予算の執行が不可能となっていたわけであります。

 こうして2012年段階では、受変電施設の更新工事、そのための基本設計、実施設計がさらに予算上積み上げられ、事業費は設計委託料を含めた工事関係経費だけで、約8億2000万円。さらに、毎年約1億円のリース料が加算され、7年間総額で約13億円と、当初見込みからは2倍以上に膨れ上がっております。私は本来なら、この2012年度段階で、総事業費の見込みが明らかになった時点で、再度事業そのものを精査し、2010年段階での市長答弁の方針に立ち返るべきであったと思います。

 その理由は、まず、財政の資源配分の優先性の問題です。第4次総合計画における教育環境整備の重点施策にもあげられておらず、実施計画事業ともなっていなかったエアコン設置事業により、本来必要な校舎、屋内運動場の屋上防水、外壁改修などの基本的な改修工事の進捗が明らかに影響を受けていることです。市長が以前おっしゃっていたように、校舎や屋内運動場の老朽化による雨漏りなど、まず基本的かつ早急に取り組まなければならない施設改修は、山積みとなっております。さらに、老朽化した校舎にエアコン設置のための配管工事を行うことになりますが、今後必要となる校舎の建て替えのことを考えれば、二重投資になりかねません。

 次に、費用対効果の問題です。教育部からいただいた資料によると、すでにエアコンが設置されている栗原小、相模野小の当該決算年度夏で授業が行われている7月と9月のエアコン運転実績は、栗原小で7月が2日、9月が6日。相模野小で7月が1日、9月が5日となっております。つまり、これだけの運転日数のために多額の財政投資を他を差し置いて行うことの妥当性の問題であります。こうした実績から試算をしてみますと、夏場の平均運転日数を7日間と仮定し、先ほどの7年間の総事業費から、1校あたりの1日運転する際の経費を、電気料金を除いて算出すると、1日あたり約176万8000円となります。これをどう見るかということであります。

 なお、合わせて申し上げますが、こういう数字を示したからいって、必要でないにもかかわらず、エアコンの運転を行うようなことは行わないでいただきたい。ましてや防衛省の電気代補助が連続運転のみに適用されるということが、教育市民常任委員会審査で明らかになっております。こうした補助金によって、必要がないにもかかわらず連続運転しようとする衝動は、高まると思いますので、くれぐれも申し添えておきます。

 再度申し上げますが、小中学校へのエアコン設置について、私は2010年度段階での市長の基本認識と方針の方が、冷静かつ合理的であったと思う次第であり、当該決算年度の審査という点からは、予算執行のあり方として妥当性に欠けるものであるということを指摘しておくものであります。

 以上、一般会計決算について、いくつかの事業について指摘をして参りましたが、総合的な財政運営の面においても、個別的な事業においても、適正に欠ける予算執行が見られますので、本決算の認定には反対をするものであります。

数字の操作が行われた国民健康保険財政健全化計画

 次に、議案第42号、国民健康保険事業特別会計決算の認定について、反対の立場から討論を行います。

 当該決算年度では、「座間市国民健康保険事業財政健全化計画」が策定をされました。同計画の財政収支見通しでは、一般会計からの法定外繰入金を2012年度当初予算ベースで固定した場合、2015年(平成27年)には、6億2000万円の歳入不足が生じるとなっております。

 しかし、この財政収支見通しの数値は、極めて意図的ありかつ欺瞞的であります。財政収支を見通す際に、基準となる年度の数値は決算数値を用いるのが、通常でありましょう。ところが、本市ではあえて、確定的ではない当初予算の数値を使い、しかもこの年度、すなわち2012年度の当初予算一般会計からの法定外繰入金約7億6000万円は、先ほども述べましたように保険料の滞納繰越分収納率を実際は12%程度であったものを30%と、明らかに過大に設定し、法定外繰入金の額を大きく減額して計上していました。しかし、当該決算年度、実際の法定外繰入金は当初予算を約3億円上回る約10億5000万円。つまり、2012年度決算数値からすれば、財政計画の収支不足額約6.2億円は、約半分の3.2億円になってしまいます。

 とはいえ、財政計画策定時には2012年度決算数値は確定しておりませんから、本来なら2011年度決算数値を基準とするのが、オーソドックスな手法となります。では、2011年度の一般会計からの法定外繰入金は一体いくらかと言えば、約14億6000万円。この数値を基準として2015年までの財政収支を計算すれば、収支の不足額は生じず、逆に約1億円のプラスとなってしまい、保険料値上げの根拠は完全になくなってしまいます。

 つまり、当該決算年度である2012年に財政計画を策定する際に、2011年度決算数値を用いれば、値上げの根拠はなくなってしまう。だから、あえて通常は用いない当初予算ベースの、しかも達成できる見込みがほとんどない滞納繰越分保険料収納率を30%に設定し、法定外繰入金を極端に抑え込んだ数値を使って、収支不足を演出し、2013年度からの保険料値上げを行ったわけであります。

 私が、さきほど極めて意図的かつ欺瞞的な数値であると申し上げた根拠はここにあります。以上のような点から、国民健康保険事業特別会計の決算認定に反対をするものであります。

介護保険特別会計 保険料値上げ幅は適切だったのか

 次に、議案第44号、介護保険事業特別会計決算の認定について、反対の立場から討論を行います。当該決算年度は、当年度からの2015年までの第5期介護保険事業計画の改訂にともなって、第1号被保険者の保険料が、基準所得階層で27.3%の値上げが行われました。この値上げ率は、神奈川県下19市中、4番目に高い値上げ率でありましたが、本決算の保険給付費では、約1億円の不用額を計上しております。明らかに第5期の介護保険事業計画における、サービス利用見込みに誤りがあったと考えられます。保険料は、サービスの利用見込みにより算定されるものでありますので、結果として被保険者にとっては過大な保険料負担であったということになります。よって、介護保険事業特別会計の決算認定に反対をするものであります。

 なお、公共下水道事業特別会計決算、後期高齢者医療保険事業特別会計決算についても反対をするものでありますが、理由はすでに何度も明らかにしておりますので、ここでは省略いたします。

水道事業会計決算 資本金の減少は妥当だったのか

 次に、議案第46号水道事業会計決算の認定について、反対の立場から討論を行います。水道事業では、当該決算年度一般会計から出資していた資本金約2.5億円を減少させました。市長は、この出資金について、第4次拡張事業のため一般会計から増資したもので、事業の拡張という本来の目的は達成した」と答弁をされておりますが、一方で、監査委員の本決算についての審査意見では、老朽化した管路の更新と耐震化など、確実な内部留保の必要性を指摘しており、その中であえて減資をする理由が見当たりません。

 また、誰もが認めるように宮が瀬系県水受水費が本市水道事業の収益構造を圧迫し、適正な利益と減価償却費の積み上げによる内部留保の確保を困難にしている中で、適正な措置とは言えません。

 さらに市長は、資本金の減資について、水道事業の自主性、独立性を強調されておられましたが、自主性、独立性というならば、不当な受水費を押し付ける神奈川県企業庁との分水契約の見直しにこそ、それを発揮していただきたいと思う次第であります。以上の点から、水道事業会計決算の認定については反対をするものであります。

