おきなが明久レポート web版 2023年5月1日

座間市2022年度補正予算 2023年度当初予算

子ども・子育て支援を重点強化

昨年度に引き続き、「佐藤カラー」が示される

 

総額444億9千万円の2023年度座間市一般会計予算が成立しました。今回の予算の特徴は、前市長時代に、予算が抑え込まれていた学校環境整備事業や子ども・子育て支援を重点的に強化した予算となり、前年度に引き続き「佐藤カラー」が鮮明に示されました。子ども・子育て分野での主な新事業・拡充事業は以下のとおりです。

 

なぜ、子ども・子育て支援を強化しなければならないのか

 

こうした、子ども子育て分野の新たな施策と予算配分は、佐藤市長の予算編成方針の一つである「選択と集中により、必要性や緊急性、費用対効果が高い事業を優先的に実施できる予算を計上する」に沿ったものであり、2022年度当初予算に引き続き、前市長とは異なる「佐藤カラー」が鮮明に示された予算と言うことができると思います。


ではなぜ、こうした子ども子育て分野への予算配分の選択と集中を図らなければならなかったのか、ということを分析すると、これまでの市政運営によって、本市の子ども・子育てに関する分野は、最悪の状態に陥っていたことがわかります。

 

合計特殊出生率「1.14」(2020年度)
全国平均、県平均を下回る

 

上の表は、2011年度から2020年度までの合計特殊出生率の推移です。赤線が座間市。黒線が神奈川県平均。青線が全国平均です。この10年間で本市の合計特殊出生率が最も高かったのは2015年の1.33。ところが、ご覧のように2018年度以降下降し、2019年度は「1.17」、そして2020年度は「1.14」まで落ちています。全国平均も神奈川県平均も2018年度以降下降していますが、本市はそれを上回る下降となっています。ちなみに、子どもを核とした街づくりを標ぼうし、市独自の手厚い子育て支援策を講じてきた明石市は「1.62」です。

 

保育所待機児童数 神奈川県ワースト1位

 

一方、右上の表は、本市の保育所待機児童数の推移です。本市の保育所待機児童数は、2020年度から2022年度まで3年連続県内ワースト1位、しかも、合計特殊出生率が最も少ない「1.14」を記録した2020年度からワースト1位になっているわけです。

 

合計特殊出生率が最低まで落ち込んでいるにもかかわらず、保育所に入所できない子どもが県内で一番多いという最悪の事態に本市は直面していたわけです。

 

市長交代後 児童福祉費は着実に増加

 

上の表は、本市の児童福祉費の推移です。ご覧のとおり、2021年度までは70億円台で推移していたものが、2022年度では83.1億円、そして2023年度では90.6億円と伸ばして来ていますが、本市の子ども子育てをめぐる状況からすれば、至極当然の予算措置であると言えます。

 

必要不可欠な予算措置

 

以上のように、子ども子育て分野への重点的な予算配分は、本市にとって必要不可欠ですし、これまでの市政において遅れをとってきたこの分野における支援策を充実しようとする市長及び当局の姿勢については、率直に評価できます。

 

今後は、3歳未満時の保育料の無償化、学校教育における給食費の無償化、高等教育における学費の補助等、本格的な国の施策が期待されるところですので、市長及び市当局は、しっかりと国に要望していただきたいと思いますし、必要とあらば、市独自の施策として展開すべきです。

 

子どもの育ちを応援する街づくりは、街に活気をあたえ、ひるがえって全ての世代の支援につながります。今後もしっかりとチェック・提案して参ります。

 

前市長のハーモニーホール座間不適正使用 調査特別委員会

4/19遠藤前市長を参考人招致

不適正使用をかたくなに認めず

 

4月19日、「座間市立市民文化会館の適正ではない使用に関する調査特別委員会(第8回)が開催され、遠藤三紀夫前座間市長、木島弘座間市教育長、池田徳晴座間市スポーツ・文化振興財団(以下、財団)理事長が参考人として出席しました。不適正使用に関する認識を問われた遠藤前市長は、終始「不適正ではなかった」と主張。一方、木島教育長と池田財団理事長は、2件の不適正使用について財団より座間市教育委員会に提出された「改善計画書」についての説明を行いました。

 

「コロナ禍の緊急避難的配慮」?

