2015年第一回定例会 討論

 それではただ上程されております議案のうち、議案第22号「座間市議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例」及び議案第24号「座間市常勤特別職の給与に関する条例の一部を改正する条例」に反対する討論を行います。 

市長、副市長、教育長、議員、3.1%〜3.7%の給料・報酬月額のアップ
 両条例の改正案では、常勤特別職については、市長の給料月額を現行89万3千円から92万1千円へ、+3.1%、額にして2万8千円引き上げ、副市長は72万1千円から74万4千円へ、+3.2%、額にして2万3千円引き上げ、教育長は67万5千円から69万3千円へ、+2.7%、額にして1万8000円引き上げるものであります。また、非常勤特別職である市議会議員については、議長の報酬月額を現行52万2千円から54万1千円へ +3.6%、額にして1万9000円引き上げ、副議長は43万4000円から45万円へ、+3.7% 額にして1万6000円引き上げ、議員は40万4000円から41万9000円へ、+3.7% 額にして1万5000円引き上げるものであります。

常勤特別職の給料減額措置をなぜやめたのか?!

 ご承知のとおり、これまで市長などの常勤特別職については、星野前市長以来行われてきた減額措置を遠藤市長も踏襲されてこられました。具体的には、市長給料で見ていくならば、2008年12月から2012年3月までは、星野前市長と同様に10%カットを行い9万円の減額。2012年4月から2013年9月までは、市長が座間市緊急財政対策本部を設置したこともあり、15%カットで13万4千円の減額。2013年10月から2014年3月までは、震災復興財源の一部として国家公務員の給与削減が行われ、それに同調して地方公務員の給与削減を行ったこともあり、20%カットで17万9000円の減額を行っていました。

 こうした減額措置は、条例本則の給料表に対し、附則で期限を区切っていたものでありますが、2014年、すなわち昨年4月以降は、附則において新たに減額措置を明記しておらず、条例本則の給料表どおり支払われております。

 しかし、先日の一般質問において私が、市長などの常勤特別職の給料が昨年4月以降条例本則通りに戻っていたことついて、その理由を質したところ、市長は「1年毎に期限を区切って減額措置を行ってきた」「期限が切れたので戻させていただいた」と答えるのみで、なぜ減額措置を打ち切ったのか、明確な説明はありませんでした。

 その際にも申し上げましたが、前市長も、遠藤市長も、給料カットを行う際には、市の財政状況を考慮しカットした旨を説明されたおられました。しかし、給料カットを打ち切る際には、「ただ期限が切れたから」では、説得力に乏しく十分な説明とは言えません。

 減額措置のうち、震災復興名目の地方公務員の給与削減は、国の同調圧力によるものであり、私も承服しがたいものであると反対をしましたが、一般職公務員の給料が元の給料に戻った際に、なぜ市長などの常勤特別職は、元の給料を飛び越えて、条例本則上の給料に戻す、すなわち15%の減額措置を打ち切ったのでしょうか。その結果、今回の給料アップ率と額は、本則上の給料月額からは市長は+3.1%、額にして+2万8000円ということになりますが、15%カット段階を基準とするならば、+21.3%、額にして+16万2千円のアップということになります。こうした市長給料の大幅引き上げをどのように市民に説明するのか、市長には問われていると思う次第であります。

今回の特別職の給料値上げの理由は何か?

 次に、今回の市長などの常勤特別職、非常勤特別職の市議会議員の給料引き上げの理由は一体何かということでありますが、これも私の一般質問に対し市長は、「座間市特別職報酬等審議会の答申を尊重した」としか答えておられません。

 では、特別職報酬等審議会は、どのような答申を出しているかと言えば、「今回の答申については、適正な報酬等の水準について様々な角度から慎重な審議を行い、結論を得たものある」としておりますが、答申書には明確な理由、基準等は何も示されておりません。

 そこで、公開されている審議会の議事録を見ると、かろうじて理由らしき意見としては、
・「16年も据え置かれているのは、如何なものか」
・「一般職とのバランスというのも不透明な部分はあるけれど、ここで整合性がとれていくだろう」
・「近隣他市との水準について、職員、特別職も含めて士気を高く持っていただくための水準は必要でないか」
・「座間市の財政状況が危機的であるいうのであればそういう話はないが、見通しが持てるよということであるならば、幅はともかく少し上げていくという方向性でよろしいと思います」

というようなものがありました。

 これらのご意見からすると、今回の給料引き上げの判断基準は、

・1997年以来16年ぶりという期間の問題
・一般職とのバランスという問題
・近隣他市とのバランスという問題
・市の財政状況の問題

という四点ということになります。

「16年ぶり」「一般職、近隣他市とのバランス」「市の財政状況」具体的に検証していくと

 それでは、この四つのポイントについて具体的に見て参りますと、まず、「1997年以来16年ぶりという期間の問題」についてであります。

 1997年というのは、みなさんもご承知かと思いますが、消費税が3%から5%に引き上げられた年であります。この消費税増税が引きがねとなり、消費が落ち込み、景気が後退し、国の税収はこれ以降消費税を増税したにも関わらず、一度も1997年の税収を上回っておりません。

