2013年9月 第3回定例会 討論

 ただいまより、上程されております議案、陳情について、賛成並びに反対の立場を明らかにして討論を行います。まず、議案第41号から議案第46号までの2012年度一般会計決算、各特別会計決算、水道事業会計決算の認定については、反対の立場から討論を行います。以下、反対理由並びに指摘事項を申し上げて参ります。

市長の財政分析はまちがっている

 2012年度の一般会計決算における収支状況は、歳入歳出予算現額370億5744万8千円に対し、実質単年度収支は前年度の7238万円から300.7%増の2億9004万6千円の黒字、留保財源である財政調整基金の年度末残高は8億4203万2千円となり、今決算で生じた剰余金を全て財政調整基金に積み立てたとすれば、基金残高は約11億円余となり、ここ数年間では最大の留保財源を有することになりました。

 このことは、一見すれば単年度収支において、黒字幅を伸ばし、留保財源を増やしたわけですから、外形的な財政運営上は評価に値するものでありましょうが、単年度総計予算主義のもと編成される地方自治体決算の本質からすれば、こうした財政運営がどのような政策的な有効性を発揮し、市民満足度を高めたのか、という点から検証されるべきものであると考えます。

 今決算の総括的な評価について市長は次のように述べられました。

  • 予算編成の途上で緊急財政対策本部を設置し、危機的意識をもって対応した。
  • 全庁あげて、財政状況の共有化をはかり、知恵をしぼり、工夫をこらして対応することについて意思統一ができた。
  • 「勇気をもって不用額を残す」のことの徹底についても、しっかりと指示した。
  • こうした一連の取り組みの成果が、実質単年度収支3か年連続の黒字につながった。
  • また、一般会計から特別会計への繰出金を国保会計では約4億2400万円、下水道会計では約1億900万円と大幅に減することでき、これも一般会計における実質単年度収支の黒字につながった。

 この市長の見解は、去る8月30日、本会議における上沢議員の総括質疑に対する答弁として述べられたものでありますが、事実認識においても、また政策的評価においても、明らかに間違っております。

 緊急財政対策本部を設置したことも、全庁あげて財政状況の共有化をはかったことも、不用額を残すことも、よかったことでしょう。しかし、これらの取り組みが実質単年度収支の黒字につながったと結論づけることは、あまりにも乱暴というより、事実認識として間違っております。先日の私の一般質問の際にも指摘しましたが、職員の経費節減努力による不用額は、私の試算では年間約3500万円程度です。

 また、一般会計から特別会計への繰出金の減については、確かに前年度決算対比では減となっておりますが、これはこの年度内の予算執行によって減額されたものではなく、逆に国保会計では保険料の歳入を滞納繰越分30%の収納率で予算計上していたものの、実際は約12%。その結果、一般会計から国保会計への繰出金は、約2.5億円の増額補正を行っております。市長の発言は、一般会計から特別会計への繰出金の減という政策的効果を強調したいあまりなのでしょうが、誤った事実認識となっていることを指摘せざるを得ません。

 では、当該年度決算において、財政調整基金積立金および決算剰余金合わせて約11億円の留保財源を有するようになった主な要因は何かということでありますが、概括すれば以下のような点となります。

 一つには、市民税が当初予算比で約2億円の増、固定資産税が当初予算比で約2.1億円の増、合わせて4.1億円の増となったこと。二つ目には、水道事業会計から出資金の返納が約2.5億円あったこと。三つ目には、入札執行残が約0.6億円あったこと。これら合計7.2億円が、約11億円の留保財源の主な要因であり、このうち本市の政策的対応によって生み出されたのは、約2.5億円の水道事業からの出資金の返納だけであります。(この出資金の返納の政策的な是非については、後ほど述べて参ります)

 以上、まずは本決算を総括するにあたって、その前提条件となる事実認識の誤りについて指摘して参りましたが、次に、こうした留保財源を生み出したこととの関係で、当該年度の政策展開の是非について論じて参りたいと思います。

黒字のほんとうの要因は子育て世帯への増税

 11億円の留保財源のうち、個人市民税は当初予算対比で約2.1億円、前年度決算対比で約3.1億円の増収となっております。この増収の要因は、市民の所得が増え、それに伴い税収が増えたものとは言い難いものであります。