 次に、議案第47号、48号の2013年度の一般会計補正予算国民健康保険事業特別会計補正予算については、概ね妥当なものと判断し、賛成をするものでありますが、一点だけ意見を申し添えておきたいと思います。

 それは、一般会計補正予算の芹沢公園整備事業費についてであります。当年度より、市民参加で第4工区の整備方針を検討することになっておりますが、今年6月の私の一般質問の際にも述べましたように、しっかりと芹沢公園の開設理念に基づき、「あれもこれも」というのではなく、荒廃が進みつつある森林の管理に、限られた財源と人力を最大限投入するよう求めておくものであります。

 次に、議案第49号から議案第59号までの、条例案並びに道路認定については、妥当なものとして、賛成をするものであります。

 次に、議案第60号、2013年度の一般会計補正予算第3号については、反対をするものであります。本補正措置は、小中学校普通教室等への空調機整備事業において、本来は2014年度に予定をされていた小学校3校の基本設計・実施設計を前倒しし、当年度に行い、設置工事を来年度で終了させようとするものであります。このエアコン設置事業については、すでに先ほど決算議案への討論で、基本的な考え方については述べておりますので、省略をいたしますが、これも一点だけ意見を申し添えておきます。

 それは、来年度以降、校舎・屋内運動場などの屋上防水や外壁改修などの基本的な教育環境整備事業について、エアコン設置事業の影響により、遅れが出るようなことはあってはならないということであります。企画財政部長も「影響が出ないよう配慮していきたい」と答弁されておりますので、確実な実施を求めておくものであります。さらに、このエアコン設置事業によって、間違いなく影響を受け、その進捗が遅れた太陽光発電設備等の設置による学校エコ化を、少なくとも2015年度以降、実施計画にのせ、着実な事業展開を進めるよう合わせて申し上げておく次第であります。

国の同調圧力による人件費削減は妥当か

 次に、議案第61号、議案第62号の常勤特別職の給与に関する条例、市職員の給与に関する条例のそれぞれ一部改正について、反対の立場から、討論を行います。

 国の地方公務員人件費削減圧力に対し、市長はこれまで繰り返し、次のように述べられてきました。

 -地方公務員の給与は地方独自で決めるものであること。
 -地方交付税は地方の固有財源であり、人件費の削減分として地方交付税を一方的に削減することは筋が違う。
 -デフレ脱却、2%のインフレ目標で国全体の消費水準を上げていこうとしている時に、550万人の地方公務員の給与をカットするのは、全体の消費を落とすことになる。

 以上の市長の基本的な姿勢について、私は全面的に同意する立場から、これらの条例改正案に、反対をするものであります。市長は、今回、一転して「市民の立場からすれば、地方交付税の減額で、市民に負担を押し付けることになる」として、給与引き下げの条例案を提案されましたが、本年度の当初予算では、もともと地方交付税の人件費の削減分は、予算に計上されておらず、予算執行上の何ら影響を受けません。さらに、今回の人件費削減を行ったとしてもその分、交付税の追加交付が増えるわけでもありません。つまり、人件費削減を行わなかったとしても、市民も本市の財政も、なんら影響はないわけであります。

 これは単に、中央政府同調圧力としか言いようがないものであり、我々地方議会の議員としては、市長の意をくみ、凛として本議案については、否決するよう、訴えるものであります。

 次に、陳情については、陳情第9号「市立保育園における給食の放射性物質濃度検査の実施を求める陳情」、陳情第11号「生活保護制度及び保護基準に関する陳情」、陳情第14号「平成26年度における重度障害者医療費助成制度継続についての陳情」、陳情第16号「社会保障制度改革推進法案について要支援者の介護を継続するよう関係機関に働きかけることを求める陳情」、陳情第17号「森林吸収源対策及び地球温暖化対策に関する地方の財源確保のための意見書採択に関する陳情」以上5件については、その趣旨に賛同し、賛成するものであります。なお、陳情第16号の地球社会建設決議に関する陳情には、その趣旨の一部には賛同しがたく、反対をするものであります。

放射能検査に反対する理由を明らかにすべき

 ここでは、陳情第9号の「市立保育園における給食の放射性物質濃度検査の実施を求める陳情」に関係して、当局に意見を申し上げておきます。

 去る本年6月議会における学校給食の放射能検査を求める陳情審査にあたっても、今回の保育園での放射能検査を求める陳情審査においても、当局は、低線量被曝による幼児あるいは児童・生徒への影響について、「見識を持ち得ていない」あるいは「今後勉強したい」と答えられております。私は、「見識を持ち得ていない」にもかかわらず、放射能対策が必要でないと結論付ける姿勢は、厳しく批判されなければならないと思います。有体に言えば、わからないにもかかわらず判断をしているわけですから、これほど不誠実な態度はありません。

 今もなお、東京電力福島第一原発から放射性物質は、大気中にあるいは汚染水として外洋へ放出され続けております。そして、放出されている放射性核種の一つにすぎないセシウム137の半減期だけでも約30年間ですから、最も少なく見積もっても今後数十年、この問題に我々は、相対していかなければなりません。だからこそ、低線量被曝に関する幼児、児童、生徒への影響について、本市の基本的な見解との対応方針を明らかにすべきです。

 最後に、議員の皆様に申し上げます。去る6月議会、学校給食の放射能検査を求める陳情について、反対をされた議員のみなさんからは、誰一人、なぜ反対なのか、という討論はありませんでした。この後、各会派による討論が続きますので、ぜひ反対されるのであれば、なぜ反対なのか、明らかにしていただきたいと思います。それが議決機関である議会の議員として最低限のマナーだと思うからであります。そのことを最後に申し上げ、私の討論を終わります。
 
  


 

  

  


 

  

2013年6月「市立小学校における給食の放射性物質濃度検査を実施を求める陳情」に対する賛成討論

 次に、陳情第10号「市立小学校における給食の放射性物質濃度検査の実施を求める陳情」について、教育市民常任委員会では残念ながら不採択となりましたが、議員の皆様におかれましては、改めて賢明なご判断をいただけるよう、賛成の立場から討論を行いたいと思います。

 ご承知のとおり座間市では、市立小学校、市立保育園の給食食材の放射性物質濃度測定は行っておりません。これは、県央8市では座間市だけが実施しておらず、県下19市でも、実施していないのは座間市茅ケ崎市南足柄市だけと、極めて特異な対応となっておりますが、本市がこれまで実施してこなかった理由を検証しながら討論を進めて参りたいと思います。

 まず、「市場に流通している食品は安全だから検査は必要ない」という論点についてです。小学校給食の放射性物質濃度測定について、教育長はこれまでの議会質問などへの答弁で、次のような見解を示されております。

 「食品については食品衛生法及び食品衛生法施行規則並びに食品添加物等の規格基準において国が定めた新基準値の中で流通しているものと考えております。また、出荷元自治体の検査についても、(中略)都道府県内で生産された農畜産物について国が示された基準に基づいて責任を持って検査が行われているものと思っております。市場に流通する食品は、安全でなければなりません。検査機関で流通してはいけない食品が見つかれば公表後直ちに出荷制限出荷停止等の措置がとられているものと認識をしております。したがって、安全なものという認識を持っております。国へはルールの厳格な適用を求めるものでございます。」

