2014年6月 第二回定例会 討論

 それでは、ただ今議題となっております議案第28号から議案第33号までの諸議案、並びに陳情第25号、陳情第26号について、賛成並びに反対の討論を行います。

 まず議案第28号の2014年度の一般会計補正予算について、反対の討論を行います。なお、念のため申し添えておきますが、私が所属いたします都市環境常任委員会の採決においては、私は付託されました当補正予算の所管事項について、概ね妥当なものとして賛成を致しましたが、その他の事項において、賛成しかねる点がございますので、本会議におきましては反対をするものであります。

 それでは、その理由を申し上げて参ります。当補正予算は、歳入歳出予算の総額に歳入歳出それぞれ4103万8千円を追加し、歳入歳出予算の総額を381億5577万1千円とするものでありますが、そのうち総務費、総務管理費、渉外費の中に、基地返還跡地利用促進事業費845万4千円が含まれております。

 本事業費は、本市が2012年1月に策定しました「改訂キャンプ座間チャペル・ヒル住宅地区返還跡地利用構想」の土地利用方針に基づき、5.4haの返還予定地のうち、1.5haの国有地を財務省より座間市が賃貸借し、さらに民間病院事業者へ転貸をする際に、その賃料を座間市が負担するものとして、当年10月から来年3月までの使用料及び賃借料として543万9千円。さらに、当該国有地が、日米合同委員会における正式返還に至っていないため、その間、日米共同使用として工事を着手する際に、在日米陸軍工兵隊日本技術本部に施工監理業務の負担金として300万円を支出するものであります。

 この事業費の補正措置については、病院誘致に係る単体の事業費補正と考えるならば、財務省の土地鑑定評価の結果が公表されていないことや米軍の施工監理業務負担金の算定根拠が明らかではないことなど、妥当性を検証しえない点があるものの、相場観からすれば、率直に言って特に大きな問題はないと思う次第であります。

 しかし、今回の補正措置は、「改訂キャンプ座間チャペル・ヒル住宅地区返還跡地利用構想」に基づく、キャンプ座間部分的返還地の具体的な跡地利用に係る実質上最初の予算措置となりますので、改めてこの間の経緯を振り返り、この「構想」の是非について検証し、妥当性を判断しなければならないと思うところであります。

米軍基地=キャンプ座間の基地強化に反対した座間市、市議会、市民

 それではまず、このキャンプ座間部分的返還に至る経緯について、振り返ってみたいと思います。事の発端は、今から約10年前、当時のブッシュ米大統領は、地球的規模での米軍の態勢見直し、すなわち米軍再編を始めるとの声明を2003年11月に打ち出しました。

 これを受けて、2004年3月2日、座間市相模原市、神奈川県は、外務省に対し、「キャンプ座間の基地強化は容認できない」との要請を行い、同年3月24日には座間市議会は「米陸軍第一軍団司令部のキャンプ座間への移転に強く反対する意見書」を採択しております。なお、その後本市議会は、2007年までに合計11回、米・日新司令部のキャンプ座間への移転反対と基地の恒久化解消の意見書、決議を採択しております。さらに同年11月16日には「キャンプ座間米陸軍第一軍団司令部移転等に伴う基地強化に反対する座間市連絡協議会」(以下 市連協)を結成、その設立趣意書では、「市・議会・市民が一体となり、日本政府に対し早急に的確な情報提供を求めるとともに、第一軍団司令部等のキャンプ座間への移転について反対の意思を表明し運動を興すため」とその目的が記されております。市連協は、その後2006年4月より基地強化に反対する署名運動を展開し、約6万筆の署名を外務大臣と当時の防衛庁長官あてに提出をしました。

 しかし、それ以降、本市を含む地元自治体には日本政府から、正式な情報提供も、意向聴取も全く行われないまま2005年10月29日、日米安全保障委員会(2+2)において、在日米軍再編の中間報告が合意され、本市に関係するところでは、米陸軍第一軍団司令部(UEx)と陸上自衛隊中央即応集団司令部の移転が示されていたわけであります。