 ではなぜ個人市民税の税収が増えたのか、その答えは子育て世帯への増税によるものであります。市民税の課税対象額は前年度所得から計算されますが、2011年より所得税において16歳未満の扶養親族にかかわる扶養控除、年少扶養控除33万円が廃止されるとともに、16歳以上19歳未満への特定扶養親族にかかわる扶養控除、特定扶養控除の上乗せ分12万円が廃止をされました。よって、当該決算年度より、子育て世帯への増税が行われ、本市における影響額は約2億4000万円の増収と当局は推定されておりましたが、決算数値を見てみるならば、市民税増収の要因は、ほぼこのことによって説明できます。

 一方子ども手当支給事業は、総事業費では前年度が24億8673万9千円であったものが、当該年度は21億7627万3千円とマイナス3億1046万6千円となりました。このように、扶養控除は廃止され、子ども手当が減額されたために、子育て世帯の中には、家計上差引マイナスとなる世帯が生まれたり、これまで非課税であった世帯が課税世帯となるという事態が生じております。

 もちろん、この子ども手当支給事業は、国からの法定受託事務であり、政府のでたらめな政策展開によるものではありますが、増収となった地方自治体が、その増収分をどのように活用するかは、すぐれて地方自治体の裁量の問題であります。

 では、本市においてはどうだったのでしょうか。今回の子育て増税は、いわば本来なら家計において消費されるはずのお金が、家計から地方自治体へ移転したものであり、そうした制度変更の経過からするならば、この増収分は政策的には新たな子育て支援策に充当されるのが適切な予算執行と言えるでしょう。しかし、本市においては、本会議における市長答弁のとおり、当該年度子育て支援策で充実がはかられたものはありません。それどころか、児童福祉費においては、前年度決算対比で−8.7%、額にして約5億円が減額されております。

 子育て世帯は増税、一方市は、近年にない留保財源を確保するという事態は、けっして納税者の理解を得ることはできないと思いますし、予算執行の的確性に欠けるものであると言わざるを得ません。

次に、いくつかの事業について、予算執行上、妥当性に欠けると思われるものについて申し上げます。

自治体会計においてコストに減価償却費を含めるのは妥当か

 まず、特定政策推進室所管の公共施設利活用指針策定事業について。当該決算年度、本市の公共施設の現状と将来課題をまとめた「座間市公共施設白書」が作成されました。同白書は、公共施設のうち、建物系施設の現状の維持管理コストと将来的な施設更新の係る費用の推計を明らかにしたものであり、私自身も本事業の必要性は大いに認めるところではありますが、維持管理コストの試算について疑義があります。

 同白書では、維持管理コストを「フルコスト」として、減価償却費を加えております。ご承知のとおり減価償却費とは、資産が時間的経過によって生じる負債の価値の減少分を見積もり、費用として計上するものであります。企業会計上は、当たり前のコスト計算ではありますが、地方自治体の会計は、総計予算主義に基づく単式簿記で表現されることが、法的にも規定されております。企業会計上は、費用計上された減価償却費は実際の支出を伴わないものでありますから、実際は固定資産へ投下した資本の回収という役割と持ち、留保資金として蓄積されることになります。

 ところが、今回のように地方自治体の維持管理コストに減価償却費を計上した場合、費用には計上されながら、一方自治体会計では資金的には留保されないという、矛盾に突き当たることになり、結果としては不正確な維持管理コストとなるわけであります。さらに言えば、現行の自治体会計の基準からするならば、明らかに過大な維持管理経費の計上となります。

 今回作成された白書では、こうした企業会計地方自治体会計の違いについての説明はありません。これでは、市民への説明責任を果たしているとは言えませんし、誤った情報発信になりかねません。さらに、同白書は今後の公共施設利活用指針という、行政の内部的指針作成の前提条件となるものでありますので、その正確性が要求されるものであることは言を俟ちません。よって、改善を求め、指摘をしておくものであります。

