2023年9月 一般質問(その1 マイナンバーカードについて)

一般質問の第1点目のテーマは、「マイナンバーカード」についてであります。

マイナンバーカードをめぐるトラブルが続出しております。以下は、政府発表の数値でありますが、マイナ保険証に別人の医療情報が紐づけされていた事例が、本年5月22日までに7372件。加えて8月8日までに1069件、合計8441件となっていることが明らかと

なりました。

別人の障がい者手帳情報が紐づけされていた事例が2883件。別人の共済年金情報が紐づけされていた事例が119件。公金受取口座の誤登録が22件。

マイナポイントが別人に付与されていた事例が172件。住民票、印鑑証明のコンビニ交付のご交付が60件。課税情報の紐づけ誤りが1件となっております。

 

また、こうしたもの以外にも、医療機関の窓口においてマイナ保険証の使用にあたって誤作動や資格確認を行うことができない状態が全国各地で発生しております。

それを裏付けるように、最大の健保組合である「協会けんぽ」では、加入者の1%に当たる40万人分の情報がマイナンバーカードと紐づかず、マイナ保険証を持っていても、医療機関の窓口で資格確認等ができない状態であることが明らかとなりました。

 

こうした中、共同通信社が本年7月に実施した全国市町村長アンケートでは、全国1741市区町村長のうち、79%の1370人が回答し、来年秋予定の健康保険証の廃止について、「予定どおり廃止すべきだ」としたのは29%、「廃止を延期するべきだ」が41%、「その他」は28%「廃止を撤回すべきだ」との答えも2%あった、と報道されております。

 

そこで、市長にお聞きするものでありますが、この共同通信社のアンケートに対して市長はどのような回答を行ったのでしょうか。アンケート項目及びその回答について、明らかにしていただきたいと思います。また、続出するマイナンバーカードに係るトラブルについて、市長はどのようにお考えか、見解を伺うものであります。

 

市長答弁(要旨、以下同じ)

 

アンケート内容は8問で、問1のマイナンバーカードの普及に関する政府の取組みについては、選択肢から「どちらかと言えば評価しない」を選択しました。問2の問1を選んだ理由については、自由記述で「デジタル社会の基盤となるもので、全国民がカードを取得するという方向性は理解できるが、カードの取得を促すためにポイント制度を創設したことで、短期的に窓口業務が集中し、事務の負担だけでなく、市民生活にも影響を与えたという点、また、交付率を地方交付税算定基準とした点などは評価できない」としました。

 

問3のカード交付やポイント申請支援に係る本市事務負担については、選択肢から「重い」を選択しました。問4の政府は自治体に対しシステム共通化を求めるなど行政サービスのデジタル化を加速させているが、スピード感についての受け止めについては、選択肢から「やや早い」を選択しました。

 

問5の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体化する方針についての受け止めについては、選択肢から「保険証廃止を延期すべきだ」を選択しました。問6の健康保険証を廃止・マイナンバーカードとの一体化に向けて取り組むにあたり、本市として最も不安を抱いている課題については、選択肢から医療機関での混乱など地域医療への影響」を選択しました。

 

問7の健康保険証とマイナンバーカードとの一体化に向けた取り組みについて、本市の今後の対応方針や一体化への受け止めについては、自由記述で「行政サービスのデジタル化の柱とされているマイナンバーカードの普及について何ら異論はないが、運用について市民生活に影響が生じることによって、制度そのものへの不安感、不信感が出てしまうことは課題と捉えている。今後については、国の動向を注視しながら必要な対応をしていく考え」としました。問8のマイナンバーカードの利用範囲の拡大への受け止めや、一連のトラブルを受けた一斉点検要請など政府の対応、行政サービスのデジタル化などに関して、国に求めることについては、自由記述で「デジタル社会への対応や、職員が減少するなかでも変わらずサービスを提供するための方策であると理解しているが、制度を進めるにあたり地方自治体の負担が大きすぎる。今度は地方自治体の意見をより聞く等、よりよい市民サービスの提供にむけ協力できる体制の整備をしてもらいたい」としました。

 

マイナンバーカードをめぐるトラブルについては、市民生活への影響を憂慮しております。

 

 

おきなが

 

政府の普及促進策について、「どちらかと言えば評価しない」と考え、その理由として、「短期的に窓口業務が集中し、事務の負担のみならず、市民生活に影響を与えた」こと。また、マイナカードの交付率を地方交付税の算定基準とした点は評価できない」との見解ですが、これについては、私もそう思います。