 これは、2012年8月議会における教育長答弁ですが、「新基準値のもとで流通しているものと考える」「検査が行われているものと思う」「出荷制限・出荷停止等の措置がとられているものと認識している」という、以上三つのフレーズは、本市の放射線対策を考える上で、極めて象徴的なものであります。つまり、「検査がおこなわれているはずだ」「基準値以下で流通しているはずだ」「基準値超えの食品は出荷制限や出荷停止などの措置がとられているはずだ」という具合に、仮定の話、願望の話を基に、「安全なものと認識している」という「結論」を導きだしているわけですから、きわめて乱暴な立論であります。

 これに対し、陳情者は「国の要請に基づく産地検査が各県で行われていますが、流通される食品の全てを国の基準値内に収めるにはサンプリングの対象が不十分であることは明白であり、基準値超過の食品が市場に流通していた事実も多数判明しております」として、そのことを根拠づける資料として、厚生労働省が公表している2011年3月〜2013年3月までの基準値超過の流通品の検査結果リストを添付されております。

 それによると、この間の基準値超え食品は、合計138件。これは、教育長が言うところの産地検査を潜り抜けて市場に流通していた食品のうち、検査によって発見されたもののリストでありますから、実際にはこれ以上の基準値超え食品が流通していたことは、明らかだと言えます。よって、「市場に流通しているものは、産地検査により、基準値以下のものであるから、安全である」という論点は、事実をもって否定されるものであります。
 
 次に、教育長や教育委員会事務局がこれまで示してきたもうひとつの論点は、「食品の放射能検査は、国が責任を持って行うべきものであり、座間市が独自に行う必要がない」というものです。 これは、国のサンプリング検査が不十分と言うならば、国が責任を持つべきであって、座間市が独自にやるような筋合いはないというものですが、では、座間市は国に対してサンプリング検査の強化を積極的に求めているかと言えば、そうではありません。教育市民常任委員会で私は「これまで座間市が学校給食の放射能検査について、どのような要請を行ったのか」と質したところ、教育委員会事務局は「神奈川県市長会が提出した『国政に関する要望』」に『小中学校における放射線対策について』という項目がある」と答弁されました。確かに「食品の市場流通段階におけるモニタリング検査の充実・強化」が謳われておりますが、この項目を提案したのは伊勢原市であって、座間市ではありません。また、座間市が毎年国・県に提出している要望書にも、給食の放射能検査については触れられておりません。
 さらに、神奈川県の事業として、国の補助金交付金を活用した給食食材の放射能検査事業がありますが、それを活用しているかと言えば、座間市はそれもやっていません。

 「国に責任がある」と言いながら、国に対してモニタリングの強化を積極的に求めることもせず、不十分とはいえ国が補助金等を支出して実施されている県事業にも手をあげないというのは、どうにも理解しがたい対応としか言いようがありません。

 さらに、三つ目の論点として「小学校給食は、児童の食事のうち、年間換算すれば1/6にすぎない。1/6の食材を検査したとしても、意味がない」ということを、教育長や教育委員会事務局はおっしゃっておられます。

 この点については、端的に申し上げれば、放射線防護に関する基本的な認識の誤りを指摘させざるを得ません。何度も指摘しているように、放射線防護の国際的な基本原則は、ICRP(国際放射線防護委員会)も提唱するしきい値なしの直線モデル、すなわち「安全値は存在せず、放射線量の高さに直線的に比例し、がんの発生リスクが高まる」という点から、可能なかぎり累積放射線量を軽減することが必要とされます。特に、放射線に対する感受性の高い子供たちの放射線被ばくを可能な最小限にとどめることが求められているわけであり、それが1/6だから意味がないとするのは、これもまた、理解に苦しむものであります。

 以上、これまで教育長や教育委員会事務局が、給食食材の放射性物質濃度検査を行わないとする論点について、いかに合理性に乏しいのか、説明をして参りましたが、議員の皆様におかれましては、改めて陳情の趣旨をご理解いただき、ご賛同いただけるよう、お願いを申し上げて、討論を終わります。

2013年 第1回定例会 討論

 それではただ今議題となっております議案第1号から議案第31号について、賛成並びに反対の立場から討論を行います。

 まず、議案第1号から議案第5号までの2012年度一般会計補正予算、各特別会計補正予算、水道事業会計補正予算については、概ね妥当なものとして賛成をするものでありますが、執行にあたって意見をのべて参ります。具体的には、芹沢公園整備事業費についてであります。今補正では、2013年度予定していた用地取得を前倒しする公有財産購入費が約2億2000万円計上されておりますが、この補正措置は、国の2012年度補正予算における防災・安全交付金(社会資本整備総合交付金)の対象事業として、本市の単独負担分すなわち市債の起債額1億4780万円に対し、その70%相当分を2013年度当初予算において、地域の元気臨時交付金として交付されるというものであります。
 国の2012年度補正予算の問題については、のちほど改めて指摘をいたしますが、ここでは防災・安全交付金の交付対象事業としての事業執行に係る点について、意見を申し上げます。
 国土交通省が公表しております「平成24年国土交通省関係補正予算の概要」では、防災・安全交付金の対象事業の中に、「防災公園の整備」が示されておりますので、本市の芹沢公園整備事業が対象事業として見込まれるのは、防災公園の整備として位置付けられるということでありましょう。
 しかし、芹沢公園整備事業は、災害時の広域避難所の一つに指定されておりますが、これまでの整備にあたって特段の防災機能を付加した整備は行われていません。また、この間の社会資本整備総合交付金の活用あたって策定された都市再生整備計画(座間南東部地区)においても、整備方針の大きな柱である地域防災対策の事業には含まれておらず、「(参考)関連事業」として示されているだけであります。さらに、今回芹沢公園第4工区の整備によって広域避難所として拡充される収容可能人員は、駐車場部分の950名。現在の芹沢公園の収容可能人員が15000名ですから、わずか6%程度拡充されるだけであります。
 ここで問題となるのは、国の交付金補助金を活用する事業に対する本市の姿勢の問題。有体に言うならば、「とにかく補助メニューに合致し、交付金補助金が来るのなら財政的軽減のためだけに使うという姿勢で良いのか」ということであります。私自身は、今回の国の補正予算措置については、その政策的有効性においては大いに疑問を持つものでありますが、そうした交付金であっても、活用をするというならば、交付金の政策目標に最大限合致するような事業展開を行うべきであると考えるものであります。
 第4次座間市総合計画の施策34「公園・広場・緑地」では、重点施策として「自然環境を生かし、防災機能等を持ちえた公園、広場の整備を進めます」とありますので、芹沢公園第4工区整備事業においては、単に広域避難場所の面積が増えたということにとどまらず、防災機能の拡充について、整備方針の中にしっかりと位置付けるよう求めておくものであります。