誘致病院への財政的支援策は妥当か

 次に、健康部所管の病院誘致推進事業費について。当該決算年度では、任意の協議会である病院誘致協議会が設置され、決算付属資料の「主要事業及び重点事業」では、「病院を誘致するための協議、検討を行った」と記述されております。

 本市における病院誘致推進事業は、本年4月に病院公募要領が公表され、応募期間を経て、去る8月20日に事業者が決定をされ、近く病院事業者と本市との契約行為である覚書の締結が行われるようであります。この事業者決定から覚書締結に至る期間において、事業者公募に係る情報公開が一切非公開となっていることについては、一般質問においてその判断の不当性について、指摘をしたところでありますが、当該決算年度に係る点では、病院誘致協議会において検討された誘致病院の支援策について、指摘をしておくものであります。

 誘致病院の公募にあたって、公募要領の内容はこの病院誘致協議会において検討されたと当局は説明されております。この公募要領に、誘致病院への支援措置として用地の予定年間賃料について、契約時から10年間は支払を免除し、以後は協議の上決める」。また、「広域二次救急医療体制(内科・外科・小児科)のバックアップとしての自主的な取組に対し一定の金額を措置する」とありますが、このことは公募開始前には議会へは報告されおりません。公募から事業者決定至る手続きでは、先ほども述べましたように覚書締結までは、情報も非公開ですから、決定された事業者の適否を議会側は判断することもできません。にもかかわらず、一旦座間市が覚書を締結するならば、当然ながら契約行為でありますから、市側はこの支援措置を誠実に実行する義務を負うわけであります。しかも、現時点において、その支援措置の総額が一体いくらになるかもわからない状態においてであります。

 今回の誘致病院に係る公募と類似した契約行為として、公募型プロポーザル方式による契約があります。この場合、公募、事業者選定、契約、事業実施が複数年度にまたがるため、座間市契約検査課が作成した「プロポーザル方式の実施に関するガイドライン」では、「当該委託に係る予算の議決が得られなかったときは、契約事務手続きを行わない、なお、この場合において市はいかなる責めも負わない」ということを実施要領に明記するよう求めております。では、今回の誘致病院の公募要領では、そのことが明記されているかと言えば、それもありません。

 本市においては、似たような事例がこれまでもありました。それは、現在座間市の水道事業会計を圧迫している宮が瀬系県水の受水費の根拠とされている、神奈川県企業庁座間市との基本協定書であります。

 この基本協定書は、宮が瀬系県水の分水量を日量3万7300tとすることを定めたものでありますが、市当局はこの基本協定を根拠として、実際は3万7300tの全てを使用していないにもかかわらず、その基本料金を払い続けております。この時も、基本協定の締結の事実は、締結時には議会には報告されず、正式に報告されたのは締結から2年後、しかも、当時の本多市長は「使った分だけ使用料を払う」という議会答弁をしておりました。それがどうでしょう。現在では、毎年3億円以上、使ってもいない水の受水費を払い続け、その負担は、水道料金として市民に転嫁されているわけであります。当時も、基本協定締結時には、宮が瀬系県水の受水費は確定しておらず、将来、どのくらいの負担となるのか明らかにされないまま、市長の行政裁量として、協定が締結されていたわけであります。

 当局は、この苦い経験から何を学んだのでしょうか。市長は、今定例会で、次にように答弁されております。

 --「賃料について、私は方針を変えたつもりはない」

    • 「昨年の12月議会の時点では、具体的な支援策が決まっていなかったので、原則論として使用者が賃料を支払うという答弁をした」
    • 「この間に、座間市病院誘致協議会において、高度な知見を有する専門家のご意見として、10年間の賃料の肩代わりをもとより、その先も、という意見をいただいた」
    • 「協議会の意見を尊重すべきであるという判断から、支援策として公募要領を作成し、3月末の協議会で委員全員の賛同をいただき決定した」 

 
ということでありました。

 ところで、この病院誘致協議会は、市長の諮問に対して答申する付属機関ではなく、あくまでも任意の協議会であり、座間市病院誘致協議会設置要綱では、市長への答申はもちろん、意見具申についても、何も規定されておりません。設置目的としては、第1条において「地域医療の大きな基盤となる病院を誘致するに当たり、専門的立場から意見を交換し、その円滑な推進を図る」としか書かれておりません。