 

一方、政府が来年秋に健康保険証を廃止し、マイナ保険証に一本化するという方針に対しては、「延期すべきだ」との回答をされたということですが、延期すべき」という理由は、どのようなことでしょうか。

 

市長

 

マイナンバーカードに関するトラブルが頻発しており、地域医療への影響が大変心配されます。マイナンバーカードについては、デジタル社会への対応として必要なものと認識しておりますが、今回の保険証廃止については、準備期間が少ないなど、あまりに性急に進められたこともトラブルの一因ではないかと考えております。保険証については医療機関等への受診の際に的確に安心に利用できることが必須であると考えますので、そうした影響を鑑みて一旦延期すべきと回答したものです。

 

 

おきなが

 

とりあえず、わかりました。座間市議会では、現行の健康保険証の廃止ではなく、存続を求める意見書を議会意思として採択しておりますので、できれば、議会と足並みをそろえていただきたかったという思いはありますが、マイナンバーカードに関するやりとりの最後にまた、市長の見解を伺います。

 

次に、本市におけるマイナンバーカードに係るトラブルについて、お聞きします。本市において把握しているものがあれば、明らかにしていただきたいと思います。

 

総合政策部長

 

報道等による同カードに係るトラブルのうち、本市窓口で起こり得るのは、マイナポイント申請補助の際に誤って他人にポイントが付与されたこと、公金受取口座に本人の意図と異なる他人の口座に紐づいたことなどですが、現時点でこれらの問題は発生していません。

 

 

おきなが

 

今、二つのことを例示され、「問題は発生していない」とのことでしたが、その他のトラブル、例えば、コンビニ交付の誤交付とか、マイナ保険証使用の際の誤作動とか、その他の事例ではどうですか。

 

総合政策部長

 

コンビニでの住民票等の誤交付について本市では、発生しておりません。万が一発生した場合は、所定の手続きにしたがって国等へ報告することになっております。医療機関等での保険証の読み取りに関するトラブル等については、国民健康保険証以外の部分については、こちらとしては把握しておりません。

 

 

おきなが

 

今、国への報告ということがありましたが、こうしたトラブルについて、本市が把握した場合、国へ報告することになる、そういうシステムであると理解してよろしいのでしょうか。

 

総合政策部長

 

お見込みのとおりです。

 

 

おきなが

 

本市が把握する以外に、本市市民に係るトラブルがあった場合、国等から市へ報告されるような形になっていますか。

 

総合政策部長

 

本市から国へというルートはありますが、他から報告を受けるというルートはありません。

 

 

おきなが

 

一体誰が責任をとるのかわからないシステムになっているのではないかと思います。国は、「マニュアルどおりにやらなかったから」としていますが、情報が閲覧されていた場合の責任をどこがとるのか、非常に不明確だと思う次第です

 

次に、本市におけるマイナンバーカードの交付状況についてお聞きします。

本市におけるマイナンバーカードの累積交付数は、2023年7月末段階で97,997件。総務省は累積交付数の人口に対する割合を「交付率」としてきましたが、その数値は74.51%とのことであります。マイナンバーカード発行が開始された2016年度からの累積交付数を見ていくと、2016年度~2019年度までは、毎年4000件弱の交付数で推移していたものが、マイナポイント第1弾及び第2弾が始まって以降は、年2万弱~3万弱のペースで飛躍的に増加していることがわかります。

 

これは、明らかにマイナポイント(第1弾5000ポイント、第2弾最大20000ポイント)を付与するという政府の誘導策が功を奏して飛躍的な増加につながったと思われますが、当局の見解を伺いたいと思います。

 

総合政策部長

 

議員のおっしゃる通り、マイナポイント制度の開始以降、本市の交付率が増加している事実から、一定の影響があったものと考えています。

 

 

おきなが

 

先にあげたグラフを見れば明らかにマイナポイントが始まった2020年度から飛躍的に伸びているわけで、なぜ「一定」という言葉をつけるのか理解できませんが、まあいいでしょう。

違う角度から見ていくと、これは、2022年度決算における住民票等コンビニ交付の実績です。ご覧のように、この年度マイナンバーカードの交付率は、67.7%になっていましたが、住民票のコンビニ交付は24.12%。75.88%の人は窓口交付を受けているわけです。その他の窓口の交付の状況を見ましても、印鑑登録証明書が65.64%、戸籍証明書は86.59%、附票が91.25%となっており、全体でみると、コンビニ交付が約25%、窓口交付が75%なんですよ。