 次に、議案第6号から議案第10号までの2013年度一般会計予算、各特別会計予算並びに水道事業会計予算について反対の立場から討論を行います。
 まず、国の2012年度補正予算並びに2013年度当初予算案と関係する事業について述べて参りますが、この場を借りて、1点訂正をしておきたいと思います。具体的には、本定例会の一般質問において私は、国の2012年度補正予算について、基礎年金の国庫負担分2.6兆円の除く緊急経済対策に係る補正予算10.3兆円に対する国債依存率について、約75%と発言致しましたが、年金特例公債2.6兆円は、緊急経済対策費には含まれておらず、正確には建設国債5.2兆円が緊急経済対策に係る国債発行であります。したがって緊急経済対策に係る経費の国債依存率は、約50%というのが正しい表現となりますので、この場を借りて訂正しておきたいと思います。

 さて、本市の2013年度当初予算案では、国の補正予算関連で「地域の元気臨時交付金」1億346万円が計上されております。この地域の元気臨時交付金は、国の2012年度補正予算に係る公共事業の地方負担分の70%〜90%を、同交付金として地方自治体に交付するというものでありますが、充当事業は「地方債を財源とする事業に限る」とされております。
 この点については、次のような問題を指摘せざるを得ません。一つは、公共事業の地方負担分の補てんを一般財源として交付するのではなく、地方債を財源とする公共事業に限定するわけですから、かつて自民党が野党時代に主張していたように、「使い勝手が悪く、地方の実情にそぐわない」ものであるということ。
 2つ目は、この交付金は、「地域経済活性化、雇用創出」が政策目標となっているようでありますが、本市の充当事業を見ても、小中学校施設整備事業、市道13号線道路施設改修事業、北部地区総合交通対策事業費と、この交付金があろうがなかろうが、本市の当初予算に計上される事業であります。つまり、この交付金により財源構成が変化し、市単独負担分が軽減されるという効果はあったとしても、交付金の本来の政策目標である地域経済活性化や雇用創出には、なんら効果をあげるものではないということであります。
 このように、今回の国の補正予算は、地方自治体の自立性、裁量性の拡大という地方分権改革の流れに逆行し、かつ政府自らが掲げていている「緊急経済対策」という政策目標を実現するための効果についても、大いに疑問があるものと言わざるを得ません。本来なら、補正予算という性格、すなわち一時的・追加的予算措置である点からすれば、使途の制限をつけない地方の一般財源として交付し、その効果や妥当性は、地方議会や住民が検証するという「分権的緊急経済対策」が求められていたはずです。こうしたことが、民主党政権においても、自・公政権においても実現することができないという点にこそ、この国の政治の最大の問題があると考えるものでありますが、この点については、市長も同意されるところだと思いますので、地方の首長の一人として、、地方分権改革、税源移譲について政府に対し、強く申し入れるよう求めておくものであります。

 次に、政府の政策展開との関係で、もう1点、地方公務員給与に対する削減圧力について述べておきたいと思います。今定例会において市長は、政府が、地方公務員の給与を国家公務員と同様に平均7.8%削減を求めていることについて、次のように述べられました。
 ①国家公務員の平均7.8%の給与削減は、東日本大震災の復興財源の一部とするため、2ヵ年に限り削減するというものであり、地方とは何ら関係がないこと。②本来、地方公務員の給与は地方が独自に決めることが原則であること。③地方交付税は、地方固有の財源であるべきだが、これの算定に対して7.8%の給与削減額をあらかじめ減額するのは、「兵糧攻め」のようなもので、筋が違うということ。
④四デフレ脱却、2%のインフレ目標を掲げ、消費水準を上げようという時に、また民間企業に対しても賃上げを求めている時に、全体の消費水準を落とす地方公務員の給与削減は、整合性がとれていないということ。
 以上の点は、全く持って市長のおっしゃるとおりであり、私もこの見解に基本的に同意するものでありますが、その中でも私が特に強調しておきたいことは、地方自治体の自主性、自立性であります。ご承知のとおり地方公務員の給与は、地方公務員法第24条第6項において「職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める」と規定されておりますように、地方自治体が自主的に定めるもの、つまり、自治によって決せられるものであり、けっして中央政府からの同調圧力によって、決められるものであってはなりません。
 中央政府は、本年7月以降、地方交付税基準財政需要額の算定について、各経費の算定基準となる単位費用に含まれる人件費を削減し、地方自治体が国家公務員と同様に給与削減を行わない場合は、地方交付税を削減するという、日本の地方自治制度に汚点を残すような暴挙を行おうとしております。
 市長におかれましては、まさか、6月議会などにおいて、給与費削減の補正予算が計上されることはないと思いますが、ぜひ地方自治体の首長としての矜持をもって、不当な圧力に抗するよう求めるものであります。

 それでは次いて、本市の2013年度一般会計当初予算案について、反対をする理由を述べて参ります。まず、本市の将来を左右する重要な政策展開として、大きく二つほどその問題について指摘して参りたいと思います。

 一つは、キャンプ座間部分的返還地の利用方針とそれに係る関係経費の支出についてであります。これまでも、基地の整理縮小・返還、基地の恒久化解消という本市の市是と部分的返還地跡地利用構想との不整合、利用構想策定に至るデュープロセスの問題や防衛省地方自治体をコントロールする手段となっている再編交付金、特定防衛施設周辺整備交付金の問題、さらには建設費用が億単位で割高となる消防庁舎の返還地への建設の問題などについて指摘をして参りましたが、今回は、特に都市計画との関係で指摘をしておきます。
 当初予算案では、基地返還跡地利用促進事業費として、基地返還跡地道路施設等基本計画策定業務委託料が計上され、部分的返還地に関して、都市計画法に基づく地区計画の策定が行われようとしております。ご承知のとおり、米軍基地であるキャンプ座間は、都市計画上市街化調整区域となっておりますが、その理由は、米軍基地であるが故に我が国並びに本市の行政権限が及ばないことによるものであります。一方、今回予定されている部分的返還地の跡地利用構想では、自衛隊宿舎、病院、消防庁舎、都市公園など、明らかに都市的土地利用が想定されているにもかかわらず、市街化調整区域の線引きはそのままとして、地区計画によってこうした土地利用を位置付けようとしているわけであります。
 このことについて市長は、私の一般質問に対して「市街化区域と調整区域とのバランスからすると慎重にならざるを得ない」という旨の答弁をされておりますが、率直に言って根拠に乏しいものと言わざるを得ません。なぜならば、市長が仰っていたバランスとは、自然的な土地利用と都市的土地利用のバランスということのはずですが、実態上、土地利用の形態が都市的利用のところを市街化調整区域として残したとしても、自然的な土地利用の割合が増えるわけではありません。ならば、実態に合わせて線引きを変更するのが当たり前ではないでしょうか。
 そこで、思い起こしていただきたいのは、本市が基地返還を求める根拠としてきた点についてです。それは、第1次から第4次にわたる本市の総合計画の中で示されているように、米軍基地並びに共同使用している自衛隊基地が、都市計画上の阻害要因となっていることをであります。こうした点からするならば、返還地について、都市計画上、市街化区域として位置付け、まちづくりを進める中で、恒久化解消、全面返還へとつながる取組を精力的に行っていくべきだということを求めておきたいと思います。