 これに対し、本市では市連協によって2005年11月18日には、「キャンプ座間の基地強化・恒久化に反対する市民大集会」、翌年3月11日には「キャンプ座間の基地強化・恒久化に反対する3.11市民大集会」が開催され、市・議会・市民一体となった反対運動が取り組まれ、国に対しては、基地強化反対の意思と基地恒久化解消に向けた具体的方策を示すよう求めていったわけであります。

政府の「兵糧攻め」と既成事実化
 しかし、当時の小泉政権は、こうした地元自治体の意思を顧みることなく、2006年5月2日には米軍再編最終報告に合意、これ以降、日本政府は、座間市が求めていた基地恒久化解消策を示すことなく、2007年には、第一次安倍政権は米軍再編に対し賛成する自治体には交付するが、反対する自治体へは交付しないという国の補助金による基地所在市町村へのコントロールを意図した「再編交付金」を含む「駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法」を成立させました。そして、本市をはじめ、沖縄県名護市や山口県岩国市など、米軍再編に反対する自治体に対して、くしくも当時の星野勝司座間市長が「兵糧攻め」とおっしゃったように、露骨な補助金を通じた圧力をかけてきたわけであります。 また、一方で2007年12月には、キャンプ座間内に米陸軍第一軍団前方司令部が発足し、米軍再編を既成事実化する動きを強めて参りました。

防衛省「反対の旗をおろせ!」

 こうした、補助金を通じた基地所在市町村への圧力と米軍再編計画の既成事実化を先行した上で、防衛省は2008年7月28日市連協に対して「貴会が求めるキャンプ座間の恒久化解消への方策について」という回答文を提示、その中で「防衛省座間市に対し、誠実に履行すると約したキャンプ座間の基地縮小など、座間市及び同市市民の負担軽減策等を責任を持って履行するため、防衛省座間市は、継続的、定期的に両者が協議を行う場を設置することに合意し、ここに確認する」と記された確認書への同意を求めてきたわけであります。

 その際に、防衛省は、市連協の会長でもあった当時の星野勝司座間市長に対し、「市連協は米軍再編に反対する会である。また、庁舎前の『反対』の横断幕もその関連。この二つがそのままであったら、確認書の締結はむずかしい」と、本市並びに反対運動組織であった市連協に対し、文字通り「反対」の旗を降ろすように露骨な圧力をかけてきたのでありました。

 それに対し、市連協会長であった星野勝司前座間市長は、7月28日午後2時に南関東防衛局長が来庁し、回答を提示した直後、すなわちその日の夕方に市連協役員会、夜に市連協臨時総会を招集、市連協臨時総会では、この確認書の締結にあたって防衛省側が提示してきた市連協の解散と「米陸軍第一軍団司令部等の移転反対」の懸垂幕の撤去について、意見が大きく分かれる中、なぜかあらかじめ用意されていた市連協解散の動議文が読み上げられ、採決を強行。その結果、市連協解散が即日決められてしまったわけであります。

 そして、約6万人もの反対署名のご協力を市民に頂きながら、その市民へは何の説明も議論もないまま、同年8月8日には、座間市長と防衛省地方協力局長、南関東防衛局長との確認書が調印されました。
ところが、不思議なことに、文字通り「米陸軍第一軍団司令部等の移転反対」という懸垂幕は降ろされたもの、当時の座間市側の公式な見解及び文書では、「移転を容認した」という文言は一切ありません。まさに、玉虫色の「決着」のシナリオが市民不在の中で、演じられたということであります。

基地強化には反対しない遠藤市長

 その後、同年9月には、市長選挙、市議会議員選挙が行われ、前星野市長に代わって、現在の遠藤市長が就任されました。遠藤市長の基地問題に対するスタンスは、就任直後の市長の施政方針に対する私の質疑への答弁において示されております。