 

マイナンバーカードによる行政サービスは、当面、これくらいしかありません。7割近くの取得があったとしても、行政サービスとして使っているのは25%、75%の人々は使っていないところから見ても、マイナンバーカードの取得目的の多くがポイント獲得であったことが裏付けられると思います。

 

別に、ポイント獲得のためということが悪いこととか、間違ったというわけではありません。コロナ禍、物価高騰の中で2万ポイントというのは市民からすれば魅力的なのは当然でしょう。ただ、勘違いをしてはいけないのは、マイナカードの取得者が増えたというのは、「行政サービスが便利になるから」ということではなく、「マイナポイントがもらえるから」というのが、その最大の理由であることを押さえておく必要があると思います。

 

さて、「マイナンバーカード交付率」というのは、累積発行枚数を人口で除したものという理解でよろしいでしょうか。

 

総合政策部長

 

おっしゃるとおりです。

 

 

おきなが

 

こうした統計は意味ないですよね。「交付率」というのは、死亡や期限切れ、再発行数などの数を差し引かない累積交付枚数なので、それを人口で割って一体何の意味があるものなのかというものですが、政府は今年5月から現に保有している数として「保有数」、そして「保有率」というという統計をとっており、先日の総括質疑の答弁では、本市の7月末での保有数は91760、97997累積で発行しているけども実際の保有数は91760で6千人ぐらいマイナスということですよね。保有率は69.8%ですから74.51%から5ポイントくらい低下をするということです。

 

この「保有枚数」について、「死亡や有効期限切れなどで廃止されたカードの枚数を除いたもの」と説明されていますが、これには、転出・転入の数は反映されていますか。

 

総合政策部長

 

反映されております。

 

 

おきなが

 

わかりました。マイナンバーカードをめぐるトラブルが報道されて以降、本市においてはどのくらいのカード返納者があったのでしょうか。

 

総合政策部長

 

マイナンバーカードを自主的に返納された方の集計は特段しているものではありませんが、報道等を踏まえて本年4月から8月までのカードの返納・取り止め届の返納理由で、「その他」を選択した方の記載内容を調査しましたところ、自主的に返納されたと思われる件数は、11件でした。

 

 

おきなが

 

保有枚数、保有率について、先日の答弁では、「総務省ホームページによると」としておりましたが、本市では独自に集計していないのでしょうか。あるいはできないのでしょうか。

 

総合政策部長

 

現時点で、マイナンバーの管理のシステム上、本市において集計する機能はありませんので独自の集計は、困難な状況です。したがって、総務省が公表している数値を利用しております。

 

 

おきなが

 

今のお話だと、本市で実際にどのくらいの人がマイナンバーカードを持っているのかという把握は、市独自ではシステム上できないということですね。

 

次に、マイナ保険証についてお聞きして参ります。

マイナンバーカードと健康保険証の一体化の経過を振り返ってみますと、2019年にオンライン資格確認導入等の健康保険法が改正されております。そして、2021年からオンライン資格確認の本格運用が始まり、政府は2023年までに全ての医療機関で導入するとの方針でありました。しかし、利用は広がらず、2022年5月段階で、運用開始医療機関は19.3%、利用登録を行った人は873万7624人にとどまっておりました。しかし、マイナンバーカードへの健康保険証の紐づけによりマイナポイント7500円分を付与するというマイナポイント第2弾が開始されたことにより、本年8月27日現在での利用登録者数は6660万8469人まで、飛躍的に伸びております。

 

そこで、お聞きするものでありますが、本市における国民健康保険証及び後期高齢者医療証としてのマイナンバーカードへの利用登録者は何人になっているのでしょうか。

 

健康部長

 

本市におけるマイナンバーカードへの国民健康保険被保険者証と後期高齢者医療制度被保険者証の利用登録者は、国民健康保険被保険者証は、本年7月19日時点で1万2360人。後期高齢者医療被保険者証は、本年7月17日時点で8366人です。

 

 

おきなが

 

これは加入者の何%になりますか。

 

健康部長

 

登録者数と被保険者数は、抽出の時点が異なりますので、正確な割合の算出が困難な状況です。参考までに本年7月末時点の被保険者数は、国民健康保険が25456人、後期高齢者医療が18261人です。

 

 

おきなが

 