 市長の付属機関でもない任意の協議会の意見は尊重し、最終的には委員全員の賛同まで得て、長期にわたる財政支出を伴う支援策を決定しておきながら、民意を代表し、議決機関である議会へは事後報告というのは、いかがなものでありましょうか。

 通常長期にわたる契約については、本市では債務負担行為の設定として、議会の議決事項となっておりますが、本件の支援策に関しては、補助金としての支出となることでしょうから、債務負担行為は設定されることはないでしょう。しかし、長期にわたる財政的支出をあらかじめ確定すると言った点では、債務負担行為と実質的には同等であります。

 そうした点から、当該年度、さらに今年度、病院誘致に係る行政事務の執行としては、適正に欠けるものであると言わざるを得ません。

コンビニ交付の費用対効果は?

 次に、市民部所管の住民票等コンビニ交付事業費についてですが、当該決算年度、コンビニ交付の住民票、印鑑証明の発行件数は、2522枚。2011年度の1468枚に比べて1054枚増えておりますが、相変わらず一枚あたりの発行経費は、窓口交付や自動交付機交付と比べて依然として大きく割高となっております。当該決算年度、コンビニ交付の一枚あたりの発行経費は、2717円。これに対し窓口交付は、480円。自動交付機が286円ですから、自動交付機と比べても10倍近い経費となっており、初期投資額を含めた一件あたりの経費では、2万6641円と比べようがないほどであり、相変わらず本事業の費用対効果からして適切な予算執行とは言えません。

 また、今決算審査では、このコンビニ交付事業を含めた本市の住民基本台帳ネットワークシステムの保守・管理に係る委託のほとんどが富士通(株)1社による随意契約によるものであることが明らかになりました。具体的には本市の戸籍住民課が所管する委託・リース31件中富士通(株)との契約は、20件。その他11件中、リース契約はリース会社であったとしても富士通(株)製品のものは、6件となっており、これら富士通関係の委託料の総額は、戸籍住民課だけでも約1億3000万円に上っております。

 確かに、住民基本台帳ネットワークシステム導入時に富士通との契約になったことが、その後の保守点検も含めて全て同社に随意契約で委託せざるを得ない状況になったようでありますが、率直に言って、現状ではその妥当性は検証しがたいものとなっております。現在、他の自治体においては、システム設計を職員自身がおこない、オープンソース・ソフトウエアを採用することでコストを削減し、同時に地元のIT関連企業と連携するという手法がとられているところもあります。これは、戸籍住民課にとどまることではありませんが、全庁的にもシステム構築や改修に伴う物件費は、年々増加化しておりますので、ぜひ研究・検討を進めるよう求めておくものであります。

放射性物質災害対策計画は、3.11以降どう変わったのか

 次に、同じく市民部所管の地域防災計画修正事業費について。当該決算年度、地域防災計画の修正が行われました。今回の修正は、東日本大震災の教訓を踏まえ、本市の地域防災をより充実させていくためのものと思われます。

 ところが、地域防災計画において定められている「放射性物質災害対策計画」は、東日本大震災東京電力福島第一原発の過酷事故を経験しながら、3.11前とほとんど変わっていません。わずかに加筆された内容は、以下のようなものです。

 -市民の健康被害の可能性が生じた場合は、国などに事実関係の公表と対策を求める。
 -飲料水や食品に対する放射性物質のモニタリング検査を実施しなければならない事態が生じた場合は、国などに事実関係の公表と、対策の説明と早期実施を求める。
 -市民の健康管理において、長期のモニタリング検査が必要とされた場合は、国に経年的に実施することを要求する。

 この3項目が加筆されたのみであります。市民の健康被害や飲料水や食品の検査が必要とされたとしても、市自らは何も行わず、国の説明と対策を求めるだけとしか記述されておりません。