 まず、本市が市是としてきた「基地の恒久化解消」について市長は、「私としてもこの大原則を堅持し、それを尊重・継続していく」としていますが、基地機能の強化に対する態度では「厳しい反対運動してきた中でも厳然と基地機能は強化された」として、「負担軽減を粘り強く交渉していきたい」と述べるにとどまり、基地強化に対する反対姿勢については明確にしておりません。こうした姿勢が、その後のキャンプ座間5.4ha追加的返還に伴う土地利用方針に反映してきていると言わざるを得えないのであります。

「アメとムチ」 部分的返還と自衛隊宿舎

 遠藤市長が就任した翌年である2009年10月28日、キャンプ座間に関する協議会第4回幹事会において南関東防衛局より「チャペル・ヒル住宅地区返還候補地」5.4haと返還予定地内に自衛隊宿舎を建設する計画が示されました。

 この追加的返還地の土地利用について、返還地全体を座間市が利活用すべきか、自衛隊宿舎の建設を前提としてその他の土地を座間市が利活用するのか、この点が最大の論点であったわけですが、遠藤市長はすでに翌年2010年第一回定例会において「自衛隊宿舎を認めつつ、建設地や規模が確定していないので、極力抑えた形で市民にとっても有効活用できるようなレイアウトをお願いをしたい」と、早々と座間市の全面利活用をあきらめ、防衛省の意向どおりに自衛隊宿舎の建設を容認する姿勢を明らかにしました。

基地跡地はすべて座間市民のために

 当時私は、自衛隊宿舎は、駐屯する陸自中央即応集団司令部並びに陸自第4施設群の関連施設であり、キャンプ座間の基地強化につながり、市是(基地の恒久化解消)に反すること。国家公務員宿舎の整理・廃止が緊要の課題となっている中で、行政改革に逆行し、貴重な国税の浪費にあたること。以上の点から、返還地への自衛隊宿舎の建設に反対し、返還地全体を座間市が利活用しうる跡地利用計画を策定すべきであるということを主張しておりました。

 さらに、そのための具体案として、高座清掃施設組合の焼却施設並びに付帯施設を、返還予定地に移転することを市長にも提案しました。

 その理由は、第一には高座清掃施設組合の中間処理施設は、長年にわたって海老名市本郷地区に多大な負担をかけてきたこと。焼却炉の更新が必要とされる中で、高座清掃施設組合を構成する本市もその負担を分かち合うべきだということ。第二には、国有財産法第22条において、国有財産普通財産の無償貸付の対象として「ごみ処理施設」「し尿処理施設」が挙げられており、国に対し返還地の無償貸し付けを求めていく説得力ある理由となること。第三には、焼却施設などの処理施設と合わせて付帯施設を移転することになれば、温水プールや浴場施設など、本市において未整備であり、かつ将来にわたっても整備が見込めない市民のためのインフラを整備することができること。第四に、施設建設費、維持管理費は、一部事務組合である高座清掃施設組合の分担金により賄われるため、本市にとって財政的マイナスはないこと。以上のような点でありました。

自衛隊宿舎ありき」の跡地利用計画

 しかし、市長並びに当局は、こうした跡地利用計画について、市民説明会やパブリックコメントなど市民からの意見聴取は行わず、唯一とられた市民参加の手法は、座間市基地返還促進委員会への諮問のみ。しかもその基地返還促進委員会の審議は、結論が出るまでは全て非公開とし、さらに、返還跡地の全面活用か、自衛隊宿舎建設を前提とした土地利用とするのかという議論をいきなり第1回目の会議において行い、その際には国有財産法財務省の土地処分条件等などの基本的な資料を提示することなく、「自衛隊宿舎ありき」という「結論」へと誘導していったわけであります。

 そして、こうした当局の露骨な誘導と下書きをもとに、2010年11月には座間市基地返還促進委員会からの答申、これを受けて市長は、12月には自衛隊宿舎ゾーン、病院誘致ゾーン、公園ゾーンからなる「キャンプ座間チャペル・ヒル住宅地区返還跡地利用構想」を決定、さらに、2012年1月には、これに新消防庁舎の建設を加えた「改訂キャンプ座間チャペル・ヒル住宅地区返還跡地利用構想」を決定したわけであります。