現状では、正確な数としては把握できないけれども、ある時点の加入者、これと、マイナ保険証の利用登録者は出るという話なんですが、先日の岸田首相の記者会見では、マイナ保険証の利用登録を行っていない人には、申請によらず資格確認書を交付するとしています。ということは、国保の加入者、後期高齢者医療制度の加入者のうち、マイナ保険証を持っていない人を特定し、送付するためのデータを把握、保有していますか。

 

健康部長

 

マイナ保険証をもっている国民健康保険加入者は、神奈川県の国保連から、また後期高齢者医療制度の加入者は、神奈川県広域連合から来るデータに基づいて把握することは可能です。しかし、マイナ保険証をもたない方、利用登録を解除した方などを正確に把握することは困難な状況ですので、現状においては資格確認書を送付するまでの整備には至っておりません。

 

 

おきなが

 

把握できない状態で、資格確認書の申請によらない交付ができるのか、ということになります。国保については市がやらなくてはならないことになります。今後、資格確認書の交付実務を進めるためには、そのためのシステム改修が必要となってくるという理解でよろしいですか。

 

健康部長

 

資格確認書を交付するためのシステム改修が必要となってくるものと理解しております。

 

 

おきなが

 

資格確認書の交付を行うためには、システム改修等新たな事務負担と新たな経費がかかることになるということですよね。ちなみに、もし、現行の保険証を被保険者へ発行する場合は、当たり前ですが、こうした新たな事務負担と経費はかからないですよね。

 

健康部長

 

議員のおっしゃるとおりです。

 

 

おきなが

 

次に、マイナ保険証対応可能な医療機関について、お聞きします。本市において、対応可能な医療機関の数は何施設か、お聞きするものであります。

 

健康部長

 

本市におけるマイナ保険証対応可能医療機関の数ですが、本年8月20日時点で病院4件、診療所47件、歯科42件、薬局42件です。

 

 

おきなが

これは本市の全医療機関のうち何%となりますか。

 

健康部長

 

市内医療機関の割合で約81%となります。

 

 

おきなが

 

厚労省によると、全国の医療機関は、22万9336施設。そのうち、マイナ保険証対応義務化対象医療機関21万576施設で、91.82%とのことです。つまり、だいたい、全医療機関の10%が義務化対象外ということのようですが、本市における対応不可能な医療機関は、全国平均より多い20%近くあります。この約20%というのは、オンライン資格義務化対象外の医療機関と理解してよろしいのでしょうか。

 

健康部長

 

その点については、所管外のため把握していません。

 

おきなが

 

最近(8月下旬)に厚生労働省は、なんか新しいものを発表したんですね。マイナ保険証が使えない医療機関での受診に際して、患者にマイナ保険証の他に「資格情報のお知らせ」という文書の提示を求める考えを示しております。(マイナ保険証の人を対象)この「資格情報のお知らせ」は、おそらく保険者が発行することになると思われ、また新たな事務負担が加わりそうですが、どのような運用となるのか、承知されておられますか。

 

健康部長

 

資格情報のお知らせについてですが、マイナ保険証を持っている方を対象に、資格等を簡易的に把握するために交付することと理解しておりますが、交付の方法とか時期、様式などの詳細な内容についてはまだ示されていない状況です。

 

 

おきなが

 

また、一つ仕事が増えましたね。市の方としては。今度は資格情報のお知らせをマイナ保険証の利用登録をしている人を対象ですから、数はこっちの方が多いわけですよ。それをまた、特定し把握し送付しなければならないと。また、一つ市の事務負担が増えたことになると思います。

 

次に、市内におけるマイナ保険証のトラブルについてお聞きします。市内の医療機関の窓口における、カードリーダーの誤作動又は資格確認の間違い等のトラブルについて、当局は把握しているのでしょうか。承知されておられれば、その事例を明らかしていただきたいと思います。

 

健康部長

 

本市における医療機関等の窓口での誤作動等のトラブルについてですが、国民健康保険において負担割合が被保険者証と異なる、又は不明であると医療機関から問い合わせがありました後期高齢者医療制度については、把握している事例はありません。

 

 

おきなが

 

国保については医療機関からの問い合わせがあり、そういう事実があるということですが、これは窓口でトラブルがあり、資格確認などができないので保険者に確認するために、国保の人だったので座間市に問いあわせをしてきたということですよね。こうしたトラブル集計は、どこが行っているのでしょうか。

 

健康部長

 

医療機関から問い合わせがあるたびに、その報告は行っていませんが、デジタルPMOというところで、個人番号が誤って別人に登録されていたことがあるかとか、被保険者証とオンライン資格確認システムに負担割合や限度額の相違があるかという調査はありました。しかしながら、全体のトラブル集計については、承知をしておりません。