 次に、本市の将来の左右する重要な政策展開の二つ目として、日産座間カレスト地区再開発計画の問題について指摘しておきたいと思います。当初予算案では、都市部所管事業として南東部地区総合交通対策事業費の市道38号線鑑定手数料が計上されておりますが、問題点は、市道38号線の整備方針というよりも、基地問題と同様に、都市計画事務の執行並びに本市の街づくりの将来ビジョンに係る問題についてであります。
 この再開発計画の最大の問題点は、再開発地区に大規模商業施設が立地することによる、周辺交通の悪影響、特に県道50号座間大和線の渋滞問題であります。事業者が行った現況交通量調査においても、現状休日最大480m、平日最大180mの渋滞が発生しているにもかかわらず、大規模商業施設開店後、信号現示の調整だけによって、渋滞が発生しないとする当局の見解には、率直に言って驚きを禁じえません。
 また、事業者側の周辺交通への影響評価では、「現況交通量として、渋滞長は考慮しない」と明記されており、現状の渋滞長を計算に入れずに「交通処理は可能」とする見解も同様であります。
 当局は、今回の事業者による現況交通量調査と影響評価について、国土交通省の大規模開発地区関連交通計画マニュアルに則して実施されているとして現状での市独自の交通量調査や影響評価について、行う意向がない旨を明らかにしましたが、事業者提案制度に基づく再開発計画といえども、同マニュアルの趣旨、すなわち「開発に伴う交通上の影響が、現状の交通流動に与えないために、どのような施設整備が必要であるか明らかにする」こと。さらに「関連交通計画が不適切な場合には、関連交通計画の見直しまたは開発事業者との調整による開発計画の見直しを行った上で、再度評価を行う」といった点からすれば、市独自の調査と影響評価は不可欠と考えるものであります。
 都市計画法に基づく地区計画の決定権者は、座間市であります。ここでもまた、地方自治体の矜持が問われることになります。当局は、近々都市計画決定を行うとのことでありますが、性急な都市計画決定は禍根を残すことになりかねません。特に県道51号線座間大和線の渋滞問題は、単に当該道路交通の影響にとどまらず、市内交通全体への影響並びに生活道路への侵入など、市民生活に与える影響が大きいと考えられますので、詳細な影響評価の上、手続きを進めること、あるいは必要な計画の見直しを事業者に求めるよう、指摘しておくものであります。

 それでは続いて、一般会計当初予算案におけるいくつか事業について、予算執行上の問題点について指摘をして参ります。
 まず、市民部所管の自治会活動助成事業費について。新年度、座間市自治会総連合に対する連合構成自治会総括事業補助金が346万1700円増額され、2347万7千円が計上されております。額の内容は、事務局人件費191万9670円、自治会回覧に係る委託費122万7330円、バス研修旅行の経費31万1700円というものであります。今回は特にこの増額の妥当性については詳しく論じませんが、こうした市自治会総連合への補助金の実績報告が提出されていない問題について指摘しておきたいと思います。
 経過を追って参りますと、私はかつて、当時の座間市自治会連絡協議会への補助金支出について、座間市地域自治振興事業補助金交付要綱では、補助金の対象費目が「防犯、防災、環境美化及び組織強化」に特定されているにもかかわらず、自連協からの実績報告書では、補助金が対象費目に使われているかどうかわからず、補助金の効果を検証できないこと。さらに、自連協加盟の単位自治会、当時は195自治会でしたが、そのうち69自治会は、収支報告すら自連協に提出されていないこと。また収支報告が提出された126自治会においては、自治会館などの修繕積立が特別会計化されていない自治会が数多く、繰越金の総額は、9300万円にのぼり、その当時の自治会への補助金740万円をはるかに上回ることを指摘しておりました。
 これに対し、自連協から組織改編より、座間市自治会総連合会となった市自連は、現在統一的な会計フォーマットを作成し、収支報告の徹底化、会計の明瞭化を進めていると聞き及んでおりますが、一方で補助金を支出する座間市の方は、座間市地域自治振興事業補助金交付要綱を改定し、補助対象経費を「公益的活動に要する経費」と大幅に拡大し、実績報告書の提出は「省略するものとする」としております。
 要は、私が、補助金支出の妥当性並びに効果を検証することができるようにと求めたところ、対象経費の特定をやめ、実績報告書の提出も廃止してしまったということであります。
 本市の全ての団体補助、事業補助のあり方を規定している座間市補助金等の交付に関する規則では、第18条(実績報告)において「補助事業者等は、補助事業が完了したときは、補助事業等実績報告書に次に掲げる書類を添えて、市長に報告しなければならない」としております。確かに同条第3項では、「市長がその必要がないと認めるときは、その実績の確認により補助事業等実績報告書等の提出を省略することができる」という規定がありますが、市民レクレーション振興事業を含めれば3000万円を超える税金の支出に対して、実績報告書の提出を一切求めないというのは、予算執行上、不適切と言わざるを得ません。直ちに改めるよう求めておくものであります。

 次に、教育委員会所管の小中学校普通教室等空調整備事業費について。 この事業の問題点は、第4次座間市総合計画にも掲げられていなかった事業が、米軍再編交付金とのからみで突如事業化され、さらに教育委員会事務局の経費計算の誤りで、どんどん事業費だけが膨れあがっていくという、堅実さが売り物の行政官僚らしからぬ、事業展開であるという点です。
 昨年12月議会の討論において、私は自らの試算を基にして、本事業の総事業費は、12億8000万円程度になるのではと申し上げましたが、今回の予算審査で明らかになった総事業費の見込みは、私の試算を2億円以上も上回る15億1200万円。特に違いが大きかったのは、リース料で、全校設置した段階のリース料を私は年間約6000万円とみておりましたが、当局の試算では9800万円。ほぼ1億円となるリース料を毎年払い続けなくてはならないことになるわけであります。
 一方でこのエアコン設置事業によって、その進捗が心配されるのが、本来総合計画の教育環境整備の重点施策として掲げられていた、校舎等の計画的施設整備や太陽光発電などの学校エコ化の取り組みであります。小学校施設整備事業費については、実施計画では2013年度1億9117万6千円が計上されていたものが、当初予算案では6447万9千円が減額され、1億2000万円程度となり、その結果、相模が丘小の屋上防水工事や中原小の屋内運動場屋根防水工事などが次年度以降に先送りされております。
 また、太陽光発電施設については、当初予算で、入谷小学校蓄電設備設置工事が計上され、リチウムイオン電池設備の設置とソーラーパネルを屋上に移設することとなっておりますが、ソーラーパネル設置時にあれほど屋根に設置すべきという議会からも意見があったにもかわらず、「設備の重さに屋根が耐えられない」として地上に設置しておきながら、今度は「周辺環境の変化により」として工事費をかけて屋上に移設するという今回の措置は、まさに朝令暮改もはなはだしいと言わざるを得ません。
 さらに、今回の予算審査で今後の太陽光発電設備の設置については、まったくメドが立っていない状況であることが明らかになっており、総合計画の教育環境における重点施策である学校エコ化の取り組みは、いつのまにか中学校1校、小学校1校における校庭のごく一部を芝生化する事業に収れんされそうな気配であります。
 おそらく、小中学校エアコン設置事業費の総額15億1200万円の半分以下の経費で、本市の全ての小中学校の校舎の屋根にソーラーパネルを設置し、蓄電池を備えることが可能だったと思いますし、学校施設は災害時に避難所となるわけですから、防災上もはるかに有効であった思います。
 よって、教育環境整備の優先順位からしても、さらに防災・減災力の強化という観点からしても、この小中学校エアコン設置事業の予算執行は承認することができません。