変質した座間市の基本姿勢

 こうした経過を総括するならば、本市の基地対策の基本姿勢並びにキャンプ座間部分的返還地の現行の土地利用計画となった最大のターニングポイントは、2008年7月28日。座間市が基地強化に反対する旗を降ろした日であります。これ以降、それまで堅持してきたキャンプ座間の基地強化に反対という基本姿勢、具体的には米軍再編に伴う米・日両司令部のキャンプ座間移転に反対する姿勢を転換し、これらを実質上容認し、防衛省の認める範囲内での負担軽減、すなわち再編交付金や特定防衛施設周辺整備交付金などの自治体をコントロールするカネに依存し、自衛隊宿舎以外の土地利用において便宜をはかってもらうという、防衛省依存の基地対策へ本市の基本姿勢が変質したと言わざるを得ません。

 こうしたことは、原発立地自治体が、国策の名の下に、補助金交付金漬けとされ、地方自治体としての自主性も喪失し、一旦、過酷事故が起これば、満足な補償や生活再建のための十分な支援な受けられず、まるで「平成の棄民政策」の如く切り捨てられていく現状と、座間市の将来がオーバーラップして参ります。

 以上のような点から、今回、キャンプ座間部分的返還地の跡地利用の実質上最初の予算措置が含まれる本補正措置に反対することを表明するものであり、本市の基地対策が「歌を忘れたカナリヤ」のようにならないためにも、多くの議員が賛同されることを訴えるものであります。

 次に、議案第29号から議案第33号までの、条例の一部改正並びに道路認定については、議案第30号を除けば、概ね妥当なものとして賛成するものであります。

なぜか外されたパチンコ屋、ゲーセンの建築制限

 議案第30号については、以下の理由で反対をするものであります。本議案は、座間市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正し、小田急相模原駅北口周辺地区の建築物の建築制限を変更しようとするものでありますが、今回新たに「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」いわゆる風営法の第2条第1項第1号から6号までに掲げる風俗営業又は同条第6項各号に掲げる店舗型性風俗特殊営業の用に供する建築物の建築を制限することが盛り込まれました。

 しかし、風営法第2条第1項に規定される風俗営業とは、1号から6号までに規定されているものだけではありません。7号では「まあじゃん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」、8号では「スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるものを備える店舗 その他これに類する区画された施設において当該遊技設備により客に遊技させる営業」が規定されております。
ところが、今回の改正では、この風営法第第2条第1項の7号、8号に規定される営業、具体的にはパチンコ屋やゲームセンター等は、建築制限が除外され、同地区計画区域内や、今後実施される再開発事業区域内においてもその営業は排除されないこととなります。

 この点について当局は、議案の審議において「市街地再開発事業に参加していない既存建築物につきましては、不適合にならないようにした」と説明をされました。確かに、同地区計画区域内には、再開発事業に参加していない地権者も含まれており、パチンコ屋やゲームセンターが営業されておりましたが、たとえ、同地区計画内の建築制限にパチンコ屋やゲームセンター等が加えられたとしても、それらは「既存不適合」として、その営業権は担保されることになり、営業を再開することも可能であります。しかし、今回のように地区計画内の建築制限からパチンコ屋やゲームセンターを外したことにより、これらの営業は再開発事業区域内でも可能となってしまいます。

 当局は、この市街地再開発事業について、「高度利用と都市機能の更新を図り、安全・安心のまちづくりを実現するために、その公益性は高い」と説明をされてこられましたが、風営法第2条第1項の7号.8号の営業に関しては建築制限を適用しないという今回の改正案は、当局が自ら説明した事業の公益性に相反するものではないかと思う次第であります。よって、本条例の一部改正には反対をするものであります。

 次に、陳情第25号「地球社会建設決議に関する陳情」と陳情第26号「『手話言語法(仮称)』制定を求める意見書の提出を求める陳情」についてでありますが、陳情第25号については、これまでと同様の理由により反対をするものであります。陳情第26号については、陳情の趣旨に賛同し、賛成をするものであります。

 以上で、議題となっております議案、陳情について、賛成及び反対の討論を終わります。