 

 

おきなが

 

その調査は、どこに報告があげたのですか。

 

健康部長

 

神奈川県です。

 

 

おきなが

 

そういった事例を市が確認した場合は、報告をするというのがあるようですが、全体のトラブル集計をどこがやっているのか承知していないということでしたよね。これもさっきの話で同じなのですよ。

 

おそらく医療機関の窓口で、カードリーダーが反応せず資格確認を行うことができなかった事例は相当数あると思われます。しかし、これって全国的にも集計されていないんですよね。結局そのたびに、さきほど市長は地域医療への影響と言われましたが、患者負担(1割、2割、3割)の間違い等があった場合、医療機関はその都度保険者に問い合わせなければならず、医療機関にとっても大変な負担になっていることがわかります。

 

次に、短期証及び資格証明書についてお聞きします。国民健康保険後期高齢者医療制度では、これまで保険税や保険料の滞納者に対して、短期証や資格確認書の発行を行ってきましたが、従来の紙保険証が廃止され、マイナ保険証に一本化された場合、これらの措置はどうなるのでしょうか、伺うものであります。

 

健康部長

 

健康保険証廃止以降の短期保険証及び資格証明書についてですが、被保険者証が廃止されることに伴い、短期被保険者証の仕組みは廃止、資格証明書は特別療養費の支給に変更する旨の事前通知を行うこととなります。

 

 

おきなが

 

短期証は廃止されるとのことですが、当局はこれまで短期証の役割について、滞納者に相対で納付相談等を行うことができる収納対策としても有効な手段であると説明されてこられましたが、廃止による影響について、どのようにお考えですか。

 

健康部長

 

保険証更新時における納税相談等の機会が減ること、有効期限が短いことで、これまで促してきた納税意識が希薄となることが懸念されます。

 

おきなが

 

おっしゃるとおりだと思います。デジタル化によって、これまで相対で短期証を発行することにより、相談をしたり、援助したりだとか、そういったものができなくなると、これもマイナ保険証の弊害の一つだと思います

 

次に、マイナ保険証の効果について、お聞きします。政府はマイナ保険証への一本化について、「質の高い医療を提供するため」と説明しておりますが、ここで言う「質の高い医療」とは具体的にはどういうことなのでしょうか、当局の見解を伺うものであります。

 

健康部長

 

政府は患者の同意に基づき、病院や薬局に過去の薬剤情報や健診結果を提供し、適切な医療に結び付けることにより、重複投薬を防げるほか、初めてかかる病院でも、記憶ではなく記録にもとづいて医師が患者の情報を把握できるとしています。このような点については、従来提供されている医療と比べて充実するものと考えます

 

おきなが

 

「記憶では記録で」となかなかの明言をはかれたのですが、薬剤情報はレセプトデータですよね。

 

健康部長

 

議員おっしゃるとおりです。

 

 

おきなが

 

レセプトの薬剤データは、データが反映されるまでに40日間かかりますよね。アナログのお薬手帳ならば、その日のうちに記録・更新されますよね。これでほんとうにデジタル化による「質の高い医療データ」と言えるのかと思います。

 

次に、本年8月4日に行われた岸田首相の記者会見において示された政府方針について、お聞きして参ります。

まず、従来の政府方針について、確認しておきたいと思います。政府はこれまで、従来型(紙)保険証を2024年秋までに廃止。マイナ保険証を持っていない人には「資格確認書」を交付。「資格確認書」は本人の申請が必要とされ、有効期限は1年を上限とする、としておりました。

 

しかし、マイナンバーカード及びマイナ保険証に係るトラブルが続出し、本市議会も6月21日の本会議において「従来型(紙)健康保険証の存続を求める意見書」を採択しておりますが、従来型紙保険証の存続を求める国民世論が巻き起こる中、本年8月4日、岸田首相は従来の方針を一部変更する旨の記者会見を行いました。

 

具体的には、当分の間、マイナ保険証を保有していない方全てに申請によらず資格確認書を交付。保険加入者全員にマイナ保険証又は資格確認書を交付するということでしたが、マイナ保険証と資格確認書の併用については、原則として認めない。有効期限は、5年以内で保険者が設定。マイナ保険証を一度登録した後も、利用登録の解除を可能とし、その場合は資格確認書を交付する。というものでありました。