 以上まことに簡単ではありますが、2013年度一般会計当初予算に反対する理由の説明をいたしました。

 それでは続いて、座間市国民健康保険事業特別会計並びに座間市国民健康保険税条例の一部を改正する条例に反対する立場から討論を行います。
 この国民健康保険税の値上げについては、すでに一般質問においても、健康福祉常任委員会の委員外発言においても、私の基本的な考え方について述べておりますので、簡潔に理由を申し上げます。

 それは、現時点においては、値上げの必要がないからであります。

 これだけではなんですから、もう少し理由を申し上げますと、今回の保険税値上げの前提として昨年示された「座間市国民健康保険事業財政健全化計画」について、私区は国民健康保険事業の現状と課題で述べられている点については、基本的には同意するものであります。しかし、同意できない点は、今後の収支見通しと税率の見直しという方針であります。
 それは私の一般質問においても指摘をしましたが、財政健全化計画の収支見通しと今回の税率改定の基礎となっている財政計画では、その前提条件となる伸び率の数値に大きな差異があることです。さらに、私が独自に試算した過去3年間の各予算費目における平均伸び率ともに大きな差異があります。ご承知のとおり本市の国保特別会計の予算規模は、140億円を超える規模となっておりますし、主な費目の規模は数十億円にのぼるわけですから、1%の違いで数千万円の違いとなります。ですから、収支の見通しを立てる際に、この前提条件となる数値をどのように入れ込むのか、という点で大きく違ってくるわけであります。
 ここまで申し上げましたので、少し細かく数字を例示すれば、当局が今回の値上げにあたって試算した財政計画では、国庫支出金の伸びは2.3%、過去3年間の平均値では6.2%で、3.9ポイントの違いがありますが、これは額にして約1億円となります。また、前期高齢者交付金の伸び率は、当局試算が5.0%、過去3年間の平均が15.0%ですから、10ポイントもの違いがあり、これは額にして約2億2000万円となります。今回の税率改定の効果額は、約1億8000万円程度でありますので、これだけでも歳入の前提条件が変わってくるわけであります。
 当局は、国民健康保険財政は年ごとに変動が大きいので、直近の、すなわち2012年度決算見込みを基礎に伸び率を定めたと答弁されておりますが、ではなぜ年ごとの変動が大きいにもかからず、直近の伸び率を採用するのかという点は理解に苦しむ次第です。変動が大きいからこそ、平均値をとって、伸び率を見込むのがふつうではないかと思う次第であります。これは収支見通しをたてる際の極めて技術的な問題であり、政策妥当性以前の問題であります。値上げを前提とした数字上の作為があったのではないかと指摘せざるを得ません。

 また、2012年度担当職員のみなさんのご努力で、収納率を向上させ現年分で約2400万円、滞納繰越分で約7500万円、合計9900万円とほぼ1億円もの税収増がはかられております。もし、この努力がさらに目標値である現年分90%、滞納繰越分30%まで引き上げることができれば、その影響額だけで、値上げ分の1億8000万円を飲み込んでしまうことが今回の予算試算で明らかになりました。
 昨年度、滞納繰越分30%という目標は過大ではないかという意見に対して当局は、「大きな目標に向かって取り組むことが必要なんです」とおっしゃっておられました。ならば、それを達成すれば、値上げの必要性もなくなってしまうにもかかわらず、なぜその大きな目標をたった1年で放棄してしまうのでしょうか。しかも着実に今年度成果を上げているにもかかわらずということであります。

 以上の点から、現時点においては値上げの必要性はないものとして、国保特別会計並びに関係条例の一部改正に反対するものであります。

 最後に、公共下水道事業特別会計について、一点だけ指摘しておきたいと思います。それは、新年度初めて起債される資本費平準化債についてであります。一般質問において資本費平準化債を起債した場合の地方交付税の減額分と起債しない場合の一般会計からの繰り出し金の増加分について質問いたしましたが、明らかになったことは起債した場合の方が、地方交付税の減額分を差し引いたとしても約2億7000万円程度、財政的には有利であるということであります。
 しからば、なぜ資本費平準化債を下水道料金の値上げ前に、起債しなかったのかという点であります。下水道料金の値上げは2011年度から実施されておりますが、当局の見込みでは年間効果額は約1億3000万円ですから、これもまた起債による効果額が値上げ分を飲み込んでしまうではありませんか。行政の事務執行としては、適格性に欠けると言わざるを得ませんし、猛省を促すものであります。

 以上で、討論を終わります。






 

2013年 第1回定例会 一般質問

 まず市長の政治姿勢について、3点ほど伺います。第1点目は、「国の2012年度補正予算地方自治についてであります。

 去る2月26日参議院で可決、成立した国の2012年度補正予算は、政府の説明によれば、「日本経済再生に向けた経済対策」の財源を裏付けるための予算である、とのことであります。中身を見ていくと、基礎年金の国庫負担部分約2.6兆円を除く、緊急経済対策に係る補正予算の規模は約10.3兆円。3つの重点分野から構成され、復興防災対策に約3兆8000億円、成長による富の創出に約3兆1000億円、暮らしの安心・地域活性化に約3兆1000億円が計上されております。
 一方、その財源を見て参りますと、建設国債が約5兆2000億円、年金特例公債が約2兆6000億円と約75%が国債依存、すなわち新たな借金となっております。前政権が編成した2012年度予算に盛り込めるだけ借金を上乗せしておいて、新年度予算については「当初予算では4年ぶりに税収が国債発行高を上まわった」と胸を張られても、率直に言っていかがなものかと思わざるを得ません。

 今回政権に復帰した自民党は、昨年2月の野党当時に発表した「平成24年度予算政府案の問題点とわが党の考え方」において、こう述べられておりました。「我々は平成23年度第4次補正予算において、本来24年度当初予算に計上すべき項目が含まれている点を指摘したが、補正予算にまわすことにより、当初予算の規模を表向き小さく見せようとしている。見せかけだけの粉飾予算である」と。まったくおっしゃっている通りなのですが、今度はそれと全く同じことを政権に復帰された自民党が行っているわけですから、通常こういうことは「自家撞着」、すなわち「言行が前と後で矛盾していること」と呼ばれるものであります。