 一方、お隣の相模原市の「原子力事故災害対策」では、基本方針として、「東日本大震災における原子力災害では放射性物質が広範囲に拡散し、住民生活や産業に甚大な被害をもたらしたことを踏まえ、市外周辺に立地する原子力発電所原子力事業所の事故により放射性物質若しくは放射線の影響が広範囲に及び、原子力緊急事態に伴う屋内退避若しくは避難が必要となった場合、又はそのおそれがある場合を想定して災害応急対策を定める」と、市自らの基本姿勢を明らかにした上で、モニタリング、健康被害の防止策、避難誘導、飲料水・飲食物の摂取制限など具体的な対応策を規定しております。この違いは一体何なのでしょうか。原子力災害に対する認識の違い、そして放射能対策に関する現状の対応の違いが、如実に示される結果となっております。

 速やかに、本市の放射性物質災害対策計画を修正するよう求めるとともに、現行の計画においても示されている以下の事項について確実に実施されるよう求めるものであります。

 -1.市民に対し、放射性物質に関する以下に掲げる知識の普及・啓発に努める。

   -放射性物質及び放射線の特性に関すること
   -放射線による健康被害への影響及び放射線防護に関すること
   -緊急時に市民等がとるべき行動及び留意事項に関すること。
   -その他必要と認める事項

 -2.放射能観測の実施

 -3.放射線測定体制の強化

 以上の点は、現行計画においても規定されており、教育市民常任委員会において、当局は「今後取り組んでまいります」と答弁されておりますので、精力的かつ確実に取り組まれることを求めておくものであります。

小中学校へのエアコン設置は優先順位が高いのか

 次に、教育部所管の小学校普通教室等空調整備事業並びに中学校普通教室等空調整備事業について。本事業は、当該決算年度より4か年をかけて、市内の全小中学校の普通教室等に空調設備=エアコンを設置しようとするものであり、2012度では、小学校3校、中学校3校の基本設計、実施設計が行われております。本事業は、当該決算年度より開始された事業でありますが、ここで、小中学校へのエアコン設置に関する経過を振り返ってみたいと思います。

 今から3年前の2010年12月議会において市長は、共産党の柏木議員の質問に対して、次のように答弁されておりました。

 -「冷房が欲しいという声も私も認識しており、健康面での配慮というものも考えていかなければならない課題と認識している」
 -「しかし、一方において学校施設整備の一連の大きな課題、特に昭和40年代に建築した校舎の建て替えや、実施計画にすでに盛り込んでいるものや、それ以降の分、また市の公共施設の今後の整備・維持のあり方など、総合的に判断していくべきである。」
 -「そうしたことから、夏休み中に出勤する教職員の健康管理を配慮し、まず職員室へのエアコン設置を考え、さらにその次のステップとして考えていきたい。総合的に勘案すると、校舎等の建て替えの中で整備していきたい」
 
と、述べられておりました。要は、「施策としての有効性は認めるが、老朽化した校舎の建て替えなどの今後の施設整備やすでに実施計画として予定されている施設整備などを総合的に考えれば、現状では難しく、当面職員室へのエアコン設置をおこない、将来的に校舎の建て替えに伴って、教室への整備を行う」ということでありました。私は、その時点においても、そして現状においても、当時の市長の認識及び方針には完全に同意するものであります。

 しかし、市長のこの答弁から2か月後の2011年第1回定例会において、小中学校へのエアコン設置にあたって米軍再編交付金を活用することが可能となったとして、予算に計上し、この時点では工事費込で年間8457万2千円、7年間で総額5億9270万4千円という経費見通しを示されておられました。

 ところが、2011年度、この予算執行は行われませんでした。当局は、予算の未執行について「東日本大震災原発事故による電力事情によるもの」とその理由を説明しておりましたが、実際にはエアコンの設置にあたって、各校の受変電施設の更新工事が必要であったにもかかわらず、2011年度予算ではそれを計上していなかったという事務上のミスにより、予算の執行が不可能となっていたわけであります。

 こうして2012年段階では、受変電施設の更新工事、そのための基本設計、実施設計がさらに予算上積み上げられ、事業費は設計委託料を含めた工事関係経費だけで、約8億2000万円。さらに、毎年約1億円のリース料が加算され、7年間総額で約13億円と、当初見込みからは2倍以上に膨れ上がっております。私は本来なら、この2012年度段階で、総事業費の見込みが明らかになった時点で、再度事業そのものを精査し、2010年段階での市長答弁の方針に立ち返るべきであったと思います。