この新たな政府方針の問題点について、私の以下のように考えます。まず、あくまでも従来型紙保険証は廃止し、延期も行わないということです。本市議会の意見書の中でも触れられておりますが、「マイナンバーカードの任意取得の原則に照らしても、廃止は妥当ではない」ということです。

 

次に、マイナ保険証と資格確認書は併用できないという問題です。次に、マイナ保険証を持たない人を保険者はリアルタイムで把握できるのか、という問題です。さらに、リアルタイムでの把握を行おうとすれば、地方自治体のみならず全ての保険者において新たなシステム改修が必要となり、保険者の事務負担は増大し、経費もかかるという問題であります。

 

要は、「現行の保険証を残せばよいだけ」、これで全てが解決すると思う次第であります。 そこで、お聞きするものでありますが、8月4日の岸田首相記者会見で示されたマイナ保険証に関する新たな政府方針について、当局の受け止めを伺うものであります。

 

健康部長

 

健康保険証廃止以降の資格確認書の取扱いに関する政府方針についての見解ですが、申請によらず交付することで、被保険者の負担緩和となり、一方でマイナ保険証を保有していない方々の把握に苦慮することが想定されます。

 

おきなが

 

次に、マイナ保険証と資格確認書の併用ができないことについて、お聞きします。先ほども申し上げましたが、新たな政府方針では、マイナ保険証と資格確認書を合わせて持つことはできないとされておりますが、これによる弊害はないとお考えなのでしょうか。あるとすればどのようなことか、当局の見解を伺いたいと思います。

 

健康部長

 

マイナ保険証と資格確認書との併用ができないことの弊害に関する見解についてです。要介護、障がい者など支援が必要な方に対してはマイナ保険証と資格確認書の両方を保有可能とし、資格確認書が継続的に必要と見込まれる場合には、申請によらず更新できることとしています。現段階では資格確認書の交付要件について、国から明確に示されていないことから、弊害については言及することが難しい状況です

 

おきなが

 

資格確認書の詳細が示されていないので、コメントできないということでしたが、現状では、医療機関でマイナ保険証がカードリーダーで読み取れないなどの不具合があった場合のバックアップになっています。

 

あともう一つ問題があって、すでにカード返納を行った人の問題です。マイナ保険証の利用登録をしたまま返納していると、利用登録は残るわけです。ということは資格確認書はその人のもとには行かないことなってしまうと思います。カード返納者の情報は、現状では保険者は把握できないという理解でよろしいでしょうか。

 

健康部長

 

現段階では返納者の情報を抽出することは困難な状況です。

 

 

おきなが

 

次に、資格確認書交付に係る財政負担についてお聞きします。この事務に関する財政負担は、市あるいは保険者が負担するのでしょうか、それとも国なのでしょうか、伺うものであります。

 

健康部長

 

資格確認書の交付のための市システムの改修費用については、特別調整交付金で財政支援される予定です。

 

おきなが

 

資格確認書交付にかかわる財政負担については、地方交付税の特別調整交付金で措置されるということですが、しっかりと国に対して要望していただきたいと思います。

 

最後に市長に再び伺います。市長は健康保険証の来年秋の実施は延期すべきとのお考えのようですが、では、どのような条件が整うまで、延期すべきとお考えなのでしょうか。

 

市長

 

今、沖永議員より、これまでの保険証の廃止について問題点が縷々指摘されたと思っております。保険情報の確実な紐づけ、これが大変重要だと思っております。また、医療機関等での読み取りのミスがなくなるなど、利用者の方々が安心して利用できる環境が整うことを前提としていただきたいと思っております。私も医療機関で経験しておりますが、現在、マイナ保険証で受診しても月に一度は保険証の確認をされており、実際上は併用状態だと思います。こうした状況がなくなることが必要だと思います。

 

 

おきなが

 

私は、現行の保険証の交付を継続するのが最も妥当な選択だと思います。私は、別にマイナ保険証を廃止すべきという意見ではありません。マイナンバーカードを所得し、マイナ保険証を使用したい人は、ちゃんと環境整備をしなければできないですよねって話ですよ。一方、法律上、マイナナンバーカードの取得は個人の選択に委ねられており、私もそうですが取得したくないという人たちが現にいるわけですよ。そういう人たちが皆保険制度の中で、しっかりと保険医療を受けることができるためには、一番財政的なコストも少なく、自治体の事務負担が少なくすすられるのは、併用することだと思います。以上、この問題についての私の意見を申し上げ、マイナンバーカードについての質問を終わります。