 この他にも、東日本大震災からの復興加速と銘打って約1兆6000億円が計上されているものの、被災地のインフラ整備や原発災害対策などの経費はそのうちわずか2割、約3200億円ほどで、残りの8割約1兆7000億円は、復興債の償還財源、借金返済に回していること。また、あれほど「笹子トンネル事故を教訓として」と喧伝していたにもかかわらず、道路などの老朽化対策には、わずか2000億円しか計上されていないことなど、言行不一致の予算配分は随所に見られますが、その政治的評価はともかく、今回の質問では地方関連事業について議論を進めて参りたいと思います。

 財務省が公表している「平成24年補正予算の概要」によると、被災地を除く地方関連事業では、事前防災・減災等として防災・安全交付金(社会資本整備交付金)が5500億円、地方の資金調達への配慮と緊急経済対策の迅速な実施ということで、地域の元気臨時交付金(地域経済活性化・雇用創出臨時交付金)が1兆3980億円が計上されております。

 本市では、この国の補正予算の関係事業として2012年度度補正(第7号)において芹沢公園用地取得事業費2億2130万円が、2013年度当初予算では地域の元気臨時交付金(地域経済・雇用創出臨時交付金)1億346万円が計上され、小中学校施設整備事業費など4事業に充当されております。

 国土交通省は防災・安全交付金について「防災・暮らしの安心に資する交付金を一括化して、地方にとって使い勝手の良い防災・安全交付金を創設した」としておりますが、対象事業の詳細が未だ明らかではないとはいえ、その使途は制限されており、地方自治体には事業選択の裁量権はありません。先日企画財政部長は「使い勝手が悪い」と率直な感想を述べられておられましたが、確かにそのようです。
 また、地域の元気臨時交付金は、国の2012年度補正予算に係る公共事業の地方負担分に応じて算定(最高90%)されるということのようですが、充当事業は「地方債を財源とすることができる経費に限る」と限定されております。

 要は、国の補正予算のメニューに沿った公共事業をやれば、その地方負担分をみてあげましょう。しかし、その地方負担分の補てんは、新たな公共事業に使いなさい。しかも、その公共事業は、地方が借金をして行う公共事業に限りますよ。ということであります。

 結局のところ、今回の国の補正予算は、霞が関の中央官庁の「縛り」が極めて強い性格のものであり、地方自治体の自立性、裁量性の拡大という地方分権の流れに逆行するものであると言わざるを得ません。

 私は、国の補正予算という性格や「緊急経済対策」という政策目標からすれば、大胆に使途の制限をつけない地方の一般財源として交付し、その政策目的の妥当性の検証は、地方議会や市民の目で検証するといった、いわば「分権的緊急経済対策」こそが求められていたと思いますが、市長はどのようにお考えでしょうか。その所見をお聞きするものであります。

 次に、市長の政治姿勢の第2点目として、生活保護生活扶助費の削減について市長のお考えをお聞きして参ります。

 政府は、2013年8月から生活扶助費を平均6.5%、最大で10%引き下げ、3年間で総額670億円削減するとしております。引き下げ率は、過去最高で、直近の引き下げでは2004年がマイナス0.4%、2003年がマイナス0.9%ですから、今回の下げ幅がいかに大きいかということがわかります。今回の改定によって、およそ生活保護世帯の96%が削減となるとのことであります。

 この生活扶助費の削減について厚生労働省は、その理由として2点あげております。一つは社会福祉審議会生活保護基準部会の検証結果を踏まえて、年齢、世帯人員、地域差による影響を調整した結果約90億円の削減、2つ目は、物価動向による削減、すなわち、デフレで物価が下がっているのだから物価に合わせて削減するというもので、これによって総額580億円が削減されるとのことであります。

 厚生労働省の2013年度予算の説明資料によると、「平成20年以降の物価下落を勘案して見直す」としか記述がありませんので、物価スライドの算定根拠は不明ですが、突然の基準変更としか言いようがありません。というのは、これまで厚生労働省生活保護基準を定めるにあたって、毎年度の政府経済見通しによる民間最終消費支出の伸びを基礎とする「水準均衡方式」をとってきており(ちなみに2013年度の民間最終消費支出の伸びはプラス1.6%)、物価動向に基準にするのは初めてであり、社会福祉審議会生活保護基準部会でも物価動向による引き下げは一切検討されておりません。
 突如、物価動向論、デフレ論が生活保護基準に突然採用されたかのような状況ですが、一方で田村厚生労働大臣は記者会見において、記者から「アベノミクスで物価が上がった場合は引き上げるのか?」という質問に対し、「機械的にそういうことではない」と答えておりますので、この物価動向が生活保護基準を定める際のほんとうの基準なのか、今回、とにかく下げるために持ち出してきた方便なのか、率直言って理解に苦しむところであります。

 とはいえ、ご承知のとおり生活保護事業は国からの法定受託事務でありますので、生活保護基準についての地方自治体の裁量権はありません。しかし、生活保護基準は、例えば地方税の非課税基準(地方税法、施行規則)や小中学校の児童・生徒に対する就学援助など、生活保護世帯以外の低所得者である準要保護世帯の基準となっており、生活保護世帯のみならず、それ以外の低所得者に対する施策に影響が出てくることになります。

 そこで、市長にお聞きするものでありますが、今回の生活保護、生活扶助費の削減について、その妥当性・合理性について、どのような所見をお持ちなのでしょうか。お聞きするものであります。また、生活保護基準の引き下げによって、影響する本市の制度について、具体的に明らかにしていただきたいと思います。

 次に、一般質問の大きな2番目として、2013年度予算について議論を進めて参ります。私は現在、残念ながら予算に関する総括質疑ができない立場ということになっておりますので、限られた時間ではありますが、提案されております予算案について、何点かに絞ってお聞きして参りたいと思いますし、議員の皆様におかれましては、予算審査の論点設定の一助になれば幸いであります。

 まず、市税等のコンビニ収納についてお聞きします。本市では、2014年度より、市税、固定資産税、軽自動車税国民健康保険税介護保険料、後期高齢者医療制度保険料について、コンビニ収納を可能とするため準備が進んでいるようでおります。先日の総括質疑において当局は、コンビニ収納によって発生するコンビニへの手数料について、市税等の納付の50%となった場合の試算として、手数料2150万円と答弁されておりましたが、コンビニ収納に係る経費はこれだけではありません。システム改修等初期経費が発生することと思いますが、初期経費の総額は一体いくらぐらいになるのか、お示しいただきたいと思います。また、コンビニ収納は収納率の向上につながるのか、見解をお聞きするものであります。

 次に、国民健康保険事業特別会計について、お聞きして参ります。本市では、昨年12月に2013年度から2015年度を計画年度とした座間市国民健康保険事業財政健全化計画を策定しております。同計画では「国民健康保険は、極めて厳しい財政運営を強いられている」として、「歳出に対する歳入の財源不足を補うことを目的とした法定外繰入金が、このまま継続的に増加することについては大きな課題となっている」という認識のもと、財政健全化に向けた重点取組事項として 1)国民健康保険税の適正な賦課と収納率の向上、2)医療費の適正化、3)保健事業の推進の三つを掲げております。そして、この財政健全化計画をもとに、本定例会には税率改定すなわち、国民健康保険税の値上げを定めた条例改正並びに国民健康保険事業特別会計予算が提案されているわけであります。