 その理由は、まず、財政の資源配分の優先性の問題です。第4次総合計画における教育環境整備の重点施策にもあげられておらず、実施計画事業ともなっていなかったエアコン設置事業により、本来必要な校舎、屋内運動場の屋上防水、外壁改修などの基本的な改修工事の進捗が明らかに影響を受けていることです。市長が以前おっしゃっていたように、校舎や屋内運動場の老朽化による雨漏りなど、まず基本的かつ早急に取り組まなければならない施設改修は、山積みとなっております。さらに、老朽化した校舎にエアコン設置のための配管工事を行うことになりますが、今後必要となる校舎の建て替えのことを考えれば、二重投資になりかねません。

 次に、費用対効果の問題です。教育部からいただいた資料によると、すでにエアコンが設置されている栗原小、相模野小の当該決算年度夏で授業が行われている7月と9月のエアコン運転実績は、栗原小で7月が2日、9月が6日。相模野小で7月が1日、9月が5日となっております。つまり、これだけの運転日数のために多額の財政投資を他を差し置いて行うことの妥当性の問題であります。こうした実績から試算をしてみますと、夏場の平均運転日数を7日間と仮定し、先ほどの7年間の総事業費から、1校あたりの1日運転する際の経費を、電気料金を除いて算出すると、1日あたり約176万8000円となります。これをどう見るかということであります。

 なお、合わせて申し上げますが、こういう数字を示したからいって、必要でないにもかかわらず、エアコンの運転を行うようなことは行わないでいただきたい。ましてや防衛省の電気代補助が連続運転のみに適用されるということが、教育市民常任委員会審査で明らかになっております。こうした補助金によって、必要がないにもかかわらず連続運転しようとする衝動は、高まると思いますので、くれぐれも申し添えておきます。

 再度申し上げますが、小中学校へのエアコン設置について、私は2010年度段階での市長の基本認識と方針の方が、冷静かつ合理的であったと思う次第であり、当該決算年度の審査という点からは、予算執行のあり方として妥当性に欠けるものであるということを指摘しておくものであります。

 以上、一般会計決算について、いくつかの事業について指摘をして参りましたが、総合的な財政運営の面においても、個別的な事業においても、適正に欠ける予算執行が見られますので、本決算の認定には反対をするものであります。

数字の操作が行われた国民健康保険財政健全化計画

 次に、議案第42号、国民健康保険事業特別会計決算の認定について、反対の立場から討論を行います。

 当該決算年度では、「座間市国民健康保険事業財政健全化計画」が策定をされました。同計画の財政収支見通しでは、一般会計からの法定外繰入金を2012年度当初予算ベースで固定した場合、2015年(平成27年)には、6億2000万円の歳入不足が生じるとなっております。

 しかし、この財政収支見通しの数値は、極めて意図的ありかつ欺瞞的であります。財政収支を見通す際に、基準となる年度の数値は決算数値を用いるのが、通常でありましょう。ところが、本市ではあえて、確定的ではない当初予算の数値を使い、しかもこの年度、すなわち2012年度の当初予算一般会計からの法定外繰入金約7億6000万円は、先ほども述べましたように保険料の滞納繰越分収納率を実際は12%程度であったものを30%と、明らかに過大に設定し、法定外繰入金の額を大きく減額して計上していました。しかし、当該決算年度、実際の法定外繰入金は当初予算を約3億円上回る約10億5000万円。つまり、2012年度決算数値からすれば、財政計画の収支不足額約6.2億円は、約半分の3.2億円になってしまいます。

 とはいえ、財政計画策定時には2012年度決算数値は確定しておりませんから、本来なら2011年度決算数値を基準とするのが、オーソドックスな手法となります。では、2011年度の一般会計からの法定外繰入金は一体いくらかと言えば、約14億6000万円。この数値を基準として2015年までの財政収支を計算すれば、収支の不足額は生じず、逆に約1億円のプラスとなってしまい、保険料値上げの根拠は完全になくなってしまいます。