 一方、この年の座間市の市民税収は、個人市民税が約80億5500万円、法人市民税が約10億8000万円で、合計約91億3500万円でありました。一方、確定している数値として2013年度決算では、個人市民税は約75億5000万円、法人市民税は約9億3800万円で、合計84億8800万円。1997年当時より市民税収は、約6億4700万円の減収となっております。しかも、この16年間の間に、老齢者控除の廃止、市民税の10%フラット課税や年少扶養控除の廃止など様々な増税策が行われたにもかかわらずということを忘れてはなりません。

 こうしたことからするならば、16年間常勤特別職や市議会議員の給料が据え置かれてきたことは、ある意味で当然と言えるのではないかと思います。

 次に、「一般職とのバランスの問題」についてですが、一般職職員の給料は、本市では人事院勧告に準拠して給料表の改訂が行われておりますが、昨年末の改訂では−1.84%と3年間の減給保障があるものの、引き下げられております。とはいっても、一般職の場合は人事院勧告で、過去15年間の間に引き上げられた年もあったではないかと言われる方もいらっしゃるかもしれません。確かに過去15年間でプラス改訂が6回ありますが、マイナス改定も6回あり、過去15年間の累積改定率では、−1.49%とトータルではマイナスとなっているわけであります。

 こうしたことからすると、一般職とのバランスを考えると、今回の常勤特別職・市議会議員の給料・報酬の引き上げは、バランスに欠けると言わざるを得ません。

 次に、「近隣他市とのバランス」についてですが、まず、条例本則上の市長の給料月額について県央7市を比較してみますと、1位が伊勢原市長の96万6千円、2位が厚木市長の95万8千円、3位が大和市長の94万3千円、4位が秦野市長の93万8千円、5位が海老名市長の93万円、6位が改定後の座間市長の92万1千円、7位が綾瀬市長の91万1千円となり、改定後の座間市長は県央7市では6番目ということになります。

 しかし、条例本則上ではなく、他市の市長が行っている減額措置後の給料で見てみますと、1位が大和市長の94万3千円(減額措置なし)、2位が海老名市長の93万円(減額措置なし)、3位が改定後の座間市長の92万1千円、4位が秦野市長の79万7千300円(減額措置あり)、5位が綾瀬市長の71万4224円(減額措置あり)、6位が伊勢原市長の67万6200円(減額措置あり)、7位が厚木市長の67万600円(減額措置あり)となり、実質的な給料額では本市の市長は県央7市中3番目に高い給料となります。

 こうしたことからすると、「近隣他市とのバランス」という点からみても、適切な引き上げとは言えないのではないかと思います。

 次に、本市の財政状況の問題についてですが、確かに本市は、2010年度〜2013年度まで4年連続で実質単年度収支は黒字決算となり、留保資金である財政調整基金は、2009年度1億5000万円程度であったものが、2014年度末残高が約13億3000万円となるなど、この二つの指標上は、好転していると言えるでしょう。

 では、県央七市の財政状況と比較してみますと、財政の弾力性を示す経常収支比率は、本市は県央七市中2位となっておりますが、地方交付税の交付団体か不交付団体かの指標となる財政力指数は、本市は県央七市中最下位の7位。標準財政規模に対する実質収支額の割合を示す実質収支比率は、本市は県央七市中6位。歳入に対する実質的な公債費(借金)の比率を示す実質公債費比率は、本市は県央七市中6位と、近隣他市の財政指標と比べて、本市の財政状況が良好とは言い難い状況であります。

引き上げの合理的根拠は見いだせない

 以上、特別職報酬等審議会の議論の中で出されておりました四つの論点について、具体的に検討して参りましたが、どれをとっても、現時点において、市長など常勤特別職、非常勤特別職である市議会議員の給料・報酬を引き上げる合理的根拠は見出すことはできません。

 最後に、私の意見を申し上げるならば、市長や市議会議員などの給料・報酬の見直しについて、なぜ、来年度以降に行わなかったのかという点であります。さきほどを申し上げましたように、2014年度人事院勧告に準拠した本市一般職員の給料表は、−1.84%とマイナス改定となっております。

 人事院勧告は、実質上民間大手企業の賃金水準によって上下しますので、アベノミクスによる大手企業の春闘妥結状況を見るならば、おそらく、2015年度の人事院勧告はプラス改訂となることでしょう。ならば、民間の実質賃金がアップし、一般職職員の給料水準が引き上げられた後に、市長や市議会議員の給料・報酬が見直されるなら、ある意味で合理的な判断根拠となり得るのではないでしょうか。そうした状況を待つことなく、まずは市長や市議会議員の給料・報酬を引き上げるというのは、「話の順序がちがう」としか言いようがありません。

 県央七市のうち、この時期に引き上げを行う市は座間市以外ありません。では、なぜ、来年ではなく今年なのか、ということでありますが、みなさんご承知のとおり、来年は本市の市長選挙、市議会議員選挙の年であります。来年に引き上げを行った場合は、選挙直前の引き上げとなりますから、市民感情を考慮するならば、「今年のうちに済ませておかなければならない」といったような邪念が、今回の提案の動機となっているとまでは申しませんが、「今年」と言う時期についても、不可解さをぬぐいきれません。

 よって私は、議案第22号「座間市議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例」及び議案第24号「座間市常勤特別職の給与に関する条例の一部を改正する条例」に反対するものであり、他の議員の皆様におかれましても、ご賛同いただけるよう訴えるものであります。
 
以上で、討論を終わります。