 

2021年5月11日ハーモニーホール座間小ホール楽屋を、利用申込みをせず、利用料金も支払わずに使用したことについて遠藤前市長は次のように述べました。

 

遠藤前市長:「当初は、財団の応接室で面談を行う考えだったが、コロナ禍で(財団側の)3密を避けるべきという配慮から小ホール楽屋で面談されてはどうかと勧められ、緊急避難的配慮と受け止め、応じた」

 

利用申込をしなかったことや、利用料金を支払わなかったことについては、

 

遠藤前市長:「小ホールを借りる意思はなく、仮に利用申込みをしたとして、面談した市幹部職員は公務の一環であるので、減免対象となる」

 

と述べ、不適正使用を否定しましたが、なんとも稚拙な「弁明」です。コロナ禍においてハーモニーホール座間は、収容率上限50%制限などのコロナ対策ガイドラインが策定されていましたが、「3密回避のため利用申込みなしに、空部屋を使ってよい」などという規定はどこにもありません。

 

また、「減免」についても、市民文化会館条例と施行規則で減免が規定されていますが、「市が主催する行事等のために利用するとき」のこと。市の幹部職員を面談のために呼び出したのは遠藤前市長ですから、これが「市が主催する行事等」に該当しないことは明らかですし、座間市当局も「減免の対象とはならない」との見解をすでに明らかにしています。

 

「適切ではない申込手続きだったが、利用は不適正ではない」

 

2020年12月11日に、遠藤前市長が個人的な取材を受けるために小会議室を利用した際に、財団職員が利用申込書には自らの名前を記載し、住所は財団の住所を記載した不適正利用について遠藤前市長は、次のように述べました。

 

遠藤前市長:「個人的な取材を受けたという認識はない。公共放送たるNHKからの取材で、12年間公職についていた者として、取材に応じるのは責務だと受け止め、お受けした」

 

「なかなか日程があわず、前日に田原文化会館館長(当時)に電話で小会議室をお借りしたいとお願いした。」

 

「適切ではない申込み手続きであったという認識は持っているが、利用については不適正とは考えていない。また、虚偽記載との認識はない」

 

 

との弁明です。「個人的な取材」をかたくなに否定されておられますが、この段階で遠藤氏は一私人にすぎず、取材の内容が市長在職時のことであったとしても、「個人的な取材」であることは言うまでもありません。それとも取材内容が「公共的なものであったから、不適正利用ではない」というのでしょうか。

 

「適切ではない申込み手続きだが、利用は不適正ではない」とのことも、全く意味不明。不適正な利用となるのは、遠藤氏が利用するにもかかわらず、自らは利用申込みを行わず、電話1本で財団職員が自らの名義で利用申込みを行い、遠藤氏に使わせていたということ。しかも、この場合の財団職員は館長で、利用申込みの最終決裁権者であったことです。

 

以上のように、今回の調査特別委員会では、財団職員が前市長に条例・規則を曲げて便宜をはかったことと、それをなんとも思わず当然のごとく利用した前市長という構図が改めて浮き彫りになりました。今後、二度とこのようなことが起きないよう再発防止策を確立していくことが求められます。

 

座間市公営企業運営審議会 料金値上げの検討過程を非公開に

 

水道料金と下水道使用料の改定を審議している公営企業運営審議会は、料金等の改定に係る会議を非公開とすることを決定。さらに審議会の事務局を担当する上下水道局は、会議録は委員や当局の発言が記録されないものとし、会議に提出された当局資料についても、審議が終了後も非公開とする、との見解を示しています。

 

これまでの公営企業審議会においては、料金等の改定に際しても、会議は公開で行われ、会議録では詳細な発言内容が記載され、資料は情報公開されていたにもかかわらず、この期に及んで審議等を非公開とするというのは、時代錯誤も甚だしいものとしか言いようがありません。

 

 

上の表は、神奈川県内で水道事業を営む主な自治体との比較ですが、本市以外の審議会等では、当たり前のように会議は公開、会議録は、発言者の発言は詳細に記録されるだけではなく、発言者名まで全て公開されております。また、当局が提出した資料は、情報公開の対象となるのはもちろんのこと、市のホームページに答申前であっても随時公表されております。これを見ると、いかに本市の対応が特異であり、情報の非公開性が際立っていることがわかります。

 

水道料金や下水道使用料の改定は、市民生活に大きな影響を与える重要な問題であります。だからこそ、その決定に至る審議会の議論や当局の資料をしっかりと議会や市民に公表し、説明責任を果し、多くの方々に議論の材料を提供することが行政に求められるということは、極めて当たり前のことです。せめて他市と同等レベルの情報提供に努めてもらいたいものです。

 

市議会個人情報保護条例 全会一致で成立

 

個人情報保護法の制定により、地方公共団体も法の対象となったことから、これまで各地方公共団体が独自にかつ国より厳しい基準を定めていた個人情報保護条例は廃止となり、法の施行に関する条例となってしまいました。

 

一方、これまでの各地方公共団体の条例は、そのほとんどが議会も対象としていましたが、新個人情報保護法では、国会や地方議会は対象外となり、座間市議会として新たな条例の制定に至ったわけです。

 

そうした時に、「全国市議会議長会」から、ご親切に「モデル条例」が送られてきたのですが、その内容は、ほぼ新個人情報保護法の条文の引き写しで、明らかにこれまでの個人情報保護の水準からは低下するような内容。そこで、私はこの「モデル条例」をそのまま可決するのではなく、これまで座間市の個人情報保護条例で規定されていた保護水準や市民の権利水準と同等の内容を市議会個人情報保護条例に盛り込んだ案を提出しました。

 

議会での議論の結果、一部加筆修正した上で、全会一致で可決・成立しました。