 つまり、当該決算年度である2012年に財政計画を策定する際に、2011年度決算数値を用いれば、値上げの根拠はなくなってしまう。だから、あえて通常は用いない当初予算ベースの、しかも達成できる見込みがほとんどない滞納繰越分保険料収納率を30%に設定し、法定外繰入金を極端に抑え込んだ数値を使って、収支不足を演出し、2013年度からの保険料値上げを行ったわけであります。

 私が、さきほど極めて意図的かつ欺瞞的な数値であると申し上げた根拠はここにあります。以上のような点から、国民健康保険事業特別会計の決算認定に反対をするものであります。

介護保険特別会計 保険料値上げ幅は適切だったのか

 次に、議案第44号、介護保険事業特別会計決算の認定について、反対の立場から討論を行います。当該決算年度は、当年度からの2015年までの第5期介護保険事業計画の改訂にともなって、第1号被保険者の保険料が、基準所得階層で27.3%の値上げが行われました。この値上げ率は、神奈川県下19市中、4番目に高い値上げ率でありましたが、本決算の保険給付費では、約1億円の不用額を計上しております。明らかに第5期の介護保険事業計画における、サービス利用見込みに誤りがあったと考えられます。保険料は、サービスの利用見込みにより算定されるものでありますので、結果として被保険者にとっては過大な保険料負担であったということになります。よって、介護保険事業特別会計の決算認定に反対をするものであります。

 なお、公共下水道事業特別会計決算、後期高齢者医療保険事業特別会計決算についても反対をするものでありますが、理由はすでに何度も明らかにしておりますので、ここでは省略いたします。

水道事業会計決算 資本金の減少は妥当だったのか

 次に、議案第46号水道事業会計決算の認定について、反対の立場から討論を行います。水道事業では、当該決算年度一般会計から出資していた資本金約2.5億円を減少させました。市長は、この出資金について、第4次拡張事業のため一般会計から増資したもので、事業の拡張という本来の目的は達成した」と答弁をされておりますが、一方で、監査委員の本決算についての審査意見では、老朽化した管路の更新と耐震化など、確実な内部留保の必要性を指摘しており、その中であえて減資をする理由が見当たりません。

 また、誰もが認めるように宮が瀬系県水受水費が本市水道事業の収益構造を圧迫し、適正な利益と減価償却費の積み上げによる内部留保の確保を困難にしている中で、適正な措置とは言えません。

 さらに市長は、資本金の減資について、水道事業の自主性、独立性を強調されておられましたが、自主性、独立性というならば、不当な受水費を押し付ける神奈川県企業庁との分水契約の見直しにこそ、それを発揮していただきたいと思う次第であります。以上の点から、水道事業会計決算の認定については反対をするものであります。

 次に、議案第47号、48号の2013年度の一般会計補正予算国民健康保険事業特別会計補正予算については、概ね妥当なものと判断し、賛成をするものでありますが、一点だけ意見を申し添えておきたいと思います。

 それは、一般会計補正予算の芹沢公園整備事業費についてであります。当年度より、市民参加で第4工区の整備方針を検討することになっておりますが、今年6月の私の一般質問の際にも述べましたように、しっかりと芹沢公園の開設理念に基づき、「あれもこれも」というのではなく、荒廃が進みつつある森林の管理に、限られた財源と人力を最大限投入するよう求めておくものであります。

 次に、議案第49号から議案第59号までの、条例案並びに道路認定については、妥当なものとして、賛成をするものであります。

 次に、議案第60号、2013年度の一般会計補正予算第3号については、反対をするものであります。本補正措置は、小中学校普通教室等への空調機整備事業において、本来は2014年度に予定をされていた小学校3校の基本設計・実施設計を前倒しし、当年度に行い、設置工事を来年度で終了させようとするものであります。このエアコン設置事業については、すでに先ほど決算議案への討論で、基本的な考え方については述べておりますので、省略をいたしますが、これも一点だけ意見を申し添えておきます。

 それは、来年度以降、校舎・屋内運動場などの屋上防水や外壁改修などの基本的な教育環境整備事業について、エアコン設置事業の影響により、遅れが出るようなことはあってはならないということであります。企画財政部長も「影響が出ないよう配慮していきたい」と答弁されておりますので、確実な実施を求めておくものであります。さらに、このエアコン設置事業によって、間違いなく影響を受け、その進捗が遅れた太陽光発電設備等の設置による学校エコ化を、少なくとも2015年度以降、実施計画にのせ、着実な事業展開を進めるよう合わせて申し上げておく次第であります。