 まず、市長に基本的な認識を伺います。これまでの国民健康保険税の税率について、財政健全化計画では「本市の国民健康保険税の税率は、低迷する社会経済情勢や国民健康保険制度が抱える構造的問題を理由に、これ以上被保険者に税負担の増を求めることは困難であるとの判断から、平成12年度以降、税率を据え置いてきた」と述べられております。財政健全化計画でも示されておりますが、本市の国民健康保険被保険者の所得状況並びに所得分布は年々低所得化が進行おります。さらに、デフレ下にあってもその他の租税負担、水光熱費などの公共料金は上がり続けており、今後も消費税増税をはじめ国民負担率は上がることが予想されます。こうした状況の中で、「税負担の増」を求めることは適切なのか、まずは市長の見解を伺うものであります。

 次に、一般会計からの法定外繰入金についてお聞きして参ります。国民健康保険事業では、法定外繰入金については特に定めはありません。市長は先日の総括質疑の答弁において「法定外繰入金は、原則としては本来あってはならないもの」という趣旨の答弁をされておりますが、法定外繰入金をゼロにして収支の均衡を図ろうとするならば、税負担の飛躍的強化となり、制度上成り立ちえなくなる実情があります。では、この法定外繰出金の現状における「適正な額」をどう考えるかということになります。国民健康保険法第72条の3によれば、「国民健康保険の財政の状況その他の事情を勘案して」ということになろうかと思いますが、当局の所見を求めるものであります。

 次に、法定外繰入金の問題と関連してくることですが、財政収支の均衡に関する見解を伺って参ります。財政健全化計画の第2章、4目標のまとめ、(3)収支では、「目標:国民健康保険事業特別会計収支の均衡を保持します」とありますが、この場合の「収支の均衡を保持する」とは、具体的にはどういうことを意味しているのでしょうか、説明を求めるものであります。

 次に、今回提案されております税率改定をもし行わなかった場合、向こう3年間の法定外繰入金はどのように推移すると見ておられるのでしょうか、お示しいただきたいと思います。

 次に、財政健全化計画に示されている向こう3年間の財政収支見通し並びに今定例会に提案されております国民健康保険税改定の基礎となっている向こう3年間の財政計画の前提条件の数値についてお聞きして参ります。
 具体的に申しますと、歳入では財政健全化計画は、国庫支出金の伸びを3.0%とみておりますが、財政計画では2.3%。療養給付費交付金については、6.0%と2.3%、前期高齢者交付金では8.0%と5.0%、共同事業交付金では4.0%と2.0と、少なからぬ違いがあります。また、歳出でも保険給付費が4.0%と2.3%、共同事業拠出金が4.0%と2.0%とこちらも、少なからぬ違いがあります。「少なからぬ」と申しましたのは、これらの費目の額は数十億円にのぼるわけですから、1%の違いで数千万円の違いとなります。ですから、前提条件の数値をどう設定するのかということは非常に重要なことでありますが、なぜ、財政健全化計画と財政計画とでは、前提条件の数値が違っているのか、説明を求めるものであります。

 次に、収納率についてお聞きします。2012年度の現状までの収納率は、現年課税分が87.5%で1.5ポイントの上昇、滞納繰越分が15.0%程度で4.2ポイント程度の上昇が見込まれているようですが、今回の収納率の向上によって、国民健康保険税の税収増はどのくらいとなったのか、お示しいただきたいと思います。

 次に、日産座間カレスト地区再開発計画について、お聞きしてして参ります。本市の2013年度当初予算では、当該再開発計画に関係する事業として南東部地区総合交通対策事業費の中で、市道38号線の道路鑑定手数料が計上されておりますが、今回の質問では、当該再開発計画に伴う周辺交通への影響についてを中心にして議論を進めて参りたいと思います。
 日産自動車株式会社が2012年10月に提出した都市計画提案書では、現況交通量の調査及び解析、地区計画に伴う発生集中交通量の推計と周辺交通への影響、負荷の検証、交通負荷に対する対策案などが記載されておりますが、交通量調査や周辺交通への影響評価、交通負荷への対案等は、県道座間大和線2か所、市道13号線1か所の計3か所だけとなっております。なぜ、この3か所だけなのか、説明を求めるものであります。

 次に、再開発提案書の現況交通量調査の結果によると、3つの交差点の最大渋滞長は1カレスト座間入り口西側交差点が、平日180m、休日480m。市道13号線と県道座間大和線との交差点では、平日140m、休日70m。市道13号線市道11号線との交差点では、平日260m、休日40mと示されているものの、大規模商業施設開業後の交通量の増加に対して、「信号現示を調整することによってすべての車線において車線混雑度は1.0を下回り、交通処理可能となる」と記述されております。要は、信号の表示時間を調整すれば、スムーズな交通となるということのようですが、なぜそうなるのか、当局側の認識についてお聞きするものであります。

 次に、当該再開発計画に伴って本市が整備するものとされている市道38号線の道路整備についてお聞きします。日産自動車が作成した都市計画提案書では、市道38号線について「座間市の道路整備計画の中で最優先路線に位置付けられている」と記述されておりますが、この道路整備計画とは一体何を指すのでしょうか。残念ながら私は、「座間市道路整備計画」というものを目にした覚えがありませんので、念のために説明を求めるものであります。

 次に、市道38号線の整備対象区間について、先日の総括質疑における答弁では「市道11号線から市道9号線まで」と答えられておられましたが、これで正しいのでしょうか。私としては「市道11号線から事業者が整備する再開発地域内の接続道路まで」と認識しておりましたが、改めて確認をするものであります。

 次に、この市道38号線整備事業の事業費総額は、どのくらいと見込んでいるのか、また、財源構成はどうなるのか、お示しをいただきたいと思います。

 次に、座間市の都市計画マスタープランに示されている土地利用計画との関係で、お聞きします。同マスタープランでは、工業専用地域である同地域などの工業地については、「地区計画や特別用途地域などの活用により、工業地としての機能の維持・向上を図るとともに、産業構造の変化に対応した新たな企業立地の誘導を図ります」とありますが、今回の再開発計画は、この土地利用方針に照らして、どうか、当局の所見を求めるものであります。

 次に、事業者との事前協議についてお聞きします。本市では2010年度に第4次総合計画と座間市都市マスタープランを策定しておりますが、これら計画の策定時に今回の再開発計画に関する事前協議や相談等は行われていたのかどうか、事前協議の経過も含めて説明を求めるものであります。

 最後に、公共下水道事業特別会計についてお聞きします。当初予算案において、本市では初めての資本費平準化債が起債されております。資本費平準化債の内容等については、すでに総括質疑でおこなわれておりますので、ここでは一点だけお聞きいたします。この資本費平準化債の起債額の半分は、基準財政需要額から差し引かれるとのことですが、今回の起債に際して、地方交付税の減額分はどのくらいとなるのか。また、起債しない場合、一般会計から下水道事業特別会計への繰出金はどのくらい増えるのか、お示しいただきたいと思います。

 以上で、一回目の質問とし、一旦降壇いたします。