国の同調圧力による人件費削減は妥当か

 次に、議案第61号、議案第62号の常勤特別職の給与に関する条例、市職員の給与に関する条例のそれぞれ一部改正について、反対の立場から、討論を行います。

 国の地方公務員人件費削減圧力に対し、市長はこれまで繰り返し、次のように述べられてきました。

 -地方公務員の給与は地方独自で決めるものであること。
 -地方交付税は地方の固有財源であり、人件費の削減分として地方交付税を一方的に削減することは筋が違う。
 -デフレ脱却、2%のインフレ目標で国全体の消費水準を上げていこうとしている時に、550万人の地方公務員の給与をカットするのは、全体の消費を落とすことになる。

 以上の市長の基本的な姿勢について、私は全面的に同意する立場から、これらの条例改正案に、反対をするものであります。市長は、今回、一転して「市民の立場からすれば、地方交付税の減額で、市民に負担を押し付けることになる」として、給与引き下げの条例案を提案されましたが、本年度の当初予算では、もともと地方交付税の人件費の削減分は、予算に計上されておらず、予算執行上の何ら影響を受けません。さらに、今回の人件費削減を行ったとしてもその分、交付税の追加交付が増えるわけでもありません。つまり、人件費削減を行わなかったとしても、市民も本市の財政も、なんら影響はないわけであります。

 これは単に、中央政府同調圧力としか言いようがないものであり、我々地方議会の議員としては、市長の意をくみ、凛として本議案については、否決するよう、訴えるものであります。

 次に、陳情については、陳情第9号「市立保育園における給食の放射性物質濃度検査の実施を求める陳情」、陳情第11号「生活保護制度及び保護基準に関する陳情」、陳情第14号「平成26年度における重度障害者医療費助成制度継続についての陳情」、陳情第16号「社会保障制度改革推進法案について要支援者の介護を継続するよう関係機関に働きかけることを求める陳情」、陳情第17号「森林吸収源対策及び地球温暖化対策に関する地方の財源確保のための意見書採択に関する陳情」以上5件については、その趣旨に賛同し、賛成するものであります。なお、陳情第16号の地球社会建設決議に関する陳情には、その趣旨の一部には賛同しがたく、反対をするものであります。

放射能検査に反対する理由を明らかにすべき

 ここでは、陳情第9号の「市立保育園における給食の放射性物質濃度検査の実施を求める陳情」に関係して、当局に意見を申し上げておきます。

 去る本年6月議会における学校給食の放射能検査を求める陳情審査にあたっても、今回の保育園での放射能検査を求める陳情審査においても、当局は、低線量被曝による幼児あるいは児童・生徒への影響について、「見識を持ち得ていない」あるいは「今後勉強したい」と答えられております。私は、「見識を持ち得ていない」にもかかわらず、放射能対策が必要でないと結論付ける姿勢は、厳しく批判されなければならないと思います。有体に言えば、わからないにもかかわらず判断をしているわけですから、これほど不誠実な態度はありません。

 今もなお、東京電力福島第一原発から放射性物質は、大気中にあるいは汚染水として外洋へ放出され続けております。そして、放出されている放射性核種の一つにすぎないセシウム137の半減期だけでも約30年間ですから、最も少なく見積もっても今後数十年、この問題に我々は、相対していかなければなりません。だからこそ、低線量被曝に関する幼児、児童、生徒への影響について、本市の基本的な見解との対応方針を明らかにすべきです。

 最後に、議員の皆様に申し上げます。去る6月議会、学校給食の放射能検査を求める陳情について、反対をされた議員のみなさんからは、誰一人、なぜ反対なのか、という討論はありませんでした。この後、各会派による討論が続きますので、ぜひ反対されるのであれば、なぜ反対なのか、明らかにしていただきたいと思います。それが議決機関である議会の議員として最低限のマナーだと思うからであります。そのことを最後に申し上げ、私の討論を終わります。